(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
以下、
図1〜
図3を用いて、本発明の一実施形態による高圧燃料供給ポンプの構成について説明する。
【0020】
図1は、本実施形態による高圧燃料供給ポンプの水平断面図であり、
図2は、本実施形態による高圧燃料供給ポンプの垂直断面図であり、
図3は、本実施形態による高圧燃料供給ポンプを用いた燃料噴射システムのシステム構成図である。なお、図中同一符号は、同一部分を示している。
【0021】
図1に示すように、ポンプ本体1は、燃料吸入通路10と、吐出通路11と、加圧室12とを備えている。吸入通路10には、吸入弁5が設けられており、ばね5aにて一方向に保持され、燃料吸入通路10から燃料吸入通路5bへの燃料の流通方向を制限する逆止弁となっている。吐出通路11には、吐出弁6が設けられており、ばね6aにて一方向に保持され、燃料吐出通路6bから燃料吐出通路11への燃料の流通方向を制限する逆止弁となっている。
【0022】
加圧室12は、本実施形態においては、主加圧室12aと、その外周に位置する環状の副加圧室12bに分割し、それぞれを連通穴12cで連通された構成となっている。副加圧室12bは、燃料吸入通路5bと燃料吐出通路6bを連通している。
【0023】
ここで、
図2に示すように、加圧室12の主加圧室12aには、加圧部材であるプランジャ2が摺動可能に保持されている。プランジャ2の下端に設けられたリフタ3は、ばね4にてカム100に圧接されている。プランジャ2は、エンジンカムシャフト等により回転されるカム100により、往復運動して加圧室12内の容積を変化させる。プランジャ2の圧縮工程中に吸入弁5が閉弁すると、加圧室12内の圧力が上昇し、これにより吐出弁6が自動的に開弁し、燃料をコモンレール53に圧送する。吸入弁5は、加圧室12の圧力が燃料導入口より低くなると自動的に開弁するが、閉弁に関しては、ソレノイド200の動作により決定される。
【0024】
また、ポンプ本体1には、ソレノイド200が取り付けられている。ソレノイド200には、係合部材201と、ばね202が設けられている。係合部材201は、ソレノイド200がOFF時は、ばね202によって、吸入弁5を開弁する方向に付勢力がかけられている。ばね202の付勢力は、吸入弁ばね5aの付勢力より大きくなっているため、ソレノイド200のOFF時は、
図1及び
図2に示すように、吸入弁5は開弁状態となっている。
【0025】
ポンプ本体1から高圧燃料を供給する場合には、ソレノイド200がON(通電)状態となり、燃料供給を停止する場合には、ソレノイド200がOFF(無通電)状態となるように、ソレノイド200への通電が制御される。
【0026】
ソレノイド200がON(通電)状態を保持した際は、ばね202の付勢力以上の電磁力を発生させ、係合部材201をソレノイド202側に引き寄せるため、係合部材201と吸入弁5は分離される。この状態であれば、吸入弁5はプランジャ2の往復運動に同期して開閉する自動弁となる。従って、圧縮工程中は、吸入弁5は閉塞し、加圧室12の容積減少分の燃料は、吐出弁6を押し開きコモンレール53へ圧送される。
【0027】
一方、ソレノイド200がOFF(無通電)を保持した際は、ばね202の付勢力により、係合部材201は吸入弁5に係合し、吸入弁5を開弁状態に保持する。従って、圧縮工程時においても、加圧室12の圧力は燃料導入口部とほぼ同等の低圧状態を保つため、吐出弁6を開弁することができず、加圧室12の容積減少分の燃料は、吸入弁5を通り燃料導入口側へ戻される。
【0028】
また、圧縮工程の途中で、ソレノイド200をON状態とすれば、このときから、コモンレール53へ燃料圧送される。また、一度圧送が始まれば、加圧室12内の圧力は上昇するため、その後、ソレノイド200をOFF状態にしても、吸入弁5は閉塞状態を維持し、吸入工程は始まりと同期して自動開弁する。
【0029】
次に、
図3を用いて、本実施形態による高圧燃料供給ポンプを用いた燃料供給システムのシステム構成について説明する。
【0030】
タンク50内の燃料は、低圧ポンプ51によって、ポンプ本体1の燃料供給口10に導かれる。ここで、燃料供給口10に導かれる燃料の圧力は、プレッシャレギュレータ52によって、一定の圧力となるように調圧されている。ポンプ本体1に供給された燃料は、ポンプ本体1によって加圧され、燃料吐出口11からコモンレール53に圧送される。コモンレール53には、インジェクタ54と、リリーフ弁55と、圧力センサ56とが装着されている。インジェクタ54は、エンジンの気筒数にあわせて装着されており、エンジンコントロールユニットECUの燃料噴射制御信号に応じたタイミング及び噴射量にて噴射する。また、リリーフ弁55は、コモンレール53内の圧力が所定値を超えた際開弁し、配管系の破損を防止する。
【0031】
エンジンを初めて始動する際や長時間停止した際には、燃料配管中(高圧ポンプ及びコモンレール内も含む)には、空気や燃料ベーパが存在するため、エンジンを始動する際に、コモンレール53内を早急に燃料で満たす必要がある。
【0032】
この点に関し、本実施形態においては、加圧室12は、上述したように、プランジャ2の往復動によって燃料を加圧する主加圧室12aと、燃料吸入通路5bと燃料吐出通路6bとを連通する副加圧室12bとから構成されている。
【0033】
従って、プランジャ2が上死点にて停止時及び摺動していても、吸入通路5bと吐出通路6bの間に副加圧室12bによって十分な通路を構成できるため、高圧ポンプが高圧圧送を開始する前から、低圧ポンプ51にてコモンレール53に燃料を低圧圧送することができ、コモンレール53内も瞬時に燃料を満たすことができる。なお、上述のようなエンジンの始動時においては、コモンレール53内の圧力は大気圧に近いため、燃料吐出口6bの燃料圧が低圧燃料ポンプ51の吐出圧の状態でも、吐出弁6は開弁するため、燃料吐出口6bから燃料吐出口11に燃料が流れ、コモンレール53に燃料を供給することができる。
【0034】
さらに、吐出容量の大きい低圧ポンプ51にて、配管中の燃料をコモンレール53に供給するとともに、そのとき、一緒に空気やベーパ等をコモンレール53に圧送することができる。
【0035】
また、本実施形態においては、
図2に示すように、加圧室12には、燃料吸入通路5bと燃料吐出通路6bを上端側壁部に連通させて、ベーパ溜り部をなくしている。このため、ベーパ等は、吐出通路6bからコモンレール53側に圧送されて、加圧室12内にとどまらないものとなる。従って、加圧室内は瞬時に燃料に満たされ、高圧圧送が可能となるので、加圧室内の空気や燃料ペーパーの排出を確実に行える。
【0036】
また、プランジャ2が上死点に位置した際において、プランジャ2の上端と加圧室12の上面に干渉防止のための適度なクリアランス(1〜2mm)をとるだけで、吸入通路5b
及び吐出通路6bを塞がないようにできるため、加圧室への燃料供給を妨げることなく、加圧室のデッドボリューム(上死点時の加圧室容積)を最小にすることができ、ポンプの小型化を図ることができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、エンジン始動時等に、高圧ポンプのピストン運動に阻害することなく、低圧燃料をコモンレールに供給できるため、エンジンの始動直後のコモンレールへの燃料供給性を向上することができる。
【実施例2】
【0038】
次に、
図4及び
図5を用いて、本発明の第2の実施形態による高圧燃料供給ポンプの構成について説明する。
【0039】
図4は、本実施形態による高圧燃料供給ポンプの垂直断面図であり、
図5は、
図4の部分拡大図である。なお、
図4及び
図5において、
図1〜
図3と同一符号は、同一部分を示している。
【0040】
