(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態のヘッドレスト1は、
図1〜
図11に示すように、一対の支柱2a,2bを有するヘッドレストピラー2と、一対のホルダー部3,3と、固定側部材4と、可動側部材5と、可動機構と、前後ロック機構と、上下ロック機構と、操作部9と、を備える。また、当該ヘッドレスト1は、周囲に設けられるクッションパッドや表皮材も含んで構成されている。
そして、当該ヘッドレスト1は車両用シートのシートバックの上端部に装着される。
なお、本実施の形態における前後上下左右の方向は、車両用シートおよび車両の方向に即したものとなっている。
【0018】
前記一対のホルダー部3,3は、前記シートバックの骨組みとなるシートバックフレームに取り付けられるものである。
前記ヘッドレストピラー2の前記一対の支柱2a,2bは、前記ヘッドレスト1の下方に延出して設けられ、前記一対のホルダー部3,3によって保持される。すなわち、前記ヘッドレスト1は、前記一対の支柱2a,2bおよび前記一対のホルダー部3,3を介して前記シートバックフレームに取り付けられている。
なお、前記一対の支柱2a,2bは同径に設定されており、当該一対の支柱2a,2bの少なくとも一方には、長さ方向に間隔をあけて、複数の切欠15…が形成されている。
【0019】
前記一対の支柱2a,2bは、前記一対のホルダー部3,3のそれぞれに保持されるとともに、当該一対のホルダー部3,3に沿って上下方向に移動可能とされている。
前記一対のホルダー部3,3のそれぞれは、前記一対の支柱2a,2bを保持する筒状本体3aと、前記筒状本体3aをカバーするカバー体3bと、前記筒状本体3aの上端部に設けられる頭部3cとを備える。
また、前記頭部3cには、前記一対の支柱2a,2bの前記複数の切欠15…に係合して、当該一対の支柱2a,2bの抜け出しを防止するロック部3dが設けられている。
【0020】
前記一対の支柱2a,2bは、後述する固定側部材4のピラー挿通孔20,20に挿通された状態で、後述する固定側部材4のスリット20a,20aにスライド自在に設けられる突部2c,2cを備える。これら突部2c,2cは、前記一対の支柱2a,2bが周方向に回転してしまうことを抑制する、いわゆる回り止めとして機能する。
また、これら突部2c,2cは、それぞれ固定側部材4の側面よりも外側に突出した状態となっている。
【0021】
前記固定側部材4は、前記一対の支柱2a,2bが左右両端部に設けられた状態となっており、かつ前記一対の支柱2a,2bを介して前記シートバックフレームに設けられるものである。
また、前記固定側部材4は、前記一対の支柱2a,2bに沿って上下方向に移動可能とされている。
【0022】
前記可動側部材5は、前記固定側部材4に対して前後方向に移動可能とされたものであり、前記可動機構を介して前記固定側部材4と連結されている。より詳細には、この可動側部材5は、可動機構を介して前記固定側部材4に連結され、当該固定側部材4に対して前方に離間する方向および後方に戻る方向に移動可能とされたものである。
可動側部材5は、前記固定側部材4や前記可動機構、前記一対の支柱2a,2bの上部を始めとする各部材を収容できる前側カバー30および後側カバー31を有する。
【0023】
前記可動機構は前記固定側部材4と前記可動側部材5とを連結するものであり、例えばリンク機構が採用される。本実施の形態では特にXリンク機構が採用されている。当該Xリンク機構は、中央の交差接続部8を介して回転可能に接続された第一リンク6(以下、内側リンク6)と第二リンク7(以下、外側リンク7)とを有する。
【0024】
前記前後ロック機構は、前記固定側部材4に対する前記可動側部材5の前後方向への移動をロックおよびロック解除するものであり、被係合部10と、当該被係合部10に係合するロック部材11と、当該ロック部材11を前記被係合部10側に付勢する付勢手段12と、前記可動側部材5に回動自在に保持されるとともに、前記ロック部材11を操作する回動操作部材13と、を有する。
【0025】
前記上下ロック機構は、前記固定側部材4を、前記一対の支柱2a,2bに対して上下方向の複数の位置でロックおよびロック解除するものである。また、この上下ロック機構は、後述する上下ロック部材14を有する。
【0026】
前記操作部9は、前記ヘッドレスト1の外表面から露出し、前記前後ロック機構と前記上下ロック機構とを同時に操作するものである。より具体的には、回動操作部材13を介して、前後方向への移動がロックされた状態の前記可動側部材5のロックを解除するとともに、上下方向への移動がロックされた状態の前記固定側部材4のロックを解除するための操作を行うものである。
なお、この操作部9の操作方向は左右幅方向に沿うように設定されている。また、この操作部9自体の操作は手動または自動で行われるが、本実施の形態においては手動操作の形態が採用されている。
また、本実施の形態の操作部9は、前記ヘッドレスト1の内部側に押し込まれることによって前記前後ロック機構および前記上下ロック機構を操作することが可能なボタン9とされている。
【0027】
次に、前記固定側部材4と前記可動側部材5と前記Xリンク機構とについてより詳細に説明する。
【0028】
(固定側部材)
前記固定側部材4は樹脂製であり、
図1,
図6等に示すように、ブロック状に形成されており、一対のピラー保持部4a,4bと、後面連結部4cと、連結部4dと、複数の支持部25,26と、複数の補強部27…と、ロック保持部28と、を有する。なお、当該固定側部材4は、各部が全て一体に形成されている。
【0029】
前記一対のピラー保持部4a,4bは、前記固定側部材4の左右両側端部に設けられ、当該固定側部材4の左右両側部を構成している。また、前記一対のピラー保持部4a,4bは、前記一対の支柱2a,2bのそれぞれを保持しており、これによって、前記固定側部材4を、前記一対の支柱2a,2bに沿って上下方向に移動可能としている。
これら一対のピラー保持部4a,4bには、当該一対のピラー保持部4a,4bを長さ方向(上下方向)に貫通するとともに前記一対の支柱2a,2bが挿入されるピラー挿通孔20,20が形成されている。
【0030】
また、前記固定側部材4の両側面に該当する位置、すなわち一対のピラー保持部4a,4bの側面には、前記ピラー挿通孔20,20と連通するスリット20a,20aが上下方向に沿って形成されている。
これらスリット20a,20aには、前記一対の支柱2a,2bの前記突部2c,2cがそれぞれ設けられるようになっている。
【0031】
前記後面連結部4cは、前記一対のピラー保持部4a,4b間に設けられ、これら一対のピラー保持部4a,4bを連結する板状体である。また、この後面連結部4cの後面は、前記一対のピラー保持部4a,4bの後面と面一となっている。
また、前記後面連結部4cの後面側には、後述するロック部材11の被保持部70を保持する保持部21が設けられている。この保持部21は、側面視において上向きフック状に形成され、後面連結部4cの左右幅方向に沿って長尺に形成されている。
【0032】
前記連結部4dは、前記一対のピラー保持部4a,4bの上端部間に設けられ、前記一対のピラー保持部4a,4bの上端部間を連結する板状体である。また、この連結部4dの上面は、前記一対のピラー保持部4a,4bの上面と面一となっている。
【0033】
前記固定側部材4のうち前記一対のピラー保持部4a,4bと前記連結部4dとで囲まれた部位は、凹状に形成された凹状部22とされている。より詳細に説明すると、前記一対のピラー保持部4a,4bの互いに対向する面の間であって、前記後面連結部4cの前面側であって、前記連結部4dの下面側である空間を指している。
このような凹状部22には、
図3に示すように、前記固定側部材4と前記可動側部材5との接近時において前記可動機構が収納される。
【0034】
前記後面連結部4cには、
図6,
図8,
図10に示すように、前記前後ロック機構を構成する被係合部10の第一突出部60と第二突出部61(後述する)に対応する位置に貫通孔23a,23bが形成され、当該貫通孔23a,23bに前記第一突出部60と前記第二突出部61とがそれぞれ挿通されている。
また、前記貫通孔23a,23bの周縁部には、
図12に示すように、前記第一突出部60と前記第二突出部61に対向する壁24a,24bが設けられている。前記壁24aは前記貫通孔23a,23bの中間部に配置され、前記壁24bは前記一対のピラー保持部4a,4b同士が互いに対向する面に対して対向して配置されている。なお、前記一対のピラー保持部4a,4bの互いに対向する面も、前記壁24a,24bと同様に機能する。
【0035】
前記複数の支持部25,26は、前記Xリンク機構を構成する前記内側リンク6および前記外側リンク7が回転可能に接続され、さらに該内側リンク6および外側リンク7を支持するものである。
また、前記複数の支持部25,26は、前記一対のピラー保持部4a,4b同士が互いに対向する面の上下にそれぞれ設けられている。すなわち、前記凹状部22の四隅に配置されたような状態となっている。
