【課題を解決するための手段】
【0006】
「請求項1」の発明は、上記の「発明が解決しようとする課題」を解決するためになされたものである。
図1は「請求項1」の発明の基本構成図である。
管断面が一様な同一水平面に直線配置された管を液体が定常流状態で流下する前記管の上流圧力を測定する上流圧力計1および下流圧力を測定する下流圧力計2を設置する。
液体の温度を測定する液体温度計3を管の液体温度を代表する位置に設置する。前記液体温度計3は温度変化に伴う液体粘度と密度を補正するものである。
図1に示す円管を水平に設置したとき、
上流圧力計の圧力 P1[Pa]
下流圧力計の圧力 P2[Pa]
圧力損失 ΔP=(P1−P2)[Pa]
上流圧力計と下流圧力計の距離 L[m]
管摩擦係数 λ[無次元数]
液体の密度 ρ[kg/m
3]
平均流速 u[m/s]
管内径 d[m]
とすれば、公知のダルシー・ワイスバッハの式は数式1で示される。
【数1】
管内を流れる液体の粘度 μ[Pa・s]
動粘度 ν=μ/ρ[m
2/s]
とすれば、レイノルズ数Reは数式2で示される。
【数2】
数式1と数式2から平均速度uを消去し、摩擦係数λについて整理した式を数式3に示す。
【数3】
数式3はダルシー・ワイスバッハの式をベースとした第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数と定義する。本関数の係数を演算する第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数係数演算部4において、数式3の管摩擦係数λ、レイノルズ数Re以外の係数を決定する。
上流圧力計1、下流圧力計2で測定した上流圧力P1、下流圧力P2を電気信号により伝送する信号伝送部8および伝送路9により伝送して第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数係数演算部4において、
ΔP=P1−P2の差圧演算をおこない係数を決定する。
液体温度計3で測定した液体温度Tを電気信号により伝送する信号伝送部8および伝送路9により伝送して第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数係数演算部4において、液体密度、粘度を設定する液体パラメータ設定部7により設定されている基準温度における液体密度、粘度を測定した液体温度Tにおける液体密度、粘度に換算する。換算はあらかじめ設定されている換算テーブルを参照して換算値を求めるか、または粘度の場合は公知のアンドレード粘度換算数式により換算する。
本発明においては、上流圧力計1と下流圧力計2の距離Lは管内面は平滑の場合の流量測定も行うことになるために、この間の管摩擦損失を大きくして、測定精度を向上させるために距離Lは1km以上となることもあり、また、流量演算装置14は広域に設置された多数の流量計測に対応することを想定して、上流圧力計1または下流圧力計2と流量演算装置14との間は伝送回線で接続する。
この他に第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数係数演算部4に管の水力直径として円形管の場合は管内径d、上流圧力計1と下流圧力計2間の距離Lを管寸法パラメータ設定部により設定する。
以上により、数式3の係数はすべて決定して、第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数の管摩擦係数λはレイノルズ数Reのみの関数となる。
【0007】
第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数係数演算部4においては、液体の種類、管寸法、上流圧力計、下流圧力計間の距離L、測定した上流圧力P1、下流圧力P2の差圧ΔPに依存する第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数の係数を求めている。
第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数係数演算部5においては、層流、層流から乱流域に遷移する遷移流、乱流毎に数式が異なり、液体の種類、管寸法に依存せず、管内壁の粗さのみに依存する
管摩擦係数・レイノルズ数関数を第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数と定義する。本関数の係数演算部の係数と数式を示す。
層流の場合の
管摩擦係数・レイノルズ数の関数は公知の式として、数式4となる。
【数4】
乱流の場合の管摩擦係数・レイノルズ数の関数は公知の式として、レイノルズ数の適用範囲が広く、管内面の粗さにも対応できる式として、数式5に示すコールブルックの式によるものとする。ここで、εは絶対粗さで、管内径との比ε/dは相対粗さと呼ばれている。
