(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蒸発凝縮器を蒸発器として用いる場合は、熱媒が流れる流水管の少なくとも一部を蒸発凝縮器の内部の液層に配置しなければならない。一方、蒸発凝縮器を凝縮器として用いる場合には、流水管の少なくとも一部を気層に配置しなければならない。
【0005】
このため、蒸発凝縮器の本体とは別に水溜めを設け、この水溜めから蒸発凝縮器に水を供給、蒸発凝縮器から水を回収することで蒸発凝縮器の液面の位置を調整することがある。このように、蒸発凝縮器とは別に水溜めを設けた場合に、ポンプを用いて水を輸送することが考えられるが、ポンプを用いて内部が減圧されている蒸発凝縮器(容器)に水を輸送すると、輸送される水(液体)に局所的な低圧部が生じ、キャビテーションが生じてしまうことある。
【0006】
本発明の課題は、内部が減圧さえている減圧容器との間で液体を輸送する場合に、輸送される液体にキャビテーションが生じるのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る液体輸送装置は、内部に液体が貯留されている第一容器と、前記第一容器の内部に貯留されている液体又は蒸気との熱交換により、液体を蒸発させ又は蒸気を凝縮する熱交換部と、内部に液体が貯留される第二容器と、前記第一容器と前記第二容器とを連通する第一連通部と、内部が減圧されている減圧容器と前記第二容器とを連通する第二連通部と、を備え、前記第一容器、前記第二容器、前記第一連通部及び前記第二連通部が減圧されており、前記熱交換部が前記第一容器の内部に貯留されている液体を蒸発させることで、前記第二容器に貯留された液体を加圧して液体を前記減圧容器に供給し、前記熱交換部が前記第一容器の内部の蒸気を凝縮させることで、前記第一容器の内部を減圧し、前記減圧容器から液体を回収することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、液体を減圧容器に供給する場合は、熱交換部が第一容器の内部に貯留されている液体を蒸発させる。そして、この蒸気が、第一連通部を通って第二容器に貯留される液体を加圧する。これにより、第二容器に貯留される液体が、第二連通部を通って減圧容器に供給される。
【0009】
これに対して、液体を減圧容器から回収する場合は、熱交換部が第一容器の内部の蒸気を凝縮させる。これにより、第一容器の内部が減圧され、減圧容器の液体が第二連通部を通して第二容器に回収される。
【0010】
このように、減圧系とされている液体輸送装置の内部で圧力を増減させることで、液体輸送装置が減圧容器に水を供給し、液体輸送装置が減圧容器から水を回収する。このため、減圧容器との間で液体を輸送する場合に、ポンプを用いて液体を輸送する場合と比して、輸送される液体にキャビテーションが生じるのを抑制することができる。
【0011】
本発明の請求項2に係る液体輸送装置は、内部に液体が貯留されている
第一容器と、前記第一容器の内部に貯留されている液体又は蒸気との熱交換により、液体を蒸発させ又は蒸気を凝縮する熱交換部と、内部に液体が貯留される第二容器と、前記第一容器と前記第二容器とを連通する第一連通部と、内部が減圧されている減圧容器と前記第二容器とを連通する第二連通部と、前記第二連通部を開閉する第一開閉部材と、前記減圧容器に対して上方側へ配置され、内部に液体が貯留される第三容器と、前記第二容器と前記第三容器とを連通する第三連通部と、前記第三容器と前記減圧容器とを連通する第四連通部と、前記第三連通部を開閉する第二開閉部材と、前記第四連通部を開閉する第三開閉部材と、を備え、前記第一容器、前記第二容器、前記第三容器、前記第一連通部、前記第二連通部、第三連通部、及び第四連通部が減圧されており、前記減圧容器に液体を供給する場合には、前記第一開閉部材が前記第二連通部を閉止し、前記第二開閉部材が前記第三連通部を開放し、前記第三開閉部材が前記第四連通部を閉止し、前記熱交換部が前記第一容器の内部に貯留されている液体を蒸発させることで、前記第二容器に貯留された液体を加圧して前記第三容器に液体を供給し、前記第三容器に液体が貯留された状態で、前記第二開閉部材が前記第三連通部