(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
U字状をなす合成樹脂製の継手本体の両端部には、少なくとも外周部が熱可塑性樹脂で形成された樹脂パイプを同方向に接続する第1の接続部及び第2の接続部を設け、各接続部の内周部には、熱可塑性樹脂製の第1熱融着部及び第2熱融着部を形成した熱融着継手であって、
U字状をなす前記継手本体における前記第1の接続部と前記第2の接続部との間が、前記第1の接続部及び前記第2の接続部を構成する合成樹脂で埋められており、
前記第1熱融着部と第2熱融着部とを、第1の接続部及び第2の接続部の軸線方向において重ならないように位置をずらして配置したことを特徴とする熱融着継手。
前記第1熱融着部及び第2熱融着部は、それぞれ熱可塑性樹脂中に第1電熱線及び第2電熱線がコイル状に巻回されて形成され、それらの第1電熱線と第2電熱線とが第1の接続部及び第2の接続部の軸線方向において重ならないように位置をずらして配置され、
前記第1の接続部と前記第2の接続部とは平行に延び、前記継手本体は第1の接続部側が第2の接続部側よりも長く形成され、前記第1の接続部の端面と前記第2の接続部の端面とが段差状に形成されており、
前記第2の接続部の端面は、前記第1電熱線に対して前記軸線方向に重なるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の熱融着継手。
U字状をなす合成樹脂製の継手本体の両端部には、少なくとも外周部が熱可塑性樹脂で形成された樹脂パイプを同方向に接続する第1の接続部及び第2の接続部を設け、各接続部の内周部には、熱可塑性樹脂製の第1熱融着部及び第2熱融着部を形成した熱融着継手であって、
前記第1熱融着部と第2熱融着部とを、第1の接続部及び第2の接続部の軸線方向において重ならないように位置をずらして配置し、
前記第1熱融着部及び第2熱融着部は、それぞれ熱可塑性樹脂中に第1電熱線及び第2電熱線がコイル状に巻回されて形成され、それらの第1電熱線と第2電熱線とが第1の接続部及び第2の接続部の軸線方向において重ならないように位置をずらして配置され、
前記第1電熱線と第2電熱線との間の合成樹脂中には、第1電熱線の発熱による熱伝播と第2電熱線の発熱による熱伝播とを遮断する断熱層が介在されていることを特徴とする熱融着継手。
U字状をなす合成樹脂製の継手本体の両端部には、少なくとも外周部が熱可塑性樹脂で形成された樹脂パイプを同方向に接続する第1の接続部及び第2の接続部を設け、各接続部の内周部には、熱可塑性樹脂製の第1熱融着部及び第2熱融着部を形成した熱融着継手であって、
前記第1熱融着部と第2熱融着部とを、第1の接続部及び第2の接続部の軸線方向において重ならないように位置をずらして配置し、
前記第1熱融着部及び第2熱融着部は、それぞれ熱可塑性樹脂中に第1電熱線及び第2電熱線がコイル状に巻回されて形成され、それらの第1電熱線と第2電熱線とが第1の接続部及び第2の接続部の軸線方向において重ならないように位置をずらして配置され、
前記第1電熱線の一端と第2電熱線の一端とを接続し、第1電熱線の他端に端子を設けるとともに第2電熱線の他端にも端子を設け、両端子間に通電するように構成したことを特徴とする熱融着継手。
U字状をなす合成樹脂製の継手本体の両端部には、少なくとも外周部が熱可塑性樹脂で形成された樹脂パイプを同方向に接続する第1の接続部及び第2の接続部を設け、各接続部の内周部には、熱可塑性樹脂製の第1熱融着部及び第2熱融着部を形成した熱融着継手であって、
前記第1熱融着部と第2熱融着部とを、第1の接続部及び第2の接続部の軸線方向において重ならないように位置をずらして配置し、
前記第1熱融着部及び第2熱融着部は、それぞれ熱可塑性樹脂中に第1電熱線及び第2電熱線がコイル状に巻回されて形成され、それらの第1電熱線と第2電熱線とが第1の接続部及び第2の接続部の軸線方向において重ならないように位置をずらして配置され、
前記第1の接続部及び第2の接続部の隣接位置には、別の樹脂パイプを同方向に接続する第4の接続部及び第3の接続部が設けられ、第3の接続部の第3電熱線と第4の接続部の第4電熱線とを、第3の接続部及び第4の接続部の軸線方向において重ならないように位置をずらして配置したことを特徴とする熱融着継手。
