特許第6298998号(P6298998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6298998ウイルス感染を治療するための1,2,4−トリアジン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298998
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】ウイルス感染を治療するための1,2,4−トリアジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 253/06 20060101AFI20180319BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20180319BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20180319BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20180319BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20180319BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   C07D253/06 DCSP
   C07D401/12
   A61K31/53
   A61P31/12
   A61P37/00
   A61P29/00
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-533635(P2015-533635)
(86)(22)【出願日】2013年10月1日
(65)【公表番号】特表2015-535839(P2015-535839A)
(43)【公表日】2015年12月17日
(86)【国際出願番号】EP2013070488
(87)【国際公開番号】WO2014053516
(87)【国際公開日】20140410
【審査請求日】2016年9月14日
(31)【優先権主張番号】12306196.2
(32)【優先日】2012年10月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506128396
【氏名又は名称】サントル ナスィオナル ド ラ ルシェルシュ スィアンティフィク(セ.エン.エル.エス.)
(73)【特許権者】
【識別番号】509017435
【氏名又は名称】ユニベルシテ、ド、ルーアン、ノルマンディー
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE ROUEN NORMANDIE
(73)【特許権者】
【識別番号】515087606
【氏名又は名称】アンスティテュ・ナシオナル・デ・シアンス・ザプリケ・ドゥ・ルーアン・(イエヌエスア)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン・ジェムバス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ジュボー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・オアロ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン・レヴァシェ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−フランソワ・ボンファンティ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・グレイグ・マク・ゴーワン
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・エミール・ジョルジュ・ギーユモン
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−504497(JP,A)
【文献】 特表2008−509200(JP,A)
【文献】 特表2009−513565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩、互変異性体、溶媒和物、若しくは多形:
【化1】
式中、
は、C1〜6アルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルであり、これらのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C1〜6アルキル、ジ−(C1〜6)アルキルアミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、複素環、アリール、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、及びニトリルから独立に選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されていてもよく、
は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、ジ−(C1〜6)アルキルアミノ、C1〜6アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、及びニトリルから独立に選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されていてもよいC1〜8アルキルである。
