特許第6299080号(P6299080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6299080
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】コーヒーメーカー
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/02 20060101AFI20180319BHJP
【FI】
   A47J31/02
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-92970(P2013-92970)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2014-212987(P2014-212987A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166969
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 浩太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】角野 未知長
(72)【発明者】
【氏名】寺本 邦彦
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−536020(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0090653(US,A1)
【文献】 特開平05−199936(JP,A)
【文献】 特表2013−512742(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02401945(EP,A1)
【文献】 特開2006−263216(JP,A)
【文献】 特開2009−028152(JP,A)
【文献】 実開昭57−090014(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0247205(US,A1)
【文献】 特表2013−533034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯溜するタンクと、
前記タンクから供給された水を圧送するポンプと、
前記ポンプから圧送された水を加熱して湯にする加熱手段と、
前記加熱手段により加熱された湯を吐出する吐出口と、
前記吐出口の下方に配置される抽出部と、
前記ポンプ及び加熱手段の作動制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段が前記ポンプ及び加熱手段の作動制御を行うことにより、前記吐出口から前記抽出部内のコーヒー粉末又はコーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出するコーヒーメーカーであって、
前記制御手段は、コーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、前記コーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、のそれぞれに対応して、コーヒーの抽出量をコーヒーの抽出始めから抽出終わりまでの前記ポンプの通電時間と非通電時間の合計時間で割った値である、コーヒーの抽出速度を設定する、
ことを特徴とする、コーヒーメーカー。
【請求項2】
水を貯溜するタンクと、
前記タンクから供給された水を圧送するポンプと、
前記ポンプから圧送された水を加熱して湯にする加熱手段と、
前記加熱手段により加熱された湯を吐出する吐出口と、
前記吐出口の下方に配置される抽出部と、
前記ポンプ及び加熱手段の作動制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段が前記ポンプ及び加熱手段の作動制御を行うことにより、前記吐出口から前記抽出部内のコーヒー粉末又はコーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出するコーヒーメーカーであって、
前記制御手段は、コーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、前記コーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、のそれぞれに対応して、前記ポンプによる抽出始めから抽出終わりまでの単位時間あたりの抽出量である、コーヒーの抽出速度を設定し、
前記制御手段は、コーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合は、前記コーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と比較して、前記ポンプによるコーヒーの抽出速度を遅く設定する、
ことを特徴とする、コーヒーメーカー。
【請求項3】
複数種類の前記コーヒーポッドに対応してコーヒーを抽出する、請求項1または請求項2に記載のコーヒーメーカーであって、
前記制御手段は、前記コーヒーポッドの種類に対応して、前記ポンプによるコーヒーの抽出速度を設定する、
ことを特徴とする、コーヒーメーカー。
【請求項4】
前記ポンプにより圧送される水の流量を測定する流量計を備える、請求項1から請求項の何れか1項に記載のコーヒーメーカーであって、
