(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の絶縁膜の上に配置され、前記第2の導電プラグと前記第3の導電プラグを介して前記第1電極と前記第2電極とを互いに接続する配線を含むこと、を特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
前記第1のキャパシタの強誘電体、及び前記第1誘電体は、ペロブスカイト構造を有する強誘電体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態を、添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、部分的に拡大して示している場合があり、寸法,比率などは実際と異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部のハッチングを省略している。
【0010】
図1に示すように、半導体装置10はロジック混載メモリであり、半導体基板11上には、ロジック部12,13、メモリ部14、容量素子部15,16、入出力部17,18が形成されている。
【0011】
ロジック部12,13は例えばCPUや所定の処理を行う処理回路を含み、メモリ部14をアクセスする。また、ロジック部12,13は、入出力部17,18を介して半導体装置10に接続された外部装置とアクセスする。
【0012】
メモリ部14は例えば強誘電体メモリであり、複数のメモリセルを含む。各メモリセルは、情報を電荷として蓄積するキャパシタ(セルキャパシタ)を有している。このセルキャパシタの誘電体は強誘電体膜である。
【0013】
容量素子部15,16は、強誘電体膜を有するキャパシタ(以下、強誘電体キャパシタという)を含む。この強誘電体キャパシタは、例えばロジック部12,13、メモリ部14に対して供給する電源電圧の安定化(平滑化)のために設けられている。
【0014】
図3は、半導体装置10の一部断面を示す。なお、
図3の左側には、
図1に示すメモリ部14に含まれるメモリセルを示し、
図3の右側には、
図1に示す容量素子部15,16に含まれる容量セルを示す。
【0015】
図3に示すように、半導体基板11の所定領域に素子分離膜21が形成されている。例えば、半導体基板11はシリコン基板であり、素子分離膜21はシリコン酸化膜である。素子分離膜21は、半導体基板11に活性領域を画定する。活性領域にはpウェル22が形成されている。pウェル22は、ホウ素(B)等のp型不純物を活性領域に注入して形成されている。そして、活性領域内(pウェル22)にトランジスタ30が形成されている。トランジスタ30は、ゲート電極34、ゲート絶縁膜33、不純物領域31,32を含む。不純物領域31は低濃度の不純物領域31aと高濃度の不純物領域31bを含む。同様に、不純物領域32は低濃度の不純物領域32aと高濃度の不純物領域32bを含む。
【0016】
ゲート電極34の両側にはサイドウォール35が形成されている。ゲート電極34、サイドウォール35及び素子分離膜21は、絶縁膜(ストッパ層)41により覆われている。絶縁膜41は、例えば酸窒化シリコン膜(SiON)である。
【0017】
トランジスタ30及び素子分離膜21の上に層間絶縁膜42が形成されている。層間絶縁膜42の上面は平坦化されている。層間絶縁膜42は第1の絶縁膜の一例である。
層間絶縁膜42には、その上面から不純物領域31b,32bまで達する導電プラグ43a,43bが形成されている。導電プラグ43a,43bは、例えばタングステンプラグである。なお、導電プラグ43a,43bは、図示しないバリア膜を含む。
【0018】
層間絶縁膜42及び導電プラグ43a,43bの上に酸化防止膜44が形成されている。酸化防止膜44は、例えば酸窒化シリコン膜(SiON)とシリコン酸化膜(SiO)を含む。
【0019】
酸化防止膜44の上に保護膜45が形成されている。保護膜45は、例えばアルミナ(Al
2O
3)である。保護膜45の膜厚は例えば20nmである。
保護膜45は、層間絶縁膜42から強誘電体膜への水素及び水分の浸入を防止するためのものである。
【0020】
保護膜45の所定領域にセルキャパシタ50が形成されている。
セルキャパシタ50は、下部電極51、強誘電体52、上部電極53を含み、保護膜45の上にこの順番で積層されている。
【0021】
下部電極51は強誘電体52の端部より外側(