【請求項2】
が、ブチル又はペンチルであり、
が、C1〜6アルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルであり、これらのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C1〜6アルキル、ジ−(C1〜6)アルキルアミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、複素環、アリール、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、及びニトリルから独立に選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されていてもよい、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がヒドロキシルで置換されたC1〜8アルキルであり、Rが置換又は非置換のアリールアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がアリールアルキルであり、
が、ヒドロキシルで置換されたC1〜8アルキルであるか、又はいずれかの立体化学的配置の以下の例:
【化2】
のうちの1つである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がCHであり、
が、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、ジ−(C1〜6)アルキルアミノ、C1〜6アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、及びニトリルから独立に選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されていてもよいC1〜8アルキルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がヘテロアリールアルキルであり、
が、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、ジ−(C1〜6)アルキルアミノ、C1〜6アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、及びニトリルから独立に選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されていてもよいC1〜8アルキルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
【化3】
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、若しくは多形を、1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤、希釈剤、又は担体と一緒に含む、医薬組成物。
【請求項9】
ウイルス感染、免疫又は炎症性疾患の治療において使用するための、請求項8に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染の治療における、1,2,4−トリアジン誘導体、その調製方法、医薬組成物、及びその使用に関する。
【0002】
本発明は、トル様受容体(TLR)の調節、又はアゴニズムが含まれる、ウイルス感染、免疫又は炎症性疾患の治療における1,2,4−トリアジン誘導体の使用に関する。トル様受容体は、細胞外のロイシンの豊富なドメイン及び保存領域を含有する細胞質拡張によって特徴付けられる、主要な膜貫通タンパク質である。先天性免疫系は、特定の種類の免疫細胞の細胞表面上に発現したこれらのTLRを介して、病原体関連分子パターンを認識することができる。異質な病原体の認識は、サイトカインの産生及び食細胞上の共刺激分子の上方調節を活性化する。これは、T細胞挙動の調節をもたらす。
【背景技術】
【0003】
ほとんどの哺乳類種は、10から15種類のトル様受容体を有していると推定されている。13個のTLR(TLR1からTLR13と呼ばれる)がヒトとマウスで一緒に同定され、これらの多くと同等の形態が他の哺乳類種で見つかっている。しかし、ヒトにおいて見つけられた特定のTLRの同等物が、全ての哺乳類に存在するわけではない。例えば、ヒトにおけるTLR10に類似するタンパク質をコードする遺伝子がマウスに存在するが、過去にレトロウイルスによっていくつかの点で損傷を受けたと考えられる。一方、マウスは、ヒトには表れていないTLR11、12、及び13を発現する。その他の哺乳類が、ヒトにおいて見つけられていないTLRを発現するかもしれない。その他の非哺乳類種は、トラフグ(Takifugu pufferfish)において見つけられるTLR14で示される、哺乳類と異なるTLRを有することができる。これは、ヒトの先天性免疫のモデルとして実験動物を使用する方法を複雑にする。
【0004】
TLRのレビューのために、以下の雑誌の記事を参照されたい。Hoffmann,J.A.,Nature,426,p33〜38,2003;Akira, S.,Takeda, K., and Kaisho, T.,Annual Rev. Immunology,21,p335〜376,2003;Ulevitch, R. J.,Nature Reviews:Immunology,4,p512〜520,2004。
【0005】