を閉止し、前記第三開閉部材が前記第四連通部を開放することで、前記第三容器に貯留された液体を重力によって前記減圧容器に供給し、前記減圧容器から液体を回収する場合には、前記第一開閉部材が前記第二連通部を開放し、前記第二開閉部材が前記第三連通部を閉止し、前記第三開閉部材が前記第四連通部を閉止し、前記熱交換部が前記第一容器の内部の蒸気を凝縮させることで、前記第一容器の内部を減圧し、前記減圧容器から液体を回収することを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、液体を減圧容器に供給する場合には、第一開閉部材が第二連通部を閉止し、第二開閉部材が第三連通部を開放し、第三開閉部材が第四連通部を閉止する。さらに、熱交換部が第一容器の内部に貯留されている液体を蒸発させる。そして、この蒸気が、第一連通部を通って第二容器に貯留される液体を加圧する。これにより、第二容器に貯留される液体が、第三連通部を通って第三容器に供給される。
【0013】
さらに、第三容器に液体が貯留された状態で、第二開閉部材が第三連通部を閉止し、第三開閉部材が第四連通部を開放する。これにより、第三容器に貯留された液体が、重力によって第四連通部を通って減圧容器に供給される。
【0014】
液体を減圧容器から回収する場合には、第一開閉部材が第二連通部を開放し、第二開閉部材が第三連通部を閉止し、第三開閉部材が第四連通部を閉止する。そして、熱交換部が第一容器の内部の蒸気を凝縮させる。これにより、第一容器の内部を減圧し、減圧容器の液体が第二連通部を通して第二容器に回収される。
【0015】
このように、減圧系とされている液体輸送装置の内部で圧力を増減させることで、液体輸送装置が減圧容器に水を供給し、液体輸送装置が減圧容器から水を回収する。このため、減圧容器との間で液体を輸送する場合に、輸送される液体にキャビテーションが生じるのを抑制することができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る吸着式ヒートポンプは、蒸気である吸着媒体を吸着し、吸着媒体を脱着する吸着材を備える吸着装置と、内部が減圧されている減圧容器であって、液体を蒸発させて前記吸着材が吸着する吸着媒体を生成し、前記吸着材が脱着した吸着媒体を凝縮する蒸発凝縮器と、前記蒸発凝縮器に液体を供給し、前記蒸発凝縮器から液体を回収する請求項1又は2に記載の液体輸送装置と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、吸着式ヒートポンプが、請求項1又は2に記載の液体輸送装置を備えることで、蒸発凝縮器との間で輸送される液体にキャビテーションが生じるのが抑制される。これにより、蒸発凝縮器と吸着装置との間の吸着媒体の輸送効率が向上する。
【0018】
蒸発凝縮器と吸着装置との間の吸着媒体の輸送効率が向上することで、例えば、吸着装置が吸着媒体を吸着する吸着工程において、蒸発凝縮器で生じる蒸発潜熱の量を増加させることができる。
【0019】
本発明の請求項4に係る蓄熱システムは、蒸気である吸着媒体を吸着し、吸着媒体を脱着する蓄熱材を備える蓄熱装置と、内部が減圧されている減圧容器であって、液体を蒸発させて前記蓄熱材が吸着する吸着媒体を生成し、前記蓄熱材が脱着した吸着媒体を凝縮する蒸発凝縮器と、前記蒸発凝縮器に液体を供給し、前記蒸発凝縮器から液体を回収する請求項1又は2に記載の液体輸送装置と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、蓄熱システムが、請求項1又は2に記載の液体輸送装置を備えることで、蒸発凝縮器との間で輸送される液体にキャビテーションが生じるのが抑制される。これにより、蒸発凝縮器と蓄熱装置との間の吸着媒体の輸送効率が向上する。
【0021】
蒸発凝縮器と蓄熱装置との間の吸着媒体の輸送効率が向上することで、例えば、蓄熱装置によって蓄熱される熱量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、内部が減圧さえている減圧容器との間で液体を輸送する場合に、輸送される液体にキャビテーションが生じるのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
