特許第6298812号(P6298812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298812
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】水性ブレンド組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/10 20060101AFI20180312BHJP
   C08L 33/00 20060101ALI20180312BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20180312BHJP
   C08J 3/205 20060101ALI20180312BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20180312BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20180312BHJP
   B65D 25/14 20060101ALI20180312BHJP
   C08J 3/05 20060101ALN20180312BHJP
【FI】
   C08L23/10
   C08L33/00
   C08L23/08
   C08J3/205CES
   C08L23/26
   B32B27/32 Z
   B65D25/14 A
   !C08J3/05CEY
【請求項の数】5
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2015-518407(P2015-518407)
(86)(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公表番号】特表2015-528832(P2015-528832A)
(43)【公表日】2015年10月1日
(86)【国際出願番号】US2013041312
(87)【国際公開番号】WO2013191825
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2016年2月18日
(31)【優先権主張番号】61/661,395
(32)【優先日】2012年6月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】デニス・リンデンムス
(72)【発明者】
【氏名】ジョスリン・グルーバー
(72)【発明者】
【氏名】アン・アール・ハーミズ
(72)【発明者】
【氏名】レイ・イー・ドラムライト
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/077843(WO,A1)
【文献】 特開2008−201882(JP,A)
【文献】 特開平11−071548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/10
C08L 33/00
C08L 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と場合によって1以上の中和剤との存在下で、プロピレンの1以上のホモポリマーおよび/またはコポリマーと、極性ポリオレフィンの群から選択される1以上の安定剤との溶融ブレンド生成物を含む水性ポリオレフィン分散液であって、400〜1500nmの範囲内の平均体積粒径、および8〜11のpH範囲を有するポリオレフィン分散液;および
75〜450nmの範囲内の平均重量粒径;アクリルモノマーの重量基準で0.25〜5重量パーセントの酸モノマーの範囲内の酸性度、および200,000〜5,000,000g/モルの範囲内の重量平均分子量、ならびに7〜100℃の範囲内のガラス転移温度(T)を有するアクリル固体を含むアクリルエマルジョンであって、7〜9の範囲内のpHを有するアクリルエマルジョン
を含む水性ブレンド組成物であって;
前記水性ブレンド組成物が、水性ブレンド組成物の重量基準で15〜70重量パーセントの固体の範囲内の固形分を有し、前記ブレンド組成物の前記固形分が、水性ブレンド組成物の固形分の重量基準で20〜95重量パーセントのプロピレンの1以上のホモポリマーおよび/またはコポリマーと、水性ブレンド組成物の固形分の重量基準で25〜80重量パーセントのアクリル固体とを含み、7〜11の範囲内のpHを有する、水性ブレンド組成物。
【請求項2】
水性ブレンド組成物を製造するためのプロセスであって:
プロピレンの1以上のホモポリマーおよび/またはコポリマーと、極性ポリオレフィンの群から選択される1以上の安定剤との溶融ブレンド生成物を含む水性ポリオレフィン分散液であって、400〜1500nmの範囲内の平均体積粒径、および8〜11のpH範囲を有するポリオレフィン分散液を、水および場合によって1以上の中和剤の存在下で選択し;そして
75〜450nmの範囲内の平均重量粒径;アクリルモノマーの重量基準で0.25〜5重量パーセントの酸モノマーの範囲内の酸性度、および200,000〜5,000,000g/モルの範囲内の重量平均分子量、ならびに7〜100℃の範囲内のガラス転移温度(T)を有するアクリル固体を含むアクリルエマルジョンであって、7〜9の範囲内のpHを有するアクリルエマルジョンを選択し;
前記水性ポリオレフィン分散液および前記アクリルエマルジョンを接触させて、前記水性ブレンド組成物を製造することを含み;
前記水性ブレンド組成物が、水性ブレンド組成物の重量基準で15〜70重量パーセントの固体の範囲内の固形分を有し、前記ブレンド組成物の前記固形分が、水性ブレンド組成物の固形分の重量基準で20〜95重量パーセントのプロピレンの1以上のホモポリマーおよび/またはコポリマーと、水性ブレンド組成物の固形分の重量基準で25〜80重量パーセントのアクリル固体とを含み、そして7〜11の範囲内のpHを有する、プロセス。
【請求項3】
請求項1記載の水性ブレンド組成物から得られるフィルム。
【請求項4】
前記フィルムが1〜20μmの範囲内に厚さを有する、請求項3記載のフィルム。
【請求項5】
請求項3記載の1以上のフィルムを含む多層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2012年6月19日付で出願された米国特許仮出願第61/661,395号の恩恵を主張する。
【0002】
本発明は、水性ブレンド組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
腐食を遅延または抑制するために様々な処理および前処理溶液を金属基体に塗布することはよく知られている。このことは、金属の食品容器および飲料容器、例えば缶、ならびに非食品用金属容器の分野で特に当てはまる。コーティングは、典型的には、内容物が容器の金属部分と接触することを防止するためにそのような容器の内面に塗布される。金属表面と、食品および/または飲料ならびに非食品物質との接触は、金属容器の腐食に至る可能性があり、これはその後その内容物を汚染する可能性がある。腐食は、食品および/または飲料製品がルバーブベースの製品またはアイソトニック飲料などの本質的に強酸性であるかまたは高塩分を含む場合に特に問題である。毛染剤などの非食品物質の高アルカリ性内容物も、容器のアルミニウムなどの金属部分と反応する可能性がある。例えば食品および/または飲料缶の内部に塗布されるコーティングは、缶のヘッドスペース、つまり食品の充填量を示す線(fill line)と缶の蓋との間の領域における腐食を防止するのにも役立つことがある。コーティングを金属容器の外側に塗布して、外部環境に対する保護を提供、ならびに/またはフィラーおよび/もしくは顔料を含む装飾層を提供することができる。防蝕に加えて、食品および/または飲料用のコーティングは無毒かつ不活性でなければならず、そして内面に塗布される場合、缶中の食品および/もしくは飲料の味または外観、例えば色に悪影響を及ぼしてはならない、あるいはそのような内容物の汚染の一因となってはならない。「ポッピング」、「白化現象(blushing)」および/または「水泡形成」に対する耐性も望まれる。あるコーティングは、缶の端部を作製することができるコイル状の金属素材などのコイル状の金属素材、「缶端部素材」およびバルブキャップ、例えばエアゾル缶の上面上への塗布に特に適用可能である。缶端部素材上での使用のために設計されたコーティングは、端部がコイル状の金属素材から切り出され、打ち抜かれる前に塗布されるので、それらも典型的には柔軟性および/または伸展性である。そのような缶端部素材は、典型的には両面上にコーティングされる。その後、コーティングされた金属素材を型抜きし、そしてビーディング加工してもよいし、または曲げ加工してもよい。「プルトップ」開口部のために切り目を入れてもよく、別に作製したピンでプルトップリングを次いで取り付ける。端部を次いでエッジローリングプロセスによって缶本体に取り付ける。したがって、缶端部素材に塗布されるコーティングは、前述の他の所望の特性の一部または全部に加えて、集約的な製造プロセスに耐えることができるように、典型的にはある程度の強靭性および柔軟性を有する。エポキシ系およびポリ塩化ビニル系、例えばオルガノゾルタイプコーティングなどの様々なコーティングが、腐食を防止するために金属缶の内部をコーティングするために従来使用されてきた。しかしながら、腐食性媒体における劣化に対する耐性ならびに適切なレベルの柔軟性を有するなど、改善された特性を提供することができる食品および/または飲料缶ライナーならびに非食品容器ライナーが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水性ブレンド組成物およびその製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態において、本発明は、(a)1以上のベースポリマーと1以上の安定剤との、水および場合によって1以上の中和剤の存在下での溶融ブレンド生成物を含む水性ポリオレフィン分散液であって、400〜1500nmの範囲内の平均体積粒径;および8〜11のpH範囲を有するポリオレフィン分散液;ならびに(b)75〜450nmの範囲内の平均重量粒径;アクリルモノマーの重量基準で0.25〜5重量パーセントの酸モノマーの範囲内の酸性度、および200,000〜5,000,000g/モルの範囲内の重量平均分子量、ならびに7〜100℃の範囲内のガラス転移温度(T)を有するアクリルエマルジョンアクリル固体を含む水性ブレンド組成物を提供し、ここで、前記アクリルエマルジョンは7〜11の範囲内のpHを有し;ここで、前記水性ブレンド組成物は、水性ブレンド組成物の重量基準で15〜70重量パーセント固体の範囲内の固形分を有し、そして7〜11の範囲内のpHを有する。別の実施形態において、本発明は、水性ブレンド組成物を製造するためのプロセスであって:(1)1以上のベースポリマーと1以上の安定剤との、水および場合によって1以上の中和剤の存在下での溶融ブレンド生成物を含む水性ポリオレフィン分散液であって、400〜1500nmの範囲内の平均体積粒径、および8〜11のpH範囲を有するポリオレフィン分散液を選択し;そして(2)75〜450nmの範囲内の平均重量粒径;アクリルモノマーの重量基準で0.25〜5重量パーセントの酸モノマーの範囲内の酸性度、および200,000〜5,000,000g/モルの範囲内の重量平均分子量、ならびに7〜100℃の範囲内のガラス転移温度(T)を有するアクリルエマルジョンアクリル固体を選択し、ここで前記アクリルエマルジョンは7〜9の範囲内のpHを有する;(3)前記水性ポリオレフィン分散液および前記アクリルエマルジョンを接触させて、水性ブレンド組成物を製造するプロセスをさらに提供し、ここで、前記水性ブレンド組成物は、水性ブレンド組成物の重量基準で15〜70重量パーセントの範囲内の固形分、および7〜11の範囲内のpHを有する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、水性ブレンド組成物およびその製造方法である。
【0007】
1つの実施形態において、本発明は、(a)1以上のベースポリマーと1以上の安定剤との、水および場合によって1以上の中和剤の存在下での溶融ブレンド生成物を含む水性ポリオレフィン分散液であって、400〜1500nmの範囲内の平均体積粒径;および8〜11のpH範囲を有するポリオレフィン分散液;ならびに(b)75〜450nmの範囲内の平均重量粒径;アクリルモノマーの重量基準で0.25〜5重量パーセントの範囲内の酸モノマーの酸性度、および200,000〜5,000,000g/モルの範囲内の重量平均分子量、ならびに7〜100℃の範囲内のガラス転移温度(T)を有するアクリルエマルジョンアクリル固体を含む水性ブレンド組成物を提供し、ここで、前記アクリルエマルジョンは7〜11の範囲内のpHを有し;ここで、前記水性ブレンド組成物は、水性ブレンド組成物の重量基準で15〜70重量パーセント固体の範囲内の固形分を有し、そして7〜11の範囲内のpHを有する。別の実施形態において、本発明は、水性ブレンド組成物を製造するためのプロセスであって:(1)1以上のベースポリマーと1以上の安定剤との、水および場合によって1以上の中和剤の存在下での溶融ブレンド生成物を含む水性ポリオレフィン分散液であって、400〜1500nmの範囲内の平均体積粒径、および8〜11のpH範囲を有するポリオレフィン分散液を選択し;そして(2)75〜450nmの範囲内の平均重量粒径;アクリルモノマーの重量基準で0.25〜5重量パーセントの範囲内の酸モノマーの酸性度、および200,000〜5,000,000g/モルの範囲内の重量平均分子量、ならびに7〜100℃の範囲内のガラス転移温度(T)を有するアクリルエマルジョンアクリル固体を選択し、ここで前記アクリルエマルジョンは7〜9の範囲内のpHを有する;(3)前記水性ポリオレフィン分散液および前記アクリルエマルジョンを接触させて、前記水性ブレンド組成物を製造することを含むプロセスをさらに提供し、ここで、前記水性ブレンド組成物は、水性ブレンド組成物の重量基準で15〜70重量パーセントの範囲内の固形分、および7〜11の範囲内のpHを有する。
【0008】
水性ポリオレフィン分散液成分
本発明の水性ポリオレフィン分散液成分は、1以上のベースポリマーと1以上の安定剤との、水および場合によって1以上の中和剤の存在下での溶融ブレンド生成物を含み、ここで、ポリオレフィン分散液は、400〜1500nmの範囲内の平均体積粒径;8〜11のpH範囲、分散液の重量基準で25〜75重量パーセント、例えば35〜65重量パーセントの範囲内の固形分を有する。
【0009】
ベースポリマー
