(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明をAF一眼レフカメラ10の自動焦点調節装置に適用した実施形態であって、その主要構成をブロックで示した図である。このAF一眼レフカメラ10は、自動焦点調節装置としてAFモジュール(自動焦点検出モジュール)60を内蔵したカメラボディ11と、このカメラボディ11に着脱可能なAF対応の撮影レンズ101とを備えている。
【0020】
カメラボディ11は、カメラボディ11及び撮影レンズ101を統括的に制御し、相関演算手段、繰り返しパターン判定手段、コントラスト検出手段及び選択手段としても動作するボディCPU31を備えている。
【0021】
一方、撮影レンズ101は、レンズ機能を制御するレンズCPU107と、焦点調節レンズ群102を光軸方向に駆動するギヤブロック53と、撮影レンズ101のマウント部に設けられた、カメラボディ11のジョイント35と着脱自在に連結するジョイント105を備えている。レンズCPU107は、電気接点群106、36の接続を介してカメラボディ11の周辺制御回路21と接続されていて、この周辺制御回路21を介してボディCPU31との間で、開放、最大F値情報、焦点距離情報、レンズ位置(距離)情報などを通信する所定のデータ通信を行う。なお、
図1では焦点調節レンズ群102のみ示したが、実際の撮影レンズ101は、例えば、固定レンズ、変倍時に移動する変倍レンズなどの複数群、複数枚のレンズからなる。
【0022】
撮影レンズ101からカメラボディ11内に入射した被写体光束は、大部分がメインミラー13により、ファインダ光学系を構成するペンタプリズム17に向かって反射され、ペンタプリズム17で反射されてアイピースから射出する。ペンタプリズム17から射出された被写体光束の一部はAEセンサ18の受光素子に入射する。一方、メインミラー13の中央部に形成されたハーフミラー部14に入射した光束の一部はハーフミラー部14を透過し、メインミラー13の背面に設けられたサブミラー15により下方に反射され、AFモジュール60に入射する。
【0023】
メインミラー13の後方に、撮像手段としてイメージセンサ45が設けられている。メインミラー13は、撮影レンズ101を透過した被写体光束を、ファインダ光学系(ペンタプリズム17)に向かって反射するダウン位置と、イメージセンサ45に向かって反射するアップ位置とに移動可能な構成であって、ミラーモータ25によりアップダウン駆動される。
【0024】
被写体光束が露光されたイメージセンサ45の出力信号は、DSP41でディスプレイ(LCD)42に表示可能なビデオ信号に加工され、ディスプレイ(LCD)42で映像化される。DSP41は、ボディCPU31との間で撮影に関する情報を授受する。
【0025】
AEセンサ18は、受光量に応じて光電変換した電気信号をAFE19に出力する。電気信号はAFE19によりA/D変換され、DSP41を介してボディCPU31に測光信号として出力される。ボディCPU31は、測光信号等に基づいて所定の露出演算を実行し、露出用の適正シャッタ速度及び絞り値を算出する。
【0026】
撮影動作(レリーズ動作)において、周辺制御回路21は、ミラーモータ25を駆動してミラー機構24を動作させ、メインミラー13をダウン位置からアップ位置にアップするとともに、算出した絞り値に基づいて絞りモータ27を駆動して絞り機構26を動作させ、撮影レンズ101の絞り(図示せず)を絞り込み、ミラーアップ及び絞りの絞り込みが完了した時に、算出したシャッタ速度に基づいて、露光装置(シャッタ装置)23を駆動してイメージセンサ45を露光(イメージセンサ45が撮像動作)する。露光装置23は、図示しないが、イメージセンサ45の直前に配置されたシャッタ先幕・後幕と、シャッタ先幕・後幕を駆動するシャッタばねと、シャッタばねをチャージするシャッタチャージモータなどを含む。さらに露光終了後、周辺制御回路21は、ミラーモータ25を駆動してミラー機構24のメインミラー13をダウン位置にダウンし、絞りモータ27を駆動して絞り機構26を絞り開放状態に復帰し、シャッタチャージモータを介して露光装置23をチャージする。
【0027】
ボディCPU31には、設定したAF、露出、撮影などのモード、シャッタ速度(露光時間)、絞り値などの各種撮影情報を表示する表示パネル39と、カメラボディ11特有の各種定数などがメモリされたフラッシュメモリ38が接続されている。表示パネル39は、カメラボディ11の外面及びファインダ視野内の2ヶ所に設けられた表示器を含む。
【0028】
