(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技盤面に向けて遊技球を発射する発射装置と、該発射装置に1球づつ遊技球を供給する球送り装置とを備え、該球送り装置は、ソレノイドと、該ソレノイドの非励磁状態における初期姿勢と励磁状態の前記ソレノイドの鉄心に吸着された吸着姿勢との間で回動可能に軸支された可動片とを備え、該可動片は、一端に軸受部、他端に前記発射装置に送り出す遊技球を載せる球受部とを備えた合成樹脂製の可動片本体と、前記鉄心に対向する前記可動片本体の取付面に取り付けられた磁性体材料からなる板金部材とを備えた弾球遊技機において、
前記板金部材は、前記取付面に沿って所定方向にスライド移動させることで前記可動片本体に取付可能となっており、前記可動片本体の取付面には、前記板金部材を前記可動片本体に取り付ける際の前記スライド移動をガイドするとともに、前記板金部材の取付後には前記取付面に沿い且つ前記スライド移動方向とは直交する方向及び前記取付面に直交する方向の前記板金部材の相対移動を規制する第1規制部と、前記スライド移動の過程で前記板金部材に係合し、該係合後には前記板金部材の前記スライド移動方向の相対移動を規制する第2規制部とを備えることを特徴とする弾球遊技機。
前記第1規制部は、前記可動片本体の取付面に突設された一対の突片からなり、該一対の突片はそれぞれ、前記取付面に直交し且つ前記スライド移動方向とは直交する方向の前記板金部材の長さに相当する距離を隔てて互いに対向する第1規制面と、該第1規制面から他方の突片側に向けて突出し前記板金部材の厚みに相当する距離を隔てて前記取付面と対向する第2規制面とを備える、請求項1に記載の弾球遊技機。
前記第2規制部は、前記スライド移動方向に対して下流側の前記取付面の端部に突設された基端部と、該基端部の先端から前記スライド移動方向に対して上流側に向かって延びて前記取付面と対向する舌片とを備え、該舌片の先端部には、前記取付面との対向面に前記取付面に向かって突部が突設され、前記舌片は、前記板金部材のスライド移動の過程で、前記突部が前記板金部材の表面に押圧されることにより、前記取付面から離間する方向に弾性変形するとともに、前記板金部材の後端縁が前記突部を通過したことに応じて弾性復帰して、前記突部が前記板金部材の後端縁に係合する、請求項1に記載の弾球遊技機。
前記可動片本体の取付面に沿う前記板金部材の底板部は、前記軸受部が設けられた一端側から前記球受部が設けられた他端側に向かって、その表面積が漸次大きくなる形状を呈し、前記底板部の中央部よりも前記他端側に寄った表面が前記ソレノイドの鉄心に吸着される請求項1乃至3の何れか1項に記載の弾球遊技機。
前記可動片本体の取付面には、前記板金部材を位置決めするためのピボットが突設されるとともに、前記可動片本体の取付面に沿う前記板金部材の底板部には、前記ピボットに嵌合する位置決め孔が穿設されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の弾球遊技機。
【背景技術】
【0002】
従来の弾球遊技機は、貸し出された遊技球や賞球として払い出された遊技球を受ける受皿から、遊技球を1球づつ発射装置に供給する球送り装置を備えている。
【0003】
また、球送り装置として、駆動源にソレノイドを用いるとともに、ソレノイドのオン/オフ、即ち励磁/非励磁に応じて球送り動作を行う可動片の一部に磁性体材料(例えば鉄等)を用いたものが知られている(以下、ソレノイド式球送り装置という)。
前記ソレノイド式球送り装置において、可動片は、遊技球を発射装置に送り出す送り出し部を備え、支軸を中心に回動可能に支持されており、該可動片のソレノイド隣接位置に磁性体材料が取り付けられている。
ソレノイドのオフ状態における初期姿勢において、可動片は、自重によりソレノイドから離間するとともに、発射装置へ連通する球送り通路の途中で、前記送り出し部が先頭の遊技球をせき止めた姿勢を保つ。
【0004】
ソレノイドがオンされると、これによって生じる磁力によって可動片が吸着されて、支軸を中心にソレノイドに接近する方向に回動する。これにより、先頭の遊技球をせき止めていた前記球送り部が、先頭の遊技球を取り込んで保持する。以下、ソレノイドがオン状態における可動片の姿勢を吸着姿勢という。
