(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
給紙されるシート材の一部を吸引し、シート材の一部を持上げる持上部と、前記持上部によって持上げられるシート材の先端を吸引してシート材の先端の姿勢を保持する保持部と、を有する吸引機構と、
前記持上部で生じる吸引力及び前記保持部で生じる吸引力の少なくとも一方を変える変更機構と、を備え、
前記変更機構は、前記シート材の坪量が小さい場合は、大きい場合と比して、前記保持部で生じる吸引力を大きくする給紙装置。
給紙されるシート材がコート紙である場合に、給紙されるシート材が普通紙である場合に比して、前記変更機構を用いることで、前記保持部で生じる吸引力が強くされる請求項3に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る給紙装置、及び画像形成装置の一例について
図1〜
図15に従って説明する。なお、図中に示す矢印Y方向は、鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印X方向は、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Z方向は、水平方向であって装置奥行を示す。
【0019】
(画像形成装置の全体構成)
画像形成装置10は、
図15に示されるように、第一筐体12と、第二筐体14と、画像形成部16と、媒体搬送部50と、後処理部60と、制御部68と、を含んで構成されている。なお、制御部68は、画像形成装置10を構成する各部(画像形成部16を構成する各部等)の制御を行うようになっている。
【0020】
また、第一筐体12と第二筐体14とは、装置幅方向に並んで配置され、連結機構44により連結されている。
【0021】
〔画像形成部16〕
画像形成部16は、第一筐体12の内部に配置され、
図14に示されるように、トナー画像を形成するトナー画像形成部20と、トナー画像形成部20で形成された画像を記録媒体としてのシート材Pに転写する転写装置30と、シート材Pに転写されたトナー画像をシート材Pに定着する定着装置40と、を含んで構成されている。なお、画像形成部16は、電子写真方式によりシート材Pに画像を形成するようになっている。
【0022】
[トナー画像形成部20]
トナー画像形成部20は、像保持体である感光体ドラム21と、帯電器22と、露光装置23と、現像装置24と、を含んで構成されている。トナー画像形成部20は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー画像形成部20が設けられている。また、各色のトナー画像形成部20は、同様の構造とされている。そして、転写装置30に備えられたる転写ベルト31の周回方向において、上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順で各色のトナー画像形成部20の感光体ドラム21が転写ベルト31と接している。そして、各色のトナー画像形成部20は、装置幅方向に並んで配置されている。なお、Y、M、C、Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y,M,C,Kを省略して記載することがある。
【0023】
感光体ドラム21は、円筒状に形成され、駆動手段(図示省略)によって自軸周りに回転駆動されるようになっている。感光体ドラム21の外周面には、一例として負の帯電極性を呈する感光層が形成されている。
【0024】
帯電器22は、感光体ドラム21の外周面(感光層)に接触して、回転する感光体ドラム21に従動回転しながら感光体ドラム21の外周面を負極性に帯電させるようになっている。
【0025】
露光装置23は、感光体ドラム21の外周面に静電潜像を形成するようになっている。具体的には、制御部68を構成する画像信号処理部から受け取った画像データに応じて、変調した露光光Lを帯電器22により帯電された感光体ドラム21の外周面に照射するようになっている。そして、露光光Lの照射により、感光体ドラム21の外周面には静電潜像が形成されるようになっている。
【0026】
本実施形態では、露光装置23は、光源(図示省略)から照射された光ビームをポリゴンミラーやFθレンズを含む光走査手段(光学系)で走査しつつ感光体ドラム21の外周面を露光する構成となっている。
【0027】
現像装置24は、トナーTとキャリアCAとを含む現像剤Gで感光体ドラム21の外周面に形成された静電潜像をトナー画像として現像することで、感光体ドラム21の外周面にトナー画像を形成するようになっている。現像装置24には、トナーTを現像装置24へ補充するための粉体収容容器39(トナーカートリッジ)が搬送路(図示省略)を介してつながっている。各色の粉体収容容器39は、露光装置23に対して上方で、装置幅方向に並んで配置されており、個別に第一筐体12に対して着脱可能(交換可能)とされている。
