(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記監視センタが、前記指令を送信後、前記ネットワークカメラから所定時間内に応答が無い場合に前記レーザセンサ部を異常と判定し、アラームを発することを特徴とする請求項1に記載の死活監視システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という)について詳細に説明する。なお、本実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0013】
<車両情報検出システム1の構成>
図1は、本実施形態による死活監視システム2を含む車両情報検出システム1の構成図であり、
図2は、
図1の車両情報検出システム1を上面から見たイメージ図である。
【0014】
図1に示すように本実施形態の車両情報検出システム1は、端末装置10と、ネットワーク30およびルータ22を経由して接続される監視センタ(以降、監視サーバという)21とを備える。
【0015】
<端末装置10>
端末装置10は、路側帯に設けられた支柱に設置されるレーザセンサ部(以降、レーザスキャナセンサという)12と、制御部13と、ネットワークカメラ14とを備えている。
【0016】
車両11は、例えば、高速道路の走行車線TL1を走行する自動車である。
図2では、片側2車線の高速道路の走行車線TL1と追い越し車線TL2とを想定して描いており、両車線は、例えば、車両進行方向に沿って12m間隔t
2で引かれた長さ8.0m車線境界線t
1によって区分されている。
【0017】
<レーザスキャナセンサ12>
レーザスキャナセンサ12は、光源から照射される光の反射光を検知して所定の領域を通過する車両の有無を検出するセンサである。レーザスキャナセンサ12は、走行車線TL1を走行中の車両11に対し、発光ビームを照射し、その反射光を検知し、制御部13を介して所定の領域を通過する車両11の有無を検出する。
【0018】
ここで、所定の領域とは、レーザスキャナセンサ12によって照射される車線の車幅全体に対して設定される複数の監視領域のことをいう。本実施形態の車両情報検出システム1によれば、例えば、2つの監視領域に区分し、それぞれを車両進行方向手前側の第1監視領域E1と車両進行方向奥側の第2監視領域E2とする。第1監視領域E1は、車両11の速度を検出するための領域であり、第2監視領域E2は、レーザスキャナセンサ12のスキャニング遅延時間(時間差)を考慮して決定される領域である。本実施形態では、例えば、第1監視領域E1の長さl
1を5m、第2監視領域E2の長さl
2を0.5mにそれぞれ設定することができる。前者は、車両11の長さを考慮して所望の距離に設定しておく。また、後者は連続する車両同士の車間距離を考慮して所望の距離に設定してよい。車両11が第1監視領域E1を通過する場合、進行方向に対して、第1監視領域E1の先端から第2監視領域E2の先端までに差しかかったことを検知し、後述する制御部13が、時間と距離のデータから速度のデータを求める。
【0019】
また、本実施形態の車両情報検出システム1において、
図1に示すようにレーザスキャナセンサ12は、風や車両11の走行などにより振動する路面を移動体として検出する影響を避けるべく、路面に対して所定の高さ(第1監視領域E1及び第2監視領域E2の検出高さ)に設置される。所定の高さは、設置条件に応じて設定することができるが、例えば路面から1.2m程度が好ましい。
【0020】
<制御部13>
制御部13は、後述するフラグを監視することにより、車両11が、進行方向に沿ってそれぞれ設定される、速度検出に要する第1監視領域E1に進入してから、レーザセンサ部12の応答遅延時間によって決まる第2監視領域E2に進入するまでの時間を計測して車両11の渋滞検出を行なう。また、制御部13は、レーザセンサ部12の出力に基づき、車両11の検出を行う。制御部13は、
図3に示すように、選択回路131と、渋滞検出部132と、車両検出部133と、OR回路134とにより構成される。選択回路131は、後述するように、死活監視手段として機能する。
【0021】
選択回路131は、監視サーバ21による制御の下でネットワークカメラ14の出力に基づき、渋滞検出部132による渋滞検出機能、または車両検出部133による車両検出機能の動作モード切替えを行う。
【0022】
渋滞検出部132は、一定速度以下で走行する車両を検出する機能を有する。すなわち、選択回路131により渋滞検出部132が選択されると、渋滞検出部132は、予め設定された所定時間に所定速度以下で通過する車両11を所定台数以上検知した場合に、渋滞と判断する。
【0023】
車両検出部133は、車両速度に関わらず監視領域を通過する車両の全てを検知し、その検知情報を監視サーバ21へ出力する機能を有する。すなわち、選択回路131により車両検出部133が選択されると、車両検出部133は、第2監視領域を進入した車両11を全て検知し、ネットワークカメラ14によって撮像される車両11の画像を監視サーバ21へ出力する。
【0024】
<ネットワークカメラ14>
説明を
図1に戻す。ネットワークカメラ14は、制御部13に接続され、通過する車両11を撮像する。ネットワークカメラ14は、レーザスキャナセンサ12が、車両11が第2監視領域E2へ進入したことを検知すると、制御部13による制御の下で起動され、タイマにより計測された時間が通過時間閾値以上であると判定された場合に、通過する車両11の撮像を開始する。そして撮像により得られた画像を制御部13経由で監視サーバ21へ送信する。
