(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の蓄電素子では、容器内方の圧力が設定された開口圧になる前に安全弁が開口してしまう場合があるという問題がある。
【0006】
ここで、本願発明者らは、上記従来の蓄電素子では、繰り返し安全弁に圧力をかける疲労試験において、時間の経過とともに当該安全弁の開口圧が徐々に低下していくことを見出した。つまり、上記従来の蓄電素子では、経年使用によって、設定した開口圧よりも小さい圧力で安全弁が開口してしまう虞がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、経年使用によっても開口圧の低下を抑制することができる安全弁を有する蓄電素子及び安全弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、容器を備える蓄電素子であって、前記容器は、所定部分から放射状に延びる3以上の溝部を有し、前記3以上の溝部のそれぞれは、曲線形状を有している。
【0009】
これによれば、蓄電素子において、容器には、放射状に延びるとともに曲線形状を有する3以上の溝部が形成されている。ここで、本願発明者らは、安全弁が3以上の溝部を有し、当該溝部が、放射状に延びる曲線形状を有する場合に、経年使用によっても開口圧が低下し難いことを見出した。つまり、当該安全弁に曲線状の溝部が放射状に形成された構成によって、溝部周辺に満遍なく内圧がかかるため、当該安全弁を開口するために大きな内圧が必要となり、経年使用によっても開口圧が低下し難くなる。このため、当該蓄電素子において、経年使用によっても安全弁の開口圧の低下を抑制することができる。
【0010】
また、前記3以上の溝部のそれぞれは、所定部分を中心として同一回転方向に向けて凸の曲線形状を有していることにしてもよい。
【0011】
これによれば、蓄電素子において、容器には、所定部分を中心として同一回転方向に向けて凸の曲線形状を有する3以上の溝部が形成されている。ここで、本願発明者らは、安全弁が3以上の溝部を有し、当該溝部が、放射状に延びるとともに同一周方向に凸の曲線形状を有する場合に、さらに、経年使用によっても開口圧が低下し難いことを見出した。このため、当該安全弁に同じ向きの曲線状の溝部が形成された構成によって、経年使用によっても安全弁の開口圧の低下を抑制することができる。
【0012】
また、前記容器は、さらに、前記3以上の溝部のうちのいずれか2つの溝部の間に配置され、前記容器の外方または内方に突出する突出部を有することにしてもよい。
【0013】
これによれば、蓄電素子において、容器のいずれか2つの溝部の間には、容器の外方または内方に突出する突出部が形成されている。ここで、本願発明者らは、安全弁の2つの溝部の間に突出部が形成されている場合に、経年使用によっても開口圧が低下し難いことを見出した。つまり、当該安全弁が立体的に構成されていることによって、安全弁の全体に亘って内圧がかかるため、当該安全弁を開口するために大きな内圧が必要となり、経年使用によっても開口圧が低下し難くなる。このため、当該蓄電素子において、経年使用によっても安全弁の開口圧の低下を抑制することができる。
【0014】
また、前記突出部は、前記2つの溝部から前記容器の外方または内方に突出するように形成されていることにしてもよい。
【0015】
これによれば、蓄電素子において、容器の突出部は、2つの溝部から突出するように形成されているため、簡易な構成で突出部を形成することができ、安全弁を容易に製造することができる。
【0016】
また、前記3以上の溝部は、前記所定部分において一点で交わるように配置されていることにしてもよい。
【0017】
これによれば、蓄電素子において、容器の3以上の溝部は、一点で交わるように配置されているため、簡易な構成で溝部を形成することができ、安全弁を容易に製造することができる。
【0018】
また、前記3以上の溝部は、隣り合う2つの溝部同士の角度が同一角度となるように配置されていることにしてもよい。
【0019】
これによれば、蓄電素子において、容器の3以上の溝部は、隣り合う2つの溝部同士の角度が同一角度となるように配置されているため、3以上の溝部に満遍なく内圧がかかる。このため、当該蓄電素子において、経年使用によっても安全弁の開口圧の低下をさらに抑制することができる。
【0020】
また、前記3以上の溝部のそれぞれは、同一形状となるように形成されていることにしてもよい。
【0021】
これによれば、蓄電素子において、容器の3以上の溝部のそれぞれは、同一形状となるように形成されているため、3以上の溝部に満遍なく内圧がかかる。このため、当該蓄電素子において、経年使用によっても安全弁の開口圧の低下をさらに抑制することができる。
【0022】
また、前記3以上の溝部のうちの隣り合う2つの溝部の間に配置される突出部のそれぞれは、同一形状となるように形成されていることにしてもよい。
【0023】
これによれば、蓄電素子において、容器の突出部のそれぞれは、同一形状となるように形成されているため、突出部のそれぞれに満遍なく内圧がかかる。このため、当該蓄電素子において、経年使用によっても安全弁の開口圧の低下をさらに抑制することができる。
【0024】
また、前記3以上の溝部のうちの隣り合う2つの溝部の間に配置される突出部のそれぞれは、同一面積となるように形成されていることにしてもよい。
【0025】