図3において右側)に張り出すように形成されている。
下部電極51の材料は、例えばプラチナ(Pt)である。下部電極51の膜厚は例えば150nmである。
【0022】
強誘電体52の材料は、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料であり、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。強誘電体52の膜厚は、例えば100nmである。なお、強誘電体52の材料として、PLCSZT(ランタン(La)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)を添加したPZT)を用いても良い。
【0023】
上部電極53の材料は、例えば酸化イリジウム(IrO
2)である。上部電極53の膜厚は、例えば250nmである。
また、保護膜45の所定領域であって、例えば素子分離膜21の上方には容量セル60が形成されている。
【0024】
容量セル60は、第1電極61、第1誘電体62、第2電極63、第2誘電体64、第3電極65を含み、保護膜45の上にこの順番で積層されている。
そして、第2電極63は、第2誘電体64の端部より外側(
図3において左側)に張り出すように形成されている。
【0025】
第1電極61、第1誘電体62、第2電極63は、セルキャパシタ50と同じ材料、同じ膜厚である。つまり、第1電極61の材料は例えばプラチナであり、膜厚は例えば150nmである。第1誘電体62の材料は例えばチタン酸ジルコン酸鉛であり、膜厚は例えば100nmである。第2電極63の材料は例えば酸化イリジウムであり、膜厚は例えば250nmである。
【0026】
第2誘電体64の材料及び膜厚は、容量セル60の用途(例えば平滑キャパシタ)として必要な値に設定されている。例えば、材料はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であり、膜厚は140nmである。
【0027】
第3電極65の材料は、例えば酸化イリジウム(IrO
2)である。第3電極65の膜厚は、例えば150nmである。
セルキャパシタ50の上面、容量セル60の上面、及び保護膜45の上面は保護膜71により覆われている。保護膜71は例えばアルミナであり、膜厚は例えば20nmである。
【0028】
保護膜71の上には層間絶縁膜72が形成されている。層間絶縁膜72の上面は平坦化されている。層間絶縁膜72には、導電プラグ73a〜73fが形成されている。層間絶縁膜72は第2の絶縁膜の一例である。
【0029】
導電プラグ73a,73bは、層間絶縁膜72の上面から下層の導電プラグ43a,43bまで達するように形成されている。
導電プラグ73cは、層間絶縁膜72の上面からセルキャパシタ50の上部電極53まで達するように形成されている。導電プラグ73dは、層間絶縁膜72の上面からセルキャパシタ50の下部電極51まで達するように形成されている。
【0030】
導電プラグ73eは、層間絶縁膜72の上面から容量セル60の第2電極63まで達するように形成されている。導電プラグ73fは、層間絶縁膜72の上面から容量セル60の第3電極65まで達するように形成されている。この実施形態において、容量セル60の第1電極61は未接続である。
【0031】
導電プラグ73a〜73eは、例えばコンタクトホールの内壁を覆うバリア膜と、バリア膜内に充填された導電材を含む。バリア膜は例えばチタン(Ti)、窒化チタン(TiN)を含み、導電材は例えばタングステン(W)である。
【0032】
層間絶縁膜72の上には配線74a〜74eが形成されている。配線74aは、導電プラグ73aに電気的に接続されている。配線74bは、導電プラグ73bと導電プラグ73cを互いに電気的に接続する。配線74cは、導電プラグ73dに電気的に接続されている。同様に、配線74d,74eは導電プラグ73e,73fにそれぞれ電気的に接続されている。配線74a〜74eは、例えばアルミニウム(Al)又はアルミニウム合金である。
【0033】
配線74aは、導電プラグ73a,43aを介してトランジスタ30の不純物領域31bと電気的に接続される。配線74bは、導電プラグ73b,43bを介してトランジスタ30の不純物領域32bと電気的に接続される。また、配線74bは、導電プラグ73cを介してセルキャパシタ50の上部電極53と電気的に接続される。したがって、セルキャパシタ50の上部電極53は、トランジスタ30の不純物領域32bと電気的に接続される。配線74cは、導電プラグ73dを介してセルキャパシタ50の下部電極51と電気的に接続される。