【0028】
転写装置30は、各色の感光体ドラム21のトナー画像が転写される無端状の転写ベルト31を備え、転写ベルト31は、複数のロール32に巻き掛けられて姿勢が決められている。本実施形態では、転写ベルト31は、正面側から見て装置幅方向に長い逆鈍角三角形状の姿勢とされている。
【0029】
複数のロール32のうちロール32Dは、モーター(図示省略)の動力により転写ベルト31を矢印A方向に周回させる駆動ロールとして機能する。また、複数のロール32のうちロール32Tは、転写ベルト31に張力を付与する張力付与ロールとして機能する。複数のロール32のうちロール32Bは、後述する二次転写ロール34の対向ロールとして機能する。
【0030】
さらに、転写ベルト31を挟んで夫々の感光体ドラム21の反対側には、感光体ドラム21の外周面に形成されるトナー画像を転写ベルト31に転写する一次転写ロール33が夫々配置されている。
【0031】
また、転写ベルト31の鈍角を成す下端側の頂部には、転写ベルト31に転写されたトナー画像をシート材Pに転写する二次転写ロール34が接触しており、転写ベルト31と二次転写ロール34とで転写ニップNTが形成されている。
【0032】
定着装置40は、転写装置30においてトナー画像が転写されたシート材Pに、トナー画像を定着させるようになっている。本実施形態では、定着装置40は、定着ベルト46と加圧ロール42とで構成される定着ニップNFにおいてトナー画像を加熱しつつ加圧することで、トナー画像をシート材Pに定着するようになっている。
【0033】
〔媒体搬送部50〕
媒体搬送部50は、
図15に示されるように、画像形成部16にシート材Pを供給する媒体供給部52と、画像が形成されたシート材Pを排出する媒体排出部54と、を含んで構成されている。さらに、媒体搬送部50は、シート材Pの両面に画像を形成させる際に用いられる媒体戻し部58と、転写装置30から定着装置40までシート材Pを搬送する中間搬送部59と、を含んで構成されている。
【0034】
媒体供給部52は、シート材Pが積載される給紙装置70を備えている。そして、転写ニップNTでの転写タイミングに合わせて給紙装置70に積載されるシート材が1枚ずつ転写ニップNTへ給紙されるようになっている。なお、給紙装置70については、詳細を後述する。
【0035】
これに対して、媒体排出部54は、定着装置40にてトナー画像が定着されたシート材Pを装置外に排出するようになっている。さらに、媒体戻し部58は、一方の面にトナー画像が定着されたシート材Pの他方の面に画像を形成する際に、シート材Pを表裏反転して画像形成部16(媒体供給部52)に戻すようになっている。
【0036】
〔後処理部60〕
後処理部60は、
図15に示されるように、第二筐体14の内部に配置され、画像が形成されたシート材Pを冷却する媒体冷却部62と、シート材Pの湾曲を矯正する矯正装置64と、画像を検査する画像検査部66と、を含んで構成されている。
【0037】
そして、後処理部60を構成する各部は、媒体搬送部50の媒体排出部54中に配置され、媒体冷却部62、矯正装置64及び画像検査部66は、シート材Pの排出方向の上流側からこの順で配置されている。
【0038】
(画像形成動作)
次に、画像形成装置10によるシート材Pへの画像形成工程、及び後処理工程の概要について説明する。
【0039】
画像形成指令を受けた制御部68は、トナー画像形成部20、転写装置30及び定着装置40を作動させる。これにより、感光体ドラム21及び現像装置24に備えられたる現像ロール(符号省略)が回転され、転写ベルト31が周回される。さらに、加圧ロール42が回転される共に、定着ベルト46が周回される。そして、これらの動作に同期して、制御部68は、媒体搬送部50等を作動させる。
【0040】
これにより、各色の感光体ドラム21は、回転しながら帯電器22によって帯電される。また、制御部68は、画像信号処理部で画像処理が施された画像データを、各色の露光装置23に送る。各色の露光装置23は、画像データに応じて各色の露光光Lを出射して、帯電した各色の感光体ドラム21に露光する。そして、各色の感光体ドラム21の外周面に静電潜像が形成される。各色の感光体ドラム21に形成された静電潜像は、現像装置24から供給される現像剤Gによってトナー画像として現像される。これにより、各色の感光体ドラム21には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のうち、対応する色のトナー画像が形成される。
【0041】
