特許第6299120号(P6299120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6299120
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/04 20060101AFI20180319BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20180319BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20180319BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20180319BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20180319BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   H01L23/04 E
   H01L23/02 J
   H01L23/08 A
   H01L23/48 P
   H01L25/04 C
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-183696(P2013-183696)
(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公開番号】特開2015-53301(P2015-53301A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(72)【発明者】
【氏名】大瀬 智文
【審査官】 鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−238725(JP,A)
【文献】 特開2000−068446(JP,A)
【文献】 特開2011−018933(JP,A)
【文献】 特開平06−120390(JP,A)
【文献】 特開平10−242338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07、25/18
H01L 23/02、23/04、23/08
H01L 23/28
H01L 23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップを収納する樹脂製のケースと、
一端は前記半導体チップに電気的に接続され、他端は前記ケースから外部に突出した状態で折り曲げられた端子と、
前記ケースの開口部にはめられる樹脂製のフタを備えた半導体モジュールであって、
前記フタの端部の一部の領域は、前記端子と当接し、前記フタの端部の他の領域よりも樹脂の厚さが厚く形成された肉厚部を備え
前記端子の一部は前記ケースの壁に埋設されており、前記フタの前記肉厚部と接する領域の反対側の前記端子の領域が、前記ケースの壁で覆われていることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体モジュールにおいて、
前記フタの前記肉厚部の横幅が、前記端子の横幅より広いことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体モジュールにおいて、
前記端子は、前記端子の前記他端近傍に貫通孔を備え、さらに、前記端子は、前記貫通孔を前記ケースから外部に露出させた状態で折り曲げられており、
前記フタは、前記貫通孔と対向する部位であって前記フタの前記端部から離間した前記フタの表面に固定されたナットを備えていることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体モジュールにおいて、
前記貫通孔の直径は、前記ナットのねじ穴より大きく、かつ、前記端子の横幅方向の直径よりも前記端子の長手方向の直径が長いことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項5】
請求項3または4に記載の半導体モジュールにおいて、
前記フタは、前記ナットの下に前記ナットを受けるナット受け部を備え、前記ナットのねじ穴の下にねじ穴の幅より広い幅の空間を設けることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体モジュールにおいて、
前記ケースと前記フタとを係合させる係合部を備えたことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体モジュールにおいて、
前記端子の折り曲げられた部分の横幅は、端子の他の幅より短いことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体モジュールにおいて、
前記端子の折り曲げられた部分の厚さは、端子の他の部分の厚さより薄いことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の半導体モジュールにおいて、
前記半導体チップの異なる部位と電気的に接続された複数の前記端子を備え、前記各端子の曲げ方向が同じであることを特徴とする半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子の折り曲げ部近傍の樹脂の破損を防止することのできる半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