そして、上側に配置される支持部25,25は、前記一対のピラー保持部4a,4bと前記後面連結部4cと前記連結部4dと一体形成され、下側に配置される支持部26,26は、前記一対のピラー保持部4a,4bと前記後面連結部4cと一体形成されている。
【0036】
また、上側の前記複数の支持部25,25には、接続部材Sが挿入される貫通孔25aが、当該複数の支持部25,25の凹状部22側面から前記一対のピラー保持部4a,4bを貫通するようにして形成されている。なお、当該上側の複数の支持部25,25の貫通孔25aは円孔とされている。
そして、接続部材Sは、前記一対のピラー保持部4a,4bのうち一方のピラー保持部4a(4b)の側面に開口する前記円孔25aから、前記リンク6(7)を接続するようにして挿入される。
なお、前記接続部材Sは、前記内側リンク6および前記外側リンク7を前記複数の支持部25,26に回転可能に接続するものであり、本実施の形態においては金属製のシャフト(回転軸)が用いられている。すなわち、前記接続部材Sは、前記リンク6(7)と前記支持部25,25とを貫通するようにして設けられている。
【0037】
また、下側の前記複数の支持部26,26は、前記上方の複数の支持部25,25よりも上下方向に長尺に形成されている。
また、当該複数の支持部26,26には、前記接続部材Sが挿入される穴部26aが、当該下側の複数の支持部26,26の凹状部22側面に形成されている。当該下側の複数の支持部26,26の穴部26aは、当該下側の複数の支持部26,26に沿って上下方向に長尺な長穴(スリット)とされている。
さらに、前記長穴26aの一部26bは、前記一対のピラー保持部4a,4bを貫通するようにして形成されている。当該長穴26aの一部26bは円孔とされている。そして、前記接続部材Sは、前記一対のピラー保持部4a,4bのうち一方のピラー保持部4a(4b)の側面に開口する前記長穴26aの一部26bから、前記リンク7(6)を接続するようにして挿入される。すなわち、前記接続部材Sは、前記リンク7(6)と前記支持部26,26とを貫通するようにして設けられている。
【0038】
前記複数の補強部27…は、前記固定側部材4の複数の部位に設けられるものであり、これら複数の補強部27…のうち少なくとも一つはハニカム構造に形成されている。
本実施の形態においてハニカム構造とされた補強部27は、前記一対のピラー保持部4a,4bの前面および後面である。このように固定側部材4の複数の補強部27のうち少なくとも一つをハニカム構造に形成することで、固定側部材4を軽量かつ撓みにくくなるように補強できる。
また、ハニカム構造ではないが、前記連結部4dの上面にも補強部27が設けられており、この連結部4dの補強部27はリブが格子状に配列された状態となっている。
【0039】
前記ロック保持部28は、前記上下ロック機構を構成する上下ロック部材14を保持するものであり、前記一対のピラー保持部4a,4bのそれぞれの下端部近傍に設けられている。前記一対のピラー保持部4a,4bのうち、前記上下ロック部材14が設けられるのはいずれか一方であり、本実施の形態においてはヘッドレスト1の左側とされている。
ロック保持部28は、側方に開口部28aが形成されており、この開口部28aから前記上下ロック部材14が設けられる。
前記上下ロック部材14が設けられない側のロック保持部28は、側方の開口部28aから前記支柱2b(2a)が見える状態となっている。
また、このロック保持部28には、後述する付勢手段12のフック部12aが引っ掛けられる引掛部28bが設けられている。なお、本実施の形態の引掛部28bは、前記ロック保持部28の前方部分の下面に形成された孔部とされている。
【0040】
(可動側部材)
前記可動側部材5は乗員の頭部側に配置されるものであり、固定側部材に対して前後方向に移動可能とされている。より詳細には、
図2〜
図5,
図7〜
図11に示すように、当該可動側部材5は、前記固定側部材4に対して前後に移動可能とされている。
また、可動側部材5は樹脂製であり、前記前側カバー30と、前記後側カバー31と、底縁カバー32,32と、保持部33と、ボタン取付部34と、複数の支持部35,36と、補強リブ37と、凹部38,38と、を有する。なお、当該可動側部材5は、前記前側カバー30と、前記後側カバー31と、前記底縁カバー32,32とが別体として形成されている。
また、前記前側カバー30と前記後側カバー31とを組み合わせることで内部中空状のケース体として構成できる。
【0041】
前記前側カバー30は、頭部を支持するためのものである。前側カバー30は、前面部30aと、当該前面部30aの上下左右の周囲端部から後方に設けられる周側面部30bと、を備える。また、前側カバー30を構成する各部は一体に形成されている。
なお、
図4,
図5に示すように、前記前面部30aの後面と前記周側面部30bとの間には、これら前面部30aと周側面部30bとの境界部位を補強するリブが適宜設けられている。
【0042】
前記後側カバー31は、後面部31aと、当該後面部31aの上下左右の周囲端部から前方に設けられる周側面部31bと、を備える。そして、後側カバー31の周側面部31bと前記前側カバー30の周側面部30bとが接続固定されることによって前記ケース体が構成される。
なお、前記周側面部30bと前記周側面部31bとは嵌合構造を採用することによって嵌合接続されるが、特に限定されるものではなく、従来公知の技術が採用されるものとする。
【0043】
また、前記後側カバー31は、
図13に示すように、後述する被係合部10の第一突出部60の先端と第二突出部61の先端に対応する位置に設けられ、当該先端が収納される先端収納部31d,31dを備える。
また、先端収納部31d,31dは、前記後側カバー31の前面から突出して形成され、第一突出部60の先端と第二突出部61の先端を取り囲む壁部31eと、後述するロック部材11の被保持部70と前記壁部31eとの干渉を防ぐスリット31fと、を有する。
【0044】
前記底縁カバー32,32は、前記前側カバー30と前記後側カバー31とを接続してなるケース体の下面に形成される二つの長孔(後述する)にそれぞれ嵌合されるものである。底縁カバー32は、長孔に挿入される筒状部32aと、当該筒状部32aの下縁部に設けられるとともに前記ケース体の下面に当接する鍔部32bとを備える。
【0045】
また、前記周側面部30bと前記周側面部31bの下面側のそれぞれには、前記一対の支柱2a,2bおよび前記底縁カバー32,32を挿入するための切欠部30c,31cが形成されている。当該切欠部30c,31cは長孔を、いわゆる半割りした状態に形成されており、前記周側面部30bと前記周側面部31bとが接続されることで前記ケース体の下面に長孔を形成できるようになっている。
当該長孔は、前記ケース体の下面に二つ形成され、その長さ方向が前記可動側部材5の前後移動方向に沿うように配置されている。また、前記筒状部32aも、その長さ方向が前記可動側部材5の前後移動方向に沿うように配置されている。
【0046】
前記保持部33は、後述する回動操作部材13の回動軸部82を保持するものであり、
図4,
図5に示すように、前記前側カバー30の周側面部30bのうち左右側面のいずれか一方の、内面側(ケース体の内部中空部内)に設けられている。
また、保持部33は、前記回動軸部82に対して上方から当接する複数の上方当接部33aと、前記回動軸部82に対して下方から当接する下方当接部33bと、を備える。前記上方当接部33aは、当該上方当接部33aの先端部に相当する複数の爪部33c,33cを有するように形成されている。
また、前記上方当接部33aと前記下方当接部33bは、前記前側カバー30側から前記後側カバー31側に突出して形成されている。
【0047】
前記ボタン取付部34は、
図2〜
図5に示すように、前記操作部9であるボタン9を、前記前側カバー30および前記後側カバー31に取り付けるためのものであり、前記前側カバー30および前記後側カバー31の側方に配置されている。
このボタン取付部34は、前記前側カバー30と前記後側カバー31の側面から突出する筒状体であり、前記前側カバー30側に設けられる筒状前側部34aと、前記後側カバー31側に設けられる筒状後側部34bと、前記前側カバー30の内部側に設けられ、前記ボタン9を保持するリング状のボタン保持部34cと、を備える。
前記ボタン9は、前記ボタン保持部34cに保持された状態で、前記前側カバー30側の前記筒状前側部34aと前記後側カバー31側の前記筒状後側部34bとによって周囲を取り囲まれたような状態となる。このようにして前記ボタン9は前記ボタン取付部34に取り付けられる。
【0048】
前記複数の支持部35,36は、前記Xリンク機構を構成する前記内側リンク6および前記外側リンク7が回転可能に接続され、さらに該内側リンク6および外側リンク7を支持するものである。
