(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算用パラメータ取得手段は、前記複数のエリアのうち温度センサが設置されているエリアにおいては、前記温度センサが検出した検出温度を前記エリア内部の温度データとして参照し、前記複数のエリアのうち温度センサが設置されていないエリアにおいては、該エリアの外気温度データを前記エリア内部の温度データとして参照することを特徴とする請求項1に記載の物品温度管理装置。
前記指示手段は、前記複数のエリアのうち前記温度センサが設置されていないエリアに前記指定物品が滞在する場合においては、前記通信処理手段が該エリアの外気温度データを前記外部装置から受信したときに、前記指定物品の物品温度の演算を指示することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載の物品温度管理装置。
前記物品温度演算手段によって演算された前記指定物品の物品温度が、該指定物品の所定の閾値温度を超えると判断した場合には、該指定物品の管理部門に警告を通知する警告判断手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の物品温度管理装置。
前記指示手段は、前記複数のエリアのうち前記温度センサが設置されていないエリアに前記指定物品が滞在する場合においては、前記通信処理手段が該エリアの外気温度データを前記外部装置から受信したときに、前記指定物品の物品温度の演算を指示することを特徴とする請求項11または12に記載の物品温度管理システム。
前記指示手段は、期間またはエリアを指定して前記指定物品の物品温度の演算を指示することを特徴とする請求項10〜13のいずれか一つに記載の物品温度管理システム。
前記物品温度管理装置は、前記物品温度演算手段によって演算された前記指定物品の物品温度が、該指定物品の所定の閾値温度を超えると判断した場合には、該指定物品の管理部門に警告を通知する警告判断手段をさらに備えたことを特徴とする請求項10〜14のいずれか一つに記載の物品温度管理システム。
前記通信処理手段は、前記ネットワークに接続されて、前記読取装置によって読み取られた前記指定物品の識別媒体の識別情報と、前記指定物品の識別媒体の識別情報を前記読取装置が読み取った日時を示す時間情報と、前記読取装置の位置データとを受信し、
前記演算用パラメータ取得手段は、前記通信処理手段が受信した前記指定物品の識別媒体の識別情報と、前記指定物品の識別媒体の識別情報を前記読取装置が読み取った日時を示す時間情報と、前記読取装置の位置データとをもとに、前記指定物品の位置データと該位置データに対応する時間情報とを取得することを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに記載の物品温度管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では、商品の品質保証のために、商品外部の温度ではなく、商品である物品自体の温度にさらに近い温度での商品管理が求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、物品のより正確な温度管理を可能とした物品温度管理装置、物品温度管理システム、および、物品温度管理装置に物品の温度を演算させる物品温度演算方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる物品温度管理装置は、複数のエリアを移動する物品の温度の管理のために用いられる物品温度管理装置であって、物品温度の演算対象となる物品を指定して前記物品温度の演算を指示する指示手段と、前記指示手段によって指定された物品である指定物品に関する熱特性データを取得するとともに、前記複数のエリアのそれぞれにおけるエリア内部の時系列に沿った温度データの中から、前記指定物品が移動した各エリアの温度データを、各エリアにおける前記指定物品の滞在時間に応じて抽出し、該抽出した温度データを時系列的に組み合わせることにより、前記指定物品の物品温度の時間変化に影響を与える外部温度データを取得する演算用パラメータ取得手段と、前記演算用パラメータ取得手段によって取得された前記熱特性データと前記外部温度データとをもとに前記指定物品の物品温度を演算する物品温度演算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる物品温度管理装置は、前記演算用パラメータ取得手段は、前記複数のエリアのうち温度センサが設置されているエリアにおいては、前記温度センサが検出した検出温度を前記エリア内部の温度データとして参照し、前記複数のエリアのうち温度センサが設置されていないエリアにおいては、該エリアの外気温度データを前記エリア内部の温度データとして参照することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる物品温度管理装置は、ネットワークを介して外部装置との間で情報の送受信を行う通信処理手段をさらに備え、前記通信処理手段は、前記ネットワークに接続されて、前記温度センサが設置されているエリアのサーバから該エリアの前記温度センサが検出した検出温度を受信し、外部装置から前記温度センサが設置されていないエリアの外気温度データを受信することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる物品温度管理装置は、前記温度センサは、一定周期で温度を検出し、前記サーバは、前記温度センサが検出温度を検出するたびに該温度センサが検出した検出温度を前記通信処理手段に送信し、前記指示手段は、前記指定物品が滞在するエリアのサーバから前記通信処理手段が前記温度センサの検出温度を受信したときに、前記指定物品の物品温度の演算を指示することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる物品温度管理装置は、前記指示手段は、前記複数のエリアのうち前記温度センサが設置されていないエリアに前記指定物品が滞在する場合においては、前記通信処理手段が該エリアの外気温度データを前記外部装置から受信したときに、前記指定物品の物品温度の演算を指示することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる物品温度管理装置は、前記指示手段は、期間またはエリアを指定して前記指定物品の物品温度の演算を指示することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる物品温度管理装置は、前記物品温度演算手段によって演算された前記指定物品の物品温度が、該指定物品の所定の閾値温度を超えると判断した場合には、該指定物品の管理部門に警告を通知する警告判断手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる物品温度管理装置は、前記物品には、読取装置で読み取り可能である前記物品を識別する識別情報を有する識別媒体が付され、前記通信処理手段は、前記ネットワークに接続されて、各エリアの境界に設けられた前記読取装置によって読み取られた前記指定物品の識別媒体の識別情報と、前記指定物品の識別媒体の識別情報を前記読取装置が読み取った日時を示す時間情報と、前記読取装置の位置データとを受信し、前記演算用パラメータ取得手段は、前記通信処理手段が受信した前記指定物品の識別媒体の識別情報と、前記指定物品の識別媒体の識別情報を前記読取装置が読み取った日時を示す時間情報と、前記読取装置の位置データとをもとに、前記指定物品の位置データと該位置データに対応する時間情報とを取得することを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる物品温度管理装置は、管理対象のエリアに滞在する物品の温度の管理のために用いられる物品温度管理装置であって、物品温度の演算対象となる物品を指定して前記物品温度の演算を指示する指示手段と、前記指示手段によって指定された物品である指定物品に関する熱特性データを取得するとともに、前記管理対象のエリア内部の時系列に沿った温度データを前記指定物品の物品温度の時間変化に影響を与える外部温度データとして取得する演算用パラメータ取得手段と、前記演算用パラメータ取得手段によって取得された前記熱特性データと前記外部温度データとをもとに前記物品の物品温度を演算する物品温度演算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる物品温度管理システムは、複数のエリアを移動する物品の温度を管理するための物品温度管理システムであって、前記物品に付され、所定の装置で読み取り可能である前記物品を識別する識別情報を有する識別媒体と、各エリアの境界に設けられた前記識別媒体の識別情報を読み取る読取装置と、前記読取装置による読み取り情報を取得する物品温度管理装置であって、前記複数のエリアを移動する前記物品の温度の管理のために用いられる物品温度管理装置と、を備え、前記物品温度管理装置は、物品温度の演算対象となる物品を指定して前記物品温度の演算を指示する指示手段と、前記指示手段によって指定された物品である指定物品に関する熱特性データを取得するとともに、前記複数のエリアのそれぞれにおけるエリア内部の時系列に沿った温度データの中から、前記指定物品が移動した各エリアの温度データを、各エリアにおける前記指定物品の滞在時間に応じて抽出し、該抽出した温度データを時系列的に組み合わせることにより、前記指定物品の物品温度の時間変化に影響を与える外部温度データを取得する演算用パラメータ取得手段と、前記演算用パラメータ取得手段によって取得された前記熱特性データと前記外部温度データとをもとに前記指定物品の物品温度を演算する物品温度演算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる物品温度管理システムは、前記物品温度管理装置は、ネットワークを介して外部装置との間で情報の送受信を行う通信処理手段をさらに備え、前記通信処理手段は、前記ネットワークに接続されて、温度センサが設置されているエリアのサーバから前記温度センサが検出した検出温度を受信し、外部装置から前記温度センサが設置されていないエリアの外気温度データを受信し、前記演算用パラメータ取得手段は、前記複数のエリアのうち前記温度センサが設置されているエリアにおいては、前記通信処理手段が受信した該エリアの前記温度センサによる検出温度を前記エリア内部の温度データとして参照し、前記温度センサが設置されていないエリアにおいては、該エリアの外気温度データであって前記通信処理手段が受信した外気温度データを前記エリア内部の温度データとして参照することを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる物品温度管理システムは、前記温度センサは、一定周期で温度を検出し、前記サーバは、前記温度センサが検出温度を検出するたびに該温度センサが検出した検出温度を前記通信処理手段に送信し、前記指示手段は、前記指定物品が滞在するエリアのサーバから前記通信処理手段が前記温度センサの検出温度を受信したときに、前記指定物品の物品温度の演算を指示することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる物品温度管理システムは、前記指示手段は、前記複数のエリアのうち前記温度センサが設置されていないエリアに前記指定物品が滞在する場合においては、前記通信処理手段が該エリアの外気温度データを前記外部装置から受信したときに、前記指定物品の物品温度の演算を指示することを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる物品温度管理システムは、前記指示手段は、期間またはエリアを指定して前記指定物品の物品温度の演算を指示することを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる物品温度管理システムは、前記物品温度管理装置は、前記物品温度演算手段によって演算された前記指定物品の物品温度が、該指定物品の所定の閾値温度を超えると判断した場合には、該指定物品の管理部門に警告を通知する警告判断手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる物品温度管理システムは、前記通信処理手段は、前記ネットワークに接続されて、前記読取装置によって読み取られた前記指定物品の識別媒体の識別情報と、前記指定物品の識別媒体の識別情報を前記読取装置が読み取った日時を示す時間情報と、前記読取装置の位置データとを受信し、前記演算用パラメータ取得手段は、前記通信処理手段が受信した前記指定物品の識別媒体の識別情報と、前記指定物品の識別媒体の識別情報を前記読取装置が読み取った日時を示す時間情報と、前記読取装置の位置データとをもとに、前記指定物品の位置データと該位置データに対応する時間情報とを取得することを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる物品温度演算方法は、複数のエリアを移動する物品の温度の管理のために用いられる物品温度管理装置が、物品の温度を演算する物品温度演算方法であって、物品温度の演算対象となる物品を指定して前記物品温度の演算を指示する指示ステップと、前記指示ステップにおいて指定された物品である指定物品に関する熱特性データを取得する熱特性データ取得ステップと、前記指示ステップにおいて指定された指定物品の位置データと該位置データに対応する時間情報とを取得する位置データ取得ステップと、前記複数のエリアのそれぞれにおけるエリア内部の時系列に沿った温度データを記憶する記憶装置から該温度データを参照する温度データ群参照ステップと、前記位置データ取得ステップにおいて取