【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成25年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0015】
(第1の波長フィルタ)
図1を参照して、この発明の第1の実施の形態による波長フィルタ(以下、第1の波長フィルタとも称する)について説明する。
図1(A)は、第1の波長フィルタを示す概略的平面図である。
図1(B)は、
図1(A)に示す第1の波長フィルタをI−I線で切り取った概略的端面図である。なお、
図1(A)では、後述する光導波路コアのみを示してあり、クラッド、支持基板及び電極を省略している。
【0016】
なお、以下の説明では、各構成要素について、光の伝播方向に沿った方向を長さ方向とする。また、支持基板の厚さに沿った方向を厚さ方向とする。また、長さ方向及び厚さ方向に直交する方向を幅方向とする。
【0017】
第1の波長フィルタ100は、支持基板10、クラッド20、光導波路コア30及び電極40を備えて構成されている。
【0018】
支持基板10は、例えば単結晶シリコン(Si)を材料とした平板状体で構成されている。
【0019】
クラッド20は、支持基板10上に、支持基板10の上面10aを被覆し、かつ光導波路コア30を包含して形成されている。クラッド20は、例えば酸化シリコン(SiO
2)を材料として形成されている。
【0020】
光導波路コア30は、クラッド20よりも高い屈折率を有する例えばSiを材料として形成されている。その結果、光導波路コア30は、実質的な光の伝送路として機能し、入力された光が光導波路コア30の平面形状に応じた伝播方向に伝播する。また、光導波路コア30は、伝播する光が支持基板10へ逃げるのを防止するために、支持基板10から例えば少なくとも1μm以上離間して形成されているのが好ましい。
【0021】
また、ここでは、光導波路コア30の厚さは、厚さ方向でシングルモード条件を達成すべく、例えば200〜500nmとするのが好ましい。
【0022】
また、光導波路コア30は、入力導波路部31、入力側テーパ部32、第1モード変換部33、キャビティ部34、第2モード変換部35、出力側テーパ部36及び出力導波路部37がこの順に直列に接続されて構成されている。
【0023】
入力導波路部31は、TE偏波の伝播光に対してシングルモード条件を達成する幅に設定されている。従って、入力導波路部31は、基本モードの光を伝播させる。
【0024】
入力側テーパ部32は、入力導波路部31と接続された一端32aから、第1モード変換部33と接続された他端32bへ、連続的に幅が拡大する。そして、入力側テーパ部32の一端32aの幅は、入力導波路部31の幅と等しく設定されている。従って、入力側テーパ部32は、一端32aにおいて、TE偏波の伝播光に対してシングルモード条件を達成するように設定されている。
【0025】
第1モード変換部33は、第1点P1と第2点P2とを結ぶ第1仮想線分L1、第3点P3と第4点P4とを結ぶ第2仮想線分L2に沿い、かつこれら第1仮想線分L1及び第2仮想線分L2と重なる位置に設けられている。なお、第2仮想線分L2は、第1仮想線分L1と平行である。
【0026】
第1モード変換部33にはフォトニック結晶が形成されている。フォトニック結晶は、第1モード変換部33に、第1空孔群61及び第2空孔群62が形成されることによって構成される。
【0027】
第1空孔群61は、第1仮想線分L1と重なる位置に配列して周期的に形成された複数の空孔51を含む。また、第2空孔群62は、第2仮想線分L2と重なる位置に配列して、第1空孔群61と同一周期で形成された複数の空孔52を含む。そして、第1空孔群61に含まれる空孔51と第2空孔群62に含まれる空孔52とは、互いに半周期ずれた位置に形成されている。
【0028】
空孔51及び52は、第1モード変換部33を厚さ方向に貫通して形成される。また、ここでは、空孔51及び52は、厚さ方向に直交する断面形状が円形とされている。
【0029】
フォトニック結晶は、入力される特定の波長のTE偏波の光を、基本モードから1次モードに変換して反射する。また、フォトニック結晶は、その他の波長の光を、基本モードのままで透過させる。
【0030】
フォトニック結晶における位相整合条件は、空孔51及び52の形成周期をΛ、基本モードのTE偏波に対する等価屈折率をn
0、1次モードのTE偏波に対する等価屈折率n
