(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1導電型の半導体基板の表面層に設けられた第2導電型のドリフト領域、および、前記ドリフト領域に接して前記半導体基板の表面層に設けられた第2導電型のドレイン領域を有する電界効果型トランジスタと、
前記ドレイン領域の内部に選択的に設けられた第1導電型半導体領域と、
前記第1導電型半導体領域の内部に選択的に設けられた第1の第2導電型半導体領域と、
前記第1の第2導電型半導体領域と離れて、前記第1導電型半導体領域の内部に選択的に設けられた第2の第2導電型半導体領域と、
前記第1の第2導電型半導体領域に接続され、外部から入力電圧が入力される第1電極配線と、
前記ドレイン領域および前記第2の第2導電型半導体領域に接続された第2電極配線と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置、スイッチング電源用制御ICおよびスイッチング電源装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる半導体装置の構成について説明する。
図1,2は、この発明の実施の形態1にかかる半導体装置の要部を示す平面図である。また、
図3は、
図1,2に示す半導体装置を切断線X1−X1’で切断した断面図である。
図4は、
図1,2に示す半導体装置を切断線X2−X2’で切断した断面図である。
図1には、半導体基板内部の不純物拡散領域および半導体基板上のポリシリコン層までの下層構造を示している。
図2は、
図1に続き半導体基板上の層間絶縁膜、コンタクトおよび金属配線などの上層構造を示している。この半導体装置は、スイッチング電源用制御IC(以下、制御ICとする)に内蔵される起動回路の起動素子を構成する。ここでは、JFETを備えた起動素子を例に説明する。
【0022】
図1〜4に示すように、p型基板(半導体基板)100の表面層には、ゲート領域103となるp型ウェル領域が選択的に設けられている。ゲート領域103は、活性領域の周囲を囲む周辺領域であり、p型基板100と同電位となっている。活性領域は、オン状態のときに電流が流れる領域である。周辺領域は、ドリフト領域102の電界を緩和し耐圧を保持する機能を有する。また、p型基板100の表面層には、ゲート領域103の内側に、空乏領域となる低不純物濃度のドリフト領域102となる低不純物濃度のn
-型ウェル領域が設けられている。ドリフト領域102は、チャネルが形成されるチャネル領域となる。
【0023】
ドリフト領域102は、ゲート領域103の一部に所定の幅で入り込むように選択的に設けられている。ドリフト領域102の、ゲート領域103に入り込んだ箇所には、ソース領域104となる高不純物濃度のn型領域が設けられている。ソース領域104は、ドリフト領域102の、ゲート領域103に入り込んだ箇所の例えばすべてに設けられている。また、p型基板100の表面層には、ソース領域104と対向して、かつソース領域104と離れた箇所に、ドレイン領域101となるn型ウェル領域が設けられている。
【0024】
具体的には、ドレイン領域101は、p型基板100の表面層の、ドリフト領域102の中心部分にドリフト領域102と接するように設けられている。同一半導体基板上に複数のJFETが設けられている場合、ドレイン領域101は複数のJFETに共通のドレイン領域である。ソース領域104は、ドレイン領域101から等間隔となる円周上に配置されている。ドレイン領域101およびソース領域104は、例えば同一のマスクを用いたイオン注入および拡散により同時に形成される。ドレイン領域101およびソース領域104の深さは、例えばドリフト領域102の深さよりも深い。
【0025】
ドリフト領域102がゲート領域103に接する箇所には、ドレイン領域101を囲むように、かつゲート領域103とドリフト領域102とに跨がるように、例えばポリシリコン層からなるゲートポリシリコン電極105が設けられている。ゲートポリシリコン電極105は、フィールドプレートとして機能する。ソース領域104が設けられている箇所では、ゲートポリシリコン電極105は、ドリフト領域102上のLOCOS酸化膜106上に設けられている。LOCOS酸化膜106、ゲートポリシリコン電極105、ゲート領域103、ソース領域104およびドレイン領域101の上には、第1層間絶縁膜107が設けられている。