そして、ソレノイドがオフされると、可動片は前記初期位置に向けて回動し、前記球送り部が取り込んだ遊技球を発射装置に向けて落下させるとともに、次の遊技球をせき止める。
このようにソレノイドのオン/オフを繰り返すことで、遊技球を1球づつ発射装置に供給している(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ソレノイドのオフ/オンに応じて、可動片を前記初期姿勢と吸着姿勢との間で確実に回動動作させるためには、可動片の自重が軽い方が望ましいが、鉄等の磁性体材料は比較的重いため、可動片は、相対的に軽い合成樹脂製の本体に、板状の磁性体材料、例えば鉄製の板金部材を取り付けて構成するのが一般的である。
また、弾球遊技機の発射装置は一般的に、1分間に約100球の遊技球を遊技盤面に向けて発射する性能を有しており、前記可動片は、前記初期姿勢と吸着姿勢との間の回動を1分間に約100回、遊技期間に亘って繰り返すことになる。
仮に、前記板金部材にがたつき等が生じ、これに起因して該板金部材がソレノイドに接近する方向に相対移動してしまった場合には、該板金部材が設計時の想定よりも強い磁力に晒される結果を招き、磁化が早まる虞がある。該板金部材が磁化してしまうと、ソレノイドのオン/オフにかかわらず可動片が吸着姿勢となり、球送りが出来なくなる問題が生じる。
従って、可動片本体に磁性体材料を取り付ける構造としては、長期に亘ってがたつきが生じないこと、及び組み立てが容易であることが要求される。
【0007】
そこで本発明では、ソレノイドのオフ/オンに応じて、可動片を前記初期姿勢と吸着姿勢との間で確実に回動させることができ、且つ組み立てが容易な球送り装置を備えた弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る弾球遊技機は、遊技盤面に向けて遊技球を発射する発射装置と、該発射装置に1球づつ遊技球を供給する球送り装置とを備え、該球送り装置は、ソレノイドと、該ソレノイドの非励磁状態における初期姿勢と励磁状態の前記ソレノイドの鉄心に吸着された吸着姿勢との間で回動可能に軸支された可動片とを備え、該可動片は、一端に軸受部、他端に前記発射装置に送り出す遊技球を載せる球受部とを備えた合成樹脂製の可動片本体と、前記鉄心に対向する前記可動片本体の取付面に取り付けられた磁性体材料からなる板金部材とを備えている。
【0009】
また、前記板金部材は、前記取付面に沿って所定方向にスライド移動させることで前記可動片本体に取付可能となっており、前記可動片本体の取付面には、前記板金部材を前記可動片本体に取り付ける際の前記スライド移動をガイドするとともに、前記板金部材の取付後には前記取付面に沿い且つ前記スライド移動方向とは直交する方向及び前記取付面に直交する方向の前記板金部材の相対移動を規制する第1規制部と、前記スライド移動の過程で前記板金部材に係合し、該係合後には前記板金部材の前記スライド移動方向の相対移動を規制する第2規制部とを備えることを特徴としている。
【0010】
本発明に係る弾球遊技機において、前記球送り装置の可動片は、合成樹脂製の可動片本体と、該可動片本体の取付面に取り付けられた磁性体材料からなる板金部材とを備え、前記可動片の組み立て時には、前記可動片本体の取付面に沿って前記板金部材を所定方向にスライド移動させる。この際、前記板金部材は、可動片本体の第1規制部によってガイドされるため容易にスライド移動が可能である。
また、前記板金部材は、スライド移動の過程で前記可動片本体の第2規制部に係合し、可動片の組み立て作業が完了する。
【0011】
上記の如き組み立て作業の完了後、即ち弾球遊技機での使用状態において、前記板金部材は、可動片本体の第1規制部によって、可動片本体の取付面に沿い且つ前記スライド移動方向とは直交する方向及び前記取付面に直交する方向の相対移動が規制されるとともに、可動片本体の第2規制部との係合によって、前記スライド移動方向の相対移動も規制される。これにより、前記可動片本体に対する板金部材の全方向の相対移動が規制される。従って、前記板金部材にがたつきが生じることはなく、長期に亘って可動片を前記初期姿勢と吸着姿勢との間で確実に回動させることが出来る。