(構成)
本発明の第1実施形態に係る液体輸送装置及び吸着式ヒートポンプ(以下「ヒートポンプ」)の一例について
図1〜
図4を用いて説明する。なお、図中に示す矢印UPは鉛直方向の上方側を示す。
【0025】
第1実施形態に係るヒートポンプ100は、
図1に示されるように、水(液体の一例)を蒸発及び水蒸気を凝縮させる減圧容器の一例としての蒸発凝縮器80と、蒸発凝縮器80へ水を供給し、蒸発凝縮器80から水を回収する液体輸送装置10とを備えている。さらに、ヒートポンプ100は、吸着装置90を備えている。
【0026】
そして、蒸発凝縮器80、液体輸送装置10、及び吸着装置90は、内部が真空脱気され、大気圧と比して低い減圧系とされている。
【0027】
〔吸着装置〕
吸着装置90は、
図1に示されるように、容器92と、容器92の内部に設けられた吸着材94とを備えている。この吸着材94としては、例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、及び粘土鉱物等を用いることができる。
【0028】
また、吸着装置90は、吸着材94との間で熱交換が行われる第一熱媒が流れる第一流路(図示省略)と、第二熱媒が流れる第二流路(図示省略)とを備えている。
【0029】
具体的には、吸着材94は、第一流路を流れる第一熱媒との熱交換により、蒸発凝縮器80によって蒸発して容器92に流れ込んだ水蒸気を吸着するようになっている。さらに、吸着材94は、第二流路を流れる第二熱媒との熱交換により、吸着している水蒸気を脱着するようになっている。
【0030】
〔蒸発凝縮器〕
蒸発凝縮器80は、
図1に示されるように、配管88によって吸着装置90の容器92と連通している。そして、蒸発凝縮器80は、内部に水が貯留される容器82と、容器82の内部に一部が配置され、流体が流れる流路管84とを備えている。そして、容器82は、底板82A、側板82B及び天井板82Cを含んで構成されている。
【0031】
この構成において、
図2に示されるように、流路管84の少なくとも一部が容器82の液層(水の中)に配置されている状態で、流路管84を流れる一の流体と、容器82の内部の水との熱交換により、水蒸気が生成されるようになっている。そして、この水蒸気が、吸着装置90の容器92の内部に流れ込むようになっている。
【0032】
また、
図4に示されるように、流路管84の少なくとも一部が容器82の気層に配置されている状態で、流路管84を流れる他の流体と、吸着材94が脱着して容器82の内部に流れ込んだ水蒸気との熱交換により、水蒸気が凝縮されるようになっている。
【0033】
〔液体輸送装置〕
液体輸送装置10は、大気圧より低い減圧系とされ、
図1に示されるように、内部に水が貯留されている第一容器12と、内部に水が貯留される第二容器14と、第一容器12の内部に貯留されている水又は水蒸気との熱交換により、水を蒸発させ又は水蒸気を凝縮する熱交換部16とを備えている。また、液体輸送装置10は、第一容器12の気層部と第二容器14の気層部(内部に水が貯留された場合でも気層となる部分)とを連通する第一連通部の一例としての連通管18と、第二容器14の液層部(内部に水が貯留された場合に液層となる部分)と蒸発凝縮器80とを連通する第二連通部の一例としての連通管20とを備えている。この連通管20は、容器82の底板82Aに連結されている。
【0034】
さらに、液体輸送装置10は、連通管18を開閉する開閉バルブ22と、連通管20を開閉する開閉バルブ24とを備えている。なお、各図における開閉バルブ22、24については、閉状態が黒塗りで示され、開状態が白抜きで示されている。
【0035】
また、熱交換部16は、少なくとも一部が、第一容器12の液層(水の中)又は気層に配置され、流体が流れる流路管16Aを備えている。そして、この流路管16Aに予め決められた温度の流体を流すことで、この流体と第一容器12の内部に貯留されている水又は水蒸気との熱交換により、水を蒸発させ又は水蒸気を凝縮するようになっている。
【0036】
(作用)