【0026】
ドレイン領域101の内部には、入力電圧の低下を検出するための入力電圧検出手段としてnpn型素子(npn型バイポーラトランジスタ)83が設けられている。具体的には、ドレイン領域101の基板表面側の表面層には、npn型素子83のベース領域として機能するp型領域(第1導電型半導体領域)110が選択的に設けられている。p型領域110の基板表面側の表面層には、npn型素子83のコレクタ領域(第1の第2導電型半導体領域)111として機能するn型領域と、npn型素子83のエミッタ領域(第2の第2導電型半導体領域)112として機能するn型領域とが互いに離れて選択的に設けられている。すなわち、npn型素子83は、起動素子と同一半導体基板(チップ)上に一体的に設けられている。
【0027】
第1層間絶縁膜107の上には、npn型素子83のコレクタ電極配線(第1電極配線)121となる金属配線、npn型素子83のエミッタ電極配線と起動素子のドレイン電極配線とを兼ねる金属配線(以下、エミッタ・ドレイン電極配線とする、第2電極配線)122、起動素子のソース電極配線(第3電極配線)123となる金属配線、および起動素子のゲート電極配線(第4電極配線)124となる金属配線が設けられている(薄いハッチング部分)。コレクタ電極配線121は、ドレイン領域101の上に設けられ、例えば略円形状の平面形状を有する。コレクタ電極配線121は、第1層間絶縁膜107を貫通するコレクタコンタクト部125を介して、npn型素子83のコレクタ領域111に電気的に接続されている。
【0028】
エミッタ・ドレイン電極配線122は、コレクタ電極配線121を囲むように、エミッタ領域112およびドレイン領域101の上に設けられている。エミッタ・ドレイン電極配線122は、第1層間絶縁膜107を貫通するエミッタコンタクト部126aおよびドレインコンタクト部126bを介して、エミッタ領域112およびドレイン領域101に電気的に接続されている。すなわち、エミッタ・ドレイン電極配線122によって、npn型素子83のエミッタ領域112と起動素子のドレイン領域101とが電気的に接続されている。ドレイン領域101の内部には、ドレインコンタクト部126bとの接触箇所にn
+型高濃度領域113が設けられていてもよい。
【0029】
ソース電極配線123は、エミッタ・ドレイン電極配線122を囲むように、ソース領域104の上に設けられている。ソース電極配線123は、第1層間絶縁膜107を貫通するソースコンタクト部127を介して、ソース領域104に電気的に接続されている。ソース領域104の内部には、ソースコンタクト部127との接触箇所にn
+型高濃度領域115が設けられていてもよい。ゲート電極配線124は、ドレイン領域101、ドリフト領域102およびソース領域104を取り囲むように、ゲート領域103の上に設けられている。ゲート電極配線124は、第1層間絶縁膜107を貫通するゲートコンタクト部128aおよびポリシリコンコンタクト部128bを介して、ゲート領域103およびゲートポリシリコン電極105に電気的に接続されている。ゲート領域103の内部には、ゲートコンタクト部128aとの接触箇所にp
+型高濃度領域114が設けられていてもよい。
【0030】
コレクタ電極配線121、エミッタ・ドレイン電極配線122、ソース電極配線123、およびゲート電極配線124の上には、第2層間絶縁膜108が設けられている。第2層間絶縁膜108の上には、起動回路のVH端子(高耐圧入力端子)に接続される第1金属配線(第1電極配線)131、基板電位の第2金属配線(第4電極配線)132、および、起動回路のBO端子(ブラウンアウト入力端子)に接続される第3金属配線(第3電極配線)133が設けられている。起動回路の構成の一例については後述する。
図2には、符号132の付された2つの円に挟まれた部分が第2金属配線132であり、符号133の付された2つの円に挟まれた部分が第3金属配線133である。
【0031】
第1金属配線131は、例えば略円形状の平面形状を有し、コレクタ電極配線121およびエミッタ・ドレイン電極配線122の上に設けられる。第1金属配線131は、第2層間絶縁膜108を貫通するビア134を介してコレクタ電極配線121に電気的に接続され、npn型素子83のコレクタ領域111に電気的に接続されている。また、第1金属配線131は、起動素子の入力端子とnpn型素子83の入力端子とを兼ねる。コレクタ電極配線121および第1金属配線131の2層構造によって半導体基板(チップ)の外部にコレクタ電位を引き出すことにより、金属ワイヤを接続するために占有面積を広くした第1金属配線131を最表面に有効的に配置することができるため、小型化を図ることができる。