1として、下式(1)で表される。
【0031】
2π/Λ=2π(n
0+n
1)/λ ・・・(1)
フォトニック結晶では、上式(1)が成立する波長λ、すなわちブラッグ波長のTE偏波がブラッグ反射される。従って、第1モード変換部33の幅、空孔51及び52の周期は、所望の反射すべき波長λに対して上式(1)が成立するように設計される。
【0032】
ここで、フォトニック結晶の変形例として、空孔51及び52がそれぞれ固有の直径を持ち、直径に少なくとも2以上の値がある構成とすることができる。
図2を参照して、フォトニック結晶の変形例について説明する。
図2は、フォトニック結晶の変形例を説明するための概略的平面図である。なお、
図2では、支持基板及びクラッドを省略して示してある。
【0033】
図2に示す構成例では、第1周期目の空孔51及び52の直径に対して、周期ごとに直径が増加する。空孔51及び52の直径は、モード変換部38の長さ方向における中心付近の空孔51及び52で最大となる。そして、空孔51及び52の直径は、最大となる空孔51及び52以降減少する。
【0034】
このように、空孔51及び52の直径が異なる値を持つことによって、フォトニック結晶における光の散乱を抑制することができる。なお、空孔51及び52の直径の変化量は、反射すべき波長λ及び回折効率に応じて設計される。
【0035】
キャビティ部34は、一定幅で形成される。キャビティ部34の幅は、基本モード及び1次モードのTE偏波を伝播させることができるように設定される。
【0036】
キャビティ部34は、このキャビティ部34を伝播する光のうち、特定の波長の光の位相を整合させる。キャビティ部34の長さは、位相整合させる波長に応じて設計される。
【0037】
第2モード変換部35には、第1モード変換部33と同様のフォトニック結晶が全域に渡って形成されている。このフォトニック結晶により、第2モード変換部35は、入力される特定の波長のTE偏波の伝播光を、基本モードから1次モードに変換して反射する。また、第2モード変換部35は、その他の波長の伝播光を、基本モードのままで透過させる。
【0038】
フォトニック結晶が形成された第2モード変換部35の幅、空孔51及び52の周期、並びに空孔51及び52の直径は、第1モード変換部33のフォトニック結晶と同じ条件で、反射すべき波長λに対して上式(1)を満たすように設計される。
【0039】
なお、第1モード変換部33と第2モード変換部35とで、フォトニック結晶の空孔51及び52の個数を異ならせることもできる。
【0040】
出力側テーパ部36は、第2モード変換部35と接続された一端36aから、出力導波路部37と接続された他端36bへ、連続的に幅が縮小する。そして、出力側テーパ部36の他端36bの幅は、出力導波路部37の幅と等しく設定されている。出力側テーパ部36は、他端36bにおいて、TE偏波の伝播光に対してシングルモード条件を達成するように設定されている。
【0041】
出力導波路部37は、TE偏波に対してシングルモード条件を達成する幅に設定されている。従って、出力導波路部37は、基本モードの光を伝播させる。
【0042】
電極40は、クラッド20を介して、キャビティ部34を被覆する位置に形成される。電極40に電流を流すことでジュール熱を発生させることができる。そして、この発熱による熱光学効果によって、キャビティ部34の屈折率を変化させることができる。その結果、キャビティ部34によって位相整合させる波長を変化させることができる。
【0043】
第1の波長フィルタ100では、入力導波路部31から入力され、第1モード変換部33を透過するTE偏波、及び第2モード変換部35のフォトニック結晶で反射され、さらに第1モード変換部33で反射されるTE偏波のうち、キャビティ部34の長さに応じて位相が整合する波長の光が、出力導波路部37から出力される。
【0044】
一方、第1モード変換部33及び第2モード変換部35のフォトニック結晶によってモード変換されつつ反射された1次モードのTE偏波の伝播光のうち、キャビティ部34の長さに応じて位相が整合する波長の光が、入力側テーパ部32に入力される。反射光は、入力側テーパ部32を、入力導波路部31に向かって伝播する。しかし、上述したように、入力側テーパ部32の一端32aの幅は、TE偏波に対してシングルモード条件を満たすように設定されている。そのため、反射光は、入力導波路部31に移行することなく放射する。
【0045】
