特許第6298825号(P6298825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298825
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】電極ユニットを有する電極ボイラ
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/30 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   F22B1/30
【請求項の数】24
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-546098(P2015-546098)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2016-505797(P2016-505797A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】IB2012003083
(87)【国際公開番号】WO2014087190
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】515153510
【氏名又は名称】キム, ノ ウル
【氏名又は名称原語表記】KIM, No Eul
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】イリン, アンドレイ, パヴロヴィッチ
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−324001(JP,A)
【文献】 特開平06−300203(JP,A)
【文献】 特開2003−338356(JP,A)
【文献】 米国特許第04169558(US,A)
【文献】 登録実用新案第363872(JP,Z2)
【文献】 登録実用新案第354590(JP,Z2)
【文献】 特開昭48−027332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 1/28
F22B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極ユニットを有する電極ボイラであって、
a)ケースと、
b)前記ケースの内部に締結されたロッド電極形態の多重電極であって、
前記多重電極が、前記ケースの対称軸に対して及び互いに対して非対称に配列されると共に、前記ケースから外部に出ている外部端子を有する電極であり、
前記多重電極はまた、少なくとも1つの電極基部を含み、
前記電極ボイラ基部は、さらにプレートの形態で具現され、
a)電極が前記プレートに締結されており、電極の長手方向軸が、第1プレート表面に対する法線方向に近い方向に配列されるように、電極がプレートの第1表面上に固定され、
b)電極基部は、前記ケースの内側の第2表面と締結されており、
a)前記電極ボイラは、さらに、前記基部内に載置される位置まで、前記第1電極端部上に重畳され、かつ、前記基部に連結される、シリンダ型チューブの形態で具現された絶縁ブッシングを含み、
b)前記ブッシングは、前記基部内に構造的に少なくとも部分的に嵌め込まれており、
c)ブッシングの高さは、可変でもあり、
a)前記多重電極を有する電極ボイラにおいて、前記ボイラケースは、前記電極基部としても使用され、
b)ブッシングが、前記電極から前記ケースを封止して絶縁するように、前記ケースの貫通ホールの中に挿入されており、
c)電極端部は、前記ケースから前記ブッシングを介して外部に出ており、ブッシングは、電気端子であることを特徴とする電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項2】
前記基部は、電気絶縁耐熱材料によって具現されることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項3】
前記電極基部は、金属からなることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項4】
前記電極基部は、電極端部が、内部ボイラ空間内に向かっているように、ケース内側の前記第2表面と締結されることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項5】
前記電極基部は、電極端部が、前記内部ボイラ空間内において下向きになっているように、上半部ケース内側の前記第2表面と締結されることを特徴とする請求項4に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項6】
前記電極基部は、自由電極端部が、前記内部ボイラ空間内部において側方向に向かっているように、上半部ケース内側の前記第2表面と締結されることを特徴とする請求項4に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項7】
前記電極基部は、自由電極端部が前記内部ボイラ空間内部において上向きになっているように、下半部ケース内側の第2表面と締結されることを特徴とする請求項4に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項8】
前記電極基部は、電極端部が、内部ボイラ空間内に向かっているように、ケース外側の表面と締結されることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項9】
前記電極基部は、電極端部が、前記内部ボイラ空間内部において下向きになっているように、上半部ケース外側の前記第1表面と締結されることを特徴とする請求項8に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項10】
前記電極基部は、自由電極端部が、前記内部ボイラ空間内部において側方向に向かっているように、上半部ケース外側の前記第1表面と締結されることを特徴とする請求項8に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項11】
前記電極基部は、自由電極端部が、前記内部ボイラ空間内部において上向きになっているように、下半部ケース外側の第1表面と締結されることを特徴とする請求項8に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項12】
ブッシングの前記高さは、全ての前記電極に対して同一に可変であることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項13】
ブッシングの前記高さは、それぞれの電極に対して個別的に可変であることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項14】