前記第3電熱線と隣接する第2電熱線とを、軸線方向において重ならないように位置をずらして配置するとともに、第4電熱線と隣接する第1電熱線とを、軸線方向において重ならないように位置をずらして配置した請求項5に記載の熱融着継手。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載されている従来構成の湾曲継手においては、両受口がそれらの軸線方向の同一位置に設けられ、第1直管及び第2直管が各受口に対して軸線方向の同一位置で熱融着されている。このため、湾曲継手の両受口と第1直管及び第2直管との双方の発熱による熱伝播の重なりによって異常発熱を引き起こし、湾曲継手の一部が溶損するおそれがある。
【0006】
また、この熱融着に関し、湾曲継手の両受口に電熱線が埋設された熱融着部を形成し、各受口に第1直管及び第2直管を挿入した状態で各電熱線に通電して各受口と第1直管及び第2直管とを熱融着する方法が考えられる。
【0007】
しなしながら、その場合に各受口の電熱線に同時に通電すると、両電熱線が軸線方向の同一位置で対向して配置されていることから、両電熱線の発熱による熱伝播の重なりによって異常発熱を引き起こし、湾曲継手の一部が溶損するおそれがある。このため、一方の電熱線に通電して第1直管を熱融着した後、他方の電熱線に通電して第2直管を熱融着すると、第1直管及び第2直管の接続作業の作業時間が増大して作業効率が低下するという問題があった。
【0008】
そこで本発明の目的とするところは、樹脂パイプの接続作業効率を維持しつつ、異常発熱を抑えて損傷を抑制することができる熱融着継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の熱融着継手は、U字状をなす合成樹脂製の継手本体の両端部には、少なくとも外周部が熱可塑性樹脂で形成された樹脂パイプを同方向に接続する第1の接続部及び第2の接続部を設け、各接続部の内周部には、熱可塑性樹脂製の第1熱融着部及び第2熱融着部を形成した熱融着継手であって、前記第1熱融着部と第2熱融着部とを、第1の接続部及び第2の接続部の軸線方向において重ならないように位置をずらして配置したことを特徴とする。
【0010】
前記第1熱融着部及び第2熱融着部は、それぞれ熱可塑性樹脂中に第1電熱線及び第2電熱線がコイル状に巻回されて形成され、それらの第1電熱線と第2電熱線とが第1の接続部及び第2の接続部の軸線方向において重ならないように位置をずらして配置されていることがこのましい。
【0011】
前記第1電熱線と第2電熱線との間の最短の間隔は、第1電熱線と第2電熱線が前記軸線方向の同位置にあったとしたときの第1電熱線と第2電熱線との間隔より広くなるように設定することが好ましい。
【0012】
前記第1電熱線と第2電熱線との間の架橋樹脂中には、第1電熱線の発熱による熱伝播と第2電熱線の発熱による熱伝播とを遮断する断熱層が介在されていることが好ましい。
前記第1電熱線の一端と第2電熱線の一端とを接続し、第1電熱線の他端に端子を設けるとともに第2電熱線の他端にも端子を設け、両端子間に通電するように構成することが好ましい。
【0013】
前記第1の接続部及び第2の接続部の隣接位置には、別の樹脂パイプを同方向に接続する第4の接続部及び第3の接続部が設けられ、第3の接続部の第3電熱線と第4の接続部の第4電熱線とを、第3の接続部及び第4の接続部の軸線方向において重ならないように位置をずらして配置することが好ましい。
【0014】
前記第3電熱線と隣接する第2電熱線とを、軸線方向において重ならないように位置をずらして配置するとともに、第4電熱線と隣接する第1電熱線とを、軸線方向において重ならないように位置をずらして配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の熱融着継手によれば、樹脂パイプの接続作業効率を維持しつつ、異常発熱を抑えて損傷を抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を
図1〜
図5に従って詳細に説明する。
図1及び