さらに、各色の感光体ドラム21に形成された各色のトナー画像は、各色の一次転写ロール33によって周回する転写ベルト31に順次転写される。これにより、転写ベルト31には、4色分のトナー画像が重畳された重畳トナー画像が形成される。この重畳トナー画像は、転写ベルト31の周回によって転写ニップNTに搬送される。この転写ニップNTには、この重畳トナー画像の搬送にタイミングを合わせるように、媒体供給部52によりシート材Pが供給される。この転写ニップNTにおいて二次転写ロール34に転写電圧が印加されることで、転写ベルト31からトナー画像がシート材Pに転写される。
【0042】
トナー画像が転写されたシート材Pは、中間搬送部59によって転写装置30の転写ニップNTから定着装置40の定着ニップNFに向けて、負圧吸引されながら搬送される。定着装置40は、定着ニップNFを通過するシート材Pに熱及び加圧力(定着エネルギー)を付与する。これにより、シート材Pに転写されたトナー画像がシート材Pに定着される。
【0043】
定着装置40から排出されたシート材Pは、媒体排出部54によって装置外の排出媒体受け部に向けて搬送されつつ、後処理部60により処理が施される。定着装置40により加熱されたシート材Pは、まず媒体冷却部62において冷却される。次に、シート材Pは、矯正装置64によって湾曲が矯正される。さらに、シート材Pに定着されたトナー画像は、画像検査部66によって、トナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等の有無や程度が検出される。そして、シート材Pは、媒体排出部54によって第二筐体14の外部に排出される。
【0044】
一方、シート材Pの画像が形成されていない非画像面(裏面)に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)には、制御部68は、画像検査部66を通過したシート材Pの搬送経路を、媒体排出部54から媒体戻し部58に切り替える。これによりシート材Pは、表裏反転されて媒体供給部52に送り込まれる。このシート材Pの裏面には、前述した工程と同様の工程で画像が形成(定着)され、媒体排出部54によって第二筐体14の外部に排出される。
【0045】
(要部構成)
次に、給紙装置70等について説明する。給紙装置70は、
図15に示されるように、装置上下方向に並んで2個備えられ、2個の給紙装置70は、同様の構成とされている。このため、ここでは、一方の給紙装置70について説明する。
【0046】
給紙装置70は、
図6に示されるように、上方が開放された箱部材74と、箱部材74の内部に配置され、シート材Pが積載される積載板としてのボトムプレート78と、を備えている。さらに、給紙装置70は、ボトムプレート78に積載されたシート材Pの後端部(図中右端部)と当たることで、積載されたシート材Pの搬送方向(図中矢印B方向:以下単に「シート材搬送方向」と記載することがある)の積載位置を揃えるエンドガイド72を備えている。
【0047】
さらに、給紙装置70は、ボトムプレート78に積載されたシート材Pの幅方向(図中奥行方向:以下単に「シート材幅方向」と記載することがある)の両端部と当たることで、積載されたシート材Pのシート材幅方向の積載位置を揃える一対のサイドガイド76を備えている。
【0048】
また、給紙装置70は、箱部材74の底板74Aとボトムプレート78との間に配置され、ボトムプレート78を昇降させる昇降部材80を備えている。
【0049】
そして、箱部材74は、第一筐体12に対して装置奥行方向の手前側に引き出されるようになっている。また、箱部材74を第一筐体12から引き出した状態で、ユーザが、シート材Pをボトムプレート78に積載できるように、昇降部材80によってボトムプレート78が下降するようになっている。
【0050】
一方、箱部材74を第一筐体12に装着した状態で、ボトムプレート78に積載された最上位のシート材Pが後述する吸引機構100に備えられる本体部材102のスカート118に接するように、昇降部材80によってボトムプレート78が上昇するようになっている(
図7参照)。
【0051】
第一筐体12に装着した状態の箱部材74の上方には、一端に形成される軸部82Aによって揺動可能に支持される円弧状の検知部材82が配置されている。そして、
図6、
図7に示されるように、箱部材74を第一筐体12に装着して昇降部材80によってボトムプレート78が上昇すると、ボトムプレート78に積載された最上位のシート材Pが、検知部材82と接する。そして、検知部材82が揺動することで、最上位のシート材Pと本体部材102のスカート118とが接したのを検知し、ボトムプレート78が停止するようになっている。
【0052】
〔吸引機構100〕
吸引機構100は、ボトムプレート78に積載された最上位のシート材Pの一部を吸引し、シート材Pを持上げる持上部104と、持上部104によって持上げられたシート材Pの先端を吸引してシート材Pの先端の姿勢を保持する保持部106とを有する箱状の本体部材102を備えている。
【0053】
また、吸引機構100は、
