(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液状ポリマー(A)及びフッ素変性オルガノポリシロキサン(B)の重量に基づいて、液状ポリマー(A)の含有量が60〜95重量%、フッ素変性オルガノポリシロキサン(B)の含有量が5〜40重量%である請求項1に記載の消泡剤。
化学式(1)で表されるオルガノシロキサン単位(b1)の含有量がフッ素変性オルガノポリシロキサン(B)を構成する全てのオルガノシロキサン単位のモル数に基づいて10〜80モル%である請求項1又は2に記載の消泡剤。
さらに、炭素数3〜6のケトン(C)及び炭素数5〜12の炭化水素(D)を含有し、炭素数3〜6のケトン(C)及び炭素数5〜12の炭化水素(D)の合計含有量が、液状ポリマー(A)及びフッ素変性オルガノポリシロキサン(B)の重量に基づいて100〜20000重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の消泡剤。
炭素数3〜6のケトン(C)及び炭素数5〜12の炭化水素(D)の合計重量に基づいて、炭素数3〜6のケトン(C)の含有量が60〜95重量%、炭素数5〜12の炭化水素(D)の含有量が5〜40重量%である請求項4に記載の消泡剤。
【発明を実施するための形態】
【0009】
液状とは、JIS K7117−1:1999に準拠したブルックフィールド形回転式粘度計で測定した粘度{そのものの粘度(ニートの粘度)}が1,000Pa・s(25℃)以下であることを意味する。
【0010】
液状ポリマー(A)の粘度(JIS K7117−1:1999、25℃、Pa・s、ニートの粘度)としては、0.2〜100が好ましく、さらに好ましくは0.3〜30、特に好ましくは0.5〜3である。
【0011】
液状ポリマー(A)としては、液状であれば特に限定されないが、ポリαオレフィン(a1)、ポリジエン(a2)、ポリ(メタ)アクリレート(a3)、ポリアルキレンオキサイド化合物(a4)、シリコーン(a5)及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0012】
ポリαオレフィン(a1)としては、αオレフィンから構成され、液状の(共)重合体であれば、特に限定されない。
【0013】
αオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテン等が使用できる。これらのうち、エチレン、プロピレン及び1−ブテンが好ましく、さらに好ましくはエチレン及びプロピレンである。
【0014】
ポリαオレフィン(a1)のうち、消泡性能及び塗膜の仕上がり外観の観点から、エチレン−αオレフィン共重合体及びポリプロピレンが好ましい。
【0015】
ポリαオレフィンは市場から容易に入手でき、例えば三井化学(株)製のルーカント(登録商標)シリーズ{HC−40(830mPa・s)、HC−100(2.6Pa・s)、HC−600(27Pa・s)、HC−1100(50Pa・s)、HC−2000(95Pa・s)}等が挙げられる。なお、括弧内の数値はそれぞれJIS K7117−1:1999に準拠したブルックフィールド形回転式粘度計を用いて、25℃で測定した粘度である。
【0016】
ポリジエン(a2)としては、液状のポリジエンであれば制限ないが、ポリブタジエン及びブタジエン共重合体が好ましく、特に好ましくはポリブタジエンである。
【0017】
ブタジエン共重合体の共重合単量体としては、アクリロニトリル及びスチレン等が挙げられる。
【0018】
ポリジエン(a2)としては市場から容易に入手でき、例えばEVONIK社製のPOLYVEST(登録商標)110(ポリブタジエン、650mPa・s)、POLYVEST130(ポリブタジエン、2.4Pa・s)等が挙げられる。なお、括弧内の数値はそれぞれJIS K7117−1:1999に準拠したブルックフィールド形回転式粘度計を用いて、25℃で測定した粘度である。
【0019】
ポリ(メタ)アクリレート(a3)としては、液状のポリ(メタ)アクリレートであれば制限なく、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びアクリレート/メタクリレート共重合体等が使用できる。(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜30のアルキルと(メタ)アクリル酸とのエステル等が挙げられる。なお、「・・(メタ)アクリ・・」とは、「・・アクリ・・」及び「・・メタクリ・・」を意味する。
【0020】
ポリアルキレンオキサイド化合物(a4)としては、液状のポリアルキレンオキサイド化合物であれば制限なく、活性水素化合物とアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等)との反応体等が挙げられる。
【0021】
シリコーン(a5)としては、液状のシリコーンであれば制限なく、フッ素変性オルガノポリシロキサン(B)を除くジメチルシロキサン骨格をもつシリコーン等が挙げられる。
【0022】