国際公開第2006/117670号におけるプリン誘導体、国際公開第98/01448号及び国際公開第99/28321号におけるアデニン誘導体、並びに国際公開第2009/067081号におけるピリミジンなどのトル様受容体上で活性を示す化合物が過去に記載されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/117670号
【特許文献2】国際公開第98/01448号
【特許文献3】国際公開第99/28321号
【特許文献4】国際公開第2009/067081号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hoffmann,J.A.,Nature,426,p33〜38,2003
【非特許文献2】Akira, S.,Takeda, K., and Kaisho, T.,Annual Rev. Immunology,21,p335〜376,2003
【非特許文献3】Ulevitch, R. J.,Nature Reviews:Immunology,4,p512〜520,2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来技術の化合物と比較して、好ましい選択性、高い有効性、高い代謝安定性、及び改善された安全プロファイルを有する、新規なトル様受容体調節剤への強い要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、式(I)の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩、互変異性体、溶媒和物、若しくは多形が提供される:
【0010】
【化1】
【0011】
式中、
は、C1〜6アルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルであり、これらのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C1〜6アルキル、ジ−(C1〜6)アルキルアミノ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、複素環、アリール、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、又はニトリルから独立に選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されていてもよい。
【0012】
は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、ジ−(C1〜6)アルキルアミノ、C1〜6アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、又はニトリルから独立に選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されていてもよいC1〜8アルキルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第一の実施形態において、本発明は、Rがブチル又はペンチルであり、Rが上で特定したとおりである、式(I)の化合物を提供する。
【0014】
さらなる実施形態において、本発明は、Rがヒドロキシルで置換されたC1〜8アルキルであり、Rが置換又は非置換のアリールアルキル基である、式(I)の化合物に関する。
【0015】
さらなる実施形態において、本発明は、Rがアリールアルキルであり、Rがヒドロキシルで置換されたC1〜8アルキルであるか、又はいずれかの立体化学的配置の以下の例のうちの1つである、式(I)の化合物に関する。
【0016】
【化2】
【0017】
さらに、本発明は、RがCHであり、Rが上で特定したとおりである、式(I)の化合物も提供する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、Rがヘテロアリールアルキルであり、Rが上で特定したとおりである、式(I)の化合物を提供する。
【0019】
式(I)の化合物、及びその医薬的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、又は多形は、医薬として、特にトル様受容体(特にTLR7及び/又はTLR8)の活性の調節剤としての活性を有する。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形を、1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤、希釈剤、又は担体と一緒に含む、医薬組成物を提供する。
【0021】
さらに、本発明による式(I)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形、或いは前記式(I)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形を含む医薬組成物は、医薬として使用することができる。
【0022】
したがって、本発明の別の態様は、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形、或いは前記式(I)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形を含む医薬組成物が、TLR7及び/又はTLR8の調節が含まれる疾患の治療において使用することができることである。
【0023】