次に、液体輸送装置10の作用について、液体輸送装置10を用いて蒸発凝縮器80に水(液体の一例)を供給する方法、及び液体輸送装置10を用いて蒸発凝縮器80から水を回収する方法によって説明する。
【0037】
〔水の供給〕
先ず、液体輸送装置10を用いて蒸発凝縮器80に水を供給する方法について説明する。なお、蒸発凝縮器80に水を供給するのは、蒸発凝縮器80が水蒸気を生成する場合である。
【0038】
水を蒸発凝縮器80に供給する前の状態では、
図1に示されるように、開閉バルブ22、24は、閉状態とされ、第二容器14の内部には水が貯留されている。
【0039】
そして、蒸発凝縮器80の内部の温度、及び圧力は、一例として、5〔℃〕、0.9〔kPa〕となっている。そして、蒸発凝縮器80の内部は、水蒸気と水とが平衡状態となる環境となっている。
【0040】
さらに、流路管16Aに決められた温度の流体を流すことで、第一容器12の内部の温度及び圧力は、一例として、50〔℃〕、12.0〔kPa〕とされている。そして、第一容器12の内部は、水蒸気と水とが平衡状態となる環境となっている。この状態で、
図2に示されるように、開閉バルブ22、24が閉状態から開状態とされる。
【0041】
そして、第一容器12の内部の圧力と蒸発凝縮器80の内部の圧力との差により、第一容器12の内部の水が蒸発し、この水蒸気が、連通管18を通って、第二容器14の内部に貯留されている水の液面を押圧する。なお、水蒸気は、第二容器14の液面で凝縮するが、凝縮熱は、液相熱伝導のみであるため、凝縮する量は、最小限に抑えられる。
【0042】
さらに、第二容器14の内部に貯留されている水の液面が押圧されることで、第二容器14の内部に貯留されている水が、連通管20を通って蒸発凝縮器80の容器82の内部に供給される。
【0043】
そして、流路管84を流れる流体と容器82の内部の水との熱交換により、水蒸気が生成される。この水蒸気が、吸着装置90の容器92の内部に流れ込む。
【0044】
なお、蒸発凝縮器80への水の供給を終了する場合には、開閉バルブ22、24が開状態から閉状態とされる。これにより、蒸発凝縮器80への水の供給が終了する。
【0045】
〔水の回収〕
次に、液体輸送装置10を用いて蒸発凝縮器80から水(液体の一例)を回収する方法について説明する。なお、蒸発凝縮器80から水を回収するのは、蒸発凝縮器80が水蒸気を凝縮する場合である。
【0046】
水を蒸発凝縮器80から回収する前の状態では、
図3に示されるように、開閉バルブ22、24は、閉状態とされ、第二容器14の内部には水が貯留されていない。第二容器14に貯留されていた水が、液体輸送装置10を用いて蒸発凝縮器80に水を供給する際に、蒸発凝縮器80に全て供給されたからである。
【0047】
そして、吸着装置90が水蒸気を脱気することで、蒸発凝縮器80の内部の温度及び圧力は、一例として、90〔℃〕、69.0〔kPa〕となっている。そして、蒸発凝縮器80の内部は、水蒸気と水とが平衡状態となる環境となっている。
【0048】
さらに、流路管16Aに決められた温度の流体を流すことで、第一容器12の内部の温度及び圧力は、一例として、50〔℃〕、12.0〔kPa〕とされている。そして、第一容器12の内部は、水蒸気と水とが平衡状態となる環境となっている。
【0049】
そして、吸着材94が脱着した水蒸気が配管88を通って蒸発凝縮器80の容器82の内部に流れ込むと、
図4に示されるように、水蒸気が、流路管84を流れる流体との熱交換により凝縮する。
【0050】
この状態で、開閉バルブ22、24が閉状態から開状態とされる。
【0051】
これにより、第一容器12の内部の圧力と蒸発凝縮器80の内部の圧力との差により、第一容器12の内部で水蒸気が凝縮される。第一容器12の内部で水蒸気が凝縮することで、第一容器12の内部が減圧される。これにより、容器82の内部で凝縮することで生成された水が、連通管20を通って、第二容器14の内部に流れ込み、第二容器14の内部に貯留される。このようにして、蒸発凝縮器80によって凝縮した水が回収される。
【0052】
さらに、第二容器14の内部に貯留された水の一部が、第二容器14の液面で蒸発する。なお、水が第二容器14の液面で蒸発が、蒸発熱の液面への供給は液相熱伝導のみであるため、蒸発する量は、最小限に抑えられる。