得した前記指定物品の位置データと該位置データに対応する時間情報とをもとに、前記温度データ群参照ステップにおいて参照した温度データの中から、前記指定物品が移動した各エリアの温度データを、各エリアにおける前記指定物品の滞在時間に応じて抽出し、該抽出した温度データを時系列的に組み合わせることにより、前記指定物品の物品温度の時間変化に影響を与える外部温度データを取得する外部温度データ取得ステップと、前記熱特性データ取得ステップにおいて取得された前記熱特性データと、前記外部温度データ取得ステップにおいて取得された前記外部温度データとをもとに、前記指定物品の物品温度を演算する物品温度演算ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、物品の熱特性データと、この物品の物品温度の時間変化に影響を与える外部温度データとをもとに、この物品の物品温度を演算し、演算した物品温度を物品の管理のために用いることによって、より正確な物品の温度管理が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明にかかる実施の形態の一例として、物品の一例である商品の温度を管理するための商品温度管理システムについて説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる商品温度管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、実施の形態1にかかる商品温度管理システム1は、施設41〜44を含む複数のエリアを移動する商品10の温度の管理のために用いられる管理装置20と、各商品10に付され、読取装置で読み取り可能である商品10を識別する識別情報を有する識別媒体30と、各施設41〜44の出入り口に設けられて識別媒体30の識別情報を読み取るゲート511,512,521,522,531,532,541,542とを備える。各施設41〜44には、それぞれサーバ41S〜44Sが設けられ、管理装置20と各サーバ41S〜44Sとは、ネットワーク90を介して接続される。各施設41〜44には、施設内部の温度を一定周期で検出する温度センサ61〜64が設置される。サーバ41S〜44Sは、温度センサ61〜64が各施設内部の温度を検出するたびに、各温度センサ61〜64が検出した施設内部の温度データを、後述する管理装置20の通信処理部23に送信する。また、管理装置20は、ネットワーク90を介して、各種データを記憶するデータベース70と接続する。データベース70は、商品10の種別等と種別等に対応した商品温度の初期値と識別情報とが対応付けられた商品一覧データ71、外部温度データ群72、商品の種別および商品のパッケージの種別ごとの熱伝導率を示す熱伝導率一覧データ73、商品の種別や品名ごとの比熱容量を示す比熱容量一覧データ74、後述する商品温度演算部27において演算された商品温度が各商品の識別情報に対応付けられた状態で格納される商品温度データ75、ならびに、識別情報に対応する位置データと時間情報とが識別情報ごとに対応付けて格納される商品位置データ76を記憶する。商品一覧データ71は、識別番号などの識別情報と、商品10の種別、品名、構成内容などや商品10のパッケージ種別などとが対応付けられる。管理装置20は、サーバ41S〜44Sから温度センサ61〜64による各検出温度のデータが送信されるたびに外部温度データ群72に格納する。管理装置20は、ネットワーク90を介して、各地域の外気温度データ81を保持する外部装置80と接続する。各装置は、有線または無線によってネットワーク90と接続される。なお、各サーバ41S〜44Sは、温度センサ61〜64による検出温度を、管理装置20に送信するほか、ネットワーク90を介してデータベース70に接続してデータベース70内の外部温度データ群72の中に格納してもよい。
【0027】
識別媒体30の識別情報は、読み取り可能であり、
図1の例では、ゲート511,512,521,522,531,532,541,542によって読み取られる。識別媒体30は、たとえば、識別情報を記憶する二次元バーコードである。また、識別媒体30は、二次元バーコードに限らず、読取装置で読み取り可能であるRFIDタグであってもよい。
【0028】
ゲート511,512,521,522,531,532,541,542は、商品10に付された識別媒体30の識別情報を読み取る。ゲート511,512,521,522,531,532,541,542は、それぞれ対応するサーバ41S〜44Sに、読み取った識別媒体30の識別情報と、識別情報を読み取った時間情報と、ゲート511,512,521,522,531,532,541,542の位置データとを対応付けた読み取りデータを出力し、サーバ41S〜44Sは、これらの読み取りデータを、ネットワーク90を介して管理装置20に送信する。管理装置20は、サーバ41S〜44Sから各ゲートによる読み取りデータを受信するごとに、受信した読み取りデータ中の識別情報と一致する商品位置データ76中の識別情報に、受信した読み取りデータ内の位置データおよび時間情報を追加する。
【0029】
図1に示すゲート511,512,521,522,531,532,541,542は、読取装置の設置の一例であり、施設41〜44の出入り口に限らず、一つの施設に複数のエリアが存在する場合には、この施設内の複数のエリアの境界にもゲートが設置される。また、ゲート511,512,521,522,531,532,541,542は、固定位置に設置されるものに限らない。たとえば、各エリアの境界にそれぞれ固定して設置された識別子であって、設置位置を示す読み取り可能な位置データを有する位置データ用識別子と、この位置データ用識別子の位置データおよび識別媒体30の識別情報の双方を読み取り可能であるとともにネットワーク90に接続できる携帯用の端末装置との組み合わせであってもよい。この場合には、携帯用の端末装置は、識別媒体30の商品に対する識別情報と、位置データ用識別子の位置データとを読み取り、読み取った識別媒体30の識別情報と位置データ用識別子の位置データとに、読み取った時間情報を対応付けたデータを、読み取りデータとして管理装置20に送信する。また、携帯用の端末装置は、携帯用の端末装置の使用者によって、複数のエリアの境界の中から識別媒体30の読み取り位置を選択できるようになっており、選択されたエリアの境界を示す位置データに、識別媒体30の商品に対する識別情報と、識別媒体30を読み取った時間情報とを対応付けたデータを、読み取りデータとして管理装置20に送信してもよい。
【0030】
管理装置20は、制御部21、入力部22、通信処理部23、演算部24および出力部25を備える。制御部21は、各種プログラムおよびパラメータを実行して管理装置20の各構成部位の各処理および各動作を制御する。制御部21は、管理装置20の各構成部位に入出力されるデータについて入出力制御を行い、また、各構成部位に対してデータに対する所定の処理を行わせる。