水性ポリオレフィン分散液は、水性分散液の固形分の総重量基準で25〜99重量パーセントの1以上のベースポリマーを含む。25〜99重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲が本明細書中に含まれ、本明細書中で開示される;例えば、重量パーセントは、25、30、35、または45重量パーセントの下限から、50、55、60、65、70、75、85、90、または95重量パーセントの上限までであり得る。例えば、水性分散液は、水性分散液の固形分の総重量基準で、25〜95重量パーセント、または35〜95重量パーセント、または35〜85重量パーセント、または45〜95重量パーセントの1以上のベースポリマーを含み得る。水性分散液は、少なくとも1以上のベースポリマーを含む。ベースポリマーは、例えば、熱可塑性材料であり得る。1以上のベースポリマーは、1以上のオレフィン系ポリマーを含み得る。
【0010】
熱可塑性材料の例としては、限定されるものではないが、典型的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー、およびプロピレン−1−ブテンコポリマーによって表されるエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、および1−ドデセンなどの1以上のアルファ−オレフィンのホモポリマーおよびコポリマー(エラストマーを含む);典型的にはエチレン−ブタジエンコポリマーおよびエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって表されるようなアルファ−オレフィンと共役または非共役ジエンとのコポリマー(エラストマーを含む);ならびに、典型的にはエチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエンコポリマー、およびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって表される2以上のアルファ−オレフィンと共役または非共役ジエンとのコポリマーなどのポリオレフィン(エラストマーを含む);エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、エチレンアクリル酸またはエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、およびエチレン−(メタ)アクリレートコポリマーなどのエチレン−ビニル化合物コポリマー;スチレン系コポリマー(エラストマーを含む)、例えばポリスチレン、ABS、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、α−メチルスチレン−スチレンコポリマー、スチレンビニルアルコール、スチレンアクリレート、例えばスチレンメチルアクリレート、スチレンブチルアクリレート、スチレンブチルメタクリレート、およびスチレンブタジエンおよび架橋スチレンポリマー;ならびにスチレンブロックコポリマー(エラストマーを含む)、例えばスチレン−ブタジエンコポリマーおよびその水和物、ならびにスチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマー;ポリビニル化合物、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、ポリメチルアクリレート、およびポリメチルメタクリレート;ポリアミド、例えばナイロン6、ナイロン6,6、およびナイロン12;熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート;ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシドなど;ならびにポリ−ジシクロペンタジエンポリマーおよび関連するポリマー(コポリマー、ターポリマー)を含む、ガラス状炭化水素系樹脂;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、吉草酸ビニル、および酪酸ビニルなどの飽和モノ−オレフィン;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、およびブチルメタクリレートなどをはじめとするモノカルボン酸のエステルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、それらの混合物;開環メタセシスおよび交差メタセシス重合などによって製造される樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独または2以上の組み合わせで用いることができる。
【0011】
ベースポリマーとしての例示的な(メタ)アクリレートとしては、限定されるものではないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレートおよびイソオクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレートならびに2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびアクリルアミドが挙げられる。好ましい(メタ)アクリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびブチルメタクリレートである。モノマーから重合することができる他の好適な(メタ)アクリレートとしては、低級アルキルアクリレートおよびメタクリレート、例えばアクリルおよびメタクリルエステルモノマー:メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、フェニルメタクリレートが挙げられる。
【0012】
選択された実施形態において、ベースポリマーは、例えば、エチレン−アルファオレフィンコポリマー、プロピレン−アルファオレフィンコポリマー、およびオレフィンブロックコポリマーからなる群から選択される1以上のポリオレフィンを含み得る。特に、選択された実施形態において、ベースポリマーは1以上の非極性ポリオレフィンを含み得る。
【0013】
具体的な実施形態において、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、それらのコポリマー、およびそれらのブレンド、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーを用いることができる。いくつかの実施形態において、例示的オレフィン系ポリマーとしては、米国特許第3,645,992号で記載されるような均一ポリマー;米国特許第4,076,698号で記載されているような高密度ポリエチレン(HDPE);不均一に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均一に分岐した超低密度線状ポリエチレン(ultra low linear density polyethylene:ULDPE);均一に分岐した線状エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー;例えば、参照により本明細書で援用される米国特許第5,272,236号および第5,278,272号で開示されているプロセスによって調製することができる、均一に分岐した実質的に線状のエチレン/アルファ−オレフィンポリマー;ならびに高圧フリーラジカル重合されたエチレンポリマーおよびコポリマー、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)またはエチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)が挙げられる。
【0014】
他の特定の実施形態において、ベースポリマーは、例えばエチレン酢酸ビニル(EVA)系ポリマーであり得る。他の実施形態において、ベースポリマーは、例えばエチレン−メチルアクリレート(EMA)系ポリマーであり得る。他の特定の実施形態において、エチレン−アルファオレフィンコポリマーは、例えば、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセン、またはエチレン−オクテンコポリマーもしくはインターポリマーであり得る。他の特定の実施形態において、プロピレン−アルファオレフィンコポリマーは、例えば、プロピレン−エチレンまたはプロピレン−エチレン−ブテンコポリマーもしくはインターポリマーであり得る。
【0015】
1つの実施形態において、ベースポリマーは、通常のポリプロピレン、例えばプロピレンホモポリマーおよび/またはランダムプロピレンコポリマー(RCP)であり得る。プロピレンホモポリマーは、1〜100g/10分の範囲内のメルトフローレートと、140℃〜170℃のDSC融点とを有し得る。RCPは、120℃〜160℃、例えば、130℃〜160℃、または141℃〜159℃の範囲内のDSC融点と、ASTM−D1238(230℃/2.16kg)にしたがって測定して、1〜120g/10分、例えば、5〜120g/10分、または11〜99g/10分、または19〜84g/10分のメルトフローレート(MFR)とを有し得る。そのようなRCP材料は、ブラスケムアメリカ社(Braskem America Inc.)またはフォーモサプラスチックス社(Formosa Plastics Corporation, USA)から様々な商品名で商業的に入手可能である。
【0016】
ある他の実施形態において、ベースポリマーは、例えば半結晶性ポリマーであり得、110℃未満の融点を有し得る。別の実施形態において、融点は25〜100℃であり得る。別の実施形態において、融点は40〜85℃であり得る。
【0017】
1つの特定の実施形態において、ベースポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有するとして特徴づけられるプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーである。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」とは、配列が、13C NMRによって測定して約0.85超;別の方法では約0.90超;別の方法では約0.92超;そして別の方法では約0.93超のアイソタクチックなトリアッド(mm)を有することを意味する。アイソタクチックなトリアッドは当該技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,504,172号および国際公開第WO00/01745号で記載され、13C NMRスペクトルによって確認されるコポリマー分子鎖中のトリアッド単位に関してアイソタクチックな配列を指す。
【0018】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、ASTM D−1238(230℃/2.16kgにて)にしたがって測定して、0.1〜25g/10分の範囲内のメルトフローレートを有し得る。0.1〜25g/10分のすべての個別の値および部分範囲が本明細書中に含まれ、本明細書中で開示される;例えば、メルトフローレートは、0.1g/10分、0.2g/10分、0.5g/10分、2g/10分、4g/10分、5g/10分、10g/10分、または15g/10分の下限から、25g/10分、20g/10分、18g/10分、15g/10分、10g/10分、8g/10分、または5g/10分の上限までであり得る。例えば、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、0.1〜20g/10分;または0.1〜18g/10分;または0.1〜15g/10分;または0.1〜12g/10分;または0.1〜10g/10分;または0.1〜5g/10分の範囲内のメルトフレーレートを有し得る。
【0019】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲内の結晶化度を有する。1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)のすべての個別の値および部分範囲が本明細書中に含まれ、本明細書中で開示される;例えば、結晶化度は、1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)、2.5パーセント(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)、または3パーセント(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱)の下限から、30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)、24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)、15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)または7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の上限までであり得る。例えば、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲内の結晶化度を有し得る;または別の方法では、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲内の結晶化度を有し得る;または別の方法では、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲内の結晶化度を有し得る;または別の方法では、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から5重量パーセント(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲内の結晶化度を有し得る。結晶化度は示差走査熱量測定(DSC)法によって測定される。プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、プロピレン由来の単位と、1以上のアルファ−オレフィンコモノマー由来のポリマー単位とを含む。プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーを製造するために利用される例示的コモノマーは、C、およびC〜C10アルファ−オレフィン;例えば、C、C、CおよびCアルファ−オレフィンである。