シリコン・ジョイントシーラントが、前記基部とブッシングとの界面に塗布されることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項15】
前記多重電極を有する電極ボイラにおいて、さらに自由電極端部が、前記ボイラの内部に向かっていることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項16】
前記多重電極を有する電極ボイラはまた、自由電極端部を通過させるホールを有する少なくとも1つのワッシャの形態で具現された固定エレメントを含むことを特徴とする請求項1に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項17】
電極が、少なくとも前記固定エレメントの部分的深みほど前記固定エレメント内に押し込まれることを特徴とする請求項16に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項18】
a)前記第2電極端部上に形成される、直径がワッシャホールの直径に対応するチャムファと、
b)第2電極端部の前記チャムファ上のネジ山と、
それらのネジ山部分において、前記ワッシャホール中に、ワッシャ厚の少なくとも3分の1ほどネジで締結されている電極と、
c)前記自由電極端部側のワッシャの後ろに、前記ネジ山が設けられた電極部分上にネジ込まれているナットと、を含み、
前記ワッシャは、前記チャムファによって形成された電極ショルダに対して載置され、ナットによってしっかりと押し込まれていることを特徴とする請求項16に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項19】
前記多重電極を有する電極ボイラはまた、ワッシャ表面上に作られたポケットを含み、前記ポケットの中心は、前記ホールの中心と一致することを特徴とする請求項17に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項20】
a)前記ポケットの深さは、前記ナットの高さに対応し、
電極端部上においてネジで締結されたナットは、前記ポケット内に同一平面上に配列されていることを特徴とする請求項19に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項21】
前記ナットは、電気絶縁材料からなることを特徴とする請求項18に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項22】
前記ナットは、耐熱材料からなることを特徴とする請求項18に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項23】
前記ナットは、金属からなることを特徴とする請求項18に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【請求項24】
a)ワッシャ材料の膨脹係数が、基部材料の膨脹係数に一致する多重電極を有する電極ボイラがさらに存在し、
b)ナット材料の膨脹係数は、ワッシャ材料の膨脹係数に一致することを特徴とする請求項18に記載の電極ユニットを有する電極ボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱工学、電力工学、そして液体、例えば、水の電気加熱、蒸気発生、電気エネルギーの熱エネルギーへの直接変換の分野に係り、特に、循環水加熱システム、自律加熱及び温水供給機のための自己調整液体ヒータ、移動式加熱及び温水供給機、及び多様な電気ヒータのためのユニバーサルデバイスとして使用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
電極水暖房ボイラは、水を介して直接流れる電流(単相または三相の電流)によって放出された熱を対価に、熱湯及び蒸気を提供するように設計される。ボイラは、開放型だけではなく、閉鎖型の暖房システムにおいて、生産、住居空間の加熱及び温水供給のために使用される。それらは、製造プロセスが、95から100℃の熱湯を必要とする工業プラント、農業プラント、及び任意の他の施設においても使用される。量産での簡単な設計、高い信頼性、サービス寿命、効率及び製作可能性だけではなく、完全自動化及び無人型(unattended)動作の能力は、電極ボイラの大変な長所である。それらの長所は、加熱された空間での正確な温度条件の維持補修の潜在的な相対的容易性と、それに係わる消費者による主要エネルギー資源の節約とも含む。ボイラは、かような理由によって、急速に普及している。それらはまた、温水循環ポンプと併行して使用されもする。
【0003】
電極ボイラの一般的な短所のうち、ボイラケースの長手方向軸及び対称軸とは一般的に平行な、ケース内部の電極同士の幾何学的に対称的な配列が指摘されるが、それは、電極、デバイスの製作性をかなり低下させ、組み立て、修理作業及び洗浄を複雑にする。これらのことが、前記対称性を乱すからである。その外、かような方式の電極のケース内(in-case)締結は、ボイラ内の異なる温度の流体フローに対する対流条件の柔軟な意図的な変更を許容せず、従って、ボイラが目標とする機能を条件に、混合または分離を妨害する。さらに、電極の厳格に対称的な配列は、鉄酸化生成物(さびたFe(OH)2)と流体に浮遊する外来粒子との均一な沈着物(スラッジ)に対する肯定的な条件を生成し、それは、電極システムの全般的な効率をさらに高い比率で低減させる。従来のデバイスは、次のようにグループに分けられる。
【0004】
グループ1
長手方向軸が、ボイラ対称軸(少なくとも1つの電極に対して)と一般的に一致するか、あるいはボイラ対称軸(この場合、長手方向垂直である軸)と真に平行な電極の真の垂直配列を有する電極ボイラが知られているが、次の特許:DE2434907(A1)、「Geraet zur regelung der an eine ohmsche last abgegebenen elektrischen leistung」、公開日1975−02−13;DE2514524(A1)、「Verfahren und vorrichtung zur verminderung oder vermeidung von krustenbildung an arbeitselektroden」、公開日1975−10−09−三相ボイラ;また次のデバイス:CA1166296(A1)、「Humidifier electrode shield」、公開日1984−04−24−電極間に導入されたバッフル(baffle)によって合線の可能性を低減させるために、電極間に増大した電流伝播経路を有する;FR2587449(A1)、「Direct-heating boiler for producing steam and/or hot water」、公開日1987−03−20−厚い作動端部を有し、互いに平行であり、ボイラの長手方向対称軸にいずれも平行な垂直に配列された電極の鋭い端部を有し、KR101132125(B1)、「A reactor using electrode catalyst for high efficiency steam generator」、公告日2012−04−05−ボイラ下端で締結され、ボイラに対して平行であり、対称的に上に向けて配列された電極をする−で定義されている通りである。それらの多くの修正例があり、特に次のものがある:
【0005】
a)前述のグループは、次のような電極が垂直に配列され、静的条件、及び動的な温度条件を含んだ全ての温度条件で、電極の平行であって垂直であるポジションを維持するワッシャを有する電極ボイラを含む:WO9721057(A1)、「Boiler with fast steam generation」、公開日1997−06−12−1つの電極と、その電極をボイラ内部で維持する1つのワッシャとを有する;US5526461(A)、「Evaporation vessel and electrode arrangement for an electrode evaporator having a dummy electrode」、公開日1996−06−11−垂直に下に向かう電極の自由端部上に、1つのワッシャを有する。次の特許で言及されたデバイスもある:KR20060093192(A)、「Water heating apparatus using electrodes」、公開日2006−08−24−1つの固定ワッシャを有するいくつかの円周上に配列された電極;RU43624U1、「Multiple electrode for electrode boiler」、公開日2004.10.06−対称的に設けられた電極の上部端部上に、重畳された1つの固定ワッシャを有する;US5384888(A)、「Vaporizer with electrode positioning」、特許日1995−01−24−テーパワッシャを有し、対称軸に沿って下に向かう垂直並列対称的に配列された電極;US4748314(A)、「Device for the rapid vaporization of a liquid」、特許日1988−05−31−1つの電極がボイラケース内にその電極を維持するワッシャを、その電極の自由端部で有する;GB2444369(A)、「Electrode heater for liquid」、公開日2008−06−04−ボイラ長手方向軸と平行な垂直電極上に、セクション型(sectional)ワッシャを有する;CN2306395(Y)、「Electrode device for generating steam」、公告日1999−02−03−組み立て部品が、電極の全体長に沿って同一に離隔される並列水平的に設けられた電極上のマルチセクション型ワッシャ;
【0006】
b)ボイラ対称軸及び互いに対して平行な電極の対向した配列、例えば、WO8302710(A1)、「Current distribution for glass-melting furnaces」、公開日1983−08−04−垂直上部及び垂直下部の電極;RU2137029−「Electrode boiler water heating」、出願日1997.12.26−ケース内で対称的に配列され、互いに対して長手方向軸に平行にオフセットされた対向上部及び対向下部の電極;
【0007】
c)ボイラが、ボイラ内に並列であり、かつ互いに対して対称的に設けられた電極を有し、ボイラケースはまた、当該グループに付属し、電極は、保護覆いを有する。それらデバイスは、言わば次の通りである:US6263156(B1)、「Recycling of air humidifier cylinders」、特許日2001−07−17−垂直電極が保護覆いを有する;CN102439358(A)、「An electrode boiler」、公開日2012−05−02−垂直下向き対称的に配列された電極上に覆いを有する;US5454059(A)、「Evaporation control adaptor sleeve for vaporizer electrode」、特許日1995−09−26−電極上の傾いた円錐型覆い;US6263156(B1)、「Recycling of air humidifier cylinders」、特許日2001−07−17−保護覆いを有する垂直電極;P61134503(A)、「Electric type once-through boiler」、特許日1986−06−21−直径が異なる交合(mating)シリンダとしてなる電極上の保護覆い;
【0008】
d)例えば、下記特許による基部絶縁特性を改善するために、丸い電極上に重畳された多種のブッシング:DE2732683(A1)、「Elektrodendampferzeuger」公開日1979−02−01−ブッシングを有する多重電極;
【0009】
e)異なる高さの電極を有するデバイス、例えば、次の特許が垂直対称電極のグループに分類される:WO8301101(A1)、「Steam generator」公開日1983−03−31;RU1638444、「steam generator」、出願日1989.04.04−異なる高さの測定電極を有する;KR20020013018(A)、「Method and apparatus for controlling operation of electric steam boiler」、公開日2002−02−20−異なる高さのアクティブ電極;DE2456665(A1)、「Elektrode fuer wasserstrahl-elektrodendampferzeuger」、公開日1976−08−12−異なる高さのハニカム型アクティブ電極;
【0010】
f)次のように、セクションが非円形、例えば、切断された円形セクションである:KR101132125(B1)、「A reactor using electrode catalyst for high efficiency steam generator」、公告日2012−04−05;または次のように、任意の他の幾何学的図形形状のセクションである電極がまた使用される:US2008279539(A1)、「Steam Generator Comprising a Swirling Device」、公開日2008−11−13−長手方向軸に平行な台形断面の垂直電極;CN101952654(A)、「Segmented rapid heating of fluid」、公開日2011−01−19−セクション型プレート電極;KR20030090894(A)、「Simple steam generator」、公開日2003−12−01−グルーブ形成されたプレート電極。
【0011】
グループ2
完全に異なる幾何学的図形の形状の電極を使用