ボディCPU31は、制御プログラム等をメモリしたROM31a、演算用、制御用の所定のデータを一時的にメモリするRAM31b、計時用のタイマ31c、AFモータ33の回転を検出するエンコーダ37の出力パルスをカウントするカウンタ31d、AFモジュール60から入力した出力VOUT信号(ビデオ信号)をA/D変換するA/D変換器31e、AFモジュール60の積分終了レベルを設定するモニタ基準VMS電圧をD/A変換してAFモジュール60へ出力するD/A変換器31fを内蔵している。
【0029】
AFモジュール60は、いわゆる瞳分割位相差方式であって、CCDラインセンサと積分終了タイミングをモニタするモニタセンサを備えた焦点検出センサ61と、図示していないが被写体像を形成する被写体光束を二分割に瞳分割して、対応するCCDラインセンサ上の異なる領域投影するAF光学系とを備えている。
【0030】
図2は撮影画面70における焦点検出エリアUL、UC、UR、・・・LL、RRの配置例を示す図、
図3は焦点検出エリアUL、UC、UR、・・・LL、RRに対応するAFモジュール60が備えた焦点検出センサ61の配置例を示す図である。この実施形態では、11個の焦点検出エリアUL、UC、UR、・・・LL、RRを有していて、9個の焦点検出エリアUL、UC、UR、・・・が撮影画面70の中央領域に縦横3列に配置され、2個の焦点検出エリアLL、RRが中央領域の焦点検出エリアUL、UC、UR、・・・より外側に配置されている。
【0031】
焦点検出センサ61は、各焦点検出エリアUL、UC、UR、・・・LL、RRに対応する横ラインセンサIH(Hセンサ)及び縦ラインセンサIVを有する縦横検出型のCCD焦点検出センサである。横ラインセンサIH及び縦ラインセンサIVはそれぞれ基準ラインセンサIHA、IVAと参照ラインセンサIHB、IVBを有している。
【0032】
撮影画面70の中央の9個の焦点検出エリアUL、UC、UR、・・・はクロスセンサ領域であって、同一の符号を付した横ラインセンサIH(IHA)の領域UL、UC、UR、・・・と縦ラインセンサIV(IVA)の領域UL、UC、UR、・・・が対応している。9個の焦点検出エリアUL、UC、UR、・・・の左右外方に位置する焦点検出エリアLLとRRには、縦ラインセンサIV(IVA)の領域LLとRRが対応している。
【0033】
基準ラインセンサIHA、IVAの各検出領域の近傍には、各検出領域UL、UC、UR、・・・LL、RRの積分値をモニタするモニタセンサMLL、MUL、MUR、・・・・MLL、MRRが配置されている。AFモジュール60は、積分を開始すると、積分制御部61aが、モニタセンサMLL、MUL、MUR、・・・・MLL、MRRの出力信号をボディCPU31から出力されるモニタ基準VMS電圧と比較して、モニタ基準VMS電圧に達したモニタセンサMLL、MUL、MUR、・・・・MLL、MRRに対応する横、縦ラインセンサIH、IVの領域UL、UC、UR、・・・LL、RRの積分を終了させるとともに、該積分を終了した時の積分時間に応じたゲインを設定する。
【0034】
焦点検出センサ61は、全ての横、縦ラインセンサIH、IVの積分が終了すると、横、縦ラインセンサIH、IVの列毎に画素単位で、電気的な焦点検出信号として読出し、積分制御部61aが設定ゲインで増幅し、ボディCPU31に出力する。
【0035】
ボディCPU31は、入力した焦点検出信号をA/D変換器31eで焦点検出データに変換し、焦点検出エリアUL、UC、UR、・・・LL、RR毎に、対応する焦点検出データを使用して焦点検出演算(相関演算)によりデフォーカス量を算出する。
さらにボディCPU31は、算出したデフォーカス量が0になる焦点調節レンズ群102の合焦位置を演算し、焦点調節レンズ群102をその合焦位置に移動するのに要するAFモータ33の回転方向及び回転量を演算して、求めた回転方向及び回転量によりAFモータ33を駆動する。AFモータ33の回転量は、エンコーダ37が出力するパルス数(駆動パルス数)として設定され、ボディCPU31が内蔵するカウンタ31dにセットされる。
【0036】
ボディCPU31は、AFモータ33の回転に連動してエンコーダ37が出力するパルスをカウンタ31dでダウンカウントし、カウント値が0になったらAFモータ33を停止させる。カウンタ31dには、デフォーカス量に基づいて演算されたパルス数などがセットされ、残パルス数に応じて、AFモータ33に、起動の際には加速制御、停止前にはブレーキ制御がされる。AFモータ33の回転は、ギヤブロック34により減速され、カメラボディ11のマウント部に設けられたジョイント35と撮影レンズ101のマウント部に設けられたジョイント105との接続を介して撮影レンズ101のギヤブロック104に伝達され、ギヤブロック104を介して焦点調節レンズ群102を進退移動させる。