前記制御手段は、前記ポンプの印加電圧を一定として、前記ポンプへの通電時間を変更することにより、前記ポンプによるコーヒーの抽出速度を設定する、
ことを特徴とする、コーヒーメーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーメーカーの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コーヒー粉末を投入したフィルターをドリッパーの内部にセットし、ドリッパー内のコーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する、一般的なコーヒーメーカーが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
一方、所定分量(例えば1杯分)のコーヒー粉末を不織布等のフィルターでパックした、所謂コーヒーポッドをセットし、このコーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出するコーヒーメーカーも知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
前記特許文献1に記載の如くコーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、前記特許文献2に記載の如くコーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合とでは、適正なコーヒーの抽出速度(湯の吐出速度)が異なる。例えば、何れか一方の抽出速度で他方の抽出を行った場合には、抽出に時間をかけすぎてコーヒーが濃くなって雑味が出たり、抽出時間が足りずにコーヒーが薄くなったりする。また、コーヒーポッドに不適切な抽出速度で抽出しようとすると、湯が溢れる場合がある。このため、一台のコーヒーメーカーで両方の場合に対応してコーヒーを抽出することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−51916号公報
【特許文献2】特開2013−27469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を鑑み、コーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、コーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合との何れであっても、それぞれに適正なコーヒーの抽出速度(湯の吐出速度)でコーヒーを抽出することが可能なコーヒーメーカーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、この課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
請求項1においては、水を貯溜するタンクと、前記タンクから供給された水を圧送するポンプと、前記ポンプから圧送された水を加熱して湯にする加熱手段と、前記加熱手段により加熱された湯を吐出する吐出口と、前記吐出口の下方に配置される抽出部と、前記ポンプ及び加熱手段の作動制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段が前記ポンプ及び加熱手段の作動制御を行うことにより、前記吐出口から前記抽出部内のコーヒー粉末又はコーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出するコーヒーメーカーであって、前記制御手段は、コーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、前記コーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、のそれぞれに対応して、コーヒーの抽出量をコーヒーの抽出始めから抽出終わりまでの前記ポンプの通電時間と非通電時間の合計時間で割った値である、コーヒーの抽出速度を設定するものである。
【0009】
本実施形態に係るコーヒーメーカーはこれにより、コーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、コーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合との何れであっても、それぞれに適正なコーヒーの抽出速度(湯の吐出速度)でコーヒーを抽出することができる。
【0010】
請求項2においては、水を貯溜するタンクと、前記タンクから供給された水を圧送するポンプと、前記ポンプから圧送された水を加熱して湯にする加熱手段と、前記加熱手段により加熱された湯を吐出する吐出口と、前記吐出口の下方に配置される抽出部と、前記ポンプ及び加熱手段の作動制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段が前記ポンプ及び加熱手段の作動制御を行うことにより、前記吐出口から前記抽出部内のコーヒー粉末又はコーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出するコーヒーメーカーであって、前記制御手段は、コーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、前記コーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、のそれぞれに対応して、前記ポンプによる抽出始めから抽出終わりまでの単位時間あたりの抽出量である、コーヒーの抽出速度を設定し、前記制御手段は、コーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合は、前記コーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と比較して、前記ポンプによるコーヒーの抽出速度を遅く設定するものである。