図3に示すように、熱融着継手(エレクトロフュージョン継手)10を構成する継手本体11は略U字状に形成され、その両端部には樹脂パイプ12を同方向に平行に延びるように接続する第1の接続部13及び第2の接続部14が設けられている。第1の接続部13の軸線xと第2の接続部14の軸線yは平行に延び、継手本体11は第1の接続部13側が第2の接続部14側より長く形成され、第1の接続部13の端面13aと第2の接続部14の端面14aとが段差状に形成されている。
【0018】
第1の接続部13と第2の接続部14の連結部15にはU型流路16が形成され、第1の接続部13と第2の接続部14との間が連通されている。前記連結部15には円弧状に延びる突出部17が延出され、その中心には錘を取付けるための取付孔18が形成されている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、前記第1の接続部13及び第2の接続部14の内周部には、内部にニクロム線等の導電性金属による第1電熱線19及び第2電熱線20がそれぞれコイル状に巻回された熱可塑性樹脂製の第1熱融着部21及び第2熱融着部22が各々第1の接続部13及び第2の接続部14の内周面に臨むように設けられている。これらの第1熱融着部21及び第2熱融着部22以外の継手本体11部分は架橋樹脂等の合成樹脂で形成されている。前記熱可塑性樹脂としては例えば未架橋ポリエチレン樹脂、未架橋ポリブテン樹脂等の未架橋ポリオレフィン樹脂が挙げられるが、架橋度が低く、加熱溶融可能な架橋ポリオレフィン樹脂も含まれる。架橋樹脂としては例えば架橋度が高く、加熱溶融不可能な架橋ポリエチレン樹脂等の架橋ポリオレフィン樹脂が挙げられる。
【0020】
前記第1の接続部13には一対の支持突部23が設けられ、それぞれ端子24が支持されるとともに、第2の接続部14にも一対の支持突部23が設けられ、それぞれ端子24が支持されている。第1の接続部13の一対の端子24には第1電熱線19の一端及び他端が接続され、第2の接続部14の一対の端子24には第2電熱線20の一端及び他端が接続されている。
【0021】
図2に示すように、樹脂パイプ12は外周部が熱可塑性樹脂層12aで形成され、内周部が架橋樹脂層12bで形成されている。熱可塑性樹脂層12aを形成する熱可塑性樹脂及び架橋樹脂層12bを形成する架橋樹脂としては、継手本体11を形成する熱可塑性樹脂及び架橋樹脂と同様の合成樹脂を使用することができる。
【0022】
図1及び
図2に示すように、前記第1電熱線19と第2電熱線20とは第1の接続部13及び第2の接続部14の各軸線x、y方向において重ならないように位置をずらして配置されている。これらの第1電熱線19及び第2電熱線20は、軸線x、yと直交する方向においても勿論離間して配置されている。このように、第1電熱線19と第2電熱線20を対向しないように配置することにより、第1電熱線19と第2電熱線20の発熱領域の重なりを抑え、第1電熱線19と第2電熱線20の同時通電が可能になる。
【0023】
図2に示すように、前記第1電熱線19と第2電熱線20との間の最短の間隔Dは、第1電熱線19と第2電熱線20が前記軸線x、y方向の同位置にあったとしたときの第1電熱線19と第2電熱線20との間の間隔dより広くなるように設定されている。この構成により、第1電熱線19及び第2電熱線20の発熱によって相互間に及ぼす熱伝播を緩和することができる。
【0024】
また、第1電熱線19と第2電熱線20の前記軸線x、y方向における間隔Lは、第1電熱線19と第2電熱線20とが前記軸線x、y方向において一定距離だけ離間するように設定されている。この間隔Lは大きい方が第1電熱線19と第2電熱線20の発熱による重なりを抑制できるが、継手本体11が軸線x、y方向に長く、大きくなるため、両者を考慮して決定される。
【0025】
図4に示すように、前記第1の接続部13における両端子24にはそれぞれ接続線25の一端が接続されるとともに、接続線25の他端が融着コントローラ26に接続されている。同様に、第2の接続部14における両端子24にもそれぞれ接続線25の一端が接続されるとともに、接続線25の他端が融着コントローラ26に接続されている。
【0026】
そして、
図2及び