【0037】
ボディCPU31には、図示しないマニュアルレリーズ釦の半押しでオンする測光スイッチSWS及び全押しでオンするレリーズスイッチSWR、周辺制御回路21等への電源をオン/オフするメインスイッチSWMが接続されている。レリーズスイッチSWRは、レリーズ操作部を構成している。
【0038】
ボディCPU31には、レリーズモードとして、レリーズ操作後に直ちにイメージセンサ45が撮像動作(露光)を開始するようにレリーズ動作を制御するレリーズ優先モードと、前記撮影レンズ101の焦点調節レンズ群102が合焦位置に達した時にイメージセンサ45が撮像動作(露光)を開始するようにレリーズ動作を制御するフォーカス優先モードと、前記2つの優先モードの一方を自動的に選択する自動選択モードのいずれか一つを選択するレリーズモードスイッチSWModeが接続されている。ボディCPU31にはさらに、レリーズスイッチSWRがオン操作されたときに1回のみ撮影するワンショット撮影モードと、レリーズスイッチSWRがオンされている間、撮影を繰り返す連続撮影(連写)モードのいずれか一方を選択する撮影モード選択スイッチSWMode2が接続されている。
【0039】
レリーズ優先モード、フォーカス優先モード及び自動選択モード、ならびにワンショット撮影モード及び連続撮影(連写)モードの選択及び各モードによる焦点調節動作、レリーズ動作及び連続撮影動作は、ボディCPU31の内蔵メモリにメモリされたプログラムに従ってボディCPU31により統括的に駆動制御される。
【0040】
連続撮影(連写)モードでは、
AEセンサ18が被写体光束を露光して測光信号を出力する露光動作、測光信号をAFE19が読み出して増幅及びA/D変換して測光データを出力する読出A/D動作、DSP41が測光データに基づいてシャッタ速度及び絞り値を演算して設定するAE演算動作、及び設定した絞り値に基づいてボディCPU31が周辺回路21を介して絞りモータ27を駆動して撮影レンズ101の絞りを設定絞り値まで絞り込む絞り込み動作と、
焦点検出センサ61が被写体光束を露光して積分する積分動作、積分制御部61aが焦点検出センサ61の積分終了を制御し、積分が終了したら積分値を読み出して所定のゲインで増幅し、A/D変換器31eがA/D変換して焦点検出データ得る読出A/D動作、及びボディCPU31が焦点検出データを用いてデフォーカス量を検出し、AFモータ33の駆動方向及び駆動パルス数(計算パルス数)を演算するAF演算動作と、
AF演算動作で求めた駆動パルス数(計算パルス数)によりAFモータ33を駆動して焦点調節レンズ群102を合焦位置まで移動するレンズ駆動動作と、
周辺回路21を介してミラーモータ25を駆動してメインミラー13をアップするミラーアップ動作と、
メインミラー13のアップ及び絞の絞り込みが完了した時に、露光装置23を開動作させてイメージセンサ45への露光を開始する露光開始動作と(イメージセンサ45の撮像開始動作)、
露光装置23による設定シャッタ速度でのシャッタ開閉動作が完了して露光(イメージセンサ45の撮像動作)が終了した後、DSP41がイメージセンサ45から画像データを読出す動作と、
を繰り返す。読み出した画像データは、図示しない着脱可能なフラッシュメモリに書き込まれる。
【0041】
レリーズ優先モードは、レリーズスイッチSWRがオン操作されると、焦点調節動作状態にかかわらず、レリーズ動作(イメージセンサ45が撮像動作)を直ちに開始するモードである。
図4は、連続撮影モードにおけるレリーズ優先モードでの動作例を示したタイミングチャートである。この動作例では、焦点調節レンズ群102(AFモータ33)を駆動していたとき、ミラーアップ完了時にAFモータ33を停止するようにAFモータ33を駆動制御し、露光装置23が開閉動作して露光(イメージセンサ45の撮像動作)が終了し、ミラーダウンを開始するときに、設定パルス数と駆動済みのパルス数の差、つまり残パルス数分、AFモータ33駆動している。
【0042】
フォーカス優先モードは、レリーズスイッチSWRがオン操作されると、撮影レンズ101の焦点調節レンズ群102が合焦位置に達した時にイメージセンサ45が撮像動作を開始するように、AFモータ33の残パルス数からレリーズ動作の開始タイミングを調整して動作するモードである。
図5は、連続撮影モードにおけるフォーカス優先モードでの動作例を示したタイミングチャートである。この動作例では、焦点調節レンズ群102が合焦位置に達したとき、つまりAFモータ33の設定パルス分の駆動が終了した時にミラーアップが完了するように、ミラーアップ開始タイミングを制御している。
【0043】