【0031】
入力部22は、キーボード、各種ボタン、各種スイッチ等の入力デバイスや、マウスやタッチパネル等のポインティングデバイスを含み、これらのデバイスに対するユーザの操作に応じた指示信号を制御部21に入力する。通信処理部23は、ネットワーク90を介してサーバ41S〜44S及び外部装置80、その他装置(図示せず)との間で情報の送受信を行う。入力部22は、商品温度の演算対象となる商品を指定して商品温度の演算を指示する演算指示情報を制御部21に入力する。また、演算指示情報は、ネットワーク90および通信処理部23を介して、管理装置20外部から入力されてもよい。
【0032】
演算部24は、入力部22または通信処理部23から入力された演算指示情報をもとに、商品温度の演算対象の商品である指定商品の商品温度を演算する。演算部24は、演算用パラメータ取得部26および商品温度演算部27を有する。
【0033】
出力部25は、プリンタや、液晶ディスプレイまたは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイといったディスプレイなどを有する。
【0034】
演算用パラメータ取得部26は、入力部22または通信処理部23による演算指示情報によって指定された指定商品の商品温度の演算のために必要とされる演算用のパラメータを取得する。
【0035】
演算用パラメータ取得部26は、演算用のパラメータとして、指定商品に関する熱特性データを取得する。各商品の熱特性データは、たとえば、データベース70内の熱伝導率一覧データ73、および、比熱容量一覧データ74に格納される。
【0036】
演算用パラメータ取得部26は、演算用のパラメータとして、指定商品の商品温度の時間変化に影響を与える外部温度データを取得する。演算用パラメータ取得部26は、施設41〜44を含む複数のエリアのそれぞれにおけるエリア内部の時系列に沿った温度データの中から、指定商品が移動した各エリアの温度データを、各エリアにおける指定商品の滞在時間に応じて抽出する。演算用パラメータ取得部26は、該抽出した温度データを時系列的に組み合わせることにより、指定期間またはエリアにおける指定商品の商品温度の時間変化に影響を与える外部温度データを取得する。
【0037】
演算用パラメータ取得部26は、複数のエリアのうち温度センサ61〜64が設置されている施設41〜44においては、温度センサ61〜64が検出した検出温度をエリア内部の温度データとして参照する。演算用パラメータ取得部26は、複数のエリアのうち温度センサ61〜64が設置されている施設41〜44については、データベース70の外部温度データ群72のうちの施設41〜44の温度センサ61〜64の検出温度を参照する。なお、通信処理部23は、ネットワーク90に接続されて、温度センサ61〜64が設置されている施設41〜44のサーバ41S〜44Sから該施設41〜44の温度センサ61〜64が検出した検出温度を直接受信して、演算用パラメータ取得部26に出力してもよい。
【0038】
演算用パラメータ取得部26は、複数のエリアのうち温度センサが設置されていない施設41〜44以外のエリアにおいては、該エリアの外気温度データをエリア内部の温度データとして参照する。通信処理部23は、ネットワーク90に接続されて、外部装置80から温度センサが設置されていないエリアの外気温度データ81を受信して、演算用パラメータ取得部26に出力してもよい。
【0039】
通信処理部23は、ネットワーク90に接続されて、各エリアの境界に設けられたゲート511,512,521,522,531,532,541,542によって読み取られた指定商品の識別媒体30の識別情報と、指定商品の識別媒体30の識別情報をゲート511,512,521,522,531,532,541,542が読み取った日時を示す時間情報と、ゲート511,512,521,522,531,532,541,542の位置データとを受信する。演算用パラメータ取得部26は、通信処理部23が受信した指定商品の識別媒体30の識別情報と、指定商品の識別媒体30の識別情報をゲート511,512,521,522,531,532,541,542が読み取った日時を示す時間情報と、ゲート511,512,521,522,531,532,541,542の位置データとをもとに、指定商品の位置データと該位置データに対応する時間情報とを取得する。
【0040】
商品温度演算部27は、演算用パラメータ取得部26によって取得された熱特性データと外部温度データとをもとに、指定期間またはエリアにおける指定商品の商品温度を演算する。管理装置20の商品温度演算部27によって演算された商品温度は、商品の管理のために用いられる。商品温度演算部27によって演算された商品温度は、データベース70内の商品温度データ75に、指定商品の識別情報と対応付けられた状態で格納されるほか、出力部25から出力されてもよい。また、商品温度演算部27によって演算された商品温度は、通信処理部23およびネットワーク90を経由して、管理装置20外部に出力されてもよい。
【0041】
次に、管理装置20が商品の温度を演算する商品温度演算処理について説明する。
図2は、管理装置20が商品の温度を演算する商品温度演算処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0042】
図2に示すように、まず、管理装置20の制御部21には、期間またはエリアおよび商品を指定して商品温度の演算を指示する演算指示情報が入力される(ステップS1)。演算指示情報は、期間またはエリアの一方を指定するほか、期間およびエリアの双方を指定してもよい。演算指示情報においては、識別番号等の識別情報によって、演算対象の商品が指定される。この演算指示情報は、入力部22から入力されるほか、ネットワーク90および通信処理部23を介して、管理装置20外部から入力されてもよい。入力部22または通信処理部23は、この演算指示情報を、サーバ41S〜44Sを介して、ゲート511,512,521,522,531,532,541,542から読み取りデータを送信されるたびに、この読み取りデータに対応する商品の商品温度の演算を指示する演算指示情報を入力する。また、入力部22または通信処理部23は、サーバ41S〜44Sから、温度センサ61〜64による各施設内部の温度データを送信されるたびに、温度データを送信したサーバ41S〜44S内の商品に対して、商品の商品温度の演算を指示する演算指示情報を入力してもよい。
【0043】
