(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6299252
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】自己給電式電流測定装置
(51)【国際特許分類】
H02B 1/42 20060101AFI20180319BHJP
H02B 1/40 20060101ALI20180319BHJP
H02B 3/00 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
H02B1/42
H02B1/40 A
H02B3/00 Z
H02B3/00 M
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-23416(P2014-23416)
(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公開番号】特開2015-154501(P2015-154501A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年1月12日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「社会課題対応センサーシステム開発プロジェクト」共同研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000349
【氏名又は名称】特許業務法人 アクア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川原 慶喜
(72)【発明者】
【氏名】宮内 亮二
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−103622(JP,A)
【文献】
特開2002−354656(JP,A)
【文献】
特開平10−075510(JP,A)
【文献】
特開2011−120434(JP,A)
【文献】
特開2010−008108(JP,A)
【文献】
特開2013−233023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/42
H02B 1/40
H02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤の分岐配線に取り付けられる測定用クランプと、
前記分岐配線に流れる電流を測定する電流センサと、
前記分電盤の主幹配線に取り付けられ誘導起電によって生じた電力を前記電流センサに供給する誘導電源クランプと、
を備え、
前記電流センサは内部に充電装置を内蔵し、誘導電源クランプからの電力を当該充電装置に充電することにより、当該誘導電源クランプからの電力供給がない場合であっても、当該充電装置に充電された電力を前記電流センサに供給可能であることを特徴とする自己給電式電流測定装置。
【請求項2】
分電盤の分岐配線に取り付けられる測定用クランプと、
前記分岐配線に流れる電流を測定する電流センサと、
前記分電盤の主幹配線に取り付けられ誘導起電によって生じた電力を前記電流センサに供給する誘導電源クランプと、
を備え、
複数の前記分岐配線に複数の前記電流センサが取り付けられていて、前記誘導電源クランプにおいて誘導起電によって生じた電力を複数の前記電流センサに供給する分配器をさらに備えることを特徴とする自己給電式電流測定装置。
【請求項3】
前記電流センサは、前記測定した電流の電流値を無線によって送信可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の自己給電式電流測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤の分岐配線に流れる電流を測定する電流センサに自己給電可能な自己給電式電流測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分電盤では、系統からの主幹配線が主幹ブレーカに接続され、かかる主幹ブレーカには分岐ブレーカ(サブブレーカとも称される)が接続されている。分岐ブレーカには分岐配線が接続されていて、分岐配線を介して負荷への給電が行われる。分岐配線の電流値を測定する手段としては、例えば特許文献1のように分岐配線のそれぞれに電流検出器を配置する電流測定装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−120825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電流検出器において測定された分岐配線の電流値は、電流測定装置内の電流センサから外部に送信される。このため、電流測定装置では、電流センサを動作させるための電源が必要となる。しかしながら、電流測定装置は分電盤内に設けられることが多いものの、分電盤の内部に電源を設置することができるスペースが設けられていることは少ない。また電池式の電流センサを採用すれば、安定した電力供給が可能となるが、この場合、電池のサイズに制約が生じたり、電池交換等のメンテナンスが煩雑になったりするという課題がある。
【0005】
なおクランプ式の電流測定センサにおいては、測定対象となる電線からの電磁誘導によって電源を得ることが考えられる。しかしながら分電盤の分岐配線においては、必ずしも接続された機器が使用されているとは限らず、常に電流が流れているわけではない。すると測定対象となる分岐配線からの電磁誘導では電流が流れていない場合にはセンサが動作できないことになり、センサの故障か、電波状態が悪いのか、電流が流れていないのかの判別をすることができない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、外部電源を必要とすることなく、電流センサへの安定した電力供給を行うことが可能な電力制御システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる自己給電式電流測定装置の代表的な構成は、分電盤の分岐配線に取り付けられる測定用クランプと、分岐配線に流れる電流を測定する電流センサと、分電盤の主幹配線に取り付けられ誘導起電によって生じた電力を電流センサに供給する誘導電源クランプと、を備えていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、誘導電源クランプにおいて誘導起電によって生じた電力が電流センサに供給されるため、安定した電力供給が可能となる。また自己給電式であるため外部電源が不要であり、誘導電源クランプを設置するスペースのみしか必要としない。したがって、分電盤内に電源を設置するスペースがない場合であっても本発明を適用することが可能となる。