【0020】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1〜40重量パーセントの1以上のアルファ−オレフィンコモノマー由来の単位を含む。1〜40重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲が本明細書中に含まれ、本明細書中で開示される;例えば、1以上のアルファ−オレフィンコモノマー由来の単位の重量パーセントは、1、3、4、5、7、または9重量パーセントの下限から、40、35、30、27、20、15、12、または9重量パーセントの上限までであり得る。例えば、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1〜35重量パーセントの1以上のアルファ−オレフィンコモノマー由来の単位を含む;または別の方法では、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1〜30重量パーセントの1以上のアルファ−オレフィンコモノマー由来の単位を含む;または別の方法では、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは3〜27重量パーセントの1以上のアルファ−オレフィンコモノマー由来の単位を含む;または別の方法では、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは3〜20重量パーセントの1以上のアルファ−オレフィンコモノマー由来の単位を含む;または別の方法では、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは3〜15重量パーセントの1以上のアルファ−オレフィンコモノマー由来の単位を含む。
【0021】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、3.5以下;別の方法では3.0以下;または別の方法では1.8〜3.0の、重量平均分子量を数平均分子量(M/M)で割ったものとして定義される分子量分布(MWD)を有する。
【0022】
そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、参照により本明細書で援用される米国特許第6,960,635号および同第6,525,157号でさらに詳細に記載される。そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、ダウケミカル社(The Dow Chemical Company)から商品名VERSIFY(商標)で、またはエクソンモビールケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)から商品名VISTAMAXX(商標)で商業的に入手可能である。
【0023】
1つの実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、(A)60以上100未満、好ましくは80〜99重量パーセント、さらに好ましくは85〜99重量パーセントのプロピレン由来の単位、および(B)0より大きく40重量パーセント以下、好ましくは1〜20、さらに好ましくは4〜16重量パーセント、なお一層好ましくは4〜15重量パーセントの少なくとも1つのエチレンおよび/またはC4〜10α−オレフィン由来の単位を含み;そして総炭素1000個あたり少なくとも平均0.001、好ましくは少なくとも平均0.005、そしてさらに好ましくは少なくとも平均0.01の長鎖分岐を含むとしてさらに特徴づけられ、ここで、長鎖分岐という用語は、本明細書中で用いられる場合、短鎖分岐よりも少なくとも炭素1個多い鎖長を指し、短鎖分岐は、本明細書中で用いられる場合、コモノマー中の炭素数よりも2個炭素が少ない鎖長を指す。例えば、プロピレン/1−オクテンインターポリマーは少なくとも7個の炭素の長さの長鎖分岐を有する骨格を有するが、これらの骨格は6個だけの炭素の長さの短鎖分岐も有する。長鎖分岐の最大数は、典型的には3長鎖分岐/1000総炭素を超えない。そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、米国特許仮出願第60/988,999号および国際特許出願第PCT/US08/082599号でさらに詳細に記載され、そのそれぞれは参照により本明細書で援用される。
【0024】
ある他の実施形態において、ベースポリマー、例えばプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、例えば、半結晶性ポリマーであってもよく、110℃未満の融点を有していてもよい。好ましい実施形態において、融点は25〜100℃であり得る。さらに好ましい実施形態において、融点は40〜85℃であり得る。
【0025】
他の選択された実施形態において、オレフィンブロックコポリマー、例えば、そのようなオレフィンブロックコポリマーを記載する程度に関して本明細書中で援用される、国際公開第WO2005/090427号および米国特許出願公開第US2006/0199930号で記載されているものなどのエチレン多ブロックコポリマーをベースポリマーとして用いることができる。そのようなオレフィンブロックコポリマーは:エチレン/α−オレフィンインターポリマーであり得る。
(a)約1.7〜約3.5のM/M、少なくとも1つの融点T(摂氏度)、および密度d(グラム/立方センチメートル)であって、その数値が次の関係:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
に対応するTおよびdを有する;または
(b)約1.7〜約3.5のM/Mを有し、融解熱ΔH(J/g)、および最も高いDSCピークと最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義される差分ΔT(摂氏度)によって特徴づけられ、ここでΔTおよびΔHの数値は以下の関係を有する:
0より大きく130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
130J/gより大きいΔHについては、ΔT≧48℃、
ここで、CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、5パーセント未満のポリマーが識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃である;または
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定された300パーセント歪みおよび1サイクルでの弾性回復Re(パーセント)によって特徴づけられ、密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーに実質的に架橋相がない場合はReおよびdの数値が以下の関係式を満足する:
Re>1481−1629(d);または
(d)TREFを用いて分画される場合に40℃〜130℃で溶出する分子フラクションを有し、フラクションが、同じ温度間で溶出する同等のランダムエチレンインターポリマーフラクションのものよりも少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有量を有することを特徴とし、ここで前記同等のランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびモルコモノマー含有量(全ポリマー基準)を有する;または
(e)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)を有し、ここで、G’(25℃)対G’(100℃)の比は約1:1〜約9:1の範囲内にある。
【0026】
そのようなオレフィンブロックコポリマー、例えばエチレン/α−オレフィンインターポリマーはさらに:
(a)TREFを用いて分画する場合、40℃〜130℃で溶出する分子フラクションを有していてもよく、このフラクションが、少なくとも0.5であり、約1までのブロック指数(block index)および約1.3よりも大きい分子量分布M/Mを有することを特徴とする;または
(b)0より大きく約1.0までの平均ブロック指数および約1.3より大きな分子量分布M/Mを有し得る。
【0027】
ある実施形態において、ベースポリマーは、例えば、コモノマーまたはグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を有する極性ポリマーを含む。例示的実施形態において、ベースポリマーは、例えば、コモノマーまたはグラフト化コモノマーのいずれかとして極性基を有する1以上の極性ポリオレフィンを含む。例示的極性ポリオレフィンとしては、限定されるものではないが、ダウケミカル社から市販されているPRIMACOR(商標)、デュポン社(E.I. DuPont de Nemours)から市販されているNUCREL(商標)、およびエクソンモビールケミカル社から市販されているESCOR(商標)の商標で入手可能であるもの、およびそれぞれが全体として参照により本明細書で援用される米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号、および同第5,938,437号で記載されているものなどのエチレン−アクリル酸(EAA)およびエチレン−メタクリル酸コポリマーが挙げられる。他の例示的ベースポリマーとしては、限定されるものではないが、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)、およびエチレンブチルアクリレート(EBA)が挙げられる。
【0028】
1つの実施形態において、ベースポリマーは、例えば、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される極性ポリオレフィンを含み、そして安定剤は、例えば、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される極性ポリオレフィンを含む;ただし、ベースポリマーは、例えばASTM D−974にしたがって測定して、安定剤よりも低い酸価を有してもよい。
【0029】
当業者は、前記リストが例示的ベースポリマーの非包括的なリストであることを認めるであろう。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されると理解される。
【0030】
安定剤
本発明による分散液は安定な分散液の形成を促進するために、本明細書中で分散剤とも呼ばれる少なくとも1以上の安定剤をさらに含んでもよい。安定剤は、好ましくは外部安定剤であってよい。本発明の分散液は、分散液の固形分の総重量基準で1〜50重量パーセントの1以上の安定剤を含む。1〜50重量パーセントのすべての個別の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書中で開示される;例えば、重量パーセントは、1、3、5、10重量パーセントの下限から15、25、35、45、または50重量パーセントの上限までであり得る。例えば、分散液は分散液の固形分の総重量基準で、1〜25重量パーセント、または別の方法では1〜35重量パーセント、または別の方法では1〜40重量パーセント、または別の方法では1〜50重量パーセントの1以上の安定剤を含み得る。選択された実施形態において、安定剤は、界面活性剤、ポリマー、またはそれらの混合物であり得る。ある実施形態において、安定剤は、コモノマーまたはグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を有する極性ポリマーであり得る。例示的実施形態において、安定剤は、コモノマーまたはグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を有する1以上の極性ポリオレフィンを含む。例示的ポリマー安定剤としては、限定されるものではないが、エチレン−アクリル酸(EAA)およびエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えばダウケミカル社から市販されているPRIMACOR(商標)、デュポン社から市販されているNUCREL(商標)、およびエクソンモビールケミカル社から市販されているESCOR(商標)の商標で入手可能もの、およびそれぞれが全体として参照により本明細書で援用される米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号、および同第5,938,437号で記載されているものが挙げられる。他の例示的ポリマー安定剤としては、限定されるものではないが、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)、およびエチレンブチルアクリレート(EBA)を挙げることができる。他のエチレン−カルボン酸コポリマーも用いることができる。当業者は、多くの他の有用なポリマーも用いることができることを認めるであろう。そのようなポリマーは、例えば、クラリアント社(Clariant Corporation)からLICOCENE、エクソンモビールケミカル社からEXXELOR、またはウェストレイクケミカル社(Westlake Chemical Company)からEpoleneの商品名で市販されている。
【0031】
用いることができる他の安定剤としては、限定されるものではないが、12〜60個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸、脂肪酸塩、または脂肪酸アルキルエステルが挙げられる。他の実施形態において、長鎖脂肪酸または脂肪酸塩は12〜40個の炭素原子を有し得る。
【0032】
安定剤は、中和剤で部分的または完全に中和させることができる。ある実施形態において、長鎖脂肪酸またはEAAなどの安定剤の中和は、モル基準で25〜200パーセントであり得る;または別の方法では、モル基準で50〜110パーセントであり得る。例えば、EAAについて、中和剤は、例えば水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムなどの塩基であってよい。他の中和剤としては、例えば水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムを挙げることができる。別の方法では、中和剤は、例えば炭酸塩であってよい。別の方法では、中和剤は、例えばモノエタノールアミン、または2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)などの任意のアミンであってよい。本明細書中で開示される実施形態において有用なアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびTRIS AMINO(それぞれAngus社から入手可能)、NEUTROL TE(BASF社から入手可能)、ならびにトリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、およびN,N−ジメチルエタノールアミン(それぞれミシガン州ミッドランドのダウケミカル社から入手可能)を挙げることができる。他の有用なアミンとしては、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−プロピルアミン、ジメチル−n プロピルアミン、N−メタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、N,N,N’N’−テトラキス(2−ヒドロキシルプロピル)エチレンジアミン、1.2−ジアミノプロパンを挙げることができる。いくつかの実施形態では、アミンの混合物またはアミンと界面活性剤との混合物を用いることができる。当業者は、適切な中和剤の選択は配合される特定の組成物に左右され、そのような選択は当業者の知識範囲内であることを認めるであろう。