本実施形態においても、加圧室12は、主加圧室12aと、副加圧室12bとを備えている。さらに、本実施形態において特徴的なことは、加圧室12の形成方法にある。
【0041】
加圧室12は、プランジャ2の摺動部を有するとともに加圧室形成部材でもあるシリンダ20と、シリンダ20を固定する固定部材30とによって形成されている。シリンダ20の上端部20aの内面はテーパ形状となっており、この部分を固定部材30にて圧縮保持することにより、上端部20aは、
図5に(変形前)の状態から(変更後)の状態として示すように、外側に変形し、ポンプ本体1に嵌合する。これにより、加圧室12と吸入通路5bと吐出通路6bは、シリンダ上端部20aによってポンプ外部と隔離されるため、ゴム等の弾性部材を用いることなく、加圧室を形成できる。
【0042】
従って、加圧室の圧力が変動しても、従来のような弾性部材は使用していないため、この弾性部材の動きによる加圧室の体積変化が起こらず、ポンプの昇圧特性の低下が発生しないようにすることができる。
【0043】
また、シールのバックアップとして、Oリングを固定部材30の外周に配してもシリンダ上端部20aの外周とポンプ本体1の隙間は非常に小さいため、加圧室の圧力変動は直接Oリングにかからないため、Oリングのこすれ摩耗・破断することはないものである。
【0044】
さらに、本体1とシリンダ20を線膨張係数の違う部材を用いたとしても、シリンダ上端部は固定部材30にて保持されており、剛性が高いため、熱収縮によりシリンダ上端部が締め上げられても変形量は少なく、プランジャ2の摺動孔の変形によるかじり等の発生はないものである。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、エンジン始動時等に、高圧ポンプのピストン運動に阻害することなく、低圧燃料をコモンレールに供給できるため、エンジンの始動直後のコモンレールへの燃料供給性を向上することができるとともに、高圧燃料供給ポンプの昇圧特性向上をはかることができる。
【実施例3】
【0046】
次に、
図6を用いて、本発明の第3の実施形態による高圧燃料供給ポンプの構成について説明する。
【0047】
図6は、本実施形態による高圧燃料供給ポンプの垂直断面の部分拡大図である。なお、高圧燃料供給ポンプの全体構成は、
図4に示したものと同様である。また、
図1〜
図5と同一符号は、同一部分を示している。
【0048】
本実施形態においても、加圧室12は、主加圧室12aと、副加圧室12bとを備えている。さらに、本実施形態において特徴的なことは、加圧室12の形成方法にあり、
図4及び
図5に示す例の他の例である。
【0049】
本実施形態においては、加圧室周辺をシリンダ20とは別部材の加圧室形成部材21としている。加圧室形成部材21の上端部21aは、
図5に示した例のシリンダ上端部20aと同様の働きをする。
【0050】
本実施形態によれば、さらに、シリンダ20のプランジャ摺動孔部変形を抑えることができる。
【0051】
なお、
図4〜
図6に示す例において、固定部材30の外周はねじとなっており、これを螺着することにより、シリンダ20に圧縮力を作用するようにしてあるが、ねじに限定するものではない。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、エンジン始動時等に、高圧ポンプのピストン運動に阻害することなく、低圧燃料をコモンレールに供給できるため、エンジンの始動直後のコモンレールへの燃料供給性を向上することができるとともに、高圧燃料供給ポンプの昇圧特性向上をはかることができる。
【0053】
本実施例によれば、高圧燃料供給ポンプにおけるエンジンの始動直後のコモンレールへの燃料供給性を向上できる。
【0054】
また、高圧燃料供給ポンプにおけるエンジンの始動直後のコモンレールへの昇圧性を向上できる。
【実施例4】
【0055】
以下、
図7〜
図10を用いて、本発明の一実施形態による高圧燃料供給ポンプのシール機構の構成について説明する。
【0056】
最初に、
図7を用いて、本実施形態による高圧燃料供給ポンプを用いた燃料噴射システムの全体構成について説明する。
【0057】
タンク50内の燃料は、低圧ポンプ51によって、ポンプ本体100の燃料吸入通路110に導かれる。このとき、燃料吸入通路110に導かれる燃料は、プレッシャレギュレータ52によって、一定の低圧力に調圧されている。このときの燃圧は、大気圧を基準とする相対圧で、例えば、0.3MPaに調圧されている。ポンプ本体100に導かれた燃料は、ポンプ本体100によって加圧され、燃料吐出通路111からコモンレール53に圧送される。燃料吐出通路111から吐出される燃料の圧力は、大気圧を基準とする相対圧で、例えば、7〜10MPaに加圧されている。
【0058】
コモンレール53には、インジェクタ54,リリーフ弁55,圧力センサ56が装着されている。インジェクタ54は、エンジンの気筒数にあわせて装着されており、エンジンコントロールユニット(ECU)60の信号によって所定のタイミングで所定量の燃料を噴射する。また、リリーフ弁55は、コモンレール53内の圧力が所定値を超えた際に開弁し、配管系の破損を防止する。
【0059】
次に、ポンプ本体100の概略構成について説明する。なお、ポンプ本体100の詳細な構成については、
図8を用いて後述する。
【0060】
ポンプ本体100は、燃料吸入通路110と、燃料吐出通路111と、加圧室112とを備えている。燃料吸入通路110及び燃料吐出通路111には、吸入弁105,吐出弁106が設けられており、それぞれ、ばね105a,106aによって一方向に保持され、燃料の流通方向を制限する逆止弁となっている。
【0061】
シリンダ108の内部には、プランジャ102が往復摺動可能に支持されている。加圧室112は、シリンダ108の内部の上部と、プランジャ102の端部の間に形成されている。
【0062】
プランジャ102の外周部には、ポンプ内の燃料が外部に流出することを防止するため、弾性体で製作されたシール材120が設けられている。シール材120の外周部は、シリンダ108に固定されている。シール材120の内周部は、プランジャ102を摺動可能に保持している。
【0063】
プランジャ102が往復運動することにより、加圧室112内の容積が変化する。プランジャ102の圧縮工程中に吸入弁105が閉弁すると、加圧室112内圧力が上昇し、これにより吐出弁106が自動的に開弁し、燃料をコモンレール53に圧送する。吸入弁105は、加圧室112の圧力が燃料導入口より低くなると自動的に開弁するが、閉弁に関しては、ECU60によって制御されるソレノイド130の動作により決定される。
【0064】
ソレノイド130は、ポンプ本体100に取り付けられている。ソレノイド130は、係合部材131と、ばね132とを備えている。係合部材131は、ソレノイド130がOFF時は、ばね132によって、吸入弁105を開弁する方向に付勢力がかけられている。ばね132の付勢力は、吸入弁ばね105aの付勢力より大きくなっているため、ソレノイド130がOFFの時は、吸入弁105は開弁状態となっている。
【0065】
ポンプ本体100から高圧燃料を供給する場合には、ソレノイド130がON(通電)状態となり、燃料供給を停止する場合には、ソレノイド130がOFF(無通電)状態となるように、ソレノイド130への通電が制限される。ソレノイド130がON(通電)状態を保持した際は、ばね132の付勢力以上の電磁力を発生させ、係合部材131をソレノイド132側に引き寄せるため、係合部材131と吸入弁105は分離される。この状態であれば、吸入弁105はプランジャ102の往復運動に同期して開閉する自動弁となる。従って、圧縮工程中は、吸入弁105は閉塞し、加圧室112の容積減少分の燃料は、吐出弁106を押し開きコモンレール53へ圧送される。
【0066】