用語「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含有する、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素を表す。
【0024】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を表す。
【0025】
用語「アルケニル」は、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素二重結合からなる、上で定義したアルキルを表す。
【0026】
用語「アルキニル」は、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素三重結合からなる、上で定義したアルキルを表す。
【0027】
用語「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を含有する、炭素環を表す。
【0028】
用語「アリール」は、N、O、及びSから、特にN及びOから選択される1つ又は2つのヘテロ原子を場合によって含む、芳香族環構造を意味する。前記芳香族環構造は、4、5、6、又は7個の環原子を有していてもよい。特に、前記芳香族環構造は、5又は6個の環原子を有していてもよい。
【0029】
用語「ヘテロアリール」は、N、O、及びSから、特にN及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、用語「アリール」に対して定義した芳香族環構造を意味する。
【0030】
用語「二環式複素環」は、2つの縮合した芳香族環から構成される、用語「アリール」に対して定義した芳香族環構造を意味する。それぞれの環は、場合によって、N、O、及びSから、特にN及びOから選択されるヘテロ原子から構成される。
【0031】
用語「アリールアルキル」は、アルキル基で場合によって置換されていてもよい、用語「アリール」に対して定義した芳香族環構造を意味する。
【0032】
用語「ヘテロアリールアルキル」は、アルキル基で場合によって置換されていてもよい、用語「ヘテロアリール」に対して定義した芳香族環構造を意味する。
【0033】
用語「アルコキシ」は、酸素に単結合したアルキル(炭素と水素の鎖)基、例えばメトキシ基又はエトキシ基を表す。
【0034】
「複素環」は、飽和した又は部分的に飽和しており、エチルオキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はその他の環式エーテルを含む分子を表す。窒素含有複素環には、例えばアゼチジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジンなどが含まれる。その他の複素環には、例えば、チオモルホリン、ジオキソリニル、及び環式スルホンが含まれる。
【0035】
「ヘテロアリール」基は、本来芳香族である複素環式基である。これらは、N、O又はSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する、単環式、二環式、又は多環式である。ヘテロアリール基は、例えば、イミダゾリル、イソオキサゾリル、フリル、オキサゾリル、ピロリル、ピリドニル、ピリジル、ピリダジニル、又はピラジニルであり得る。
【0036】
式(I)の化合物の医薬的に許容可能な塩には、その酸付加塩及び塩基性塩が含まれる。好適な酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から形成される。好適な塩基性塩は、非毒性の塩を形成する塩基から形成される。
【0037】
本発明の化合物は、非溶媒和及び溶媒和の形態で存在してもよい。用語「溶媒和」は、本明細書において、本発明の化合物と1つ以上の医薬的に許容可能な溶媒分子、例えばエタノールとを含む分子複合体を記載するために使用される。
【0038】
用語「多形」は、本発明の化合物が、1つを超える形態又は結晶構造で存在する能力を表す。
【0039】
本発明の化合物は、結晶形又は非晶質生成物として投与されてもよい。これらは、例えば、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、又は蒸発乾燥などの方法によって、固体の塊(plug)、粉末、又はフィルムとして得られてもよい。これらは単独で、又は1つ以上の他の本発明の化合物と組み合わせて、又は1つ以上の他の薬物と組み合わせて投与されてもよい。一般的に、これらは1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤を伴って製剤として投与される。用語「賦形剤」は、本明細書において、本発明の化合物以外の任意の成分を記載するために使用される。賦形剤の選択は、投与の特定の態様、溶解性及び安定性への賦形剤の影響、及び剤形の性質などの要因に大きく依存する。
【0040】