これによれば、蓄電素子において、容器の突出部のそれぞれは、同一面積となるように形成されているため、突出部のそれぞれに満遍なく内圧がかかる。このため、当該蓄電素子において、経年使用によっても安全弁の開口圧の低下をさらに抑制することができる。
【0026】
なお、本発明は、このような蓄電素子として実現することができるだけでなく、当該蓄電素子に備えられる安全弁として実現することもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明における蓄電素子によれば、経年使用によっても安全弁の開口圧の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0030】
(実施の形態)
まず、蓄電素子10の構成について、説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の外観を模式的に示す斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の容器100の本体111を分離して蓄電素子10が備える各構成要素を示す斜視図である。
【0032】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
【0033】
図1に示すように、蓄電素子10は、容器100と、正極端子200と、負極端子300と、安全弁400とを備えている。また、
図2に示すように、容器100内方には、正極集電体120と、負極集電体130と、電極体140とが収容されている。
【0034】
また、蓄電素子10の容器100の内部には電解液(非水電解質)などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。なお、容器100に封入される電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
【0035】
容器100は、矩形筒状で底を備える本体111と、本体111の開口を閉塞する板状部材である蓋体110とで構成されている。また、容器100は、電極体140等を内部に収容後、蓋体110と本体111とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、蓋体110及び本体111の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0036】
また、容器100の蓋体110には、安全弁400が配置されている。安全弁400は、容器100の内部の圧力が上昇した場合に、容器100の内部の圧力を開放する円形状の安全弁である。つまり、安全弁400には、溝部が形成されており、容器100の内部の圧力が所定の開口圧になった場合に当該溝部が破れて開口することで、容器100の内部の圧力が開放される。
【0037】
また、安全弁400は、容器100の蓋体110の中央部分に接合されて配置されている。具体的には、蓋体110の中央部分に開口部が形成されており、安全弁400は、当該開口部に嵌め込まれて、溶接などによって蓋体110と接合されることで、蓋体110の中央部分に配置される。なお、安全弁400の材質は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、銅、銅合金、ステンレス鋼、メッキ鋼板、メッキ銅、クラッド材(Fe−Ni、Ni−Cu、Al−Ni)などによって形成されている。この安全弁400の詳細な構成の説明については、後述する。
【0038】
電極体140は、正極と負極とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる発電要素である。具体的には、電極体140は、正極と負極との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものを全体が長円形状となるように巻回されて形成された巻回型の電極体である。なお、電極体140の形状は円形状または楕円形状でもよい。また、電極体140の形状は捲回型に限らず、平板状極板を積層した形状でもよい。
【0039】
正極は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる長尺帯状の導電性の正極集電箔の表面に、正極活物質層が形成された電極板である。なお、正極活物質層に用いられる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、正極活物質として、LiMPO
4、LiMSiO
4、LiMBO
3(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO
2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
【0040】
負極は、銅または銅合金などからなる長尺帯状の導電性の負極集電箔の表面に、負極活物質層が形成された電極板である。なお、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、負極活物質として、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li
4Ti
5O
12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。
【0041】