【0032】
第2金属配線132は、第1金属配線131を囲むように、ソース電極配線123およびゲート電極配線124の上に設けられている。第2金属配線132は、第2層間絶縁膜108を貫通するビア135を介してゲート電極配線124に電気的に接続され、ゲート領域103およびゲートポリシリコン電極105に電気的に接続されている。これによって、ゲートポリシリコン電極105にはp型基板100と同電位が与えられる。第3金属配線133は、第2金属配線132を囲むように、ソース電極配線123およびゲート電極配線124の上に設けられている。第3金属配線133は、第2層間絶縁膜108を貫通するビア136を介してソース電極配線123に電気的に接続され、ソース領域104に電気的に接続されている。
図2には、下段の各配線のコンタクト部よりも粗い破線で第1〜3ビア134〜136を示す。
【0033】
このような構成の起動素子では、高耐圧化のための構造をゲート領域103とドリフト領域102との接合が担当し、大電流のための構造をソース領域104が担当するように役割分担しているので、高耐圧化と低オン抵抗化を両立することができる。ドレイン領域101に電圧が印加されるとドレイン電流が放射状に流れる。ソース領域104が正電位にバイアスされ、この電位が上昇してある電位になるとドリフト領域102が空乏層によりカットオフされ、ドレイン電流が遮断される。
【0034】
次に、実施の形態1にかかる半導体装置の動作について説明する。
図5は、実施の形態1にかかる半導体装置の等価回路を示す回路図である。
図5には、第1〜3金属配線131〜133の接続箇所を端子の記号で示す。上述した実施の形態1にかかる半導体装置(起動素子)において、第1金属配線131に入力電圧が印加されたときにドレイン領域101を流れる電流は、ドリフト領域102およびソース領域104を通り、ソース電極配線123から第3金属配線133を通る経路を経て、第3金属配線133に接続された後段の回路部へと流れる。これによって、起動回路の後段の回路部へと起動電流が供給される。
図5に示すように、この起動素子は、入力端子(第1金属配線131)とJFET81との間に、JFET81に直列にnpn型素子83を接続した回路構成となる。
【0035】
第1金属配線131に入力電圧が印加されたときにJFET81に流れる電流は、JFET81の高電位側(前段)に配置されたnpn型素子83によって変化する。この電流変化を利用して入力電圧検出を実現する。具体的には、JFET81の高電位側に配置されたnpn型素子83が導通状態にならない場合、JFET81に電流が供給されない。このため、npn型素子83のブレイクダウン開始電圧(降伏開始電圧)をnpn型素子83によって検出する所定電圧の最大値(以下、検出閾値電圧とする)とし、検出閾値電圧よりも低い電圧ではパンチスルーしないようにnpn型素子83を設計する。npn型素子83の耐圧は、入力電圧検出レベルとする(例えばコレクタ−エミッタ間電圧VBceo=80V程度)。
【0036】
npn型素子83はJFET81のドレインに直列接続されているため、入力端子に入力電圧が印加されたときにJFET81に流れる電流は、npn型素子83がブレイクダウンするまで(入力電圧が検出閾値電圧未満であるとき)は逆方向飽和電流程度の微小電流である。一方、入力端子に印加された入力電圧がnpn型素子83のブレイクダウン開始電圧以上である(入力電圧が検出閾値電圧以上である)場合には、npn型素子83が導通して、JFET81に流れる電流が急激に増加する。これによって、JFET81に流れる電流は、npn型素子83を設けない場合にJFET81に本来流れる電流量となるため、JFET81をほぼ通常どおり動作させることができる。したがって、JFET81に流れる電流が微小電流であることを検出することで入力電圧の低下を検出し、起動回路の後段の回路部への起動電流の供給を停止すればよい。
【0037】