従って、第1の波長フィルタ100は、キャビティ部34によって位相整合する、特定の波長の光を取り出す波長フィルタとして使用することができる。
【0046】
また、キャビティ部34を、基本モードの光に対してπの整数倍の位相が生じる長さとすることによって、キャビティ部34を伝播する基本モードの光に対して、複数の波長の位相を整合させることができる。従って、第1の波長フィルタ100は、出力光の波長ピークを多峰性とすることができる。
【0047】
また、第1の波長フィルタ100では、電極40を用いてキャビティ部34に熱を与えることができる。そのため、キャビティ部34が位相整合させる波長を変化させることができる。従って、第1の波長フィルタ100は、出力波長が可変である。
【0048】
また、第1の波長フィルタ100は、リング共振器と等価な波長フィルタと見なすことができる。この場合、第1モード変換部33及び第2モード変換部35のフォトニック結晶が、リング共振器の方向性結合器部分に対応する。また、キャビティ部34が、リング共振器のリング導波路部分に対応する。ここで、リング共振器は、方向性結合器部分において作製誤差の影響を受けやすい。これに対し、第1の波長フィルタ100は、方向性結合器を構成として含まない。従って、第1の波長フィルタ100は、リング共振器と等価な機能を有しつつ、リング共振器と比べて作製誤差の影響を受けにくい。
【0049】
なお、この実施の形態では、第1の波長フィルタ100が、TE偏波に対して特定の波長の光を出力する構成について説明した。しかし、第1の波長フィルタ100は、TM偏波に対して特定の波長の光を出力する構成とすることもできる。その場合には、第1モード変換部33及び第2モード変換部35のフォトニック結晶を、反射すべき波長λに応じ、TM偏波に対して上式(1)が成立するように設計する。そして、キャビティ部34を伝播するTM偏波のうち、出力導波路部37から出力させる波長が位相整合するように、キャビティ部34の長さを設定する。
【0050】
また、この実施の形態では、第1の波長フィルタ100が、第1モード変換部33及び第2モード変換部35のフォトニック結晶において、特定の波長の伝播光を、基本モードから1次モードに変換して反射する構成について説明した。しかし、第1モード変換部33及び第2モード変換部35のフォトニック結晶が、p次モード(pはp≧0の整数)の特定の波長の光を、q次モード(qはq>pの整数)に変換して反射する構成とすることもできる。その場合には、第1モード変換部33及び第2モード変換部35のフォトニック結晶における位相整合条件は、空孔51及び52の形成周期をΛ、p次モードの光に対する等価屈折率をn
p、q次モードの光に対する等価屈折率n
qとして、下式(2)で表される。
【0051】
2π/Λ=2π(n
p+n
q)/λ ・・・(2)
フォトニック結晶では、上式(2)が成立する波長λ、すなわちブラッグ波長の光がブラッグ反射される。フォトニック結晶は、TE偏波又はTM偏波について、反射すべき波長λに対して上式(2)が成立するように設計される。そして、キャビティ部34を伝播するp次モードの光のうち、出力導波路部37から出力させる波長が位相整合するように、キャビティ部34の長さを設定する。さらに、入力側テーパ部32の一端32aの幅を、p次モードに対応する幅に設定することによって、q次モードの反射光を、入力導波路部31に移行することなく放射させることができる。
【0052】
また、この実施の形態では、光導波路コア30が、2つのモード変換部(第1モード変換部33及び第2モード変換部35)と1つのキャビティ部34を含む構成について説明した。しかし、光導波路コア30が、n個(nは2以上の整数)のモード変換部とn−1個のキャビティ部とを含む構成とすることもできる。
図3を参照して、第1の波長フィルタが、n個のモード変換部とn−1個のキャビティ部とを含む場合の構成について説明する。
図3は、n個のモード変換部とn−1個のキャビティ部とを含む第1の波長フィルタ(波長フィルタ150)の概略的平面図である。なお、
図3では、支持基板及びクラッドを省略して示してある。
【0053】
n個のモード変換部160とn−1個のキャビティ部165とは、入力側テーパ部32及び出力側テーパ部36間で、交互に直列に接続される。
【0054】