一方、ソレノイド130がOFF(無通電)を保持した際は、ばね132の付勢力により、係合部材131は吸入弁105に係合し、吸入弁105を開弁状態に保持する。従って、圧縮工程時においても、加圧室112の圧力は燃料導入口部とほぼ同等の低圧状態を保つため、吐出弁106を開弁することができず、加圧室112の容積減少分の燃料は、吸入弁105を通り燃料導入口側へ戻される。
【0067】
また、圧縮工程の途中で、ソレノイド130をON状態とすれば、このときから、コモンレール53へ燃料圧送される。また、一度圧送が始まれば、加圧室112内の圧力は上昇するため、その後、ソレノイド130をOFF状態にしても、吸入弁105は閉塞状態を維持し、吸入工程は始まりと同期して自動開弁する。
【0068】
さらに、本実施形態においては、シール材120の燃料室側空間107は、連結通路109及び逆止弁113を介して、燃料吸入通路110に連結されている。逆止弁300は、燃料吸入通路110側から燃料室側空間107への流通方向を規制するように設けられている。逆止弁113が開いている状態では、シール材120の燃料室側空間107には、燃料吸入通路110に供給される低圧(例えば、大気圧よりも、0.3MPa高い圧力)が印加されている。
【0069】
これにより、加圧工程時に加圧室112からシリンダ108とプランジャ102とのギャップを通ってくる燃料は、低圧部である燃料吸入通路110側に流れることができるため、シール材120の燃料室側の圧力は燃料吸入通路110と同等となり、シール材120の剛性を大幅に増加する必要なしに、燃料の外部漏れを抑えることができる。
【0070】
一方、シール材120が破損・脱落して燃料が外部に漏れ始めた際には、燃料室側空間107の圧力は、燃料吸入通路110より低くなるため、逆止弁113は閉弁し、燃料吸入通路110側からの燃料の流入を阻止することができる。このため、シール材120部には、加圧室112からシリンダ108とプランジャ102とのギャップを通ってくる燃料のみ流入する。この流量は、シリンダ108とプランジャ102の摺動部の長さに反比例するもので、本実施形態のようにプランジャ102が適切に摺動できる距離を確保すれば、少量に抑えることができる。従って、シール材120の破損・脱落時においても、短期間に多量の燃料が外部に流出することを防止できる。
【0071】
また、上述のように、プランジャ摺動部のギャップからの加圧室112の燃料の流出を最小限に抑えられるため、通常運転時においては、ポンプの吐出効率を向上することができる。
【0072】
次に、
図8を用いて、本実施形態による高圧燃料供給ポンプの構成について説明する。
【0073】
図8は、本発明の一実施形態による高圧燃料供給ポンプの構成を示す縦断面図である。
なお、
図7と同一符号は、同一部分を示している。
【0074】
ポンプ本体100は、燃料吸入通路110と、燃料吐出通路111と、加圧室112とを備えている。燃料吸入通路110及び燃料吐出通路111には、それぞれ、吸入弁105及び吐出弁106が設けられており、それぞれ、ばね105a,106aにて一方向に保持され、燃料の流通方向を制限する逆止弁となっている。
【0075】
シリンダ108の内部に形成される加圧室112には、加圧部材であるプランジャ102が摺動可能に保持されている。加圧室112は、プランジャ102を往復摺動可能に支持する摺動孔108aを有するシリンダ108によって形成されている。シリンダ108の内径部は、プランジャ102との径ギャップを、加圧室からの燃料漏れを最低限とするため、10μm以下としている摺動孔108aと、加圧室を形成するために大径に形成された大径内壁108bからなっている。
【0076】
また、シリンダ108は、大径内壁108b部に対応する外壁108cの一部を本体1に圧入嵌合することにより保持されている。これにより、圧入嵌合によるシリンダ内径の寸法変形は大径内壁108b部のみに発生し、摺動孔108aは、あらかじめ加工した寸法状態を維持することができる。従って、圧入嵌合後の、摺動孔108aの仕上げ加工が不要となるとともに、摺動部のみに耐摩耗性の良い材料を選択すればよいため、安価なものとすることができる。また、本体1とシリンダ108に線膨張係数の異なる材料を用いても、温度変化によるシリンダ内径変形は、大径内壁108b部のみとなり、プランジャ2の摺動性に悪影響を与えることがない。
【0077】
また、シリンダ108とポンプ本体1の間に円環状通路109を設け、この円環状通路109を摺動孔108aに連通させるとともに、燃料導入口110aに通じる吸入通路110と円環状通路109とを通路109bにて連通させている。これにより、円環状通路109内の圧力が、導入口110aとほぼ同圧力状態(大気圧+0.3MPa)となるため、加圧室112との圧力差が低減し、圧入部108cと摺動孔108aからの燃料漏れを低減することができる。また、摺動部の発熱を燃料冷却することができ、摺動部の焼き付き等の防止をはかれる。
【0078】
プランジャ102の外周部には、ポンプ内の燃料が外部に流出することを防止するとともに、カム140を潤滑するためのオイルがポンプ内に流入することを防止するために、弾性体で製作されたシール材120が設けられている。本実施形態では、シール材120は、金属管120aと一体成形されており、ポンプ本体100に圧入嵌合されているが、シール材120の固定方法はこの方法に限定されない。シール材120と一体成形された金属管120aの端部は、ポンプ本体100に嵌合されている。プランジャ102とシール材120との摺動部からの燃料漏れについては、シール材120の長さを長くすることにより低減することができる。このとき、シール材120の燃料室側の圧力は、低圧燃料の圧力(例えば、大気圧より0.3MPa高い)ものであり、シール材120の他方の側の圧力は大気圧であるため、シール材120の両端面の圧力差は、例えば、0.3MPaと小さいため、シール材120の全長をそれほど長くしなくてもシール性を高くすることができる。
【0079】
プランジャ102の下端に設けられたリフタ103は、ばね104によってカム140に圧接されている。プランジャ102は、エンジンカムシャフト等により回転されるカム140により、往復運動して加圧室112内の容積を変化させる。プランジャ102の圧縮工程中に吸入弁105が閉弁すると、加圧室112内圧力が上昇し、これにより吐出弁106が自動的に開弁し、燃料をコモンレール53に圧送する。吸入弁105は、加圧室112の圧力が燃料導入口より低くなると自動的に開弁するが、閉弁に関しては、ソレノイド130の動作により決定される。
【0080】
ポンプ本体100には、ソレノイド130が取り付けられている。ソレノイド130は、係合部材131とばね132を備えている。係合部材131は、ソレノイド130がOFF時は、ばね132によって、吸入弁105を開弁する方向に付勢力がかけられている。ばね132の付勢力は、吸入弁ばね105aの付勢力より大きくなっているため、ソレノイド130がOFFの時は、図示するように、吸入弁105は開弁状態となっている。
【0081】
ポンプ本体100から高圧燃料を供給する場合には、ソレノイド130がON(通電)状態となり、燃料供給を停止する場合には、ソレノイド130がOFF(無通電)状態となるように、ソレノイド130への通電が制限される。
【0082】
ソレノイド130がON(通電)状態を保持した際は、ばね132の付勢力以上の電磁力を発生させ、係合部材131をソレノイド132側に引き寄せるため、係合部材131と吸入弁105は分離される。この状態であれば、吸入弁105はプランジャ102の往復運動に同期して開閉する自動弁となる。従って、圧縮工程中は、吸入弁105は閉塞し、加圧室112の容積減少分の燃料は、吐出弁106を押し開きコモンレール53へ圧送される。
【0083】