すなわち、入力電圧が制御ICの動作電圧よりも低いときには(入力電圧検出レベル)、npn型素子83によってJFET81を動作させないことにより、起動回路の後段の回路部への起動電流の供給が停止される。これによって、起動回路の後段の例えばBOコンパレータなどによってブラウンアウト保護機能を実現することができる。このため、制御ICの通常の動作電圧レベルの入力電圧が印加されたときに、起動回路の後段の回路部へ起動電流を供給可能な状態(すなわち導通状態)となるようにnpn型素子83の諸条件が設定されていればよい。npn型素子83の諸条件とは、例えば、npn型素子83を構成するp型領域110、コレクタ領域111およびエミッタ領域112の寸法や不純物濃度などである。
【0038】
次に、実施の形態1にかかるスイッチング電源装置の構成について説明する。
図6は、この発明の実施の形態1にかかるスイッチング電源装置の構成の一例を示す回路図である。
図6に示す実施の形態1にかかるスイッチング電源装置は、AC入力を整流平滑して制御IC31のVH端子32に供給するようにしたものである。制御IC31は、起動回路41内に上述した起動素子(不図示)を内蔵している。すなわち、起動回路41内の起動素子は、AC入力の低下を検出するnpn型素子を備える(
図1参照)。
【0039】
制御IC31は、例えば500V程度のVH端子32、フィードバック入力端子(以下、FB端子とする)33、電流センス入力端子(以下、IS端子とする)34、制御IC31の電源電圧端子(以下、VCC端子とする)35、MOSFET19のゲート駆動端子(以下、OUT端子とする)36、および接地端子(以下、GND端子とする)37を有する。VH端子32は、電源起動時にVCC端子35に電流を供給する端子である。例えばAC入力電圧を整流平滑した電圧がVH端子32に印加される。GND端子37は、接地されている。
【0040】
AC入力は、AC入力端子1を介して整流器2に供給される。整流器2は、AC入力端子1に接続されており、AC入力を全波整流する。電源コンデンサ3は、整流器2の出力端子に並列に接続されており、整流器2から出力される直流電圧により充電される。充電された電源コンデンサ3は、トランス5の一次コイル6に直流電圧を供給する直流電源となる。また、電源コンデンサ3には、制御IC31のVH端子32が接続されている。整流器2の出力端子と制御IC31のVH端子32との接続点は、
図5の高電位側の端子の接続点(すなわち
図1の第1金属配線131の接続箇所)に相当する。
【0041】
一次コイル6は、電源コンデンサ3と、スイッチング素子として機能するMOSFET19のドレイン端子との間に接続されている。MOSFET19のソース端子は、制御IC31のIS端子34と、抵抗20の一端に接続されている。抵抗20の他端は、接地されている。この抵抗20により、MOSFET19を流れる電流が電圧に変換され、その電圧がIS端子34に印加される。MOSFET19のゲート端子は、制御IC31のOUT端子36に接続されている。
【0042】
トランス5の補助コイル7の一端は、整流ダイオード17のアノード端子に並列に接続されている。補助コイル7の他端は、接地されている。補助コイル7には、MOSFET19のスイッチング動作により誘起された電流が流れる。整流ダイオード17は、補助コイル7を流れる電流を整流し、そのカソード端子に接続された平滑コンデンサ18を充電する。平滑コンデンサ18は、制御IC31のVCC端子35に接続されており、MOSFET19のスイッチング動作を継続させるための直流電源となる。
【0043】
トランス5の二次コイル8には、MOSFET19のスイッチング動作により、電源コンデンサ3の電圧に基づいた電圧が誘起される。二次コイル8の一端は、整流ダイオード9のアノード端子に接続されている。整流ダイオード9のカソード端子および二次コイル8の他端は、DC出力端子12に接続されている。また、整流ダイオード9のカソード端子と二次コイル8の他端との間には、平滑コンデンサ10が接続されている。整流ダイオード9は、二次コイル8を流れる電流を整流し、平滑コンデンサ10を充電する。充電された平滑コンデンサ10は、DC出力端子12に接続される図示しない負荷に、所望の直流電圧値になるように制御された直流出力(DC出力)を供給する。
【0044】