【0034】
配線74dは、導電プラグ73eを介して容量セル60の第2電極63に接続される。配線74eは、導電プラグ73fを介して容量セル60の第3電極65に接続される。
図2(a)は、メモリセルMCの回路図を示す。メモリセルMCは、トランジスタ30とセルキャパシタ50を有している。トランジスタ30は例えばnチャネルMOSトランジスタである。トランジスタ30のゲート端子はワード線WLに接続され、トランジスタ30の第1端子(ソース端子又はドレイン端子)はビット線BLに接続され、トランジスタ30の第2端子(ドレイン端子又はソース端子)はセルキャパシタ50に接続されている。
【0035】
ワード線WLは、例えば
図3に示すゲート電極34である。ビット線BLは、例えば
図3に示す配線74aである。なお、
図3において、トランジスタ30より上層(例えば配線74aと同じ層)にワード線WLを形成し、そのワード線WLとゲート電極34を導電プラグにより互いに接続してもよい。同様に、
図3において、配線74aと同一層またはより上の配線層にビット線BLを形成し、そのビット線BLと配線74aを導電プラグにより互いに接続してもよい。
【0036】
セルキャパシタ50は、上部電極53及び下部電極51と、上部電極53と下部電極51に挟まれた誘電体を含む。上部電極53はトランジスタ30の第2端子に接続され、下部電極51はプレート線PLに接続されている。プレート線PLは、例えば
図3に示す配線74cである。なお、
図3において、配線74cと同一層またはより上の配線層にプレート線PLを形成し、そのプレート線PLと配線74cを導電プラグにより互いに接続してもよい。
【0037】
図2(b)は容量セル60の回路図を示す。容量セル60は、2つの強誘電体キャパシタ60a,60bを含む。強誘電体キャパシタ60aは、第2電極63,第2誘電体64(
図3参照)及び第3電極65を含む。強誘電体キャパシタ60aの第3電極65が接続された配線74eは、例えば低電位電圧を
図1に示すメモリ部14やロジック部12,13に供給する電源配線である。強誘電体キャパシタ60aの第2電極63が接続された配線74dは、高電位電圧を
図1に示すメモリ部14やロジック部12,13に供給する電源配線である。したがって、容量セル60は、配線74e,74fの間に接続された強誘電体キャパシタ60aにより、高電位電圧と低電位電圧を安定化する平滑キャパシタとして働く。
【0038】
強誘電体キャパシタ60bは、第1電極61、第1誘電体62(
図3参照)及び第2電極63を含む。強誘電体キャパシタ60aの第2電極63は配線74dに接続されている。一方、強誘電体キャパシタ60bの第1電極61は、配線に接続されていない、つまり未接続状態である。したがって、強誘電体キャパシタ60bは使用されていない。
【0039】
次に、半導体装置10における作用を説明する。
図4に示すように、強誘電体を有するキャパシタは、印加する電圧の変化に対する分極量の値がヒステリシスカーブを描く。つまり、強誘電体を有するキャパシタは、ヒステリシス特性を持つ。メモリセルの場合、一端電圧を加えた後、印加電圧が0[V]のときに、正の分極量を持つ状態と、負の分極量を持つ状態との2つの状態を利用して「1」,「0」の情報を記憶する。一方、電源配線の間に接続された容量セル60は、例えば
図4に実線にて示す範囲の誘電成分を利用する。
【0040】
図5において、曲線L1は強誘電体キャパシタの容量の電圧依存性を示し、曲線L2はPIP(Poly/Insulator/Poly)構造のキャパシタの容量の電圧依存性を示す。なお、
図5において、横軸は電圧(V)、縦軸は単位面積当りの容量値(fF/μm
2)を対数で示す。
【0041】
このように、強誘電体を用いることで、PIP構造のキャパシタと比べ、容量値の大きなキャパシタが得られる。したがって、PIP構造のキャパシタを用いる場合と比べ、チップサイズの縮小をはかることができる。
【0042】
図3に示すように、容量セル60は、第1電極61、第1誘電体62、第2電極63、第2誘電体64、第3電極65を有し、第2電極63と第3電極65を導電プラグ73e,73fを介して配線74dと74eとに接続することで、強誘電体キャパシタ60aを得ている。このため、第1誘電体62の膜厚に係わらず、第2誘電体64の膜厚を適宜設定することができる。