各モード変換部160には、上述した第1モード変換部33及び第2モード変換部35と同様のフォトニック結晶が全域に渡って形成されている。このフォトニック結晶により、各モード変換部160は、入力される特定の波長の伝播光を、p次モードからq次モードに変換して反射する。また、各モード変換部160は、その他の波長の伝播光を、p次モードのままで透過させる。各モード変換部160のフォトニック結晶の空孔51及び52の周期は、共通の条件で、反射すべき波長λに対して上式(2)を満たすように設計される。
【0055】
なお、各モード変換部160におけるフォトニック結晶の空孔51及び52の個数は、一部又は全部が異なるように設定することができる。この場合には、透過光の波長ピークのフラットトップ特性を向上させることができる。
【0056】
各キャビティ部165は、これら各キャビティ部165を伝播するTE偏波のうち、キャビティ部165の長さに応じた特定の波長の光の位相を整合させる。
【0057】
このように、モード変換部160及びキャビティ部165を多段に接続することによって、出力導波路部37から出力される光の波長ピークのフラットトップ特性を向上させることができる。
【0058】
(特性評価)
発明者は、FDTD(Finite Differential Time Domain)を用いて、第1の波長フィルタ100の特性を評価する第1、第2及び第3のシミュレーションを行った。
【0059】
これらのシミュレーションでは、
図1に示す構成例の第1の波長フィルタ100について、第1モード変換部33に基本モードのTE偏波を入力し、第1モード変換部33及び第2モード変換部35を透過して出力される出力光(透過光)、及び第1モード変換部33及び第2モード変換部35で反射されて出力される出力光(反射光)の強度を解析した。
【0060】
第1のシミュレーションでは、以下のように第1の波長フィルタを設計した。すなわち、光導波路コア30を、全体的に厚さを200nmとした。また、第1モード変換部33、キャビティ部34及び第2モード変換部35の幅を一定の1000nmとした。また、
第1モード変換部33及び第2モード変換部35のフォトニック結晶における空孔51及び52それぞれの個数を6個、空孔51及び52の形成周期Λを394nm、空孔51と空孔52との中心間距離Dを400nm、空孔51及び52の直径を200nmとした。また、キャビティ部34の長さを197nmとした。
【0061】
第1のシミュレーションの結果を、
図4に示す。
図4では、縦軸に、出力光の強度をdB目盛で、また、横軸に波長をμm単位でとって示してある。
図4において、曲線401は透過光の、また、曲線403は反射光の強度を示している。
【0062】
図4に示すように、第1のシミュレーションにおける設計条件では、透過光及び反射光の波長ピーク401a及び403aに分裂が生じていることが確認される。
【0063】
次に、第2のシミュレーションでは、第1のシミュレーションから、空孔51及び52の個数及び直径を変更した。第2のシミュレーションでは、空孔51及び52それぞれの個数を11個とした。そして、空孔51及び52の直径が150nmである場合及び130nmである場合について、透過光及び反射光の強度を解析した。
【0064】
第2のシミュレーションの結果を、
図5(A)及び(B)に示す。
図5(A)及び(B)では、縦軸に、出力光の強度をdB目盛で、また、横軸に波長をμm単位でとって示してある。
図5(A)は空孔51及び52の直径が150nmである場合、及び
図5(B)は空孔51及び52の直径が130nmである場合の結果を示している。
図5(A)において、曲線501は透過光の、また、曲線503は反射光の強度を示している。
図5(B)において、曲線505は透過光の、また、曲線507は反射光の強度を示している。
【0065】
図5(A)及び(B)に示すように、空孔51及び52の直径を小さくし、回折効率を下げたことによって、透過光及び反射光の波長ピークに分裂が抑えられたことが確認される。そして、約20dB程度の消光比が確認された。
【0066】
さらに、第3のシミュレーションでは、第1及び第2のシミュレーションから、空孔51及び52の個数及び直径を変更した。第3のシミュレーションでは、空孔51及び52それぞれの個数を21個、空孔51及び52の直径が100nmとして、透過光及び反射光の強度を解析した。なお、第3のシミュレーションの設計条件では、空孔51及び52の直径が小さいため、空孔51及び52内をクラッドで埋め込むことが困難である。このため、空孔51及び52内が空気である場合を想定した。
【0067】
第3のシミュレーションの結果を、