【0033】
本発明の実施において有用であり得るさらなる安定剤としては、限定されるものではないが、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤の例としては、限定されるものではないが、スルホネート、カルボキシレート、およびホスフェートが挙げられる。カチオン性界面活性剤の例としては、限定されるものではないが、第4アミンが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、限定されるものではないが、エチレンオキシドおよびシリコーン界面活性剤を含むブロックコポリマーが挙げられる。本発明の実施において有用な安定剤は、外部界面活性剤または内部界面活性剤のいずれかであり得る。外部界面活性剤は、分散液調製中に化学的に反応してベースポリマーになることがない界面活性剤である。本明細書中で有用な外部界面活性剤の例としては、限定されるものではないが、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩およびラウリルスルホン酸塩が挙げられる。内部界面活性剤は、分散液調製中に化学的に反応してベースポリマーになる界面活性剤である。本明細書中で有用な内部界面活性剤の一例としては、2,2−ジメチロールプロピオン酸およびその塩が挙げられる。本発明の実施で有用であり得るさらなる界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはそれらの組み合わせが挙げられる。それぞれアールティーディーホールスター社(RTD Hallstar)から入手可能なOP−100(ステアリン酸ナトリウム)、OPK−1000(ステアリン酸カリウム)、およびOPK−181(オレイン酸カリウム);ベーカーペトロライト社(Baker Petrolite)から入手可能なUNICID350;それぞれコグニス社(Cognis)から入手可能なDISPONIL FES77−ISおよびDISPONIL TA−430;それぞれロディア社(Rhodia)から入手可能なRHODAPEX CO−436、SOPROPHOR 4D384、3D−33、および796/P、RHODACAL BX−78およびLDS−22、RHODAFAC RE−610、およびRM−710、ならびにSUPRAGIL MNS/90;ならびにそれぞれミシガン州ミッドランドのダウケミカル社から入手可能なTRITON QS−15、TRITON W−30、DOWFAX 2A1、DOWFAX 3B2、DOWFAX 8390、DOWFAX C6L、TRITON X−200、TRITON XN−45S、TRITON H−55、TRITON GR−5M、TRITON BG−10、およびTRITON CG−110をはじめとする様々な市販の界面活性剤を本明細書中で開示される実施形態で用いることができる。
【0034】
流体媒体
分散液は流体媒体をさらに含む。流体媒体は水である。本発明の分散液は、分散液の重量基準で、35〜85重量パーセントの水;例えば25〜75重量パーセントの水、または別の方法では、40〜60重量パーセントの水、または別の方法では、45〜55重量パーセントの水を含む。分散液の水分含量は、好ましくは、固形分(ベースポリマー+安定剤)が分散液の重量基準で約25パーセント〜約75重量パーセントとなるように制御することができる。
【0035】
追加の成分
本発明による水性ポリオレフィン分散液は、場合によって1以上の共溶媒、例えばグリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、アルコール、ミネラルスピリット、および安息香酸エステル;場合によって1以上の分散剤、例えばアミノアルコール、およびポリカルボキシレート;場合によって1以上の界面活性剤;場合によって1以上の抗酸化剤、例えばヒンダードフェノール、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3,5−ジ−TERT−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、場合によって1以上の潤滑剤、場合によって1以上の消泡剤;場合によって1以上の架橋剤;場合によって1以上の防腐剤、例えば殺生物剤、防かび剤、抗真菌剤、殺藻剤、およびそれらの組み合わせ;場合によって1以上の増粘剤、例えばセルロース系増粘剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾アルカリ可溶性エマルジョン(HASE増粘剤、例えばUCAR POLYPHOBE TR−116)および疎水性修飾エトキシル化ウレタン増粘剤(HEUR);または場合によって1以上のさらなる中和剤、例えば水酸化物、アミン、アンモニア、およびカーボネートをさらに含んでもよい。
【0036】
水性ポリオレフィン分散液の形成
水性ポリオレフィン分散液は、当業者によって認められているいくつかの方法によって形成することができる。1つの実施形態において、1以上のベースポリマー、1以上の安定剤を、水および中和剤、例えばアンモニア、水酸化カリウム、または2つの組み合わせとともに押出機中で溶融混錬して、分散液を形成する。いくつかの実施形態では、分散液をまず約1〜約3重量パーセントの水を含むように希釈し、次いでその後、25重量パーセントを超える水を含むようにさらに希釈する。
【0037】
当該技術分野で公知の任意の溶融混錬手段を用いることができる。いくつかの実施形態では、捏和機、BANBURY(登録商標)ミキサー、一軸スクリュー押出機、または多軸スクリュー押出機、例えば二軸スクリュー押出機が用いられる。本発明にしたがって分散液を製造するためのプロセスは、特に限定されない。例えば、押出機、ある実施形態では例えば二軸スクリュー押出機を、背圧調節装置、溶解ポンプ、またはギアポンプに連結させる。例示的実施形態はさらに、塩基レザバーおよび初期水レザバーも提供し、そのそれぞれはポンプを含む。所望の量の塩基および初期水は、それぞれ塩基レザバーおよび初期水レザバーから提供される。任意の好適なポンプを使用してもよいが、いくつかの実施形態では、例えば、240barの圧力で約150cc/分の流れを提供するポンプを使用して、押出機に塩基および初期水を提供する。他の実施形態において、液体噴射ポンプは、200barで300cc/分、または133barで600cc/分の流れを提供する。いくつかの実施形態において、塩基および初期水を予熱器中で予熱する。
【0038】
ペレット、粉末、またはフレークの形態の1以上のベースポリマーをフィーダーから押出機の入り口に供給し、ここで樹脂を溶融させる。いくつかの実施形態では、分散剤は樹脂によって、そして樹脂とともに1以上のベースポリマーに添加され、そして他の実施形態では、分散剤は二軸スクリュー押出器に別に提供される。樹脂溶融物は次いで押出機の混合および運搬ゾーンから乳化ゾーンへと送達され、ここで水および塩基レザバーからの初期量の水および塩基が入口から添加される。いくつかの実施形態では、分散剤を追加的または排他的に水の流れに添加してもよい。いくつかの実施形態では、さらなる希釈水を押出機の水レザバーから水入口を通して希釈および冷却ゾーンに添加してもよい。典型的には、分散液を冷却ゾーン中で少なくとも30重量パーセントの水に希釈する。加えて、希釈された混合物を、所望の希釈レベルが達成されるまで任意の倍数で希釈してもよい。いくつかの実施形態では、水を、二軸スクリュー押出機ではなく、むしろ溶融物が押出機から出た後の樹脂溶融物を含む流れに添加する。この方法で、押出機中で増大した蒸気圧を除去し、分散液をローターステーターミキサーなどの第2の混合装置で形成する。
【0039】
1つの実施形態において、本発明は、分散液を製造するためのプロセスであって(1)1以上のベースポリマーを選択し;(2)1以上の安定剤を選択し;(3)水を含む液体媒体を選択し;(4)場合によって1以上の中和剤を選択し;(5)1以上のベースポリマーおよび1以上の安定剤を、水および場合によって1以上の中和剤の存在下で溶融ブレンドし;(6)それによって乳化混合物を形成し;;(7)場合によって熱を除去しながら前記乳化混合物をさらなる希釈水と接触させ;(8)それによって、前記水中に分散された固体粒子を形成し;そして(9)それによって前記分散液を形成するステップを含むプロセスをさらに提供する。
【0040】
アクリルエマルジョン成分
アクリルエマルジョン成分は、アクリルエマルジョンの重量基準で20〜70重量パーセント、例えば40〜60重量パーセント、または他の方法では45〜60重量パーセントのアクリル固体を含む。アクリルエマルジョン中に存在するアクリル固体は、75〜450nm、例えば、115〜375nm、または他の方法では150〜300nmの範囲内の平均重量粒径を有する。アクリルエマルジョン成分中に存在するアクリルポリマーは、0.25〜5重量パーセント、例えば0.25〜3重量パーセント、または別の方法では0.5〜2.5重量パーセント、または別の方法では1〜2重量パーセントの酸モノマーの範囲内の酸性度を有する。アクリルエマルジョン成分中に存在するアクリルポリマーは、200,000〜5,000,000g/モル、例えば200,000〜1,000,000g/モル、または他の方法では200,000〜750,000g/モル)の範囲内の重量平均分子量を有する。アクリルエマルジョン成分中に存在するアクリルポリマーは、0〜100℃、例えば7〜100℃、または別の方法では10〜80℃、または別の方法では20〜65℃の範囲内のガラス転移温度(T)を有する。本発明のアクリルエマルジョン成分は、7〜10、例えば7〜9の範囲内のpHを有する。
【0041】
本発明の異なる実施形態では、アクリルエマルジョン成分は、アクリルモノマーの総重量基準で、0.25〜5重量パーセント、例えば0.25〜3重量パーセント、または別の方法では0.5〜2.5重量パーセント、または別の方法では1〜2重量パーセントの共重合したエチレン性不飽和カルボン酸モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノブチルフマレート、および無水マレイン酸を含み得る。
【0042】
好適なモノエチレン性不飽和酸または二酸モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、モノメチルイタコネート、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、その無水物、例えば無水マレイン酸;モノメチルマレエート;モノアルキルイタコネート;モノアルキルフマレート、例えばモノメチルフマレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸;ビニルスルホン酸;スチレンスルホン酸;1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸;アルキルアリルスルホコハク酸;スルホエチル(メタ)アクリレート;ホスホアルキル(メタ)アクリレート、例えばホスホエチル(メタ)アクリレート;ホスホジアルキル(メタ)アクリレート;およびアリルホスフェートを挙げることができる。好ましい酸モノマーは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸およびマレイン酸である。
【0043】
本発明のさらに別の実施形態では、アクリルエマルジョン成分は、アクリルモノマーの総重量基準で、0パーセント〜5重量パーセントの共重合した多エチレン性不飽和モノマー、例えば、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,2−エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、およびジビニルベンゼンを含有していてもよい。
【0044】
1つの実施形態において、アクリルエマルジョンポリマー、例えばホモポリマーまたはコポリマーは、例えば、一度にもしくは徐々に、モノマー成分、水および界面活性剤(用いられる場合)を反応器中に添加し、容器を例えば窒素などの不活性ガスでパージし、そして容器を50〜100℃の範囲内の反応温度まで加熱することによって調製することができる。反応器が所望の反応温度に達したら、1以上の開始剤を反応器に添加する。反応は、重合プロセスを完了するために充分な時間、例えば1〜4時間継続する。反応がほぼ完了または完了したら、リアクター容器およびその中に含まれる反応内容物を冷却する。この合成によって、ポリマー、例えばホモポリマーまたはコポリマーを水中に含む水性ポリマー組成物が生じる。いくつかの例では、組成物は乳状エマルジョンの外観を有し、一方、他の例では、透明または白濁溶液のように見える。
【0045】
コポリマーを製造するためのプロセスは、(メタ)アクリレート、ポリスチレン、またはエマルジョンの粒子サイズを制御するために有用な他のシードであってよい、シードの使用を含み得る。当該技術分野では知られているように、初期シードの調節を用いて、製造されるコポリマーの粒子サイズの最終的範囲を制御することができる。
【0046】
本明細書中で用いられる場合、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート、メタクリレート、およびそれらの混合物を意味し、「(メタ)アクリル」という用語は、本明細書中では、アクリル、メタクリル、およびそれらの混合物を意味する。
【0047】
好適なモノ−エチレン性不飽和モノマーとしては、非イオン性モノマー、例えば、C〜C30(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレートをはじめとする(メタ)アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリルアミド、置換(メタ)アクリルアミド、例えばN−アルキル(メタ)アクリルアミドおよびN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;エチレン;プロピレン;スチレンおよび置換スチレン;ブタジエン;ビニルエステル、例えば酢酸ビニルおよび酪酸ビニル;塩化ビニル、ビニルトルエン、およびビニルベンゾフェノン;(メタ)アクリロニトリル;ならびにハロゲン化ビニリデン、例えば塩化ビニリデンを挙げることができる。好適なイオン性および親水性モノエチレン性不飽和モノマーは、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;モノ−エチレン性不飽和酸モノマー;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート;アミン基含有モノマー、例えばビニルイミダゾール、2−(3−オキサゾリジニル)エチル(メタ)アクリレートおよびアミン官能性(メタ)アクリレート、例えばtert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート;N−ビニルピロリドン;ビニルスルホン酸ナトリウム;ホスホエチル(メタ)アクリレート;アクリルアミドプロパンスルホネート;ジアセトンアクリルアミド;エチレンウレイド官能性モノマー;イソシアナートアルキル(メタ)アクリレート、およびアリルアセトアセテートを挙げることができる。