【0011】
本実施形態に係るコーヒーメーカーはこれにより、コーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合のコーヒーの抽出速度(湯の吐出速度)を適正にしてコーヒーを抽出することができる。
【0012】
請求項3においては、複数種類の前記コーヒーポッドに対応してコーヒーを抽出する、請求項1または請求項2に記載のコーヒーメーカーであって、前記制御手段は、前記コーヒーポッドの種類に対応して、前記ポンプによるコーヒーの抽出速度を設定するものである。
【0013】
本実施形態に係るコーヒーメーカーはこれにより、複数種類のコーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合であっても、それぞれのコーヒーポッドに適正なコーヒーの抽出速度(湯の吐出速度)でコーヒーを抽出することができる。
【0014】
請求項4においては、前記ポンプにより圧送される水の流量を測定する流量計を備える、請求項1から請求項の何れか1項に記載のコーヒーメーカーであって、前記制御手段は、前記ポンプの印加電圧を一定として、前記ポンプへの通電時間を変更することにより、前記ポンプによるコーヒーの抽出速度を設定するものである。
【0015】
本実施形態に係るコーヒーメーカーはこれにより、流量計による流量の測定精度を安定させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
本発明に係るコーヒーメーカーは、コーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、コーヒーポッドに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合との何れであっても、それぞれに適正なコーヒーの抽出速度(湯の吐出速度)でコーヒーを抽出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係るコーヒーメーカーの構成を示す断面図。
図2】同じくコーヒーメーカーの構成を示す簡略図。
図3】同じくコーヒーメーカーの蓋部を開放した状態を示す断面図。
図4図3におけるA−A線矢視図。
図5】コーヒーメーカーの制御フローを示した図。
図6】各実施形態におけるポンプの駆動状態を示した図。
図7】同じくコーヒーメーカーの構成を示す断面図。
図8】同じくコーヒーメーカーの構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明の一実施形態に係るコーヒーメーカー100について、図1から図4を用いて説明する。
図1はコーヒーメーカー100の構成を示す断面図、図2はコーヒーメーカー100の構成を示す簡略図、図3はコーヒーメーカー100の蓋部23を開放した状態を示す断面図、図4図3におけるA−A線矢視図である。
【0020】
コーヒーメーカー100は、図1に示す如く、その内部に着脱されるドリッパーD内に予めフィルターF及び所定量のコーヒー粉末Cをセットし、このコーヒー粉末Cに湯を滴下してコーヒーを作成するものである。即ち、図1はコーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合について示している。また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100は、図7及び図8に示す如く、その内部に着脱されるアダプターA1(A2)内に、予め所定量のコーヒー粉末が不織布等のフィルターでパックされたコーヒーポッドCP1(CP2)をセットし、このコーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを作成することもできる。即ち、図7及び図8はコーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合について示している。
【0021】
コーヒーメーカー100は、主にタンク1と、ポンプ2と、加熱手段としてのボイラー3と、吐出口4と、流量計8と、ポンプ2及びボイラー3の作動制御を行う制御手段ECUと、で構成されている。
タンク1は、水を貯溜するものである。図1に示す如く、タンク1はコーヒーメーカー100の上段部に着脱可能に設置されている。そして、タンク1の内部に貯溜される水は、配管11を介して、タンク1の下方に設置されている流量計8へ供給される。
【0022】
流量計8は配管11から流入する水量を計測するものである。流量計8で流量を計測された水は、流量計8の下方に設置されているポンプ2へ、配管12を介して供給される。図2に示す如く、流量計8は制御手段ECUと電気的に接続されており、流量計8を流れる水量を制御手段ECUに信号として送信可能に構成されている。
【0023】