図11に示されるように、持上部104の内部の空気、及び保持部106の内部の空気を吸い込んで持上部104、及び保持部106に吸引力を生じさせる吸込部材の一例としての吸込ファン128を備えている。さらに、吸引機構100は、吸込ファン128によって吸い込まれる空気が通る通路部材の一例としての空気ダクト130を備えている。
【0054】
また、本体部材102のシート材幅方向(図中矢印C方向)の両側部分は、シート材搬送方向に延びる一対のレール部材110によって支持されている。そして、本体部材102は、初期位置(
図6、
図11参照)と、本体部材102によって持ち上げられたシート材Pを、シート材Pを搬送する搬送ロール98に引き渡す引渡し位置(
図9、
図12参照)と、レール部材10に沿って移動可能とされている。なお、初期位置に移動した本体部材102は、
図6に示されるように、ボトムプレート78に積載されたシート材Pのシート材搬送方向の下流側で、かつ、上方に配置される。また、この状態で、保持部106と、シート材Pの先端とが対向している。
【0055】
さらに、本体部材102を初期位置から引渡し位置へ、又は引渡し位置から初期位置へ移動させる駆動モータ116が備えられている。
【0056】
[本体部材102]
本体部材102は、前述したように箱状とされ、六面から構成されている。さらに、
図6、
図11に示されるように、本体部材102の底板102Aの一部は、シート材搬送方向の下流側に突出している。
【0057】
そして、本体部材102のシート材搬送方向の上流側が持上部104とされ、持上部104に対してシート材搬送方向の下流側が保持部106とされている。持上部104は、保持部106に対して大きくされ、持上部104と保持部106との間には、空気の流れを遮る仕切板108が形成されている。
【0058】
また、持上部104を構成する部分の底板102Aには、表裏を貫通する円孔112が縦横に並んで複数形成されている。一方、保持部106を構成する部分の底板102Aには、表裏を貫通すると共にシート材幅方向に延びる長孔114がシート幅方向に並んで2個形成されている。
【0059】
さらに、持上部104には、
図11、
図13(A)(B)に示されるように、上方から見て、円孔112が形成される範囲を囲むように矩形筒状のスカート118が備えられている。スカート118は、持上部104の内部に収納される収納位置(
図13(A)参照)と、収納位置から下方へ移動し、一部を持上部104の内部に残して底板102Aから下方へ突出する突出位置(
図13(B)参照)とに移動可能とされている。
【0060】
スカート118を構成すると共にシート材幅方向に対向する一対の側板118Aには、上下方向に延びる長穴120が夫々2個形成されている。また、持上部104の内部には、この長穴120内に挿入されるピン122が備えられている。そして、この長穴120内をピン122が案内されることで、スカート118が収納位置と突出位置とに移動するようになっている。
【0061】
なお、スカート118に外部から力が作用しない場合は、スカート118に生じる重力により、スカート118は突出位置へ移動している。
【0062】
[空気ダクト130]
空気ダクト130は、
図11に示されるように、本体部材102の内部から吸込ファン128によって吸い込まれる空気が通る部材である。
【0063】
そして、空気ダクト130は、持上部104の内部の空気が通る第一通路132が形成される第一ダクト134と、保持部106の内部の空気が通る第二通路136が形成される第二ダクト138と、を備えている。さらに、空気ダクト130は、持上部104の内部から吸い込まれた空気と保持部106から吸い込まれた空気とが合流する合流部140と、伸縮可能とされる蛇腹部142と、を備えている。
【0064】
第一ダクト134の一端は、本体部材102の側板102Bであって、持上部104を構成する部分に連結され、第二ダクト138の一端は、側板102Bであって、保持部106を構成する部分に連結されている。そして、側板102Bには、持上部104の内部を第一通路132に開放する開口部(図示省略)と、保持部106の内部を第二通路136に開放する開口部(図示省略)と、が形成されている。
【0065】
また、第一ダクト134及び第二ダクト138の他端と合流部140の一端とが連結され、合流部140の他端と蛇腹部142の一端とが連結されている。さらに、蛇腹部142の他端は、吸込ファン128に連結されている。
【0066】
この構成により、蛇腹部142がシート材P搬送方向に傾斜しながら伸縮することで、吸込ファン128は、初期位置と引渡し位置とに移動する本体部材102の持上部104の内部及び保持部106の内部から空気を吹き込むようになっている(
図11、
図12参照)。
【0067】
そして、底板102Aに形成された円孔112を通して持上部104の下方から持上部104の内部に空気が吸い込まれ、持上部104には、ボトムプレート78に積載された最上位のシート材Pを持上げる吸引力が生じるようになっている。