図6に示す。
図6では、縦軸に、出力光の強度をdB目盛で、また、横軸に波長をμm単位でとって示してある。
図6において、曲線601は透過光の、また、曲線603は反射光の強度を示している。
【0068】
図6に示すように、空孔51及び52の直径をさらに小さくしたことによって、透過光及び反射光の波長ピークの分裂が抑えられ、シャープな波長ピークが得られたことが確認される。そして、約30dB程度の消光比が確認された。
【0069】
(第2の波長フィルタ)
図7を参照して、この発明の第2の実施の形態による波長フィルタ(以下、第2の波長フィルタとも称する)について説明する。
図7は、第2の波長フィルタを示す概略的平面図である。なお、
図7では、光導波路コア及び後述する出力導波路コアのみを示してあり、クラッド、支持基板及び電極を省略している。また、第1の波長フィルタ100と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
第2の波長フィルタ200は、上述した第1の波長フィルタ100に、出力導波路コア70を追加して構成されている。
【0071】
また、光導波路コア90は、第1の波長フィルタ100の光導波路コア30(
図1参照)に追加して、入力側テーパ部32と第1モード変換部との間に、これら入力側テーパ部32及び第1モード変換部33と直列に接続された多モード導波路部39を含んでいる。
【0072】
多モード導波路部39は、基本モード及び1次モードのTE偏波を伝播させる。
【0073】
出力導波路コア70は、光導波路コア90と同様に、クラッド20よりも高い屈折率を有する例えばSiを材料として形成されている。また、出力導波路コア70は、伝播する光が支持基板10へ逃げるのを防止するために、支持基板10から例えば少なくとも1μm以上離間して形成されているのが好ましい。
【0074】
ここでは、出力導波路コア70の厚さは、厚さ方向でシングルモード条件を達成すべく、例えば200〜500nmとするのが好ましい。
【0075】
また、出力導波路コア70は、結合部71と出力部72とを含んでいる。
【0076】
結合部71は、光導波路コア30の多モード導波路部39と、互いに離間し、かつ並んで配置されている。そして、光導波路コア90の多モード導波路部39と、出力導波路コア70の結合部71とが、互いに離間しかつ並んで配置された結合領域80として設定されている。なお、出力部72は、結合領域80を挟んで、第1モード変換部33と反対側で結合部71と接続されている。
【0077】
結合領域80において、多モード導波路部39及び結合部71は、それぞれの中心軸が平行となるように配設されている。
【0078】
また、結合部71は、一端71aから出力部72と接続された他端71bへ、幅が連続的に拡大するテーパ形状とされている。結合部71の一端71a及び他端71bの幅は、基本モードのTE偏波を伝播可能な等価屈折率に対応して設定されている。そして、結合部71は、一端71aから他端71bまでの間に、多モード導波路部39を伝播する1次モードのTE偏波に対する等価屈折率と、結合部71を伝播する基本モードのTE偏波に対する等価屈折率とが一致する幅を含んでいる。
【0079】
その結果、結合領域80では、多モード導波路部39を伝播する1次モードのTE偏波と、結合部71を伝播する基本モードのTE偏波とを結合することができる。
【0080】
出力部72は、TE偏波の伝播光に対してシングルモード条件を達成する幅に設定されている。
【0081】
ここで、
図7では省略しているが、光導波路コア90及び出力導波路コア70は、上述した第1の波長フィルタ100と同様にクラッドによって包含されている。また、クラッドを介してキャビティ部34を被覆する位置に、キャビティ部34に熱を与えるための電極が形成されている。
【0082】
第2の波長フィルタ200では、基本モードの光信号が、光導波路コア90の入力導波路部31に入力され、入力側テーパ部32及び多モード導波路部39を経て第1モード変換部33に送られる。
【0083】
第1モード変換部33を透過するTE偏波、及び第2モード変換部35のフォトニック結晶で反射され、さらに第1モード変換部33で反射されるTE偏波のうち、キャビティ部34の長さに応じて位相が整合する波長の光が、出力導波路部37から出力される。
【0084】
一方、第1モード変換部33及び第2モード変換部35のフォトニック結晶によってモード変換されつつ反射された1次モードのTE偏波の伝播光のうち、キャビティ部34の長さに応じて位相が整合する波長の光が、多モード導波路部39に入力される。