正極端子200は、正極集電体120を介して、電極体140の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子300は、負極集電体130を介して、電極体140の負極に電気的に接続された電極端子である。
【0042】
つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体140に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体140に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。また、正極端子200及び負極端子300は、電極体140の上方に配置された蓋体110に取り付けられている。
【0043】
正極集電体120は、電極体140の正極と容器100の本体111の側壁との間に配置され、正極端子200と電極体140の正極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体120は、電極体140の正極基材箔と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。
【0044】
負極集電体130は、電極体140の負極と容器100の本体111の側壁との間に配置され、負極端子300と電極体140の負極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電体130は、電極体140の負極基材箔と同様、銅または銅合金などで形成されている。
【0045】
次に、安全弁400の構成について、詳細に説明する。
【0046】
図3A及び
図3Bは、本発明の実施の形態に係る安全弁400の構成を示す斜視図である。具体的には、
図3Aは、蓋体110に取り付けられる前の安全弁400を斜め上方から見た場合の斜視図であり、
図3Bは、蓋体110に取り付けられる前の安全弁400を斜め下方から見た場合の斜視図である。
【0047】
また、
図4は、本発明の実施の形態に係る安全弁400の構成を示す図である。つまり、同図の(a)は、蓋体110に取り付けられる前の安全弁400を上方(容器100の外方となる側)から見た場合の平面図であり、同図の(b)は、当該安全弁400を側方から見た場合の側面図である。
【0048】
また、
図5A及び
図5Bは、本発明の実施の形態に係る安全弁400の構成を示す断面図である。具体的には、
図5Aは、蓋体110に取り付けられる前の安全弁400を
図4に示されたA−A断面で切断して斜め上方から見た場合の断面図であり、
図5Bは、
図5Aに示された安全弁400を斜め下方から見た場合の断面図である。
【0049】
これらの図に示すように、安全弁400は、外周部410と、3以上の溝部からなる溝部420と、当該3以上の溝部のうちのいずれか2つの溝部の間に配置される突出部430とを有している。本実施の形態では、安全弁400は、3つの溝部421〜423と、3つの溝部421〜423のうちのいずれか2つの溝部の間に配置される3つの突出部431〜433とを有している。
【0050】
つまり、溝部420は、3つの溝部421〜423を有しており、突出部430は、3つの突出部431〜433を有している。なお、溝部420は、4以上の溝部を有しており、また、突出部430は、4以上の突出部を有していることにしてもよい。
【0051】
外周部410は、安全弁400の外周を形成する円盤状の部位である。また、外周部410は、蓋体110に接合される部位であり、この外周部410が蓋体110に接合されることで、安全弁400が蓋体110に取り付けられる。
【0052】
また、外周部410の内方には、溝部421〜423及び突出部431〜433が配置されている。つまり、外周部410は、溝部421〜423及び突出部431〜433の周りを囲うように、溝部421〜423及び突出部431〜433の外方に配置されている。
【0053】
溝部421〜423は、所定部分Pから放射状に延びる3つの溝部である。本実施の形態では、所定部分Pは、安全弁400の中心部分(外周部410の中心部分)である。具体的には、溝部421〜423は、所定部分Pにおいて一点で交わるように配置されている。つまり、所定部分Pは、安全弁400の中心点(外周部410の中心点)であり、3つの溝部421〜423は、当該中心点から放射状に延びている。
【0054】
また、溝部421〜423のそれぞれは、曲線形状を有している。具体的には、溝部421〜423のそれぞれは、当該所定部分Pの周方向において同一周方向に凸の曲線形状を有している。つまり、溝部421〜423は、それぞれ円弧形状の曲線であり、所定部分Pを中心として同じ回転方向に向けて凸の形状を有している。なお、本実施の形態では、溝部421〜423は、1つの円弧形状の曲線であるが、複数の円弧形状からなる曲線であってもよい。また、溝部421〜423を構成する曲線の形状は、円弧形状には限定されず、楕円形状の一部や放物線形状など、同一周方向に凸の曲線形状であればどのような形状であってもかまわない。
【0055】
また、溝部421〜423は、隣り合う2つの溝部同士の角度が同一角度となるように配置されている。本実施の形態では、溝部421〜423は、3つの溝部であるため、隣り合う2つの溝部同士の角度がそれぞれ120度となるように、周方向に均等に配置されている。なお、この隣り合う2つの溝部同士がなす角度は、正確に120度でなくともよく、±10%〜20%程度の誤差は許容される。
【0056】