【0025】
<死活監視システム2>
監視サーバ21は、ネットワークカメラ14経由で制御部13と通信を行なうことにより、レーザスキャナセンサの死活監視を行う。また、監視サーバ21には、表示部21aが接続されており、ネットワークカメラ14により撮像された画像を表示する。すなわち、監視サーバ21は、ネットワークカメラ14経由で端末装置10の制御部13に対し、車両検出と渋滞検出の切り替え指令を送信する。これを受けて端末装置10の制御部13は、選択回路131を制御することにより、渋滞検出部132による渋滞検出から車両検出部133による車両検出に動作切り替えを行い、ネットワークカメラ14により撮像された画像とともに車両検出の結果を監視サーバ21へ送信する。
【0026】
図4は、
図3の渋滞検出部132の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、渋滞検出部132は、設定手段135と、監視手段136と、比較手段137と、速度算出手段138とにより構成される。
【0027】
設定手段135は、車両進行方向に沿って設定される第1監視領域E1と第2監視領域E2の距離、及び第1監視領域E1の通過時間閾値を取り込み比較手段137へ出力する。監視手段136は、レーザスキャナセンサ12により車両の第1監視領域E1への進入が検知されると、内蔵するタイマによる計測を開始するとともに、フラグF1をONする。続いて第2監視領域E2への進入が検知するとともに、フラグF2をONにし、タイマによる計測を停止させ、その時のタイマ計測値を比較手段137へ出力する。比較手段137は、監視手段136から出力されるタイマ計測値と、設定手段135から出力される通過時間閾値とを比較し、その比較結果を速度算出手段138へ出力する。速度算出手段138は、比較手段137により、タイマ計測値が通過時間閾値以上であると判定された場合に、設定手段135により設定された第1、第2監視領域E2の距離と、タイマ計測値とから車両の速度を検出する。
【0028】
以下、
図5以降のフローチャートを参照しながら本実施形態の車両情報検出システムの動作について詳細に説明する。
【0029】
図5は、本実施形態による車両情報検出システム1の渋滞検出処理動作を示すフローチャートである。
図5において、制御部13は、予め管理者により設定される第1監視領域および第2監視領域の長さ(距離)の設定データの取り込みを行う(ステップS101)。次に、第1監視領域の通過時間閾値の設定データの取り込みを行う(ステップS102)。なお、第1監視領域の長さ(距離)は、制御部13が速度検出に要する時間に依存して決定され、第2監視領域の長さ(距離)は、レーザスキャナセンサ12の応答遅延時間に依存して決定される。制御部13は、内蔵のフラグあるいは、記憶部の所定の領域に割り付けられたフラグをON/OFFすることにより、車両11の第1、第2監視領域の進入を監視する。即ち、車両11は第1監視領域へ進入するとフラグF1をセットし、第2監視領域へ進入するとフラグF2をセットする。
【0030】
制御部13は、上記した準備作業の後、レーザスキャナセンサ12を起動して監視を開始する(ステップS103)。制御部13は、レーザスキャナセンサ12により車両の先端部分が第1監視領域へ進入したことが検知されると、第1監視領域を通過したと判定する(ステップS104“YES”)。
【0031】
制御部13は、車両11が第1監視領域を通過したことを検知すると、フラグF1をONするとともに、監視手段136を起動して内蔵するタイマによる時間監視を開始する(ステップS105)。そして、レーザスキャナセンサ12により車両の先端が第2監視領域に進入したことにより車両11が第2監視領域を通過したことを検知する(ステップS106“YES”)。なお、ステップS104、あるいはS106において、第1監視領域の通過が検出されなかった場合(ステップS104“NO”)、あるいは第2監視領域の通過が検出されなかった場合(ステップS106“NO”)は、いずれもステップS104の処理に戻る。
【0032】
制御部13は、車両11が第2監視領域を通過すると、フラグF2をONするとともに、タイマによるカウントを停止する(ステップS107)。
【0033】
続いて、制御部13は、タイマ値(車両11が第1監視領域を通過してから第2監視領域を通過するまでの時間)と、予め設定した通過時間閾値とを比較する(ステップS108)。ここで、タイマ値が、通過時間閾値以上の場合(ステップS108“YES”)、制御部13は、車両11の速度を算出(ステップS109)する。なお、速度算出は、予め設定された第1監視領域と第2監視領域の距離とタイマ値とにより求めることができる。そして制御部13は、内蔵するタイマをリセットする(ステップS110)。なお、タイマ値が通過時間閾値未満の場合(ステップS108“NO”)、制御部13は、速度算出動作を終了する。
【0034】
図6に監視領域進入時におけるフラグの状態遷移が示されている。