【0043】
第1誘電体62は、セルキャパシタ50の強誘電体52と同時に形成される。したがって、第1誘電体62の膜厚は、メモリセルMCのセルキャパシタ50に対する要望、例えば低電圧化に応じて設定される。このため、低電圧化に対応したメモリセルMCのセルキャパシタ50を得ることができる。そして、第2誘電体64の膜厚を適宜設定することにより、高い耐圧とリーク電流の少ない強誘電体キャパシタ60aを含む容量セル60を得ることができる。
【0044】
次に、
図6〜
図9を参照して、上記の半導体装置10の製造方法を説明する。
なお、工程の説明に現れない部材については符号を省略することがある。
まず、
図6(a)に示す構造を得るまでの工程を説明する。
【0045】
半導体基板(シリコン基板)11の所定の領域に素子分離膜21を形成する。素子分離膜21の形成には、シリコン局所酸化(LOCOS:Local Oxidation of Silicon)法又はシャロートレンチアイソレーション(STI:Shallow Trench Isolation)法により素子分離膜21を形成する。この素子分離膜21は、半導体基板11の表面に複数の素子領域を画定する。
【0046】
次に、素子領域にp型不純物を導入して、pウェル22を形成する。p型不純物は例えばホウ素(B)である。
次に、pウェル22の表面を熱酸化させて、ゲート絶縁膜33を形成する。
【0047】
次に、ゲート電極34を形成する。ゲート電極34は、例えば多結晶シリコン(ポリシリコン)である。例えば化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法により、半導体基板11の上側全面にポリシリコン膜を形成し、このポリシリコン膜をフォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いてパターニングし、ゲート電極(ポリシリコン配線)34を形成する。
【0048】
次に、ゲート電極34をマスクとし、pウェル22にn型不純物を浅く且つ低濃度にイオン注入して、不純物領域31a,32aを形成する。n型不純物は、例えばリン(P)又はヒ素(As)である。
【0049】
次に、ゲート電極34の両側にサイドウォール35を形成する。このサイドウォール35は、CVD法により半導体基板11の上側全面に絶縁膜を形成した後、その絶縁膜をエッチバックすることにより形成される。絶縁膜は例えばSiO
2又はSiN等である。
【0050】
その後、ゲート電極34及びサイドウォール35をマスクとし、pウェル22にn型不純物を高濃度にイオン注入して、不純物領域31b,32bを形成する。このn型不純物のイオン注入により、不純物領域31a,32aは、サイドウォール35の下方の部分を除き不純物領域31b,32bとなる。
【0051】
なお、ゲート電極34の上面及び不純物領域31b,32bの上面には、金属ケイ化物(シリサイド)層を形成することが好ましい。金属ケイ化物層は、例えばコバルトシリサイド,チタンシリサイドである。
【0052】
次に、プラズマCVD法により、半導体基板11の上側全面に絶縁膜41を形成する。絶縁膜41は、酸窒化シリコン(SiON)膜であり、その膜厚は例えば200nmである。更に、プラズマCVD法により、絶縁膜41の上に層間絶縁膜42を形成する。層間絶縁膜42は例えばTEOS−NSG(Tetra-Ethyl-Ortho-Silicate-NondopedSilicate Glass:SiO)膜である。その後、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法により層間絶縁膜42を研磨して表面を平坦化する。
【0053】
次に、層間絶縁膜42の上面から各トランジスタの不純物領域31b,32bに到達するコンタクトホールを形成する。そして、スパッタ法により、半導体基板11の上側全面にバリア膜(図示せず)を形成し、コンタクトホールの内面をバリア膜で覆う。バリア膜は、例えば厚さが30nmのチタン(Ti)層と厚さが20nmの窒化チタン(TiN)層との2層構造を有する。
【0054】
次に、CVD法により、半導体基板11の上側全面にタングステンを堆積させてコンタクトホール内にタングステンを充填する。その後、層間絶縁膜42上のタングステン及びバリア膜をCMP法により除去して、層間絶縁膜42を露出させる。これにより、コンタクトホール内にタングステンが残り、不純物領域31b,32bと上層の配線とを電気的に接続する導電プラグ43a,43bが形成される。