一方、ソレノイド130がOFF(無通電)を保持した際は、ばね132の付勢力により、係合部材131は吸入弁105に係合し、吸入弁105を開弁状態に保持する。従って、圧縮工程時においても、加圧室112の圧力は燃料導入口部とほぼ同等の低圧状態を保つため、吐出弁106を開弁することができず、加圧室112の容積減少分の燃料は、吸入弁105と通り燃料導入口側へ戻される。
【0084】
また、圧縮工程の途中で、ソレノイド130をON状態とすれば、このときから、コモンレール53へ燃料圧送される。また、一度圧送が始まれば、加圧室112内の圧力は上昇するため、その後、ソレノイド130をOFF状態にしても、吸入弁105は閉塞状態を維持し、吸入工程は始まりと同期して自動開弁する。
【0085】
さらに、ポンプ本体100の内部には、シール材120の燃料室側空間107に接続した縦通路109bと、この縦通路109bに連結した横通路109aが形成されており、
図7に示した連結通路109を構成している。縦通路109bは、シリンダ108がポンプ本体100に形成された穴に挿入固定されることにより、シリンダ108の外周部とポンプ本体100に形成された穴との間に形成されるため、形成するのが容易である。横通路109aの端部には、逆止弁113が設けられている。逆止弁113は、ボール状の弾性体を用いている。逆止弁113の材料としては、例えば、フッ素ゴムやニトリルゴム等の耐ガソリン性を有するものが用いられる。逆止弁113は、通常は開弁状態にあり、その詳細については、
図9及び
図10を用いて後述する。
【0086】
以上のようにして、シール材120の燃料室側空間107は、連結通路109及び逆止弁113を介して、燃料吸入通路110に連結されている。逆止弁113は、燃料吸入通路110側から燃料室側空間107への流通方向を規制するように設けられている。逆止弁113が開いている状態では、シール材120の燃料室側空間107には、燃料吸入通路110に供給される低圧(例えば、大気圧によりも、0.3MPa高い圧力)が印加されている。
【0087】
これにより、加圧工程時に加圧室112からシリンダ108とプランジャ102とのギャップを通ってくる燃料は、低圧部である燃料吸入通路110側に流れることができるため、シール材120の燃料室側の圧力は燃料吸入通路110と同等となり、シール材120の剛性を大幅に増加する必要なしに、燃料の外部漏れを抑えることができる。
【0088】
一方、シール材120が破損・脱落して燃料が外部に漏れ始めた際には、燃料室側空間107の圧力は、燃料吸入通路110より低くなるため、逆止弁300は閉弁し、燃料吸入通路110側からの燃料の流入を阻止することができる。このため、シール材120部には、加圧室112からシリンダ108とプランジャ102とのギャップを通ってくる燃料のみ流入する。この流量は、シリンダ108とプランジャ102の摺動部の長さに反比例するもので、本実施形態のようにプランジャ102が適切に摺動できる距離を確保すれば、少量に抑えることができる。従って、シール材120の破損・脱落時においても、短期間に多量の燃料が外部に流出することを防止できる。
【0089】
また、上述のように、プランジャ摺動部のギャップからの加圧室112の燃料の流出を最小限に抑えられるため、通常運転時においては、ポンプの吐出効率を向上することができる。
【0090】
次に、
図9及び
図10を用いて、本実施形態による高圧燃料供給ポンプに用いる逆止弁の構造について説明する。
【0091】
図9は、本発明の一実施形態による高圧燃料供給ポンプに用いる逆止弁の開弁時の断面図であり、
図10は、本発明の一実施形態による高圧燃料供給ポンプに用いる逆止弁の閉弁時の断面図である。
【0092】
図9に示すように、ボール状の弾性体からなる逆止弁113は、横通路109aから脱落しないように、ソレノイド130の先端部によって、図中右方向への移動を規制されている。また、逆止弁113が係合して弁を閉じるためのシート面113aは、横通路109aの図中の右側端部に形成されているが、水平方向に延在する横通路109aに対して、直交するように形成されているため、略垂直面となっている。なお、ポンプ本体100は、図示の上下方向が天地方向である。従って、ポンプ本体100を天地方向に取り付けた状態では、ボール状の逆止弁113は、シート面113aには接触していないため、逆止弁113の前後圧力が同等のときは、開弁状態とすることができる。
【0093】
なお、逆止弁113の脱落防止手段としては、ソレノイド130の先端部を用いるものに限らず、例えば、別部材を用いて、逆止弁113の脱落を防止するようにしてもよいものである。また、横通路109aをシート面113aが下方向となるように傾斜させてもよい。さらに、シート面113aについても、略垂直面とするだけでなく、傾斜させるようにしてもよい。また、逆止弁113は、横通路109aの出口部でなく、通路内に設置してもよい。さらに、シート面113aを水平面とするときは、逆止弁113の前後圧が等しいとき逆止弁113が閉じないようにするため、逆止弁113とシート面113aとの間に、ばね等を介在させるようにしてもよい。
【0094】
以上説明したように、ポンプ停止時においても、逆止弁113は開弁しているため、逆止弁113がシート面113aに固着することを防止することができる。また、運転時においても、逆止弁113の開弁圧はゼロのため、シール材120の燃料室側の圧力を燃料吸入通路110部と同等とすることができる。
【0095】
一方、
図10に示すように、シール材120の脱落等により、シール材120の燃料室側圧力が低下した際には、横通路109aの圧力が、燃料吸入通路110の圧力よりも低下するため、逆止弁113はシート面113aに押し付けられ、すみやかに逆止弁113が閉弁して、燃料吸入通路110側からの燃料流出を阻止することができる。
【0096】
また、逆止弁113を弾性体で形成することにより、シート面113aの硬度を増加させる必要がなく、安価に製作することができる。
【0097】
以上説明したように、本実施形態においては、シール材120の燃料室側空間107は、燃料吸入通路110に連結されており、燃料吸入通路110に供給される低圧(例えば、大気圧よりも、0.3MPa高い圧力)が印加されている燃料溜り部となっている。即ち、従来のように、燃料溜り部が、プランジャの摺動部内には設けられていない構造としている。即ち、高圧である加圧室112は、シリンダ108の図中の上端部に形成されるのに対して、低圧である燃料室側空間107(燃料溜り部)は、シリンダ108の図中の下端部に形成されるので、加圧室112から燃料室側空間107(燃料溜り部)までの距離を長くとることができ、加圧室112の高圧燃料が、燃料室側空間107へ漏れることを容易に低減できる。従って、ポンプを小型化することができるとともに、加圧時の漏れを低減して、吐出効率を向上することができる。
【0098】
また、本実施形態においては、従来例のような略大気圧となる通路はシール材の燃料室側には設けていないので、このような通路の加工が不要となるとともに、また、ポンプから燃料タンクに接続する配管も不要とすることができる。従って、安価に製造できる。
【0099】
さらに、シール材120は一体成型された金属管120aをポンプ本体100に固定する構造であるため、シール材120の長さを長くして、プランジャ102との摺動距離を大きくしやすいため、シール性が向上できるとともに、シール材120の両端にかかる圧力は低圧であるので、シール性を向上することができる。
【0100】
また、シール材120の破損時等においては、燃料吸入通路110と燃料室側空間107とを連通する連結通路109に設けられた逆止弁113を動作させることにより、燃料吸入通路110から大気側への燃料の漏れを速やかに防止することができる。
【0101】
さらに、ポンプ運転時は、逆止弁113は、開弁状態としているので、逆止弁がシート面に固着することを容易に防止することができる。
【0102】
本実施例によれば、摺動部のシール材が破損・脱落した際においても、燃料の外部漏れを少量に抑えるとともに、小型で安価にすることができる。