また、前記複数の支持部35,36は、前記前側カバー30の後面のうち、内側リンク6および外側リンク7の前端部に対応する位置に設けられている。また、これら複数の支持部35,36は、前記前側カバー30の後面の左右幅方向の両側および上下方向の両側に配置されている。すなわち、前記前側カバー30の後面の4箇所に配置されている。
【0049】
上側に配置される支持部35,35には外側リンク7の前端部が接続され、下側に配置される支持部36,36には内側リンク6の前端部が接続される。
さらに、上側の複数の支持部35,35の互いに対向する面のそれぞれには、互いに対向する面側に突出する突出部35b,35bが一体形成されている。突出部35bは、被係合部10を当該支持部35に取り付けるためのものであり、後述する被係合部10の貫通孔63aに嵌合される。
なお、突出部35bの外径は、貫通孔63aの内径よりも若干小さく設定されている。また、前記支持部35の前記対向面の縁部の径よりも小さく設定されている。
【0050】
また、下側の複数の支持部36,36の互いに対向する面のそれぞれにも、互いに対向する面側に突出する突出部36b,36bが一体形成されている。突出部36bは、被係合部10を当該支持部36に取り付けるためのものであり、後述する被係合部10の貫通孔64aに嵌合される。
なお、突出部36bの外径は、貫通孔64aの内径よりも若干小さく設定されている。また、前記支持部36の前記対向面の縁部の径よりも小さく設定されている。
【0051】
また、前記上側の複数の支持部35,35および前記突出部35b,35bには、接続部材Sが挿入される貫通孔35aが左右幅方向に貫通するようにして形成されている。なお、当該上側の複数の支持部35,35の貫通孔35aは円孔とされている。
なお、前記前側カバー30の周側面部30bの左右両側面には、前記上側の複数の支持部35,35の貫通孔35a,35aの延長線上に位置する貫通孔30d,30dが形成されている。
そして、接続部材Sは、前記前側カバー30の左右両側面のうちどちらか一方の貫通孔30dから、前記リンク7(6)を前記複数の支持部35,35に接続するようにして、前記複数の支持部35,35および前記突出部35b,35bの貫通孔35aに挿入される。すなわち、前記接続部材Sは、前記リンク7(6)と前記支持部35,35と、当該支持部35,35に取り付けられる被係合部10,10とを貫通するようにして設けられている。
【0052】
また、下側の前記複数の支持部36,36および前記突出部36b,36bは、前記上方の複数の支持部35,35および前記突出部35b,35bよりも上下方向に長尺に形成されている。
さらに、当該複数の下方の支持部36,36および突出部36b,36bにも、後述する接続部材Sが挿入される貫通孔36aが左右幅方向に貫通するようにして形成されている。なお、当該下方の複数の支持部36,36および突出部36b,36bの貫通孔36aは、当該複数の支持部36,36に沿って上下方向に長尺な長孔とされている。
なお、前記前側カバー30の周側面部30bの左右両側面には、前記下側の複数の支持部36,36の長孔状の貫通孔36a,36aの延長線上に位置する貫通孔30e,30eが形成されている。なお、当該貫通孔30e,30eは、前記長孔状の貫通孔36a,36aの上端部の延長線上に位置する円孔とされている。
そして、接続部材Sは、前記前側カバー30の左右両側面のうちどちらか一方の貫通孔30eから、前記リンク6(7)を前記複数の支持部36,36に接続するようにして、前記複数の支持部36,36および前記突出部36b,36bの貫通孔36aに挿入される。すなわち、前記接続部材Sは、前記リンク6(7)と前記支持部36,36と、当該支持部36,36に取り付けられる被係合部10,10とを貫通するようにして設けられている。
【0053】
前記補強リブ37は、前記前側カバー30の後面に、前記複数の支持部36,36間の中央に位置するようにして設けられている。
また、この補強リブ37は後方に突出して形成されており、その突出量は、前記複数の支持部36,36に設けられる前記接続部材Sに干渉しない程度に設定されている。
なお、この補強リブ37が設けられた部位の前記前側カバー30の前面側は、当該補強リブ37の突出形状に対応して凹状に形成されている。
また、当該補強リブ37と、前記リンク(本実施の形態では内側リンク6)の前端部とが左右に並んで配置されている。すなわち、後述する内側リンク6の第一アーム40と第二アーム41との間に、当該補強リブ37が設けられた状態となっている。
【0054】
前記凹部38,38は、前記前側カバー30の後面に、後述する被係合部10,10の前方突出部65,65の位置に対応して形成されている。
また、凹部38,38は、前記下側の複数の支持部36,36の直上に位置している。そして、当該凹部38,38の外側縁部には、前記複数の支持部36,36と一体形成される補強リブ38a,38aが設けられている。なお、当該補強リブ38a,38aは、被係合部10,10の前方突出部65,65付近と対向している。
【0055】
(Xリンク機構)
前記Xリンク機構のうち、前記内側リンク6は、
図1,
図3,
図7〜
図11に示すように、上端部(後端部)が前記固定側部材4側に配置され、下端部(前端部)が前記可動側部材5側に配置されるリンクである。
また、前記外側リンク7は、上端部(前端部)が前記可動側部材5側に配置され、下端部(後端部)が前記固定側部材4側に配置されるリンクである。
なお、これら内側リンク6と外側リンク7の前後の向きは逆でも良いものとする。さらに、Xリンク機構は、前記接続部材Sを除いて樹脂製である。
【0056】
また、前記内側リンク6の上端部は、前記固定側部材4の前記左右両側に配置された上方の複数の支持部25,25間に位置するようにして配置されている。
前記外側リンク7の下端部は、前記固定側部材4の前記左右両側に配置された下方の複数の支持部26,26間に位置するようにして配置されている。
さらに、前記内側リンク6の下端部は、前記可動側部材5の前記左右両側に配置された下方の複数の支持部36,36間に位置するようにして配置されている。
前記外側リンク7の上端部は、前記可動側部材5の前記左右両側に配置された上方の複数の支持部35,35間に位置するようにして配置されている。
【0057】
また、前記内側リンク6および前記外側リンク7は、
図7に示すように、側面視において屈曲形状となっている。
そして、前記内側リンク6および外側リンク7は、中央の前記交差接続部8を介して回転可能に接続されている。
なお、Xリンク機構は一方のリンクと他方のリンクとが重なり合う箇所が必然的に生じるものである。したがって、前記交差接続部8は、前記Xリンク機構を構成する上で必然的に生じる前記内側リンク6と前記外側リンク7とが重なり合う箇所に配置される。
【0058】
また、前記交差接続部8は、前記内側リンク6の上端部と下端部にそれぞれ設けられた接続部材S,Sを結ぶ線上と、前記外側リンク7の上端部と下端部にそれぞれ設けられた接続部材S,Sを結ぶ線上に配置されている。
前記内側リンク6および前記外側リンク7のうち前記交差接続部8の部位には、前記内側リンク6および前記外側リンク7を貫通する円孔が形成されている。当該円孔には接続部材Sが挿入されている。すなわち、前記内側リンク6と前記外側リンク7は前記接続部材Sを回転軸として互いに回転可能に接続されている。
【0059】
本実施の形態の内側リンク6は、第一アーム40と、第二アーム41と、を備える。すなわち、本実施の形態の内側リンク6は、二つのアーム40,41によって構成されている。さらに、内側リンク6は、前記第一アーム40と前記第二アーム41の端部に設けられる複数の接続部42…を、さらに備える。
前記第一アーム40と前記第二アーム41は左右対称に形成され、互いに間隔をあけ、かつ等しい方向を向くようにして配置されている。なお、当該第一アーム40と第二アーム41との間の隙間には前記外側リンク7の内側部51が設けられている。
【0060】
前記第一アーム40は、左右両側面に補強部43を備え、前記第二アーム41は、左右両側面に補強部44を備える。これら補強部43,44は、ハニカム構造ではないが、複数のリブが配列された状態となっている。
【0061】
前記複数の接続部42…は、前記第一アーム40と前記第二アーム41それぞれの上下端部であり、前記固定側部材4の上方の支持部25,25および前記可動側部材5の下方の支持部36,36に接続され、かつ当該上方の支持部25,25および下方の支持部36,36によって支持される部分を指している。
【0062】
また、前記第一アーム40と前記第二アーム41の上端部側の接続部42,42には、前記接続部材Sが挿入される貫通孔が、当該接続部42,42を左右幅方向に貫通するようにして形成されている。なお、当該貫通孔は円孔とされている。