自動選択モードは、検出したデフォーカス量を所定のデフォーカス量と比較して、上記レリーズ優先モードとフォーカス優先モードのいずれかを選択するモードである。
図6は、連続撮影モードにおける自動選択モードでの動作例を示したタイミングチャートである。本実施形態では、デフォーカス量が所定のデフォーカス量より小さいときにレリーズ優先モードを選択し、大きいときにフォーカス優先モードを選択する。
図6において、前半がレリーズ優先モードを選択したときのタイミングを示し、後半がフォーカス優先モードを選択したときのタイミングを示している。
【0044】
連続撮影モードでは、直ちにミラーアップを開始してそのミラーアップ完了時または完了時までにAFモータ33が停止するように制御される。
【0045】
デフォーカス量が所定のデフォーカス量未満のときはほぼピントの合っている状態またはミラー
アップ完了時にはピントが合う状態なのでレリーズ優先モードを選択し、直ちにレリーズ動作にすぐに移行させる。
逆に、デフォーカス量が所定のデフォーカス量以上のときはピントの合っていない状態なのでフォーカス優先モードを選択し、焦点調節レンズ群102(AFモータ33)を駆動する残パルス数がミラーアップ中駆動パルス数以内になるまでレンズ駆動を行ってから、レリーズ動作に移行する。
デフォーカス量の所定量は、「被写界深度相当のデフォーカス量+ミラーアップ中駆動パルス数相当のデフォーカス量」により求めることができる。
「ミラーアップ中駆動パルス数相当」とは、メインミラー13をダウン位置からアップ位置に上昇させる動作を開始(ミラーアップ開始、ミラーモータ25を起動)してからメインミラー13がミラーアップ完了するまでの時間にAFモータ33が回転するパルス数であって、「ミラーアップ中駆動パルス数相当のデフォーカス量」は、このパルス数で調整されるデフォーカス量である。被写界深度相当のデフォーカス量は、撮影レンズ101の焦点距離及び撮影時の設定絞り値によって求められる。
【0046】
積分制御部61aは、焦点検出センサ61の最長積分時間を、フォーカス優先モードでは256msに、レリーズ優先モードでは8msに設定するが、自動選択モードでは、フォーカス優先モードとレリーズ優先モードのいずれを選択した場合であっても、フォーカス優先モードより短く、かつレリーズ優先モードより長い32msに設定する。
【0047】
積分制御部61aは、積分時間に応じてゲインをコントロールする。表1、2、3は、被写体輝度(EV)と、積分時間(ms)と、ゲインと、出力(パーセント)との関係の一例を、各モードについて示してある。出力は、ラインセンサの積分値がほぼ飽和したときを100パーセントとして、その被写体輝度で設定された最長積分時間積分したときの積分値の割合を示している。
【0051】
本実施形態は、連続撮影中の自動選択モードにおける焦点検出装置の最長積分時間をレリーズ優先モード時より長く設定して積分終了制御および増幅制御を行うので、被写体輝度が低い場合でも焦点検出を行え、ピントの合った撮影が可能となり、自動選択モードにおける最長積分時間をフォーカス優先モード時の最長積分時間より短く設定して積分終了制御および増幅制御を行うので、コマ速低下を最小限に抑えることができる。
さらに本実施形態は、最長積分時間に応じてゲインを調整するので、低輝度であっても一定レベル以上の焦点検出信号を得ることが可能になり、正確な精度の高いデフォーカス量を得ることができる。
【0052】
本実施形態のAF一眼レフカメラ10において、連続撮影モードが選択されているときのレリーズ優先モード、フォーカス優先モード及び自動選択モードよる自動焦点調節動作について、さらに
図7乃至
図14に示したフローチャートを参照してより詳細に説明する。
図7は、本発明の自動焦点調節動作の実施形態を示すメインフローチャートである。この自動焦点調節動作は、ボディCPU31により統括的に制御されるものとし、メインフローチャートには、メインスイッチSWMがONされた状態で入る。
【0053】
メインフローチャートに入ると、先ず、各スイッチ状態、各フラグ、各カウンタ、各変数、各ポート状態などソフト的、ハード的な初期化処理を行って(S101)、測光スイッチSWSがオンしているか否かチェックする(S103)。測光スイッチSWSがオンしていないとき(S103:NO)、ステップS109に飛んで初期化処理を行って(S109)、メインフローチャートを抜ける(END)。このメインフローチャートには、一定の時間間隔で定期的に入る。
【0054】
測光スイッチSWSがオンしているとき(S103:YES)、AE処理(S105)とAF処理(S107)を実行して、S103に戻る。以上の処理を、測光スイッチSWSがオンしている間繰り返す。AE処理は、AEセンサ18の露光(測光)動作と、AFE19による読出A/D動作と、DSP41によるシャッタ速度Tv及び絞り値Avを演算するAE演算動作を含む(