【0055】
その後、層間絶縁膜42及び導電プラグ43a,43bの上に酸化防止膜44を形成する。この酸化防止膜44は、例えばCVD法により形成された厚さが130nmのSiO
2膜と厚さが100nmのSiON膜との2層構造である。
【0056】
次に、酸化防止膜44の上に保護膜45を形成する。保護膜45は例えばアルミナ(Al
2O
3)等をスパッタして形成され、その膜厚は例えば20nmである。
次に、
図6(b)に示す構造を得るまでの工程を説明する。
【0057】
上記の保護膜45上に例えばPVD(Physical Vapor Deposition)法によりPt(白金)を150nmの厚さに堆積させて、導電体膜101を形成する。
次に、導電体膜101の上に、例えばPVD法によりPLCSZT(La、Ca及びSrを添加したPZT)を堆積させて、誘電体膜102を形成する。誘電体膜102の膜厚は、
図2(a)に示すセルキャパシタ50の特性に応じて設定され、例えば100nmである。その後、酸素含有雰囲気中でRTA(Rapid Thermal Annealing)処理して誘電体膜102を結晶化する。なお、PLCSZT(PZT)はペロブスカイト構造を有する強誘電体材料の代表的なものであるが、誘電体膜102の材料は強誘電体特性を示すものであれば特に限定されない。
【0058】
次に、誘電体膜102の上に、例えばPVD法によりIrO
2(酸化イリジウム)を250nmの厚さに堆積させて、導電体膜103を形成する。
次に、
図7(a)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
【0059】
上記の導電体膜103の上に、例えばPVD法によりPLCSZTを堆積させて、誘電体膜104を形成する。誘電体膜104の膜厚は、
図2(b)に示す容量セル60の強誘電体キャパシタ60aの特性に応じて設定され、例えば140nmである。
【0060】
その後、酸素含有雰囲気中でRTA処理して誘電体膜104を結晶化する。
次に、誘電体膜104の上に、例えばPVD法によりIrO
2(酸化イリジウム)を150nmの厚さに堆積させて、導電体膜105を形成する。
【0061】
このように、平坦化した層間絶縁膜42上に酸化防止膜44及び保護膜45を形成した後、その保護膜45の上に、導電体膜101、誘電体膜102、導電体膜103、誘電体膜104、及び導電体膜105をこの順番で積層した。段差やエッチング残りは、各膜102,104の結晶性に悪影響をおよぼす。したがって、結晶性のよい膜102,104を形成することができる。
【0062】
次に、
図7(b)に示す構造をえるまでの工程について説明する。
上記のように形成した導電体膜105及び誘電体膜104をエッチバックして第3電極65及び第2誘電体64を形成する。
【0063】
すなわち、フォトリソグラフィ法により導電体膜105の所定領域を覆うレジスト膜を形成する。その後、このレジスト膜をマスクとして導電体膜105と誘電体膜104をパターニングして第3電極65と第2誘電体64を形成する。次いで、残存するレジスト膜を除去する。
【0064】
次に、
図8(a)に示すように、導電体膜103、誘電体膜102及び導電体膜101をエッチバックして、上部電極53、強誘電体52、下部電極51を形成する。同様に、導電体膜103、誘電体膜102及び導電体膜101をエッチバックして、第2電極63、第1誘電体62、第1電極61を形成する。
【0065】
すなわち、フォトリソグラフィ法により導電体膜103の所定領域を覆うレジスト膜を形成する。このレジスト膜をマスクとして導電体膜103をエッチングし、上部電極53及び第2電極63を形成する。次いで、残存するレジスト膜を除去する。
【0066】
次に、フォトリソグラフィ法により誘電体膜102の所定領域を覆うレジスト膜を形成する。このレジスト膜をマスクとして誘電体膜102をエッチングし、強誘電体52及び第1誘電体62を形成する。次いで、残存するレジスト膜を除去する。
【0067】
次に、フォトリソグラフィ法により導電体膜101の所定領域を覆うレジスト膜を形成する。このレジスト膜をマスクとして導電体膜101をエッチングし、下部電極51及び第1電極61を形成する。次いで、残存するレジスト膜を除去する。
【0068】