また、整流ダイオード9のアノード端子とDC出力端子12の接続ノードには、2つの抵抗15,16からなる抵抗分圧回路と、抵抗11の一端が接続されている。抵抗11の他端は、フォトカプラを構成するフォトダイオード13のアノード端子に接続されている。フォトダイオード13のカソード端子は、シャントレギュレータ14のカソード端子に接続されている。シャントレギュレータ14のアノード端子は、接地されている。これら抵抗11,15,16、フォトダイオード13およびシャントレギュレータ14は、平滑コンデンサ10の両端の直流出力電圧を検出し、この直流出力電圧を調整する電圧検出・フィードバック回路を構成している。
【0045】
フォトダイオード13からは、シャントレギュレータ14での設定値に基づいて平滑コンデンサ10の両端の直流出力電圧を所定の直流電圧値に調整するように、光信号が出力される。その光信号は、フォトダイオード13とともにフォトカプラを構成するフォトトランジスタ22により受信され、制御IC31へのフィードバック信号となる。フォトトランジスタ22は、制御IC31のFB端子33に接続されており、フィードバック信号は、このFB端子33に入力される。また、フォトトランジスタ22には、コンデンサ21が接続されている。このコンデンサ21は、フィードバック信号に対するノイズフィルタとなる。
【0046】
制御IC31には、起動回路41、低電圧停止回路(UVLO:Under−Voltage−Lock−Out)42、レギュレータ43、BOコンパレータ44、発振器45、ドライバ回路46、出力アンプ47、パルス幅変調コンパレータ(以下、PWMコンパレータとする)48、ラッチ回路49および基準電源50を備えている。起動回路41は、VH端子32、VCC端子35、およびBOコンパレータ44の非反転入力端子に接続されている。起動回路41は、電源の起動時に、VCC端子35に電流を供給する。
【0047】
低電圧停止回路42は、VCC端子35および起動回路41に接続されている。低電圧停止回路42は、起動回路41から供給される電流によりVCC端子35の電圧が制御IC31の動作に必要な電圧まで上昇すると、起動回路41からVCC端子35への電流の供給を停止させる。その後のVCC端子35への電流供給は、補助コイル7から行われる。レギュレータ43は、VCC端子35に接続されており、VCC端子35の電圧に基づいて、制御IC31の各部の動作に必要な基準電圧を生成する。電源が起動した後、制御IC31は、レギュレータ43から出力される基準電圧により駆動される。
【0048】
PWMコンパレータ48の反転入力端子および非反転入力端子は、それぞれ、IS端子34およびFB端子33に接続されている。PWMコンパレータ48は、反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電圧の大小関係により、出力を反転させる。PWMコンパレータ48の出力は、ドライバ回路46に入力される。
【0049】
ドライバ回路46には、発振器45が接続されており、発振器45から発振信号が入力される。発振器45からドライバ回路46にターンオン信号が入力され、かつPWMコンパレータ48の非反転入力端子の電圧(すなわち、FB端子33の電圧)が反転入力端子の電圧(すなわち、IS端子34の電圧)よりも大きいときに、ドライバ回路46の出力信号は、Hi状態になる。出力アンプ47は、ドライバ回路46から出力されるHi状態の信号を増幅し、OUT端子36を介してMOSFET19のゲートを駆動する。
【0050】
一方、PWMコンパレータ48の反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧よりも大きくなると、PWMコンパレータ48が反転し、ドライバ回路46の出力信号は、Low状態になる。出力アンプ47は、ドライバ回路46から出力されるLow状態の信号を増幅し、OUT端子36を介してMOSFET19のゲートに供給する。従って、MOSFET19はオフ状態となり、MOSFET19に電流が流れなくなる。このように、2次側の出力電圧に応じてPWMコンパレータ48のスレッシュレベルを変化させて、MOSFET19のオン期間を可変制御することにより、2次側の出力電圧が安定化する。
【0051】
また、BOコンパレータ44の反転入力端子は、基準電源50に接続されている。BOコンパレータ44は、非反転入力端子の電圧と反転入力端子の電圧の大小関係により、出力を反転させる。BOコンパレータ44には、後述するように、起動回路41内のBO端子の電圧の信号が入力される。BOコンパレータ44の出力は、ドライバ回路46に入力される。