【0012】
具体的構成において、前記第1規制部は、前記可動片本体の取付面に突設された一対の突片からなり、該一対の突片はそれぞれ、前記取付面に直交し且つ前記スライド移動方向とは直交する方向の前記板金部材の長さに相当する距離を隔てて互いに対向する第1規制面と、該第1規制面から他方の突片側に向けて突出し前記板金部材の厚みに相当する距離を隔てて前記取付面と対向する第2規制面とを備えている。
【0013】
該具体的構成によれば、前記可動片の組み立て時に、前記可動片本体の取付面に沿って前記板金部材を所定方向にスライド移動させる際、前記板金部材は、前記取付面に突設された一対の突片の第1規制面及び第2規制面にガイドされるため、容易にスライド移動が可能である。
さらに、組み立て作業の完了後、即ち弾球遊技機での使用状態において、前記板金部材は、前記一対の突片の第1規制面によって可動片本体の取付面に沿い且つ前記スライド移動方向とは直交する方向、同第2規制面によって前記取付面に直交する方向の各相対移動を規制することができる。
【0014】
また、具体的構成において、前記第2規制部は、前記スライド移動方向に対して下流側の前記取付面の端部に突設された基端部と、該基端部の先端から前記スライド移動方向に対して上流側に向かって延びて前記取付面と対向する舌片とを備え、前記舌片の先端部には、前記取付面との対向面に前記取付面に向かって突部が突設され、前記舌片は、前記板金部材のスライド移動の過程で、前記突部が前記板金部材の表面に押圧されることにより、前記取付面から離間する方向に弾性変形するとともに、前記板金部材の後端縁が前記突部を通過したことに応じて弾性復帰して、前記突部が前記板金部材の後端縁に係合する。
【0015】
該具体的構成によれば、前記可動片の組み立て時には、先ず、前記板金部材を可動片本体の取付面と第2規制部の舌片との隙間に挿通する。
このとき、前記第2規制部の舌片の突部が前記板金部材の表面に押圧されることになるが、前記可動片本体は合成樹脂製であるため、前記取付面から離間する方向に容易に弾性変形する。従って、前記板金部材は、スライド移動の過程で、前記突部と取付面との間を摺動することになる。
そして、前記板金部材のスライド移動方向に対する後端縁が前記突部を通過すると、前記第2規制部の舌片が弾性復帰するとともに、前記突部が前記板金部材の後端縁に係合する。
この結果、前記板金部材のスライド移動方向に対する前端縁が前記第2規制部の基端部に当接することにより、前記板金部材のスライド移動方向への相対移動が規制されるとともに、前記板金部材のスライド移動方向に対する後端縁と第2規制部の舌片と突部との係合により、前記板金部材のスライド移動方向と反対方向への相対移動が規制される。
【0016】
また具体的構成において、前記可動片本体の取付面に沿う前記板金部材の底板部は、前記軸受部が設けられた一端側から前記球受部が設けられた他端側に向かって、その表面積が漸次大きくなる形状を呈し、前記底板部の中央部よりも前記他端側に寄った表面が前記ソレノイドの鉄心に吸着される。
【0017】
該具体的構成によれば、前記板金部材は、軸受部から離れるにつれて重くなる形状を有しているため、自重による前記吸着位置から初期位置への回動がよりスムースに行える。また、ソレノイドの鉄心との対向位置における板金部材の表面積も比較的広く確保できるため、前記初期位置から吸着位置への回動もよりスムースに行える。
【0018】
さらに具体的構成において、前記可動片本体の取付面には、前記板金部材を位置決めするためのピボットが突設されるとともに、前記可動片本体の取付面に沿う前記板金部材の底板部には、前記ピボットに嵌合する位置決め孔が穿設されている。
【0019】
該具体的構成によれば、前記ピボットと位置決め孔の嵌合により、前記板金部材を可動体本体に対して確実に位置決めすることが出来る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ソレノイドのオフ/オンに応じて、可動片を前記初期姿勢と吸着姿勢との間で確実に回動させることができ、且つ組み立てが容易な球送り装置を備えた弾球遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を適用した弾球遊技機の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の弾球遊技機1は、