なお、当該貫通孔は前記接続部材Sが挿入されるものであるため、前記固定側部材4の前記上側の複数の支持部25,25に形成された貫通孔25a,25aの延長線上に配置されている。そして、前記上側の支持部25,25の円孔と前記上端部側の接続部42,42の円孔には前記接続部材Sが挿入されている。すなわち、前記第一アーム40と前記第二アーム41は、前記接続部材Sを回転軸とし、当該接続部材Sを介して前記固定側部材4に回転可能に接続されている。
【0063】
さらに、前記第一アーム40と前記第二アーム41の下端部側の接続部42,42にも同様に貫通孔(円孔)が形成されている。
そして、前記可動側部材5の前記下側の複数の支持部36,36の長孔36a,36aと前記下端部側の接続部42,42の円孔には接続部材Sが挿入されている。すなわち、前記第一アーム40と前記第二アーム41は、前記接続部材Sを回転軸とし、当該接続部材Sを介して前記可動側部材5に回転可能に接続されている。
また、前記第一アーム40と前記第二アーム41の下端部側の接続部42,42に設けられた前記接続部材Sは、前記下側の複数の支持部36,36に形成された長孔36a,36aに沿って上下方向に移動可能とされている。つまり、前記第一アーム40と前記第二アーム41の下端部は、前記可動側部材5の前後移動に応じて、前記下方の支持部36,36に沿って上下方向に移動可能とされている。
なお、前記第一アーム40の下端部側の接続部42と、前記第二アーム41の下端部側の接続部42との間に、前記補強リブ37が設けられた状態となっている。
【0064】
本実施の形態の外側リンク7は、左右の側壁部50,50と、当該左右の側壁部50,50間に設けられる内側部51と、複数の接続部52…と、複数の補強部53…とを、備える。そして、前記左右の側壁部50,50と、前記内側部51と、前記複数の接続部52,52と、前記複数の補強部53…は一体形成されている。
【0065】
前記左右の側壁部50,50は、前記内側リンク6の前記第一アーム40および前記第二アーム41の外側に位置する部位を指しており、前記第一アーム40と前記第二アーム41と交差し、当該第一アーム40と第二アーム41とを挟み込んだような状態に配置されている。
【0066】
前記内側部51は、前記内側リンク6の前記第一アーム40と前記第二アーム41と交差し、前記左右の側壁部50,50によって挟み込まれる部位を指している。
前記内側部51のうち前記第一アーム40と前記第二アーム41と交差する部位には、これら第一アーム40と第二アーム41とが挿通されるアーム挿通孔51a,51aが形成されている。
なお、前記アーム挿通孔51a,51aは、前記内側リンク6と前記外側リンク7とを折り畳んだ際に、前記内側部51と、前記第一アーム40および前記第二アーム41とが干渉しない大きさに設定されている。
【0067】
なお、前記可動側部材5を前記固定側部材4側に戻した際には、前記内側部51と、前記第一アーム40および前記第二アーム41とが当接するように構成されている。前記内側部51は、前記第一アーム40と前記第二アーム41とが当接する部位が凹状に形成されており(凹状部51b)、前記可動側部材5を前記固定側部材4側に戻した際に、当該内側部51の凹状部51bに、前記第一アーム40と前記第二アーム41とが収容される。これによって、前記内側リンク6と前記外側リンク7とをコンパクトに折り畳めるようになっている。
この凹状部51bは、前記内側部51の上部後面側の左右両端部と、下部前面側の左右両端部とに形成されている。
【0068】
前記複数の接続部52,52は、前記外側リンク7の上下端部であり、前記固定側部材4の下方の支持部26,26および前記可動側部材5の上方の支持部35,35に接続され、かつ当該下方の支持部26,26および上方の支持部35,35によって支持される部分を指している。
【0069】
また、前記接続部52,52には、前記接続部材Sが挿入される貫通孔が、当該接続部52,52を左右幅方向に貫通するようにして形成されている。なお、当該貫通孔は円孔とされている。
なお、当該貫通孔は前記接続部材Sが挿入されるものであるため、前記固定側部材4の前記下側の複数の支持部26,26に形成された貫通孔26a,26aの延長線上と、前記可動側部材5の前記上側の複数の支持部35,35に形成された貫通孔35a,35aの延長線上とに、それぞれ配置されている。
そして、前記下側の支持部26,26の長孔と前記下端部側の接続部52の円孔には前記接続部材Sが挿入されている。
また、前記下端部側の接続部52に設けられた前記接続部材Sは、前記下側の複数の支持部26,26に形成された長穴26a,26aに沿って上下方向に移動可能とされている。つまり、前記外側リンク7のの下端部は、前記可動側部材5の前後移動に応じて、前記下方の支持部26,26に沿って上下方向に移動可能とされている。
また、前記上側の支持部35,35の円孔と前記上端部側の接続部52の円孔には前記接続部材Sが挿入されている。すなわち、前記外側リンク7の上端部は、前記接続部材Sを回転軸とし、当該接続部材Sを介して前記可動側部材5に回転可能に接続されている。
【0070】
前記複数の補強部53…は、前記外側リンク7の複数の部位に設けられるものであり、これら複数の補強部53…のうち少なくとも一つはハニカム構造に形成されている。
本実施の形態においては、前記外側リンク7のうち前記凹状部51bが形成された部位の反対側面、すなわち、前記内側部51の上部前面側の左右両端部と、下部後面側の左右両端部とに設けられている。さらに、前記内側部51のうち、前記内側リンク6の第一アーム40と前記第二アーム41との間に位置する部位の上部後面と下部前面とに設けられている。
また、本実施の形態においては前記複数の補強部53…の全てがハニカム構造とされている。
【0071】
以上のような構成を採用することにより、前記可動側部材5を、可動機構である前記Xリンク機構を介して前記固定側部材4に対して前方に離間する方向および後方に戻る方向に移動させることができる。
【0072】
次に、前記前後ロック機構および前記上下ロック機構についてより詳細に説明する。
【0073】
(前後ロック機構)
前記前後ロック機構は、上述のように、被係合部10と、当該被係合部10に係合するロック部材11と、当該ロック部材11を前記被係合部10側に付勢する付勢手段12と、前記可動側部材5に回動自在に保持されるとともに、前記ロック部材11を操作する回動操作部材13と、を有する。
【0074】
前記被係合部10は、金属製であり、
図1,
図3,
図5等に示すように、前記前側カバー30の後面に取り付けられており、当該前側カバー30の後面から前記固定側部材4に向かって突出している。
また、前記被係合部10は複数用いられており、これら複数の被係合部10,10は、前記Xリンク機構を挟んだ位置に配置されている。
【0075】
前記被係合部10は、前後方向に並設された複数の歯60a…を有するラチェット構造とされ、前記複数の歯60a…は、下方から上方に向かって突出形成されている。
また、この被係合部10は、第一突出部60と、第二突出部61と、隙間62と、取付部63,64と、前方突出部65と、を有する。
さらに、この被係合部10は、側面視において略T字状に形成されている。すなわち、前記第一突出部60および前記第二突出部61は、略水平方向に突出している。また、前記取付部63は略垂直方向上向きに突出し、前記取付部64は略垂直方向下向きに突出している。
【0076】
前記第一突出部60は、前記複数の歯60aが形成されるとともに、前記被係合部10は前記前側カバー30の後面に取り付けられた状態で、前記可動側部材5から前記固定側部材4に向かって突出している。
また、この第一突出部60は、下方から上方に向かって突出形成される前記複数の歯60a…が形成されるため、当該複数の歯60a…よりも下方に位置する。すなわち、この第一突出部60の上端部から前記複数の歯60a…が突出形成された状態となっている。
なお、第一突出部60の先端部は、先細り状に形成され、前記後側カバー31の前記先端収納部31dに収納される。
【0077】
前記第二突出部61は、前記第一突出部60と平行し、かつ前記複数の歯60a…の上端部から間隔をあけて配置される。この第二突出部61と前記第一突出部60の前記複数の歯60a…との間が、前記隙間62とされている。
なお、第二突出部61の先端部は、前記後側カバー31の前記先端収納部31dに収納される。
【0078】
前記取付部63,64は、前記接続部材Sが貫通される前記貫通孔63a,64aが形成されるとともに、前記前側カバー30に取り付けられるものである。
前記取付部63は、前記第二突出部61の基端部(前方)側から上方に突出形成され、前記取付部64は、前記第一突出部60の基端部(前方)側から下方に突出形成されている。
【0079】
前記貫通孔63aは、上述のように、前記上側の複数の支持部35,35の前記突出部35b,35bが嵌合されるものである。すなわち、前記貫通孔63aと前記突出部35bとを嵌合させることによって、前記取付部63を、前記前側カバー30の後面に取り付けることができる。
なお、前記取付部63には、前記貫通孔63aの下方にスリット63bが形成されている。このスリット63bは、前記被係合部10の軽量化に貢献している。