a)円筒型同軸電極:RU2168875、「electrode for electrode liquid heater」、出願日1999.12.28;RU2168876、「electrode for electrode water heater」、出願日1999.12.28−多層電極;前述のところと類似して、US4812618(A)、「Electrode boiler and an insulator therefor」、特許日1989−03−14−熱伝達電気絶縁体を有する電極;RU12637U1、「electrode liquid heater」、出願日1999.08.04−断面が対称的な中空円筒型形態の電極は、規則的に交互する電気伝導性セクション形態及び非伝導性セクション形態の円形セクションと角度において同一である;RU16419U1、「electrode liquid heater and electrode (alternatives)」、出願日2000.02.29−ケースの長手方向軸と電極が一致するように、一つが内部電極を収容する円筒型ケースである同軸電極;RU2189541、「electrode liquid heater」、出願日2000.04.11−同軸電極;KR20010084150(A)、「Electric boiler」公開日2001−09−06−スロットある同軸シリンダ;JP8261689(A)、「Preventing method of generation of extraneous matter in water storage tank and water storage tank with executing device of said method」公開日1996−10−11−同軸電極;US2009226356(A1)、「Device and Method for Evaporating a Reactant」、公開日2006−10−02−水平に配列された同軸シリンダ;CA2163932(A1)、「Method and apparatus for preventing the development of scale deposits in a water tank」、公開日1996−06−02−同心円同軸電極;GB2183802(A)、「Device for the fast generation of steam vapor」、公開日1987−06−10−電極は、角張った(angled)壁を有するが、ボイラ対称軸に沿って配列され、自体同士のみ対称的な同軸ボウル(bowl)形態である;WO0011914(A1)、「On-demand direct electrical resistance heating system and method thereof for heating liquid」、公開日2000−03−02−互いに対して対称的に配列された同心円電極;RU2209367、「Electric boiler」、出願日2001.11.22−整列されるように配列された同軸穿孔電極;
【0012】
b)1つの方向から外れたセクションを有する、曲がってねじれた螺旋形電極、例えば、SU303475、「Steam generator」、02.09.1968−ねじれた電極;SU379995、「screw electrode」、1973−04−20;WO8800316(A1)、「Steam generator for analytical instruments」、公開日1988−01−14−下に向いている電極の垂直セクションと、螺旋形セクションとの結合体;SU465521、「Electric steam generator」、−ボイラ垂直対称軸に対して完全に対称的な直線状の電極;W09318338(A1)、「A water tank for heating water preferably in a vending machine」、公開日1993−09−16−傾いたセクションを有するが、ボイラ長手方向垂直軸に対して対称的に配列されるように変わる傾いた螺旋形状の電極;WO0175360(A1)、「Household steam generator apparatus」、公開日2001−10−11−コイル型電極;RU2324859、「Electric steam generator」、出願日2006.12.04−中心の垂直端子を有する対称的螺旋形状の電極;WO9917056(A1)、「Process for restoring the level of water in boilers of steam generating machines」、公開日1999−04−08−90°ほど曲げられた電極、及びCN1082683(A)、「Efficient method for producing steam and seven kinds of thermal electric appliance of efficient steam」公開日1994−02−23;WO0031467(A1)、「Device for instantaneously producing steam」公開日2000−06−02−水平電極及び垂直電極の結合体;WO9506399(A1)、「Heating element」、公開日1995−03−02−垂直U字形電極;FR2593890(A1)、「Improved electric steam generator with water jets」、公開日1987−08−07−ケース長手方向軸に対して角張った1つの曲がった電極;WO9013771(A1)、「Steam generator」、公開日1990−11−15、W09836215(A1)、「Steam generator」、公開日1998−08−20−水平U字形電極;
c)他の形状の電極、例えば、SU1174683、「Electric liquid heater」、1983.07.27−ケースになるように設計された電極のうち一つは、同時にドラバル(de Laval)ノズル形態によってなる;SU879184、「Electrode water heater」、1980.01.30−円錐を有するピストン型電極。
【0013】
グループ3
ケース内部の電極の傾いた締結、または電極の部分的に傾いた部分:
a)円錐型電極、例えば、次の特許で定義されたところと同様:RU1064083、「Electrode heater」、出願日1982.09.15;RU1250791、「Electrode heater」、出願日1985.03.14−ケース内部に対称的に配列された対称逆相(inverse)円錐状の電極;RU1333992、「Electrode heater」、出願日1985.08.01−下に向かう円錐状の中心電極;US5940578(A)、「Water evaporation apparatus」、特許日1999−08−17−対称的に配列された電極を収容するチャンバの角張った壁;US6072937(A)、「Steam generator」、特許日2000−06−06−長手方向軸がボイラ垂直軸と一致する円錐電極;