本発明の化合物又はその任意のサブグループは、投与の目的のために、様々な医薬形態に製剤化されてもよい。適切な組成物として、全身に薬物を投与するために通常用いられる、引用された全ての組成物が引用されてもよい。本発明の医薬組成物を調製するために、場合によって塩の形態で、有効量の特定の化合物を活性成分として、投与に望ましい調製物の形態に依存する、広範な形態をとる医薬的に許容可能な担体との密接な混合物に組み合わせる。これらの医薬組成物は、望ましくは、例えば経口、直腸、又は経皮投与に好適な単一の剤形である。例えば、経口剤形に組成物を調製する場合、任意の通常の医薬媒体、例えば、懸濁液、シロップ、エリキシル、エマルション、及び溶液などの経口液体調製物の場合、水、グリコール、油、アルコールなど;又は粉末、丸薬、カプセル、及び錠剤の場合、デンプン、糖、カオリン、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの固体の担体を用いてもよい。投与のしやすさによって、錠剤及びカプセルが最も有利な経口投与剤形を表しており、固体の医薬担体が明らかに用いられる。使用する前にすぐに液体の形態に変換することができる固体の形態の調製物も含まれる。経皮投与に好適な組成物において、担体は、場合によって、浸透促進剤及び/又は好適な湿潤剤を、場合によって少ない割合で任意の性質の好適な添加剤と組み合わせて含んでもよく、添加剤は皮膚に大きく有害な効果を生じない。前記添加剤は、皮膚への投与を促進し、及び/又は所望の組成物を調製するために役立ち得る。これらの組成物は、様々な方法、例えば経皮貼布として、染み(spot−on)として、軟膏として投与されてもよい。本発明の化合物は、当分野でこの方法で投与するために用いられる方法及び製剤によって、吸入又は通気によって投与されてもよい。したがって、一般的に、本発明の化合物は、溶液、懸濁液、又は乾燥粉末の形態で肺に投与され得る。
【0041】
投与しやすさ及び用量の均一性のために、単位剤形で前述の医薬組成物を製剤化することが特に有利である。本明細書において使用される場合、単位剤形は、単位用量として好適な物理的に別々の単位を表し、それぞれの単位は、必要な医薬担体とともに所望の治療効果をもたらすために計算された、所定の量の活性成分を含有する。このような単位剤形の例は、錠剤(分割錠剤又はコートされた錠剤を含む)、カプセル、丸薬、粉末、パケット、ウエハ、座薬、注射可能な溶液又は懸濁液など、及びその分割された複数である。
【0042】
感染症の当業者は、以下に示す試験結果から有効量を決定することができるだろう。一般的に、有効な日々の量は、0.01mg/体重kgから50mg/体重kg、より好ましくは0.1mg/体重kgから10mg/体重kgであると考えられる。必要な用量を、一日を通して適切な間隔で2回、3回、4回、又はそれ以上のサブ用量として投与することも適切である。前記サブ用量は、例えば、単位剤形あたり1から1000mg、特に5から200mgの活性成分を含有する単位剤形として製剤化されてもよい。
【0043】
正確な投与の用量及び頻度は、使用される式(I)の特定の化合物、治療される特定の症状、治療される症状の重症度、年齢、体重及び特定の患者の一般的な物理的条件、並びにその他の投薬に依存し、個々は当業者によく知られているとおり摂取されてもよい。さらに、有効量は、治療される対象の応答によって、及び/又は本発明の化合物を処方する医者の評価によって低下又は増加してもよいことは明らかである。したがって、上記の有効量の範囲は指針に過ぎず、あらゆる範囲において本発明の範囲又は使用を限定することを意図しない。
【実施例】
【0044】
式(I)の化合物の調製
2の調製
【0045】
【化3】
【0046】
O(320mL)中の1(20g、176.9mmol、1当量)の溶液に、室温でBr(24mL、466.8mmol、2.6当量)を加えた。混合物を60℃で15時間撹拌し、続けて室温でNHOH(50mL)を加えた。その後、HCl(6N水溶液)をpH=5までゆっくりと加え、混合物を酢酸エチル(3×800mL)で抽出した。組み合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で濃縮して2(16g)を得た。
【0047】
H NMR(400MHz,DMSO−d) ppm 12.56(m,1H)、12.31(m,1H)
【0048】
3の調製
【0049】
【化4】
【0050】
POCl(80mL)中の2(16g、83.3mmol)の溶液に、室温でPCl(36.1g、173.4mmol)及びN,N−ジエチルアニリン(35mL、221.7mmol)を加えた。混合物を120℃で5時間撹拌し、その後過剰の溶媒を減圧下で除去した。残渣の3(80g)を、さらなる精製なしに次の工程で直接使用した。
【0051】
4の調製
【0052】
【化5】
【0053】
中間体4を、バレルアルデヒドの代わりにブチルアルデヒドを用いて9の調製に従って合成した。
【0054】
H NMR(400MHz,DMSO−d): ppm 8.07(s,3H)、4.85(br,1H)、3.57〜3.45(m,2H)、3.14〜3.12(m,1H)、1.70〜1.64(m,2H)、1.56〜1.49(m,2H)、1.38〜1.30(m,2H)、0.90〜0.80(t,J=6.8Hz,3H)
【0055】
5の調製
【0056】
【化6】
【0057】
CHCL(300mL)中の3(80g粗生成物、82.8mmol)の撹拌された溶液に、室温で4(12.8g、82.8mmol)及びEtN(34.7mL、250mmol)を加えた。混合物を室温で15時間撹拌した。反応物を水(400mL)で希釈し、CHCl(3×500mL)で抽出した。組み合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、その後乾燥し(MgSO)、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で除去した。残渣を石油エーテルと酢酸エチル勾配を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製した。最も優れた画分を溜め、溶媒を減圧下で除去して5(3g)を得た。
【0058】
H NMR(400MHz、CDCl): ppm 6.85(d,1H)、4.35(m,1H)、3.83(m,2H)、2.0(m,1H)、1.71(m,3H)、1.38(m,2H)、0.98(t,3H)