図1に示す如く、前扉2と、前扉2を開閉可能に支持する本体3とから構成され、前扉2は、その閉状態において本体3の前面を覆っている。前扉2には、その内側の本体3に取り付けられた遊技盤(図示せず)を前面側から視認可能とすべくガラス26が嵌め込まれており、ガラス26の周囲には装飾ランプ27が設けられている。
前扉2のガラス26の下側には、貸球及び賞球が払い出される上皿21と、該上皿21が満杯となったときに内方で溢れた球が払い出される下皿22と、遊技盤に向けて遊技球を打ち出すべく操作する発射ハンドル23とが配設されている。上皿21の上面には、該上皿21に貯留された遊技球を下皿22へ流すための球抜きボタン28が配設されている。
また、前扉2の発射ハンドル23の上側には、前扉2の開閉時に鍵を挿抜するための鍵穴24が設けられている。
【0023】
図2に示す如く、上皿21の下流側で一列に整列された遊技球Pは、その最下流側に開設された遊技球供給口21bを通じて、前扉2の裏面側に取り付けられた球送り装置30に供給される。
通常時において、遊技球供給口21bと球送り装置30の間の球通路の底面は、球抜きレバー81の球受面81aによって構成されている。前記球抜きボタン28が押下されると、球抜きレバー81は、レバー支軸81bを中心に紙面上反時計方向に傾動する。これにより、遊技球供給口21bと球送り装置30の間の球通路の底面に開口が生じ、遊技球Pは下皿22に連通する球抜き通路82へ流下することになる。
【0024】
図3は前扉2を開いた状態を示しており、該前扉2の下方裏面側には、上皿21へ遊技球を払い出す上皿払出口21aと、下皿へ遊技球を払い出す下皿払出口22aと、上皿21が満杯となったときに内方で溢れた球を下皿払出口22aへ導くための払出通路28とが設けられている。
また、前記遊技球供給口21b及び球送り装置30は、前扉2の下方裏面側の略中央部に配設されている。
【0025】
次に、
図4〜6を参照して、球送り装置30の球送り原理について説明する。
図4〜6に示す如く、球送り装置30は、球送り用ソレノイド32と、該球送り用ソレノイド32の非励磁状態における初期姿勢(
図4及び
図6参照)と励磁状態の前記球送り用ソレノイド32の鉄心32aに吸着された吸着姿勢(
図5参照)との間で回動可能に軸支された可動片31と、球送り用ソレノイド32及び可動片31を収納するケース体60とから構成される。
【0026】
可動片31は、その一端に回動の中心となる支軸33に嵌合する軸受部41、他端に発射装置70の打球位置に送り出す遊技球Pを載せる球受部42とを備えた合成樹脂製の可動片本体40と、前記鉄心32aに対向する前記可動片本体40の取付面40aに取り付けられた磁性体材料からなる板金部材50とから構成される。可動片31の詳細な構成については後述する。
【0027】
また、発射装置70は、前扉3の裏面側に取り付けられた球送り装置30に対向する本体3側の位置に配設され、発射用ソレノイド71と、該発射用ソレノイド71の非励磁状態における通常位置(
図4及び
図5参照)と励磁状態の前記発射用ソレノイド71に吸着された打球位置(
図6参照)との間で、枢軸73を中心として回動可能に軸支された打球杵72とから構成される。
【0028】
図4は、前記上皿21から遊技球供給口21bを通じて供給された先頭の遊技球Pが球送り装置30に至った状態を示しており、この状態において、球送り用ソレノイド32は非励磁状態のため、可動片31は自重により初期姿勢を保つ。
図4に示す如く、前記上皿21から前記遊技球供給口21bを通じて供給された先頭の遊技球Pは、自重によりケース体60に設けられた球受入口61eへ落下する。
一方、可動片31が初期姿勢にあるとき、可動片31の球止め部48とケース体60の球受入口61eの下端縁との距離が、遊技球Pの直径よりも小さくなるように設定されている。このため、先頭の遊技球Pは、ケース体60の球受入口61eの下端縁に載り、また可動片31の球止め部48に当接した状態、即ち球止め状態を保つ。