ε/dは管相対粗さ設定部10により設定する。
図4に管内壁の絶対粗さと相対粗さの関係を示す。
【数5】
数式5においてε/d=0とすれば、管内面の粗さが滑らかな管に相当し、
数式6のように変形することができる。
【数6】
また、数式5においてε/dが大きくなり、管内面が粗く摩擦係数がレイノルズ数の影響を無視できる場合は、
数式7のように変型することができる。
【数7】
乱流の場合、ε/dの値により、数式6は滑らかな管の場合、数式7は粗い管の場合となるが、いずれもε/dの値を選べば数式5が適用可能なため、以下数式5により第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数係数を計算する。
第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数係数演算部5に管相対粗さを管相対粗さ設定部10により設定し、臨界レイノルズ数を臨界レイノルズ数設定部11により設定する。
層流から乱流に変化する遷移流の管摩擦係数に対するレイノルズ数の関数として、下記によるものとする。
(1)臨界レイノルズ数は下限、上限がある。
(2)下限、上限間のレイノルズ数と摩擦係数の関係は層流と乱流曲線を結ぶ直線近似とする。
これは下限、上限間のレイノルズ数と摩擦係数の関係は
図5に示す実験データから下限、上限間のレイノルズ数と摩擦係数の関係は直線的に近似可能となるためである。
(3)遷移流となる上、下限のレイノルズ数は管と流体依存性が大きく確定できないために設定値とする。
(4)層流と遷移流、遷移流と乱流への変化時に摩擦係数対レイノルズ数曲線は不連続とならない。
層流と遷移流の境界の臨界レイノルズ数 Re
L
遷移流と乱流の境界の臨界レイノルズ数 Re
H
層流と遷移流の境界の摩擦係数 λ
L
遷移流と乱流の境界の摩擦係数 λ
H
とし、レイノルズ数Reを横軸、摩擦係数λを縦軸にとった時の遷移流の直線の方程式は数式8となる。
臨界レイノルズ数Re
L およびRe
Hは臨界レイノルズ数設定部11により設定する。
【数8】
ここで、λ
Lは数式4により、λ
L= 64/ Re
Lにより計算する。また、λ
Hは乱流曲線の数式5において、レイノルズ数Re
Hを代入した数式9により計算される。
流量計測対象管のε/dの値は管の粗さ対応して設定する。
【数9】
なお、実用管について直径dと相対粗さの例を
図6に示す。
以上により数式9は乱流域と接続する摩擦係数λ
H以外の係数は与えられ、λ
Hについて解くことが可能である。数式9は陰関数のためλ
Hの値はニュートン・ラプソン法等を用いて数値的に解くか、Excel等の表計算ソフトであるゴールシーク、ソルバーなどを管流量計測装置14に組込むことにより演算で求める。
λ
Hが求められたことにより、遷移流のλ、Reの直線の方程式の係数が求められた。
以上、第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数係数演算部5の係数と数式が求められた。
図7に第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数の遷移域における直線近似の方法を示す。
【0008】
連立
管摩擦係数・レイノルズ数演算部12においては第一および第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数を連立して
管摩擦係数・レイノルズ数を演算する。
第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数は数式3である。
第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数は層流、遷移流、乱流に対して別々の数式による。
層流については数式4、
遷移流については数式8
乱流については数式5
である。
表1に、これらの数式を整理して示す。
【表1】
表1の第一および第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数の係数は第一および第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数係数演算部で値が求められているために、いずれの数式も管摩擦係数λおよびレイノルズ数Reのみを変数とする関数である。
【0009】
連立
管摩擦係数・レイノルズ数演算部12では、第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数および層流、遷移流、乱流毎に求めた第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数を連立方程式として、摩擦係数λ、レイノルズ数Reを求める。