演算用パラメータ取得部26は、ステップS1において入力された演算指示情報にしたがい、通信処理部23における受信結果をもとに、演算対象の日時である指定期間の最初に演算する日時の指定商品の位置データを取得する(ステップS2)。演算部24は、演算指示情報において、期間を指定して商品温度の演算を指示された場合には、指定された期間である指定期間またはエリアにおける指定商品の商品温度を演算する。演算部24は、演算指示情報において、期間またはエリアを指定して商品温度の演算を指示されていない場合には、予め設定された演算指定期間における指定商品の商品温度を演算する。演算指定期間は、商品の種別や品名等に応じて設定されるほか、演算指示情報の入力元に応じて設定される。演算用パラメータ取得部26は、指定期間の最初に演算する日時の指定商品の位置データが取得できない場合には、この日時に最も近い日時の位置データを取得する。ステップS2は、特許請求の範囲における位置データ取得ステップに対応する。
【0044】
演算用パラメータ取得部26は、複数のエリアのそれぞれにおいて時系列に取得されたエリア内部の温度データ群を参照する(ステップS3)。演算用パラメータ取得部26は、通信処理部23およびネットワーク90を介して、データベース70に記憶された各温度センサ61〜64の検出温度である外部温度データ群72や、外部装置80が保持する外気温度データ81のうち指定商品の滞在地の外気温度データ81を参照する。
【0045】
演算用パラメータ取得部26は、指定期間のうち演算対象の日時における指定商品の外部温度データを取得する(ステップS4)。演算用パラメータ取得部26は、商品位置データ76を参照して、演算指示情報で指定された指定商品の識別情報をもとに、演算対象の日時における指定商品の位置データを取得し、この位置データをもとに、参照した温度データ群の中から、指定商品が位置するエリアの温度データを抽出し、この抽出した温度データを、指定期間のうちの演算対象の日時における指定商品の外部温度データとして取得する。なお、商品温度演算部27による商品温度の演算のために演算対象の日時の前後における指定商品の外部温度データが必要である場合には、演算対象の日時の前後における指定商品の外部温度データについても、同様に取得する。
【0046】
演算用パラメータ取得部26は、指定商品に関する熱特性データを取得する(ステップS5)。演算用パラメータ取得部26は、商品一覧データ71を参照して、演算指示情報で指定された指定商品の識別情報をもとに、データベース70内のパッケージの熱伝導率一覧データ73の中から、指定商品のパッケージ種別や指定商品の種別に対応する熱伝導率を取得する。そして、演算用パラメータ取得部26は、商品一覧データ71を参照して、演算指示情報で指定された指定商品の識別情報をもとに、商品の比熱容量一覧データ74の中から、指定商品の種別、品名、構成内容に対応する比熱容量の値を取得する。
【0047】
商品温度演算部27は、演算用パラメータ取得部26によって、ステップS4において取得された外部温度データと、演算用パラメータ取得部26によってステップS5において取得された熱特性データとを少なくとも用いて、演算対象の日時における指定商品の商品温度を演算する商品温度演算処理(ステップS6)を行う。
【0048】
演算部24は、演算指示情報によって指定された指定期間の最後の日時まで演算処理を行ったか否かを判断する(ステップS7)。演算部24が、指定期間の最後の日時まで演算処理を行っていないと判断した場合(ステップS7:No)、演算用パラメータ取得部26は、次に演算する日時の指定商品の位置データを取得する(ステップS8)。このステップS8は、特許請求の範囲における位置データ取得ステップに対応する。そして、演算用パラメータ取得部26および商品温度演算部27は、次に演算する日時の指定商品の商品温度を演算するために、ステップS3〜ステップS6の処理を行う。このステップS8およびステップS3〜ステップS6の処理を繰り返すことによって、指定期間の全ての演算対象の日時における指定商品の商品温度を演算して取得する。
【0049】
一方、演算部24は、指定期間の最後の日時まで演算処理を行ったと判断した場合(ステップS7:Yes)、演算処理を行うことによって得られた指定商品における指定期間の商品温度データを時系列に沿った状態で出力して(ステップS9)、商品温度演算処理を終了する。
【0050】
次に、
図2に示すステップS3およびステップS4について説明する。
図3は、演算用パラメータ取得部26が、商品温度演算処理に使用する指定商品の外部温度データを取得するまでの処理について説明する図である。
図3では、指定商品10Aが加工されてから消費者に販売されるまでの時間T11〜T52までの期間が指定された場合を例に、この指定期間における外部温度データの取得方法を説明する。
【0051】
指定商品10Aは、食品の加工工場などである工場41Fの入り口のゲート511を通り、低温環境下で加工された後に、工場41Fのトラック搬入口のゲート512を通って、外部エリア46Fに搬出される。そして、指定商品10Aは、第1トラック42Fの入口のゲート521を介して、第1トラック42F内部に搬入される。なお、第1トラック42Fの搬入口のゲート521は、携帯用の端末装置によって位置を選択された仮想的なゲートである。指定商品10Aは、第1トラック42F内部に積み込まれた状態のまま、物流センター43Fの入り口のゲート531を通過する。このため、ゲート531は、第1トラック42Fの出口のゲート522を兼ねる。そして、指定商品10Aは、第1荷捌きエリア43Aにて第1トラック42Fから搬出された後、倉庫43Bの入り口のゲート531aを通って、倉庫43Bで保管される。そして、出荷時には、指定商品10Aは、倉庫43B出口のゲート531bを通って、第2荷捌きエリア43Cに運ばれ、第2トラック44Fに積み込まれた後、第2トラック44Fごと物流センター43Fの出口のゲート532を通過して、店舗45Fに配送される。指定商品10Aは、外部エリア47Fにおいて第2トラック44Fから搬出される。なお、第2トラック44Fの出口に対応するゲート542は、携帯用の端末装置によって位置を選択された仮想的なゲートである。そして、指定商品10Aは、店舗45Fの入り口のゲート551を通って店舗内倉庫45Aで保管された後に、店舗内倉庫45Aの出口のゲート551aを経由して、ショーケース45Bに陳列され、ショーケース45Bのゲート552を経由して、識別媒体30Aが付された状態で消費者の手元に渡る。
【0052】
指定商品が移動する複数のエリアのうち、工場41F、第1トラック42F、物流センター43F、第2トラック44F、店舗45Fの各内部には、温度センサ61,62,63A〜63C,64,65A,65Bが設置されており、温度センサ61,62,63A〜63C,64,65A,65Bは、検出した各エリア内部の温度を、時系列の温度データとしてサーバ41S〜44Sに出力する。