【0059】
6の調製
【0060】
【化7】
【0061】
THF(20mL)中の5(3g、11.32mmol、1当量)及びNHOH(20mL)を密封されたチューブ内に入れ、100℃に18時間加熱した。室温まで冷却した後、反応物を水で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で濃縮した。残渣をCHClとCHCl/CHOH勾配を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。最も優れた画分を溜め、濾液の溶媒を減圧下で除去して6を得た(1.57g)。
【0062】
H NMR(400MHz、CDCl): ppm 5.65(d,1H)、5.20(brs、2H)、4.35(m,1H)、3.65(m,2H)、2.0(m,1H)、1.60(m,3H)、1.45(m,2H)、0.93(t,3H)
【0063】
8の調製
【0064】
【化8】
【0065】
ジオキサン(48mL)中の6(1.2g、4.9mmol)、7(4.13g、24.4mmol)及びt−BuOK(1.6g、14.7mmol)の混合物を、マイクロウェーブ中の120℃で1時間撹拌した。溶液の固体を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を水(調節剤として0.05%のNH水溶液を含有)とアセトニトリルの勾配を使用する分取高速液体クロマトグラフィー(C18カラム)で精製した。所望の画分を溜め、溶媒を減圧下で除去して8(100mg)を得た。
【0066】
H NMR(400MHz、メタノール−d): ppm 8.56(d,1H)、7.73(d,1H)、5.69(s,2H)、4.54(m,1H)、4.25(s,3H)、4.06(s,3H)、3.65(m,2H)、1.75(m,4H)、1.35(m,2H)、0.94(t,3H)
【0067】
9の調製の全体
【0068】
【化9】
【0069】
中間体9aの調製
【0070】
【化10】
【0071】
THF(1L)中のバレルアルデヒド(43g、500mmol)の溶液に、(tert−ブトキシカルボニルメチレン)トリフェニルホスホラン(200g、532mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を石油エーテルで希釈し、濾過した。濾液の溶媒を減圧下で除去し、残渣を石油エーテルと石油エーテル中の3%酢酸エチルの勾配を使用するシリカクロマトグラフィーで精製して、無色の油として9a(90g)を得た。
【0072】
H NMR(400MHz、CDCl): ppm 6.81〜6.77(m,1H)、5.68〜5.64(td,J=1.2Hz,15.6Hz,1H)、2.11〜2.09(m,2H)、1.406(s,9H)、1.38〜1.26(m,4H)、0.85〜0.81(t,J=7.2Hz,3H)
【0073】
化合物9bの調製
【0074】
【化11】
【0075】
THF(800mL)中の(S)−(−)−N−ベンジル−1−フェニルエチルアミン(165g、781mmol)の撹拌された溶液に、n−ブチルリチウム(290mL、725mmol)を−78℃で加えた。反応混合物を30分間撹拌し、その後THF(400mL)中の9a(90g、488.4mmol)を加え、反応物を−78℃で2時間撹拌した。混合物をNHCl飽和水溶液でクエンチし、室温まで温めた。生成物を酢酸エチルと水とで分配した。有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で除去した。残渣を石油エーテル中の5%酢酸エチルで溶離するカラムクロマトグラフィーで精製して、無色の油9b(132g)を得た。
【0076】
H NMR(400MHz、CDCl): ppm 7.36〜7.16(m,10H)、3.75〜3.70(m,2H)、3.43〜3.39(d,J=15.2Hz,1H)、3.33〜3.15(m,1H)、1.86〜1.80(m,2H)、1.47〜1.37(m,2H)、1.32(s,9H)、1.26〜1.17(m,7H)、0.83〜0.79(t,J=7.2Hz,3H)
【0077】
9cの調製
【0078】
【化12】
【0079】
9b(130g、328mmol)をTHF(1.5L)中に溶解し、LiAlH(20g、526mmol)を少量0℃で加えた。得られた混合物を同じ温度で2時間撹拌し、その後室温まで温めた。混合物をNHCl飽和水溶液でクエンチした。生成物を酢酸エチルと水で分配した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。組み合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、固体を濾過により除去し、濃縮して粗生成物9c(100g)を得て、これをさらなる精製なしで次の工程で使用した。
【0080】
H NMR(400MHz、CDCl): ppm 7.33〜7.14(m,10H)、3.91〜3.86(m,1H)、3.80〜3.77(d,J=13.6Hz,1H)、3.63〜3.60(d,J=13.6Hz,1H)、3.43〜3.42(m,1H)、3.15〜3.10(m,1H),2.70〜2.63(m,2H)、1.65〜1.28(m,10H)、0.89〜0.81(m,3H)
【0081】
9の調製
【0082】
【化13】
【0083】