ポンプ2は、タンク1内の水を、配管11、流量計8、及び配管12を経由して吸引し、配管13を介してボイラー3へと圧送するものである。ポンプ2は、コーヒーメーカー100の下段部に設置され、該ポンプ2の上方に設置されているボイラー3へ水を圧送する。本実施形態に係るコーヒーメーカー100においては、ポンプ2としてソレノイドポンプが用いられ、その印加電圧は一定とされている。即ち、ポンプ2で圧送する単位時間あたりの水量は一定になるように構成されている(本実施形態においては、後述する如く4mL/秒としている)。
【0024】
ボイラー3は、ポンプ2から配管13を介して圧送された水を加熱して湯又は蒸気にする加熱手段である。ボイラー3は、ポンプ2の上方でコーヒーメーカー100の中段部に設置され、ボイラー3にて生成された湯又は蒸気が、配管14及び配管15を介して吐出口4へ送られる。図2に示す如く、ポンプ2及びボイラー3は制御手段ECUと電気的に接続されている。そして、制御手段ECUがポンプ2及びボイラー3の作動制御を行うことにより、コーヒーメーカー100が後述するコーヒーの抽出を行うように構成されている。
【0025】
本実施形態に係る配管14は熱伝導性の高いアルミニウムで形成されている。そして、配管14をボイラー3の直上に設ける構成とすることにより、ボイラー3で発生した熱が配管14に伝わりやすくしている。これにより、ボイラー3から吐出口4までの経路途中で湯温が低下することを抑制しているのである。
【0026】
吐出口4は、ボイラー3によって加熱され、配管14及び配管15を介して送られた湯又は蒸気を吐出する。吐出口4は、コーヒーメーカー100の上段部に設置されており、吐出口4からの湯又は蒸気が吐出されるドリッパーDがその下方に着脱可能に構成されている。詳細には、吐出口4の下方には、下側に向かうにしたがって縮径し、上下両側に向かって開口する漏斗状の抽出部17が形成されている。そして、図1に示す如く抽出部17に、抽出部17の内周面と略同一形状の外周面を有するドリッパーDを挿入することにより、ドリッパーDをコーヒーメーカー100に着脱するのである。本実施形態においては、ドリッパーDの上部に、その厚さ方向に貫通する複数の孔が開口された散水板Pを配置することにより、抽出時の湯を散水板Pの孔を通してコーヒー粉末Cの上面に満遍なく吐出する構成としている。
【0027】
コーヒーメーカー100は、吐出口4の周囲が蓋部23として形成されている。そして、図3に示す如く、蓋部23は吐出口4とともに、回動軸24を中心にして上下に回動可能に構成されている。コーヒーメーカー100の使用者は、開放レバー23aを操作することにより、図3に示す如く蓋部23を開放することができる。コーヒーメーカー100の使用者は、図3に示す如く蓋部23を開放した状態で、前記の如くドリッパーD、散水板P、及び、アダプターA1(A2)等を着脱するのである。
【0028】
蓋部23の下面における吐出口4の周囲には図1に示す如く、蓋部23が閉じた状態で散水板Pの上面と当接するようにパッキン25が配設されている。これにより、吐出口4から湯を吐出してコーヒーを抽出する際に蒸気が漏れることを防止している。また、図7及び図8に示す如く、パッキン25は蓋部23を閉じた状態でアダプターA1・A2の上側開口部とも当接する形状に形成されている。即ち、パッキン25はドリッパーD及び散水板Pを用いる場合でも、アダプターA1・A2を用いる場合でも、蓋部23を閉じた状態でコーヒー抽出時の蒸気をシールすることができるように形成されているのである。
【0029】
本実施形態に係るコーヒーメーカー100において、配管15は可撓性のあるシリコンゴムで形成されている。そして、蓋部23の開放時には図4中の実線に示す如く配管15が伸長し、蓋部23の閉塞時には、蓋部23の開放時における回動軸24の周囲の長さ分だけ配管15の長さが余分になるため、図4中の二点鎖線に示す如く配管15が蛇行するように構成されている。換言すれば、図1における配管15は、紙面に垂直な方向に蛇行した状態で蓋部23に収容されているのである。これにより、蓋部23を開閉する際に、図1における閉塞状態と図3における開放状態との間を円滑に移行できるように構成しているのである。
【0030】
コーヒーメーカー100は、その前面(図1における左側)に操作手段21を備えている。図2に示す如く操作手段21は制御手段ECUと電気的に接続されており、後述する抽出パターン(本実施形態においては、「通常モード」「ポッド1モード」及び「ポッド2モード」等)を選択可能に構成されている。そして、コーヒーメーカー100の使用者がこの操作手段21を操作して抽出パターンを入力し、制御手段ECUによる作動制御を実行させることができるように構成されている。
【0031】
本実施形態に係るコーヒーメーカー100では図2に示す如く、配管14の中途部に圧力バルブPVが取り付けられている。圧力バルブPVは、例えば吐出口4が詰まって水路内の圧力が高くなった場合に、ヒートシンク5を介して水を排水トレイ6へ送り出す。
【0032】
次に、上記の如く構成されたコーヒーメーカー100で、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する手順について、図5及び図6(a)を用いて説明する。なお、以下の実施形態においては、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する構成としているが、コーヒー抽出の前にコーヒー粉末Cに湯や蒸気を吐出して、コーヒー粉末Cを蒸らす工程を適宜設けることも可能である。
【0033】