【0103】
以上いくつかの実施例を説明したが以下にこれら実施例に共通する特徴的な構成について、
図11を参照して更に詳しく説明する。
【0104】
ポンプ本体1には、燃料吸入通路10,吐出通路11,加圧室12が形成されている。加圧室12には、加圧部材であるプランジャ2が摺動可能に保持されている。吸入通路10及び吐出通路11には、加圧室12の吸入孔5b,吐出孔6bにつながるそれぞれ吸入室5A,吐出室6Aが形成されており、各室には吸入弁5,吐出弁6が設けられている。吸入弁5,吐出弁6は各々ばね5a,5aにて一方向に保持され、燃料の流通方向を制限する逆止弁となっている。具体的には、吸入弁5は吸入室5Aの入口孔5Aaの内側からこの孔5Aaを閉じる様にばね5aで付勢されている。また、電磁駆動装置としてのソレノイド200がポンプ本体1に一体に形成された筒状ケース部1Aに圧入保持されており、ソレノイド200には、プランジャロッドとして形成される係合部材201,ばね202が配されている。係合部材201は、ソレノイド200がOFF時は、ばね202によって、突出位置に案内され、その結果吸入弁5に係合し、これを開弁する方向に付勢する。ばね202の付勢力は、吸入弁5を閉方向に付勢するばね5aの付勢力より大きくなっているため、ソレノイド200のOFF時は、
図1のように、吸入弁5は係合部材201で押し開かれ、開弁状態となっている。燃料は、タンク50から低圧ポンプ51にてポンプ本体1の燃料導入口に導かれ、プレッシャレギュレータ52にて一定の圧力に調圧されている。その後、ポンプ本体1にて加圧され、燃料吐出口11から
図7のコモンレール53に圧送される。
【0105】
以上のように構成された高圧ポンプの動作を以下説明する。
【0106】
プランジャ2の下端に設けられたリフタ3は、ばね4にてカム100に圧接されている。プランジャ2は、エンジンカムシャフト等により回転されるカム100により、往復運動して加圧室12内の容積を変化させる。
【0107】
プランジャ2の圧縮工程中に吸入弁5が閉弁すると、加圧室12内圧力が上昇し、これにより吐出弁6が自動的に開弁し、燃料をコモンレール53に圧送する。
【0108】
吸入弁5は、加圧室12の圧力が燃料導入口より低くなると自動的に開弁するが、閉弁に関しては、ソレノイド200の係合部材201の動作により決定される。
【0109】
ソレノイド200がON(通電)状態を保持した際は、ばね202の付勢力以上の電磁力を発生させ、係合部材201をソレノイド202側に引き寄せ引き戻し位置に至らしめるため、この時点で係合部材201と吸入弁5は分離される。この状態であれば、吸入弁5はプランジャ2の往復運動に同期して当該吸入弁5の上下流側の圧力差によって開閉する自動弁となる。従って、圧縮工程中は、吸入弁5は閉塞し、加圧室12の容積減少分の燃料は、吐出弁6を押し開きコモンレール53へ圧送される。よって、ソレノイド200の応答性に関係せずに、ポンプの最大吐出を行うことができる。
【0110】
これに対し、ソレノイド200がOFF(無通電)状態の時には、ばね202の付勢力により、係合部材201は吸入弁5に係合し、吸入弁5を開弁状態に保持する。従って、圧縮工程時に開放された通孔5Aaを介してシリンダ内(加圧室内)の燃料が低圧側に戻され、加圧室12の圧力は燃料導入口部とほぼ同等の低圧状態を保つため、吐出弁6を開弁することができない。よって、ポンプ吐出量を0とすることができる。
【0111】
また、圧縮工程の途中で、ソレノイド200をON状態とすれば、係合部材201による開弁方向への付勢力を失った吸入弁5は、ばね5aと加圧燃料の圧力とによって、瞬時に通孔5Aaを閉弁する。したがってこのときから、吐出弁6が開き、吐出孔11からコモンレール53へ燃料が圧送される。また、一度圧送が始まれば、次の吸入工程までは加圧室12内の圧力は上昇するため、その後、ソレノイド200をOFF状態にしても、次の吸入工程のはじまりまで吸入弁5は閉塞状態を維持する。吸入工程が始まると加圧室の圧力が低圧通路より低下するので吸入弁5は自動開弁する。よって、ソレノイド200のONタイミング(すなわち、係合部材の引き込みタイミング)により、吐出量を調節することができる。また、ソレノイド200の係合部材は圧縮工程の始まる前までに、突出位置(すなわちソレノイドのOFF時の位置)まで戻れば良いため、係合部材201の高速応答が要求されることはない。これにより、ばね202の付勢力を小さくすることができ、結果的にソレノイド200のOFF−ON応答性(すなわち係合部材の突出−引き込み応答性)をよくすることができる。
【0112】
また重要なことは、従来の様な電磁駆動弁と違い、ソレノイドはプランジャロッドだけを引き寄せれば良いので可動部が軽くなりこの点でも応答性が良くなる。また小さなソレノイドで駆動できる。
【0113】
更に電磁弁と違って電磁吸引力で弁体がシートに強く打ちつけられるようなこともないので損傷の虞れがない。
【0114】
以上により、圧縮工程におけるソレノイド200のON時間又はONタイミングをコントロールすることにより、コモンレール53への吐出量を可変制御することができる。また、圧力センサ56の信号に基づき、ECUにて適切な吐出タイミングを演算しソレノイド200をコントロールすることにより、コモンレール53の圧力を略一定値に保つことができる。また、ソレノイド200を大型化することなく、OFF−ON応答性を向上することができる。
【実施例5】
【0115】
次に、
図12から
図14により、吸入弁5と係合部材201と弁体の変形例を説明する。これらの実施例は、吸入弁5と係合部材201のいずれか一方を凹形,他方を凸形として、凹凸係合させている。これにより、係合部のずれ・滑り落ちを防止でき、吸入弁5,係合部材201の確実な動作を行うことができる。本実施例では、吸入弁5の形状を、ボール弁,円筒弁としているが、円錐形状弁,リード弁等とすることも可能である。
【0116】
また、
図12,
図13においては、吸入弁5の開弁時の位置は、係合部材201に設けられたストッパ201a部により決定されている。これにより、ばね202のセット荷重を一定に保つことができるため、係合部材201の吸引スピード(閉弁応答性)が安定させることができる。従って、閉弁タイミングの制御が容易となる。
【0117】
また、
図14においては、吸入弁5の開弁時の位置は、吸入弁5に設けられたストッパ5b部により決定される。これにより、吸入弁5とシート部の位置関係を一定にできるため、開弁時の通路抵抗を一定とすることができる。従って、吸入弁5の開弁ストロークを必要以上に大きくする必要がなく、小型化がはかれる。
【0118】
これら、ストッパの位置は、ポンプの要求内容により選択可能である。
【0119】
次に、
図8に戻って更に詳細な一実施例について説明する。本実施例では、吐出弁106にボール弁を用い、これに吐出通路111内に往復摺動可能に保持されている円筒部材106cをばね106aにて係合させている。これにより、それぞれの部材を容易に製作可能とし、ボール弁106を確実に保持することができ、開弁時の燃料流によるボール弁の発振時を押さえることができる。また、更に、ボール弁の保持をより確実にするため、円筒部材106cとボール弁106とを溶接等により一体化することも可能である。これらの構造は、吸入弁に用いることも可能である。
【0120】
図15,
図16により更に具体的に容量可変機構の部分について説明する。ポンプ本体1の吸入孔5bの上流側部位には環状の凹部5Bが形成されている。
【0121】
環状凹部5Bには吸入弁5を収納するホルダ5Cの一端外周部がいんろう嵌合され、両者は圧入固定される。ホルダ5Cの吸入孔5b側には、
図17,
図18に示すように5個の貫通孔5Dが穿孔されている。
【0122】
ホルダ5の中央にはばね105a(5a)が保持される。ばね105d(5a)の反吸入孔5b側には、