これらの液状ポリマー(A)のうち、ポリαオレフィン(a1)、ポリジエン(a2)及びシリコーン(c5)が好ましく、さらに好ましくはポリαオレフィン(a1)、ポリジエン(a2)及びこれらの混合物である。
【0023】
化学式(1)において、フルオロアルキル基(Rf)としては、炭素数1〜8のフルオロアルキル基等が使用でき、1,1,1−トリフルオロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロ−1−ブチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロ−1−ヘキシル及び8,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3−トリデカフルオロ−1−オクチル等が挙げられる。これらのうち、消泡性能の観点から、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロ−1−ヘキシルが好ましい。
【0024】
炭素数1〜12のアルキル基(R)としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−デシル及びn−ドデシル等が挙げられる。これらのうち、消泡性能の観点から、メチルが好ましい。
【0025】
フッ素変性オルガノポリシロキサン(B)は、オルガノシロキサン単位(b1)以外の他のオルガノシロキサン単位(b2)を含有してもよい。
他のオルガノシロキサン単位(b2)としては、ジメチルシロキサン単位、メチルハイドロジェンシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位及びジフェニルシロキサン単位が含まれる。これらのうち、消泡性能の観点から、ジメチルシロキサン単位が好ましい。
【0026】
フッ素変性オルガノポリシロキサン(B)がオルガノシロキサン単位(b1)及び他のオルガノシロキサン単位(b2)から構成される場合、化学式(1)で表されるオルガノシロキサン単位(b1)の含有量(モル%)は、フッ素変性オルガノポリシロキサン(B)を構成する全てのオルガノシロキサン単位のモル数に基づいて、10〜80が好ましく、さらに好ましくは20〜78、特に好ましくは30〜75である。またこの場合、他のオルガノシロキサン単位(b2)の含有量(モル%)は、フッ素変性オルガノポリシロキサン(B)を構成する全てのオルガノシロキサン単位のモル数に基づいて、20〜90が好ましく、さらに好ましくは22〜80、特に好ましくは25〜70である。これらの範囲であると、消泡性能及び塗膜の仕上がり外観がさらに良好となる。
【0027】
フッ素変性オルガノポリシロキサン(B)は、公知の方法(たとえば、特開昭59−130894号公報)等により製造でき、また、市場からも容易に入手できる。市場から入手できる商品としては、FL100、FA−600、FA−630、X−22−821、X−22−822(信越化学工業株式会社);FS−1265(東レ・ダウコーニング株式会社)等が挙げられる。
【0028】
液状ポリマー(A)の含有量(重量%)は、液状ポリマー(A)及びフッ素変性オルガノポリシロキサン(B)の重量に基づいて、60〜95が好ましく、さらに好ましくは65〜90である。また、フッ素変性オルガノポリシロキサン(B)の含有量(重量%)は、液状ポリマー(A)及びフッ素変性オルガノポリシロキサン(B)の重量に基づいて、5〜40が好ましく、さらに好ましくは10〜35である。これらの範囲であると、消泡性能及び塗膜の仕上がり外観がさらに良好となる。
【0029】
本発明の消泡剤には、さらに、炭素数3〜6のケトン(C)及び炭素数5〜12の炭化水素(D)を含有してもよい。
【0030】
炭素数3〜6のケトン(C)としては、ジメチルケトン(アセトン)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びシクロヘキサノン等が挙げられる。これらのうち、消泡性能の観点から、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンが好ましい。
【0031】
炭素数5〜12の炭化水素(D)としては、直鎖飽和炭化水素(n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン及びn−ドデカン等)、分岐飽和炭化水素(sec−ペンタン、tert−ペンタン及びイソドデカン等)、直鎖不飽和炭化水素(1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−ドデセン等)及び分岐不飽和炭化水素(イソペンテン、3−メチル−1−ブテン、2,2−ジメチルー1ープロペン及びイソドデセン等)等が挙げられる。これらのうち、消泡性能の観点から、直鎖飽和炭化水素が好ましく、さらに好ましくは炭素数5〜8の直鎖飽和炭化水素、特に好ましくはn−ヘキサン及びn−ヘプタンである。
【0032】
ケトン(C)及び炭化水素(D)を含有する場合、ケトン(C)及び炭化水素(D)の合計含有量(重量%)は、液状ポリマー(A)及びフッ素変性オルガノポリシロキサン(B)の重量に基づい、100〜20000が好ましく、さらに好ましくは400〜10000である。この範囲であると、消泡性能及び塗膜の仕上がり外観がさらに良好となる。