コーヒーメーカー100の使用者は予め、図1に示す如く、吐出口4の下方に位置する抽出部17に、フィルターF及び、フィルターFの内部にコーヒーの抽出量に応じた所定量のコーヒー粉末CをセットしたドリッパーDを装着する。また、使用者はコーヒーの抽出量に応じた所定量の水をタンク1に貯溜させ、タンク1を装着する。そして、ドリッパーDの下方でコーヒーメーカー100の本体における下部に形成された載置台100aに、抽出されたコーヒーを溜める図示しないサーバーを配置する。本実施形態においては、1杯分の一例として、120mLのコーヒーを抽出する場合について説明する。なお、コーヒーの抽出量は限定されるものではなく、1杯分として130mL〜150mLを抽出する構成とすることもできる。また、必要に応じて、2杯分以上のコーヒーを抽出する構成とすることも可能である。
【0034】
そして、使用者が操作手段21を操作することにより、図5中のステップS01に示す如く抽出パターンが入力され、制御手段ECUによるポンプ2及びボイラー3の作動制御が開始される。本実施形態においては、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する抽出パターンとして、「通常モード」が入力操作されるものとする。
【0035】
次に、制御手段ECUは図5中のステップS02に示す如く、入力された抽出パターン(本実施形態においては「通常モード」)に基づいて、ポンプ2を駆動させるための抽出速度を設定する。本抽出パターンにおいては、図6(a)に示す如く、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合に適した抽出速度が設定される。即ち、断続的に(本実施形態においてはONを6秒、OFFを7.5秒ごとに)ポンプ2への通電のON/OFFを切り替えて5回の抽出を行い、120mLを60秒間で抽出するように設定されるのである。この場合、抽出速度は120/60=2mL/秒となる。即ち、本明細書における「抽出速度」とは、「コーヒーの抽出量」を「抽出始めから抽出終わりまでの合計時間」で割った値、換言すれば、「単位時間あたりの抽出量(抽出始めから抽出終わりまでの時間平均抽出量)」を意味する。
【0036】
さらに、図5中のステップS03に示す、コーヒー抽出工程では、制御手段ECUによってポンプ2及びボイラー3が作動される。これにより、タンク1内における所定量の水が配管11から配管13を経由してボイラー3の内部に注水され、ボイラー3内に流入した水は所定温度まで昇温されて湯となる。その後、図6(a)に示す如く、タンク1内の水がなくなるまで、さらにポンプ2が設定した抽出速度(2mL/秒)に基づいて断続的に作動される。そして、ボイラー3内の湯が断続的に配管14及び配管15を経由して吐出口4に送られ、ドリッパーD内に吐出される。これにより、載置台100aの上面に配置された図示しないサーバーに、設定された抽出速度でコーヒーが抽出されるのである。本実施形態に係るコーヒーメーカー100においてはこのように、制御手段ECUがポンプ2への通電時間を変更することにより、ポンプ2によるコーヒーの抽出速度を設定する構成としている。
【0037】
本実施形態に係るコーヒーメーカー100は上記の如く、ポンプ2への通電のON/OFFを数秒(本実施形態においては6秒及び7.5秒)ごとに切り替える構成としている。即ち、ボイラー3内の水が蒸発して蒸気となる、いわゆる「空焚き」状態が数十秒にわたって継続しないようにしているのである。これにより、湯が蒸気とともに吐出口4から吐出された際に湯が跳ね跳ぶ、「スプラッシュ現象」を防止することができる。なお、ポンプ2の通電周期(通電回数)は限定されるものではなく、数秒間隔であれば良い。例えば、ボイラー3のON/OFF周期(約5〜10秒間隔)と同期させたり、ボイラー3のON/OFF周期よりも短くしたりする構成でも差し支えない。
【0038】
本実施形態に係るコーヒーメーカー100においては、ステップS01で抽出パターンが入力されてから、ステップS03でボイラー3が加熱(本予熱)されるまでの間に数秒程度の待機時間を設けている。そして、この待機時間の間に使用者が再度操作手段21を操作した場合には、先の入力操作がキャンセルされて後の入力操作が実行される。つまり、使用者が操作ミスをした場合に、待機時間の数秒間で操作を修正することができるように構成されている。また、この待機時間を用いて、ボイラー3の仮予熱が行われる。これにより、待機時間が経過して抽出パターンが確定してボイラー3の加熱(本予熱)が行われる際に要する時間を短縮する構成としている。換言すれば、ステップS01で抽出パターンが入力されてから、ステップS03でボイラー3が加熱されるまでの間に設けられる待機時間を用いてボイラー3の予熱を行うことにより、ボイラー3における水の加熱効果を高め、短時間で水温を上昇させることができるのである。
【0039】
次に、コーヒーメーカー100で、コーヒーポッドCP1に湯を吐出してコーヒーを抽出する手順について、図6(b)及び図7を用いて説明する。
コーヒーメーカー100の使用者は予め、図7に示す如く、吐出口4の下方に位置する抽出部17に、コーヒーポッドCP1に対応するアダプターA1を装着し、アダプターA1にコーヒーポッドCP1を配置する。また、使用者はコーヒーの抽出量に応じた所定量の水をタンク1に貯溜させ、タンク1を装着する。本実施形態においても、1杯分として、120mLのコーヒーを抽出する場合について説明する。そして、アダプターA1の下方でコーヒーメーカー100の本体における下部に形成された載置台100bに、抽出されたコーヒーを溜める紙コップCuを配置する。