図3においては、工場41Fの温度センサ61が検出した工場データD41,第1トラック42Fの温度センサ62が検出した第1トラックデータD42、物流センター43Fにおける第1荷捌きエリア43Aの温度センサ63Aが検出した第1荷捌きエリアデータD43A、倉庫43Bの温度センサ63Bが検出した倉庫データD43B、第2荷捌きエリア43Cの温度センサ63Cが検出した第2荷捌きエリアデータD43C、第2トラック44Fの温度センサ64が検出した第2トラックデータD44、店舗45Fにおける店舗内倉庫45Aの温度センサ65Aが検出した店舗内倉庫データD45A、ショーケース45Bの温度センサ65Bが検出したショーケースデータD45Bを模式的に示している。これらの各温度データは、サーバ41S〜44Sによって、データベース70の外部温度データ群72の中にほぼリアルタイムに格納される。
【0053】
演算用パラメータ取得部26は、指定商品10Aの外部温度データを取得するために、指定商品10Aが移動した複数のエリアの温度データ群を参照する。
図3の例では、演算用パラメータ取得部26は、温度センサが設置されている工場41F、第1トラック42F、物流センター43F、第2トラック44F、店舗45Fの各温度データについては、温度センサ61,62,63A〜63C,64,65A,65Bが検出した各エリア内部の工場データD41,第1トラックデータD42、第1荷捌きエリアデータD43A、倉庫データD43B、第2荷捌きエリアデータD43C、第2トラックデータD44、店舗内倉庫データD45A、および、ショーケースデータD45Bを参照する。また、演算用パラメータ取得部26は、指定商品10Aが移動した複数のエリアのうち温度センサが設置されていない外部エリア46F,47Fの温度データについては、外部装置80の外気温度データD81を参照する。
【0054】
演算用パラメータ取得部26は、
図2におけるステップS2またはステップS8において、指定期間のうちの演算すべき各日時における指定商品10Aの位置データとして、識別情報を読み取った各ゲート511,512,521,531(522),531a,531b,532(541),542,551,551a,552の各位置データG511,G512,G521,G531(G522),G531a,G531b,G532(G541),G542,G551,G551a,G552を取得する。演算用パラメータ取得部26は、指定商品10Aの位置データと該位置データに対応付けられた時間情報とをもとに、参照した複数の温度データの中から、指定商品10Aが移動した各エリアの温度データを、各エリアにおける指定商品10Aの滞在時間に応じて抽出する。
【0055】
具体的には、時間T11〜T52の指定期間のうち、指定商品10Aは、最初の時間T11から時間T12までの間は、工場41Fに滞在する。このため、演算用パラメータ取得部26は、時間T11〜T12の期間については、工場41Fの工場データD41から時間T11〜T12の期間の温度データを抽出する(矢印Y11参照)。
【0056】
次の時間T12〜T21の期間においては、指定商品10Aは、外部エリア46Fに滞在するため、演算用パラメータ取得部26は、たとえば気象庁の外気温度データD81から時間T12〜T21の期間の温度データを抽出する(矢印Y12参照)。また、外部装置80が温度センサ付きの端末装置であれば、外部エリア46Fにある端末装置で計測した外気温度データD81であってもよい。
【0057】
そして、時間T21〜T22の期間においては、指定商品10Aは、第1トラック42Fによって配送されるため、演算用パラメータ取得部26は、第1トラックデータD42から時間T21〜T22の期間の温度データを抽出する(矢印Y13参照)。続いて、演算用パラメータ取得部26は、指定商品10Aが第1荷捌きエリア43Aにて荷捌きされる時間T22〜T31aについては、第1荷捌きエリアデータD43Aから時間T22〜T31aの期間の温度データを抽出する(矢印Y14参照)。演算用パラメータ取得部26は、指定商品10Aが倉庫43Bに保管される時間T31a〜T31bの期間については、倉庫データD43Bから時間T31a〜T31bの期間の温度データを抽出し(矢印Y15参照)、指定商品10Aが第2荷捌きエリア43Cに移動した時間T31b〜T32の期間については、第2荷捌きエリアデータD43Cから時間T31b〜T32の期間の温度データを抽出する(矢印Y16参照)。
【0058】
その後、指定商品10Aは、時間T32〜T42の期間、第2トラック44Fによって配送されるため、演算用パラメータ取得部26は、第2トラックデータD44から時間T32〜T42の期間の温度データを抽出する(矢印Y17参照)。そして、時間T42〜T51の期間においては、指定商品10Aは、外部エリア47Fに滞在するため、演算用パラメータ取得部26は、外気温度データD81から時間T42〜T51の期間の温度データを抽出する(矢印Y18参照)。続いて、指定商品10Aは、時間T51〜T51aの間、店舗45Fの店舗内倉庫45Aに保管されるため、演算用パラメータ取得部26は、店舗内倉庫データD45Aから時間T51〜T51aの期間の温度データを抽出する(矢印Y19参照)。そして、指定商品10Aがショーケース45Bにおいて陳列されていた時間T51a〜T52の期間については、演算用パラメータ取得部26は、ショーケースデータD45Bから時間T51a〜T52の期間の温度データを抽出する(矢印Y20参照)。
【0059】
演算用パラメータ取得部26は、各矢印Y11〜Y20のように抽出した温度データを、時系列的に組み合わせることによって、指定された時間T11〜T52の期間における指定商品10Aの外部温度データD71を取得する。
【0060】
ここで、商品温度と外部温度との間に差がある場合には、
図4の矢印のように商品の外部から商品に熱量(J)が流れ込む。この熱量(J)は、商品がパッケージされている場合には、このパッケージを経由して商品自体に到達する。そして、商品に熱量が流れ込むと、流れ込んだ熱量の大きさと、商品の比熱容量の大きさとに応じて、商品自体の温度が変化する。
【0061】
たとえば、
図5は、いちご、メロン、りんごの比熱容量の一覧表Tjを示す図である。
図5に示す比熱容量は、品物1kgの温度を1℃上げるために要する熱量の大きさを示すものであり、単位は(kJ/kg・℃)である。同じ品名の商品であっても、加工区分や水分含有量の違いに応じても比熱容量が異なるため、
図5では、商品の品名、加工区分、水分含有量に区分してそれぞれの比熱容量の値が対応付けられている。
【0062】
たとえば、生のいちご、メロン、りんごで比較すると、
図5の欄Tjs,Tjm,Tjaに示すように、比熱容量は、いちご、メロン、りんごの順に小さくなる。
図6は、生のいちご、メロン、りんごの温度変化の時間依存性を示した図である。
図6の曲線Laは、同じ大きさの熱量が流れ込んだ場合のりんごの温度変化の時間依存性を示し、曲線Lmは、同じ大きさの熱量が流れ込んだ場合のメロンの温度変化の時間依存性を示し、曲線Lsは、同じ大きさの熱量が流れ込んだ場合のいちごの温度変化の時間依存性を示す。
図6に示すように、同じ大きさの熱量が流れ込んだ場合、同じ観測時間においては、りんご(曲線La)が最も温度が上がりやすく、その次に、メロン(曲線Lm)の温度が上がりやすく、いちご(曲線Ls)が最も温度が上がりにくい。このように、商品の温度は、商品自体の比熱容量に応じて変化する。比熱容量は、