端子の折り曲げ部近傍の樹脂の破損を防止することのできる半導体モジュールに関する文献として、次の特許文献1の構造が知られている。
特許文献1は、合成樹脂で作られた基体部に、導電性金属材料で作られた電気的接続導体部の一部をインサート成形又は圧入した成形体を開示している。この成形体は、電気的接続導体部を一側壁面に露出する折曲治具用の治具挿入溝を基体部に備えている。このように成形体を構成した後に、電気的接続導体部を所望の方向へ折り曲げるために、治具挿入溝に電気的接続導体部の折り曲げ位置に合う折曲治具を挿着し、電気的接続導体部の折り曲げを行なう。折曲治具は、基体部に対して十分に剛性のある材料であることで、電気的接続導体部を折り曲げる際、折り曲げにかかる応力が折曲治具に生じても折曲治具や基体部にクラックは発生しないと記載されている。折曲治具は、電気的接続導体部を折り曲げた後に治具挿入溝から引き抜かれ、次の成形体の電気的接続導体部の折り曲げに繰り返し使用されることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−345669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、折曲治具の着脱に手間がかかるため製造速度が低下して製造コストが高くなるという問題点があった。また、特許文献1の従来技術に記載されているように、樹脂の角に沿って端子を曲げると、その樹脂部分にクラックが生じる場合があるため、製造コストが増加するという問題があった。
【0005】
上記の課題を解決するべく、本発明は、端子の折り曲げの応力を受けるための折曲治具を用いることなく製造でき、半導体モジュールの樹脂部分にクラックが生じ難い半導体モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の実施例は、半導体チップを収納する樹脂製のケースと、一端は前記半導体チップに電気的に接続され、他端は前記ケースから外部に突出した状態で折り曲げられた端子と、前記ケースの開口部にはめられる樹脂製のフタを備えた半導体モジュールであって、前記フタの端部の一部の領域は、前記端子と当接し、前記フタの端部の他の領域よりも樹脂の厚さが厚く形成された肉厚部を備えていることを特徴とする。このような構成によれば、肉厚部の角を支点に端子を折り曲げできるので、端子が折り曲げられる時にケースに過剰な応力が集中することを避けられるので、ケースの破損を防止できる。そして、フタがケースの開口部にはめられているので、フタの肉厚部の角を支点に端子を曲げた時にフタがずれることを防止できる。そのため、端子が曲がる位置を安定化させることができる。したがって、他の治具を用いることなく、端子を曲げることができるので、治具を挿入して治具を支点に端子を曲げる場合に比べて作業が簡便になる。よって、半導体モジュールの製造速度の低下を防止でき、製造コストを少なくできる。端子折り曲げ時には、既に半導体がケース内部に備えられている。たとえフタが破損したとしても、安価なフタ部分のみを交換すればよいので、高価な半導体をケース内部に備え、かつ、端子を曲げる際に支点にしている部分がケースと一体になっている場合に比べて、ロスコストを低減できる。半導体チップは、ボンディングワイヤを経由して端子と電気的に接続してもよいし、半導体チップと端子とを直接接続させてもよい。
【0007】
また、上記半導体モジュールの実施例の1つとして、前記端子の一部は前記ケースの壁に埋設されており、前記フタの前記肉厚部と接する領域の反対側の前記端子の領域が、前記ケースの壁で覆われていることを特徴とする。このような構成によれば、端子が折り曲げられる時にケース側面から端子が露出することがないので、ケース横方向の絶縁性を確保できる。
【0008】
また、上記半導体モジュールの実施例の1つとして、前記フタの前記肉厚部の横幅が、前記端子の横幅より広いことを特徴とする。このような構成によれば、端子が曲がる際の応力を肉厚部が支えるため、端子を肉厚部の角に沿って確実に曲げることができる。
【0009】
また、上記半導体モジュールの実施例の1つとして、前記端子は、前記端子の前記他端近傍に貫通孔を備え、さらに、前記端子は、前記貫通孔を前記ケースから外部に露出させた状態で折り曲げられており、前記フタは、前記貫通孔と対向する部位であって前記フタの前記端部から離間した前記フタの表面に固定されたナットを備えていることを特徴とする。このような構成によれば、ボルトをリング端子に貫通させてさらに前記端子の貫通孔を通して前記ナットにねじ止めすることができる。これによりリング端子と前記端子を強固にねじ止めすることができる。ナットは、フタに固定されているため、ボルトを回転させてもナットが動くことがないため、ボルトのみを回転させてリング端子を前記端子に固定できる。ナットは、フタの表面に埋設して固定されていてもよい。
【0010】
また、上記半導体モジュールの実施例の1つとして、前記ケースと前記フタとを係合させる係合部を備えたことを特徴とする。このような構成によれば、ケースとフタが係合部で固定されているので、端子を曲げた時にフタがずれることを防止できる。
【0011】
また、上記半導体モジュールの実施例の1つとして、前記端子の折り曲げられた部分の横幅は、端子の他の幅より短いことを特徴とする。このような構成によれば、端子を折り曲げる時の応力が、端子の幅の狭い部分に集中するため、この部位で端子を曲がり易くできる。
【0012】
また、上記半導体モジュールの実施例の1つとして、前記端子の折り曲げられた部分の厚さは、端子の他の部分の厚さより薄いことを特徴とする。このような構成によれば、端子を折り曲げる時の応力が、端子の厚さの薄い部分に集中するため、この部位で端子を曲がり易くできる。