図19(a),(b)に示すカップ状のバルブ105(5)がばね105a(5a)を包むように装着されている。
【0123】
ポンプ本体1には更に、環状凹部5Bより径の大きい環状の室110Aが形成されている。結果的にこの室110Aは低圧燃料通路110に連通する吸入室を形成している。
【0124】
ポンプ本体1には、更に環状の室110Aよりも大径のねじ溝130A付きの環状空胴130Bが形成されている。
【0125】
環状空胴130Aには、電磁駆動機構を構成するソレノイド200(130)が取り付けられる。
【0126】
ソレノイド200(130)の外周にはねじ200aが螺刻されたアダプタ200Aが取り付けられており、このねじを空胴130Aのねじ溝に螺入することによってソレノイドを空胴130Aに取り付ける。
【0127】
200bはシールリングで、燃料吸入室110Aと外気とを隔絶する。
【0128】
有底カップ状の外側コア200Dには環状の電磁コイル200Bが収納されている。環状電磁コイル200Bの中心には中空筒状の内側固定コア200Cが挿通されている。中空筒状の内側固定コア200Cの片側端には円板状の半径方向コア部200Eが一体に形成されており、径方向コアの外周がカップ状外側コア200Dの開放端側内周壁に緊迫結合によって固定されている。電磁コイル200Bは、内側固定コア200Cが挿通する環状ボビン200cと、そこに巻回されたコイル200dと、コイル200dの外周を樹脂によりモールド成形した、成形樹脂外層200fからなる。
【0129】
環状の電磁コイル200Bはカッフ状外側コア200Dの内底部と円板状の半径方向コア部200Eとの間に軸方向に押圧された状態で収納されている。ボビン200cと樹脂外層200fと内側固定コア200Cとの対面する空胴部にはシールリング200gがはさみ込まれている。樹脂外層200fと半径方向コア部200Eとカップ状外側コア200Dの対面する空胴部にはシールリング200hがはさみ込まれている。
【0130】
カップ状外側コア200Dの開放端側は、半径方向コア部200Eの外側を被ように樹脂モールドによって封止され、その際電磁コイル200Bの外部取出し端子も一緒にモールド成形し、コネクタ200Fを形成している。
【0131】
図15のP円部を
図16に拡大して更に詳しく説明する。
【0132】
有底カップ状外側コア200Dの底の部分230は中心に貫通孔231を有する。
【0133】
貫通孔231の外側に引き続いて環状の凹所232が形成されている。環状の凹所232の径は貫通孔231の径より大きい。
【0134】
貫通孔231には可動コア131aが挿通される。可動コア131aにはプランジャロッドの形体を呈する係合部材201が一体に成形されている。
【0135】
係合部材201の長手方向中間位置には環状の可動ストッパ201cがやはり一体に形成されている。このストッパ201cと可動コア131aとの間には、Cリング状の固定ストッパ部材233が、切り溝を用いて係合部材201のロッド部に半径方向から嵌め込まれる。この状態で可動コア131aを貫通孔231に挿通し、また固定ストッパ部材233を環状凹所232に圧入固定して、可動コア131a,係合部材201は外側固定コア200Dの底部230を貫通する形でソレノイド200に装着される。
【0136】
更に環状凹所232には、Cリング状の固定ストッパ233をはさみ付けるようにして、ガイド部材220が圧入嵌合される。
【0137】
ガイド部材220には固定ストッパ233のストッパ面233aに対面するストッパ面221が形成されており、可動ストッパ201cがこれら2つのストッパ面の間でストロークSs=45ミクロンだけ往復できる様に構成される。
【0138】
ガイド220の中心には、ガイド孔220bが貫設されている。係合部材201はこのガイド孔220bを挿通しており、これによって半径方向の動きが規制され、ソレノイド200の中心軸線に沿って往復できる。
【0139】
ガイド220には、放射方向に複数の通孔220Cが穿設されている。この通孔220Cはガイド220の周囲の低圧燃料通路に連通している。
【0140】
これら通孔220Cはガイド220の中心孔220Aに接続されている。中心孔220Aはガイド220の軸方向端部に開口(220B)しており、その開口220Bのまわりの端面220aは吸入弁105(5)のシート面を形成している。
【0141】
結果的に
図15に示す様に、ソレノイド200(130)がポンプ本体1に組付けられた状態では、ガイド220の軸方向端面の外周がホルダ5Cの端面に圧接して、両者で吸入弁機構を形成する。
【0142】
係合部材201は更に、プランジャロッド部の先端に金属ボールが溶接により固定されている。
【0143】
カップ状の可動コア131aは内側にばね202(132)が収納されており、ばね202(132)は中心側固定コア200Cの中心に螺合されたアジャストスクリュー200Gの端面に片側端が当接している。
【0144】
アジャストスクリュー200Gは、このばね202(132)のセット荷重を調整して、可動コア131a,係合部材201の進退動作の特性を調整する。
【0145】
ばね202(132)が可動コア131a,係合部材201(131)をアジャスター200Gとは反対方向に向って付勢する結果、ストッパ201cのストッパ面201aがガイド部材220のストッパ面221に当接する。
【0146】
その結果、係合部材201(131)の先端のボール部材210はガイド220の端面220aから寸法Sg=35ミクロンだけ突出する。その際ボール部材210は弁体105(5)をばね105a(5a)の力に抗してガイド部材220のシート面から寸法Sg=35ミクロンだけ浮かせて、開口220Bをホルダ5Cの5個の孔5Dを介してシリンダの吸入孔5bに接続する。
【0147】
可動コア131aの軸方向端面は、内側固定コア200Cの軸方向端面からギャップGaだけ離れて対面している。一方可動コア131aの外周面は、外側固定コア200Dの貫通孔231の内周面に対しわずかな径方向キャップを隔てて対面している。
【0148】
その結果、コネクタ200Fからコイル200Bに電力が供給(つまり通電)されると、外側固定コア200D−可動コア131a−内側固定コア200C−円板部材200Eを通る閉磁路が形成される。
【0149】
その結果、可動コア131aと内側固定コア200Cの向い合った端面間に磁気吸引力が発生する。
【0150】
この磁気吸引力は、可動コア131aをばね132の力に抗して内側固定コア200Cの方へ引き付ける。
【0151】
可動コア131aのストロークは係合部材201のストッパ201cが固定ストッパ233のストッパ面233aに当接したところで終わる。その距離Ss=45ミクロンである。
【0152】
可動コア131aのストローク終わりにおいて、可動コア131aと内側固定コア200Cの端面間のギャップGaは6ミクロンである。
【0153】
可動コア131aの内周には非磁性リング133が固定されており、非磁性リング133の可動コア131aから突出する部分は内側固定コア200Cの内周面に案内される。その結果、可動コア131aの半径方向の動きが規制される。
【0154】
かくして、係合部材201,可動コア131aは軸方向にはなれた2箇所でガイドされ、安定した進退運動が可能となる。
【0155】
結局、可動コア131aのストロークの結果、係合部材201(131)の先端のボール部材210はガイド部材220のシート面220aから寸法Sa=10ミクロンだけ引き込まれた位置に保持される。
【0156】
この時、吸入弁105(5)は、ボール部材210との係合が解かれ、ばね105a(5a)の弾発力でガイド部材220のシート面220aに押し付けられる。その結果、吸入弁105(5)はガイド部材220の中心開口220Bを、閉塞し低圧燃料通路とホルダ5Cとの間を遮断する。
【0157】