図5に示すように、商品の種別、品名、加工区分、水分含有量など商品の各構成に応じて対応付けられた状態で、比熱容量一覧データ74に格納されている。
【0063】
そして、商品自体に熱量が流れ込むまでには商品のパッケージ部材も経由するため、商品温度演算処理を行うためには、指定商品の外部温度データおよび指定商品の比熱容量に加えて、実際に商品に流れる熱量の大きさを取得するためのパラメータとして、商品およびパッケージ部材の熱伝導率も必要となる。
【0064】
このため、演算用パラメータ取得部26は、
図2のステップS5において、商品温度演算処理に使用するための熱特性データとして、指定商品の種別、品名、構成内容に対応する比熱容量と、商品およびパッケージ部材の熱伝導率とを取得している。
図1の構成の例では、熱伝導率一覧データ73および比熱容量一覧データ74が、データベース70に予め保持されている。演算用パラメータ取得部26は、商品一覧データ71の中から、商品温度の演算を指示された指定商品の識別情報をもとに、商品のパッケージ情報、指定商品の種別、品名、加工区分、水分含有量など商品の詳細な構成を示す指定商品情報を取得する。そして、演算用パラメータ取得部26は、取得した指定商品情報をもとに、この指定商品の商品種別およびパッケージ種別に対応する熱伝導率を熱伝導率一覧データ73から取得するとともに、この指定商品の構成に応じた比熱容量の値を比熱容量一覧データ74から取得する。
【0065】
商品温度演算部27は、少なくとも商品の外部温度データ、ならびに、商品やパッケージの熱伝導率を使用して商品自体に流れ込んだ熱量の大きさを求め、求めた熱量の大きさと商品自体の比熱容量とをもとに、商品自体の温度変化を推定することによって、商品温度を演算している。
【0066】
演算処理の一例として、まず、商品温度演算部27は、少なくとも商品の外部温度データ、ならびに、商品やパッケージの熱伝導率を使用して本演算処理の1回前の演算対象日時と今回演算対象の日時との間に商品自体に流れ込んだ熱量の大きさを求める。そして、商品温度演算部27は、求めた熱量の大きさと商品自体の比熱容量とをもとに、1回前の演算対象日時の商品温度からの温度変化の値を求める。そして、商品温度演算部27は、1回前に演算した商品温度に、求めた温度変化の値を加算することによって、今回の演算対象日時における商品温度を取得する。なお、商品温度演算部27は、1回前の演算をもとにせずとも、少なくとも、今回の演算処理よりも前の演算をもとに温度変化の値を求めて加算すればよい。また、商品温度演算部27は、商品温度の初期値として、この商品が最初に滞在していたエリアの外部温度を設定する。たとえば、この商品が製造される工場41Fの外部温度データのうち、この商品の製造日時に対応する温度を、この商品の商品温度の初期値として設定する。また、データベース70には、商品温度の初期値が商品の種別などに対応してそれぞれ格納されており、商品温度演算部27は、データベース70内から、演算対象の商品の種別に対応した初期値を取得してもよい。
【0067】
商品温度演算部27は、たとえば時間T11〜T22の指定商品10Aの商品温度については、演算用パラメータ取得部26が取得した時間T11〜T22の指定商品10Aの外部温度データD71a(
図7参照)、商品やパッケージの熱伝導率、ならびに、商品の比熱容量をもとに、商品自体の温度変化を推定する演算処理を行うことによって、時間T11〜T22における指定商品10Aの商品温度データD74a(
図8参照)を取得する。
【0068】
このように、本実施の形態1では、単に商品の外部温度データをトレースしただけの外部温度データD71a(
図7参照)を取得しているのではなく、商品の熱特性データと、この商品の商品温度の時間変化に影響を与える外部温度データとをもとに、この商品の商品温度を演算している。言い換えると、実施の形態1では、時間T12,T21におけるエリア境界の通過によって、指定商品10Aの外部温度が急激に変化する場合であっても、この急変した外部温度に徐々に追従して変化する商品自体の温度にさらに近い商品温度データD74a(
図8参照)を、商品温度演算部27による演算処理によって取得している。このため、実施の形態1によれば、実際の商品自体の温度により近い商品温度データD74aを商品の管理のために用いることによって、より正確な商品の温度管理が可能になる。
【0069】
また、本実施の形態1においては、指定商品の位置データさえ取得できれば、管理装置20において、予め保持する演算用の熱特性パラメータと、ネットワーク90を介して取得した各エリアの温度データとをもとに一定の演算処理を行うだけで商品温度のデータを取得できる。このため、本実施の形態1については、商品10の識別情報のみを示す識別媒体30、および、その識別媒体30を各エリアの境界で読み取る読取装置だけの簡易な位置データ取得システムをそのまま適用することができる。
【0070】
また、本実施の形態1にかかる商品温度管理システム1においては、
図3に示すように、指定商品10Aは、識別媒体30Aが付された状態のまま消費者の手元に渡る。このため、消費者自身が、この識別媒体30Aの識別情報を読取装置で読み取り、管理装置20に、ネットワーク90経由で、この指定商品10Aの商品温度のデータを要求することもできる。したがって、管理装置20から送信された商品温度の時系列データD74pを、消費者が使用するディスプレイPa上に直接表示出力することもできるため、消費者自身が、実際に購入した商品の商品温度の履歴を確認することができる。
【0071】
なお、本実施の形態1では、入力部22または通信処理部23は、複数のエリアのうち温度センサが設置されていないエリアに指定物品が滞在する場合においては、通信処理部23が該エリアの外気温度データ81を外部装置80から受信したときに、指定物品の物品温度の演算を指示する演算指示情報を制御部21に入力してもよい。
【0072】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
図9は、本実施の形態2にかかる商品温度管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図9に示すように、実施の形態2にかかる商品温度管理システム201は、管理装置220を備える。管理装置220は、
図1の制御部21に代えて、制御部21と同様の機能を有する制御部221を有する。そして、管理装置220は、警告判断部228をさらに有する演算部224を備える。
【0073】
警告判断部228は、商品温度演算部27によって演算された指定商品の商品温度が、該指定商品の所定の閾値温度を超えると判断した場合には、該指定商品の管理部門に、指定商品の商品温度が該指定商品の所定の閾値温度を超えた旨を示す警告を通知する。所定の閾値温度は、商品の種別ごとに設定され、商品管理上、この閾値温度を超えるのは望ましくないと判断される。