次に、半導体基板11を加熱炉内に載置し、熱処理を行う。この熱処理の条件は、例えば加熱炉内への酸素供給量が20リットル/分、温度が650℃、処理時間が40分間である。この熱処理は、プロセス中に生じた強誘電体52、第1及び第2誘電体62,64の特性の劣化を回復させる。このように特性を回復させるための熱処理を「回復アニール」という。このようにして、下部電極51、強誘電体52及び上部電極53を含むセルキャパシタ50が形成される。同様に、第1電極61、第1誘電体62、第2電極63、第2誘電体64及び第3電極65を含む強誘電体キャパシタ60a,60bが形成される。
【0069】
次に、
図8(b)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
先ず、半導体基板11の上側全面に保護膜71を形成する。保護膜71は、例えば膜厚20nmのアルミナ膜が用いられる。セルキャパシタ50及び容量セル60はこの保護膜71により覆われる。
【0070】
次に、半導体基板11の上側全面に層間絶縁膜72を形成する。層間絶縁膜72は、例えばプラズマCVD法によりTEOS−NSGを1500nmの厚さに堆積させ、その層間絶縁膜72を形成する。その後、CMP研磨により層間絶縁膜72の上面を平坦化する。
【0071】
次に、
図9(a)に示すように、層間絶縁膜72の上面からトランジスタ30の不純物領域31b,32bに到達するコンタクトホール121a,121bを形成する。同様に、層間絶縁膜72の上面からセルキャパシタ50の上部電極53と下部電極51に達するコンタクトホール121c,121dを形成する。さらに、層間絶縁膜72の上面から容量セル60の第2電極63と第3電極65に到達するコンタクトホール121d,121fを形成する。コンタクトホール121a〜121fは、例えばフォトグラフィ法により形成したレジスト膜をエッチングマスクとして層間絶縁膜72をエッチングして形成される。
【0072】
次に、
図9(b)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
上記のコンタクトホール121a〜121fの内面をバリア膜で覆う。例えば、スパッタ法により、半導体基板11の上側全面にバリア膜を形成する。バリア膜は、例えばチタン(Ti)膜(例えば30nmの膜厚)と窒化チタン(TiN)膜(例えば20nm)を有する2層構造である。
【0073】
次に、CVD法により、半導体基板11の上側全面にタングステンを体積させてコンタクトホール121a〜121f内にタングステンを充填する。その後、層間絶縁膜72上のタングステン及びバリア膜を例えばCMP法により除去して、層間絶縁膜72を露出させる。これにより、導電プラグ73a〜73fが形成される。
【0074】
次に、半導体基板11の上側全面に、例えば厚さが50nmのTiN層と、厚さが360nmのAl(アルミニウム)又はAl合金層と、厚さが70nmのTiN層とを下からこの順に積層して、3層構造の導電体膜を形成する。その後、この導電体膜をフォトリソグラフィ法及びエッチング法を使用してパターニングし、導電プラグ73a〜73fに電気的に接続した配線74a〜74eを得る。
【0075】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)容量素子部15,16に含まれる容量セル60は、第2電極63と第3電極65の間に介在する第2誘電体64により、強誘電体キャパシタとして働く。このため、容量値の大きな容量セル60を容易に得ることができる。
【0076】
(2)容量セル60の第2誘電体64は、メモリセルMCのセルキャパシタ50に含まれる上部電極53を形成するための導電体膜103の上に形成した誘電体膜104をパターニングして形成される。したがって、第2誘電体64の膜厚を、セルキャパシタ50の強誘電体52の膜厚と異なる値に設定することができる。このため、耐圧の高い容量セル60を得ることができる。また、セルキャパシタ50の強誘電体52を薄膜化することで、メモリセルMCを低電圧動作させることができる。
【0077】
(3)容量セル60の第2誘電体64は、メモリセルMCのセルキャパシタ50に含まれる上部電極53を形成するための導電体膜103の上に形成した誘電体膜104をパターニングして形成される。したがって、第2誘電体64の材料を、セルキャパシタ50の強誘電体52の材料と異なるものを利用することができ、高い自由度にて容量セル60を設定することができる。
【0078】