b)傾いた電極:RU2037088、「Three-phase current electric water heater」、出願日1992.06.30−平面台形に傾くが、ケース対称軸に対して対称的に配列された電極;GB2178834(A)、「Steam generator」、公開日1987−02−18−上方に収斂されるが、ボイラ垂直長手方向軸に対して、真に対称的に配列された平らな電極;GB2190989(A)、「Electrically heated steam generator」、公開日1987−12−02−下に曲がっている補助表面;DE2644355(A1)、「Elektrodampferzeuger」、公開日1978−03−30−傾いた対称進入の電極であるが、その電極は、自体同士は傾かず、ボイラ対称を充足する;JP4324001(A)、「Power generation plant」、公開日1992−11−13−円錐母体(generatrix)に沿って配列された対称電極;JP60038501(A)、「Electric type steam generator」、公開日1985−02−28−垂直電極の傾いた断面;JP60108602(A)、「Electric type steam generator」、公開日1985−06−14−円筒型電極の円錐部分;
【0014】
c)他の類型の傾いた構成要素、例えば、CA1244864(A1)、「Electrode configuration for a high voltage electrode boiler」、公開日1988−11−15−加熱された液体のための傾いたチャネル;JP2002317902(A)、「Nozzle assembly for electrode type electric boiler」、公開日2002−10−31−傾いた(tilted)ノズル;CN201145263(Y)、「Electrical heating device of water」、公告日2008−11−05−回転板電極;RU2225569、「Steam generator」、出願日2001.08.30−分岐電極であるが、同時にケース内部で対称的に配列され、対称的に配列された分岐セクションを形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、多数の電極及び電極暖房ボイラに係わる製作の快適さ、製作可能性、及び運転可能性を全般的に向上させるものである。本発明は、多様な動作条件、すなわち、静的条件及び動的動作条件いずれも含んだケース内部の電極の設置の正確度、及びその電極の互いに対する配向の要件を減らすために、当該デバイスに対する設計信頼性、組み立て不正確度に対する当該デバイスの保護を改善することをさらに目指す。それ以外に、本発明は、デバイスの寿命、そのデバイスのサービス寿命、保全性(maintainability)及び修繕性(reparability)を向上させることを追求する。さらに、本発明は、特定問題の解決において、デバイスの拡張された運転能、多用性及び柔軟性、適用性の潜在的な多角化及び向上の目的を充足させる。さらに、本発明は、水暖房ボイラでの対流の改善と、電極上のスラッジ及びさび(rust)沈着物の均一性の低減を許容し、従って、ヒータの実質的な運転時間を延長させる。本発明の目的は、動的条件での動作の間の不均一変形に対する電極保護、相電流負荷不均衡の低減だけではなく、電極間の絶縁破壊に対する保護の向上を含む。設計及び寸法の変更なしに、構成的能力制御の範囲を拡張することが、また本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述の定義された目的を充足させるために、多重電極を有する電極ボイラは、ケースと、前記ケース内部で締結されたロッド電極形態の多重電極と、を含み、多重電極の電極は、ケース対称軸に対し、かつ互いに対して非対称的に配列されると共に、ケースから外部に出ている外部端子を有する。または、多重電極の電極は、全ての電極長手方向軸が、ケースの長手方向軸及び横断軸と一致せず、且つ、ケースから外部に出ている外部端子を有する。さらに、多重電極は、少なくとも1つの電極基部(basis)をさらに含む。
それ以外に、電極ボイラ基部は、電極の長手方向軸が、プレートの第1表面に係わる法線方向に近い方向に配列されるように、電極がプレート一側の第1表面において、そのプレートに締結され、電極基部がケースの内側の第2表面と締結されているプレート形態で具現される。
【0017】
基部は、電気絶縁耐熱材料によって具現されてもよい。
電極基部は、金属によって具現されてもよい。
電極基部は、電極端部が内部ボイラ空間内に向かっているように、ケース内側の第2表面と締結される。
電極基部は、電極端部が、内部ボイラ空間内部において、下に向かうように、上半部ケース内側の第2表面と締結される。
電極基部は、自由電極端部が、内部ボイラ空間内部において、側方向に向かうように、上半部ケース内側の第2表面と締結される。
電極基部は、自由電極端部が内部ボイラ空間内部において、上に向かうように、下半部ケース内側の第2表面と締結される。
電極基部は、電極端部が内部ボイラ空間内に向かっているように、ケース外側の表面と締結される。
電極基部は、電極端部が内部ボイラ空間内部において、下に向かうように、上半部ケース外側の第1表面と締結される。
電極基部は、自由電極端部が内部ボイラ空間内部において、側方向に向かうように、上半部ケース外側の第1表面と締結される。
電極基部は、自由電極端部が内部ボイラ空間内部において、上に向かうように、下半部ケース外側の第1表面と締結される。
【0018】
それ以外に、電極ボイラは、シリンダ型チューブの形態に具現され、基部内に載置される位置まで、第1電極端部上に重畳され、かつ、基部に連結される絶縁ブッシングを含み、ブッシングは、基部内で構造的に少なくとも部分的に嵌め込まれており(sunk)、ブッシングの高さは可変でもある。
ブッシングの高さは、全ての電極に対して、同一に可変でもある。
ブッシングの高さは、それぞれの電極に対して個別的に可変でもある。
シリコン・ジョイントシーラントが基部とブッシングとの界面に塗布される。
多重電極を有する電極ボイラにおいて、ボイラケースは、電極基部としても使用され、ブッシングは、電極からケースを密封して絶縁するように、ケースの貫通ホールの中に挿入されており、電極端部は、ケースからブッシングを介して外部に出ており、ブッシングは、電気端子である。
それ以外に、多重電極を有する電極ボイラにおいて、自由電極端部は、ボイラ内に向かっている。
【0019】
多重電極を有する電極ボイラはまた、自由電極端部を出させるホールを有する少なくとも1つのワッシャの形態で具現された固定エレメントを含む。