【0080】
前記貫通孔64aは、上述のように、前記下側の複数の支持部36,36の前記突出部36b,36bが嵌合されるものである。すなわち、前記貫通孔64aと前記突出部36bとを嵌合させることによって、前記取付部64を、前記前側カバー30の後面に取り付けることができる。
前記貫通孔64aは、前記支持部36および前記突出部36bの形状および前記貫通孔36aの形状に対応して、上下方向に長尺な長孔とされている。
なお、
図9,
図11に示すように、当該貫通孔64aと、前記複数の歯60a…のうち最前方の歯60aとが垂直方向に並んで配置されている。
【0081】
前記前方突出部65は、前記被係合部10の前側に位置し、前記取付部63,64よりも前方に突出している。
前方突出部65は、前記前側カバー30の後面に形成された前記凹部38に挿入されるものであり、前記凹部38の外側縁部に設けられた前記補強リブ38aと対向して配置されている。
【0082】
前記ロック部材11は、前記被係合部10に係合して、当該被係合部10とともに前記前後ロック機構の主要部を構成するものであり、
図1,
図3,
図6〜
図12に示すように、被保持部70と、係合部71,71と、連結部72,72と、を備える。
【0083】
前記被保持部70は、金属製のシャフトで、かつ前記固定側部材4に保持されるものであり、
図6,
図7に示すように、前記固定側部材4の後方に配置され、かつ当該固定側部材4の後面に設けられた前記保持部21に上方から差し込まれて保持されている。
また、この被保持部70は、前記第一突出部60と前記第二突出部61との間の前記隙間62に配置されている。なお、この被保持部70は、前記係合部71,71よりも上方に配置されている。
さらに、この被保持部70の両端部は、その後面側が、前記後側カバー31の前記先端収納部31dの前記スリット31fに挿入された状態となっている。
【0084】
前記係合部71,71は、金属製のシャフトで、かつ前記被保持部70と平行に配置されるとともに当該被保持部70を軸に回動し、前記複数の歯60a…側に付勢されて係合するものである。また、これら係合部71,71は、前記固定側部材4の前方に配置されている。
また、これら係合部71,71は、前記付勢手段12によって付勢されることで前記複数の歯60a…に係合する位置に配置されており、前記付勢手段12による付勢の方向とは反対の方向に動作した場合には、
図12に示すように、前記隙間62の位置まで移動できるようになっている。
また、これら係合部71,71のうち前記複数の歯60a…側の端部(先端部)は、前記被係合部10,10よりも内側に突出している。ただし、前記Xリンク機構には到達しない程度の突出長さに設定されている。
【0085】
前記連結部72,72は、金属製のシャフトで、かつ前記被保持部70の端部と前記係合部の端部とを連結するものであり、前記固定側部材4の左右両側方に配置される。すなわち、前記ロック部材11は、前記固定側部材4の周囲を取り囲むようにして略C字状に形成されている。
これら連結部72,72のうち、前記回動操作部材13が配置される側の一方の連結部72には、当該一方の連結部72と、前記被保持部70および前記係合部71の一方の連結部72側の端部を被覆するカバー部材73が一体的に取り付けられている。すなわち、当該一方の連結部72は、前記カバー部材73を含んで構成されている。
また、前記連結部72の前記カバー部材73は、
図6に示すように、前記固定側部材4の側面に当接している。
なお、本実施の形態のカバー部材73は、前記一方の連結部72を被覆するものとしたが、前記被保持部70の一端部と前記係合部71の一端部とが取り付けられる部材として構成されていてもよい。
【0086】
また、前記連結部72の前記カバー部材73は、当該カバー部材73のうち前記係合部71の位置に対応する部位に設けられ、前記回動操作部材13側に突出するとともに当接する突出当接部74を有する。
なお、この突出当接部74は、前記回動操作部材13の動作に対応できるように、丸みを帯びて形成されている。
【0087】
さらに、前記カバー部材73は、当該カバー部材73と一方の前記支柱2aに設けられた前記突部2cとの干渉を避ける逃げ部75を有する。
この逃げ部75は、前記カバー部材73の前記固定側部材4側面のうち、前記突部2cに対応する位置に凹状に形成されている。
【0088】
前記付勢手段12は、前記ロック部材11の前記係合部71,71を、前記被係合部10側に付勢するものであり、
図1,
図3,
図8〜
図12に示すように、本実施の形態においてはコイル状の引張バネが採用されている。
この引張バネ12は、両端部がフック状に形成されたフック部12a,12aとされている。これらフック部12a,12aのうち一方は、前記係合部71に引っ掛けられ、他方は、前記固定側部材4の前記ロック保持部28に設けられた前記引掛部28bに引っ掛けられており、前記係合部71と前記ロック保持部28との間に設けられている。さらに、この引張バネ12は複数であり、前記ロック部材11の両方の係合部71,71と、前記固定側部材4の両方のロック保持部28,28とに設けられている。
すなわち、前記係合部71,71は、前記引張バネ12,12によって前記ロック保持部28,28側に引っ張られ、これによって、前記複数の歯60a…側に付勢された状態となっている。
【0089】
なお、本実施の形態の付勢手段12は、前記係合部71と前記ロック保持部28との間に設けられるコイル状の引張バネ12としたが、これに限られるものではない。例えば
図14に示すように、前記固定側部材4の後面側から前面側に伸びる先端部12Abを有する巻き締まりバネ12Aを採用してもよい。
このような巻き締まりバネ12Aは、本体部12Aaは前記固定側部材4の後面側に配置され、前記被保持部70に巻き付けられて固定されている。先端部12Abは、前記固定側部材4の側面を通り、前記係合部71に引っ掛けられている。これによって、前記係合部71を前記被係合部10の複数の歯60a…係合させることができる。
【0090】
前記回動操作部材13は、樹脂製であり、
図1,
図3,
図4,
図6等に示すように、前記可動側部材5に回動自在に保持されるとともに、前記ロック部材11の前記係合部71を操作するものである。すなわち、この回動操作部材13は、前記ロック部材11の前記係合部71の操作時に、当該係合部71を前記引張バネ12の付勢方向とは反対の方向に動作させて前記被係合部10の前記複数の歯60a…との係合状態を解除する方向に回転する。
また、前記回動操作部材13は、前記ロック部材11の前記係合部71が前記引張バネ12によって付勢される方向に設けられている。
また、この回動操作部材13は、第一操作部80と、第二操作部81と、回動軸となる回動軸部82と、を有する。なお、これら第一操作部80と第二操作部81と回動軸部82は一体形成されている。
【0091】
前記回動軸部82は、円柱状に形成されており、当該円柱状の外周面に前記保持部33の前記上方当接部33aと前記下方当接部33bとが当接することによって保持される。
また、前記保持部33に対する前記回動操作部材13の組み付け方向は、当該回動操作部材13の回動軸方向(すなわち、回動軸部82の長さ方向)に沿うように設定されている。すなわち、前記回動操作部材13は、前記保持部33によって保持された状態では、その組み付け方向とは反対の方向(すなわち、前記保持部33の突出方向)以外には容易に取り外せないように構成されている。
さらに、この回動軸部82は、前記前後ロック機構の下方に配置されるとともに、前記上下ロック機構の上方に配置されている。
【0092】
前記第一操作部80は、前記前後ロック機構を操作するためのものであり、前記回動軸部82の外周面のうち、前記上方当接部33aと前記下方当接部33bとが当接しない範囲の部位から、前記固定側部材4に向かって突出するようにして形成されている。この第一操作部80の突出方向先端は、前記ロック部材11の前記カバー部材73の下方に位置し、上面が前記突出当接部74に当接している。
また、この第一操作部80の突出方向先端は、前記回動軸部82よりも下方に配置されている。したがって、第一操作部80を、前記回動軸部82を軸にして上方に回転させれば、前記カバー部材73を上方に移動させることができる。
【0093】
なお、前記回動操作部材13は、当該回動操作部材13の回動時に前記保持部33の先端が挿入される凹部83,83を有する。すなわち、前記第一操作部80と前記回動軸部82との境界部分には、前記回動操作部材13の回動時に、前記保持部33の上方当接部33aの前記複数の爪部33c,33cが挿入される凹部83,83が形成されている。したがって、前記回動操作部材13が上方に回転した際に、前記爪部33c,33cが前記凹部83,83に挿入されるので、その分の回転移動量が増加することになる。
【0094】