9c(38g、116.75mmol)及びメタノール(200mL)中の10%Pd/Cの溶液を、50℃で24時間、50psi水素下で水素化した。反応混合物を濾過し、溶媒を蒸発させて9を得た。
【0084】
H NMR(400MHz、DMSO−d): ppm 8.04(s,3H)、3.60〜3.49(m,2H)、3.16〜3.15(m,1H)、1.71〜1.67(m,2H)、1.60〜1.55(m,2H)、1.33〜1.26(m,4H)、0.90〜0.87(t,J=6.8Hz,3H)
【0085】
10の調製
【0086】
【化14】
【0087】
CHCl(54mL)中の3(21.6g粗生成物、22.1mmol)の撹拌された溶液に、室温で9(2.9g、22.1mmol)及びEtN(9.2ml、66.3mmol)を加えた。その後、混合物を同じ温度で終夜撹拌した。反応物を水(200mL)で希釈し、CHCl(3×150mL)で抽出した。組み合わせた有機層を水とブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物を石油エーテルと酢酸エチルの勾配を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。最も優れた画分を溜め、溶媒を減圧下で除去して10(0.91g)を得た。
【0088】
H NMR(400MHz、CDCl) ppm 6.71(d,1H)、4.36(m,1H)、3.83(m,2H)、2.04(m,2H)、1.70(m,2H)、1.35(m,4H)、0.92(t,3H)
【0089】
11の調製
【0090】
【化15】
【0091】
THF(7mL)中の10(0.91g、3.3mmol、1当量)及び水酸化アンモニウム(7mL)を、密閉されたチューブに入れ、110℃に12時間加熱した。室温まで冷却した後、反応物を水で希釈し、酢酸エチル(3×150mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で除去した。残渣をジクロロメタン中の10%メタノールを使用する分取薄層シリカゲルクロマトグラフィーで精製して、170mgの11を得た。
【0092】
H NMR(400MHz、CDCl) ppm 5.67(d,1H)、5.29(d,2H)、4.17(m,1H)、3.66(m,2H)、2.51(brs,1H)、1.88(m,1H)、1.55(m,3H)、1.25(m,4H)、0.83(t,3H)
【0093】
12の調製
【0094】
【化16】
【0095】
CHOH(10mL)中の11(170mg、0.64mmol)及びナトリウムメトキシド(69mg、1.28mmol)の混合物を、撹拌しながらマイクロウェーブ中で100℃に1時間加熱した。固体を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を分取高速液体クロマトグラフィー(カラムC18、0.05%HClを含有する、水とアセトニトリルの勾配を使用)で精製した。最も優れた画分を溜め、真空下で濃縮して12を得た。
【0096】
LC−MS m/z=256(M+H)
【0097】
H NMR(400MHz、MeOH−d) ppm 4.49(m,1H)、4.02(s,3H)、3.63(m,2H)、1.84(m,2H)、1.68(m,2H)、1.33(m,4H)、0.93(t,3H)
【0098】
13の調製
【0099】
【化17】
【0100】
中間体13を、5を調製する方法に従って調製した。
【0101】
14の調製
【0102】
【化18】
【0103】
中間体14を、6を調製する方法に従って調製した。
【0104】
15の調製
【0105】
【化19】
【0106】
密閉されたチューブ内で、無水THF(1mL)中の14(100mg、0.5mmol)、ベンジルアルコール(0.52mL、5mmol)及び炭酸セシウム(814.5mg、2.5mmol)の混合物を100℃で24時間撹拌した。反応物を水(1mL)で希釈し、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を水及びブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、固体を濾過により除去し、濾液の溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を石油エーテルと酢酸エチルの勾配を使用するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、黄色の油である15を得た(67.7mg、0.25mmol)。
【0107】
16の調製
【0108】
【化20】
【0109】
16を、15を調製する方法に従って調製した。
【0110】
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表1D】
【0111】
分析方法
全ての化合物を、以下のLC−MS法に従うLC−MSによって特徴付けした。
【0112】
【表2】
【0113】
方法B
0.343mL/分の流速を有するWaters Acquity BEH(架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド)C18カラム(1.7μm、2.1×100mm)の逆相UPLC。2つの移動相(移動相A:95%の7mM酢酸アンモニウム/5%のアセトニトリル;移動相B:100%のアセトニトリル)を使用して、84.2%のA及び15.8%のB(0.49分間保持)から10.5%のA及び89.5%のBの勾配条件に2.18分で動作させ、1.94分間保持し、0.73分で最初の条件に戻し、0.73分間保持した。2μLの注入体積を使用した。コーン電圧は、正及び負イオン化モードで20Vであった。質量スペクトルを、0.1秒の走査間遅延を使用して0.2秒で100から1000まで走査して取得した。