【0009】
上記電流センサは、測定した電流の電流値を無線によって送信可能であるとよい。かかる構成により、電流値の送信に用いる配線が不要となるため、装置の簡略化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外部電源を必要とすることなく、電流センサへの安定した電力供給を行うことが可能な電力制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態にかかる自己給電式電流測定装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態にかかる自己給電式電流測定装置を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態の自己給電式電流測定装置(以下、電流測定装置100と称する)は、分電盤100aの内部に配置される。分電盤100aは、一般的にはスチール製の箱状の筐体で囲われている。分電盤100aでは、系統(不図示)からの電力を供給する主幹配線102a・102b・102cが主幹ブレーカ110に接続されている。主幹ブレーカ110には分岐ブレーカ120a・120b・120c・120dが接続されていて、この分岐ブレーカ120a〜120dに接続される分岐配線122a・122b・122c・122dを通じて負荷(不図示)への給電が行われる。
【0014】
分岐配線122a〜122dには測定用クランプ130a・130b・130c・130dが取り付けられている。この測定用クランプ130a〜130dは電流センサ140に接続されていて、かかる電流センサ140において分岐配線122a〜122dに流れる電流が測定される。また本実施形態の特徴として、主幹配線102a〜102cには誘導電源クランプ150が取り付けられている。
【0015】
誘導電源クランプ150は電流センサ140に接続されている。これにより、誘導電源クランプ150において誘導起電によって生じた電力が電流センサ140に供給される。ここで、個々の分岐配線122a〜122dにおいては、必ずしも接続された機器が使用されているとは限らず、常に電流が流れているわけではない。しかしながら、いずれかの分岐配線122a〜122dで電力を使用していれば主幹配線102a〜102cには電流が流れている。換言すれば、主幹配線102a〜102cには常に電流が流れている。このように測定対象の配線である分岐配線122a〜122d以外の配線、すなわち主幹配線102a〜102cを有する分電盤100aであるからこそ、電流センサ140を動作させるための電力を自己給電することができる。したがって、分電盤100a内において、電流センサ140が動作するための電力を常に安定して供給することが可能となる。
【0016】
また電流センサ140が動作するための電力を自己給電することができるため、外部電源は不要である。したがって、装置コストの削減を図ることが可能となる。更に、誘導電源クランプ150を設置するスペースのみしか必要としないため、分電盤100a内に電源(コンセント)が設置されていない場合であっても本発明を適用することが可能である。
【0017】
上記の電流センサ140は、測定した電流の電流値を無線によって送信可能であるとよい。これにより、電流値の送信に用いる配線が不要となるため、装置の簡略化ひいては装置コストの削減を図ることが可能となる。
【0018】
更に本実施形態では、発信器となる電流センサ140の内部に充電装置144を内蔵している。このように充電装置144を備えることにより、誘導電源クランプ150からの電力を充電装置144に充電し、誘導電源クランプ150からの電力からの電力の供給がない場合に充電装置144に充電された電力によって電流センサ140による電流値の送信が可能となる。したがって、電流センサ140の動作の安定性が確保される。
【0019】
上記の充電装置144としては、例えばキャパシタを例示することができるが、これに限定するものではなく、他の充電可能な装置であってもよい。また本実施形態では、充電装置140の内部に充電装置144を内蔵する構成を例示したが、これにおいても限定されず、充電装置144は、電流センサ140と別体であってもよく、分電盤100aの内部の他の箇所に配置されていてもよい。
【0020】
図2は、
図1に示す電流測定装置100の変形例である。
図2に示す変形例では、
図1において分電盤100a内に設けられている電流センサ140に替えて、分岐配線122a〜122dそれぞれに電流センサ142a・142b・142c・142dが取り付けられている。また
図2に示す変形例では、分電盤100a内に分配器160が設けられていて、電流センサ142a〜142dはかかる分配器160に接続されている。同様に、主幹配線102cに取り付けられている誘導電源クランプ150も分配器160に接続されている。かかる構成によれば、誘導電源クランプ150において誘導起電によって生じた電力が分配器160を介して電流センサ142a〜142dに供給されるため、
図1に示す電流測定装置100と同様の効果を得ることができる。
【0021】
なお、
図2では、分配器160を介して誘導電源クランプ150からの電力を電流センサ142a〜142dに供給する構成を例示したが、これに限定するものではない。
図2に示す分配器160は必ずしも設ける必要はなく、誘導電源クランプ150を電流センサ142a〜142dに接続し、誘導電源クランプ150から直接電力を供給する構成としても同様の効果を得ることが可能である。
【0022】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、分電盤の分岐配線に流れる電流を測定する電流センサに自己給電可能な自己給電式電流測定装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
100…電流測定装置、100a…分電盤、102a…主幹配線、102b…主幹配線、102c…主幹配線、110…主幹ブレーカ、120a・120b・120c・120d…分岐ブレーカ、122a・122b・122c・122d…分岐配線、130a・130b・130c・130d…測定用クランプ、140・142a・142b・142c・142d…電流センサ、144…充電装置、150…誘導電源クランプ、160…分配器