図4に示すように、第1の接続部13及び第2の接続部14に樹脂パイプ12が挿入された状態で、融着コントローラ26により第1の接続部13の両端子24間と第2の接続部14の両端子24間に通電される。この通電により、第1電熱線19及び第2電熱線20が発熱し、第1熱融着部21及び第2熱融着部22を形成する熱可塑性樹脂が溶融するとともに、樹脂パイプ12外周部の熱可塑性樹脂層12aを形成する熱可塑性樹脂も溶融し、両者間が熱融着されるようになっている。
【0027】
図5に示すように、第1の接続部13及び第2の接続部14にそれぞれ樹脂パイプ12が熱融着された後には、各端子24を支持する支持突部23が端子24とともに切除されるようになっている。
【0028】
次に、上記のように構成された熱融着継手10について作用を説明する。
さて、
図1及び
図4に示すように、熱融着継手10の第1の接続部13及び第2の接続部14に樹脂パイプ12を接続する場合には、第1の接続部13及び第2の接続部14に樹脂パイプ12を挿入した状態で、第1の接続部13及び第2の接続部14の各端子24に融着コントローラ26から延びる接続線25を接続する。
【0029】
次いで、
図2に示すように、融着コントローラ26の制御により、第1の接続部13の両端子24間及び第2の接続部14の両端子24間に所定電流にて同時に通電を行う。このとき、第1の接続部13の第1電熱線19と第2の接続部14の第2電熱線20とは、第1の接続部13及び第2の接続部14の軸線x、y方向において重ならないように位置をずらして配置され、互いに対向配置されていない。
【0030】
その上、第1電熱線19と第2電熱線20の軸線x、y方向における間隔Lは、第1電熱線19と第2電熱線20とが軸線x、y方向において一定距離だけ離れて配置されている。加えて、第1電熱線19と第2電熱線20との間の最短の間隔Dは、第1電熱線19と第2電熱線20が前記軸線x、y方向の同位置にあったとしたときの第1電熱線19と第2電熱線20との間の間隔dより広くなるように配置されている。
【0031】
このため、第1電熱線19及び第2電熱線20の発熱による熱伝播の重なりが著しく減少し、異常発熱が抑えられる。従って、第1電熱線19と第2電熱線20に同時に通電することができ、樹脂パイプ12の接続作業を速やかに遂行しても、熱融着継手10の溶損を抑制することができる。
【0032】
以上の第1実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
(1)この実施形態における熱融着継手10においては、第1の接続部13の第1電熱線19と第2の接続部14の第2電熱線20とが、第1の接続部13及び第2の接続部14の軸線x、y方向において重ならないように位置をずらして配置されている。このため、第1電熱線19の発熱が継手本体11に及ぼす影響と第2電熱線20の発熱が継手本体11に及ぼす影響が分離され、継手本体11の熱による変形や溶損が抑えられる。
【0033】
従って、この実施形態の熱融着継手10によれば、樹脂パイプ12の接続作業効率を維持しつつ、継手本体11の異常発熱を抑えて損傷を抑制することができる。
(2)前記第1電熱線19と第2電熱線20との間の最短の間隔Dは、第1電熱線19と第2電熱線20が前記軸線x、y方向の同位置にあったとしたときの第1電熱線19と第2電熱線20との間隔dより広くなるように設定されている。そのため、第1電熱線19と第2電熱線20との間の発熱による熱伝播の重なりを抑えることができ、異常発熱を抑制することができる。
【0034】
(3)前記第1電熱線19と第2電熱線20の前記軸線x、y方向における間隔Lは、第1電熱線19と第2電熱線20とが前記軸線x、y方向において一定距離だけ離間するように設定されている。このため、第1電熱線19と第2電熱線20の発熱による重なりをさらに抑えることができ、異常発熱を一層抑制することができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を
図6に基づいて説明する。なお、この第2実施形態では、主に前記第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0036】