演算の順は、
図8に示す手順を自動的に選択して行う。
第一に乱流について摩擦係数λ、レイノルズ数Reを求める。
レイノルズ数Reが上限の臨界レイノルズ数Re
H以上の時は乱流と判定する。
臨界レイノルズ数Re
Hより小さい時は遷移流と仮定してレイノルズ数Reを求める。遷移流と仮定して求めたレイノルズ数Reが上限の臨界レイノルズ数Re
Hより小さく下限の臨界レイノルズ数Re
L以上の時は遷移流と判定する。
求めたレイノルズ数Reが下限の臨界レイノルズ数Re
Lより小さい時は層流について摩擦係数λ、レイノルズ数Reを求める。レイノルズ数Reが下限の臨界レイノルズ数Re
L以下の時は層流と判定する。
乱流の場合において、第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数および第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数の連立方程式を解くにあたり数式が陰関数となる場合、ニュートン・ラプソン法等を用いて数値的に解くか、Excel等の表計算ソフトであるゴールシーク、ソルバーなどを管流量計測装置14に組込むことにより演算で求める。
【0010】
管流量を演算して表示する流量演算表示部13においては、連立
管摩擦係数・レイノルズ数演算部12で求められた摩擦係数λ、レイノルズ数Reを用いて演算する。λで表現した場合は管流量Qは数式1を用いて数式10により求められる。
【数10】
また、Reで表現した場合は管流量Qは数式2を用いて、数式11の計算により求められる。
【数11】
流量演算装置14の流量表示部13において、数式10または数式11により計算した流量Qを表示する。
【0011】
オリフィス等の絞り機構によらず、管の上流、下流に設置した圧力計の差圧ΔPを用いて流量を計測する方法として、計測する流量値を仮定して、この仮定流量値Qに対するレイノルズ数Reを数式11により求め、公知のムーディ線図と呼ばれる図表から摩擦係数λを読取り、数式10に計測したΔP、読取った前記λを代入して、流量Qを計算する。次に、この計算した流量Qと仮定流量値を比較して一致するように、仮定流量値を変化させて、再度、ムーディ線図を用いて、Reおよびλを求め数式10により流量Qを求め、この手順を仮定流量値に数式10により計算した流量値が一致するまで繰り返し、一致した流量を流量計測値とする方法が考えられる。
このための繰り返しによる流量を探索する方法として、ムーディ線図のレイノルズ数Re、摩擦係数λをデータ処理装置のメモリーにテーブル化して記憶させ、データ処理により流量計測値を自動的に探索する方法が考えられる。
特許文献1特許第4503830は前記のムーディ線図のレイノルズ数Re、摩擦係数λをデータ処理装置のメモリーにテーブル化して記憶させ、データ処理により流量計測値を自動的に探索する方法を採用している。
本発明は、ムーディ線図を用いず、従って、ムーディ線図のテーブル化も必要とせず、公知のダルシー・ワイスバッハの式から求めた第一のレイノルズ数Re、摩擦係数λの関数式、液体の種類に依存しない第二のレイノルズ数Re、摩擦係数λの関数式の二つの独立した関数式を連立してレイノルズ数Re、摩擦係数λを求めている。したがって、本発明と特許文献1特許第4503830とは流量を求める処理変換方式に違いがある。
特許文献2特開平6−94490との大きな相違点を以下に示す。
特開平6−94490は管壁を断熱と考えられる場合で、流体による摩擦を考慮した気体を対象とした圧縮性流体の定常流をFannoの流れとして、公知のFannoの式をもとに管流量を求めている。
これに対して、本発明は非圧縮性の液体を対象としており、公知のダルシー・ワイスバッハの式をもとに流量を求めている。したがって、本発明は特開平6−94490とは流量計測方式に基本的な違いがある。
特許文献3特開昭50−36163との大きな相違点を以下に示す。
第1の相違点として特開昭50−36163は原子炉を冷却する液体ナトリウムを流すパイプの圧力を測定する方法として、パイプ内を流れる液体ナトリウムの圧力により共鳴周波数応答を示す極超短波空洞を用いて圧力を測定している。本発明として圧力を測定する方法は管に半導体方式または静電容量方式等のダイアフラム感圧センサーを挿入して測定するプロセス制御に使われている圧力計により測定することを想定している。特開昭50−36163では極超短波は導波管を通して処理電子器機部でパイプ圧力に相当した電気信号に戻され、パイプの第1と第2の位置に設置したセンサーのパイプ内圧力の差圧から流量を求めている。圧力の測定方式は本発明と違いがあるが電気信号による差圧から流量を換算している点は特開昭50−36163と本発明は変わりない。