また、溝部421〜423のそれぞれは、同一形状となるように形成されている。つまり、溝部421〜423のそれぞれは、所定部分Pを中心として回転させた場合に、一致するような形状を有している。具体的には、溝部421〜423は、所定部分Pを中心として回転対称(本実施の形態では、3回対称)の形状を有している。
【0057】
ここで、溝部421〜423は、容器100の内方に向けて切り欠いたような形状の溝であり、0.2〜0.3mm程度の厚みの板状部材を、底部の厚み(谷の部分の厚み)が約0.1mmとなるように、刻印(プレス)することによって形成される。つまり、溝部421〜423は、安全弁400の上面(Z軸方向プラス側の面)に形成された、幅0.2〜0.3mm、深さ0.1〜0.2mm程度の曲線状の溝である。
【0058】
突出部431〜433は、3つの溝部421〜423のうちのいずれか2つの溝部の間に配置され、容器100の外方または内方に突出する3つの突出部である。つまり、突出部431は、溝部421と溝部423との間に配置され、容器100の外方(Z軸方向プラス側)に突出する突出部である。同様に、突出部432は、溝部421と溝部422との間に配置され、容器100の外方に突出する突出部であり、突出部433は、溝部422と溝部423との間に配置され、容器100の外方に突出する突出部である。
【0059】
具体的には、突出部431〜433は、3つの溝部421〜423のうちのいずれか2つの溝部から容器100の外方または内方に突出するように形成されている。つまり、突出部431は、溝部421及び溝部423から容器100の外方(Z軸方向プラス側)に突出するように形成されている。同様に、突出部432は、溝部421及び溝部422から容器100の外方に突出するように形成されており、突出部433は、溝部422及び溝部423から容器100の外方に突出するように形成されている。
【0060】
つまり、突出部431と突出部432との間の境界部分(谷の部分)に溝部421が形成されている。同様に、突出部432と突出部433との間の境界部分(谷の部分)に溝部422が形成されており、突出部431と突出部433との間の境界部分(谷の部分)に溝部423が形成されている。
【0061】
なお、突出部431〜433は、容器100の内方(Z軸方向マイナス側)に突出していてもかまわない。具体的には、突出部431〜433は、3つの溝部421〜423のうちのいずれか2つの溝部から容器100の内方(Z軸方向マイナス側)に突出するように形成されていてもかまわない。つまり、突出部431〜433の境界部分(山の部分)に溝部421〜423が形成されている構成でもかまわない。
【0062】
ここで、3つの溝部421〜423のうちの隣り合う2つの溝部の間に配置される突出部431〜433のそれぞれは、同一面積となるように形成されている。本実施の形態では、3つの溝部421〜423のうちの隣り合う2つの溝部の間に配置される突出部431〜433のそれぞれは、同一形状となるように形成されている。なお、突出部431〜433のそれぞれは、同一面積ではあるが異なる形状となるように形成されていることにしてもよい。
【0063】
本実施の形態では、溝部421〜423のそれぞれは、所定部分Pを中心として回転させた場合に、一致するような形状を有している。具体的には、溝部421〜423は、所定部分Pを中心として回転対称(本実施の形態では、3回対称)の形状を有している。
【0064】
具体的には、突出部431〜433は、所定部分Pから放射状に配置された3つの突出部であり、隣り合う2つの突出部同士の角度が同一角度となるように配置されている。本実施の形態では、突出部431〜433は、3つの突出部であるため、隣り合う2つの突出部同士の角度がそれぞれ120度となるように、周方向に均等に配置されている。なお、この隣り合う2つの突出部同士がなす角度は、正確に120度でなくともよく、±10%〜20%程度の誤差は許容される。
【0065】
さらに具体的には、突出部431〜433のそれぞれは、当該突出部を囲む2つの溝部及び外周部410のそれぞれに当接する3つの曲面によって形成されている。例えば、突出部431は、溝部421と当接する曲面と、溝部423と当接する曲面と、外周部410と当接する曲面とが、当該3つの曲面の中央部分で突出するようにして接続されることによって形成されている。突出部432及び433についても同様である。
【0066】
なお、突出部431〜433は、0.2〜0.3mm程度の厚みの板状部材を、プレスによって折り曲げたような形状に加工することにより形成される。これにより、突出部431〜433のそれぞれについて、上述の3つの曲面が形成される。
【0067】
次に、蓄電素子10の製造方法のうち、安全弁400を容器100の蓋体110に取り付ける工程について、説明する。
【0068】
図6は、本発明の実施の形態に係る安全弁400が蓋体110に取り付けられる工程を示す図である。具体的には、同図の(a)は、安全弁400が蓋体110に取り付けられる前の状態を側方から見た場合の側面図であり、同図の(b)は、安全弁400が蓋体110に取り付けられた後の状態を側方から見た場合の側面図である。
【0069】
同図に示すように、蓋体110には円形状の開口部110aが形成されており、この開口部110aに安全弁400の上部が挿入されるように、安全弁400が蓋体110に配置される。つまり、安全弁400は、蓋体110の下方(容器100の内方となる側)から、上部が開口部110aに挿入されて配置される。そして、安全弁400が開口部110aを塞ぐように、開口部110aの周囲の蓋体110の下面に外周部410が当接して配置される。