図6に示すように、熱融着継手10の第1の接続部13の第1熱融着部21と第2の接続部14の第2熱融着部22との間の架橋樹脂中には、第1熱融着部21中の第1電熱線19の発熱による熱伝播と第2熱融着部22中の第2電熱線20の発熱による熱伝播とを遮断する断熱層27が斜め方向に介在されている。この断熱層27は、例えばグラスウール、ロックウールや独立気泡型のポリウレタン発泡体、ポリスチレン発泡体等の板材を用い、インサート成形法により形成される。断熱層27の断面形状は、段差状、円弧状等であってもよい。また、断熱層27は、その機能を有効に発揮するために断熱層27と第1電熱線19及び断熱層27と第2電熱線20との距離が同じになるように中央付近に設けることが好ましい。
【0037】
この断熱層27は第1電熱線19による発熱の伝播を遮ると同時に、第2電熱線20による発熱の伝播を遮ることができる。このため、第1電熱線19の発熱と第2電熱線20の発熱とが相俟って継手本体11が温度上昇する事態を回避することができる。
【0038】
従って、この第2実施形態によれば、樹脂パイプ12の接続作業効率を維持しつつ、異常発熱を極力抑えて継手本体11の損傷を一層抑制することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を
図7〜
図9に基づいて説明する。なお、この第3実施形態においても、主に前記第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0039】
図7に示すように、この第3実施形態の熱融着継手10は、前記継手本体11の第1の接続部13及び第2の接続部14に加えて、第3の接続部28及び第4の接続部29が設けられ、4本の樹脂パイプ12が継手本体11に接続されるように構成されている。
【0040】
図7及び
図8(a)及び(b)に示すように、第1の接続部13及び第2の接続部14の隣接位置(
図7の後方位置)には、別の樹脂パイプ12を同方向に接続する第4の接続部29及び第3の接続部28が設けられている。第3の接続部28の第3熱融着部32中の第3電熱線30と、第4の接続部29の第4熱融着部33中の第4電熱線31とが第3の接続部28及び第4の接続部29の軸線α、β方向において重ならないように位置をずらして配置されている。
【0041】
すなわち、
図8(a)に示すように、継手本体11は、第3の接続部28側が第4の接続部29側より長く形成され、第3の接続部28の端面28aと第4の接続部29の端面29aとは段差状に形成されている。
【0042】
図8(a)に示すように、前記第3電熱線30と第4電熱線31の位置関係は、前記第1電熱線19と第2電熱線20の位置関係と同じである。また、
図8(b)に示すように、前記第3電熱線30は隣接する第2電熱線20と軸線α、y方向において重ならないように位置をずらして配置されている。同様に、前記第4電熱線31は隣接する第1電熱線19と軸線β、x方向において重ならないように位置をずらして配置されている。
【0043】
このように、第1電熱線19と第2電熱線20、第2電熱線20と第3電熱線30、第3電熱線30と第4電熱線31及び第4電熱線31と第1電熱線19とは、いずれも軸線x、y、α、β方向において重ならないように位置をずらして配置されている。
【0044】
そのため、第1〜第4の接続部13、14、28、29に4本の樹脂パイプ12を接続する場合、
図9(a)、(b)に示すように、第1〜第4の接続部13、14、28、29に4本の樹脂パイプ12をそれぞれ挿入した状態で、第1〜第4電熱線19、20、30、31に同時に通電して4本の樹脂パイプ12を同時に熱融着することができる。この場合、第1〜第4電熱線19、20、30、31の発熱による熱伝播の重なりはいずれも抑えられ、互いに影響を及ぼすことが回避される。
【0045】
従って、この第3実施形態の熱融着継手10によれば、4本の樹脂パイプ12の接続作業効率を維持しつつ、継手本体11全体の異常発熱を抑えてその損傷を抑制することができる。
【0046】
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化した第4実施形態を