【0068】
さらに、底板102Aに形成された長孔114を通して保持部106の下方から保持部106の内部に空気が吸い込まれ、保持部106には、持上部104によって持上げられるシート材Pの先端を吸引してシート材Pの先端の姿勢を保持する吸引力が生じるようになっている。
【0069】
また、給紙装置70は、持上部104で生じる吸引力及び保持部106で生じる吸引力の少なくとも一方を変更可能な変更機構141を備えている。
【0070】
〔変更機構141〕
変更機構141は、
図1に示されるように、第一通路132の通路面積を変える遮蔽板143と、第二通路136の通路面積を変える遮蔽板144とを備えている。さらに、変更機構141は、第一通路132の通路面積を変えるように遮蔽板143を移動させるソレノイド146と、第二通路136の通路面積を変えるように遮蔽板144を移動させるソレノイド148とを備えている。
【0071】
この構成において、ソレノイド146がオフされた状態で、第一通路132の通路面積が小さくなっておらず(遮られておらず)、ソレノイド146がオンされた状態で、第一通路132の一部において通路面積が半分になるようになっている(
図2(A)参照)。
【0072】
また、ソレノイド148がオフされた状態で、第二通路136の一部において通路面積が半分になっており(
図1参照)、ソレノイド148がオンされた状態で、第二通路136が塞がれるようになっている(
図2(B)参照)。
【0073】
〔その他〕
さらに、画像形成装置10は、
図15に示されるように、給紙されるシート材Pが、普通紙であるか、コート紙であるか、又は封筒であるかをユーザによって入力可能な紙種入力機構150と、給紙されるシート材Pの坪量(JIS P−8124 )がユーザによって入力可能な坪量入力機構152とを備えている。
【0074】
普通紙とは、一般的に画像を形成するのに用いられるシート材Pであり、表面及び裏面にコーティングがされていないものであって、再生紙を含むものである。また、コート紙とは、紙面に塗料又は合成樹脂等を塗布したシート材Pであって、ラベル紙(裏面に接着層が形成されるシート材P)を含むものである。
【0075】
さらに、制御部68は、ボトムプレート78に積載されたシート材Pを揃えるエンドガイド72及びサイドガイド76の配置位置により、シート材Pのサイズ(以下「用紙サイズ」と記載する)の情報を入手するようになっている。
【0076】
そして、
図4に示されるように、制御部68は、エンドガイド72及びサイドガイド76の配置位置による用紙サイズの情報、紙種入力機構150による紙種情報、及び坪量入力機構152による坪量情報に基づいて、ソレノイド146、148をオン、オフするようになっている。
【0077】
なお、ユーザが紙種入力機構150に紙種を入力しない場合は、制御部68は、給紙されるシート材Pは普通紙であると判断する。さらに、ユーザが坪量入力機構152に坪量を入力しない場合は、制御部68は、給紙されるシート材Pの坪量は、一例として110〔g/m
2〕と判断する。
【0078】
また、
図5には、用紙サイズ情報、紙種情報、及び坪量情報に基づいて給紙されるシート材Pを区分1〜区分3に分ける表が示されており、シート材Pがどの区分に属するかによって、制御部68がソレノイド146、148を制御するようになっている。この制御については、後述する作用と共に説明する。
【0079】
(要部構成の作用)
次に、要部構成の作用について、
図3に示すフロー図等を用いて説明する。
【0080】
先ず、画像形成装置10のスイッチがオンされた状態で、
図7、
図11に示されるように、本体部材102は、初期位置に移動している(配置されている)。そして、スカート118は突出位置に移動している(配置されている)。さらに、ボトムプレート78に積載された最上位のシート材Pが、スカート118に接している。また、ソレノイド146、148は、オフされている(
図1参照)。
【0081】
さらに、ユーザによって紙種入力機構150にシート材Pの紙種が入力され、坪量入力機構152にシート材Pの坪量が入力される。
【0082】
そして、ユーザによって、ジョブを実行される指令が入力されると、
図3に示すステップS100で、制御部68は、エンドガイド72及びサイドガイドの配置位置による用紙サイズ情報、紙種入力機構150による紙種情報、及び坪量入力機構152による坪量情報を入手する。制御部68が各情報を入手すると、ステップS200へ移行する。
【0083】
ステップS200では、制御部68は、シート材Pが
図5に示す表の区分1に該当するか否かを判断する。なお、区分1に該当するシート材Pは、普通紙又はコート紙で、シート材Pの坪量が一般的に画像を形成するのに用いられるシート材Pより大きい厚紙である。換言すれば、区分1に該当するシート材Pは、普通紙又はコート紙で、シート材Pの質量が一般的に画像を形成するのに用いられるシート材Pより大きい厚紙である。
