特許第6299555号(P6299555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6299555ワイヤハーネス防水用シート、防水シート付きワイヤハーネスおよびワイヤハーネスの簡易防水構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6299555
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス防水用シート、防水シート付きワイヤハーネスおよびワイヤハーネスの簡易防水構造
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/012 20060101AFI20180319BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   H01B13/012 D
   H01B7/00 301
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-215024(P2014-215024)
(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公開番号】特開2016-81860(P2016-81860A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 康雄
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】田端 正明
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−100811(JP,A)
【文献】 特開2005−056631(JP,A)
【文献】 特開平08−002348(JP,A)
【文献】 実開平05−046608(JP,U)
【文献】 特開2006−205812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/012
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両に取り付けられたワイヤハーネスを覆うことが可能な防水性を有するシートであって、
一面側には前記ワイヤハーネスの組み立てを指示する組立図が記され、前記組立図に従って前記ワイヤハーネスの組み立て及び固定が可能であるとともに、前記ワイヤハーネスを固定した状態で搬送可能となっており、搬送時には折り返されて前記ワイヤハーネスを内部に収容可能となっているワイヤハーネス防水用シート。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネス防水用シートがワイヤハーネスに取り付けられている防水シート付きワイヤハーネス。
【請求項3】
前記ワイヤハーネスには前記車両への固定を行う固定手段が取り付けられている請求項2に記載の防水シート付きワイヤハーネス。
【請求項4】
両に取り付けられたワイヤハーネスが請求項1に記載のワイヤハーネス防水用シートによって覆われているワイヤハーネスの簡易防水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネス防水用シート、ワイヤハーネス防水用シートが取り付けられている防水シート付きワイヤハーネス、およびワイヤハーネスの簡易防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に配索されるワイヤーハーネスにおいては、電線の端末部に接続されたコネクタ内に浸水することを防ぐべく防水コネクタを用いたり(例えば下記特許文献1に記載)、電線の端末部と端子金具との接続部位を樹脂部材で覆う(例えば下記特許文献2に記載)等の防水対策がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−44802号公報
【特許文献2】特開2013−187041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイヤハーネスは、水がかかりやすいところに取り付けられるものと、水がかかりにくいところに取り付けられるものとがある。上記のような完全な防水対策は高いコストを要するので、水がかかりにくいところに取り付けられるワイヤハーネスには簡易的な防水対策を施してコストを下げることが望ましい。また、水がかかりやすいところに取り付けられるワイヤハーネスには、完全な防水対策に簡易的な防水対策を重ねて施すことで、防水性のさらなる向上を図ることができると思われる。このため、ワイヤハーネスを簡易的に防水することが可能な手段が望まれていた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ワイヤハーネスを簡易的に防水することが可能なワイヤハーネス防水用シート、防水シート付きワイヤハーネスおよびワイヤハーネスの簡易防水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のワイヤハーネス防水用シートは、車両に取り付けられたワイヤハーネスを覆うことが可能な防水性を有するシートであって、一面側には前記ワイヤハーネスの組み立てを指示する組立図が記され、前記組立図に従って前記ワイヤハーネスの組み立て及び固定が可能であるとともに、前記ワイヤハーネスを固定した状態で搬送可能となっており、搬送時には折り返されて前記ワイヤハーネスを内部に収容可能となっているものである。