【0085】
多モード導波路部39を伝播する1次モードのTE偏波は、結合領域80において、基本モードに変換されつつ、出力導波路コア70の結合部71へ移行する。結合部71へ移行した基本モードのTE偏波は、出力部72から出力される。
【0086】
このように、第2の波長フィルタ200は、特定の波長とその他の波長とを分離し、経路を切り替えて取り出す波長フィルタとして使用することができる。そして、第1モード変換部33及び第2モード変換部35においてフォトニック結晶を利用することによって、高い回折効率で特定の波長の光を反射させることができる。従って、高効率に波長分離及び経路切替を行うことができる。
【0087】
なお、この実施の形態では、第2の波長フィルタ200が、TE偏波に対して特定の波長の経路を切り替える構成について説明した。しかし、第2の波長フィルタ200は、TM偏波に対して特定の波長の光を出力する構成とすることもできる。その場合には、モード変換部のフォトニック結晶を、反射すべき波長λに応じ、TM偏波に対して上式(1)が成立するように設計する。これによって、フォトニック結晶により、特定の波長の基本モードのTM偏波を、1次モードに変換して反射することができる。その場合には、第2の波長フィルタ200を、TM偏波に対して、経路切替を行う波長フィルタとして使用することができる。
【0088】
また、この実施の形態では、モード変換部のフォトニック結晶において、特定の波長の光を、基本モードから1次モードに変換して反射する構成について説明した。しかし、上式(2)を満たすようにフォトニック結晶を形成することによって、フォトニック結晶が、p次モードの特定の波長の光を、q次モードに変換して反射する構成とすることもできる。
【0089】
また、結合領域80において、多モード導波路部39及び結合部71間で結合する光についても、基本モードと1次モードとに限定されない。結合部71の一端71a及び他端71bの幅を、r(rはr≧0の整数)次モードの光を伝播可能な等価屈折率に対応して設定し、結合部71が、一端71aから他端71bまでの間に、多モード導波路部39を伝播するq次モードの光に対する等価屈折率と、結合部71を伝播するr次モードの光に対する等価屈折率とが一致する幅を含むように設計することもできる。その場合には、結合領域80において、多モード導波路部39を伝播するq次モードの光と、結合部71を伝播するr次モードの光とを結合することができる。
【0090】
さらに、この実施の形態では、光導波路コア90が、2つのモード変換部(第1モード変換部33及び第2モード変換部35)と1つのキャビティ部34を含む構成について説明した。しかし、第1の波長フィルタ100と同様に、光導波路コア90が、n個(nは2以上の整数)のモード変換部とn−1個のキャビティ部とを含む構成とすることもできる(
図3参照)。
【0091】
(製造方法)
上述した第1の波長フィルタ100及び第2の波長フィルタ200は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板を利用することによって、簡易に製造することができる。以下、一例として第1の波長フィルタ100の製造方法について説明する。
【0092】
すなわち、まず、支持基板層、SiO
2層、及びSi層が順次積層されて構成されたSOI基板を用意する。次に、例えばエッチング技術を用い、Si層をパターニングすることによって、光導波路コア30を形成する。その結果、支持基板10としての支持基板層上にSiO
2層が積層され、さらにSiO
2層上に光導波路コア30が形成された構造体を得ることができる。次に、例えばCVD法を用いて、SiO
2層上に、SiO
2を、光導波路コア30を被覆して形成する。その結果、SiO
2のクラッド20によって光導波路コア30が包含される。次に、クラッド20上に電極40を形成して、第1の波長フィルタ100を製造することができる。
【解決手段】交互に直列に接続された、n個(nは2以上の整数)のモード変換部とn−1個のキャビティ部とを含む光導波路コアと、光導波路コアを包含するクラッドとを備える。モード変換部には、第1空孔群及び第2空孔群を含むフォトニック結晶が形成されている。フォトニック結晶は、特定の波長λに対し、第1空孔群及び第2空孔群の周期をΛ、p(pはp≧0の整数)次モードに対する等価屈折率をn