【0070】
そして、外周部410が、開口部110aの周囲の蓋体110の下面に当接した状態で、レーザ溶接などの溶接により蓋体110と固定されることで、安全弁400が蓋体110に取り付けられる。これにより、容器100の内側から安全弁400を蓋体110に取り付けることになるため、容器100の内圧の上昇に対して強固に安全弁400を蓋体110に取り付けることができる。
【0071】
なお、安全弁400は、開口部110aの周囲の蓋体110の上面(容器100の外側になる面)に外周部410が当接されて固定されることで、蓋体110に取り付けられることにしてもよい。つまり、容器100の外側から安全弁400を蓋体110に取り付けることにしてもかまわない。
【0072】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10によれば、容器100には、放射状に延びるとともに同一周方向に凸の曲線形状を有する3以上の溝部からなる溝部420が形成されている。ここで、本願発明者らは、安全弁400が3以上の溝部を有し、当該溝部が、放射状に延びるとともに同一周方向に凸の曲線形状を有する場合に、経年使用によっても開口圧が低下し難いことを見出した。つまり、安全弁400に同じ向きの曲線状の溝部が放射状に形成された構成によって、溝部周辺に満遍なく内圧がかかるため、安全弁400を開口するために大きな内圧が必要となり、経年使用によっても開口圧が低下し難くなる。このため、蓄電素子10において、経年使用によっても安全弁400の開口圧の低下を抑制することができる。
【0073】
また、蓄電素子10において、容器100のいずれか2つの溝部の間には、容器100の外方または内方に突出する突出部430が形成されている。ここで、本願発明者らは、安全弁400の2つの溝部の間に突出部430が形成されている場合に、経年使用によっても開口圧が低下し難いことを見出した。つまり、安全弁400が立体的に構成されていることによって、安全弁400の全体に亘って内圧がかかるため、安全弁400を開口するために大きな内圧が必要となり、経年使用によっても開口圧が低下し難くなる。このため、蓄電素子10において、経年使用によっても安全弁400の開口圧の低下を抑制することができる。
【0074】
また、蓄電素子10において、容器100の突出部430は、2つの溝部から突出するように形成されているため、簡易な構成で突出部430を形成することができ、安全弁400を容易に製造することができる。
【0075】
また、蓄電素子10において、容器100の3以上の溝部は、一点で交わるように配置されているため、簡易な構成で溝部420を形成することができ、安全弁400を容易に製造することができる。
【0076】
また、蓄電素子10において、容器100の3以上の溝部は、隣り合う2つの溝部同士の角度が同一角度となるように配置されているため、3以上の溝部に満遍なく内圧がかかる。このため、蓄電素子10において、経年使用によっても安全弁400の開口圧の低下をさらに抑制することができる。
【0077】
また、蓄電素子10において、容器100の3以上の溝部のそれぞれは、同一形状となるように形成されているため、3以上の溝部に満遍なく内圧がかかる。このため、蓄電素子10において、経年使用によっても安全弁400の開口圧の低下をさらに抑制することができる。
【0078】
また、蓄電素子10において、容器100の突出部430のそれぞれの突出部は、同一面積となるように形成されているため、突出部のそれぞれに満遍なく内圧がかかる。このため、蓄電素子10において、経年使用によっても安全弁400の開口圧の低下をさらに抑制することができる。
【0079】
また、蓄電素子10において、容器100の突出部430のそれぞれの突出部は、同一形状となるように形成されているため、突出部のそれぞれに満遍なく内圧がかかる。このため、蓄電素子10において、経年使用によっても安全弁400の開口圧の低下をさらに抑制することができる。
【0080】
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。上記実施の形態では、安全弁400は突出部430を有していることとした。しかし、本変形例では、安全弁は突出部を有していない。
【0081】
図7は、本発明の実施の形態の変形例1に係る安全弁401の構成を示す平面図である。つまり、同図は、蓋体110に取り付けられる前の安全弁401を上方(容器100の外方となる側)から見た場合の平面図である。
【0082】
同図に示すように、安全弁401は、上記実施の形態における安全弁400と同様に、溝部421〜423からなる溝部420を有しているが、突出部430に代えて平面部440を有している。平面部440は、3つの溝部421〜423のうちのいずれか2つの溝部の間に配置される平面状の部位である。
【0083】
つまり、平面部440は、溝部421と溝部423との間に配置される平面部441と、溝部421と溝部422との間に配置される平面部442と、溝部422と溝部423との間に配置される平面部443とを有している。
【0084】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例1に係る蓄電素子によれば、安全弁401が溝部420を有しているため、上記実施の形態と同様に、経年使用によっても安全弁401の開口圧の低下を抑制することができる。
【0085】