電極は、少なくとも固定エレメントの部分的深みほど固定エレメント内に押し込まれる。
多重電極を有する電極ボイラはまた、第2電極端部上に形成される、直径がワッシャホールの直径に対応するチャムファ;第2電極端部のチャムファ上のネジ山;ネジ山部分がワッシャホール中に、ワッシャ厚の少なくとも3分の1ほど締結されている電極;第2電極端部側において、ワッシャの後ろにネジ山電極部分上に嵌め込まれているナット;及びチャムファによって形成された電極ショルダに載置され、ナットによってしっかりと押し込まれているワッシャ;を含む。
【0020】
多重電極ユニットを有する電極ボイラはまた、ワッシャ表面上に作られたポケットを含み、前記ポケットの中心は、ホール中心と一致する。
ポケットの深さは、ナット高さに対応し、電極端部上において、ネジで締結されたナットは、ポケット内に同一平面上に配列されている。
ナットは、電気絶縁材料からなる。ナットは、耐熱材料からなる。ナットは、金属からなる。
ワッシャ材料の膨脹係数が、基部材料の膨脹係数に一致し、ナット材料の膨脹係数が、ワッシャ材料の膨脹係数に一致する多重電極を有する電極ボイラがまた存在する。
【発明の効果】
【0021】
電極間の水加熱の間、ボイラケース内で起きる対流プロセスは、閉鎖型システムにおいて、任意の強制的な水ポンピングなしに、ボイラが循環ポンプとして動作するように、電極の相互配向及び配列によって、目的を有して組織化される。それには、提供された本発明方式の相互配向、電極のケース内部及び相互に係わる非対称配列の可能性が相当に寄与する。さらに、それは、電極自体でのものを含んだスラッジ形成プロセスの再分配を許容する。本発明によって提供されたような電極配列は、電流通過経路を選択し、電流密度分布を可変することが可能であり、従って、静的条件及び動的条件のいずれにおいてものボイラ動作の最適化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1による、電極がケースの長手方向対称軸から若干外れ、基部上で不規則的に離隔されてケース内部に配列された、ケース内側の基部上の電極配列の概路図を図示している。
図2】電極がケースの長手方向対称軸から若干外れ、基部上で不規則に離隔されており、電極長手方向軸は、小さい角度で互いから外れている、ケース内側に位置した基部上の電極配列の概路図を提供する。
図3】電極長手方向軸の相対的配向が、図1と類似している、実施形態1による、下に配列された電極の側方向進入の概路図を示す。電極基部は、ケースの外側に配列される。
図4】電極長手方向軸の相対的配向が、図2と類似している、実施形態1による、下に配列された電極の側方向進入の概路図を示す。電極基部は、ケースの外側に配列される。
図5】電極の自由端部が実施形態1によって下に配列され、電極長手方向軸の相対的配向が、図1と類似しており、電極基部のケース内(in-case)配列である、電極の側方向進入の観点の概路図を提供する。
図6】電極の自由端部が実施形態1によって下に配列され、電極長手方向軸の相対的配向が、図2と類似しており、電極基部のケース内(in-case)配列である、電極の側方向進入の観点の概路図を提供する。
図7】基部が金属によって具現された場合の電極の締結と共に、外部電極端子に係わる外部観点のボイラケースの一部分を図示している。
図8】実施形態2による、電極がケース内部で上向きになって配列された、図1と類似した基部上の電極配列の概路図を図示している。
図9】実施形態2による、電極がケース内部で上向きになって配列された、図2と類似した基部上の電極配列の概路図を図示している。
図10】実施形態2による、電極がケース内部で上向きになって配列された、図3と類似した基部上の電極配列の概路図を図示している。
図11】実施形態2による、電極がケース内部で上向きになって配列された、図4と類似した基部上の電極配列の概路図を図示している。
図12】実施形態2による、電極がケース内部で上向きになって配列された、図5と類似した基部上の電極配列の概路図を図示している。
図13】実施形態2による、電極がケース内部で上向きになって配列された、図6と類似した基部上の電極配列の概路図を図示している。
図14】電極が基部上に平行に配列された多重電極の側面図を示す。
図15】電極が基部上に平行に、不規則的に、そして非対称的に配列され、固定絶縁ワッシャが自由電極端部に押し込まれている多重電極の側面図を図示している。
図16】電極が基部上に平行に、不規則的に、そして非対称的に配列され、誘電体ブッシングが基部に付着する地点において、電極に対して嵌め込まれており、固定絶縁ワッシャが自由電極端部に螺合によって連結された多重電極の側面図を提供する。
図17】形成されたポケットを利用し、そして同一高さで固定絶縁ワッシャに螺合された電極の下位実施形態を例示している。
図18】形成されたポケットを利用し、そして同一高さで固定絶縁ワッシャに螺合された電極の下位実施形態を例示している。
図19】電極上の異なる高さの誘電体ブッシングを有し、電極の下位実施形態が固定ワッシャから同一高さになるナットによって固定ワッシャに螺合される多重電極の側面図を提供する。
図20図19の連結の図面を図示している。
図21】異なる形状の固定ワッシャの上面図を平面で示している。
図22】異なる形状の固定ワッシャの上面図を平面で示している。
図23】異なる形状の固定ワッシャの上面図を平面で示している。
図24】第1下位実施形態の電極上の同一高の誘電体ブッシングを有し、自由電極端部が固定ワッシャ内に形成されたポケットに押し込まれている多重電極の側面図を提供する。
図25】第2下位実施形態の電極上の誘電体ブッシングが減少された高さになり、自由電極端部が固定ワッシャ内に形成されたポケットに押し込まれている多重電極の側面図を提供する。
図26】電極上の異なる高さの誘電体ブッシングが電極周囲のグルーブ内に嵌め込まれている多重電極の側面図を提供する。
図27】電極上の異なる高さの誘電体ブッシングが電極周囲のグルーブ内に嵌め込まれている多重電極の側面図を提供する。
図28】ジョイントが密封されている電極誘電体ブッシング連結の図面を図示している。
図29】実施形態3による、電極端子の側面の外部からのケース部分の図面を示している。
図30】基部なしに、ケース内部において、直接電極がケース内部で多様な方式で配列されて配向されている電極配列の実施形態3の下位実施形態を例示している。
図31】基部なしに、ケース内部において、直接電極がケース内部で多様な方式で配列されて配向されている電極配列の実施形態3の下位実施形態を例示している。
図32】基部なしに、ケース内部において、直接電極がケース内部で多様な方式で配列されて配向されている電極配列の実施形態3の下位実施形態を例示している。
図33】基部なしに、ケース内部において、直接電極がケース内部で多様な方式で配列されて配向されている電極配列の実施形態3の下位実施形態を例示している。
