【実施例】
【0029】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1〜6、および比較例1〜5〕
表1(実施例1〜6)および表2(比較例1〜5)に示す配合比率で、常法に従って、化粧水の皮膚外用剤を調製した。
得られた皮膚外用剤を用いて、下記の5項目について下記の方法により評価を行った。結果を表1および表2に示す。
【0030】
(1)肌へのなじみ性
20名の女性(30〜48歳)をパネラーとし、各パネラーが皮膚外用剤を全顔に使用した際の感触について下記のように判定した。
2点:肌へのなじみが明らかに良いと感じた場合。
1点:肌へのなじみがやや良いと感じた場合。
0点:肌へのなじみが悪いと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
◎:合計点が35点以上であり、かつ0点であると判定したパネラーが0人である。:肌へのなじみ性が非常に良い皮膚外用剤である。
○:合計点が25点以上35点未満、または合計点が35点以上であり、かつ0点であると判定したパネラーが1人以上2人以下である。:肌へのなじみ性が良い皮膚外用剤である。
△:合計点が15点以上25点未満である。:肌へのなじみ性がやや良い皮膚外用剤である。
×:合計点が15点未満である。:肌へのなじみ性が悪い皮膚外用剤である。
【0031】
(2)保湿効果の持続性
20名の女性(30〜48歳)をパネラーとし、各パネラーが皮膚外用剤を冬(2月)の朝、全顔に使用した後、その日の夕方の肌の状態について下記のように判定した。
2点:保湿感があると感じた場合。
1点:保湿感がややあると感じた場合。
0点:保湿感がないと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
◎:合計点が35点以上であり、かつ0点であると判定したパネラーが0人である。:非常に保湿効果の高い皮膚外用剤である。
○:合計点が25点以上35点未満、または合計点が35点以上であり、かつ0点であると判定したパネラーが1人以上2人以下である。:保湿効果の高い皮膚外用剤である。
△:合計点が15点以上25点未満である。:やや保湿効果の高い皮膚外用剤である。
×:合計点が15点未満である。:保湿効果の低い皮膚外用剤である。
【0032】
(3)シワ改善効果(シワ改善率)
目尻にシワがある22名の女性(30〜65歳)をパネラーとし、各パネラーが皮膚外用剤を1日2回ずつ連続3ヶ月間、目尻に使用し、3ヶ月後の目尻のシワの状態について下記のように評価した。
皮膚外用剤の使用開始前と3ヶ月間の連用塗布後の目尻のシワ(同一部位)について、軽く目を閉じた状態での目の際から約5mm離れた部位から10×10mm以上の範囲でシワレプリカ(有限会社アサヒバイオメッド製「シリコンASB−01−W」)を採取した。採取したシワレプリカについて三次元解析(GFM社製「PRIMOS(付属のソフトウェアを含む)」)を実施し、最大シワ平均深さ(μm、解析範囲に存在する最大体積をもつシワに対する平均深さ)を算出した。
使用開始前のシワレプリカと3ヶ月間の連用塗布後のシワレプリカは、自動位置合わせ機能により形状のマッチングを実施した。得られた最大シワ平均深さから、下記の式よりシワ改善率を算出した。なお、表1および表2中のシワ改善率はパネラー22名の平均値である。
【0033】
シワ改善率(%)=(皮膚外用剤使用開始前の最大シワ平均深さ−皮膚外用剤3ヶ月間の連用塗布後の最大シワ平均深さ)/皮膚外用剤使用開始前の最大シワ平均深さ×100
◎:シワ改善率35%以上:非常に優れたシワ改善効果を有する皮膚外用剤である。
○:シワ改善率20%以上35%未満:優れたシワ改善効果を有する皮膚外用剤である。
△:シワ改善率5%以上20%未満:わずかにシワ改善効果を有する皮膚外用剤である。
×:シワ改善率5%未満:シワ改善効果を有しない皮膚外用剤である。
【0034】
(4)肌のキメを整える効果
20名の女性(30〜48歳)をパネラーとし、各パネラーが皮膚外用剤を1日2回ずつ連続1ヶ月間、全顔に使用し、1ヶ月後の肌の状態について下記のように判定した。
2点:肌のキメが明らかに整ったと感じた場合。
1点:肌のキメがやや整ったと感じた場合。
0点:肌のキメを整える効果が見られないと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
◎:合計点が35点以上であり、かつ0点であると判定したパネラーが0人である。:肌のキメを整える効果が非常に優れた皮膚外用剤である。
○:合計点が25点以上35点未満、または合計点が35点以上であり、かつ0点であると判定したパネラーが1人以上2人以下である。:肌のキメを整える効果が優れた皮膚外用剤である。
△:合計点が15点以上25点未満である。:肌のキメを整える効果をわずかに有する皮膚外用剤である。
×:合計点が15点未満である。:肌のキメを整える効果を有しない皮膚外用剤である。
【0035】
(5)ポルフィリン産生抑制効果(ポルフィリン減少率)