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。上記実施の形態では、安全弁400の3つの溝部421〜423は、所定部分Pにおいて一点で交わるように配置されていることとした。しかし、本変形例では、安全弁の3つの溝部は、一点で交わってはいない。
【0086】
図8は、本発明の実施の形態の変形例2に係る安全弁402の構成を示す平面図である。つまり、同図は、蓋体110に取り付けられる前の安全弁402を上方(容器100の外方となる側)から見た場合の平面図である。
【0087】
同図に示すように、安全弁402は、上記実施の形態における安全弁400と同様に、溝部421〜423からなる溝部420と、突出部431〜433からなる突出部430とを有している。しかし、溝部421〜423は、上記実施の形態における安全弁400のように所定部分Pにおいて一点で交わっておらず、所定部分Qに接続されている。ここで、所定部分Qは、安全弁402の中央部分に配置された平面状の部位である。
【0088】
つまり、溝部421〜423は、所定部分Qから放射状に延びる3つの溝部であり、当該所定部分Qの周方向において同一周方向に凸の曲線形状を有している。
【0089】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電素子によれば、安全弁402が溝部420及び突出部430を有しているため、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0090】
(変形例3)
次に、上記実施の形態の変形例3について、説明する。上記実施の形態では、安全弁400の3つの溝部421〜423は、中心点である所定部分Pにおいて一点で交わるように配置されていることとした。しかし、本変形例では、安全弁の3つの溝部は、中心点とは異なる位置の点で交わる。
【0091】
図9は、本発明の実施の形態の変形例3に係る安全弁403の構成を示す平面図である。つまり、同図は、蓋体110に取り付けられる前の安全弁403を上方(容器100の外方となる側)から見た場合の平面図である。
【0092】
同図に示すように、安全弁403は、上記実施の形態における安全弁400と同様に、溝部451〜453からなる溝部450と、突出部461〜463からなる突出部460とを有している。しかし、溝部451〜453は、上記実施の形態における安全弁400のように中心点において一点で交わってはおらず、中心点とは異なる位置の所定部分Rにおいて一点で交わっている。
【0093】
つまり、溝部451〜453は、所定部分Rから放射状に延びる3つの溝部であり、当該所定部分Rの周方向において同一周方向に凸の曲線形状を有している。なお、溝部451〜453は、隣り合う2つの溝部同士の角度が同一角度となるように配置されているのが好ましいが、当該角度は同一角度には限定されない。
【0094】
このように、溝部451〜453のそれぞれは、所定部分から放射状に延び、当該所定部分の周方向において同一周方向に凸の曲線形状を有している形状であれば、異なる曲線形状を有している構成でもかまわない。また、同様に、突出部461〜463のそれぞれは、同一形状となるように形成されていなくともかまわない。
【0095】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例3に係る蓄電素子によれば、安全弁403が溝部450及び突出部460を有しているため、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0096】
(変形例4)
次に、上記実施の形態の変形例4について、説明する。上記実施の形態では、安全弁400は容器100の蓋体110に配置されていることとした。しかし、本変形例では、安全弁400は、容器の本体に配置される。
【0097】
図10は、本発明の実施の形態の変形例4に係る蓄電素子11の構成を示す斜視図である。
【0098】
同図に示すように、安全弁400は、容器101の蓋体112ではなく、本体113の側壁に配置されている。なお、安全弁400の配置位置は、同図の位置には限定されず、本体113の底壁に配置されていることにしてもよい。
【0099】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例4に係る蓄電素子11によれば、上記実施の形態と同様の安全弁400を有しているため、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0100】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0101】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、安全弁400は、容器の蓋体または本体とは独立して別体で形成されていることとした。しかし、安全弁400は、容器の蓋体または本体と一体に形成されている構成でもかまわない。
【0102】
また、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、上記実施の形態の変形例1〜3をそれぞれ組み合わせた構成や、上記実施の形態の変形例4に、上記実施の形態の変形例1〜3を適用した構成などでもかまわない。
【0103】
なお、本発明は、このような蓄電素子として実現することができるだけでなく、当該蓄電素子に備えられる安全弁として実現することもできる。