図34】基部なしに、ケース内部において、直接電極がケース内部で多様な方式で配列されて配向されている電極配列の実施形態3の下位実施形態を例示している。
図35】基部なしに、ケース内部において、直接電極がケース内部で多様な方式で配列されて配向されている電極配列の実施形態3の下位実施形態を例示している。
図36】基部なしに、ケース内部において、直接電極がケース内部で多様な方式で配列されて配向されている電極配列の実施形態3の下位実施形態を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態1
図1から図7、及び図14から図28は、本発明の実施形態1による多重電極を有する電極ボイラの構成の図面を示している。
実施形態1によって、少なくとも一つ以上の電極であるデバイスの電極1は、ケース2内部において下に向かっている。図1において、電極1は、直線で下に向かっており、全ての電極1の長手方向軸は、ケース2の長手方向対称軸から若干外れる。電極1は、一つを超える数が使用されれば、互いに対して異なる不等(unequal)距離で設けられてもよい(図1)。一部または全ての電極2の長手方向軸は、電極1間の不等距離によって伴う、図2に図示されているような、互いに対する0ではない角度も形成することもできる。電極1は、基部3に位置するが、その電極は、図1及び図2、並びに図5及び図6に図示されているようなケース2の内部、並びに図3及び図4の外部のいずれに設置されてもよい。それぞれの電極1は、電力供給部に連結されるために、基部3及びケース2を貫いて伸びている端子4を有する。基部3は、電気絶縁耐熱材料または金属によって具現されてもよい。最後に、電極1は、図7に図示されているように、基部上で、電気絶縁挿入物5を貫くように設けられる。電極1の下向き方向は、電極1間のケース2の断面または基部3上のスラッジ沈着物を完全に防止することを可能にする。それは、基部3の表面、または電極1間のケース2の部分の表面と、電極1との絶縁破壊の確率の相当な減少を許容する。ケース2は、デバイスの特定実施形態によって、間隙が完全に密封されており、開放型覆いを有するだけではなく、配水管を有するように、または管を介して流れるように(flowing)具現されてもよい。
【0024】
図3図4は、長手方向対称軸から大きい偏差角度を有する電極の配列、すなわち、ボイラケース2の横から下に向かう電極1の進入を図示するが、それはまた、電極の互いに対する不規則な非対称配列、すなわち、その電極のケース2に対する進入地点間の異なる距離と、電極3の長手方向軸間の異なる角度(図4)とを伴う。
【0025】
図5図6は、ケース2の側面上の電極1の配列を例示するが、電極の長手方向軸は、ケースの対称軸から、そして互いから外れ(図6)、電極端部の方向は、ケース2の下部部分を向いている。この場合だけではなく、他の下位実施形態において、基部3は、ケース2の内部及びその外部にいずれも固定されてもよい。
【0026】
図14は、図1から図13による、ケース2内部において、または外部から、ケースの中に設けられるために、電極1の開放自由端部を電気絶縁基部3の中に押し込むことによって締結される多重電極1を示している。基部3は、その基部をケース2に付着させるためのホール6を有する。多重電極は、加熱/冷却の動的条件での変位及び変動に対して、電極の初期ポジションを固定させるために、電極1の端部に位置した固定ワッシャ7(図15)を有することもできる。ここで、電極1は、基部3の膨脹係数と同一であるか、あるいは類似している膨脹係数を有する電気絶縁耐熱材料によって具現された固定ワッシャ7の中に押し込まれる。電極1は、ポケットが形成されているワッシャ7のホール8内に、ワッシャの全体厚(図15)、またはその部分的厚み(図16及び図17、並びに図19及び図20)ほど押し込まれる。基部3上、そしてそれによって、ワッシャ上の電極1のポジションは、非対称である(図15図16図19図20図22)。そのとき、固定ワッシャ7のかような締結は、電流伝搬経路の任意の変更、電極間の短絡の可能性、電極を横切る短絡を防止するデバイスの任意の動作モードでの、図1から図12による電極1のポジションの維持を許容し、それにより、デバイス動作の効率及び安定性を改善する。
【0027】
図16から図18は、丸い断面の電極1端部のチャムファ(chamfer)10の外部表面上に切られたネジ山9による固定ワッシャ7での電極1締結の下位実施形態を例示している。その場合、電極1は、ポケットが形成されているワッシャ7の部分的厚みほど(図17)、またはその全体厚ほど(図18)、電極の端部を使用し、ワッシャ7内にネジで締結される。ワッシャ7は、電極1のチャムファ10上のネジ山9に対応するネジ山が提供されたホール8を有すると仮定される。それは、デバイスの多様性と、実際の製造方法に対するその適用性との拡張を許容する。それ以外に、特定状況下において、特に、固定ワッシャの全体厚ほど電極をネジ固定する臨界性(criticality)が本発明に導入されなければ、デバイス組み立てが容易になる。
【0028】
図19から図23は、ワッシャ7のポケット12内に設けられるナット11による電極1の端部でのワッシャ7締結の下位実施形態を図示している。その場合、電極1の自由端部のチャムファ10は、ネジ山なしに具現されたワッシャホール8内に、そのチャムファの容易な進入を許容する丸い断面及び直径によって具現される。ワッシャ7が電極1の端部に設けられた後、ナット11は、ワッシャ7のポケット下端内にしっかりと締結されるまでネジで締結されて、それは、ナット11を、ワッシャ7の表面から突出させない。ワッシャ7平面は、円形、楕円形、多角形、星型などの形態(図21から図23)を有することもできる。
【0029】
図24から図28は、電極配列に係わるものとしての、全て前述のところで命名された属性と、前述の実施形態で記載されたような具現例とを多様な組み合わせで含むデバイスの下位実施形態を示すが、その下位実施形態は、電気絶縁耐熱材料によって具現されたブッシング13を付加して含む。ブッシング13は、その形状の内部断面が、電極1の断面を、近似的にまたは正確に模写する円筒型セグメントによってなる。ブッシング13は、それぞれのブッシング13の1つのバット(butt)が基部3に載置されるように、電極1上に重畳される(図19図24図25)。
【0030】
実施形態1の下位実施形態でのブッシング13の高さは、全ての電極1に対して同一であるか(図24図25)、あるいは異なっている(図19図26)。ボイラ容量は、ブッシング13の高さでの同時増減によって、電極の設計、数及び配列に対してなされるいかなる変更なしにも、広範囲にわたって制御される。多様な電極1において、ブッシング13の高さを、図19図27に図示されているように、個別的にそして独立して変更すれば、総容量だけではなく、それぞれのフェーズと、多数のフェージング(3個の)との場合のローディングも制御することができる。
【0031】