図4乃
図6)。
【0055】
ステップS107のAF処理の概要について、
図8に示したフローチャートを参照して説明する。AF処理では、レンズ駆動チェックし(S201)、焦点検出センサ制御する(S203)。焦点検出センサ制御は、予め設定された最大積分時間、ゲイン等で積分制御部61aにより焦点検出センサ61に積分を開始させ、積分制御部61aにより積分の終了を制御し、全ての焦点検出センサ61の積分が終了したら積分値を読み出して所定のゲインで増幅し、A/D変換器31eによりA/D変換して焦点検出データを得る処理である。
【0056】
得られた焦点検出データに基づいて、焦点検出演算する(S205)。焦点検出演算は、デフォーカス量を演算し、さらにデフォーカス量を0にするためのレンズ駆動方向および駆動量を、AFモータ33の回転方向及び回転量として演算する演算処理を含む。本実施形態は、AFモータ33の回転量をエンコーダ37が出力する駆動パルス数として設定し、カウンタ31dにセットする。そうして、AFモータ33を演算したAFモータ33の回転量により駆動するレンズ駆動制御を行って(S207)、リターンする(RET)。
【0057】
ステップS201のレンズ駆動チェックの詳細について、さらに
図9に示したフローチャートを参照して説明する。
【0058】
レンズ駆動チェック処理に入ると、最初に、レンズ駆動中か否かチェックする(S301)。レンズ駆動中ではないとき(S301:NO)、そのままリターンする(RET)。レンズ駆動中のとき(S301:YES)、ステップS303に進んで以下の処理を行う。
【0059】
レンズ駆動する残パルス数を計算する(S303)。残パルス数は、カウンター31dのカウント値である。ステップS205で演算した駆動パルス数(計算パルス数)から、すでに駆動済みのパルス数を減算して求める。パルスカウント数は、エンコーダ37が出力するパルスをダウンカウントするカウンタ31dの値である。
【0060】
残パルス数がブレーキパルス数以下か否かチェックする(S305)。ブレーキパルス数は、回転しているAFモータ33がブレーキ制御を開始してから実際に停止するまでに必要なパルス数である。
【0061】
残パルス数がブレーキパルス数以下のとき(S305:YES)、ブレーキ制御を開始し(S307)、ステップS313に進む。ブレーキ制御では、例えば、最初にAFモータ33の入力端子をショートさせるショートブレーキをかけ、AFモータ33に逆転方向の回転トルクを発生させる逆転ブレーキをかけ、再びショートブレーキをかけて、AFモータ33を設定駆動パルス数駆動した時点で停止させる。
【0062】
残パルス数がブレーキパルス数以下ではないとき(S305:NO)、ブレーキ制御中か否かチェックし(S309)、ブレーキ制御中であれば(S309:YES)ブレーキ制御を解除して(S311)ステップS313に進み、ブレーキ制御中でなければ(S309:NO)そのままステップS313に進む。
【0063】
ステップS313では、残パルス数が所定のパルス数以下であるか否かチェックする。ここで所定のパルス数は、「被写界深度相当のデフォーカス量+ミラーアップ中駆動パルス数相当のデフォーカス量」に相当するパルス数である。
【0064】
残パルス数が所定のパルス数未満のとき(S313:YES)、レリーズを許可(例えばレリーズ許可フラグに“1”をセット)し(S315)、ミラーアップ中駆動パルス数に残パルス数をセットし(S317)、ミラーダウン中駆動パルス数に0をセット(クリア)して(S319)リターンする(RET)。
【0065】
ミラーアップ中駆動パルス数は、ミラーアップ開始からミラーアップ完了までの間にAFモータ33が回転するパルス数である。
ミラーダウン中駆動パルス数は、ミラーダウン開始からミラーダウン完了までの間にAFモータ33が回転するパルス数である。
【0066】
残パルス数が所定のパルス数未満ではないとき(S313:NO)、レリーズ優先モードか否か(S321)、自動選択モードか否か(S323)チェックする。レリーズ優先モードでもなく(S321:NO)、自動選択モードでもないときは(S323:NO)、フォーカス優先モードである。
【0067】
レリーズ優先モードのとき(S321:YES)、レリーズを許可し(S329)、ミラーアップ中駆動パルス数に所定のパルス数をセットし(S331)、ミラーダウン中駆動パルス数に(残パルス数−所定のデフォーカス量)をセットして(S333)リターンする(RET)。レリーズ優先モードのときは、レリーズを許可する。
【0068】