【0048】
アニオン性、非イオン性、および両性表面活性剤(surfact active agent)、すなわち界面活性剤を、コポリマー合成プロセスで用いることができる。
【0049】
アクリルエマルジョンは、例えば、熱、レドックス(レドックス触媒を使用)、光化学、および電気化学開始を含むフリーラジカル重合によって重合することができる。好適なフリーラジカル開始剤または酸化剤としては、例えば、アンモニウムおよび/またはアルカリ金属過硫酸塩などの過硫酸塩;過酸化物、例えば、ナトリウムもしくはカリウムヒドロペルオキシド、t−アルキル過酸化物、t−アルキルヒドロペルオキシド、ジクミルヒドロペルオキシド;またはt−アルキルパーエステルであって、ここで、t−アルキル基は少なくとも5個の炭素原子を含む;過ホウ酸およびそれらの塩、例えば、過ホウ酸ナトリウム;過リン酸およびその塩;過マンガン酸カリウム;ならびにペルオキソ二硫酸のアンモニウムもしくはアルカリ金属塩が挙げられる。そのような開始剤は、モノマーの総重量に基づいて0.01〜3.0重量パーセントの範囲の量で用いることができる。
【0050】
好適なレドックス触媒は、1以上の酸化剤を好適な還元剤とともに含む。好適な還元剤としては、例えば、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム;(イソ)アスコルビン酸;硫黄含有酸のアルカリ金属およびアンモニウム塩、例えば(重)亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム、(水)硫化ナトリウムまたは亜ジチオン酸ナトリウム;ホルムアミジンスルフィン酸;ヒドロキシメタンスルホン酸;2−ヒドロキシ−2−スルフィナート酢酸ナトリウム;アセトンビサルファイト;アミン、例えばエタノールアミン、グリコール酸;グリオキシル酸水和物;乳酸;グリセリン酸、リンゴ酸;酒石酸;およびそれらの塩を挙げることができ、モノマーの総重量に基づいて0.01〜5.0重量パーセントの量で用いることができる。
【0051】
レドックス反応を触媒する、鉄、銅、マンガン、銀、白金、バナジウム、ニッケル、クロム、パラジウム、またはコバルトの金属塩をそのようなポリマーの形成のために添加してもよい。使用される触媒金属塩の典型的なレベルは、モノマーの総重量に基づいて、0.01ppm〜25ppmの範囲内であり、1.0重量パーセントまでの範囲であってもよい。2以上の触媒金属塩の混合物も有用に用いることができる。触媒金属塩と使用することができるキレートリガンドとしては、多座アミノカルボキシレートリガンド、例えば、ニトリロ三酢酸(NTA、四座リガンド)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA、四座リガンド)、N−(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA、5座リガンド)、およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA、5座リガンド)が挙げられる。
【0052】
任意の重合における任意のモノマーは、ニートで、すなわち水中エマルジョンとしてではなく、または水中エマルジョンとして添加してもよい。モノマーは、1回以上の添加で、または連続して、直線的もしくはそうではなく、反応期間にわたって添加してもよく、またはその組み合わせで添加してもよい。好適な界面活性剤としては、カチオン性、アニオン性、および非イオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン安定化エマルジョンポリマーは、アニオン性界面活性剤または1以上の非イオン性界面活性剤とのそれらの混合物によって安定化することができる。通常の界面活性剤を使用して、モノマーの重合前、重合中、および重合後に乳化重合系を安定化することができる。これらの通常の界面活性剤は、通常、重合におけるモノマーの総重量に基づいて0.1重量パーセント〜6重量パーセントのレベルで存在するであろう。少なくとも1つのアニオン性、非イオン性、もしくは両性界面活性剤、またはそれらの混合物を使用してもよい。アニオン性乳化剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウムおよび他のジフェニルスルホネート誘導体、ならびにtert−オクチルフェノキシエトキシポリ(39)エトキシエチル硫酸のナトリウム塩が挙げられる。遊離酸形態および他の対イオンとの塩形態の界面活性剤、例えばドデシルベンゼンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩も用いることができる。
【0053】
1つの実施形態では、アクリルエマルジョンは、一段または多段ポリマーであり得る。1つの成分(軟質)が、高いTgを有する他の成分(硬質)よりも低いTgを有する硬質−軟質ポリマー粒子とも称されるアクリルエマルジョン中に存在する多段アクリルポリマーを調製するために用いられる重合技術であって、1つの成分が他の成分の存在下で重合される技術は当該技術分野で周知である。硬質−軟質ポリマー粒子は、典型的には、組成が異なる少なくとも2段が連続した方法で重合される多段水性乳化重合プロセスによって調製される。硬質−軟質ポリマー粒子の調製に好適な多段重合技術は、例えば、米国特許第4,325,856号、同第4,654,397号、および同第4,814,373号で開示されている。硬質−軟質ポリマーを調製するための多段階重合プロセスにおいて、軟質ポリマーまたは硬質ポリマーのいずれかを、第1ポリマー粒子の水中分散液として調製し、続いて他のポリマー(それぞれ硬質ポリマーまたは軟質ポリマー)の第1ポリマー粒子の存在下での重合を行って、硬質−軟質粒子を提供する。
【0054】
アクリルエマルジョンは、異なるTgを有する2以上のアクリルエマルジョンのブレンドであり得、ここで、2以上のTgの差は少なくとも10℃である。
【0055】
本明細書中で用いられる場合、別段の指示がない限り、アクリルエマルジョンおよびその成分に関する(アクリルエマルジョンの)「平均粒子サイズ」という用語は、BI−90粒子サイズ分析器、Brookhaven Instruments Corp.(Holtsville, NY)を用いた光散乱(LS)によって測定される粒子サイズを意味する。
【0056】
本明細書中で用いられる場合、別段の指示がない限り、(アクリルエマルジョンの)「分子量」は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはポリスチレン(PS)標準に対してゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量を指す。
【0057】
本明細書中で用いられる場合、別段の指示がない限り、アクリルエマルジョンおよびその成分に関するポリマーの「Tg」または「ガラス転移温度」という用語は、フォックス式を用いることによって算出されるポリマーのTgを指す(T. G. Fox, Bull. Am. Physics Soc., Volume 1, Issue No. 3, page 123 (1956)、すなわち、
【数1】
【0058】
コポリマーに関して、wおよびwは2つのコモノマーの重量分率を指し、Tg(1)およびTg(2)は2つの対応するホモポリマーのガラス転移温度を指す。様々なホモポリマーのTgは、例えば、Polymer Handbook, edited by J. Brandrup and E. H. Immergut, Interscience Publishersで見出すことができる。アクリルエマルジョンおよびその成分に関するポリマーの「実験的Tg」は、Tg値として温度遷移に対する熱流量の中点を用いて示差走査熱量測定(DSC)によって測定される。DSC測定の典型的な加熱速度は20℃/分である。
【0059】
水性ブレンド組成物の形成
水性ポリオレフィン分散液成分およびアクリルエマルジョン成分は、様々な手段、例えばインラインミキサーとしても知られる静的ミキサーなどのミキサー、または撹拌槽によってあわせてブレンドして、水性ブレンド組成物を形成する。水性ブレンド組成物は、1以上のコーティング配合物成分、例えば1以上の溶媒、1以上のクロスリンカー、1以上の触媒、1以上の抗酸化剤、1以上の潤滑剤、および1以上のさらなるコーティング配合物成分、およびそれらの組み合わせを添加することによってコーティング組成物にさらに配合することができる。1以上のコーティング配合物成分を、水性ブレンド組成物が調製された後に水性ブレンド組成物に添加してもよいし、または別の方法では、1以上のコーティング配合物成分を、水性ブレンド組成物またはその成分、すなわち水性ポリオレフィン分散液またはアクリルエマルジョンの調製中に添加してもよい。
【0060】
架橋剤
水性ブレンド組成物は架橋を促進するために少なくとも1以上の架橋剤をさらに含んでもよい。水性ブレンド組成物は、分散液の固形分の総重量基準で1〜50重量パーセントの1以上の架橋剤を含んでもよい。例えば、水性ブレンド組成物は、水性ブレンド組成物の固形分の総重量基準で1〜18重量パーセント;または別の方法では1〜15重量パーセント;または別の方法では1〜12重量パーセント;または別の方法では1〜10重量パーセント;または別の方法では1〜20重量パーセント;または別の方法では1〜30重量パーセント;または別の方法では1〜40重量パーセント;または別の方法では1〜45;または別の方法では1〜50重量パーセントの1以上の架橋剤を含んでもよい。選択された実施形態において、架橋剤は、限定されるものではないが、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂;ヒドロキシアルキルアミド樹脂;限定されるものではないが、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、無水物樹脂をはじめとするアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;限定されるものではないが、エポキシ樹脂、エポキシ基含有ポリエステルをはじめとするエポキシ基含有樹脂またはアクリル樹脂およびブロック化イソシアネート樹脂、ならびにそれらの2以上の組み合わせであってもよい。ただし、そのようなクロスリンカーの組み合わせは適合性であるものとする。
【0061】
架橋剤は、水性ブレンド組成物配合物中に含まれる反応性官能基と反応し;それによってそのような官能基間の架橋を促進する化合物であり得る。そのような官能基は、ベースポリマー中および安定剤中の両方に存在し得る。
【0062】
例えば、反応性官能基としては、限定されるものではないが、遊離もしくは中和形態のカルボン酸基などの酸基、またはアルコール基、アミノ基、エポキシ基などの別の成分による別の活性水素を有する任意の官能基が挙げられる。
【0063】
架橋剤中の架橋性官能基は、ベースポリマーおよび/または安定剤の反応性官能基と反応することができる基である。例えば、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イソシアネート基、ヒドロキシアルキルアミド基、エポキシ基、メチロール基、アルデヒド基、酸無水物基、ヒドロキシ基、アジリジニル基またはシラン基をクロスリンカーにおいて用いることができる。
【0064】
架橋性酸官能基の別の可能性は、前記酸基と多価金属イオン含有物質、例えば酸化亜鉛との反応による多価金属イオンの使用による。
【0065】
カルボン酸は、強酸の触媒作用下で多官能性オレフィン系不飽和物質との反応において架橋させることもできる。多官能性カーボネートはさらに、二酸化炭素を遊離させてエステル結合を提供することもできる。
【0066】
別の方法では、ポリオレフィン材料を、過酸化物の添加によるか、または電子線などの放射線により開始される、フリーラジカル架橋によって架橋してもよい。
【0067】
架橋性官能基に関して、1以上が架橋剤中に存在してもよい。別の方法では、2以上の架橋性官能基が1つの分子中に存在してもよい。
【0068】
前記架橋性官能基を有する架橋剤は、水分散または水分散性または水溶性物質であってよい。1つの実施形態において、例示的架橋剤としては、限定されるものではないが、水性モノマーもしくはポリマー物質であって、2以上のオキサゾリン基、カルボジイミド基、ヒドロキシアルキルアミド基、エポキシ基、イソシアネート基、メチロール基などまたは1分子あたりこれらのうちのいくつかを含むものが挙げられる。
【0069】
例示的オキサゾリン架橋剤は、その分子中に2以上のオキサゾリン基を有する水性ポリマーであリ、物質は、オキサゾリン基含有モノマーと、必要に応じてエチレン性不飽和モノマーとを重合することによって得ることができる。あるいは、オキサゾリン架橋基はまた、ニトリル基とアミノエタノール基とに間の反応、ヒドロキシルアルキルアミド基の脱水などによっても得ることができる。
【0070】
2個以上のカルボジイミド基を有する架橋剤は、ジイソシアネート化合物の脱カルボキシル化反応を伴う縮合反応によってジイソシアネート化合物から製造することができる。ジイソシアネート化合物の例としては、限定されるものではないが、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサンメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、およびテトラメチルキシレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらの化合物は混合物としても用いることができる。
【0071】
フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、およびナフチルイソシアネートなどの単官能性イソシアネートは、樹脂分子鎖長を制御するために含めることができ、有用である。
【0072】
ジイソシアネート物質を、ヒドロキシル基、イミノ基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基などを有する脂肪族化合物、脂環式化合物、または芳香族化合物と部分的に反応させることができる。
【0073】
ジイソシアネート化合物の脱カルボキシル化を伴う縮合反応では、カルボジイミド化触媒を使用することができる。そのような触媒として有用なのは、例えばホスホレンオキシド、例えば1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、およびその3−ホスホレン異性体である。
【0074】