【0040】
本実施形態に係るコーヒーメーカー100は図7に示す如く、抽出部17の下方における内側面部に、内側に突出して水平方向に延びるレール101・101・・・が上下方向に並んで複数形成されている。そして、このレール101・101・・・の間に載置台100bを挿入して固定することができるように構成されている。図7に示す如く、紙コップCu等にコーヒーを抽出する場合は、吐出口4と載置台100bとの距離が紙コップCuの高さより少し大きくなるように(紙コップCuを配置する高さが適切になるように)、載置台100bをレール101・101・・・の間に挿入する。これにより、抽出されたコーヒーが紙コップCuで飛び散ることを防止できるのである。
【0041】
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100における載置台100bは図7に示す如く、上面の中央部に、下方に窪んだ凹部が形成されている。これにより、載置台100bに紙コップCuを載置した場合でも、ポンプ2等の振動によって紙コップCuが移動しないように構成されている。
【0042】
そして、使用者が操作手段21を操作することにより、図5中のステップS01に示す如く抽出パターンが入力され、制御手段ECUによるポンプ2及びボイラー3の作動制御が開始される。本抽出パターンにおいては、コーヒーポッドCP1に湯を吐出してコーヒーを抽出するパターンとして、「ポッド1モード」が入力操作されるものとする。
【0043】
次に、制御手段ECUは図5中のステップS02に示す如く、入力された抽出パターン(本実施形態においては「ポッド1モード」)に基づいて、ポンプ2を駆動させるための抽出速度を設定する。本実施形態においては、図6(b)に示す如く、コーヒーポッドCP1に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合に適した抽出速度が設定される。即ち、連続的にポンプ2への通電がなされて抽出を行い、120mLを30秒間で抽出するように設定されるのである。この場合、抽出速度は120/30=4mL/秒となる。
【0044】
さらに、図5中のステップS03に示す、コーヒー抽出工程では、制御手段ECUによってポンプ2及びボイラー3が作動される。これにより、タンク1内における所定量の水が配管11から配管13を経由してボイラー3の内部に注水され、ボイラー3内に流入した水は所定温度まで昇温されて湯となる。その後、図6(b)に示す如く、タンク1内の水がなくなるまで、さらにポンプ2が設定した抽出速度(4mL/秒)に基づいて継続的に作動される。そして、ボイラー3内の湯が継続的に配管14及び配管15を経由して吐出口4に送られ、ドリッパーD内に吐出される。これにより、載置台100bの上面に配置された紙コップCuに、設定された抽出速度でコーヒーが抽出されるのである。
【0045】
さらに、コーヒーメーカー100で、コーヒーポッドCP1と大きさ・形状・抽出速度等、規格の異なるコーヒーポッドCP2に湯を吐出してコーヒーを抽出する手順について、図6(c)及び図8を用いて説明する。
コーヒーメーカー100の使用者は予め、図8に示す如く、吐出口4の下方に位置する抽出部17に、コーヒーポッドCP2に対応するアダプターA2を装着し、アダプターA2にコーヒーポッドCP2を配置する。また、使用者はコーヒーの抽出量に応じた所定量の水をタンク1に貯溜させ、タンク1を装着する。本実施形態においても、1杯分として、120mLのコーヒーを抽出する場合について説明する。そして、アダプターA2の下方でコーヒーメーカー100の本体における下部に形成された載置台100cに、抽出されたコーヒーを溜める紙コップCuを配置する。
【0046】
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100における載置台100cは図8に示す如く、上面の中央部に向かって高さが徐々に低くなる凹形状に形成されている。これにより、載置台100cに紙コップCuを載置した場合でも、ポンプ2等の振動によって紙コップCuが移動しないように構成されている。
【0047】
そして、使用者が操作手段21を操作することにより、図5中のステップS01に示す如く抽出パターンが入力され、制御手段ECUによるポンプ2及びボイラー3の作動制御が開始される。本実施形態においては、コーヒーポッドCP2に湯を吐出してコーヒーを抽出するパターンとして、「ポッド2モード」が入力操作されるものとする。
【0048】
次に、制御手段ECUは図5中のステップS02に示す如く、入力された抽出パターン(本実施形態においては「ポッド2モード」)に基づいて、ポンプ2を駆動させるための抽出速度を設定する。本抽出パターンにおいては、図6(c)に示す如く、コーヒーポッドCP2に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合に適した抽出速度が設定される。即ち、断続的に(本実施形態においては10秒ごとに)ポンプ2への通電のON/OFFを切り替えて3回の抽出を行い、120mLを50秒間で抽出するように設定されるのである。この場合、抽出速度は120/50=2.4mL/秒となる。
【0049】