本発明の防水シート付きワイヤハーネスは、前記ワイヤハーネス防水用シートがワイヤハーネスに取り付けられているものである。
本発明のワイヤハーネスの簡易防水構造は、車両に取り付けられたワイヤハーネスが前記ワイヤハーネス防水用シートによって覆われているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のワイヤハーネス防水用シート、防水シート付きワイヤハーネスおよびワイヤハーネスの簡易防水構造によれば、ワイヤハーネス防水―とで覆われたワイヤハーネスは水滴の滴り等から保護されるので、ワイヤハーネスを簡易的に防水することができる。
また、ワイヤハーネス防水用シートにはワイヤハーネスの組み立てを指示する組立図が記されているため、この組立図に従ってワイヤハーネスの組み立て作業を行うことができる。つまり、組み立てが完了したワイヤハーネスにワイヤハーネス防水用シートを取り付ける作業を別途行わなくてもよいので、簡易防水に係る作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例におけるワイヤハーネス防水用シートを示す斜視図
図2】防水シート付きワイヤハーネスを示す正面図
図3】ワイヤハーネスが結束バンドによってワイヤハーネス防水用シートに固定された状態を示す一部拡大断面図
図4】ワイヤハーネスの簡易防水構造の第1例を示す概略図
図5】ワイヤハーネスの簡易防水構造の第2例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施例>
以下、本発明を具体化した一実施例について、図1図5を参照しつつ詳細に説明する。
本実施例におけるワイヤハーネス防水用シート(以下、単にシート10と称する)は、車両等に配索されたワイヤハーネス20を簡易防水するために使用されるものである。
シート10は、防水性を有する例えばビニール製であって、ワイヤハーネス20のほぼ全体を覆うことが可能な大きさを有する略長方形状をなしている。
【0011】
シート10の一面側には、図1に示すように、ワイヤハーネス20の組み立てを指示する組立図11が印刷されている。組立図11は、シート10の下側略半分に印刷されている。これにより、シート10は、組立図11が印刷されていてワイヤハーネス20の組み立て作業時にも有効に機能する組立兼用部10Aと、組立図11が印刷されておらず主としてワイヤハーネス20を覆うことに機能するカバー専用部10Bとを備えている。
【0012】
組立兼用部10Aおよびカバー専用部10Bは、シート10において組立兼用部10Aが下側、カバー専用部10Bが上側に配されるように設けられ、組立兼用部10Aを作業台にのせたときに、カバー専用部10Bが作業台の奥側に垂れ下がるようになっている。
【0013】
組立図11には、ワイヤハーネス20の組み立てに必要な指示、例えばワイヤハーネス20を構成する電線の長さ寸法や電線の分岐点における向き(角度)、電線に接続されるコネクタ21の接続位置や接続するコネクタ21の種類等に関する指示が記されている。また、組立図11には、コルゲートチューブ、クランプ22、プロテクタ等の外装部品の取り付け等に関する指示や、テープ巻き等に関する指示が記されている。
【0014】
次に、上記のようなシート10を用いてワイヤハーネス20を簡易防水する作業の一例を説明する。
まず、シート10を用いてワイヤハーネス20を組み立てる。シート10の組立兼用部10Aを図示しない作業台に広げて固定し、シート10の組立兼用部10Aに印刷された組立図11に従って、ワイヤハーネス20を組み立てつつ同ワイヤハーネス20をシート10に固定する。作業台へのシート10の固定は、組立兼用部10Aが作業台から滑り落ちない程度の固定でよく、その固定手段としては、例えば作業台に立設された固定具を、シート10に形成した貫通孔に通したり、また、例えばクリップ等によってシート10の周縁部と作業台の外縁部とを挟んで留める等、様々な手段を用いることができる。
【0015】
そして、組立作業員は、組立図11に従って、電線を布線したり、布線された電線の束を結束したり、電線にコネクタ21等の電気部品を結合したりする。また、ワイヤハーネス20を、合成樹脂製の結束バンド23により結束してシート10に固定する。結束バンド23は、図3に示すように、シート10に形成された2つの貫通孔を通ってシート10の裏側(組立図11が印刷された側とは反対側)に通され、表側(組立図11が印刷された側)でワイヤハーネス20を束ねて留められる。ワイヤハーネス20の固定は、シート10の複数個所においてなされる。
【0016】
また、組立作業員は、組立図11に従って、コルゲートチューブやクランプ22等、外装部品を取り付けたり、テープを巻き付ける等の作業を行う。
こうして、ワイヤハーネス20が組み立てられつつシート10に固定され、ワイヤハーネス20にシート10が固定された防水シート付きワイヤハーネス25が製造される。
