【実施例】
【0044】
式(I)の化合物の調製
2の調製
【0045】
【化3】
【0046】
H
2O(320mL)中の1(20g、176.9mmol、1当量)の溶液に、室温でBr
2(24mL、466.8mmol、2.6当量)を加えた。混合物を60℃で15時間撹拌し、続けて室温でNH
4OH(50mL)を加えた。その後、HCl(6N水溶液)をpH=5までゆっくりと加え、混合物を酢酸エチル(3×800mL)で抽出した。組み合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO
4)、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で濃縮して2(16g)を得た。
【0047】
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6) ppm 12.56(m,1H)、12.31(m,1H)
【0048】
3の調製
【0049】
【化4】
【0050】
POCl
3(80mL)中の2(16g、83.3mmol)の溶液に、室温でPCl
5(36.1g、173.4mmol)及びN,N−ジエチルアニリン(35mL、221.7mmol)を加えた。混合物を120℃で5時間撹拌し、その後過剰の溶媒を減圧下で除去した。残渣の3(80g)を、さらなる精製なしに次の工程で直接使用した。
【0051】
4の調製
【0052】
【化5】
【0053】
中間体4を、バレルアルデヒドの代わりにブチルアルデヒドを用いて9の調製に従って合成した。
【0054】
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6): ppm 8.07(s,3H)、4.85(br,1H)、3.57〜3.45(m,2H)、3.14〜3.12(m,1H)、1.70〜1.64(m,2H)、1.56〜1.49(m,2H)、1.38〜1.30(m,2H)、0.90〜0.80(t,J=6.8Hz,3H)
【0055】
5の調製
【0056】
【化6】
【0057】
CH
2CL
2(300mL)中の3(80g粗生成物、82.8mmol)の撹拌された溶液に、室温で4(12.8g、82.8mmol)及びEt
3N(34.7mL、250mmol)を加えた。混合物を室温で15時間撹拌した。反応物を水(400mL)で希釈し、CH
2Cl
2(3×500mL)で抽出した。組み合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、その後乾燥し(MgSO
4)、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で除去した。残渣を石油エーテルと酢酸エチル勾配を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製した。最も優れた画分を溜め、溶媒を減圧下で除去して5(3g)を得た。
【0058】
1H NMR(400MHz、CDCl
3): ppm 6.85(d,1H)、4.35(m,1H)、3.83(m,2H)、2.0(m,1H)、1.71(m,3H)、1.38(m,2H)、0.98(t,3H)
【0059】
6の調製
【0060】
【化7】
【0061】
THF(20mL)中の5(3g、11.32mmol、1当量)及びNH
4OH(20mL)を密封されたチューブ内に入れ、100℃に18時間加熱した。室温まで冷却した後、反応物を水で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO
4)、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で濃縮した。残渣をCH
2Cl
2とCH
2Cl
2/CH
3OH勾配を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。最も優れた画分を溜め、濾液の溶媒を減圧下で除去して6を得た(1.57g)。
【0062】
1H NMR(400MHz、CDCl
3): ppm 5.65(d,1H)、5.20(brs、2H)、4.35(m,1H)、3.65(m,2H)、2.0(m,1H)、1.60(m,3H)、1.45(m,2H)、0.93(t,3H)
【0063】
8の調製
【0064】
【化8】
【0065】
ジオキサン(48mL)中の6(1.2g、4.9mmol)、7(4.13g、24.4mmol)及びt−BuOK(1.6g、14.7mmol)の混合物を、マイクロウェーブ中の120℃で1時間撹拌した。溶液の固体を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を水(調節剤として0.05%のNH
3水溶液を含有)とアセトニトリルの勾配を使用する分取高速液体クロマトグラフィー(C18カラム)で精製した。所望の画分を溜め、溶媒を減圧下で除去して8(100mg)を得た。
【0066】
1H NMR(400MHz、メタノール−d