自動選択モードのとき(S321:NO、S323:YES)、デフォーカス量が所定のデフォーカス量以上か否かチェックし(S325)、所定のデフォーカス量以上のとき(S325:YES)レリーズを禁止(例えばレリーズ許可フラグに“0”をセット)し(S327)、所定のデフォーカス量以上ではないとき(S325:NO)レリーズを許可して(レリーズ許可フラグに“1”をセット)(S329)、ミラーアップ中駆動パルス数に所定のパルス数をセットし(S331)、ミラーダウン中駆動パルス数に(残パルス数−所定のパルス数)をセットして(S333)リターンする(RET)。自動選択モードでは、デフォーカス量が所定のデフォーカス量より大きいときレリーズを禁止し、デフォーカス量が所定のデフォーカス量以下のときにレリーズを許可する。レリーズを禁止したときは、ステップS313においてデフォーカス量が所定のデフォーカス量未満と判定されるのを待つ。
【0069】
フォーカス優先モードのとき(S321:NO、S323:NO)、レリーズを禁止して(S327)、ミラーアップ中駆動パルス数に所定のパルス数をセットし(S331)、ミラーダウン中駆動パルス数に(残パルス数−所定のパルス数)をセットして(S333)リターンする(RET)。フォーカス優先モードのときは、検出したデフォーカス量の大小にかかわらずレリーズを禁止して、ステップS313においてデフォーカス量が所定のデフォーカス量未満になるのを待つ。
【0070】
ステップS203の焦点検出センサ制御処理の詳細について、
図10に示したフローチャートを参照して説明する。焦点検出センサ制御処理に入ると、先ず連続撮影フラグに“1”がセットされているか否かチェックする(S401)。連続撮影フラグに“1”がセットされているとき、つまり連続撮影モードが選択されているとき(S401:YES)、自動選択モードか(S403:YES)、レリーズ優先モードか(S413:YES)、フォーカス優先モードか(S413:NO)を判定する。
【0071】
自動選
択モードが選択されているとき(S403:YES)、最長積分時間を32msに設定する(S405)(
図6)。レリーズ優先モードが選択されているとき(S403:NO、S413:YES)、最長積分時間を8msに設定する(S415)(
図4)。フォーカス優先モードが選択されているとき(S403:NO、S413:NO)、最長積分時間を256msに設定する(S409)。
図5は最長積分時間が256msに設定されているが、積分が64ms以内で終了した例を示している。
【0072】
連続撮影フラグに“1”がセットされていないとき(S401:NO)、つまりワンショット撮影の場合、レンズ停止中か否かチェックし(S407)、レンズ停止中のとき(S407:YES)、最長積分時間を256msに設定し(S409)、レンズ停止中ではないとき(S407:NO)、最長積分時間を32msに設定している(S411)。レンズ停止中とは、AFモータ33が停止している状態である。
【0073】
ボディCPU31は、以上のようにモードに応じた最長積分時間を設定してから(S405、S409、S411、S415)、AFモジュール60に積分開始通信をして(S417)焦点検出センサ61に積分を開始させる。
図4ないし
図6のAFの「積分」が該当する。
【0074】
積分を開始させると、積分終了センサがあるか否かチェックする(S419)。積分終了センサがないとき(S419:NO)、積分中センサの積分時間をメモリし(S425)、最長積分時間経過したか否かチェックする(S427)。最長積分時間経過していないとき(S427:NO)、全センサが積分終了したか否かチェックし(S433)、積分終了していないセンサがあるとき(S433:NO)ステップS419に戻る。
【0075】
積分終了センサがあるとき(S419:YES)、ステップS425に飛んで積分中センサの積分時間をメモリし、最長積分時間経過したか否かチェックし(S427)。積分終了していないセンサがあるとき(S433:NO)ステップS419に戻る。
【0076】
最長積分時間を経過したとき(S427:YES)、オートゲインコントロールを行い(S429)、ゲイン情報を通信し(S431)、積分終了通信を行い(S435)、AFモジュール60から焦点検出信号を読み出してA/D変換し(S435、S437)、リターンする(RET)。
図4ないし
図6のAF「読出A/D」が該当する。
【0077】
A最長積分時間経過していないが(S427:NO)、全センサが積分終了したとき(S433:YES)、AFモジュール60から焦点検出信号を読み出してA/D変換する(S435、S437、RET)。
図4ないし
図6のAF「読出A/D」が該当する。