前記第二操作部81は、前記上下ロック機構を操作するためのものであり、前記第一操作部80の下面中央付近から下方に向かって突出するようにして形成されている。この第二操作部81の突出方向先端は、上下ロック部材14よりも下方に配置され、この第二操作部81の突出方向中央付近は、上下ロック部材14と略等しい高さに配置されている。
また、この第二操作部81の前記固定側部材4側面は、前記上下ロック機構のロック時には、前記上下ロック部材14から離間しており、ロック解除時には前記上下ロック部材14に当接される。また、第二操作部81の前記固定側部材4側面とは反対の側面は、後述するボタン9に当接している。
【0095】
以上のような構成を採用することにより、前記固定側部材4に対する前記可動側部材5の前後方向への移動を複数の位置、すなわち前記係合部71が前記複数の歯60a…に係合する位置でロックおよびロック解除できる。
【0096】
(上下ロック機構)
前記上下ロック機構は、前記一対の支柱2a,2bに対して設けられており、前記固定側部材4を、前記一対の支柱2a,2bに対して上下方向の複数の位置でロックおよびロック解除するものである。
この上下ロック機構は、前記一対の支柱2a,2bのうち少なくとも一方に形成された複数の切欠15…と、前記一対のピラー保持部4a,4bと、前記上下ロック部材14と、前記回動操作部材13と、を有する。
【0097】
前記複数の切欠15…は、前記一対の支柱2a,2bのうち少なくとも前記上下ロック部材14が設けられる側の支柱2aに形成されていればよい。ただし、前記一対のホルダー部3,3のロック部3d,3dによる支柱2a,2bの引き抜き防止構造に、前記複数の切欠15…が用いられるため、本実施の形態においては一対の支柱2a,2bの双方に前記複数の切欠15…が形成されている。
また、これら複数の切欠15…は、
図1,
図6,
図10に示すように、前記一対の支柱2a,2bの長さ方向に沿って多段状に形成されている。さらに、これら複数の切欠15…は、前記一対の支柱2a,2bの中央寄りの外周面に形成されている。
【0098】
前記一対のピラー保持部4a,4bは、上述のように前記一対の支柱2a,2bをそれぞれ保持するものであり、これによって、前記固定側部材4を、前記一対の支柱2a,2bに沿って上下方向に移動可能としている。
なお、この固定側部材4の上下移動範囲は、前記一対の支柱2a,2bに設けられた前記突部2c,2cが、前記固定側部材4の側面に形成されたスリット31f,31fに沿ってスライドできる範囲に基づく。
【0099】
前記上下ロック部材14は、前記一対のピラー保持部4a,4bに形成されたロック保持部28,28のうち前記回動操作部材13が設けられる側のロック保持部28によって保持されている。
この上下ロック部材14は、前記ロック保持部28の内部で前記切欠15に対して係合する係合部(図示せず)と、該係合部を前記切欠15に対して係合させる方向に付勢する付勢部材(図示せず)と、を備える。
したがって、上下ロック部材14を前記ロック保持部28の奥側に押し込むように操作すれば、図示しない前記係合部が前記切欠15から離間し、上下ロック部材14を操作しなければ、図示しない前記係合部が前記切欠15に係合した状態となる。
【0100】
前記回動操作部材13は、上述のように前記上下ロック部材14を操作するための前記第二操作部81を備える。なお、この第二操作部81のうち前記上下ロック部材14に当接する側面には、前記上下ロック部材14への当接時に、前記上下ロック部材14の下端部に係合する溝部84が形成されている。
また、前記第一操作部80と前記第二操作部81は連動して回動し、前記第二操作部81は、前記第一操作部80による前記前後ロック機構のロック解除動作と同時に、前記上下ロック機構によるロック解除動作を行うことができる。
【0101】
また、前記回動操作部材13の前後方向の長さは、前記可動側部材5の移動距離に応じた長さに設定されている。すなわち、前記第一操作部80は、その長さ方向のどの部位にも前記突出当接部74が当接することになる。また、前記第二操作部81は、その長さ方向のどの部位にも前記ボタン9が当接し、どの部位も前記上下ロック部材14に当接する。また、前記回動軸部82は、その長さ方向にわたって前記保持部33によって保持されることになる。
さらに、前記第二操作部81の長さ方向のどの部位にも前記ボタン9が当接するため、前記回動操作部材13と前記ボタン9との位置関係は、前記可動側部材5の前後移動に応じて変わることになるが、前記可動側部材5である前記前側カバー30および前記後側カバー31と、前記ボタン9との位置関係が変わらない状態となる。
【0102】
以上のような構成を採用することにより、前記固定側部材4を、前記一対の支柱2a,2bに対して上下方向の複数の位置、すなわち前記複数の切欠15…が形成された位置でロックおよびロック解除できる。
【0103】
前記操作部9であるボタン9は、上述のように前記前側カバー30と前記後側カバー31の側面に設けられた前記ボタン取付部34に取り付けられるものであり、前記回動操作部材13に当接する。そして、前記内部中空部側に押し込まれることによって前記回動操作部材13を操作できるようになっている。
このボタン9は、ボタン本体90と、筒状部91と、を備える。
【0104】
前記ボタン本体90は、前記筒状部91に挿入され、この筒状部91に沿って進退自在とされている。また、このボタン本体90は、表面部90aと、突出部90bと、を有する。
表面部90aは、ボタン9の操作者が直接触れる部分である。
突出部90bは、ボタン本体90の前記内部中空部側の端部に設けられ、前記回動操作部材13に当接する部位である。より具体的には、この突出部90bは、前記回動操作部材13の前記第二操作部81の下端部(突出方向先端)に当接している。
【0105】
前記筒状部91は、前記ボタン取付部34の前記ボタン保持部34cに挿入されて保持されるものであり、前記ボタン保持部34cに挿入された際に、当該ボタン保持部34cに係合する複数の係合爪部91aを有する。
【0106】
以上のような構成を採用することにより、前記回動操作部材13を、前記回動軸部82を軸にして上方に回転させることができ、これに伴って前記第一操作部80によって前記ロック部材11を操作でき、前記第二操作部81によって前記上下ロック部材14を操作できる。
【0107】
次に、以上のように構成されたヘッドレスト1の動作について説明する。
前記ヘッドレスト1の動作としては、前記可動側部材5が、前記固定側部材4に対して前方に離間する方向および、前方に離間した状態から後方に戻る方向への移動する動作を含む。さらに、前記一対のピラー保持部4a,4bを含む固定側部材4が、前記一対の支柱2a,2bに沿って上下方向に移動する動作を含む。
【0108】
まず、前記可動側部材5の動作について説明する。
図8,
図9は、前記可動側部材5が、前記固定側部材4に近づいている状態を示している。すなわち、最後方ではないが、後方に戻った状態となっている。前記ボタン9の非操作時には、前記係合部71は、前記被係合部10の歯60aに係合した状態となっており、前記可動側部材5の前後方向への移動がロックされている。
【0109】
この状態から前記可動側部材5を、前記固定側部材4に対して前方に離間させるには、まず、前記ボタン9を押し込むことによって前記回動操作部材13を前記Xリンク機構側に回転さる。これに伴って、前記第一操作部80を上方に回転させ、前記カバー部材73が設けられた前記係合部71を上方へと押し上げる。
これによって、前記係合部71が前記被係合部10の歯60aから離間するため、前記ロック部材11による前記可動側部材5の前後方向への移動のロックを解除することができる。
【0110】
そして、前記係合部71を上方に押し上げた状態を維持しながら、前記可動側部材5を、前記固定側部材4に対して前方に離間する方向に移動させる。
この時、前記被係合部10は、前記内側リンク6および前記外側リンク7の回転動作に伴って前方へと移動していく。この時、前記内側リンク6の前記接続部材Sと前記外側リンク7の前記接続部材Sは、前記下方の複数の支持部26,36の長穴26a,長孔36aに沿って上方に移動していく。
【0111】
そして、任意の位置で前記ボタン9の操作を止めれば、前記係合部71は前記引張バネ12の付勢力にしたがって前記複数の歯60a…側に付勢されて元の位置に戻り、当該複数の歯60a…のいずれかに噛み合うことになる。これによって、
図10,
図11に示すように、前記可動側部材5を前記固定側部材4に対して前方に離間する方向に移動させ、所望の位置でロックをかけることができる。
【0112】
なお、この時、前記係合部71が隣り合う歯60a,60a間の谷間に入らずに前記歯60aの突端付近に接触する場合がある。この場合は、前記ボタン9を操作しない状態で、前記可動側部材5を前後どちらかに移動させれば、前記係合部71が直近の前記谷間に入り込むことになり、前記可動側部材5のロックをかけることができる。
【0113】
前記可動側部材5を後方に戻す際も同様に、まず前記ボタン9を押し込んで前記カバー部材73を操作し、前記係合部71によるロックを解除する。