【0013】
また、上記半導体モジュールの実施例の1つとして、前記貫通孔の直径は、前記ナットのねじ穴より大きく、かつ、前記端子の横幅方向の直径よりも前記端子の長手方向の直径が長いことを特徴とする。このような構成によれば、端子の曲げ位置が端子の長手方向にずれたとしても、ナットのねじ穴は、貫通孔の範囲内に留めることができる。
【0014】
また、上記半導体モジュールの実施例の1つとして、前記半導体チップの異なる部位と電気的に接続された複数の前記端子を備え、前記各端子の曲げ方向が同じであることを特徴とする。このような構成によれば、2つ目以降の端子を曲げる際にフタに破損が生じても、前記端子の曲げ方向が異なる場合に比べて、フタを容易に取り出して交換することができる。特に、各フタを一体化して成形されたフタを用いた場合は、端子の曲げ方向が異なっているとすべての端子を元の状態まで完全に戻さなければフタを取り外すことができない。しかし、端子の曲げ方向が同じである場合は、フタを取り出せる程度まで各端子を少し起こすだけでフタを取り出すことができる。さらに、複数の端子を一度に曲げることもできるので、生産性を向上できる。
【0015】
また、ナットを備えた上記半導体モジュールの実施例の1つとして、前記フタは、前記ナットの下に前記ナットを受けるナット受け部を備え、前記ナットのねじ穴の下にねじ穴の幅より広い幅の空間を設けることを特徴とする。このような構成によれば、ボルトの長さがナットのねじ穴の奥行きより長い場合でも、ボルトをねじ止めできるため、ボルトの長さの制約を緩和できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、端子の折り曲げの応力を受けるための折曲治具を用いることなく製造でき、半導体モジュールの樹脂部分にクラックが生じ難い半導体モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施例に係る半導体モジュールの端子折り曲げ前のA−A断面の断面図である。
図2】本発明の第1の実施例に係る半導体モジュールの上面図である。
図3】本発明の第1の実施例に係る半導体モジュールの側面図である。
図4】本発明の第1の実施例に係る半導体モジュールの端子折り曲げ後のB−B断面の断面図である。
図5】本発明の第1の実施例に係る半導体モジュールの端子折り曲げ後の上面図である。
図6】本発明の第1の実施例に係る半導体モジュールの端子折り曲げ後の側面図である。
図7】本発明の第2の実施例に係る半導体モジュールの端子折り曲げ後の上面図である。
図8】本発明の第3の実施例に係る半導体モジュールの端子折り曲げ後の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明に係る半導体モジュールの実施形態を説明する。同一の構成要素については、同一の符号を付け、重複する説明は省略する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。
【0019】
(実施例1)
本発明に係る第1の実施例について説明する。図1は、本発明の第1の実施例に係る半導体モジュールの端子折り曲げ前のA−A断面の断面図である。図2は、本発明の第1の実施例に係る半導体モジュールの上面図である。図3は、本発明の第1の実施例に係る半導体モジュールの側面図である。図4は、本発明の第1の実施例に係る半導体モジュールの端子折り曲げ後のB−B断面の断面図である。図5は、本発明の第1の実施例に係る半導体モジュールの端子折り曲げ後の上面図である。図6は、本発明の第1の実施例に係る半導体モジュールの端子折り曲げ後の側面図である。
【0020】
本発明の第1の実施例に係る半導体モジュール100は、ケース1、端子2、フタ3、ナット4、絶縁基板7、導電回路層8、金属層9、金属板10、半導体チップ11、シリコーンゲル12を備えている(図1参照)。
ケース1は、半導体チップ11を収納する樹脂製のケース1であり、側壁には端子2の一部が埋設されている。埋設された端子2の反対側には、フタ3の端と接する部分に第1係合部1aがある(図2参照)。ケース1は、上面および下面が開放された形状である。上面は、フタ3で覆われており、下面は、金属板10で覆われている。
【0021】
端子2は、一端は半導体チップ11に電気的に接続され、他端はケース1から外部に突出した状態で折り曲げられている(図4参照)。端子2の一部はケース1の壁に埋設されており、フタ3の肉厚部3aと接する領域の反対側の端子2の領域が、ケース1の壁で覆われている。ケース1から突出した端子2の部分には、貫通孔2aが設けられている。貫通孔2aの直径は、ナット4のねじ穴より大きく、かつ、端子2の横幅方向の直径よりも端子2の長手方向の直径が長い。
【0022】
貫通孔2aとケース1から突出した端子2の根元部分の近傍には、薄肉部2bおよび切り欠き部2cが設けられている。薄肉部2bおよび切り欠き部2cは、両方設けられていることが望ましいが、いずれか一方のみを設けることにしても良い。薄肉部2bは、端子の一方の面に設けても良いし、両面に設けても良い。図1に示すように、薄肉部2bは、端子2が曲げられる側の面に設けることがより望ましい。端子2の折り曲げられた部分の厚さは、端子の他の部分の厚さより薄いので、端子2が折り曲げられる時は、薄肉部2bに応力が集中するため、薄肉部2bで端子2が折り曲げられる。
切り欠き部2cは、端子の両側に設ける。端子2の折り曲げられる部分の横幅は、端子2の他の幅より短い(図3参照)。端子2が折り曲げられる時は、切り欠き部2cに応力が集中するため、切り欠き部2c間で端子2が折り曲げられる。