第2の相違点として特開昭50−36163の特許請求範囲には「その外部の圧力変化に応答する第1の共鳴極超音波空洞を有し、その圧力変化を表示する電気的出力を供給する第1極超短波センサー;その外部の圧力変化に応答する第2の共鳴極超音波空洞を有し、その圧力変化を表示する電気的出力を供給する第2極超短波センサー;および前記第1および第2センサーから供給された各出力を比較し各出力に応答する手段からなり、」と記述されている。この請求範囲には測定の都度、自動的に流速からレイノルズ数を求めたり、ムーディ線図から摩擦係数を読取ったり、明細書にΔpの式として記載されているダルシー・ワイスバッハの式の計算を行う処理は記述されていない。また、FIG.1にもこれらの処理を行う部分は記述されていない。
明細書に記述されているこれらの処理は流速の測定の都度おこなうのではなく、原子炉を冷却するために必要とする液体ナトリュウムの流速と第1および第2センサー間の差圧を求めておき、測定した差圧とあらかじめ求めておいた差圧と比較して冷却に必要な流量を推定していると解釈できる。本発明は流量測定の都度、管流量計測装置において、これらの処理を行っている。したがって、特開昭50−36163と本発明は流量計測装置として基本的に相違がある。
【0012】
図2は「請求項2」の基本構成図である。
管断面が一様な同一水平面に直線配置された管15を流体が定常流状態で流下する前記管15の上流圧力設定点22の圧力を調整して前記上流圧力と下流圧力予測制御点17との差圧を上流圧力設定点22に設置した上流圧力設定器16により、設定した一定の管流量Qのもとで制御する。
管摩擦係数・差圧関数係数演算部およびレイノルズ数演算部17において、数式1のダルシー・ワイスバッハの式の係数を演算する。数式1の管内平均流速uは数式12のuと管内流量Qの関係を用いると数式1は数式13
で表すことができる。
【数12】
【数13】
また、数式2のレイノルズ数Reの管内平均流速uを数式12を用いて管内流量Qで置換えると数式2は数式14で表すことができる。
【数14】
液体の温度を測定する前記温度計3を管の液体温度を代表する位置に設置する。液体温度計3は温度変化に伴う液体粘度と密度を補正するものである。
数式13は、管摩擦係数λ、差圧ΔPの関数としてλ、ΔP以外の値は係数とし設定または演算により求める。
数式14のレイノルズ数は演算により求める。
液体温度計3で測定した液体温度Tを電気信号により伝送する信号伝送部8および伝送路9により伝送して
管摩擦係数・差圧関数係数演算部およびレイノルズ数演算部17において、液体密度、粘度を設定する液体パラメータ設定部7により設定されている基準温度における液体密度、粘度を測定した液体温度Tにおける液体密度、粘度に換算する。換算はあらかじめ設定されている換算テーブルを参照して換算値を求めるか、または粘度の場合は公知のアンドレード粘度換算数式により換算する。
管の水力直径として円形管の場合は管内径d、上流圧力設定点22と下流圧力予測制御点間の距離Lを管寸法パラメータ設定部6により設定する。
また、下流圧力予測制御点17の圧力予測は設定した管流量Qのもとで行うため管流量設定部18により管流量Qを設定する。以上により、数式13の係数はすべて決定して、
管摩擦係数・差圧関数の変数はλとΔPのみの関数となっている。
数式14のレイノルズ数の値もQ、dは設定値で、ρ、μは設定値を液体温度計3で測定した液体温度に換算して求められるために値が決定している。
管摩擦係数演算部19においては、レイノルズ数演算部で数式14により求めたレイノルズ数Reにより摩擦係数λを演算により求める。演算式はレイノルズ数Reの値により層流、層流から乱流域に遷移する遷移流、乱流毎に数式が異なる。
数式の選定はレイノルズ数の値により下記により選定する。
層流の場合(Re<Re
L)は数式4
遷移流の場合(Re
H>Re≧Re
L)は数式8
乱流の場合(Re≧Re
H)は数式5
により演算する。
摩擦係数λの演算において数式が陰関数の場合は、請求項1の場合と同様に、
ニュートン・ラプソン法等を用いて数値的に解くか、Excel等の表計算ソフトであるゴールシーク、ソルバーなどを下流圧力予測制御装置24に組込むことにより演算で求める。
管摩擦係数演算部19に管相対粗さを管相対粗さ設定部10により設定し、臨界レイノルズ数を臨界レイノルズ数設定部11により設定する。
管摩擦係数演算部19で求めた摩擦係数λは
管摩擦係数・差圧関数演算部20において、数式13に代入して差圧ΔPを求める。
上流設定圧力演算表示部21において、前記差圧ΔPに下流設定圧力設定部23で設定している下流設定圧力を加算する。この加算した圧力は上流圧力設定値であり、上流設定圧力演算表示部21で表示する。