図6に示すように、車両11が第1監視領域E1及び第2監視領域E2の進入前は、第1監視領域E1のフラグF1及び第2監視領域E2のフラグF2は共にOFFになっている(S1)。車両11が第1監視領域E1に進入すると、車両11の先端部分が第1監視領域E1に差しかかるとき、第1監視領域E1のフラグF1がONとなる(S2)。そして、車両11が第2監視領域E2に進入するまで、第1監視領域E1のフラグF1はONのままとなる(S3)。次に、車両11が第2監視領域E2に進入すると、車両11の先端部分が第2監視領域E2に差しかかるとき、第1監視領域E1のフラグF1がONからOFFに切り替わり、第2監視領域E2のフラグF2がOFFからONに切り替わる(S4)。そして、車両11が第2監視領域E2を通過するまで、第2監視領域E2のフラグF2はONのままとなる(S5、S6)。次に、第2監視領域E2のフラグF2は、車両11の後端部分が第2監視領域E2を通過すると、第2監視領域E2のフラグF2はOFFに切り替わる(S7)。
【0035】
なお、第1の車両11が第2監視領域E2通過後、第2の車両11’が第1監視領域E1に進入したときは、フラグF1,F2共にONとなる(S8)。第1の車両11が第1監視領域E1を通過し、第2監視領域E2に進入すると第1監視領域E1のフラグF1が一旦OFFとなっているため、制御部13は、第2の車両11’を別の車両であると判断することが可能となる。
【0036】
説明を
図5に戻す。制御部13は、算出された車両11の速度情報を図示省略したメモリに記憶(ステップS111)し、後続車両があれば(ステップS112“YES”)、再びタイマによる通過車両の監視を再開する。なお、後続車両がいない場合(ステップS112“NO”)は、通過車両の監視を終了する。なお、制御部13は、通常、レーザスキャナセンサ12を用いて第1監視領域、第2監視領域の順に通過車両の検出を行うが、第2監視領域、第1監視領域の順に通過車両が検出された場合、逆走と判断し、速度算出は行なわない。
【0037】
続いて制御部13は、算出された車両の速度情報に基づき渋滞の有無の判断を行う。制御部13は、メモリに時系列で記憶された通過車両の速度情報ならびに画像を取得し、渋滞検知の監視サイクル(例えば、1分間隔)が到来すると(ステップS113“YES”)、監視サイクル分の通過車両の速度情報ならびに画像を読み出す(ステップS114)。
【0038】
続いて制御部13は、その中から、予め設定された所定時間に所定速度以下(1分間に時速40km/h以下)で通過する車両11を所定台数以上(少なくとも4台以上)検知した場合に(ステップS115“YES”)、渋滞と判断する。そして、制御部13は、ネットワークカメラ14へ画像転送を指示し、ネットワークカメラ14により取得された画像を監視サーバ21に送信し、表示部21aに渋滞状況の画像を表示する(ステップS116)。なお、制御部13は、1分間に時速40km/h未満の車両11を少なくとも4台以上検知しない場合(ステップS115“NO”)、渋滞なしと判断する。
【0039】
次に、
図7のフローチャートを参照しながら本実施形態の死活監視システム2によるレーザスキャナセンサ12の死活監視処理動作について説明する。なお、通常動作時、制御部13は、渋滞検出部132による渋滞検出処理を選択して、一定速度以下で走行する車両を検出している。
図7に示すように、監視サーバ21は、制御部13による渋滞検出機能実行から車両検出機能実行に切替えるにあたり、管理者の手入力での切り替え指示、あるいは予め設定したある一定周期での死活監視タイミングで自動的に行うものとする。
【0040】
図7において、まず、死活監視タイミングが到来するか、管理者による切り替え指示があると(ステップS201“YES”)、監視サーバ21は、端末装置(制御部13)に対し、ネットワークカメラ14経由で切り替え指令を送信する(ステップS202)。なお、管理者による切り替え指示がない場合、あるいは死活監視タイミングでない場合は(ステップS201“NO”)、待ち状態となりステップS201の処理に戻る。
【0041】
監視サーバ21からネットワークカメラ14経由で切り替え指示を受信した端末装置10(制御部13)は、車両検出部133の動作モードを、渋滞検出から車両検出に切替える。すなわち、選択回路131が車両検出部133を選択し、OR回路134経由で車両検出結果を監視サーバ21へ送信する。このとき、監視サーバ21は、ネットワークカメラ14経由で送信される車両検出結果が所定時間内に受信できるか否かを監視しており(ステップS203)、所定時間内に車両情報の送信があった場合(ステップS203“YES”)、レーザスキャナセンサ12の動作は正常であると判定する。また、監視サーバ21は、切り替え指令を送信し、送信後、制御部13からネットワークカメラ14か経由で所定時間内に車両情報の送信がない場合(ステップS203“NO”)、レーザスキャナセンサ12が異常であると判定し(ステップS204)、故障発生のアラームを出力して管理者にレーザスキャナセンサ12の交換、または修理を促す(ステップS205)。
【0042】
以上説明のように本実施形態の死活監視システム2によれば、監視サーバ21が、端末装置10に対し、ネットワークカメラ14経由で動作モードの切り替え指令(渋滞検出部132から車両検出部133へ)を送信し、車両検出情報の到来を待ってレーザスキャナセンサ12の死活監視を行う。したがって、任意、あるいは定期的にセンサの死活監視を行なうことでセンサの故障状況を確実に検出することができる。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。