図4に示す球止め状態で遊技者が発射ハンドル23を操作すると、球送り用ソレノイド32のオン/オフ、及び発射用ソレノイド71のオン/オフが、それぞれ1分間に約100回のサイクルで繰り返される。
【0029】
図5は、
図4に示す球止め状態から、球送り用ソレノイド32がオンされて励磁状態となり、球送り用ソレノイド32の鉄心32aに吸着されて、矢印で示す如く、可動片31が支軸33を中心に反時計回りに回動し、前記吸着姿勢に遷移した状態を示している。
可動片31の前記初期姿勢から吸着姿勢への回動に伴い、可動片31の球止め部48がケース体60の球受入口61eの下端縁から徐々に離間し、両者間の距離が大きくなるとともに、球止め部48の下側の球受部42が、ケース体60の球受入口61eに面する位置に接近する。
そして、可動片31の球止め部48とケース体60の球受入口61eの下端縁との距離が遊技球Pの直径よりも大きくなると、先頭の遊技球Pは自重で落下し、球受部42に受け止められる。
【0030】
図5に示す如く、可動片31が前記吸着位置に移動した状態において、先頭の遊技球Pは球受部42に保持されるとともに、後続の複数の遊技球P〜Pはそれぞれ、前の遊技球Pに当接した整列状態を保つ。
【0031】
そして、球送り用ソレノイド32がオフされて非励磁状態となると、可動片31が
図6に矢印で示す如く、自重及び球受部42に保持した遊技球Pの重みによって支軸33を中心に時計回りに回動し、前記吸着姿勢から初期姿勢に遷移する。
遊技球Pを保持する球受部42の底面は、
図6の紙面奥方に向かって下方に傾斜しており、遊技球Pは、自重により球受部42の底面を落下し、本体3側の発射装置70の打球位置に到達する。
また、後続する先頭の遊技球Pは、上述の如く、ケース体60の球受入口61eの下端縁に載り、また可動片31の球止め部48に当接した状態、即ち球止め状態を保つ。
【0032】
遊技球Pが発射装置70の打球位置に到達すると、発射用ソレノイド71がオンされて励磁状態となり、
図6に矢印で示す如く、打球杵72が枢軸73を中心に時計回りに回動する。そして、打球杵72の打球部72aが前記打球位置にある遊技球Pに衝突し、この衝撃によって遊技球Pが遊技盤に向けて発射されることになる。
【0033】
次に、球送り装置30の構成について詳細に説明する。
図7に示す如く、球送り装置30は、第1ケース半体61と第2ケース半体62とを結合してなるケース体60の内部に、可動片31と球送り用ソレノイド32とを収納して構成される。
球送り用ソレノイド32は、U字状の鉄心32aの一端にコイル32bを巻回して構成され、該コイル32bに通電することにより、鉄心32aの周囲に磁場を発生させることが出来る。
【0034】
第1ケース半体61及び第2ケース半体62はそれぞれ合成樹脂製、具体的にはポリカーボネート製の一体成型品で、ケース体60は両ケース半体61,62を互いに係合して構成される。具体的には、第2ケース半体62の内面に突設した3つの係合爪部62b〜62bと、第1ケース半体61に形成した3つの係合孔61b〜61bとの係合構造によって、ケース体60が構成され、可動片31及び球送り用ソレノイド32は、両ケース半体61,62の間に挟持されている。
【0035】
第1ケース半体61及び第2ケース半体62にはそれぞれ、矩形状の開口部61a,62aが設けられ、各開口部61a,62aから球送り用ソレノイド32のコイル32bがケース体60の外側に露出している。
【0036】
また、第1ケース半体61の表面下方には、発射装置70の打球位置へ遊技球を送り出すため球送出口61dが開設されるとともに、球送出口61dの斜め上方の第1ケース半体61の表面には、糸を繋いだ遊技球(以下、糸つき球という)を用いた不正行為を未然に防止すべく、糸つき球が発射装置70から遊技盤に向けて発射されたとき、張力が生じた糸を導いて切断するためのカッター63が取り付けられている。
【0037】
図8に示す如く、第1ケース半体61の内面には、可動片31を回動可能に支持する支軸33が突設されている。また、第1ケース半体61の一方の側面の中央よりも下側に、上述した球受入口61eが開設されている。
【0038】
次に、球送り装置30の可動片31の構成及びその組み立て方法について詳細に説明する。