4): ppm 8.56(d,1H)、7.73(d,1H)、5.69(s,2H)、4.54(m,1H)、4.25(s,3H)、4.06(s,3H)、3.65(m,2H)、1.75(m,4H)、1.35(m,2H)、0.94(t,3H)
【0067】
9の調製の全体
【0068】
【化9】
【0069】
中間体9aの調製
【0070】
【化10】
【0071】
THF(1L)中のバレルアルデヒド(43g、500mmol)の溶液に、(tert−ブトキシカルボニルメチレン)トリフェニルホスホラン(200g、532mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を石油エーテルで希釈し、濾過した。濾液の溶媒を減圧下で除去し、残渣を石油エーテルと石油エーテル中の3%酢酸エチルの勾配を使用するシリカクロマトグラフィーで精製して、無色の油として9a(90g)を得た。
【0072】
1H NMR(400MHz、CDCl
3): ppm 6.81〜6.77(m,1H)、5.68〜5.64(td,J=1.2Hz,15.6Hz,1H)、2.11〜2.09(m,2H)、1.406(s,9H)、1.38〜1.26(m,4H)、0.85〜0.81(t,J=7.2Hz,3H)
【0073】
化合物9bの調製
【0074】
【化11】
【0075】
THF(800mL)中の(S)−(−)−N−ベンジル−1−フェニルエチルアミン(165g、781mmol)の撹拌された溶液に、n−ブチルリチウム(290mL、725mmol)を−78℃で加えた。反応混合物を30分間撹拌し、その後THF(400mL)中の9a(90g、488.4mmol)を加え、反応物を−78℃で2時間撹拌した。混合物をNH
4Cl飽和水溶液でクエンチし、室温まで温めた。生成物を酢酸エチルと水とで分配した。有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で除去した。残渣を石油エーテル中の5%酢酸エチルで溶離するカラムクロマトグラフィーで精製して、無色の油9b(132g)を得た。
【0076】
1H NMR(400MHz、CDCl
3): ppm 7.36〜7.16(m,10H)、3.75〜3.70(m,2H)、3.43〜3.39(d,J=15.2Hz,1H)、3.33〜3.15(m,1H)、1.86〜1.80(m,2H)、1.47〜1.37(m,2H)、1.32(s,9H)、1.26〜1.17(m,7H)、0.83〜0.79(t,J=7.2Hz,3H)
【0077】
9cの調製
【0078】
【化12】
【0079】
9b(130g、328mmol)をTHF(1.5L)中に溶解し、LiAlH
4(20g、526mmol)を少量0℃で加えた。得られた混合物を同じ温度で2時間撹拌し、その後室温まで温めた。混合物をNH
4Cl飽和水溶液でクエンチした。生成物を酢酸エチルと水で分配した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。組み合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、固体を濾過により除去し、濃縮して粗生成物9c(100g)を得て、これをさらなる精製なしで次の工程で使用した。
【0080】
1H NMR(400MHz、CDCl
3): ppm 7.33〜7.14(m,10H)、3.91〜3.86(m,1H)、3.80〜3.77(d,J=13.6Hz,1H)、3.63〜3.60(d,J=13.6Hz,1H)、3.43〜3.42(m,1H)、3.15〜3.10(m,1H),2.70〜2.63(m,2H)、1.65〜1.28(m,10H)、0.89〜0.81(m,3H)
【0081】
9の調製
【0082】
【化13】
【0083】
9c(38g、116.75mmol)及びメタノール(200mL)中の10%Pd/Cの溶液を、50℃で24時間、50psi水素下で水素化した。反応混合物を濾過し、溶媒を蒸発させて9を得た。
【0084】
1H NMR(400MHz、DMSO−d
6): ppm 8.04(s,3H)、3.60〜3.49(m,2H)、3.16〜3.15(m,1H)、1.71〜1.67(m,2H)、1.60〜1.55(m,2H)、1.33〜1.26(m,4H)、0.90〜0.87(t,J=6.8Hz,3H)
【0085】
10の調製
【0086】
【化14】
【0087】
CH
2Cl
2(54mL)中の3(21.6g粗生成物、22.1mmol)の撹拌された溶液に、室温で9(2.9g、22.1mmol)及びEt
3N(9.2ml、66.3mmol)を加えた。その後、混合物を同じ温度で終夜撹拌した。反応物を水(200mL)で希釈し、CH
2Cl
2(3×150mL)で抽出した。組み合わせた有機層を水とブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO
4)、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物を石油エーテルと酢酸エチルの勾配を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。最も優れた画分を溜め、溶媒を減圧下で除去して10(0.91g)を得た。