(4)上面を平坦化した層間絶縁膜42の上に、導電体膜101、誘電体膜102、導電体膜103、誘電体膜104、及び導電体膜105を形成した。したがって、段差等の影響をうけることなく、結晶性のよい膜101〜105を形成することができる。また、上面を平坦化した層間絶縁膜42の上に各膜101〜105を形成したため、エッチング残り等の凹凸がない。したがって、所望の厚さの膜101〜105を容易に形成することができる。
【0079】
(5)容量セル60の第2誘電体64は、メモリセルMCのセルキャパシタ50に含まれる上部電極53を形成するための導電体膜103の上に形成した誘電体膜104をパターニングして形成される。したがって、第2誘電体64の材料を、セルキャパシタ50の強誘電体52の材料と同じとすることで、製造プロセス異なるものを利用することができ、高い自由度にて容量セル60を設定することができる。
【0080】
(6)層間絶縁膜42の上に形成した導電体膜101、誘電体膜102、導電体膜103をパターニングして容量セル60に含まれる第1電極61,第1誘電体62,及び第2電極63と、セルキャパシタ50の下部電極51,強誘電体52及び上部電極53を形成した。したがって、容量セル60に含まれる第1電極61,第1誘電体62,及び第2電極63は、セルキャパシタ50の下部電極51,強誘電体52及び上部電極53はそれぞれ同時に形成される。このため、パターニングの工程を増加することなく、容量セル60とセルキャパシタ50を形成することができる。
【0081】
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態に対し、容量セル60に含まれる第1電極61、第2電極63に対する導電プラグの接続を適宜変更してもよい。
【0082】
例えば、
図10に示すように、半導体装置10aの層間絶縁膜72には、その上面から容量セル60の第1電極61まで達する導電プラグ73gが形成されている。導電プラグ73gは、層間絶縁膜72の上に形成された配線74fと電気的に接続されている。なお、
図10において、
図3に示す導電プラグ73d及び配線74dは形成されていない。
【0083】
図11は、
図10に示す半導体装置10aの回路図を示す。
なお、
図11(a)に示すメモリセルMCは、
図2(a)と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
図11(b)に示すように、半導体装置10aの容量セル60は、2つの強誘電体キャパシタ60a,60bを含み、これらの強誘電体キャパシタ60a,60bは配線74eと配線74fの間に直列に接続されている。配線74eは、例えば低電位電圧を
図1に示すメモリ部14やロジック部12,13に供給するための電源配線である。そして、配線74fは、例えば高電位電圧を
図1に示すメモリ部14やロジック部12,13に供給するための電源配線である。したがって、容量セル60は、2つの強誘電体キャパシタ60a,60bにより、配線74e,74fを介してメモリ部14やロジック部12,13に供給される高電位電圧及び低電位電圧を安定化する平滑キャパシタとして働く。
【0085】
また、
図12に示すように、半導体装置10bの層間絶縁膜72には、その上面から容量セル60の第1電極61まで達する導電プラグ73gと、その上面から容量セル60の第2電極63まで達する導電プラグ73eが形成されている。導電プラグ73gは、層間絶縁膜72の上に形成された配線74fと電気的に接続されている。同様に、導電プラグ73eは、層間絶縁膜72の上に形成された配線74dと電気的に接続されている。
【0086】
図14は、
図12に示す半導体装置10bの回路図を示す。
なお、
図14(a)に示すメモリセルMCは、
図2(a)と同様であるため、説明を省略する。
【0087】
図14(b)に示すように、半導体装置10bの容量セル60は、2つの強誘電体キャパシタ60a,60bを含む。強誘電体キャパシタ60aの第3電極65が接続された配線74eは、例えば低電位電圧を
図1に示すメモリ部14やロジック部12,13に供給するための電源配線である。また、強誘電体キャパシタ60a,60bの第2電極63が接続された配線74dは、例えば高電位電圧を
図1に示すメモリ部14やロジック部12,13に供給するための電源配線である。そして、強誘電体キャパシタ60bの第1電極61が接続された配線74fは、例えば低電位電圧を