実施形態1内のデバイスの下位実施形態(図19図26から図28)において、ブッシング13は、基部3上に直接設けられ、例えば、シーラント14で固定されてもよい。それらはまた、ブッシング13の断面形態によって具現された電極1周囲の基部3上の円形グルーブ15内に設けられ、またシーラント14でも固定される(図28)。さらに、特に、シーラント14で固定されるブッシング13は、基部の表面上の外来粒子、スラッジの漸進的沈着の場合、動作期間後を含んだ、基部3の表面に沿う電極1間の絶縁破壊の確率の低下、または甚だしくは、防止を許容する。
【0032】
実施形態2
図8から図28は、当該本発明の実施形態2による多重電極構成を有する電極ボイラの図面を示している。実施形態2は、実施形態1に比べ、次の特定様態を有する。
実施形態2によって、少なくとも一つ以上の、例えば、3相電力本線(electric mains)の場合、2個または3個、または3相電力本線に対する3の倍数の電極であるデバイスの電極1が、ケース2内において向かっている。図8で、電極1は、直線で垂直に上向きになっており、全ての電極1の長手方向軸は、ケース2の長手方向対称軸から若干外れる。電極1は、1を超える数で使用されれば、互いに対して異なる不等距離で設けられてもよい(図8)。電極の長手方向軸は、図9に図示されているように、全ての電極2、またはそれらの一部に対して、互いに0ではない角度をまたなすが、それは、同時に、電極1間の不等距離を伴う。電極1は、実施形態1と類似し、ケース2内部(図10及び図11)、またはその外部(図8図9図12及び図13)に設けられる基部3上に位置する。
【0033】
図10図11は、長手方向対称軸から大きい偏差角度を有する電極配列を、特に、ボイラケース2の側方から上に向かう電極1の進入を図示するが、それは、電極の互いに対する不規則な非対称配列、すなわち、その電極のケース2に対する進入地点間の異なる距離と、電極3の長手方向軸間の異なる角度(図11)とを伴う。
【0034】
図12図13は、ケース2の側表面上の電極1の配列を例示するが、電極の長手方向軸は、ケース対称軸から、及び、互いから(図13)外れ、電極端部は、ケース2の上部部分を向いている。この場合だけではなく、他の下位実施形態において、基部3は、ケース2の内部またはその外部のうち、いずれか一つに固定されてもよい。
【0035】
電極配列のかような具現例は、一部ボイラ類型の特定設計特徴の考慮、それらの製造プロセス、定期補修及び修理の単純化を許容する。それ以外に、それは、静的動作条件でのボイラ対流改善、及びその効率向上の機会を提供する。
電極1、またはさまざまな電極1を含む多重電極の具体的な実施形態の特定様態は、図14から図28に図示されているように、実施形態1と一致する。
【0036】
実施形態3
図29から図36は、本発明の実施形態3による多重電極を有する電極ボイラの構成の図面を示している。実施形態3は実施形態1及び実施形態2と比べ、次の特定様態を有する。
実施形態2によって、少なくとも1以上の、例えば、3相電力本線の場合、2個または3個、または3相電力本線に対する3の倍数、または一般的に任意の必要な数のデバイスの具体的な見本において、いずれも使用される電極であるデバイスの電極1が、任意の基部なしに、ケース2に直接締結される。デバイスのかような具現例は、ケース2の壁、またはケースの覆いの中に直接押し込まれた誘電性絶縁耐熱挿入物5を介した電極1の締結(図29)を提供する。ここで、電力供給部の接続のための電極1の端子4は、デバイスケース2から外部に出ている。
【0037】
電極1は、実施形態1、実施形態2と類似し、ボイラケースの同一の地点においてグループ化されたり、あるいはデバイスの特定課題を充足させるために必要なほど、ケース2の内部表面上に分散されたりもする。この実施形態によって記載されたようなケース2での電極締結の具現例は、中間の基部(basis)なしに、直接、電極1が多重電極としてまとめられることを許容せず、それは、ケース表面にわたり、そしてそれによって、ボイラの内部空間にわたって締結される電極の分布を技術的に単純化させる。それは、デバイス実施形態の機能及び取り揃えの範囲を拡張し、その多用性(versatility)を向上させ、充足される具体的な作業の範囲を拡張させる。
【0038】
図30から図36の当該実施形態において、電極が、ボイラ対称軸から、そして厳格な規則性の電極のロケーションから可変するほど互いに対する任意の傾斜角度で外れる任意の数の電極1の配列の任意の組み合わせが可能である。電極1の配列及びその変形例でのかような非対称の可能性は、任意の文献的出所で言及されていると確認されず、デバイスの製作技法及び修理を相当に単純化させ、そのコストを節減させ、また特に、デバイスの洗浄及びスラッジ除去に係わるデバイスの維持補修の安全性要件を低減させる。電極1の多様な非対称締結の十分な機会は、ボイラのケース構成、特定指定及び設計によるボイラ対流プロセスの最上の長所に合わせたその電極の最適の配列及び編成の良好な選択を許容する。それはまた、予定された洗浄間の間隔内において、ボイラの効率的動作の低下への非均一性の導入を許容する電極システムの部品上のスラッジ沈着物のプロセスにおいて、非対称性を計画して制御することを可能にさせ、それは、ボイラの効率を向上させる。
全ての実施形態でのボイラの動作は、次の通りである。
【0039】
ボイラは、独立式として使用されるか、あるいはそのケース2が、任意の必要なポイントにおいて、開放型または循環型の水加熱システム内に内蔵される。暖房システムには、その抵抗に伴う通常の方式で処理された水が充填され、ボイラの電極1は、そのケース2外部に配列された端子4によって、外部の単相または3相の電気回路に接続される。暖房放熱器の冷える水は、ボイラケース2内に供給され、そのボイラケースで冷えた水は、電極1間を通過する電流によって加熱される。ケース2からの加熱された水は、例えば、消費者、暖房放熱器に供給される。電極1間の水の加熱間、ボイラケース2内で起きる対流プロセスは、閉鎖型システムにおいて、任意の強制的な水ポンピングなしに、ボイラが循環ポンプとして動作するように、電極の相互配向及び配列によって、目的を有して組織化される。それには、提供された本発明方式の相互配向、電極のケース内部、及び互いに対する非対称配列の可能性が相当に寄与する。さらに、それは、電極自体でのものを含んだスラッジ形成プロセスの再分配を許容する。本発明によって提供されたような電極配列は、電流通過経路を選択し、電流密度分布を可変することが可能であり、従って、静的条件及び動的条件のいずれにもおけるボイラ動作の最適化を可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9.11】
図10
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30-31】
図32-33】
図34
図35
図36