【0088】
1H NMR(400MHz、CDCl
3) ppm 6.71(d,1H)、4.36(m,1H)、3.83(m,2H)、2.04(m,2H)、1.70(m,2H)、1.35(m,4H)、0.92(t,3H)
【0089】
11の調製
【0090】
【化15】
【0091】
THF(7mL)中の10(0.91g、3.3mmol、1当量)及び水酸化アンモニウム(7mL)を、密閉されたチューブに入れ、110℃に12時間加熱した。室温まで冷却した後、反応物を水で希釈し、酢酸エチル(3×150mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO
4)、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で除去した。残渣をジクロロメタン中の10%メタノールを使用する分取薄層シリカゲルクロマトグラフィーで精製して、170mgの11を得た。
【0092】
1H NMR(400MHz、CDCl
3) ppm 5.67(d,1H)、5.29(d,2H)、4.17(m,1H)、3.66(m,2H)、2.51(brs,1H)、1.88(m,1H)、1.55(m,3H)、1.25(m,4H)、0.83(t,3H)
【0093】
12の調製
【0094】
【化16】
【0095】
CH
3OH(10mL)中の11(170mg、0.64mmol)及びナトリウムメトキシド(69mg、1.28mmol)の混合物を、撹拌しながらマイクロウェーブ中で100℃に1時間加熱した。固体を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を分取高速液体クロマトグラフィー(カラムC18、0.05%HClを含有する、水とアセトニトリルの勾配を使用)で精製した。最も優れた画分を溜め、真空下で濃縮して12を得た。
【0096】
LC−MS m/z=256(M+H)
【0097】
1H NMR(400MHz、MeOH−d
4) ppm 4.49(m,1H)、4.02(s,3H)、3.63(m,2H)、1.84(m,2H)、1.68(m,2H)、1.33(m,4H)、0.93(t,3H)
【0098】
13の調製
【0099】
【化17】
【0100】
中間体13を、5を調製する方法に従って調製した。
【0101】
14の調製
【0102】
【化18】
【0103】
中間体14を、6を調製する方法に従って調製した。
【0104】
15の調製
【0105】
【化19】
【0106】
密閉されたチューブ内で、無水THF(1mL)中の14(100mg、0.5mmol)、ベンジルアルコール(0.52mL、5mmol)及び炭酸セシウム(814.5mg、2.5mmol)の混合物を100℃で24時間撹拌した。反応物を水(1mL)で希釈し、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を水及びブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO
4)、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を石油エーテルと酢酸エチルの勾配を使用するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、黄色の油である15を得た(67.7mg、0.25mmol)。
【0107】
16の調製
【0108】
【化20】
【0109】
16を、15を調製する方法に従って調製した。
【0110】
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表1D】
【0111】
分析方法
全ての化合物を、以下のLC−MS法に従うLC−MSによって特徴付けした。
【0112】
【表2】
【0113】
方法B
0.343mL/分の流速を有するWaters Acquity BEH(架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド)C18カラム(1.7μm、2.1×100mm)の逆相UPLC。2つの移動相(移動相A:95%の7mM酢酸アンモニウム/5%のアセトニトリル;移動相B:100%のアセトニトリル)を使用して、84.2%のA及び15.8%のB(0.49分間保持)から10.5%のA及び89.5%のBの勾配条件に2.18分で動作させ、1.94分間保持し、0.73分で最初の条件に戻し、0.73分間保持した。2μLの注入体積を使用した。コーン電圧は、正及び負イオン化モードで20Vであった。質量スペクトルを、0.1秒の走査間遅延を使用して0.2秒で100から1000まで走査して取得した。
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
式(I)の化合物の生物学的活性
(生物学的アッセイの説明)
TLR7及びTLR8の活性の評価
ヒトTLR7及び/又はTLR8を活性化させる化合物の能力を、TLR7又はTLR8発現ベクター及びNF
