【実施例】
【0068】
本発明により得られる生成物の確認は下記の機器による測定により行った。
(1)融点:ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式MFB−595(JIS K0064に準拠)
(2)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
(3)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式GSX FT NMR Spectorometer
【0069】
(合成例1)9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセンの合成
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−ジヒドロキシアントラセン2.10g(10.0ミリモル)を脱気水20g中でリスラリーし、水酸化ナトリウム0.92g(23.0ミリモル)を脱気水3gに溶かした溶液を加え9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩のエンジ色の水溶液とした。この水溶液にテトラブチルアンモニウムブロミドを20mg加え氷水で冷やしつつ、得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム水溶液に、塩化n−ヘキサノイル2.96g(22.0ミリモル)をトルエン20gに溶かした溶液を添加した。添加後、2時間撹拌し水層を分離した。ついで、トルエン層を水10mlで2回洗浄した後、メタノール40ml加え、濃縮した。析出した結晶を吸引濾過・乾燥し、9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセンの白色の結晶3.45g(8.5ミリモル)を得た。原料9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は85モル%であった。
【0070】
(1) 融点:115−117℃
(2) IR(KBr,cm
−1):2960,2946,2860,1760,1594,1462,1358,1140,1096,758.
(3)
1H―NMR(400MHz、CDCl
3):δ=0.98(t,J=8Hz,6H),1.42−1.62(m,8H),1.92−2.02(m,4H),2.92(t,J=8Hz,4H),7.45−7.56(m,4H),7.89−7.96(m,4H).
【0071】
(合成例2)9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセンの合成
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−ジヒドロキシアントラセン2.10g(10.0ミリモル)を脱気水20g中でリスラリーし、水酸化ナトリウム0.92g(23.0ミリモル)を脱気水3gに溶かした溶液を加え9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩のエンジ色の水溶液とした。この水溶液にテトラブチルアンモニウムブロミドを20mg加え氷水で冷やしつつ、塩化n−ヘプタノイル3.27g(22.0ミリモル)をトルエン20gに溶かした溶液を添加した。添加後、2時間撹拌し、水層を分離した。ついで、トルエン層を水10mlで2回洗浄した後、メタノール40ml加え、濃縮した。析出した結晶を吸引濾過・乾燥し、9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセンの白色の結晶3.39g(7.8ミリモル)を得た。原料9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は78モル%であった。
【0072】
(1) 融点:124−125℃
(2) IR(KBr、cm
−1):2930,2860,1758,1472,1418,1367,1135,1042,762,720.
(3)
1H−NMR(400MHz、CDCl
3):δ=0.96(t、J=8Hz, 6H),1.35−1.49(m,8H),1.49−1.61(m,4H),1.91−2.01(m,4H),2.91(t,J=8Hz,4H),7.48−7.57(m,4H),7.87−7.94(m,4H).
【0073】
(合成例3)9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセンの合成
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−ジヒドロキシアントラセン2.10g(10.0ミリモル)を脱気水20g中でリスラリーし、水酸化ナトリウム0.92g(23.0ミリモル)を脱気水3gに溶かした溶液を加え9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩のエンジ色の水溶液とした。この水溶液にテトラブチルアンモニウムブロミドを20mg加え氷水で冷やしつつ、塩化n−オクタノイル3.58g(22.0ミリモル)をトルエン22gに溶かした溶液を添加した。添加後、2時間撹拌し、水層を分離した。ついでトルエン層を水10mlで2回洗浄した後、メタノール40ml加え、濃縮した。析出した結晶を吸引濾過・乾燥し、9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセンの白色の結晶3.42g(7.4ミリモル)を得た。原料9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は74モル%であった。
【0074】
(1) 融点:98−99℃
(2)IR(KBr,cm
−1):2970,2925,2860,1756,1420,1370,1358,1138,1026,762.
(3)
1H―NMR(400MHz、CDCl
3):δ=0.92(t,J=8Hz,6H),1.32−1.39(m,8H),1.39−1.48(m,4H),1.48−1.58(m,4H),1.91−2.00(m,4H),2.91(t,J=8Hz,4H),7.47−7.53(m,4H),7.88−7.96(m,4H).