【0078】
ステップS207のレンズ駆動制御処理について、
図11に示したフローチャートを参照して詳細に説明する。レンズ駆動制御処理に入ると、焦点検出演算OKか否かチェックする(S501)。焦点検出演算は、ステップS205において有効なデフォーカス量が得られていれば焦点検出演算OKになる。
【0079】
焦点検出演算OKのとき(S501:YES)、レンズ停止中か否かチェックする(S503)。レンズ停止中のとき(S503:YES)、合焦しているか否かチェックし(S505)、合焦しているとき(S505:YES)、各パルス数を初期化し(S507)、レリーズを許可して(S509)リターンする(RET)。初期化するパルス数は、駆動パルス数、残パルス数、ミラーアップ中駆動パルス数、ミラーダウン中駆動パルス数を含む。
【0080】
レンズ停止中でも合焦していないとき(S503:YES、S505:NO)、またはレンズ停止中ではないとき(S503:NO)、デフォーカス量に基づいてパルス数計算を行って(S511)、ステップS519のレンズ駆動開始処理に進む。
【0081】
ステップS511のパルス数計算は、例えば、計算パルス数、レンズ停止中の設定パルス数、レンズ駆動中の設定パルス数計算を含む。計算パルス数は、デフォーカス量×KFPにより演算される。KFPは、装着された撮影レンズ101において像面1mm(デフォーカス量1mm)動かすためのパルス数であって、レンズCPU107に記録されており、レンズCPU107は撮影距離に応じたKFPをカメラCPU31に送信する。
レンズ停止中の設定パルス数は、下記式により演算される。
設定パルス数=計算パルス数−現在パルス数
現在パルス数=積分中点パルスカウント−現在パルスカウント
積分中点パルスカウント=(積分開始パルスカウント+積分終了パルスカウント)/2
【0082】
焦点検出演算OKではないとき(S501:NO)、連続撮影フラグに“1”がセットされているか否かチェックし(S513)、連続撮影フラグに“1”がセットされているとき(連続撮影中のとき)(S513:YES)、パルス数を初期化し(S527)、レリーズを許可して(S529)リターンする(RET)。連続撮影中の場合は、合焦しているか否かに係わらず、レリーズ動作が可能になる。
【0083】
連続撮影フラグに“1”がセットされていないとき(連続撮影中ではないとき)(S513:NO)、レンズ停止中か否かチェックし(S515)、停止中のとき(S515:YES)、最大パルス数をセットしてから(S517)ステップS519に進み、レンズ停止中ではないとき(S515:NO)そのままステップS519のレンズ駆動開始処理に進む。
ステップS517の最大パルス数は、焦点調節レンズ群102を至近端から無限端まで駆動するのに必要なパルス数である。
【0084】
ステップS519のレンズ駆動開始処理は、ステップS511で再計算されたパルス数、またはS519でセットされた最大パルス数に基づいてAFモータ33の駆動を開始する処理である。
【0085】
レンズ駆動を開始すると、レンズ駆動チェック(S521)を行い、連続撮影フラグに“1”がセットされているか否かチェックし(S523)、“1”がセットされているが(S523:YES)、レリーズが許可されていないとき(S525:NO)、レンズ駆動チェック(S521)を繰り返し、連続撮影フラグに“1”がセットされていないとき(S523:NO)、または1”がセットされ(S523:YES)かつレリーズが許可されたとき(S525:YES)リターンする(RET)。ステップS521のレンズ駆動チェックの詳細は、
図9のレンズ駆動チェック処理である。
【0086】
ステップS519のレンズ駆動開始処理の詳細について、
図12のフローチャートを参照して説明する。レンズ駆動開始処理に入ると、先ずパルス数を設定する(S601)。
【0087】
レンズ停止中か否かチェックし(S603)、レンズ停止中のとき(S603:YES)、レンズ駆動を開始し(S605)、パルスカウントを開始して(S613)リターンする(RET)。ここでパルスカウントは、カウンタ31dにセットしたパルス数のダウンカウントである。
【0088】
レンズ停止中ではないとき(S603:NO)、ミラーアップ動作中か否かチェックする(S607)。
ミラーアップ動作中のとき(S607:YES)、またはミラーアップ動作中ではないが(S607:NO)、焦点検出演算OKのとき(S609:YES)、パルスカウントを初期化してから(S611)パルスカウントを開始し(S613)、リターンする(RET)。
ミラーアップ動作中ではなく(S607:NO)、かつ焦点検出演算OKではないとき(S609:NO)、そのままリターンする(RET)。