図10〜
図12に基づいて説明する。なお、この第4実施形態においても、主に前記第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0047】
この第4実施形態では、前記第1熱融着部21及び第2熱融着部22には各々第1電熱線19及び第2電熱線20は設けられておらず、加熱治具によって第1熱融着部21及び第2熱融着部22が加熱溶融されるとともに、樹脂パイプ12も加熱治具によって加熱溶融されるように構成されている。
【0048】
すなわち、
図10に示すように、加熱治具35には熱融着継手10の第1熱融着部21及び第2熱融着部22を加熱するための加熱用凸部36、37が形成されるとともに、樹脂パイプ12の外周部を加熱するための一対の加熱用凹部38、39が形成されている。この加熱治具35により、熱融着継手10と樹脂パイプ12が同時に加熱されるように構成されている。なお、加熱治具35としては、熱融着継手10のみを加熱する治具と、樹脂パイプ12のみを加熱する治具とで構成してもよい。
【0049】
図10の二点鎖線に示すように、第1の接続部13の内周部のうち加熱用凸部36によって加熱溶融される部分が第1熱融着部21となり、第2の接続部14の内周部のうち加熱用凸部37によって加熱溶融される部分が第2熱融着部22となる。そして、第1熱融着部21と第2熱融着部22とは、前記軸線x、y方向に重ならないように位置をずらして形成される。
【0050】
図11に示すように、加熱治具35の作動により、熱融着継手10の第1熱融着部21及び第2熱融着部22と樹脂パイプ12の外周部とが加熱溶融された後、熱融着継手10及び樹脂パイプ12が加熱治具35から抜き出される。
【0051】
図12に示すように、熱融着継手10の第1熱融着部21及び第2熱融着部22並びに樹脂パイプ12の外周部が溶融状態にある間に、両樹脂パイプ12を熱融着継手10の第1の接続部13と第2の接続部14に挿入する。そして、その状態をクランプ等で一定時間保持することにより、両樹脂パイプ12がそれぞれ第1熱融着部21及び第2熱融着部22に熱融着される。
【0052】
従って、この第4実施形態によれば、継手本体11内の第1電熱線19、第2電熱線20、端子24等を省略して熱融着継手10の構成を簡単にできるとともに、樹脂パイプ12の接続作業効率を低下させることなく、継手本体11の異常発熱を抑えて損傷を抑制することができる。
【0053】
なお、前記実施形態を、次のように変更して具体化することも可能である。
・
図13(a)、(b)に示すように、前記第1実施形態において、第2の接続部14の端面14aを第1の接続部13の端面13aと軸線x、y方向で同じ位置となるように面一に構成してもよい。この場合、熱融着継手10の外観及び作業性を良好にすることができる。
【0054】
・
図14に示すように、前記
図13(a)において、第1電熱線19の一端と第2電熱線20の一端とを接続し、第1電熱線19の他端に端子24を設けるとともに第2電熱線20の他端にも端子24を設け、両端子24間に通電するように構成してもよい。このように構成すれば、端子24の数を半分にして構成を簡単にできるとともに、第1電熱線19と第2電熱線20の通電状態を同一に制御することができる。
【0055】
・前記第1実施形態及び第2実施形態にて、第1電熱線19と第2電熱線20とを、軸線x、yと直交する方向において第1実施形態及び第2実施形態より近づけて配置してもよい。この場合、熱融着継手10を軸線x、yと直交する方向に小径化することができる。従って、熱融着継手10を地中の掘削孔に挿入する場合、その掘削孔の直径を小さくでき、掘削に要する装置を小型化でき、手間及びコストを軽減することができる。但し、前記間隔Lを第1実施形態及び第2実施形態より若干大きく設定し、間隔Dを確保できるようにすることが好ましい。
【0056】
・前記第1〜第4電熱線19、20、30、31は、それぞれ軸線x、y、α、β方向に複数に分割して形成してもよい。
・前記第3実施形態において、第2の接続部14と第4の接続部29を長くして、端面14a及び端面29aを端面13a及び端面28aと面一になるように構成してもよい。