同時に前記上流圧力設定値は前記上流圧力設定器16に対して電気信号により信号伝送部8および伝送路9により伝送して前記上流圧力設定器16で圧力設定を行う。
表2に、これらの数式を整理して示す。
【表2】
【0013】
広域に設置されたパイプラインでは、高低差のない直線管によるパイプラインが流量計測のために確保できない場合がある。
曲がり管路の代表例として、曲率半径Rでθ度の角度で曲がる
図9に示すベンドと曲線を描かないでθ度の角度で曲がる
図10に示すエルボがある。
ベンドの損失ヘッドΔh
bおよびエルボの損失ヘッドΔh
eの公知の公式を、それぞれ数式15および数式17に示す。
【数15】
ただし、ζ
bはベンドの損失係数であり、数式16による。
【数16】
となる。
【数17】
ただし、ζ
eはエルボの損失係数であり、数式18による。
【数18】
となる。
図11の同一水平面に設置された曲線管に対して、上流圧力計1および下流圧力計2間の高さが基準点高さに対して、それぞれH1およびH2で上流圧力計1と下流圧力計2間に曲がりがある管の流量計測を考える。
管は一様断面の管15に定常流状態で液体が流れている場合、流速uは管路内で一定である。また、上流圧力計1と下流圧力計2間の総損失H
Lは摩擦損失と曲がり損失の合計であり数式19なる。
【数19】
ただし、ζは曲がり損失係数であり、曲がりが複数個所の場合は損失係数ζはこれらの合計である。gは重力の加速度である。
速度水頭は上下流で同じであることを考慮して、上流圧力計1と下流圧力計2間にベルヌーイの定理を適用すれば数式20が得られる。
【数20】
P1−P2=ΔP、H1−H2=ΔHとし、数式20をΔPについてまとめれば数式21となる。
【数21】
数式21は上流圧力計1と下流圧力計2間に高低差ΔHおよび曲り管がある場合の数式1に相当する式である。
数式2を用いて、数式21からuを消去してλについて整理すれば数式22と
なる。
【数22】
数式22は上流圧力計1と下流圧力計2間に高低差ΔHおよび曲り管がある場合の数式3に相当する式である。
上流圧力計1と下流圧力計2間に高低差ΔHおよび曲り管がある場合の流量計算式は、第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数として、同一平面の直管路の式として数式3の代わりに、数式22を用いる。
すなわち、第一および第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数を連立方程式として
管摩擦係数・レイノルズ数を演算する。
第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数は数式22である。
第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数は層流、遷移流、乱流に対して別々の数式による。
層流については数式4、
遷移流については数式8
乱流については数式5
である。
表3 に、層流、遷移流、乱流の場合について、連立方程式として、摩擦係数、レイノルズ数を求める第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数および第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数の一覧を示す。
乱流の場合において、第一
管摩擦係数・レイノルズ数関数および第二
管摩擦係数・レイノルズ数関数の連立方程式を解くにあたり数式が陰関数となる場合、ニュートン・ラプソン法等を用いて数値的に解くか、Excel等の表計算ソフトであるゴールシーク、ソルバーなどを管流量計測装置に組込むことにより演算で求める。
【表3】
摩擦係数λを用いた流量計算式は数式21より、流速uを求めることにより、数式23
により計算する。
【数23】
なお、レイノルズ数Reを用いた流量計算式は高低差ΔHおよび曲り管がある場合についても数式11で計算される。
【0014】
請求項1および請求項2において管寸法パラレータ設定部6において、水力直径の設定が必要である。円形管の場合の水力直径は管内径dである。円形管以外の場合の水力直径は円径管の管内径dと等価なパラメータを選定する必要がある。
管の断面積をA、断面の周辺の長さ(ぬれ縁という)をSとし、m=A/S は断面積Aとぬれ縁Sの比であり、水力平均深さと呼ばれている。
任意断面の水力直径deは、de=4mとなる。
例として、
円形の場合 m=A/s={π(d/2)
2}/{2π(d/2)}=d/4であるから de=4m=d
正方形の場合 一辺をBとして m=A/s=B
2/4B=B/4であるから d=4m=B
となる。