図7に示す如く、可動片31は、合成樹脂製、具体的にはポリアセタールまたはポリオキシメチレン(略号POM)製の可動片本体40に、磁性体材料、具体的には鉄製の板金部材50を取り付けて構成される。より具体的に板金部材50は、球送りソレノイド32の鉄心32aに対向する可動片本体40の取付面40aに取り付けられている。
【0039】
以下の説明簡略化のため、
図9に示したXYZ座標系に基づき説明する。なお、該座標系のX方向は
図1紙面上の横方向、即ち弾球遊技機1の左右方向、Y方向は
図1紙面の上下方向、即ち弾球遊技機1の上下方向、Z方向は
図1紙面に対する垂線方向、即ち弾球遊技機1の奥行方向にそれぞれ対応する。
【0040】
図9に示す如く、可動片本体40は、球送り装置30のケース体60の支軸33に嵌合する軸受部41をその一端に備えるとともに、前記発射装置70の打球位置に送り出す遊技球Pを載せる球受部42を他端に備えている。軸受部41は、Z軸方向に沿う中心軸を有する円筒状を呈し、該軸受部41の下方には、対向する第1ケース半体61の内壁に凹設されたガイド溝61f(
図8参照)に嵌まり込むガイド突起43が突設されている。
図10に示す如く、球受部42は、Z軸方向の正面視でC字状を呈している。また、
図9に示す如く、球受部42の底面は、遊技球を保持することが出来るよう凹面状を呈するとともに、
図11に示す如く、Z軸方向に沿って一方から他方に下り傾斜する、より具体的には、ケース体60に開設した球送出口61d側に向かって下り傾斜している。
【0041】
図7及び
図9〜12に示す如く、板金部材50は、台形状の底板部51と、底板部51の両側部を略垂直に折り曲げて形成した一対の折り曲げ部52a,52bとを備え、底板部51の長手方向両端部が、一対の折り曲げ部52a,52bの両端縁よりも外側に延出している。
板金部材50が可動片本体40に取り付けられた状態において、板金部材50の台形状の底板部51は、軸受部41が設けられた可動片本体40の一端側から、球受部42が設けられた他端側に向かって、その表面積が漸次大きくなる形状を呈し、底板部51の中央部よりも前記他端側に寄った表面が球送りソレノイド32の鉄心32aに対向している。また、底板部51には、中央部よりも前記一端側に寄った位置に、後述する可動片本体40のピボット47に嵌合する位置決め孔54が穿設されている。
【0042】
さらに、板金部材50の一対の折り曲げ部52a,52bの根元部分にはそれぞれ、後述する可動片本体40の第2規制部46が挿通されるべき挿通孔53a,53bが開設されている。板金部材50が可動片本体40に取り付けられた状態において、可動片本体40の第2規制部46の基端部46a側に対応する挿通孔53aの方が、同舌片46bの先端部側に対応する他方の挿通孔53bよりも、開口面積が大きくなっている。
【0043】
図7及び
図9〜12に示す如く、可動片本体40の取付面40aは矩形状を呈し、取付面40aの長手方向両端部にはそれぞれ、Z軸方向に直交する断面視で逆L字状を呈する一対の突片44,45が突設されており、球受部42側に臨む一方の突片45の外端面により上述の球止め部48を構成している。
一対の突片44,45にはそれぞれ、取付面40aに対して略垂直に拡がり、板金部材50の底板部51の長手方向の長さに相当する距離を隔てて互いに対向する第1規制面44a,45aと、一方の突片44,45の第1規制面44a,45aの先端から他方の突片44,45側に向けて突出し前記板金部材40の厚みに相当する距離を隔てて前記取付面40aと対向する第2規制面44b、45bとを備える。
また、取付面40aの長手方向中央部には、一方の端縁側から他方の端縁側に向かって延びる片持ち梁状の第2規制部46が突設されている。該第2規制部46は、取付面40aから略垂直に延びる基端部46aと、該基端部46aの先端から取付面40aに対して平行に延びる舌片46bと、該舌片46bの取付面40aとの対向面の先端部に下向きに突設された突部46cとを備えている。
さらに、取付面40aには、第2規制部46よりも軸受部41側に寄った位置に、板金部材50を位置決めするためのピボット47が突設されている。
【0044】
次に、可動片本体40に対する板金部材50の取付方法について説明する。