20名の女性(30〜48歳)をパネラーとし、各パネラーが洗顔した後に皮膚外用剤を1日2回ずつ連続4週間、全顔に使用した。試験開始前および試験終了後に、コスメティック用全顔撮影装置(Facial Stage DM−3、ショットモリテックス(株)製)で、全顔をブラックライト撮影し、肉眼では見えずに、肌に潜在しているポルフィリンの状態について評価した。画像解析法にてポルフィリン由来の蛍光(赤色蛍光点数)を計測し、ポルフィリン減少率を下記の式より算出した。なお、表1および表2中のポルフィリン減少率はパネラー20名の平均値である。
【0036】
ポルフィリン減少率(%)=(1−皮膚外用剤4週間の連用塗布後の赤色蛍光点数/皮膚外用剤使用開始前の赤色蛍光点数)×100
◎:ポルフィリン減少率30%以上:非常に優れたポルフィリン産生抑制効果を有する皮膚外用剤である。
○:ポルフィリン減少率15%以上30%未満:優れたポルフィリン産生抑制効果を有する皮膚外用剤である。
△:ポルフィリン減少率6%以上15%未満:わずかにポルフィリン産生抑制効果を有する皮膚外用剤である。
×:ポルフィリン減少率6%未満:ポルフィリン産生抑制効果を有しない皮膚外用剤である。
【0037】
【表1】
【0038】
1)日油株式会社製「CyPA−ET」:大豆リン脂質由来脂肪酸のアシル基である1−アシル−2,3−環状ホスファチジン酸を4質量%、エタノールを40質量%含有する水溶液。なお、表中の(製品)の数値は製品である「CyPA−ET」の濃度を表す。
2)日油株式会社製「CyPA−PW」:大豆リン脂質由来脂肪酸のアシル基である1−アシル−2,3−環状ホスファチジン酸を10質量%、シクロデキストリンを50質量%含有する粉末。なお、表中の(製品)の数値は製品である「CyPA−PW」の濃度を表す。
【0039】
【表2】
【0040】
1)日油株式会社製「CyPA−PW」:大豆リン脂質由来脂肪酸のアシル基である1−アシル−2,3−環状ホスファチジン酸を10質量%、シクロデキストリンを50質量%含有する粉末。なお、表中の(製品)の数値は製品である「CyPA−PW」の濃度を表す。
【0041】
表1に示す実施例1〜6の結果から、本発明の皮膚外用剤に係る化粧水はいずれも、肌へのなじみ性が良く、保湿効果の持続性、シワ改善効果、肌のキメを整える効果に優れると共に、ポルフィリン産生抑制効果に優れていることが理解できる。
一方、比較例1〜5では十分な性能が得られていない。
具体的には、比較例1では、(b)および(c)成分が含まれていないので、保湿効果の持続性、シワ改善効果が若干しか得られておらず、肌へのなじみ性が不良であり、肌のキメを整える効果、ポルフィリン産生抑制効果が得られていない。
比較例2では、(a)成分が含まれていないので、肌へのなじみ性は認められるものの、ポルフィリン産生抑制効果は若干しか得られておらず、保湿効果の持続性、シワ改善効果、肌のキメを整える効果は得られていない。
比較例3では、(b)成分が含まれていないので、肌へのなじみ性、保湿効果の持続性、シワ改善効果、肌のキメを整える効果、ポルフィリン産生抑制効果は若干しか得られていない。
比較例4では、(c)成分が含まれていないので、肌へのなじみ性、保湿効果の持続性、シワ改善効果は認められるものの、肌のキメを整える効果、ポルフィリン産生抑制効果は若干しか得られていない。
比較例5では、(b)成分の代わりに1,3−ブタンジオールとジプロピレングリコールを配合しているので、肌へのなじみ性は認められるものの、保湿効果の持続性、シワ改善効果、肌のキメを整える効果、ポルフィリン産生抑制効果は若干しか得られていない。
【0042】
〔実施例7〕
表3に示す配合比率で、常法に従って、水中油型乳液の皮膚外用剤を調製した。
得られた皮膚外用剤を用いて、上記実施例と同様の方法により5項目について評価を行った。結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
1)日油株式会社製「CyPA−PW」:大豆リン脂質由来脂肪酸のアシル基である1−アシル−2,3−環状ホスファチジン酸を10質量%、シクロデキストリンを50質量%含有する粉末。なお、表中の(製品)の数値は製品である「CyPA−PW」の濃度を表す。
2)大日本製薬株式会社製「エコガーム」
3)BF−Goodrich社製「カーボポール940」
【0045】
表3に示す実施例7の結果から、本発明の皮膚外用剤に係る乳液は、肌へのなじみ性が良く、保湿効果の持続性、シワ改善効果、肌のキメを整える効果に優れると共に、ポルフィリン産生抑制効果に優れていることが理解できる。
【0046】
〔実施例8〕
表4に示す配合比率で、常法に従って、水中油型クリームの皮膚外用剤を調製した。
得られた皮膚外用剤を用いて、上記実施例と同様の方法により5項目について評価を行った。結果を表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
1)日油株式会社製「CyPA−PW」:大豆リン脂質由来脂肪酸のアシル基である1−アシル−2,3−環状ホスファチジン酸を10質量%、シクロデキストリンを50質量%含有する粉末。なお、表中の(製品)の数値は製品である「CyPA−PW」の濃度を表す。
【0049】
表4に示す実施例8の結果から、本発明の皮膚外用剤に係るクリームは、肌へのなじみ性が良く、保湿効果の持続性、シワ改善効果、肌のキメを整える効果に優れると共に、ポルフィリン産生抑制効果に優れていることが理解できる。