さらに、図5中のステップS03に示す、コーヒー抽出工程では、制御手段ECUによってポンプ2及びボイラー3が作動される。これにより、タンク1内における所定量の水が配管11から配管13を経由してボイラー3の内部に注水され、ボイラー3内に流入した水は所定温度まで昇温されて湯となる。その後、図6(c)に示す如く、タンク1内の水がなくなるまで、さらにポンプ2が設定した抽出速度(2.4mL/秒)に基づいて断続的に作動される。そして、ボイラー3内の湯が断続的に配管14及び配管15を経由して吐出口4に送られ、ドリッパーD内に吐出される。これにより、載置台100cの上面に配置された紙コップCuに、設定された抽出速度でコーヒーが抽出されるのである。
【0050】
上記の如く、本実施形態に係るコーヒーメーカー100によれば、制御手段ECUは、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する「通常モード」と、コーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを抽出する「ポッド1(ポッド2)モード」と、のそれぞれに対応して、ポンプ2によるコーヒーの抽出速度を設定するのである。
【0051】
本実施形態に係るコーヒーメーカー100は上記の如く構成することにより、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、コーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合との何れであっても、それぞれに適正なコーヒーの抽出速度(湯の吐出速度)でコーヒーを抽出することができる。
【0052】
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100によれば、制御手段ECUは、コーヒー粉末に湯を吐出してコーヒーを抽出する「通常モード」においては、抽出速度を2mL/秒に設定している。一方、コーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを抽出する「ポッド1(ポッド2)モード」においては、抽出速度を4mL/秒(2.4mL/秒)に設定している。即ち、「通常モード」は「ポッド1(ポッド2)モード」と比較して、ポンプ2によるコーヒーの抽出速度を遅く設定しているのである。これにより、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合のコーヒーの抽出速度(湯の吐出速度)を適正にしてコーヒーを抽出することができる。
【0053】
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100によれば、「通常モード」では、コーヒー粉末Cが投入されたフィルターFを載置するドリッパーDが抽出部17に配置される構成としている。一方、「ポッド1(ポッド2)モード」ではコーヒーポッドCP1(CP2)を載置するアダプターA1(A2)が抽出部17に配置される構成としている。これにより、コーヒー粉末Cに湯を吐出してコーヒーを抽出する場合と、コーヒーポッドCP1(CP2)に湯を吐出してコーヒーを抽出する場合との何れであっても、それぞれに対応してコーヒーを抽出することができる。
【0054】
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100によれば、2種類のコーヒーポッドCP1・CP2に対応してコーヒーを抽出するとともに、制御手段ECUは、コーヒーポッドCP1・CP2の種類に対応して、ポンプ2によるコーヒーの抽出速度を設定している。これにより、それぞれのコーヒーポッドCP1・CP2に適正なコーヒーの抽出速度(湯の吐出速度、それぞれ4mL/秒・2.4mL/秒)でコーヒーを抽出することができる。
【0055】
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100によれば、2種類のコーヒーポッドCP1・CP2を載置するために、コーヒーポッドCP1・CP2のそれぞれに対応する2種類のアダプターA1・A2が抽出部17に配置される。これにより、2種類のコーヒーポッドCP1・CP2の大きさや形状等の規格が異なっても、それぞれに対応してコーヒーを抽出することができる。
【0056】
なお、本実施形態に係るコーヒーメーカー100は、2種類のコーヒーポッドCP1・CP2を用いてコーヒーを抽出する構成としたが、コーヒーメーカーで抽出できるコーヒーポッド、及びコーヒーポッドに対応するアダプターの種類は上記に限定されるものではなく、3種類以上とすることも可能である。
【0057】
また、本実施形態に係るコーヒーメーカー100は、ポンプ2により圧送される水の流量を測定する流量計8を備えるとともに、制御手段ECUは、ポンプ2の印加電圧を一定として、ポンプ2への通電時間を変更することにより、ポンプ2によるコーヒーの抽出速度を設定している。これにより、ポンプ2で圧送する単位時間あたり水量を一定とすることができ(本実施形態においては、何れの抽出パターンを選択した場合でも、「コーヒーの抽出量」である120mLを「実際の抽出時間」である30秒で割った値は4mL/秒となる)、流量計8に流れる水の流速が変化しないため、流量計8よる流量の測定精度を安定させることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 タンク
2 ポンプ
3 ボイラー
4 吐出口
100 コーヒーメーカー
A アダプター
CP コーヒーポッド
D ドリッパー
ECU 制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8