【0084】
そして、区分1に該当する場合は、ステップS300へ移行し、区分1に該当しない場合は、ステップS600へ移行する。
【0085】
ステップS300では、制御部68がソレノイド148をオンすることで、
図2(B)に示されるように、第二通路136が遮蔽板144によって塞がれる。第二通路136が塞がれるとステップS400へ移行して給紙工程が開始される。以下給紙工程について説明する。
【0086】
給紙工程では、先ず、吸込ファン128が稼働し、底板102Aに形成された円孔112を通して持上部104の下方から持上部104の内部に空気が吸い込まれる。これにより、スカート118で囲まれた空間が負圧となり、持上部104には、ボトムプレート78に積載されたシート材Pを持上げる吸引力が生じる。
【0087】
この吸引力により、
図7、
図8に示されるように、ボトムプレート78に積載された最上位のシート材Pが持ち上げられ、スカート118が突出位置から収納位置へ移動する。そして、シート材Pにおいて持上部104によって持ち上げられた部分は、持上部104を構成する部分の底板102Aに接する。
【0088】
この状態で、搬送ロール98が回転し、さらに、駆動モータ116が稼働する。駆動モータ116が稼働することで、
図8、
図9に示されるように、シート材Pを持ち上げた状態の本体部材102が初期位置から引渡し位置へ移動する。
【0089】
本体部材102が引渡し位置へ移動すると、吸込ファン128が停止し、本体部材102に持ち上げられていたシート材Pが、
図10に示されるように、回転する搬送ロール98に引き渡されてシート材搬送方向の下流側へ搬送される。
【0090】
さらに、シート材Pが搬送ロール98によって搬送されると、駆動モータ116が稼働し、本体部材102が引渡し位置から初期位置へ移動する。そして、一つのジョブで複数枚のシート材Pに画像を形成する場合は、再度前述した工程が繰り返される。
【0091】
そして、全てのシート材Pの給紙が終了すると、本体部材102が初期位置へ移動して、ステップS500へ移行して給紙工程が終了する(ジョブが終了する)。
【0092】
このように、シート材Pが区分1に該当する場合(厚紙の場合)は、第二通路136が遮蔽板144によって塞がれる。このため、持上部104で生じる吸引力が、第二通路136を塞がない場合と比して強くなる。このように、持上部104で生じる吸引力が強くなるため、強くならない場合と比して、持上部104が、厚紙であるシート材Pを効果的に持上げる。
【0093】
なお、第二通路136が遮蔽板144によって塞がれることで、保持部106では吸引力が生じないが、シート材Pが厚紙であるため、シート材Pの先端の姿勢が保持される(シート材Pの先端が垂れ下がることがない)。
【0094】
一方、
図3に示すステップS200で区分1に該当せず、ステップS600へ移行した場合は、制御部68は、シート材Pが
図5に示す表の区分2に該当するか否かを判断する。なお、区分2に該当するシート材Pは、普通紙又はコート紙で、シート材Pの坪量が、区分1のシート材Pより小さく、一般的に画像を形成するのに用いられるシート材Pである。そして、区分2に該当する場合は、ステップS700へ移行し、区分2に該当しない場合は、ステップS800へ移行する。
【0095】
ステップS700では、制御部68がソレノイド146、148のオフ状態を維持することで、
図1に示されるように、第一通路132の通路面積が小さくされず、第二通路136の一部において通路面積が半分になる。この状態で、ステップS400へ移行して前述した給紙工程が開始される。そして、ステップS500で給紙工程が終了する。
【0096】
このように、シート材Pが区分2(一般的に画像を形成するのに用いられるシート材P)に該当する場合は、第一通路132の通路面積が小さくされず、第二通路136の一部において通路面積が半分のままとなる。このため、保持部106で生じる吸引力が、第二通路136を塞ぐ場合と比して強くなる。このように、保持部106で生じる吸引力が強くなるため、強くならない場合と比して、保持部106が、シート材Pの先端の姿勢を効果的に保持する。
【0097】
なお、第二通路136の一部において通路面積が半分になることで、シート材Pが区分1に該当する場合と比して、持上部104での吸引力が弱くなる。しかし、区分2のシート材Pは区分1のシート材Pに比して坪量が小さいため(質量が小さいため)、持上部104によるシート材Pの持ち上げについては、支障は生じない。
【0098】
一方、ステップS600で、区分2に該当せず、ステップS800へ移行した場合は、制御部68は、シート材Pが