【0033】
ケトン(C)及び炭化水素(D)を含有する場合、ケトン(C)の含有量(重量%)は、ケトン(C)及び炭化水素(D)の合計重量に基づいて、60〜95が好ましく、さらに好ましくは70〜90である。この範囲であると、消泡性能及び塗膜の仕上がり外観がさらに良好となる。
【0034】
ケトン(C)及び炭化水素(D)を含有する場合、炭化水素(D)の含有量(重量%)は、ケトン(C)及び炭化水素(D)の合計重量に基づいて、5〜40が好ましく、さらに好ましくは10〜30である。この範囲であると、消泡性能及び塗膜の仕上がり外観がさらに良好となる。
【0035】
本発明の消泡剤には、さらに、疎水性シリカを含有させてもよい。疎水性シリカを含有すると、消泡性能がさらに良好となる。
【0036】
疎水性シリカとしては、本発明の消泡剤中に微分散できれば大きさ、種類等に制限はないが、疎水性シリカのBET法による比表面積は少なくとも50m
2/gであることが好ましい。
【0037】
BET法による比表面積は、JIS Z8830:2013「ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」に準拠し、乾燥した状態の疎水性シリカを気体吸着法(キャリアガス法)の一点法で測定する。キャリアガスとしては窒素−ヘリウムの混合ガスを用いる。そして脱着ピークの値から比表面積を算出することができる。
【0038】
疎水性シリカとしては、市場から容易に入手でき、たとえば、商品名として、Nipsil SS−10、SS−40、SS−50及びSS−100(東ソー・シリカ株式会社、「Nipsil」は東ソー・シリカ株式会社 の登録商標である。)、AEROSIL R972、RX200及びRY200(日本アエロジル株式会社、「AEROSIL」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。 )、TS−530、TS−610、TS−720(キャボットカーボン社)、AEROSIL R202,R805及びR812(デグサジャパン株式会社)、REOLOSIL MT−10、DM−10及びDM−20S(株式会社トクヤマ、「REOLOSIL」は同社の登録商標である。)、並びにSYLOPHOBIC100、702、505及び603(富士シリシア化学株式会社、「SYLOPHOBIC」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0039】
疎水性シリカを含有する場合、疎水性シリカの含有量(重量%)は、液状ポリマー(A)及びフッ素変性オルガノポリシロキサン(B)の合計重量に基づいて、0.5〜50が好ましく、さらに好ましくは1〜30である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0040】
本発明の消泡剤は、液状ポリマー(A)及びフッ素変性オルガノポリシロキサン(B)、並びに必要により、ケトン(C)及び炭化水素(D)、及び/又は疎水性シリカを均一混合して調製できる。
ケトン(C)及び炭化水素(D)を含有させる場合、これらの揮発性を考慮して、できるだけ低い温度(10〜50℃が好ましく、さらに好ましくは20〜40℃)で均一混合することが好ましい。
【0041】
本発明の消泡剤は、水系発泡液及び非水系発泡液のいずれにも効果があるが、非水系発泡液により効果的であり、特に非水系コーティング組成物に効果的である。非水系コーティング組成物のうち、さらに産業製品や建造物の塗装に用いられる非水系塗料、床用コーティング材及び屋上用防水塗料等に効果的である。なお、水系発泡液とは水を含む発泡液を意味し、非水系発泡液(非水系コーティング組成物等)とは水を含まない発泡液(コーティング組成物等)を意味する。
【0042】
本発明の非水系コーティング組成物は、上記の消泡剤、フィラー及びバインダーを含有してなるが、上記の消泡剤以外の成分(フィラー及びバインダー)は公知のものが使用できる。
【0043】
フィラーとして、無機微粒子(雲母、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化鉄、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)及び有機微粒子(アクリルビーズ、シリコンビーズ及びポリエチレンワックス等)等が使用できる。
【0044】
バインダーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル及びこれらの混合物等が使用できる。
【0045】
非水系コーティング組成物中の消泡剤の含有量(重量%)は、上記の消泡剤、フィラー及びバインダーの重量に基づいて、0.1〜1が好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.5である。
【0046】
フィラーの含有量(重量%)は、上記の消泡剤、フィラー及びバインダーの重量に基づいて、4〜80が好ましく、さらに好ましくは9.5〜70である。
【0047】