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
式(I)の化合物の生物学的活性
(生物学的アッセイの説明)
TLR7及びTLR8の活性の評価
ヒトTLR7及び/又はTLR8を活性化させる化合物の能力を、TLR7又はTLR8発現ベクター及びNFB−lucレポーター構築で一時的にトランスフェクトされたHEK293細胞を使用する細胞レポーターアッセイ(cellular reporter assay)で評価した。
【0117】
簡潔には、HEK293細胞を培地(10%のFCS及び2mMのグルタミンを補ったDMEM)で成長させた。10cmのディッシュ中の細胞のトランスフェクションのために、細胞をトリプシン−EDTAで分離し、CMV−TLR7又はTLR8プラスミド(750ng)、NFB−lucプラスミド(375ng)及びトランスフェクション試薬のミックスでトランスフェクトし、5%のCO加湿雰囲気下、37℃で終夜培養した。その後、トランスフェクトした細胞をトリプシン−EDTAで分離し、PBS中で洗浄し、1.67×10細胞/mLの密度に培地を再懸濁した。その後、30マイクロリットルの細胞を、4%のDMSO中の10μLの化合物が既に存在する384ウェルプレート内でそれぞれのウェルに分注した。続けて37℃、5%のCOで6時間培養し、ルシフェラーゼ活性を、それぞれのウェルに15μLのSteady Lite Plus基質(Perkin Elmer)を加えることによって測定し、読み出しをViewLux ultraHTSマイクロプレートイメージャ(Perkin Elmer)で行った。用量反応曲線を4回行った測定から生成した。アッセイの標準偏差より少なくとも2倍の効果を誘起する濃度として定義される、それぞれの化合物の最小有効濃度(LEC)の値を測定した。
【0118】
化合物の毒性を、384ウェルプレートにCMV−TLR7構築のみ(1.67×10細胞/mL)でトランスフェクトした、ウェルごとに30μLの細胞を有する同様の希釈系列を使用して並行して測定した。細胞の生存能力を、ウェルごとに15μLのATP lite(Perkin Elmer)を加えることによって、37℃、5%のCOで6時間培養した後に測定し、ViewLux ultraHTSマイクロプレートイメージャ(Perkin Elmer)で読んだ。データをCC50として報告した。
【0119】
並行して、NFB−lucレポーター構築のみ(1.67×10細胞/mL)でトランスフェクトした、ウェルごとに30μLの細胞を有する、化合物の同様の希釈系列を使用した(4%のDMSO中の10μLの化合物)。37℃、5%のCOで6時間培養した後、ルシフェラーゼの活性を、それぞれのウェルに15μlのSteady Lite Plus基質(Perkin Elmer)を加えることによって測定し、読み出しをViewLux ultraHTSマイクロプレートイメージャ(Perkin Elmer)で行った。カウンタースクリーン(counterscreen)データをLECとして報告する。
【0120】
ISREプロモータ成分の活性化
IFN−Iを誘起する化合物の可能性を、PBMCからの調節された媒体によるインターフェロン活性化応答配列(ISRE)の活性化を測定することによって評価した。配列GAAACTGAAACTのISRE配列は、STAT1−STAT2−IRF9転写因子に高い応答性を有し、その受容体IFNAR(Clontech、PT3372−5W)にIFN−Iが結合した際に活性化される。Clontech(ref.631913)からのプラスミドpISRE−Lucは、5コピーのこのISRE配列、続けて蛍ルシフェラーゼORFを含有する。pISRE−Lucで安定にトランスフェクトされたHEK297細胞株(HEK−ISREluc)を、調節されたPBMC細胞培養媒体のプロファイルに定着させた。
【0121】
簡潔には、PBMCを、標準Ficoll遠心分離手順を使用して、少なくとも2人のドナーの軟膜から調製した。単離したPBMCを10%のヒトAB血清を補ったRPMI媒体に再懸濁し、2×10の細胞/ウェルを、化合物を含有する384ウェルプレートに分注した(70μLの合計体積)。終夜培養した後、10μLの上清を、30μL中5×10のHEK−ISREluc細胞/ウェルを含有する384ウェルプレート(前日に仕上げた)に移動した。24時間培養した後、ISRE配列の活性化を、40μL/ウェルのSteady Lite Plus基質(Perkin Elmer)を使用するルシフェラーゼ活性を分析することによって測定し、ViewLux ultraHTSマイクロプレートイメージャ(Perkin Elmer)で測定した。HEK−ISREluc細胞へのそれぞれの化合物の刺激活性を、アッセイの標準偏差より少なくとも2倍のルシフェラーゼ活性をもたらす、PBMCに適用された化合物の濃度として定義されるLEC値として報告した。同様に、LECは、所定の量のPBMC培養媒体の移動に対するISRE活性化の程度を示す。組み換えインターフェロンα−2a(Roferon−A)を、標準対照化合物として使用した。
【0122】
【表5A】
【表5B】
【表5C】
【表5D】
【0123】
全ての化合物は、最も高い試験濃度までで毒性を示さなかった。全ての化合物は、上記のHEK 293 NF−kBカウンタースクリーンアッセイにおいて、活性(LEC>25μM)を示さなかった。