図5に示す表の区分3に該当すると判断する。区分3に該当するシート材Pは、コート紙で、シート材Pの坪量が区分2のシート材Pの坪量より小さく、一般的に画像を形成するのに用いられるシート材Pに対して坪量の小さい(厚さが薄い)薄紙である。又は、区分3に該当するシート材Pは、封筒である。ステップS800でシート材Pが区分3に該当すると判断すると、ステップS900へ移行する。
【0099】
ステップS900では、制御部68がソレノイド146をオンすることで、
図2(A)に示されるように、第一通路132の一部において通路面積が半分になる。この状態で、ステップS400へ移行して前述した給紙工程が開始される。そして、ステップS500で給紙工程が終了する。
【0100】
このように、シート材Pが区分3(薄紙の場合)に該当する場合は、第一通路132の一部において通路面積が半分になり、第二通路136の一部において通路面積が半分になる。このため、保持部106で生じる吸引力が、第一通路132の通路面積が小さくされない場合と比して強くなる。このように、保持部106で生じる吸引力が強くなるため、強くならない場合と比して、保持部106が、薄紙であるシート材Pの先端の姿勢を効果的に保持する。
【0101】
なお、第二通路136一部において通路面積が半分になることで、シート材Pが区分2に該当する場合と比して、持上部104での吸引力が弱くなる。しかし、区分3のシート材Pが区分2のシート材Pに対して坪量が小さいため(質量が小さいため)、持上部104によるシート材Pの持ち上げについては、支障は生じない。
【0102】
また、シート材Pが封筒(例えば、長形3号の定形封筒)である場合については、実機で評価した結果、薄紙の場合と同様の条件を用いることで、他の条件を用いる場合と比して、持上部104によってシート材Pが効果的に持ち上げられ、保持部106によってシート材Pの先端の姿勢が効果的に保持されることが確認された。
【0103】
(要部構成のまとめ)
以上説明したように、変更機構141を用いることで、持上部104で生じる吸引力及び保持部106で生じる吸引力の少なくとも一方が変えられる。換言すれば、シート材Pの一部を吸引して給紙する場合に、シート材Pを吸引する範囲内で部分的に吸引力が強められたり、部分的に吸引力が弱められたりする。
【0104】
また、紙種又は坪量に応じて、持上部104で生じる吸引力及び保持部106で生じる吸引力の少なくとも一方を変えることで、持上部104及び保持部106の少なくとも一方で紙種又は坪量に応じた適正な吸引力が生じる。
【0105】
また、持上部104及び保持部106の少なくとも一方で適正な吸引力が生じることで、適正な吸引力が生じない場合と比して、給紙装置70によってシート材Pが効果的に給紙される(給紙ミスが抑制される)。
【0106】
また、給紙装置70によってシート材Pが効果的に給紙されることで、シート材Pの重送が抑制され、重送が抑制されない場合と比して、給紙される夫々のシート材Pに効果的に画像が形成される。
【0107】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態に係る給紙装置、画像形成装置の一例について
図16、
図17に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0108】
第2実施形態の変更機構200は、
図16に示されるように、合流部140に配置され、一端部に形成された軸部202Aを中心に揺動し、第一通路132が合流部140に開放される開放面積(通路面積)、及び第二通路136が合流部140に開放される開放面積(通路面積)を変える板状の揺動部材202を備えている。
【0109】
さらに、変更機構200は、揺動部材202を揺動させるステッピングモータ204(以下単に「モータ204」と記載する)を備えている。
【0110】
ジョブが実行される前の状態で、揺動部材202は、第一通路132が合流部140に開放される開放面積が、第二通路132が合流部140に開放される開放面積に比して大きくなるように配置されている。このように、揺動部材202は初期位置に配置される。
【0111】
ジョブが実行され、給紙されるシート材Pが区分1に該当する場合は、ステップS300で、制御部68がモータ204を稼働させることで、
図17(B)に示されるように、揺動部材202が揺動し、第二通路136が塞がれる。
【0112】
給紙されるシート材Pが区分2に該当する場合は、ステップS700で、制御部68がモータ204を稼働させることなく、
図16に示されるように、揺動部材202が初期位置に配置される。
【0113】
給紙されるシート材Pが区分3に該当する場合は、ステップS900で、制御部68がモータ204を稼働させて、
図17(A)に示されるように、揺動部材202が揺動し、第一通路132が合流部140に開放される開放面積と、第二通路132が合流部140に開放される開放面積とが同様の面積となるように揺動部材202が配置される。
【0114】
なお、他の第2実施形態の作用については、第1実施形態と同様である。