【0075】
(合成例4)9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセンの合成
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−ジヒドロキシアントラセン2.10g(10.0ミリモル)を脱気水20g中でリスラリーし、水酸化ナトリウム0.92g(23.0ミリモル)を脱気水3gに溶かした溶液を加え9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩のエンジ色の水溶液とした。この水溶液にテトラブチルアンモニウムブロミドを20mg加え氷水で冷やしつつ、塩化2−エチルヘキサノイル3.58g(22.0ミリモル)をトルエン22gに溶かした溶液を添加した。添加後、2時間撹拌し、水層を分離した。ついで、トルエン層を水10mlで2回洗浄した後、メタノール40ml加え、濃縮した。析出した結晶を吸引濾過・乾燥し、9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセンの白色の結晶3.60g(7.8ミリモル)を得た。原料9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は78モル%であった。
【0076】
(1) 融点:134−135℃
(2)IR(KBr,cm
−1):3065,2960,2940,2870,1760,1628,1462,1290,1280,1270,1152,1093,955,752,684.
(3)
1H―NMR(400MHz、CDCl
3):δ=1.01(t,J=8Hz,6H),1.21(t,J=8Hz,6H),1.43−1.63(m,8H),1.79−1.96(m,4H),1.96−2.11(m,4H),2.88−2.97(m,4H),7.47−7.53(m,4H),7.91−7.98(m,4H).
【0077】
(合成例5)9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセンの合成
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−ジヒドロキシアントラセン2.10g(10.0ミリモル)を脱気水20g中でリスラリーし、水酸化ナトリウム0.92g(23.0ミリモル)を脱気水3gに溶かした溶液を加え9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩のエンジ色の水溶液とした。この水溶液にテトラブチルアンモニウムブロミドを20mg加え氷水で冷やしつつ、塩化n−ノナノイル3.88g(22.0ミリモル)をトルエン22gに溶かした溶液を添加した。添加後2時間撹拌し、水層を分離した。ついで、トルエン層を水10mlで2回洗浄した後、メタノール40ml加え、濃縮した。析出した結晶を吸引濾過・乾燥し、9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセンの白色の結晶3.53g(7.2ミリモル)を得た。原料9,10−ジヒドロキシアントラセンに対する収率は72モル%であった。
【0078】
(1) 融点:96−97℃
(2)IR(KBr,cm
−1):3070,2930,2855,1755,1626,1468,1424,1362,1340,1304,1260,1216,1152,1108,760,725.
(3)
1H―NMR(400MHz、CDCl
3):δ=0.91(t,J=8Hz,6H),1.27−1.48(m,12H),1.51−1.60(m,4H),1.91−2.00(m,4H),2.92(t,J=8Hz,4H),7.47−7.53(m,4H),7.88−7.96(m,4H).
【0079】
「実施例1」
光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ(ダウ・ケミカル社製、商品名:UVR6105(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート))100重量部に対し、光カチオン重合開始剤UVI6992(S,S,S’,S’−テトラフェニル−S,S’−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウムビスヘキサフルオロフォスフェート)を4.0重量部、光カチオン重合増感剤として、合成例1と同様にして合成した9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセン0.8重量部を混合し、光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をタックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は6.0秒であった。
【0080】
「実施例2」
9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセンの代わりに合成例2と同様にして合成した9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセンを使用すること以外は実施例1と全く同様にして光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をタックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は6.0秒であった。
【0081】
「実施例3」
9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセンの代わりに合成例3と同様にして合成した9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセンを使用すること以外は実施例1と全く同様にして光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をタックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は6.0秒であった。
【0082】
「実施例4」
9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセンの代わりに合成例4と同様にして合成した9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセンを使用すること以外は実施例1と全く同様にして光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をタックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は3.0秒であった。
【0083】
「実施例5」
9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセンの代わりに合成例5と同様にして合成した9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセンを使用すること以外は実施例1と全く同様にして光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をタックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は2.0秒であった。
【0084】