【0052】
ドライバ回路46からHi状態の信号が出力されている状態で、BOコンパレータ44の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧よりも大きいときには、ドライバ回路46の出力信号は、Hi状態のままである。AC入力からの電圧供給がなくなり、一次側の入力電圧が低下すると、BOコンパレータ44の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧よりも小さくなる。そうすると、ドライバ回路46の出力信号が反転してLow状態となり、MOSFET19のスイッチング動作が停止し、ブラウンアウト機能が働くことになる。
【0053】
ラッチ回路49は、ドライバ回路46に接続されている。ラッチ回路49は、二次側出力電圧の上昇、制御IC31の発熱、または二次側出力電圧の低下などの異常状態が検出されたときに、過電圧保護、過熱保護または過電流保護のためドライバ回路46の出力を強制Low状態とし、二次側出力への電力供給を停止する。この状態は、VCC電源電圧が低下し、制御IC31がリセットされるまで保持される。特に限定しないが、例えば、制御IC31の各回路等を構成する素子は、同一半導体基板上に集積される。
【0054】
図7は、
図6の起動回路の構成の一例を示す回路図である。
図7に示すように、起動回路41は、VH端子(高耐圧入力端子)61、BO端子62、on/off端子(オン/オフ信号入力端子)63およびVCC端子(電源電圧端子)64を備えている。VH端子61およびVCC端子64は、それぞれ、制御IC31のVH端子32およびVCC端子35に接続されている。on/off端子63は、低電圧停止回路42に接続されている。
【0055】
また、起動回路41は、起動素子65を備えている。起動素子65は、2つの高耐圧JFET(以下、第1,2のJFETとする)81,82と、npn型素子83と、を備えている。第1,2のJFET81,82は、ノーマリオン型の電界効果型接合トランジスタであり、それらのゲート端子は、接地されている。また、第1,2のJFET81,82のドレイン端子は、npn型素子83のエミッタ端子に共通接続されている。npn型素子83のコレクタ端子は、VH端子61に接続されている。
【0056】
BO端子62は、第1のJFET81のソース端子に抵抗73を介して接続されている。第1のJFET81のソース端子と抵抗73との接続点は、
図5の低電位側の端子の接続点(すなわち
図1の第3金属配線133の接続箇所)に相当する。また、BO端子62は、BOコンパレータ44の非反転入力端子に接続されている。すなわち、VH端子61への入力電圧は、npn型素子83による検出閾値電圧以上であったときに、BOコンパレータ44の非反転入力端子に入力される。VCC端子64にかかる電圧は例えば100V程度であり、BO端子62にかかる電圧は例えば20V程度である。
【0057】
また、第1のJFET81のソース端子は、第1のPMOSトランジスタ67のソース端子および第2のPMOSトランジスタ69のソース端子に接続されている。第1のPMOSトランジスタ67のゲート端子は、第2のPMOSトランジスタ69のゲート端子およびドレイン端子に共通接続されている。第2のPMOSトランジスタ69のドレイン端子は、負荷70に接続されている。第1のPMOSトランジスタ67のドレイン端子とVCC端子64の間には、第1のNMOSトランジスタ68が接続されている。
【0058】
第1のNMOSトランジスタ68のゲート端子は、抵抗66を介して第2のJFET82のソース端子に接続されている。また、第1のNMOSトランジスタ68のゲート端子は、第2のNMOSトランジスタ71のドレイン端子に接続されている。第2のNMOSトランジスタ71のゲート端子は、on/off端子63に接続されている。第2のNMOSトランジスタ71のソース端子は、接地されている。また、第2のNMOSトランジスタ71のゲート端子は、抵抗72を介して接地されている。
【0059】