【0023】
フタ3は、樹脂製であり、ケース1の上面の開口部にはめられる。フタ3の端部の一部の領域は、端子2と当接し、フタ3の端部の他の領域よりも樹脂の厚さが厚く形成された肉厚部3aになっている(図1,4参照)。フタ3の肉厚部3aの横幅Dは、端子2の横幅Cより広く形成されている(図6参照)。さらに、フタ3は、貫通孔2aと対向する部位であってフタ3の端部から離間したフタ3の表面に固定されたナット4を備えている。ナット4の中心には、ねじ穴4aが開けられている。フタ3は、ナット4の下にナット4を受けるナット受け部5を備え、ナット4のねじ穴4aの下に、ねじ穴4aの幅より広い幅の空間6を設ける。
【0024】
第2係合部3bは、肉厚部3aとは反対側のフタ3の端に設けられている。第2係合部3bは、第1係合部1aと協働して、フタ3をケース1に固定させている。すなわち、ケース1の側面が、第1係合部1aと対向するフタ3の部分と、第2係合部3bとで挟まれて固定される。
第2係合部3bの下のケース1の側面には、窪みが設けられている。フタ3を取り外す時は、この窪みに器具を挿入して第2係合部3bの係合を外して、フタ3を取り外す。
空間6は、図示していないボルトを、図示していないリング端子に貫通させてさらに端子2の貫通孔2aを通してナット4にねじ止めする際に、ボルトのねじ部分の長さが、ナット4の長さより長い場合にフタ3とボルトとが干渉しないように設けられている。さらに、フタ3は、第2係合部3bがある。
【0025】
絶縁基板7の上面には、導電回路層8が配置され、絶縁基板7の下面には、金属層9が配置される。絶縁基板は、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミック材料で形成されている。導電回路層8と金属層9は、例えば、銅やアルミニウムで形成される。半導体チップ11は、導電回路層8上にハンダ付けされている。金属層9は、金属板10とハンダ付けされている。金属板10は、例えば、アルミニウムで形成される。金属層9や金属板10は、半導体チップ11が発熱した熱を外部に放熱するための部材である。
【0026】
シリコーンゲル12は、絶縁基板7、導電回路層8、金属層9、金属板10の上面、半導体チップ11、および端子2の一部が覆われるように、ケース1の内部に充填される。これらの部材をシリコーンゲル12で覆うことで、各部材の酸化が抑制され、半導体モジュール100の寿命を延ばすことができる。
図示しないが、本発明の半導体モジュールの実施例は、上記端子2以外にもケース1から直接外部に引き出された第2の端子を備えていてもよい。本発明の半導体モジュールの実施例は、上記半導体チップ11を制御する第2の半導体チップをさらに備え、上記第2の端子からの制御信号によって半導体チップ11を制御してもよい。
【0027】
(実施例2)
本発明に係る第2の実施例について説明する。図7は、本発明の第2の実施例に係る半導体モジュールの端子折り曲げ後の上面図である。この半導体モジュール200は、実施例1の半導体モジュールが複数横に並べて配置されたものである。そして、特に、この半導体モジュール200は、半導体チップ11の異なる部位と電気的に接続された複数の端子2を備え、各端子2の曲げ方向が同じである点に特徴がある。より具体的には、例えば、半導体チップ11として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)を用い、1つの半導体チップ11のゲート極とエミッタ極とコレクタ極とにそれぞれ接続した各端子2を備える。それ以外の構成は、実施例1の構造と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0028】
フタ3がそれぞれの端子2に別々に設けられているので、交換の必要があるフタ3のみ交換できるというメリットがある。端子2の曲げ方向が同じであるので、各端子2を一度に曲げることができ、端子2を曲げる装置の構造を簡素化できる。
【0029】
(実施例3)
本発明に係る第3の実施例について説明する。図8は、本発明の第3の実施例に係る半導体モジュールの端子折り曲げ後の上面図である。この半導体モジュール300は、実施例2のフタ3を一体化して、フタ13にした点、および、これと対応してケース1をフタ13が嵌合するように形成している点を除いて同じである。それ以外の構成は、実施例2の構造と同じである。第2係合部3bは、肉厚部3aとは反対側のフタ3の端に設けられている。第2係合部13bは、第1係合部1aと協働して、フタ13をケース1に固定させている。すなわち、ケース1の側面が、第1係合部1aと対向するフタ13の部分と、第2係合部13bとで挟まれて固定される。フタ13が、各端子2に対して共通のフタになっているため、組立時のフタ13の取り付け作業が簡素化されるという効果がある。
【0030】
以上のように、本発明の実施例によれば、端子の折り曲げの応力を受けるための折曲治具を用いることなく製造でき、半導体モジュールの樹脂部分にクラックが生じ難い半導体モジュールを提供できる。
【符号の説明】
【0031】
1 ケース
1a 第1係合部
2 端子
2a 貫通孔
2b 薄肉部
2c 切り欠き部
3、13 フタ
3a、13a 肉厚部
3b、13b 第2係合部
4 ナット
4a ねじ穴
5 ナット受け部
6 空間
7 絶縁基板
8 導電回路層
9 金属層
10 金属板
11 半導体チップ
12 シリコーンゲル
100、200、300 半導体モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8