図1に示すメモリ部14やロジック部12,13に供給するための電源配線である。したがって、容量セル60に含まれる2つの強誘電体キャパシタ60a,60bは、配線74dを介してメモリ部14等に供給される高電位電圧と、配線74e,74fを介してメモリ部14等に供給される低電位電圧を安定化する平滑キャパシタとして働く。
【0088】
また、
図13に示すように、層間絶縁膜72の上に配線74gを形成し、この配線74gにより、導電プラグ73eと導電プラグ73gを互いに電気的に接続してもよい。これにより、容量セル60に含まれる第1電極61と第2電極63が互いに電気的に接続される。
【0089】
図15は、
図13に示す半導体装置10bの回路図を示す。なお、
図15(a)に示すメモリセルMCは、
図2(a)と同様であるため、説明を省略する。
図15(b)に示すように、半導体装置10の容量セル60に含まれる2つの強誘電体キャパシタ60a,60bにおいて、強誘電体キャパシタ60bの電極61,63は配線74gにより互いに接続される。したがって、電極61がフローティングにならないため、強誘電体キャパシタ60bの容量の影響をなくして、強誘電体キャパシタ60aの容量成分を的確に使用することが可能となる。
【0090】
なお、配線74gを、例えば
図1に示すメモリ部14やロジック部12,13に高電位電圧を供給する電源配線としてもよい。これにより、容量セル60は、強誘電体キャパシタ60aの容量成分により、高電位電圧と低電位電圧を安定化する平滑キャパシタとして働く。
【0091】
・上記各形態は、セルキャパシタ50の下部電極51及び上部電極53に対する接続を各電極51,53の上方で行う、いわゆるプレーナ型の強誘電体メモリを含む半導体装置10,10a,10bを例示した。これに対し、セルキャパシタ50の下部電極51に対する接続を下部電極51の下方で行う、いわゆるスタック型の強誘電体メモリを含む半導体装置に適用してもよい。
【0092】
例えば、
図16に示すように、半導体装置10cのトランジスタ30の不純物領域32bに接続された導電プラグ43bは、セルキャパシタ50の下部電極51に電気的に接続されている。このようなスタック型の強誘電体メモリを含む半導体装置は、プレーナ型の強誘電体メモリを含む半導体装置と比べ、半導体装置の面積の縮小を図ることができる。
【0093】
なお、
図16に示す容量セル60において、第1電極61と電気的に接続される導電プラグを層間絶縁膜42に形成し、その導電プラグを電源配線やトランジスタに接続するようにしてもよい。
【0094】
・導電体膜,強誘電体膜をエッチバックして電極,強誘電体膜を形成する工程を適宜変更してもよい。例えば、
図7(b)に示す構造を得る工程において、第3電極65と第2誘電体64を異なるレジスト膜をマスクとして形成してもよい。
【0095】
・強誘電体52、第1及び第2誘電体62,64の特性を回復するための熱処理を、
図6(b)に示す保護膜71を形成した後に行うようにしてもよい。
・容量セル60を平滑化以外の用途にもちいてもよい。
【0096】
・上記実施形態において、強誘電体膜は、ペロブスカイト型構造で強誘電性を示すものであればPLCSZT膜に限定されるものではない。例えば、Pb(Zr,Ti)O
3膜(PZT膜)を用いても良い。また、PZTにLaをドーピングした(Pb,La)(Zr,Ti)O
3膜(PLZT膜)を用いても良い。また、Caをドーピングした(Pb,Ca)(Zr,Ti)O
3膜(PCZT膜)を用いても良い。また、Srをドーピングした(Pb,Sr)(Zr,Ti)O
3膜(PSZT膜)を用いても良い。また、La及びCaをドーピングした(Pb,La,Ca)(Zr,Ti)O
3膜(PLCZT膜)を用いても良い。また、La及びSrをドーピングした(Pb,La,Sr)(Zr,Ti)O
3膜(PLSZT膜)を用いても良い。また、Ca及びSrをドーピングした(Pb,Ca,Sr)(Zr,Ti)O
3膜(PCSZT膜)を用いても良い。
【0097】
なお、強誘電体膜に含まれる材料は、例えば鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、ニオブ(Nb)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)のうちから選択することが好ましい。
【0098】
・上記実施形態において、第2の誘電体膜の材料に、アルミナ(AlxOy)、酸化チタン(TiOx)、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SixNy)等を用いても良い。