カルボジイミド基含有ポリマーを水性ポリマーに変換するために、カルボジイミド基含有ポリマーの分子構造中に親水性セグメントが提供される。例えば、カルボジイミド基を含有する水性ポリマーは、イソシアネート基と反応性を有する官能基を有する親水性セグメントを提供することによって得ることができる。親水性セグメントとして有用なのは:ジアルキルアミノアルキルアミンの第4アンモニウム塩(例えば、2−ジメチルアミノエタノールの第4アンモニウム塩);ジアルキルアミノアルキルアミンの第4塩(例えば、3−ジメチルアミノ−n−プロピルアミン);少なくとも1つの反応性ヒドロキシル基を有するアルキルスルホン酸塩(例えば、ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム);その末端がアルコキシ基でキャップされたポリエチレンオキシドまたはポリエチレンオキシドと、ポリプロピレンオキシド(例えば、その末端位置がメトキシ基またはエトキシ基でキャップされたポリエチレンオキシド)との混合物である。
【0075】
エポキシ基を含有する水性架橋剤として、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、フェノールエチレンオキシドグリシジルエーテル、およびラウリルアルコールエチレンオキシドグリシジルエーテルなどが例示される。上記に加えて、例として言及されるのは:ポリオキシエチレンポリオール化合物と酸無水物化合物との間の反応によって得られるカルボキシ化合物と、その分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂とを反応させることによって得られる水溶性エポキシ樹脂;ならびに水溶性エポキシ樹脂と、その分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂とを混合することによって得られる自己乳化型エポキシ樹脂組成物である。そのような樹脂は、例えばダウケミカル社(ミシガン州ミッドランド)からXZ92533.00、XZ92598.00およびXZ92446.00の商品名で得ることができる。無水物化合物の例としては、特に限定されるものではないが、好ましくは芳香族無水物、例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、および無水ピロメリット酸;ならびに環状脂肪族無水物、例えば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、メチルナジック酸無水物、無水アルケニルコハク酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、および無水メチルヘキサヒドロフタル酸が挙げられる。その分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂に関して制限はなく、2以上のエポキシ官能価を有するあらゆる公知のエポキシ樹脂を使用することができる。例は、エピクロロヒドリンおよび多価化合物、例えば、フェノールノボラック、およびクレゾールノボラックビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ヒドロキノンまたはカテキンから得られるポリグリシジルエーテル;アルキレンオキシド付加ビスフェノールA;ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、シクロヘキサンジメタノールなどのポリアルコール;ならびにアジピン酸、フタル酸、ダイマー酸などのポリカルボン酸のポリグリシジルエステルおよびポリグリシジルアミンである。
【0076】
イソシアネート基を含有する水性架橋剤は、例えば:イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、ウレトジオン基含有ポリイソシアネート、ウレトジオン基/イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、ウレタン基含有ポリイソシアネート、アロファネート基含有ポリイソシアネート、ビウレット基含有ポリイソシアネート、カルボジイミド基含有ポリイソシアネート、およびウレトジオン基含有ポリイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを主に含有するポリイソシアネートであって、そのそれぞれが、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネートを原材料として含むポリイソシアネート;ならびにイソシアネート基または少なくとも3つのポリ−エチレンオキシド単位を含有するポリエチレンエーテルアルコールと反応することができる少なくとも1つの活性水素基を有する親水性界面活性剤と、原材料としての脂肪酸およびヒドロキシル含有化合物の炭素数の合計が8以上であり、イソシアネート基と反応することができる少なくとも1つの活性水素基を有する脂肪酸エステルとを反応させることによって得られる自己乳化型ポリイソシアネートである。上記に加えて、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネートと活性水素基含有化合物との間の反応によって得られるウレタン基含有ポリイソシアネートまたはこれらのジイソシアネート化合物のアロファネート化反応、カルボジイミド化反応、ウレトジオン化(uretodionization)反応、およびビウレット化反応によって得られるポリイソシアネートについて言及することができる。
【0077】
アルデヒド由来の好適な架橋剤の例は、水分散もしくは水分散性もしくは水溶性フェノールホルムアルデヒド樹脂、アミノホルムアルデヒド樹脂またはそれらの組み合わせである。
【0078】
フェノールホルムアルデヒド架橋剤としては、限定されるものではないが、アルデヒドとフェノールとの反応生成物が挙げられる。好ましいアルデヒドは、限定されるものではないが、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドである。多種多様なフェノール、例えば限定されるものではないが、フェノール、クレゾール、p−フェニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、シクロペンチルフェノール、クレゾール酸、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどおよびそれらの組み合わせを使用することができる。また、酸官能性フェノールもフェノールホルムアルデヒド樹脂の作製で使用することができる。クロスリンカーは、非エーテル化であり得るか、またはアルコールもしくはポリオールでエーテル化することができる。これらのフェノールホルムアルデヒド樹脂は、水中で可溶性もしくは自己乳化性であり得るか、またはポリビニルアルコールなどのコロイド安定剤の使用によって安定化させることができる。
【0079】
アミノホルムアルデヒド架橋剤としては、限定されるものではないが、アルデヒドとアミノまたはアミド基含有分子との反応生成物が挙げられる。例示的アルデヒドとしては、限定されるものではないが、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが挙げられる。多種多様なアミノまたはアミド基含有分子、例えば限定されるものではないが、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、グリコルリルなどを使用することができる。好適なアミノ架橋樹脂としては、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド、アセトグアナミン−ホルムアルデヒド、グリコルリル−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。また、アミノホルムアルデヒド樹脂のメチロール基をメタノールおよび/またはn−ブタノールなどの一価脂肪族アルコールの少なくとも1つの基で部分的または完全にエーテル化することができる。これらのアミノホルムアルデヒド樹脂は水中で可溶性もしくは自己乳化する可能性があるか、またはアミノホルムアルデヒド分散液を安定化させるために使用することができるポリビニルアルコールなどのコロイド安定剤の使用により安定化させることができる。
【0080】
水溶性または水分散性であり、この目的のために有用な市販のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂としては、Cymel(商標)301、Cymel(商標)303、Cymel(商標)370、およびCymel(商標)373が挙げられる(すべてサイテックサーフェーススペシャリティーズ(Cytec Surface Specialties(ベルギー国ブリュッセル))の製品である)。樹脂性材料を形成するためにアミノ化合物と反応させるために使用される他のアルデヒドは、クロトンアルデヒド、アクロレイン、または例えばヘキサメチレン−テトラミン、パラアルデヒドなどのアルデヒドを生成させる化合物である。
【0081】
カルボン酸基の別のクラスの架橋剤は、水溶性ヒドロキシアルキルアミドクロスリンカー、例えばビス(N,N’−ジヒドロキシエチル)アジパミドなどである。そのような化合物は、スイス国のイーエムエス・プリミド(EMS−PRIMID)からプリミド(PRIMID)(商標)クロスリンカー樹脂の商品名、例えばプリミド(商標)XL−522、プリミド(商標)SF−4510およびプリミド(商標)QM−1260で商業的に入手可能である。
【0082】
1以上の架橋剤を水性ポリオレフィン分散液に水性分散液配合プロセスの一部として添加してもよい;または別の方法では、1以上の架橋剤を水性ポリオレフィン分散液に分散液配合プロセス後に添加してもよい;または別の方法では、本明細書中でさらに記載するように、1以上の架橋剤を水性ブレンド組成物に添加してもよい。
【0083】
コーティングされた容器中に入れられる食品および/または飲料の種類に応じて、また必要とされるコーティング特性に応じて、いくつかのクロスリンカーを組み合わせることが有益である可能性があるか、またはあるクロスリンカーが他のものよりも適している可能性がある。あるクロスリンカーはすべての用途に好適であるとは限らない可能性がある。あるクロスリンカーは適切な硬化のために触媒の添加を必要とする可能性がある。
【0084】
クロスリンカーは熱硬化性ネットワークを構築するのに役立ち、このことは、クロスリンカーを含有しない同じ配合物と比較して、MEKダブルラブの値がより高いことによって示されるであろう。
【0085】
コーティング用途およびコーティングされた容器または閉鎖デバイスの形成
本発明の水性ブレンド組成物は、例えば、コンテナー中、例えば缶、コーティング用途、または閉鎖デバイスコーティング用途において用いることができる。そのようなコーティングされたコンテナー装置としては、限定されるものではないが、飲料用缶、食品用缶などの缶;例えば、ヘアスプレー、毛髪染料、またはカラースプレーラッカーなどの非食品製品用のものなどのエアゾル容器;ドラム缶;ケグ;バケツ;ブリキ缶;蓋なしトレイ(open tray);管;ビン;モノブロック(monobloc);などが挙げられる。コーティングされた閉鎖デバイスとしては、限定されるものではないが、キャップ、ヨーグルトおよびバター容器のうすいアルミ箔系の蓋材などの蓋材、または王冠コルク、ガラスジャーおよびビン用の閉鎖手段、例えばロールオン式閉鎖手段、真空閉鎖手段、開栓防止閉鎖手段、ならびに缶用のイージーオープン蓋または通常の蓋が挙げられる。缶は2ピース缶または3ピース缶であってよい。飲料用缶としては、限定されるものではないが、ビール缶、炭酸清涼飲料缶、栄養ドリンク缶、アイソトニック飲料缶、水缶、ジュース缶、茶缶、コーヒー缶、ミルク缶などが挙げられる。食品用缶としては、限定されるものではないが、野菜缶、果物缶、肉缶、スープ缶、調理済食品缶、魚缶、食用油缶、ソース缶などが挙げられる。そのような缶は任意の形状を有していてもよい;例えば、そのような缶は、円筒形、立方体、球状、半球状、ビン状、直方体状、浅型もしくは深型形状、円形もしくは長方形状、または任意の他の好適な形状を有していてもよい。本発明のコーティングされたコンテナー装置は、任意の通常の方法により形成することができる。例えば、コーティングされたコンテナー装置は、スタンピング、延伸、再延伸、ウォールアイロニング(wall ironing)、曲げ加工、ビーディング、エンボス加工、デボス加工、フランジ成形、ネッキング、伸張、ブロー伸張、および任意の他の好適な通常の方法によって形成してもよい。そのような方法は、一般的に当業者に公知である。水性ブレンド組成物は、例えば金属シートまたは金属箔などの金属基体に塗布することができ、次いでコーティングされた基体をコーティングされたコンテナー装置またはコーティングされた閉鎖デバイスに形成することができる。別の方法では、金属基体をコンテナー装置または閉鎖デバイスに形成することができ、次いでこのコンテナー装置または閉鎖デバイスを1以上の水性ブレンド組成物でコーティングして、コーティングされたコンテナー装置またはコーティングされた閉鎖デバイスを形成する。コーティングは、任意の方法によって;例えば、ローラーコーティング、スプレーコーティング、粉末コーティング、ジップコーティング、電着コーティング、印刷、ウォッシュコーティング、フローコーティング、および/またはカーテンコーティングによって塗布することができる。
【0086】
金属基体の少なくとも1面に塗布される1以上の水性ブレンド組成物は、任意の通常の乾燥方法により乾燥することができる。そのような通常の乾燥方法としては、限定されるものではないが、空気乾燥、対流式オーブン乾燥、熱風乾燥、および/または赤外線オーブン乾燥が挙げられる。乾燥プロセス中、1以上の架橋剤を含む、1以上のベースポリマー、安定剤、またはそれらの組み合わせの架橋が起こり得る。さらなる硬化は、放射線硬化、例えば電子線硬化によって起こり得る。金属基体の少なくとも1面に塗布される1以上の水性ブレンド組成物は任意の温度で乾燥してもよい。金属基体の少なくとも1面に塗布される1以上の水性ブレンド組成物を、約60°F(15.5℃)〜約700°F(371℃)の範囲内の温度で約40分未満、例えば、20分未満、または10分未満、または5分未満、または2分未満、または1分未満、または20秒未満の期間乾燥してもよい。約60°F(15.5℃)〜約700°F(371℃)のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書中で開示される;例えば、金属基体の少なくとも1面に塗布される1以上の水性ブレンド組成物を、約60°F(15.5℃)〜約500°F(260℃)の範囲内の温度にて約40分未満、例えば、20分未満、または10分未満、または5分未満、または2分未満、または1分未満の期間、乾燥してもよいし、または別の方法では、金属基体の少なくとも1面に塗布される1以上の水性ブレンド組成物を、約60°F(15.5℃)〜約450°F(232.2℃)の範囲の温度で、約40分未満、例えば、20分未満、または10分未満、または5分未満、または2分未満、または1分未満の期間、乾燥してもよい。