【0115】
≪第3実施形態≫
次に、本発明の第3実施形態に係る給紙装置、画像形成装置の一例について
図18、
図19に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0116】
第3実施形態の変更機構220は、円状とされた合流部222に配置され、合流部222の中央に配置された軸部224Aを中心に揺動し、第一通路132が合流部222に開放される開放面積(通路面積)、及び第二通路136が合流部222に開放される開放面積(通路面積)を変える揺動部材224を備えている。
【0117】
揺動部材224は、第一通路132が合流部222に開放される開放面積を変える円弧状の円弧板224Bと、第二通路136が合流部222に開放される開放面積を変える円弧状の円弧板224Cとを有している。
【0118】
さらに、変更機構220は、揺動部材224を揺動させるステッピングモータ226(以下単に「モータ226」と記載する)を備えている。
【0119】
ジョブが実行される前の状態で、
図18に示されるように、揺動部材224は、第一通路132が合流部222に開放される開放面積が、第二通路132が合流部222に開放される開放面積に比して大きくなるように配置されている。このように、揺動部材224は初期位置に配置される。
【0120】
ジョブが実行され、給紙されるシート材Pが区分1に該当する場合は、ステップS300で、制御部68がモータ226を稼働させることで、
図19(B)に示されるように、揺動部材224が揺動し、第二通路136が塞がれる。
【0121】
給紙されるシート材Pが区分2に該当する場合は、ステップS700で、制御部68がモータ226を稼働させることなく、
図18に示されるように、揺動部材224が初期位置に配置される。
【0122】
給紙されるシート材Pが区分3に該当する場合は、ステップS900で、制御部68がモータ226を稼働させて、
図19(A)に示されるように、揺動部材224が揺動し、第一通路132が合流部222に開放される開放面積と、第二通路132が合流部222に開放される開放面積とが同様の面積となるように揺動部材224が配置される。
【0123】
なお、他の第3実施形態の作用については、第1実施形態と同様である。
【0124】
≪第4実施形態≫
次に、本発明の第4実施形態に係る給紙装置、画像形成装置の一例について
図20に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0125】
図20に示されるように、画像形成装置240は、装置内の湿度を検出する湿度検出部242と、装置内の温度を検出する温度検出部244とを備えている。
【0126】
湿度検出部242によって検出される検出湿度が予め決められた閾値湿度(例えば、85%RH)以上で、かつ、温度検出部244によって検出される検出温度が予め決められた閾値温度(例えば、28℃)以上の場合は、制御部68は、検出湿度が閾値湿度未満、又は検出温度が閾値温度未満の場合と比して、持上部104で生じる吸引力を強くする。
【0127】
具体的には、制御部68が、変更機構141を用いて、第一通路132の通路面積を広くする、又は第二通路136の通路面積を狭くすることで、持上部104で生じる吸引力が強くされるようになっている。
【0128】
高温高湿の場合は、高温高湿ではない場合と比して、積載されたシート材P同士の密着力が強くなる。しかし、高温高湿の場合に、制御部68が、前述したように持上部104で生じる吸引力を強くすることで、持上部104で生じる吸引力が変わらない場合と比して、持上部104によってシート材Pが効果的に持ち上げられる。他の第4実施形態の作用については、第1実施形態と同様である。
【0129】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、
図5に示されるように、搬送されるシート材Pを区分1〜区分3に分けて、その区分毎に、変更機構141、200、202を制御した。しかし、例えば、紙種入力機構150にコート紙であると入力された場合に、紙種入力機構150に普通紙であると入力された場合に比して、変更機構141、200、202を用いて、保持部106で生じる吸引力が強くされるようにしてもよい。この場合には、普通紙の先端に比して垂れ下がりやすいコート紙の先端が、効果的に保持される。
【0130】
また、上記実施形態では、
図5に示されるように、搬送されるシート材Pを区分1〜区分3に分けて、その区分毎に、変更機構141、200、202を制御した。しかし、例えば、坪量入力機構152に入力された坪量が、入力された坪量より大きい坪量の場合と比して、変更機構141、200、202を用いて、保持部106で生じる吸引力が強くされるようにしてもよい。この場合には、坪量の大きいシート材Pに比して垂れ下がりやすい坪量の小さいシート材Pの先端が、効果的に保持される。