【0074】
また、商品温度管理システム201では、警告判断部228から通知された警告を出力する警告部として、たとえば、各エリアの境界である施設41〜44の出入り口に、警告判断部228から通知された警告を出力する警告部291,292a,292b,293a,293b,294a,294bが設けられる。警告部291,292a,292b,293a,293b,294a,294bは、対応するサーバ41S〜44Sに接続する。なお、警告部291,292a,292b,293a,293b,294a,294bは、たとえば、音声出力が可能である警報機、点灯状態の変化が可能である照明機器などである。もちろん、
図9に示す警告部291,292a,292b,293a,293b,294a,294bは単なる一例であり、管理装置220からの警告メールを受信できる各管理部門の端末装置や、各管理者に携帯されて移動可能である携帯用端末装置が警告部として機能してもよい。
【0075】
図10は、管理装置220に、商品の温度を演算させる商品温度演算処理の処理手順を示すフローチャートである。
図10に示すステップS201〜ステップS206は、
図2に示すステップS1〜ステップS6である。そして、警告判断部228は、ステップS206において商品温度演算部27によって演算された指定商品の商品温度が、この指定商品に対して予め設定されていた所定の閾値温度を超えるか否かを判断する(ステップS207)。
【0076】
警告判断部228は、演算された指定商品の商品温度が、この指定商品に対して予め設定されていた所定の閾値温度を超えると判断した場合(ステップS207:Yes)、この指定商品の管理部門に警告を通知する警告通知処理を行う(ステップS208)。具体的には、
図11の商品温度データD74aに示すように、演算された指定商品10Aの商品温度が、時間T13において、この指定商品10Aの種別に対応して設定された閾値温度Thを超えた場合には、指定商品に最も近い位置のサーバ41S〜44Sに警告が通知される。通知を受けたサーバ41S〜44Sは、警告部291,292a,292b,293a,293b,294a,294bのうち、指定商品の位置に最も近い警告部に、警報の出力や点滅照明などの警告処理を行わせて、指定商品の商品温度が、該指定商品に対して所定の閾値温度を超えたことを報知し、該指定商品の管理状態の確認を管理者に促す。また、サーバ41S〜44Sは、この指定商品の位置に最も近い位置の端末装置や携帯用端末装置のディスプレイの最前面に、警告メールを表示させてもよい。
【0077】
警告判断部228が、演算された指定商品の商品温度が、この指定商品に対して予め設定されていた所定の閾値温度を超えていないと判断した場合(ステップS207:No)、または、警告通知処理(ステップS208)が終了した場合には、ステップS209に進む。
図10のステップS209〜ステップS211は、
図2に示すステップS7〜ステップS9である。
【0078】
このように、実施の形態2においては、指定商品の商品温度の演算処理結果が、この指定商品の所定の閾値温度を超えた場合には、その旨を通知する警告通知処理を行なっているため、商品の温度管理をさらに厳密化でき、流通過程における商品の品質を高く保持できるようにしている。
【0079】
なお、実施の形態2においては、警告判断部228は、指定商品の商品温度が、この商品の閾値温度を超えたタイミングの時間T13で警告を通知する例を
図11において説明したが、
図12に示すように、演算された指定商品10Aの商品温度が、時間T13から所定の時間Tc経過した後の時間T14において警告を通知してもよい。また、警告判断部228は、指定商品の商品温度が、この商品の閾値温度を超えた場合に警告を通知するほか、指定商品10Aが、取得した指定商品の位置データをもとに該指定商品が予め定められた正規のルートを外れて移動していると判断した場合や各ゲートの通過予定時刻を過ぎてもゲートを通過していない場合には、サーバ41S〜44Sに警告を通知して、指定商品10Aの近くの警告部に、指定商品10Aが正規のルートを時間通りに通過していない旨の警告を出力させてもよい。
【0080】
また、本実施の形態1,2では、指定された商品および期間における商品温度を演算できれば足りるため、外部温度データ群72の各温度データは、リアルタイムに格納される必要はなく、演算時に、必要な部分の外部温度データが補充される形であってもよい。また、各施設41〜44に温度センサが設置されている例について説明したが、演算に使用する外部温度データ自体は、外部機関の気象庁の外気温度データでもよく、また、ネットワーク90等を介して補充された温度データであってもよい。
【0081】
また、実施の形態1,2では、管理装置20,220が、複数のエリアを移動する商品の商品温度を管理する場合について説明したが、管理装置20,220は、複数のエリアではなく一つのエリアを管理対象のエリアとして、このエリアに滞在する商品の商品温度を管理することももちろんできる。この場合には、管理装置20,220では、管理対象のエリアに滞在する商品の温度を管理するために、演算用パラメータ取得部26は、期間を指定された場合、商品に関する熱特性データを取得するとともに、管理対象のエリア内部の時系列に沿った温度データの中から、指定期間の温度データを抽出することにより、指定期間の商品の商品温度の時間変化に影響を与える外部温度データを取得し、商品温度演算部27は、演算用パラメータ取得部26によって取得された熱特性データと外部温度データとをもとに商品の商品温度を演算する。
【0082】
また、実施の形態1,2では、温度センサ61〜64が、施設内部の温度を一定周期で検出し、各サーバは、温度センサ61〜64が各施設内部の温度を検出するたびに、施設内部の温度データを管理装置20の通信処理部23に送信する、と上述したが、別な実施形態として、管理装置20の通信処理部23からの要求により、各サーバ41S〜44Sは、蓄積された温度データから通信処理部23からの要求に該当する温度データを通信処理部23に送信するとしてもよい。
【0083】
あるいは、管理装置20の通信処理部23からの要求により、各サーバ41S〜44S経由で温度センサ61〜64は、温度を検出し、検出した温度を管理装置20の通信処理部23に送信するとしてもよい。
【0084】
さらに、温度センサ61〜64の機器が、ネットワーク90を介した通信機能をもっている場合、各サーバ41S〜44Sを経由せずに管理装置20の通信処理部23と直接送受信することも可能である。
【0085】
また、本実施の形態にかかる管理装置20,220で実行される各処理に対する実行プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよく、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。