【0087】
コーティングされた金属基体は、1以上の通常のコーティング組成物でさらにコーティングしてもよいし、または1以上の他の層にさらに積層してもよい。そのような通常のコーティング組成物は、一般に当業者に公知であり、それらとしては、限定されるものではないが、エポキシ樹脂コーティング組成物、アクリレート系コーティング組成物、およびポリエステル系コーティング組成物を挙げることができる。ラミネーションプロセスが一般的に知られ、例示的ラミネーション層については、限定されるものではないが、ポリエステルラミネート、ポリオレフィン系ラミネート、例えばポリプロピレンラミネートを挙げることができる。
【0088】
金属基体の少なくとも1面に塗布された1以上の水性ブレンド組成物は、ASTM−D 3359−08にしたがって測定して、少なくとも3B;例えば、5Bの得点のクロスカット接着性を有し得る。金属基体の少なくとも1面に塗布された1以上の水性ブレンド組成物は、少なくとも10のメチルエチルケトン(MEK)ダブルラブ得点を有し得る。金属基体の少なくとも1面に塗布された1以上の水性ブレンド組成物は、Gardner “COVERALL” Bend Tester IG 1125により測定して、少なくとも90パーセントのウェッジベンドパス得点を有し得る。
【実施例】
【0089】
以下の実施例は本発明を説明するが、本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0090】
水性ポリオレフィン分散液A(POD A)の調製
水性ポリオレフィン分散液A(POD A)を表1で記載されている配合物成分に基づいた手順にしたがって調製した。ベースポリマーとして、ダウケミカル社から入手可能な約32〜38g/10分の範囲のメルトインデックス(ASTM D1238、230℃/2.16kg)を有するポリプロピレンであるPP6D43、および第1安定剤として、ダウケミカル社から入手可能な約19.5〜21.5重量パーセントの範囲のアクリル酸含有量および約300g/10分(ASTM D1238、190℃/2.16kg)のメルトインデックスを有するエチレンアクリル酸コポリマーであるPRIMACOR(商標)5980i(CAS No.9010−77−9)、および第2安定剤として、約130〜150℃の軟化点を有し、クラリアント社から入手可能なLicocene6452無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンを、制御速度フィーダーによって直径25mmの二軸スクリュー押出機に供給し、ここでそれらを前進させ、溶解させた。初期水およびDMEA、ジメチルエタノールアミン(CAS No.108−01−0)を中和剤として添加する前に押出機温度プロフィールを約160℃まで上昇させ、そしてその後、希釈水を添加した後、押出機の末端までに100℃より低い温度まで冷却した。押出機速度は約1200rpmであった。アミン中和剤および水をあわせて混合し、初期水導入点で押出機に供給した。希釈水を第2ポンプにより供給し、押出機の希釈ゾーンに導入した。初期水および希釈水流れは場合によって押出機温度まで予熱した。押出機出口で、背圧調節装置を使用して、押出機バレル内部を好適な圧力に調節して、操作温度での蒸気形成を軽減した。結果として得られる分散液を冷却し、200ミクロンフィルターを通して濾過した。
【表1】
【0091】
アクリルエマルジョン(AE)1〜10の調製
AE1の調製
527.3gのブチルアクリレート、511.5gのメチルメタクリレート、15.8gのメタクリル酸、301.5gの脱イオン(DI)水、0.88gの水酸化アンモニウム、および6.05gのドデシルベンゼンスルホン酸のイソプロパノール中70重量パーセント溶液を組み合わせ、そして撹拌しながら乳化させることによってモノマーエマルジョンを調製した。2500gのDI水を、機械的撹拌を装着した5リットルの多頚フラスコに添加し、次いで窒素雰囲気下で85℃まで加熱した。次に、3.05gのドデシルベンゼンスルホン酸のイソプロパノール中70重量パーセント溶液、および0.44gの水酸化アンモニウムをフラスコに撹拌しながら添加した。撹拌フラスコの内容物に、33.75gのモノマーエマルジョンを添加し、続いて18.75gのDI水中3.45gの炭酸ナトリウム、続いて15.0gのDI水中2.65gのAPSを添加した。モノマーエマルジョンおよび36.75gのDI水中0.45gのAPSのコフィードの総添加時間は120分であった。モノマー混合物の添加の間中、リアクター温度を80℃〜85℃で維持した。次に、18.75gのDI水を使用して、リアクターへのエマルジョンフィードラインをリンスした。リアクターの内容物を70℃まで冷却した。水溶液中3.375gの0.15%硫酸第1鉄溶液、0.265gのt−ブチルヒドロペルオキシド、および0.15gのD−イソアスコルビン酸をフラスコに添加し、続いて追加の0.265gのt−ブチルヒドロペルオキシドおよび水溶液中0.15gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で添加した。リアクターの内容物を40℃まで冷却した。フラスコの内容物をジメチルエタノールアミンでpH7.6に中和した。AE1の特性を測定し、表2で報告した。
【0092】
AE2の調製
527.3gのブチルアクリレート、511.5gのメチルメタクリレート、15.8gのメタクリル酸、301.5gのDI水、1.17gの水酸化アンモニウムおよび8.10gのドデシルベンゼンスルホン酸のイソプロパノール中70重量パーセント溶液を組み合わせ、そして撹拌しながら乳化させるによってモノマーエマルジョンを調製した。2500gのDI水を、機械的撹拌を装着した5リットルの多頚フラスコに添加し、次いで窒素雰囲気下で85℃まで加熱した。次に、1.0gのドデシルベンゼンスルホン酸のイソプロパノール中70重量パーセント溶液、および0.15gの水酸化アンモニウムをフラスコに撹拌しながら添加した。撹拌フラスコの内容物に、33.75gのモノマーエマルジョンを添加し、続いて18.75gのDI水中3.45gの炭酸ナトリウム、続いて15.0gのDI水中2.65gのAPSを添加した。モノマーエマルジョンおよび36.75gのDI水中0.45gのAPSのコフィードの総添加時間は120分であった。モノマー混合物の添加の間中、リアクター温度を80℃〜85℃で維持した。次に、18.75gのDI水を使用して、リアクターへのエマルジョンフィードラインをリンスした。リアクターの内容物を70℃まで冷却した。3.375gの0.15%硫酸第1鉄溶液、0.265gのt−ブチルヒドロペルオキシド、および0.15gのD−イソアスコルビン酸を水溶液でフラスコに添加し、続いて追加の0.265gのt−ブチルヒドロペルオキシドおよび0.15gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で添加した。リアクターの内容物を40℃まで冷却した。フラスコの内容物をジメチルエタノールアミンでpH7.9に中和した。AE2の特性を測定し、表2で報告した。
【0093】
AE3の調製
1000.0gのブチルアクリレート、970.0gのメチルメタクリレート、30.0gのメタクリル酸、480.0gのDI水、2.40gの水酸化アンモニウム、および12.7gのドデシルベンゼンスルホン酸を組み合わせ、そして撹拌しながら乳化させることによってモノマーエマルジョンを調製した。990gのDI水を、機械的撹拌を装着した5リットルの多頚フラスコに添加し、次いで窒素雰囲気下で88℃まで加熱した。次に、30.0gのDI水中17.6gの水酸化アンモニウム、続いて40.0gのDI水中8.8gのAPSをフラスコに撹拌しながら添加した。撹拌フラスコの内容物に、62nmの粒子サイズを有する250.0gのアクリルシードポリマーを添加した。モノマーエマルジョンの総添加時間は120分であった。リアクター温度は、モノマー混合物の添加の間中80℃〜86℃で維持した。次に、100.0gのDI水を使用して、リアクターへのエマルジョンフィードラインをリンスした。リアクターの内容物を65℃まで冷却した。10.0gの0.15%硫酸第1鉄溶液、1.0gのヴェルセン溶液、1.7gのt−ブチルヒドロペルオキシド、および0.75gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で、次いでフラスコに添加し、続いて追加の1.7gのt−ブチルヒドロペルオキシドおよび0.75gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で添加した。リアクターの内容物を40℃まで冷却した。フラスコの内容物をジメチルエタノールアミンでpH8.4に中和した。AE3の特性を測定し、表2で報告した。
【0094】
AE4の調製
1000.0gのブチルアクリレート、970.0gのメチルメタクリレート、30.0gのメタクリル酸、480.0gのDI水、2.40gの水酸化アンモニウム、および12.7gのドデシルベンゼンスルホン酸を組み合わせ、そして撹拌しながら乳化させるによってモノマーエマルジョンを調製した。990gのDI水を、機械的撹拌を装着した5リットルの多頚フラスコに添加し、次いで窒素雰囲気下で88℃まで加熱した。次に、30.0gのDI水中17.6gの水酸化アンモニウム、続いて40.0gのDI水中8.8gのAPSをフラスコに撹拌しながら添加した。撹拌フラスコの内容物に、62nmの粒子サイズを有する62.5gのアクリルシードポリマーを添加した。モノマーエマルジョンの総添加時間は120分であった。リアクター温度をモノマー混合物の添加の間中80〜86℃で維持した。100.0gのDI水を使用して、リアクターへのエマルジョンフィードラインをリンスした。リアクターの内容物を65℃まで冷却した。次に、10.0gの0.15%硫酸第1鉄溶液、1.0gのヴェルセン溶液、1.7gのt−ブチルヒドロペルオキシド、および0.75gのD−イソアスコルビン酸を水溶液でフラスコに添加し、続いて追加の1.7gのt−ブチルヒドロペルオキシドおよび0.75gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で添加した。リアクターの内容物を40℃まで冷却した。フラスコの内容物をジメチルエタノールアミンでpH8.1に中和した。AE4の特性を測定し、表2で報告した。
【0095】
AE5の調製
1000.0gのブチルアクリレート、970.0gのメチルメタクリレート、30.0gのメタクリル酸、480.0gのDI水、2.40gの水酸化アンモニウム、および12.7gのドデシルベンゼンスルホン酸を組み合わせ、そして撹拌しながら乳化させることによってモノマーエマルジョンを調製した。990gのDI水を、機械的撹拌を装着した5リットルの多頚フラスコに添加し、次いで窒素雰囲気下で88℃まで加熱した。次に、30.0gのDI水中17.6gの水酸化アンモニウム、続いて40.0gのDI水中8.8gのAPSをフラスコに撹拌しながら添加した。撹拌フラスコの内容物に15.0gの粒子サイズ62nmを有するアクリルシードポリマーを添加した。モノマーエマルジョンの総添加時間は120分であった。リアクター温度は、モノマー混合物の添加の間中80℃〜86℃で維持した。次に、100.0gのDI水を使用して、リアクターへのエマルジョンフィードラインをリンスした。リアクターの内容物を65℃まで冷却した。10.0gの0.15%硫酸第1鉄溶液、1.0gのヴェルセン溶液、1.7gのt−ブチルヒドロペルオキシド、および0.75gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で、次いでフラスコに添加し、続いて追加の1.7gのt−ブチルヒドロペルオキシドおよび0.75gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で添加した。リアクターの内容物を40℃まで冷却した。フラスコの内容物をジメチルエタノールアミンでpH8.4に中和した。AE5の特性を測定し、表2で報告した。
【0096】
AE6の調製
900.0gの2−エチルヘキシルアクリレート、1070.0gのメチルメタクリレート、30.0gのメタクリル酸、480.0gのDI水、2.40gの水酸化アンモニウム、および12.7gのドデシルベンゼンスルホン酸を組み合わせ、そして撹拌しながら乳化させることによって、モノマーエマルジョンを調製した。990gのDI水を、機械的撹拌を装着した5リットルの多頚フラスコに添加し、次いで窒素雰囲気下で88℃まで加熱した。次に、30.0gのDI水中17.6gの水酸化アンモニウム、続いて40.0gのDI水中8.8gのAPSをフラスコに撹拌しながら添加した。撹拌フラスコの内容物に、62nmの粒子サイズを有する62.5gのアクリルシードポリマーを添加した。モノマーエマルジョンの総添加時間は120分であった。リアクター温度は、モノマー混合物の添加の間中80℃〜86℃で維持した。次に、100.0gのDI水を使用して、リアクターへのエマルジョンフィードラインをリンスした。リアクターの内容物を65℃まで冷却した。10.0gの0.15%硫酸第1鉄溶液、1.0gのヴェルセン溶液、1.7gのt−ブチルヒドロペルオキシド、および0.75gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で、次いでフラスコに添加し、続いて追加の1.7gのt−ブチルヒドロペルオキシドおよび0.75gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で添加した。リアクターの内容物を40℃まで冷却した。フラスコの内容物をジメチルエタノールアミンでpH8.2に中和した。AE6の特性を測定し、表2で報告した。
【0097】
AE7の調製
765.0gの2−エチルヘキシルアクリレート、909.5gのメチルメタクリレート、25.5gのメタクリル酸、3.4gのn−ドデシルメルカプタン、408.0gのDI水、2.0gの水酸化アンモニウム、および10.8gのドデシルベンゼンスルホン酸を組み合わせ、そして撹拌しながら乳化させることによってモノマーエマルジョンを調製した。1350gのDI水を、機械的撹拌を装着した5リットルの多頚フラスコに添加し、次いで窒素雰囲気下で88℃まで加熱した。次に、25.5gのDI水中15.0gの水酸化アンモニウム、続いて34.0gのDI水中7.5gのAPSをフラスコに撹拌しながら添加した。撹拌フラスコの内容物に、62nmの粒子サイズを有する43gのアクリルシードポリマーを添加した。モノマーエマルジョンの総添加時間は120分であった。リアクター温度は、モノマー混合物の添加の間中80℃〜86℃で維持した。次に、85.0gのDI水を使用して、リアクターへのエマルジョンフィードラインをリンスした。リアクターの内容物を65℃まで冷却した。8.5gの0.15%硫酸第1鉄溶液、0.85gのヴェルセン溶液、1.45gのt−ブチルヒドロペルオキシド、および0.64gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で、次いでフラスコに添加し、続いて1.45gのt−ブチルヒドロペルオキシドおよび0.64gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で添加した。リアクターの内容物を40℃まで冷却した。フラスコの内容物をジメチルエタノールアミンでpH8.0に中和した。AE7の特性を測定し、表2で報告した。