吸入弁105(5)は、
図19(a),(b)に示す如く、カップ状に形成されており、ばね105a(5a)のまわりに被せられた状態で保持されている。
【0158】
シート面となる軸方向端面は、中心にボール部材210が当接する円形の凸部105Aと、ガイド220のシート面220aに当接する環状の凸部105Bを有する。両凸部の間には環状溝105が形成されている。
【0159】
両凸部は、その高さ寸法が同じになるよう切削加工される。
【0160】
環状凸部105Bでシート面を構成するので、ガイド部材側のシート面との片当りが少
なくなり、接触が密になってシート性が向上する。吸入弁105(5),ガイド部材22
0,ボール部材210は互いに衝突する。その回数は、内燃機関の生涯において100万
回にも及ぶ。これら部材はこの様な条件の下で、許される摩耗量はわずか10ミクロンオ
ーダである。特に吸入弁105(5)とボール部材210との当接部が35ミクロン摩耗
すると可動コア131a,係合部材201(131)が45ミクロンストロークしても、
吸入弁105(5)をシート面から浮かせることができない。つまり、この様な状態では
吸入弁105(5)の開弁状態を維持できなくなり、容量の制御ができなくなる。そこで
、摩耗の少ない条件として、種々検討した結果、これら3つの部材にロックウェル硬度H
RCが30以上の材料を用いることが好ましいことを見出した。そしてこの条件を満足す
る材料として具体的には、日本工業規格(JIS)で規定されるステンレス鋼SUS44
0Cが有利であることを見出した。
【0161】
一方、可動コア131a,係合部材201(131)のプランジャロッド部は、磁路を構成するため、磁性材である必要があり、その観点から、日本工業規格(JIS)で規定される磁性ステンレス鋼SUS420J2が有利であることを見出した。
【0162】
かくして、ソレノイド200(130)のコイルに無通電状態ではばね132の力がばね105a(5a)の力に打ち勝って、係合部材201(131)が45ミクロンストロークし、吸入弁105(5)をシート面から35ミクロンだけ浮かせる様に設定することができた。
【0163】
本実施例では、ボール部材210をプランジャロッド部と別体としたのでそれぞれの機能に合致した材料を用いることが可能である。
【0164】
可動コア131aと係合部材201(131)のプランジャロッド部とを別体で形成して溶接や緊迫結合のような方法で後加工で一体にする場合には、プランジャロッド部とボール部材とは一体成形することも可能である。この場合は、同一の部材からボール部とプランジャロッド部ストッパ部を切削加工によって削り出すことになる。
【0165】
尚、ボール部材は必ずしも球状である必要はない。係合部材201(131)との接合面は平坦であっても良い。そのためにボール部材は半球であっても良い。
【0166】
本実施例では、係合部材の先端に環状の凹所を形成し、そこに球状部材の一部が没するようにして、保持し、両者の当接面を溶接接合したので、接合作業が非常に楽であるし、ボール部材と係合部材との軸芯を一致させ易い。
【0167】
この実施例では、ポンプ本体1の凹所5Bにバルブホルダ5Cを圧入嵌合し、別途組立てた、ソレノイド200(130)を、ねじ溝付き凹部130Bにねじ込むだけで、可変容量機能を持った吸入弁機構の組付けが完了するので、作業性が良い。
【0168】
尚、200eは、気泡抜きの孔であるエンジンの熱で低圧燃料通路にベーパが発生した場合、この気泡抜き孔200eを通って、環状空所200iに気泡が一時保護され、ベーパが吸入弁105(5)を通ってシリンダ8内の加圧室に入るのを防ぐ。
【0169】
また、実施例の説明では、マクロ的には可動コア,プランジャロッド部,ボール部材を含めて全体を係合部材と呼んでいるが、可動コアは別部材で形成することもあり得るし、機能的に可動コアと区別する必要がある場合もあり、そのことも考慮してプランジャロッド部とボール部材の部分を係合部材と説明している箇所もある。
【0170】
本実施例では弁体が電磁駆動機構から完全に切離されている点で、従来の電磁弁(駆動機構に弁が固定されている。)による可変容量機構とまったく構成,作用が異なる。
【0171】
弁体がシートに当接した後の駆動機構の余分な吸引力は弁体には作用しないので、弁体とシート面との摩耗が少ないし、弁体と駆動機構のプランジャとの間に機械的な応力が作用することがない。また、弁体の上流下流の圧力差で弁体が開弁する際弁体の開弁動作に関与する力は、閉弁力発生用のばね力だけであり、動きが速くなる。
【0172】
電磁弁方式の従来技術では、弁体だけでなく、駆動機構のプランジャや可動コアまで、一緒に動く必要があり、その分電磁駆動機構側のばねの(開弁方向へ作用する)力を大きくする必要があり、その結果、閉じ側へ駆動する際に大きな力を必要とするので、電磁機構が大きくなる。
【0173】
また弁体自体の動きもにぶくなる。
【0174】
また、以上のような理由で、本実施例は、弁体とこれとは独立した電磁プランジャとで可変容量機構が構成されていると言え、電磁弁方式の従来技術とははっきり区別されるものである。
【0175】
更に特徴ある構成は、吸入弁105(5)で開閉される吸入開口(220a)が電磁駆動機構側に形成されていることである。
【0176】
これは、係合部材201(131)としてのプランジャロッドのストロークを、吸入弁が着座するシート面を基準に管理する上で、非常に重要な構成である。
【0177】
つまり、ポンプ本体に組み込む前にシート面と係合部材のストロークを独立に調整,検査できる利点がある。
【0178】
本実施例では、吸入弁のシート面と係合部材のストロークとの関係は、電磁駆動機構をポンプ本体に組み込んだ後もまったく変化しない。
【0179】
従来の高圧燃料供給ポンプは、例えば、特許第2690734号明細書に記載のように、燃料は、タンクから低圧ポンプにて高圧ポンプに供給され、高圧に昇圧されて、コモンレールに供給されている。この高圧ポンプ内において、吸入通路は加圧室の上端面に、吐出通路は、加圧室の中間側壁に連通されている。
【0180】
また、従来の他の高圧燃料供給ポンプとしては、例えば、特開平10−318091号公報に記載されているように、吸入通路は加圧室の中間側壁又は上端面に、吐出通路は加圧室の上端面に連通されている。
【0181】
ところで、エンジンを始めて始動する際や、長期の停止後再始動する際には、燃料配管内に、空気や燃料のベーパが存在している。このため、始動直後においては、高圧ポンプの昇圧特性が悪化しやすいものである。これを防止するためには、高圧ポンプの加圧室内の空気や燃料ベーパを早急に加圧室から排出することにより高圧ポンプの昇圧性を確保するとともに、吐出容量の大きい低圧ポンプにてコモンレール内に早急に燃料を供給する必要がある。
【0182】
しかしながら、従来の特許番号2690734号明細書に記載されているものでは、高圧ポンプ内の吸入通路は加圧室の上端面に、吐出通路は加圧室の中間側壁に設けられているため、吸入工程では、吸入燃料によりベーパ等が吸入通路側に排出されにくく、吐出工程では、吐出通路より上部の加圧室内に残留しやすく、燃料の供給性が低下するという問題があった。
【0183】
また、従来の特開平10−318091号公報の
図5に記載の構成においても、高圧ポンプ内の吐出通路は加圧室の上端に設けられているため、加圧室内のベーパは排出しやすいが、上記従来技術の両者ともに、低圧ポンプから送付された燃料は高圧ポンプ内のピストン運動により体積変化する加圧室に連通しているため、エンジン始動直後に低圧ポンプにて、コモンレールまで燃料を供給しようとしても、加圧室内のピストン運動が抵抗になり、燃料供給が遅れるという問題があった。
【0184】
さらに、従来の特開平10−318091号公報の