バインダーの含有量(重量%)は、上記の消泡剤、フィラー及びバインダーの重量に基づいて、19〜95が好ましく、さらに好ましくは29.5〜90である。
【0048】
本発明の非水系コーティング組成物には、一般的な非水系コーティング組成物に配合できる添加剤を本発明の効果に影響しない範囲内で含有できる。このような添加剤としては、硬化剤、増粘剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、レベリング剤、顔料分散剤、皮張り防止剤、ドライヤー、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、低汚染化剤及び触媒等が挙げられる。
【0049】
本発明の非水系コーティング組成物は、従来公知の方法で製造することが可能である。即ち、上記の消泡剤、フィラー、バインダー及び必要により添加剤を均一に混合することにより得られる。
【実施例】
【0050】
以下、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
メチルハイドロジェンポリシロキサンのモル比は
1H−NMRにより求めた。また、重合度は、数平均分子量とモル比から算出した。
【0051】
数平均分子量は以下の装置及び条件で測定した。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel SuperHZ4000
+東ソー株式会社製 TSKgel SuperHZ3000
+東ソー株式会社製 TSKgel SuperHZ2000
+東ソー株式会社製 TSKgel SuperHZ2000
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
サンプル:1%テトラフラン溶液
を用いて数平均分子量より算出した
【0052】
<合成例1>フッ素変性オルガノポリシロキサン(B1)の合成
攪拌装置、温度計、乾燥窒素注入口及び塩化カルシウム管をとりつけた四つ口フラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製TSF404)642部(2.2モル部)、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン(和光純薬工業株式会社製)58部(0.24モル部)、ヘキサメチルジシロキサン(東京化成工業株式会社製)15部(0.09モル部)及びトリフルオロメタンスルホン酸(東京化成工業株式会社製)5部(0.03モル部)を入れて、室温(25〜30℃:以下、同じである。)で24時間反応させた後(開環重合)、28%アンモニア水溶液(東京化成工業株式会社製)を用いて中和し、析出した塩を濾別して、メチルハイドロジェンポリシロキサンを得た(平均重合度104、ジメチルシロキサン:メチルハイドロジェンシロキサン=9:1(モル比))。
【0053】
温度計、攪拌機、滴下漏斗をつけたフラスコに、上記のメチルハイドロジェンポリシロキサン70部及び塩化白金酸(和光純薬株式会社製)0.1部を入れ、110℃まで加熱してから、これに、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロ−1−ヘキセン{CF
3(CF
2)
3CH=CH
2}(アルファエイサー社製)23.8部(0.1モル部)を、2時間かけて滴下し、さらに、110℃で2時間加熱攪拌を続けて、反応混合物を得た。
【0054】
反応混合物を60℃まで冷却し、0.1%水酸化ナトリウム水溶液10部を加え、60℃で1時間攪拌した後、減圧下、水及び未反応の6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロ−1−ヘキセンを留去して濃縮物を得た。濃縮物に活性炭1部を加えて60℃で1時間加熱攪拌した後、活性炭を濾別し、次式で表されるフッ素変性オルガノポリシロキサン(B1)を得た。なお、得られたフッ素変性オルガノポリシロキサン(B1)は、無色透明な液体であった。
【0055】
【化4】
【0056】
<合成例2>フッ素変性オルガノポリシロキサン(B2)の合成
オクタメチルシクロテトラシロキサンの使用量を642部(2.2モル部)から163部(0.55モル部)に、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサンの使用量を58部(0.24モル部)から530部(2.2モル部)に、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロ−1−ヘキセンの使用量を23.8部(0.1モル部)から217部(0.88モル部)に変更したこと以外、<合成例1>と同様にして、次式で表されるフッ素変性オルガノポリシロキサン(B2)を得た(平均重合度119、ジメチルシロキサン:フッ素変性シロキサン=2:8(モル比))。なお、得られたフッ素変性オルガノポリシロキサン(B2)は、無色透明な液体であった。
【0057】
【化5】
【0058】
<合成例3>比較用ポリマー溶液の合成