【0098】
AE8の調製
765.0gの2−エチルヘキシルアクリレート、909.5gのメチルメタクリレート、25.5gのメタクリル酸、12.75gのn−ドデシルメルカプタン、408.0gのDI水、2.0gの水酸化アンモニウム、および10.8gのドデシルベンゼンスルホン酸を組み合わせ、そして撹拌しながら乳化させることによってモノマーエマルジョンを調製した。次に、1350gのDI水を、機械的撹拌を装着した5リットルの多頚フラスコに加え、次いで窒素雰囲気下で88℃まで加熱した。25.5gのDI水中15.0gの水酸化アンモニウム、続いて34.0gのDI水中7.5gのAPSをフラスコに撹拌しながら添加した。撹拌フラスコの内容物に、62nmの粒子サイズを有する43gのアクリルシードポリマーを添加した。モノマーエマルジョンの総添加時間は120分であった。リアクター温度は、モノマー混合物の添加の間中80℃〜86℃で維持した。次に、85.0gのDI水を使用して、リアクターへのエマルジョンフィードラインをリンスした。リアクターの内容物を65℃まで冷却した。8.5gの0.15%硫酸第1鉄溶液、0.85gのヴェルセン溶液、1.45gのt−ブチルヒドロペルオキシド、および0.64gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で、次いでフラスコに添加し、続いて追加の1.45gのt−ブチルヒドロペルオキシドおよび0.64gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で添加した。リアクターの内容物を40℃まで冷却した。フラスコの内容物をジメチルエタノールアミンでpH8.3に中和した。AE8の特性を測定し、表2で報告した。
【0099】
AE9の調製
157.5gのブチルアクリレート、720gのメチルメタクリレート、600gのラウリルメタクリレート、22.5gのメタクリル酸、500gのDI水、1.2gの水酸化アンモニウム、および7.5gの、ドデシルベンゼンスルホン酸のイソプロパノール中70重量パーセント溶液を組み合わせ、そして撹拌しながら乳化させることによってモノマーエマルジョンを調製した。600gのDI水および30gの50%シクロデキストリン溶液を、機械的撹拌を装着した5リットルの多頚フラスコに添加し、次いで窒素雰囲気下で85℃まで加熱した。次に、9.6gの、イソプロパノール中ドデシルベンゼンスルホン酸の70重量パーセント溶液、1.54gの水酸化アンモニウム、および5gのDI水をフラスコに撹拌しながら添加した。撹拌フラスコの内容物に、82.35gのモノマーエマルジョン、続いて20gのDI水中5.3gの炭酸ナトリウム、続いて20gのDI水中5.3gのAPSを添加した。120gのDI水中1gのAPSのモノマーエマルジョンの総添加時間は120分であった。モノマー混合物の添加の間中、リアクター温度を80℃〜85℃で維持した。次に、50gのDI水を使用して、リアクターへのエマルジョンフィードラインをリンスした。リアクターの内容物を75℃まで冷却した。次に、5gの0.15%硫酸第1鉄溶液、3.7gのヴェルセン溶液、0.64gのt−ブチルヒドロペルオキシド、および0.34gのD−イソアスコルビン酸を水溶液でフラスコに添加した。リアクターの内容物を65℃まで冷却した。0.64gのt−ブチルヒドロペルオキシドおよび0.34gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で、次いでフラスコに添加した。リアクターの内容物を40℃まで冷却した。フラスコの内容物をジメチルエタノールアミンでpH7.8に中和した。AE9の特性を測定し、表2で報告した。
【0100】
AE10の調製
157.5gのブチルアクリレート、720gのメチルメタクリレート、600gのラウリルメタクリレート、22.5gのメタクリル酸、4.5gのn−ドデシルメルカプタン、500gのDI水、1.2gの水酸化アンモニウム、および7.5gの、ドデシルベンゼンスルホン酸のイソプロパノール中70重量パーセント溶液を組み合わせ、そして撹拌しながら乳化させることによってモノマーエマルジョンを調製した。600gのDI水および30gの50%シクロデキストリン溶液を、機械的撹拌を装着した5リットルの多頚フラスコに添加し、次いで窒素雰囲気で85℃まで加熱した。次に、9.6gの、ドデシルベンゼンスルホン酸のイソプロパノール中70重量パーセント溶液、1.54gの水酸化アンモニウム、および5gのDI水をフラスコに撹拌しながら添加した。撹拌フラスコの内容物に、82.35gのモノマーエマルジョン、続いて20gのDI水中5.3gの炭酸ナトリウム、続いて20gのDI水中5.3gのAPSを添加した。モノマーエマルジョンおよび120gのDI水中1gのAPSのコフィードの総添加時間は120分であった。モノマー混合物の添加の間中、リアクター温度を80℃〜85℃で維持した。次に、50gのDI水を使用して、リアクターへのエマルジョンフィードラインをリンスした。リアクターの内容物を75℃まで冷却した。5gの0.15%硫酸第1鉄溶液、3.7gのヴェルセン溶液、0.64gのt−ブチルヒドロペルオキシド、および0.34gのD−イソアスコルビン酸を水溶液で、次いでフラスコに添加した。リアクターの内容物を65℃まで冷却した。次に、0.64gのt−ブチルヒドロペルオキシドおよび0.34gのD−イソアスコルビン酸を水溶液でフラスコに添加した。リアクターの内容物を40℃まで冷却した。フラスコの内容物をジメチルエタノールアミンでpH8.1に中和した。AE10の特性を測定し、表2で報告した。
【表2】
【0101】
コーティング組成物1〜19の調製
アクリルエマルジョン(A1〜10)を、混合条件下、実験室用ミキサー中、中程度のせん断にて水性ポリオレフィン分散液A(「POD A」)に添加して、水性ブレンド組成物1〜19を形成した。水性ブレンド組成物1〜19を約5分間混合した後、塩基性(pH9〜10)水、続いてブタノール/ブチルセロソルブの溶媒ブレンド(1:1比)を水性ブレンド組成物1〜19に中せん断下でゆっくりと添加し、そしてさらに約5分間さらに混合した。溶媒ブレンドは、Irganox(商標)1010(高い硬化温度でポリオレフィン分散液を保護するために用いられる抗酸化剤)も含んでいた。混合はすべてテフロン(登録商標)パドルブレードスターラーを用いて4オンスの広口ガラスビン中で完了させた。塩基性水は、787gの脱イオン水および2.36gのジメチルエタノールアミン(DMEA)を含み、約9〜10のpHであった。溶媒ブレンドは、152gのブタノール、152gのブチルセロソルブ、および0.14gのIrganox1010を含んでいた。コーティング組成物配合物成分を表3で報告する。
【表3】
【0102】
室温安定性試験
ブレンド組成物1〜19調製の1日後、ブレンド組成物サンプルをジャー中での室温安定性について評価した。ブレンド組成物サンプルが、沈殿、凝集、ゲル化、または相分離がなく均一である場合、ブレンド組成物サンプルは安定とみなした。沈殿、凝集、ゲル化、または相分離として非相溶性が存在する場合、ブレンド組成物サンプルは不安定とみなされた。115nmを超える粒子サイズを有するアクリルエマルジョンを含有するブレンド組成物は表4で示されるようにより安定であるようであった。
【表4】
【0103】
コーティング用途
アルミニウムパネル(オールホイル社(All Foils)から得た0.009×4”×12”の大きさの缶原料用の清浄なアルミニウム)をアセトンで洗浄し、次いで乾燥した。本発明のコーティング配合物1〜19それぞれ約3グラムを3.6mil#36巻線ドローダウンバー(wirewound drawdown bar)によってアルミニウムパネルに個々に塗布し、それによってアルミニウムパネルの一面をコーティングした。コーティング用途は、各コーティング組成物1〜19調製後約1時間で完了した。次に、パネルを対流式オーブン中、固体アルミニウムプレートの塊上に置いて、130秒間400°Fで硬化させた。コーティングされたアルミニウムパネルを、後述する手順にしたがって、コーティング厚さ、殺菌(レトルト)前のクロスカット接着性、殺菌(レトルト)後のクロスカット接着性および白化現象について試験した。結果を表5〜6で報告し、MWおよびアクリルレベルの耐性に対する影響をそれぞれ報告する。
【表5】
【表6】
【0104】
試験方法
試験方法は以下を含む:
【0105】
レトルト前のクロスカット接着性(乾燥接着性)
クロスカット接着性は、ASTM−D3359−02(テープ試験による接着性の測定)法にしたがい、新しいカッターおよびステンレス鋼テンプレートを使用して、11本の線を刻み付ける。この方法は、テープ(グレード:3M 410M両面コーティング紙テープ)をフィルムに付けた切目上に塗布し、除去することによって、金属基体に対するコーティングフィルムの接着性を評価するための手順を提供する。テープ片の中心を格子上に置き、格子の領域を指でなめらかに所定の位置に滑らせる。フィルムとの良好な接触を確実にするために、テープを舌圧子で強くこする。塗布の90±30秒以内に、自由端を掴んで、迅速に(無理やりではなく)できるだけ180度に近い角度で引きはがすことによってテープを除去する。照明付き拡大鏡を用いて格子領域を基体からのコーティングの除去について検査する。接着性を表Aのスケールにしたがって評価する。
【0106】
レトルト後のクロスカット接着性(湿潤接着性)
水レトルト暴露前のクロスカット接着性を試験することに加えて、クロスカット接着性試験をオートクレーブから取り出した1時間以内に実施し、クロスカットの節で記載したように接着性を評価する。接着性を表Aに示すスケールにしたがって評価する。
【表A】
【0107】
レトルト耐性(水)
コーティングされたパネルを、第2の容器トレイ中に含まれる個々の加圧可能なガラス製ビーカー中の水に浸漬し、そしてTuttnauer 10” dia x 18” DeepChamber Autoclave model 1 Z−TUT−EZ−10中に入れ、ここで129℃にて30分間レトルト処理した。パネルを取り出し、水ですすぎ、乾燥した。コーティング外観を次いで、表Bで示されるように白化現象(コーティングの白っぽい外観)によって確認して、1〜5(5−最良、1−最悪)のスケールで評価した。
【0108】
レトルト耐性(乳酸)
コーティングされたパネルを、第2の容器トレイ中に含まれる個々の加圧可能なガラス製ビーカー中2%乳酸中に浸漬し、そしてTuttnauer 10” dia x 18” DeepのChamber Autoclave model 1 Z−TUT−EZ−10中に入れ、ここでそれらを121℃にて30分間レトルト処理した。パネルを取り出し、水ですすぎ、乾燥した。コーティング外観を次いで、表Bで示されるように白化現象(コーティングの白っぽい外観)によって確認して、1〜5(5−最良、1−最悪)のスケールで評価した。
【表B】
【0109】
コーティング厚さ
コーティング厚さは、ASTM−D1186−93(非鉄基に塗布された非磁性コーティングの乾燥フィルム厚さの非破壊測定)にしたがって、Byko−Test8500膜厚測定器を用いて測定した。コーティングを含まない標準的アルミニウムパネルを校正のために使用した。コーティングされたパネルのコーティングの厚さを10回の測定値の範囲として報告し、ここで、コーティングされたパネルのコーティング厚さの各々の測定は、標準的パネル、すなわちゼロに対して非鉄材料のプローブを用いて測定した。測定された厚さはミクロンで報告した。
【0110】
本発明は、その趣旨および本質的特性から逸脱することなく他の形態で具体化することができ、したがって、本発明の範囲を示すものとして、前記明細書ではなく、添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
[1]
1以上のベースポリマーと1以上の安定剤との、水および場合によって1以上の中和剤の存在下での溶融ブレンド生成物を含む水性ポリオレフィン分散液であって、400〜1500nmの範囲内の平均体積粒径、および8〜11のpH範囲を有するポリオレフィン分散液;ならびに
75〜450nmの範囲内の平均重量粒径;アクリルモノマーの重量基準で0.25〜5重量パーセントの酸モノマーの範囲内の酸性度、および200,000〜5,000,000g/モルの範囲内の重量平均分子量、ならびに7〜100℃の範囲内のガラス転移温度(T)を有するアクリル固体を含むアクリルエマルジョンであって、7〜9の範囲内のpHを有するアクリルエマルジョン
を含む水性ブレンド組成物であって、
前記水性ブレンド組成物が、水性ブレンド組成物の重量基準で15〜70重量パーセントの固体の範囲内の固形分を有し、前記ブレンド組成物の前記固形分が水性ブレンド組成物の固形分の重量基準20〜95重量パーセントの1以上のベースポリマーと、水性ブレンド組成物の固形分の重量基準で5〜80重量パーセントのアクリル固体とを含み、7〜11の範囲内のpHを有する、水性ブレンド組成物。
[2]
水性ブレンド組成物を製造するためのプロセスであって:
1以上のベースポリマーと1以上の安定剤との、水および場合によって1以上の中和剤の存在下での溶融ブレンド生成物を含む水性ポリオレフィン分散液であって、400〜1500nmの範囲内の平均体積粒径、および8〜11のpH範囲を有するポリオレフィン分散液を選択し;そして
75〜450nmの範囲内の平均重量粒径;アクリルモノマーの重量基準で0.25〜5重量パーセントの酸モノマーの範囲内の酸性度、および200,000〜5,000,000g/モルの範囲内の重量平均分子量、ならびに7〜100℃の範囲内のガラス転移温度(T)を有するアクリル固体を含むアクリルエマルジョンであって、7〜9の範囲内のpHを有するアクリルエマルジョンを選択し;
前記水性ポリオレフィン分散液および前記アクリルエマルジョンを接触させて、前記水性ブレンド組成物を製造することを含むプロセスであって;
前記水性ブレンド組成物が、水性ブレンド組成物の重量基準で15〜70重量パーセント固体の範囲内の固形分を有し、前記ブレンド組成物の前記固形分が水性ブレンド組成物の固形分の重量基準で20〜95重量パーセントの1以上のベースポリマーと、水性ブレンド組成物の固形分の重量基準で5〜80重量パーセントのアクリル固体とを含み、7〜11の範囲内のpHを有する、プロセス。
[3]
[1]記載の水性ブレンド組成物から得られるフィルム。
[4]
前記フィルムが1〜20μmの範囲内に厚さを有する、[3]記載のフィルム。
[5]
[3]記載の1以上のフィルムを含む多層フィルム。
[6]
基体と、前記基体の少なくとも1面と結合した[3]記載のフィルムとを含む、コンテナー装置。