図1に記載の構成においては、シリンダ固定部の上端平面を圧縮嵌合しているため、吸入通路を加圧室中間側壁に連通させた際に、燃料がシリンダ外周を通ってデリバリバルブ外周に流れ込むため、Oリングを用いて外部とのシールを行っている。しかしながら、Oリングが弾性部材の際は、加圧室の圧力変動により動いてしまうので、加圧室の圧力上昇が低減したり、Oリングのこすれ摩耗・破断が発生する問題があった。
【0185】
また、高圧燃料の漏洩に対するシール機構においては、
従来の高圧燃料供給ポンプは、プランジャの往復動により加圧室内の燃料を高圧に昇圧するようにしている。ここで、加圧された燃料圧は、かなりの高圧となるため、プランジャとシリンダの間隙から燃料が漏れ出る恐れがある。
【0186】
そこで、燃料漏れを防止するため、従来の高圧燃料供給ポンプにおいては、特開平10−318068号公報や、特開平8−68370号公報に記載されているように、プランジャの摺動部端部に弾性部材のシール材を配している。そして、シール材の燃料室側には、略大気圧となる燃料タンクに連通する通路が設けられている。また、さらに、プランジャの摺動部内に、低圧部である燃料吸入口につながる燃料溜り部を設けている。これらの構成を備えることにより、シール材の一方の端部が大気圧に接しているとき、他方の端部にも、燃料タンクに連通して略大気圧とすることにより、加圧室の高圧が直接シール材にかからないようにすることにより、シール材からの燃料漏れを防止している。
【0187】
しかしながら、特開平10−318068号公報の
図1に記載された高圧燃料供給ポンプにおいては、低圧燃料室に連通している燃料溜り部(
図1の脈動低減空間)からプランジャの摺動端までの距離が短いため、シール材が破損・脱落した際に、プランジャ摺動部のすきまから多量の燃料が外部に流出する恐れがあるという問題があった。
【0188】
一方、特開平8−68370号公報の
図1に記載された高圧燃料供給ポンプにおいては、低圧燃料室に連通している燃料溜り部(
図1のシリンダ11の摺動孔11a)からシール材までのプランジャ摺動端までの距離を大きくしているため、シール材が破損・脱落した際に流出する燃料を少量におさえることはできる。しかしながら、加圧室と燃料溜りまでのプランジャ摺動距離を大きくすることができないため、加圧時に燃料がプランジャ摺動部のすきまから低圧部に漏れてしまい、吐出効率が悪くなるという問題があった。
【0189】
また、特開平8−68370号公報の
図1に記載された高圧燃料供給ポンプにおいては、加圧室から燃料溜り部までの距離を長くすることにより、燃料漏れを防止することも可能ではあるが、そのためには、摺動部の全長を長くする必要があるため、ポンプ全体が大型化するという問題が生じてくる。
【0190】
さらに、特開平10−318068号公報や、特開平8−68370号公報に記載されている従来の高圧燃料供給ポンプにおいては、シール材の両端部を略大気圧とするために、シール材の燃料室側には、略大気圧となる燃料タンクに連通する通路を設ける必要があるため、ポンプから燃料タンクにつなぐ通路が必要となる。その結果、ポンプの加工が複雑になるとともに、ポンプとタンクをつなぐ配管が必要となり、コストが高くなるという問題があった。
【0191】
本実施例の第1の目的は、エンジンの始動直後のコモンレールへの燃料供給性を向上できる高圧燃料供給ポンプを提供することにある。
【0192】
本実施例の第2の目的は、エンジンの始動直後のコモンレールへの昇圧性を向上できる高圧燃料供給ポンプを提供することにある。
【0193】
本実施例の第3の目的は、摺動部のシール材が破損・脱落した際においても、燃料の外部漏れを少量に抑えるとともに、小型で安価な高圧燃料供給ポンプを提供することにある。
【0194】
(1)上記第1の目的を達成するために、本発明は、燃料の吸入通路から供給された燃料を加圧部材により加圧して吐出通路に圧送する加圧室を有する高圧燃料供給ポンプにおいて、上記加圧部材が配置された主加圧室の他に、上記吸入通路と上記吐出通路を連通する副加圧室を備えるようにしたものである。
【0195】
かかる構成により、低圧ポンプによって吸入通路から供給された燃料を高圧ポンプの加圧部材の運動による抵抗に阻害されることなく、吐出通路を経てコモンレールに供給できるため、コモンレールへの燃料供給性を向上し得るものとなる。
(2)上記(1)において、好ましくは、上記吸入通路と上記吐出通路を、上記加圧室の上端部に連通させるようにしたものである。
【0196】
かかる構成により、吐出工程において、加圧室内の空気や燃料ベーパの排出を確実に行えるとともに、加圧室への燃料供給を妨げずに加圧室のデッドボリューム(上死点時の加圧室容積)を最小化することができるため、高圧ポンプを小型化し得るものとなる。
(3)上記(1)において、好ましくは、上記副加圧室は、上記主加圧室の外周に略環状に配置するようにしたものである。
(4)上記第2の目的を達成するために、本発明は、燃料の吸入通路から供給された燃料を加圧部材により加圧して吐出通路に圧送する加圧室を有する高圧燃料供給ポンプにおいて、端部にテーパ面を有するとともに、ポンプ本体とは別部材により形成された加圧室形成部材を備え、この加圧室形成部材の上記テーパ面を固定部材により圧縮嵌合させることにより、上記加圧室を形成するようにしたものである。
【0197】
かかる構成により、加圧室形成部材をゴム等の弾性部材を設けずに固定し得るものとなり、コモンレールへの昇圧性を向上し得るものとなる。
(5)上記第3の目的を達成するために、本発明は、燃料の吸入通路と吐出通路に連通する加圧室と、この加圧室内の燃料を上記吐出通路に圧送する加圧部材を有する高圧燃料供給ポンプにおいて、上記加圧部材の摺動部に配置されたシール材と、このシール材の燃料室側を燃料吸入通路に連通する連結通路と、この連結通路に配置され、上記燃料吸入通路側から上記シール材側への燃料の流入を阻止する逆止弁とを備えるようにしたものである。
【0198】
かかる構成により、シール材が破損等した場合でも、逆止弁により燃料漏れを防止でき、また、大気圧と連通する部分を設けないことにより、小型化,コスト低減を図り得るものとなる。
(6)上記(5)において、好ましくは、上記逆止弁は、ポンプ運転停止時に開弁しているようにしたものである。
【0199】
かかる構成により、ポンプ停止時の逆止弁のシート面に対する固着を防止し得るものとなる。
(7)上記(6)において、好ましくは、上記逆止弁を弾性部材で形成したものである。
【0200】
また、好ましくは、吸入弁又は吐出弁にボール弁を用いることにより、シート部の加工精度を容易に向上することができる。また、このボール弁に円筒部材を係合させ、この円筒部材の外周を吸入通路内で往復摺動可能に保持することにより、ボール弁の発振を防止できる。更に円筒部材とボール弁が別体のため、両者とも容易な方法で製作可能である。
(8)また、この好ましくは、プランジャ往復摺動式ポンプにおいては、プランジャの摺動部分をポンプ本体と別体の円筒部材とすることにより、摺動部のみを摺動に適した材料とすることができる。更に、この円筒部材の内壁をプランジャの摺動孔とこれより内径を大きくした拡張内壁部を形成し、拡散内壁の外周部のみでポンプ本体に圧入嵌合することにより、摺動孔の変形を防止できる。従って、円筒部材嵌合後に、摺動孔を再加工する必要がないため、安価に製作することができる。
(9)また、好ましくは、円筒部材とポンプ本体の嵌合した部分以外にすきまを設け、円筒部材の外周部に円環状通路を構成し、この円環状通路をプランジャ摺動孔の一端と燃料導入通路に連通されることにより、燃料導入圧が円環状通路に導かれ加圧室との圧力差が低減し、加圧室から嵌合部及び摺動部を通る燃料漏れ量が低減できる。また、摺動部外周を燃料が覆うため摺動部の冷却を行うことができる。
(10)また、更に好ましくは、燃料通路内にポンプ本体と円筒部材に係合する部材を設けることにより、係合部からポンプ外部への燃料漏れや発生を防止しつつ、円筒部材の抜け止めをはかることができる。