このような構成の起動回路41では、第2のPMOSトランジスタ69の電圧電流特性と負荷70のインピーダンスによって、第2のPMOSトランジスタ69に流れる電流が決まる。第2のPMOSトランジスタ69と第1のPMOSトランジスタ67はカレントミラー接続になっている。第1のNMOSトランジスタ68は、on/off端子63を介して低電圧停止回路42から供給されるオン/オフ信号に基づいて、オン状態とオフ状態が切り替わるスイッチとして機能する。
【0060】
オン/オフ信号がLow状態の場合には、第2のNMOSトランジスタ71がオフ状態となり、第1のNMOSトランジスタ68のゲート端子に高い電圧が入力されるので、スイッチがオン状態となる。このスイッチがオン状態になることによって、上述した電源の起動時に、起動回路41から制御IC31のVCC端子35に電流が供給される。
【0061】
一方、オン/オフ信号がHi状態の場合には、第2のNMOSトランジスタ71がオン状態となり、第1のNMOSトランジスタ68のゲート電圧がゼロになるので、スイッチがオフ状態となる。従って、VH端子61とVCC端子64の間の電流経路が遮断されるので、起動回路41からVCC端子35への電流の供給が停止する。
【0062】
なお、第1のJFET81と第2のJFET82が1つのJFETから構成される場合もある。例えば、第1のJFET81のみで構成するものである場合は、第2のJFET82が不要となり、第2のJFET82のソース端子に接続されて、抵抗66と接続される配線は、第1のJFET81のソース端子に接続すればよい。
【0063】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、起動回路の入力端子と起動素子のドレインとの間にnpn型素子を直列に接続し、所定電圧未満の入力電圧でnpn型素子が導通しないように設計することで、抵抗分圧回路を用いることなく入力電圧の低下を検出することができる。これにより、抵抗分圧回路の消費電流による電力損失を低減することができるとともに、抵抗体によって高抵抗の抵抗分圧回路を構成する場合に生じる抵抗値のばらつきをなくすことができ、抵抗値のばらつきに基づく入力電圧の検出ばらつきをなくすことができる。
【0064】
また、実施の形態1によれば、抵抗体によって高抵抗の抵抗分圧回路を構成する場合に生じる問題を解決するためにトリミングなどの調整回路を付加しなくてよいため、回路構成を簡略化することができる。また、実施の形態1によれば、起動素子と同一半導体基板内に入力電圧検出手段となるnpn型素子が集積されているため、入力電圧検出手段を内蔵する制御ICが得られる。したがって、制御ICに外付けする部品の数が減るため、部品コストや組み立てコストの低減と、小型化を図ることができる。
【0065】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる半導体装置の構成について説明する。
図8は、この発明の実施の形態2にかかる半導体装置を示す断面図である。
図8に示すように、実施の形態2にかかる半導体装置は、起動素子65を構成する2個の高耐圧電界効果型トランジスタを、接合型のトランジスタ(実施の形態1のJFET81,82)に代えて、nチャネルの絶縁ゲート型のトランジスタ(NMOSFET)により構成したものである。以下、
図8を参照しながら、実施の形態2にかかる半導体装置が実施の形態1にかかる半導体装置と異なる点についてのみ、説明する。
【0066】
実施の形態1のJFETにおいてゲート領域となるp型ウェル領域は、実施の形態2のNMOSFETではp型ベース領域143となる。このp型ベース領域143は、チャネルが形成されるチャネル領域となる。ソース領域144は、p型ベース領域143内のp型基板100の表面層において、ドレイン領域101から等間隔となる円周上に、平面形状が環状をなすように設けられている。すなわち、ソース領域144は、連続する1つの領域として設けられている。
【0067】
したがって、実施の形態1にかかる半導体装置では、
図3に示す断面ではソース領域104が出現し、
図4に示す断面ではソース領域104が出現しないが、実施の形態2にかかる半導体装置では、いずれの断面でもp型ベース領域143とその中のソース領域144とが出現する。ソース領域144とドレイン領域101の内部のn
+型高濃度領域113とは、例えば拡散により同時に形成される、ソース領域144およびn
+型高濃度領域113の深さは、ドリフト領域102およびp型ベース領域143の深さよりも浅い。なお、n
+型高濃度領域113は設けられていなくてもよい。
【0068】