その後は、前記可動側部材5を後方に戻し、任意の位置で前記ボタン9の操作を止めればよい。この時、前記Xリンク機構等は、前記可動側部材5を前方に移動させる場合とは逆の動きをすることになる。
以上のようにして、前記可動側部材5を前後方向に移動させ、さらに前記被係合部10の前記複数の歯60a…の配列に応じた段階的な位置調整が可能となる。つまり、前記ヘッドレスト1の前後方向の位置調整を段階的に行えることになる。
【0114】
続いて、前記一対のピラー保持部4a,4bを含む固定側部材4の上下の動作について説明する。
前記一対のピラー保持部4a,4bは、
図8,
図9に示す状態が、前記一対の支柱2a,2bの下方側に位置した状態となっている。前記ボタン9の非操作時には、前記上下ロック部材14の前記係合部は、前記支柱2aの下方側の一つの切欠15に係合した状態となっており、前記一対のピラー保持部4a,4bの上下方向への移動がロックされている。
【0115】
この状態から前記一対のピラー保持部4a,4bを、前記一対の支柱2a,2bに沿って上方に移動させるには、まず、前記ボタン9押し込むことによって前記回動操作部材13を前記Xリンク機構側に回転させる。これに伴って、前記第二操作部81を前記Xリンク機構側に回転させ、前記上下ロック部材14を、前記ロック保持部28の奥側へと押し込んで、図示しない前記係合部を前記ロック保持部28の奥側へと移動させる。
これによって、前記上下ロック部材14の前記係合部が前記支柱2aの前記切欠15から離間するため、前記上下ロック部材14の前記係合部による前記一対のピラー保持部4a,4bの上下方向への移動のロックを解除することができる。
【0116】
そして、前記上下ロック部材14の前記係合部を、前記ロック保持部28の奥側へと移動させた状態を維持しながら、前記一対のピラー保持部4a,4b延いては固定側部材4を前記一対の支柱2a,2bに沿って上方に移動させる。
この時、前記可動側部材5、前記Xリンク機構等は、前記固定側部材4の移動に伴って上方へと移動する。
【0117】
そして、任意の位置で前記ボタン9の操作を止めれば、前記上下ロック部材14の前記係合部は、図示しない前記付勢部材の付勢力により元の位置に戻り、前記支柱2aの上方側の一つの切欠15に係合することとなる。これによって、
図10,
図11に示すように、前記一対のピラー保持部4a,4bを前記一対の支柱2a,2bに沿って上方に移動させ、所望の位置でロックをかけることができる。
【0118】
なお、この時、前記上下ロック部材14の前記係合部が、上下に隣り合う切欠15,15間に位置する前記支柱2aの外周面に接触する場合がある。この場合は、前記ボタン9を操作しない状態で、前記一対のピラー保持部4a,4bを上下どちらかに移動させれば、前記係合部が直近の前記切欠15に係合することになり、前記一対のピラー保持部4a,4bのロックをかけることができる。
【0119】
前記一対のピラー保持部4a,4bを下方に移動させる際も同様に、まず前記ボタン9を押し込んで前記第二操作部81を操作し、前記上下ロック部材14の前記係合部によるロックを解除する。
その後は、前記一対のピラー保持部4a,4b延いては固定側部材4を下方に移動させ、任意の位置で前記ボタン9の操作を止めればよい。この時、前記可動側部材5、前記Xリンク機構等も、前記一対のピラー保持部4a,4bの移動に伴って下方へと移動する。
以上のようにして、前記一対のピラー保持部4a,4bを上下方向に移動させ、さらに前記支柱2aの前記複数の切欠15…に応じた段階的な位置調整が可能となる。つまり、前記ヘッドレスト1の上下方向の位置調整を段階的に行えることになる。
【0120】
本実施の形態によれば、前記付勢手段12によって、前記ロック部材11を前記被係合部10に係合させてロックできるとともに、前記ロック部材11の操作後の前記回動操作部材13を元の位置に戻すことができるので、前記可動側部材5の前後方向の位置調整に係る部品の点数を抑制することが可能となる。
【0121】
また、前記ロック部材11が前記付勢手段12によって付勢される方向に、前記回動操作部材13が設けられるので、前記回動操作部材13によって前記ロック部材11を付勢方向とは反対の方向に動作させやすくなる。
したがって、前記回動操作部材13によって前記ロック部材11を付勢方向とは反対の方向に動作させやすくしたいという要望に対して好適に対応できる。
【0122】
また、前記回動操作部材13に対し、前記可動側部材5の移動距離に応じた前後方向に広い範囲で当該回動操作部材13を回動させるための力を付与できる。
したがって、前記回動操作部材13に対し、前記可動側部材5の移動距離に応じた前後方向に広い範囲で当該回動操作部材13を回動させるための力を付与したいという要望に対して好適に対応できる。
【0123】
また、前記付勢手段12によって、前記第一操作部80による前記前後ロック機構のロック解除動作と、前記上下ロック機構によるロック解除動作とを同時に行うことができるので、前記可動側部材5の前後方向の位置調整に係る部品だけでなく、前記固定側部材4の上下方向の位置調整に係る部品の点数を抑制することも可能となる。
【0124】
また、前記回動操作部材13を上方に向かって回動させれば、前記回動操作部材13によって前記前後ロック機構と前記上下ロック機構の双方を同時に操作できる。
したがって、前記回動操作部材13によって前記ロック部材11を付勢方向とは反対の方向に動作させやすくしたいという要望に対して好適に対応できる。
【0125】
また、前記ロック部材11の前記係合部71を、前記被保持部70を軸に回動させて、前記付勢手段12によって複数の歯60a…に係合させることができる。
また、前記被保持部70は、前記係合部71よりも上方に配置されているので、前記係合部71を、前記被保持部70と平行または前記被保持部70よりも上方に移動させることによりロック解除できる。さらに、ロック時には前記係合部71を前記被保持部70よりも下方に付勢するので、前記係合部71にかかる重力を考慮すれば、前記係合部71を前記被保持部70よりも上方に付勢する場合に比して好適となる。
したがって、前記被保持部70を、前記係合部71よりも上方に配置して、ロック時に前記係合部71を前記被保持部70よりも下方に付勢し、前記係合部71を前記複数の歯60a…に係合させやすくしたいという要望に対して好適に対応できる。
【0126】
また、前記貫通孔23a,23bにそれぞれ挿通された前記第一突出部60と前記第二突出部61は、当該貫通孔23a,23bが形成された前記固定側部材4によって保持されることになる。この状態で、前記第一突出部60と前記第二突出部61の間の隙間62に前記被保持部70が配置されているので、前記第二突出部61によって前記被保持部70の上方への抜け出しを抑制できる。
したがって、前記被保持部70の上方への抜け出しを抑制したいという要望に対して好適に対応できる。
【0127】
また、前記回動操作部材13を回動させることによって前記突出当接部74を動作させることができ、これに伴って前記連結部72も動作させることができる。また、前記突出当接部74は前記係合部71の位置に対応しているので、前記被保持部70を軸にして前記係合部71を回転させる際に、前記回動操作部材13によって前記係合部71を必要以上に回動方向に移動させることを抑制できる。
したがって、前記被保持部70を軸にして前記係合部71を回転させる際に、前記回動操作部材13によって前記係合部71を必要以上に回動方向に移動させることを抑制したいという要望に対して好適に対応できる。
【0128】
また、前記被保持部70と前記係合部71と前記連結部72とによって前記固定側部材4を取り囲むことができ、前記連結部72の前記カバー部材73が前記固定側部材4の側面に当接するので、前記カバー部材73が前記固定側部材4の側面に当接する方向において前記ロック部材11は外れにくくなるとともに、ガタを抑制できる。
したがって、前記カバー部材73が前記固定側部材4の側面に当接する方向において前記ロック部材11を外れにくくするとともに、ガタを抑制したいという要望に対して好適に対応できる。
【0129】
また、前記突部2cが前記スリット31fに設けられることによって、前記ヘッドレストピラー2の前記一対の支柱2a,2bが周方向に回転することを抑制できる。さらに、前記連結部72の前記カバー部材73は、前記突部2cとの干渉を避ける逃げ部75を有するので、前記連結部72のカバー部材73と前記突部2cとの干渉を抑制し、前記ロック部材11の操作性を向上できる。
したがって、前記連結部72のカバー部材73と前記突部2cとの干渉を抑制し、前記ロック部材11の操作性を向上させたいという要望に対して好適に対応できる。
【0130】
また、前記回動操作部材13の前記保持部33への組み付け方向と、前記回動操作部材13による前記ロック部材11の解除操作の方向とが異なる向きとなるので、前記回動操作部材13が前記保持部33から外れにくくなる。
したがって、前記回動操作部材13を前記前側カバー30の前記保持部33から外れにくくしたいという要望に対して好適に対応できる。