【0017】
次に、防水シート付きワイヤハーネス25を作業台から取り外して、車両への配索工場にまとめて搬送する。この際、シート10は、内側にワイヤハーネス20を収納するように折り返され、カバー専用部10Bが組立兼用部10Aの表側に重ねられる。シート10に包まれたワイヤハーネス20は、絡まることなく収納箱内に積み重ねて収納され、車両への配索工場にまとめて搬送される。
【0018】
次に、ワイヤハーネス20を車両に取り付けて簡易防水対策を施す。防水シート付きワイヤハーネス25を、図4および図5に示すように、各種機器(例えば車両に関する各種制御を行うECUボックス31等)に接続するとともに、車両の所定部位(例えばリンフォース30等)に固定する。この際、防水シート付きワイヤハーネス25を、ワイヤハーネス20の上方がシート10によって覆われる向き、すなわちシート10の中心部(組立兼用部10Aとカバー専用部10Bとの境界部分)が上側、端部が下側に配される向きにする。そして、ワイヤハーネス20に取り付けられたクランプ22等の固定手段によってワイヤハーネス20をリンフォース30に固定し、ワイヤハーネス20の分岐線20Bに接続されたコネクタ21を、ECUボックス31のコネクタ31Cに接続する。なお、リンフォース30は、車両ボディ等に固定された中空の長尺状棒体であり、ECUボックス31は、連結部材32によってリンフォース30の下側に連結されている。
【0019】
そして、図4に示すように、シート10がワイヤハーネス20のみならずリンフォース30およびECUボックス31を含む全体を覆うようにする場合には、組立兼用部10Aをワイヤハーネス20の外側(リンフォース30およびECUボックス31と対向する側とは反対側)に垂れ下がらせ、カバー専用部10Bをリンフォース30およびECUボックス31の外側に垂れ下がらせる。これにより、シート10が、ワイヤハーネス20、リンフォース30およびECUボックス31に覆い被さった状態になる。
【0020】
また、図5に示すように、シート10がワイヤハーネス20のみを覆うようにする場合には、組立兼用部10Aをワイヤハーネス20の内側(リンフォース30およびECUボックス31と対向する側)に垂れ下がらせ、カバー専用部10Bがワイヤハーネス20の外側に垂れ下がらせる。カバー専用部10Bは、ワイヤハーネス20の上側において外側に折り返される。組立兼用部10Aは、ワイヤハーネス20とリンフォース30との間、およびECUボックス31とワイヤハーネス20との間に配される。クランプ22は、シート10の所定の位置に形成された貫通孔を介して外側に突出し、リンフォース30に固定される。また、ワイヤハーネス20の分岐線20Bのコネクタ21は、組立兼用部10Aに形成された貫通孔を通ってシート10の外側に引き出され、ECUボックス31に接続される。
【0021】
こうして、シート10を用いてワイヤハーネス20を簡易防水する作業が完了する。なお、図4および図5のいずれにおいても、シート10の下端は、ワイヤハーネス20およびECUボックス31よりも下側に至っている。
【0022】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
本実施例のシート10は、車両等に取り付けられたワイヤハーネス20を覆うことが可能な防水性を有するシートである。この構成によれば、シート10で覆われたワイヤハーネス20は水滴の滴り等から保護されるので、ワイヤハーネス20を簡易的に防水することができる。
【0023】
また、シート10には、ワイヤハーネス20の組み立てを指示する組立図11が記されている。この構成によれば、シート10の組立図11に従ってワイヤハーネス20の組み立て作業を行い、この作業においてワイヤハーネス20をシート10に取り付ければ、組み立てが完了したワイヤハーネスにシートを取り付ける作業を別途行わなくてもよいので、簡易防水にかかる作業を容易に行うことができる。
【0024】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、シート10が組立兼用部10Aとカバー専用部10Bとを備えているが、これに限らず、例えば車両等におけるワイヤハーネスの取付部位が、組立兼用部のみでワイヤハーネスを覆うことが可能な形態をなしているような場合には、カバー専用部を備えないものとしてもよい。
(2)上記実施例では、シート10は例えばビニール製とされれているが、これに限らず、シートは防水性を有していればどのような材料を用いてもよく、例えば防水加工をした布等であってもよい。
(3)上記実施例では、シート10の一面側に組立図11が印刷されているが、これに限らず、シートの両面に組立図を印刷してもよく、例えばシートの一面側と他面側とで異なる品番の組立図を記し、適宜組立図を選択することができるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0025】
10…シート(ワイヤハーネス防水用シート)
11…組立図
20…ワイヤハーネス
25…シート付きワイヤハーネス(防水シート付きワイヤハーネス)
図1
図2
図3
図4
図5