また、p型ベース領域143は、ドリフト領域102に接している。p型ベース領域143の、ドリフト領域102とソース領域144とに挟まれる部分の表面上には、ゲート絶縁膜145を介して制御電極であるゲートポリシリコン電極105が設けられている。ゲートポリシリコン電極105は、
図8と異なる断面において第1,2層間絶縁膜107,108の表面上に引き出され、図には現われていないゲート電極配線に接続される。ソース電極配線(第3電極配線)151となる金属配線は、第1層間絶縁膜107を貫通するソースコンタクト部152を介してp型ベース領域143とソース領域144との両方に電気的に接続されている。
【0069】
第3金属配線(第3電極配線)153は、第2層間絶縁膜108を貫通するビア154を介してソース電極配線151に電気的に接続され、p型ベース領域143およびソース領域144に電気的に接続されている。同一半導体基板上に複数のJFET(例えば第1,2のJFET81,82)が設けられている場合、ソース電極配線151は複数に分割されている。その理由は、ソース電極配線151を分割することにより、連続する1つの領域からなるソース領域144を、第1のJFET81に相当するNMOSFETと第2のJFET82に相当するNMOSFETのそれぞれのソース領域とするためである。
【0070】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0071】
(実施例)
次に、本発明にかかるnpn型素子を備えた起動素子の電圧−電流特性について説明する。
図9は、本発明にかかる半導体装置の電圧−電流特性を示す特性図である。上述した実施の形態1にかかる半導体装置(以下、実施例とする)の電圧−電流特性(ドレイン電圧とドレイン電流との関係)を検証した結果を
図9に実線で示す。具体的には、実施例(起動素子)に備えられているnpn型素子83の入力電圧検出手段としての機能を検証した。
図9には、入力電圧検出手段を備えていない起動素子単体(以下、比較例とする)の電圧−電流特性を一点鎖線で示し、入力電圧検出手段として抵抗分圧回路を備えた上記特許文献1の起動素子(以下、従来例とする)の電圧−電流特性を二点鎖線で示す。
【0072】
図9に示す結果より、実施例においては、npn型素子83による検出閾値電圧以上のドレイン電圧(動作電圧)が印加される動作領域で比較例とほぼ同様に動作し、ドレイン電圧が検出閾値電圧未満である場合には、ドレイン電流がほぼ流れず、動作しないことが確認された。一方、比較例では、ドレイン電圧が検出閾値電圧未満である場合にもドレイン電流が流れ、動作している。すなわち、実施例においては、npn型素子83によって入力電圧の低下を検出することができ、ブラウンアウト保護機能として実現することができることが確認された。また、実施例のnpn型素子83による検出判定電流値A1は従来例の抵抗分圧回路による検出判定電流値A2よりも大幅に小さく、実施例においては従来例よりも消費電流を低減することができることが確認された。
【0073】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、各実施の形態では、JFETやMOSFETなどの電界効果型トランジスタを備えた起動素子を例に説明したが、電界効果型トランジスタに代えて、ドリフト領域の電圧が高くなったときにドリフト領域を完全に空乏化させる素子や、入力電圧値に応じて抵抗値が変化するトランジスタ(スイッチ)を用いてもよい。また、各実施の形態では、スイッチング電源装置の制御ICを例に説明しているが、これに限らず、入力電圧が所定電圧未満である場合に電流を流さず(動作せず)、入力電圧が所定電圧以上である場合に電流を流す(動作する)機能を用いて構成される様々な集積回路に本発明を適用可能である。また、各実施の形態においては、円形状の平面形状を有する起動素子としたが、例えばトラック形状の平面形状を有する起動素子としてもよい。また、実施の形態中に記載した数値は一例であり、本発明はそれらの値に限定されるものではない。また、半導体装置の説明においては第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としたが、本発明は第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としても同様に成り立つ。