【0131】
また、回動時に前記保持部33の先端の爪部33c,33cが前記凹部83,83に挿入されるので、前記回動操作部材13が回動している間は回転軸方向に抜け出にくくなり、前記回動操作部材が保持部33からより外れにくくなる。
したがって、前記回動操作部材13を前記前側カバー30の前記保持部33から、より外れにくくしたいという要望に対して好適に対応できる。
【0132】
特許請求の範囲に記載した以外の発明の代表的なものとして、次のものがあげられる。
(1)ヘッドレストピラーに設けられる固定側部材と、
可動機構を介して前記固定側部材に連結され、当該固定側部材に対して前後方向に移動可能とされた可動側部材と、
前記固定側部材に対する前記可動側部材の前後方向への移動をロックおよびロック解除する前後ロック機構と、を備えており、
前記前後ロック機構は、
被係合部と、
前記被係合部に係合するロック部材と、
前記ロック部材を、前記被係合部側に付勢する付勢手段と、
前記可動側部材に回動自在に保持されるとともに、前記ロック部材を操作する回動操作部材と、を有しており、
前記回動操作部材は、前記ロック部材の操作時に、当該ロック部材を前記付勢手段の付勢方向とは反対の方向に動作させて前記被係合部との係合状態を解除する方向に回転することを特徴とするヘッドレスト。
【0133】
(2)前記ロック部材が前記付勢手段によって付勢される方向に、前記回動操作部材が設けられていることを特徴とする(1)に記載のヘッドレスト。
【0134】
(3)前記回動操作部材の前後方向の長さは、前記可動側部材の移動距離に応じた長さに設定されていることを特徴とする(1)または(2)に記載のヘッドレスト。
【0135】
(4)前記固定側部材を、前記ヘッドレストピラーに対して上下方向の複数の位置でロックおよびロック解除する上下ロック機構をさらに備えており、
前記回動操作部材は、
前記前後ロック機構を操作する第一操作部と、
前記上下ロック機構を操作する第二操作部と、を有しており、
前記第一操作部と前記第二操作部は連動して回動し、前記第二操作部は、前記第一操作部による前記前後ロック機構のロック解除動作と同時に、前記上下ロック機構によるロック解除動作を行うことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載のヘッドレスト。
【0136】
(5)前記回動操作部材の回動軸は、前記前後ロック機構の下方に配置されるとともに、前記上下ロック機構の上方に配置されていることを特徴とする(4)に記載のヘッドレスト。
【0137】
(6)前記被係合部は、前後方向に並設された複数の歯を有するラチェット構造とされ、前記複数の歯は、下方から上方に向かって突出形成されており、
前記ロック部材は、
前記固定側部材に保持される被保持部と、
前記被保持部と平行に配置されるとともに当該被保持部を軸に回動し、前記複数の歯側に付勢されて係合する係合部と、を備えており、
前記被保持部は、前記係合部よりも上方に配置されていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載のヘッドレスト。
【0138】
(7)前記被係合部は、
前記複数の歯が形成されるとともに前記可動側部材から前記固定側部材に向かって突出する第一突出部と、
前記第一突出部と平行し、かつ前記複数の歯の上端部から間隔をあけて配置される第二突出部と、を有しており、
前記固定側部材には、前記第一突出部と前記第二突出部のそれぞれに対応する位置に貫通孔が形成され、当該貫通孔に前記第一突出部と前記第二突出部とが挿通されており、
前記被保持部は、前記第一突出部と前記第二突出部との間の隙間に配置されていることを特徴とする(6)に記載のヘッドレスト。
【0139】
(8)前記ロック部材は、前記被保持部の端部と前記係合部の端部とを連結する連結部をさらに備えており、
前記連結部は、当該連結部のうち前記係合部の位置に対応する部位に設けられ、前記回動操作部材側に突出するとともに当接する突出当接部を有することを特徴とする(6)または(7)に記載のヘッドレスト。
【0140】
(9)前記被保持部は、前記固定側部材の後方に配置され、
前記係合部は、前記固定側部材の前方に配置され、
前記連結部は、前記固定側部材の側方に配置されるとともに、前記固定側部材の側面に当接していることを特徴とする(8)に記載のヘッドレスト。
【0141】
(10)前記固定側部材は、
当該固定側部材を上下方向に貫通して形成され、前記ヘッドレストピラーを挿通させるピラー挿通孔と、
前記固定側部材の側面に上下方向に沿って形成され、前記ピラー挿通孔と連通するスリットと、を備えており、
前記ヘッドレストピラーは、当該ヘッドレストピラーが前記ピラー挿通孔に挿通された状態で前記スリットにスライド自在に設けられる突部を備えており、
前記突部は、前記固定側部材の側面よりも外側に突出しており、
前記ロック部材の前記連結部は、当該連結部と前記突部との干渉を避ける逃げ部を有することを特徴とする(9)に記載のヘッドレスト。
【0142】
(11)前記可動側部材は、前記回動操作部材を回動可能に保持する保持部を有しており、
前記保持部に対する前記回動操作部材の組み付け方向は、当該回動操作部材の回動軸方向に沿うように設定されていることを特徴とする(1)〜(10)のいずれか一項に記載のヘッドレスト。
【0143】
(12)前記回動操作部材は、当該回動操作部材の回動時に前記保持部の先端が挿入される凹部を有することを特徴とする(11)に記載のヘッドレスト。
【0144】
(1)に記載の発明によれば、付勢手段によって、ロック部材を被係合部に係合させてロックできるとともに、ロック部材の操作後の回動操作部材を元の位置に戻すことができるので、可動側部材の前後方向の位置調整に係る部品の点数を抑制することが可能となる。
【0145】
(2)に記載の発明によれば、ロック部材が付勢手段によって付勢される方向に、回動操作部材が設けられるので、回動操作部材によってロック部材を付勢方向とは反対の方向に動作させやすくなる。
【0146】
(3)に記載の発明によれば、回動操作部材に対し、可動側部材の移動距離に応じた前後方向に広い範囲で当該回動操作部材を回動させるための力を付与できる。
【0147】
(4)に記載の発明によれば、付勢手段によって、第一操作部による前後ロック機構のロック解除動作と、上下ロック機構によるロック解除動作とを同時に行うことができるので、可動側部材の前後方向の位置調整に係る部品だけでなく、固定側部材の上下方向の位置調整に係る部品の点数を抑制することも可能となる。
【0148】
(5)に記載の発明によれば、回動操作部材を上方に向かって回動させれば、回動操作部材によって前後ロック機構と上下ロック機構の双方を同時に操作できる。
【0149】
(6)に記載の発明によれば、ロック部材の係合部を、被保持部を軸に回動させて、付勢手段によって複数の歯に係合させることができる。
また、被保持部は、係合部よりも上方に配置されているので、係合部を、被保持部と平行または被保持部よりも上方に移動させることによりロック解除できる。さらに、ロック時には係合部を被保持部よりも下方に付勢するので、係合部にかかる重力を考慮すれば、係合部を被保持部よりも上方に付勢する場合に比して好適となる。
【0150】
(7)に記載の発明によれば、貫通孔にそれぞれ挿通された第一突出部と第二突出部は、当該貫通孔が形成された固定側部材によって保持されることになる。この状態で、第一突出部と第二突出部の間の隙間に被保持部が配置されているので、第二突出部によって被保持部の上方への抜け出しを抑制できる。
【0151】
(8)に記載の発明によれば、回動操作部材を回動させることによって突出当接部を動作させることができ、これに伴って連結部も動作させることができる。また、突出当接部は係合部の位置に対応しているので、被保持部を軸にして係合部を回転させる際に、回動操作部材によって係合部を必要以上に回動方向に移動させることを抑制できる。
【0152】
(9)に記載の発明によれば、被保持部と係合部と連結部とによって固定側部材を取り囲むことができ、連結部が固定側部材の側面に当接するので、連結部が固定側部材の側面に当接する方向においてロック部材は外れにくくなるとともに、ガタを抑制できる。
【0153】
(10)に記載の発明によれば、突部がスリットに設けられることによって、ヘッドレストピラーが周方向に回転することを抑制できる。さらに、連結部は、突部との干渉を避ける逃げ部を有するので、連結部と突部との干渉を抑制し、ロック部材の操作性を向上できる。
【0154】
(11)に記載の発明によれば、回動操作部材の保持部への組み付け方向と、回動操作部材によるロック部材の解除操作の方向とが異なる向きとなるので、回動操作部材が保持部から外れにくくなる。
【0155】
(12)に記載の発明によれば、回動時に保持部の先端が凹部に挿入されるので、回動操作部材が回動している間は回転軸方向に抜け出にくくなり、回動操作部材が保持部からより外れにくくなる。