KB−lucレポーター構築で一時的にトランスフェクトされたHEK293細胞を使用する細胞レポーターアッセイ(cellular reporter assay)で評価した。
【0117】
簡潔には、HEK293細胞を培地(10%のFCS及び2mMのグルタミンを補ったDMEM)で成長させた。10cmのディッシュ中の細胞のトランスフェクションのために、細胞をトリプシン−EDTAで分離し、CMV−TLR7又はTLR8プラスミド(750ng)、NF
KB−lucプラスミド(375ng)及びトランスフェクション試薬のミックスでトランスフェクトし、5%のCO
2加湿雰囲気下、37℃で終夜培養した。その後、トランスフェクトした細胞をトリプシン−EDTAで分離し、PBS中で洗浄し、1.67×10
5細胞/mLの密度に培地を再懸濁した。その後、30マイクロリットルの細胞を、4%のDMSO中の10μLの化合物が既に存在する384ウェルプレート内でそれぞれのウェルに分注した。続けて37℃、5%のCO
2で6時間培養し、ルシフェラーゼ活性を、それぞれのウェルに15μLのSteady Lite Plus基質(Perkin Elmer)を加えることによって測定し、読み出しをViewLux ultraHTSマイクロプレートイメージャ(Perkin Elmer)で行った。用量反応曲線を4回行った測定から生成した。アッセイの標準偏差より少なくとも2倍の効果を誘起する濃度として定義される、それぞれの化合物の最小有効濃度(LEC)の値を測定した。
【0118】
化合物の毒性を、384ウェルプレートにCMV−TLR7構築のみ(1.67×10
5細胞/mL)でトランスフェクトした、ウェルごとに30μLの細胞を有する同様の希釈系列を使用して並行して測定した。細胞の生存能力を、ウェルごとに15μLのATP lite(Perkin Elmer)を加えることによって、37℃、5%のCO
2で6時間培養した後に測定し、ViewLux ultraHTSマイクロプレートイメージャ(Perkin Elmer)で読んだ。データをCC
50として報告した。
【0119】
並行して、NF
KB−lucレポーター構築のみ(1.67×10
5細胞/mL)でトランスフェクトした、ウェルごとに30μLの細胞を有する、化合物の同様の希釈系列を使用した(4%のDMSO中の10μLの化合物)。37℃、5%のCO
2で6時間培養した後、ルシフェラーゼの活性を、それぞれのウェルに15μlのSteady Lite Plus基質(Perkin Elmer)を加えることによって測定し、読み出しをViewLux ultraHTSマイクロプレートイメージャ(Perkin Elmer)で行った。カウンタースクリーン(counterscreen)データをLECとして報告する。
【0120】
ISREプロモータ成分の活性化
IFN−Iを誘起する化合物の可能性を、PBMCからの調節された媒体によるインターフェロン活性化応答配列(ISRE)の活性化を測定することによって評価した。配列GAAACTGAAACTのISRE配列は、STAT1−STAT2−IRF9転写因子に高い応答性を有し、その受容体IFNAR(Clontech、PT3372−5W)にIFN−Iが結合した際に活性化される。Clontech(ref.631913)からのプラスミドpISRE−Lucは、5コピーのこのISRE配列、続けて蛍ルシフェラーゼORFを含有する。pISRE−Lucで安定にトランスフェクトされたHEK297細胞株(HEK−ISREluc)を、調節されたPBMC細胞培養媒体のプロファイルに定着させた。
【0121】
簡潔には、PBMCを、標準Ficoll遠心分離手順を使用して、少なくとも2人のドナーの軟膜から調製した。単離したPBMCを10%のヒトAB血清を補ったRPMI媒体に再懸濁し、2×10
5の細胞/ウェルを、化合物を含有する384ウェルプレートに分注した(70μLの合計体積)。終夜培養した後、10μLの上清を、30μL中5×10
3のHEK−ISREluc細胞/ウェルを含有する384ウェルプレート(前日に仕上げた)に移動した。24時間培養した後、ISRE配列の活性化を、40μL/ウェルのSteady Lite Plus基質(Perkin Elmer)を使用するルシフェラーゼ活性を分析することによって測定し、ViewLux ultraHTSマイクロプレートイメージャ(Perkin Elmer)で測定した。HEK−ISREluc細胞へのそれぞれの化合物の刺激活性を、アッセイの標準偏差より少なくとも2倍のルシフェラーゼ活性をもたらす、PBMCに適用された化合物の濃度として定義されるLEC値として報告した。同様に、LECは、所定の量のPBMC培養媒体の移動に対するISRE活性化の程度を示す。組み換えインターフェロンα−2a(Roferon−A)を、標準対照化合物として使用した。
【0122】
【表5A】
【表5B】
【表5C】
【表5D】
【0123】
全ての化合物は、最も高い試験濃度までで毒性を示さなかった。全ての化合物は、上記のHEK 293 NF−kBカウンタースクリーンアッセイにおいて、活性(LEC>25μM)を示さなかった。