減圧分留冷却器付きナスフラスコ、温度計、攪拌装置、滴下ロート及び窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに窒素ガスを吹き込みながらトルエン80部と塩化第一錫(SnCl
2)0.2部を仕込む。これを攪拌しながら30℃に温調しメタアクリル酸オクタデシルエステル100部を滴下ロートから3時間かけて滴下した。滴下終了30分後に3部のn−ブタノールを加えて反応を停止し、メタアクリル酸オクタデシルエステルのポリマー溶液を得た。その後トルエンでポリマー濃度を50%に調整しポリマー(HA)のトルエン溶液を得た。
ポリマー(HA)の数平均分子量は50,000であった。
【0059】
(実施例1)
液状ポリマー(A1、ポリブタジエン、EVOINK社製POLYVEST110、650mPa・s(25℃))90部及びフッ素変性オルガノポリシロキサン(B1)10部を均一混合して、本発明の消泡剤(1)を得た。
【0060】
(実施例2)
液状ポリマー(A2、エチレン・プロピレン共重合体、ルーカントHC−40、830mPa・s(25℃))95部、フッ素変性オルガノポリシロキサン(B2)5部、ケトン(C1、メチルイソブチルケトン)60部及び炭化水素(D1、n−ヘキサン)40部を均一混合して、本発明の消泡剤(2)を得た。
【0061】
(実施例3)
液状ポリマー(A3、エチレン・プロピレン共重合体、ルーカントHC−100、2.6Pa・s(25℃))60部、フッ素変性オルガノポリシロキサン(B1)40部、ケトン(C2、シクロヘキサノン)1900部及び炭化水素(D1)100部を均一混合して、本発明の消泡剤(3)を得た。
【0062】
(実施例4)
液状ポリマー(A2)85部、フッ素変性オルガノポリシロキサン(B2)15部、ケトン(C1)9000部及び炭化水素(D1)1000部を均一混合して、本発明の消泡剤(4)を得た。
【0063】
(実施例5)
液状ポリマー(A1)40部、液状ポリマー(A3)40部、フッ素変性オルガノポリシロキサン(B1)20部、ケトン(C2)16000部及び炭化水素(D1)4000部を均一混合して、本発明の消泡剤(3)を得た。
【0064】
(比較例1)
フッ素変性オルガノポリシロキサン(B1)100部、ケトン(C1)1900部及び炭化水素(D1)100部を均一混合して、比較用の消泡剤(H1)を得た。
【0065】
(比較例2)
合成例3で作成したポリマー(HA)のトルエン溶液を、比較用の消泡剤(H2)とした。
【0066】
(比較例3)
フッ素変性オルガノポリシロキサン(B1)50部、合成例3で作成したポリマー(HA)のトルエン溶液100部、ケトン(C1)1850部及び炭化水素(D1)100部を均一混合して、比較用の消泡剤(H3)を得た。
【0067】
評価試料として、本発明の消泡剤(1)〜(5)及び比較用の消泡剤(H1)〜(H3)を用いて、つぎの配合組成で均一混合して、評価用の非水系コーティング組成物(1)〜(4)及び(H1)〜(H3)を調製した{各番号は実施例、比較例で得た消泡剤の番号に対応する。}。また、評価試料を使用しないこと以外、同様にして、ブランクの非水系コーティング組成物を調製した。
【0068】
[評価用の非水系コーティング組成物]
アクリデイックA−837(※1) 147部
タイペークR−930(※2) 228部
ミネラルスピリット 80部
エフカRM1920(※3) 2部
アクリデイックA−848(※1) 508部
ミネラルスピリット 30部
評価試料(消泡剤) 5部
【0069】
※1 DIC株式会社製のポリオール樹脂、「アクリディック」はDIC株式会社の登録商標である。
※2 石原産業株式会社製の二酸化チタン、「タイペーク」は石原産業株式会社の登録商標である。
※3 BASF SE製の増粘剤、「efka」はチバ インコーポレイテッドの登録商標である。
【0070】
性能試験
非水系コーティング組成物(1)〜(4)、(H1)〜(H3)及び(ブランク)の各1000部をミネラルスピリットで希釈してストーマー粘度計で77KU(25℃)になるように調整した後、各塗装温度に温調し、これと、硬化剤{バーノックDN−990、DIC株式会社、ポリイソシアネート、「バーノック」はDIC株式会社の登録商標である。)81.7部とを均一混合し、25℃でブリキ板に大塚刷毛製造(株)製中毛ウールローラーにて、塗布量50g(30cm×30cmあたり)となるよう塗装し、発生した泡の消失時間で消泡性能を、25℃、24時間乾燥後の塗膜のクレーターの個数により仕上がり外観を評価し、表1に示した。
【0071】
消泡性能については、塗装後の泡の消失時間で判断し、以下の判断基準を用いた。
○:15秒未満で泡が消失した
△:15以上30秒未満で泡が消失した
×:泡が消失するのに30秒以上かかった
【0072】
仕上がり外観は、クレーターの個数により判断し、以下の判断基準を用いた。
○:クレーターが2個以下(30cm×30cmあたり)
△:クレーターが3〜5個(30cm×30cmあたり)
×:クレーターが6個以上(30cm×30cmあたり)
【0073】
【表1】
【0074】
本発明の消泡剤は、表1に示すとおり、比較用の消泡剤に比べて、消泡性能に優れ、しかも塗膜の仕上がり外観も良好であった。