「比較例1」
9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセンの代わりに9,10−ジブトキシアントラセンを使用すること以外は実施例1と全く同様にして光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をタックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は6.5秒であった。
【0085】
「比較例2」
9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセンを使用しないこと以外は実施例1と全く同様にして光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をタックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は310秒であった。
【0086】
「実施例6」
光カチオン重合開始剤としてUVI6992を4重量部用いる代わりにイルガキュア250(4-イソブチルフェニル−4’-メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート)を2.0重量部使用すること以外は実施例1と全く同様にして光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をタックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は2.0秒であった。
【0087】
「実施例7」
光カチオン重合開始剤としてUVI6992を4重量部用いる代わりにイルガキュア250(4-イソブチルフェニル−4’-メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート)を2重量部使用すること以外は実施例4と全く同様にして光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をタックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は2.0秒であった。
【0088】
「実施例8」
光カチオン重合開始剤としてUVI6992を4重量部用いる代わりにイルガキュア250(4-イソブチルフェニル−4’-メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート)を2重量部使用すること以外は実施例5と全く同様にして光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をタックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1.5秒であった。
【0089】
「比較例3」
光カチオン重合開始剤としてUVI6992を4重量部用いる代わりにイルガキュア250(4-イソブチルフェニル−4’-メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート)を2重量部使用すること以外は比較例1と全く同様にして光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をタックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は3.0秒であった。
【0090】
「比較例4」
光カチオン重合開始剤としてイルガキュア250を使用しないこと以外は比較例3と全く同様にして光カチオン重合性組成物を調製した。該組成物をタックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射したが、300秒以上照射しても全く硬化しなかった。
【0091】
実施例1〜5、比較例1,2の結果を表1に、実施例6〜8、比較例3,4の結果を表2にまとめた。
【0092】
実施例1〜5と比較例2、実施例6〜8と比較例4を比較することで明らかなように、本発明の9,10−ビス(長鎖アシルオキシ)アントラセン化合物は、光カチオン重合増感剤としての効果を有することが分かる。さらに、実施例1〜5と比較例1、実施例6〜8と比較例3を比較することで明らかなように、従来より光カチオン重合増感剤として用いられている公知の9,10−ジブトキシアントラセンと比較しても同等以上の増感性能を持つことがわかる。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
(実施例9)9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセンを光カチオン重合増感剤として用いた時の硬化物の透過度の測定
実施例4と同様にして調製した光カチオン重合性組成物を、タックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布し、その上にタックフィルムを被せた。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。光照射開始後、所定時間ごとに、タックフィルムで挟んだ光カチオン重合性組成物のUVスペクトルを測定し,400nmにおけるフィルムの透過度を求めた。その結果を
図1にプロットした。
【0096】
(実施例10)9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセンを光カチオン重合増感剤として用いた時の硬化物の透過度の測定
実施例5と同様にして調製した光カチオン重合性組成物を、タックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布し、その上にタックフィルムを被せた。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。光照射開始後、所定時間ごとに、タックフィルムで挟んだ光カチオン重合性組成物のUVスペクトルを測定し,400nmにおけるフィルムの透過度を求めた。その結果を
図1にプロットした。
【0097】
(比較例5)9,10−ジブトキシアントラセンを光カチオン重合増感剤として用いた時の硬化物の透過度の測定
比較例1と同様にして調製した光カチオン重合性組成物を、タックフィルムの上にバーコーターを用いて膜厚が30ミクロンになるように塗布し、その上にタックフィルムを被せた。ついで、表面からPhoseon社製395紫外LED(395nmの中心波長の強度は1.0W/cm
2である。)を用いて光照射した。光照射開始後、所定時間ごとに、タックフィルムで挟んだ光カチオン重合性組成物のUVスペクトルを測定し,400nmにおけるフィルムの透過度を求めた。その結果を
図1にプロットした。
【0098】
実施例9、10、比較例5の結果と
図1より明らかなように、9,10−ジブトキシアントラセンを光カチオン重合増感剤として調製した光カチオン重合性組成物の硬化物は、透過度が80%程度でとどまっているのに対して、本発明の9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセンを光カチオン重合増感剤として調製した光カチオン重合性組成物の硬化物は,400nmの透過度が90%を超えていることが分かる。このことから、本発明の9,10−ビス(長鎖アシルオキシ)アントラセン化合物を光カチオン重合増感剤として含有する光カチオン重合性組成物の光硬化物は極めて透過性が高いことがわかる。