【0089】
次に、
図7のステップS103ないしS107のループ処理中に割り込みで入るレリーズチェック処理及びレリーズ動作処理について、さらに
図13及び
図14を参照して説明する。
【0090】
レリーズチェック処理は、スタート処理中に割り込む割り込み処理である。レリーズチェック処理に入ると、先ず、レリーズスイッチSWRがオンしているか否かチェックする(S701)。レリーズスイッチSWRがオンしていないとき(S701:NO)、連続撮影フラグに“0”をセットし(S713)、割り込んだときの戻り番地(リターンする番地)をセットして(S723)その戻り番地にリターンする(RET)。
【0091】
レリーズスイッチSWRがオンしているとき(S701:YES)、レリーズが許可されているか否かチェックし(S703)、レリーズが許可されていないとき(S703:NO)、連続撮影フラグの状態を保持し(S715)、割り込んだときの戻り番地(リターンする番地)をセットして(S723)その戻り番地にリターンする(RET)。
【0092】
レリーズが許可されているとき(S703:YES)、レリーズ動作を実行してイメージセンサ45が撮像動作する(S705)。その後、焦点検出センサ61を初期化し(S707)、レリーズスイッチSWRがオンしているか否かチェックする(S709)。レリーズスイッチSWRがオンしていないとき(S709:NO)、連続撮影フラグに“0”をセットし(S713)、割り込んだときの戻り番地(リターンする番地)をセットして(S723)その戻り番地にリターンする(RET)。レリーズスイッチSWRがオンしているとき(S709:YES)、連続撮影フラグに“1”をセットして(S711)連続撮影を継続する。
【0093】
次にレンズ停止中か否かチェックし(S717)、レンズ停止中ではないとき(S717:NO)レンズ駆動を停止し(S719)、レリーズを禁止して(S721)ステップS723に進み、レンズ停止中のとき(S717:YES)、レリーズを禁止して(S721)ステップS723に進み、割り込んだときの戻り番地(リターンする番地)をセットして(S723)その戻り番地にリターンする(RET)。
【0094】
ステップS705のレリーズ動作の詳細について、
図14に示したフローチャートを参照して説明する。レリーズ動作に入ると、絞り値Av及び露光時間(シャッタ速度)を設定し(S801)、ミラーモータ25を駆動してミラーアップ動作を開始し(S803)、ミラーアップ中駆動パルス数を設定し(S805)、レンズ駆動開始処理を行う(S807)。このレンズ駆動開始処理は、
図12に示したレンズ駆動開始処理である。
【0095】
レンズ駆動開始処理からリターンすると、ミラーアップが完了したか否かチェックし(S809)、完了していないとき(S809:NO)、ミラーアップ完了チェックを繰り返す(S809:NO、S809)。
【0096】
ミラーアップが完了すると(S809:YES)、レンズ停止中か否かチェックし(S811)、レンズ停止中のとき(S811:YES)直ちに露光を開始し(S815)、レンズ停止中ではないとき(S811:NO)、レンズ駆動を停止して(S813)露光を開始する(S815)。露光を開始すると、露光が完了するのを待つ(S815:NO、S815)。露光が完了すると(S815:YES)、ミラーモータ25を駆動してミラーダウンを開始し(S819)、ミラーダウン駆動中パルス数を設定し(S819)、レンズ駆動開始処理を実行して(S823)、ミラーダウン完了チェックを繰り返す(S825:NO、S825)。ミラーダウンが完了すると(S825:YES)、リターンする(RET)。
【0097】
本実施形態によれば、自動選択モードで連続撮影するとき、最長積分時間がフォーカス優先モードの256msより短く、レリーズ優先モードの8msより長い32msに設定され、最長積分時間に応じたゲインが設定されるので、低輝度でもデフォーカス量を求めることが可能であり、且つコマ速低下を最小限に抑えることができる。
【0098】
以上本実施形態は、最長積分時間を、フォーカス優先モードでは256ms、レリーズ優先モードでは8ms、自動選択モードでは32msに設定し、ゲインを1乃至16倍の間で設定したが、本発明はこれらの値に限定されない。
【0099】
以上の実施形態では、
ミラー13を有する一眼レフカメラを例示して説明したが、本発明はミラーを有しないカメラにも適用可能である。
【0100】
以上の実施形態では、カメラボディ11と撮影レンズ101を着脱可能(レンズ交換可能)とする態様を例示して説明したが、カメラボディ11と撮影レンズ101を着脱不能(レンズ交換不能)とする態様も可能である。