先ず、可動片本体30の舌片46bの先端に、板金部材50の開口面積の大きい一方の挿通孔53aを挿通し、板金部材50を可動片本体40の取付面40aに沿ってスライド移動させる。
【0045】
板金部材50のスライド移動の過程で、板金部材50の底板部51は、可動片本体40の取付面40a上を摺動することになるが、このとき、板金部材50の底板部51の長手方向両端部は、可動片本体40の一対の突片44,45の第1規制面44a,45aにそれぞれガイドされるため、板金部材50を容易にスライド移動させることが出来る。
【0046】
また、板金部材50のスライド移動の過程で、可動片本体40の第2規制部46の舌片46bの取付面40aとの対向面の先端部に下向きに突設された突部46cは、板金部材50の底板部51の表面に押圧されることになるが、可動片本体40は合成樹脂製、且つ第2規制部46は片持ち梁状であるため、第2規制部46の舌片46bは、取付面40aから離間する方向に容易に弾性変形する。
【0047】
板金部材50をさらにスライド移動させると、板金部材50の底板部51に穿設された位置決め孔54が、可動片本体40の取付面40aに突設されたピボット47に嵌合するとともに、板金部材50の底板部51が第2規制部46の舌片46bの突部46cを通過したことに応じて、可動片本体40の第2規制部46の舌片46bが弾性復帰して、前記突部46cが板金部材50の底板部51のスライド移動方向に対する後端縁、具体的には、板金部材50の開口面積の小さい他方の挿通孔53bの開口縁に係合して、板金部材50の取付が完了する。
【0048】
上述の如く、可動片本体40に対する板金部材50の取付は、板金部材50を可動片本体40の取付面40aに沿ってスライド移動させるといった極めて簡単な作業のみで完了する。
また、取付完了時の上述の係合によって生じる感触の変化や音によって、取付が完了した旨を容易に認識することが出来るため、組立作業の効率化も図れる。
【0049】
可動片本体40への取付後、板金部材50は、可動片本体40の一対の突片44,45の第2規制面44b,45bによって取付面40aに直交する方向の相対移動、可動片本体40の一対の突片44,45の第1規制面44a,45aによって前記取付面40aに沿い且つスライド移動方向とは直交する方向の相対移動がそれぞれ規制される。
また、可動片本体40の第2規制部46の舌片46bの突部46cと、板金部材50の挿通孔53bの開口縁との係合によって、板金部材40の取り外し方向のスライド移動が規制される。これにより、可動片本体50に対する板金部材40の全方向の相対移動が規制される。
【0050】
さらに、可動片本体40の取付面40aに突設されたピボット47と、板金部材50の底板部51に穿設された位置決め孔54との嵌合により、板金部材50を可動体本体40に対して確実に位置決めすることが出来る。
【0051】
また、可動片本体40の取付面40aに沿う板金部材50の底板部51は、軸受部41が設けられた一端側から球受部42が設けられた他端側に向かって、その表面積が漸次大きくなる形状、具体的には台形状とし、底板部51の中央部よりも前記他端側に寄った表面が、球送りソレノイド32の鉄心32aに対向するように構成した。
【0052】
該構成により、板金部材50は、軸受部41から離れるにつれて重くなる形状を有しているため、自重による可動片31の前記吸着位置から初期位置への回動がよりスムースに行える。また、球送りソレノイド32の鉄心32aとの対向位置における板金部材50の表面積も比較的広く確保できるため、可動片31の前記初期位置から吸着位置への回動もよりスムースに行える。
【0053】
さらに、板金部材50に設けた一対の折り曲げ部52a,52bの構成により、平板状の板金部材を用いた場合に比べて、励磁状態の球送りソレノイド32の鉄心32aの周囲に発生する磁界を横切る板金部材50の表面積が広くなるため、可動片31の前記初期位置から吸着位置への回動をよりスムースに行えるとともに、吸着位置での吸着力も高めることが出来る。
【0054】
従って、板金部材50にがたつきが生じることはなく、長期に亘って可動片31を前記初期姿勢と吸着姿勢との間で確実に回動させることが出来る。
【0055】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。