【0053】
また、第二容器14の内部で蒸発した水蒸気は、連通管18を通って第一容器12の内部に貯留されている水の液面で凝縮する。
【0054】
なお、蒸発凝縮器80からの水の回収を終了させる場合には、開閉バルブ22、24が開状態から閉状態とされる。これにより、蒸発凝縮器80からの水の回収が終了する。
【0055】
〔ヒートポンプ〕
次に、ヒートポンプ100の作用について説明する。
【0056】
ここで、ヒートポンプの作用については、ヒートポンプ100が2個設けられる場合を例にとって説明する。
【0057】
図2に示されるように、一方の吸着装置90では、吸着材94が、第一熱媒との熱交換により、吸着装置90の容器92の内部に供給された水蒸気を吸着する。そして、吸着材94が水蒸気を吸着することで、吸着材94は、水蒸気を吸着しつつ発熱(放熱)する(吸着工程)。
【0058】
これに対して、
図4に示されるように、他方の吸着装置90では、吸着材94が、第二熱媒との熱交換により、吸着している水蒸気を脱着する。そして、吸着材94が水蒸気を脱着することで、吸着材94は、水蒸気を脱着しつつ吸熱する(脱着工程)。
【0059】
次に、水蒸気を吸着した吸着材94が、水蒸気を脱着し、水蒸気を脱着した吸着材94が水蒸気を吸着する。このように、一方の吸着材94が吸着・脱着を繰り返し、他方の吸着材94が脱着・吸着を繰り返す。
【0060】
これにより、吸着工程において、蒸発凝縮器80の流路管84を流れる流体が冷却される。
【0061】
(まとめ)
以上説明したように、液体輸送装置10は、減圧系とされている液体輸送装置10の内部で圧力が増減させて、蒸発凝縮器80へ水を供給し、蒸発凝縮器80から水を回収する。このため、例えば、ポンプ等を用いて水を輸送する場合と比して、輸送される水に負荷される圧力の増減が抑制される。これにより、内部が減圧されている蒸発凝縮器80との間で水を輸送する場合に、輸送される水にキャビテーションが生じるのを抑制することができる。
【0062】
また、輸送される水にキャビテーションが生じるのが抑制されることで、水の輸送効率を向上させることができる。
【0063】
また、ヒートポンプ100においては、蒸発凝縮器80と液体輸送装置10との間の水の輸送効率が向上することで、ヒートポンプ100の熱効率を向上させることができる。
【0064】
また、ヒートポンプ100の熱効率が向上することで、例えば、吸着材94が水蒸気を吸着する吸着工程において、蒸発凝縮器80の流路管84を流れる流体を効果的に冷却することができる。
【0065】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る液体輸送装置及びヒートポンプの一例について
図5〜
図8を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0066】
(構成)
第2実施形態に係るヒートポンプ200に備えられた液体輸送装置110の蒸発凝縮器80は、
図5に示されるように、鉛直方向において、第二容器14の上方側に配置されている。
【0067】
そして、液体輸送装置110は、第二容器14の気層部(内部に水が貯留された場合でも気層となる部分)と蒸発凝縮器80の容器82とを連通する第二連通部の一例としての連通管120を備えている。この連通管120は、容器82の底板82Aに連結されている。さらに、液体輸送装置110は、第二容器14の液層部(内部に水が貯留された場合に液層となる部分)と蒸発凝縮器80の容器82とを連通する第二連通部の一例としての連通管124を備えている。この連通管124は、容器82の側板82Bに連結されている。
【0068】
さらに、液体輸送装置110は、連通管120を開閉する開閉バルブ122と、連通管124を開閉する開閉バルブ126とを備えている。
【0069】
(作用)
次に、液体輸送装置110の作用について説明する。
【0070】
〔水の供給〕
水を蒸発凝縮器80に供給する前の状態では、
図5に示されるように、開閉バルブ22、122、126は、閉状態とされ、第二容器14の内部には水が貯留されている。
【0071】
この状態で、水を蒸発凝縮器80に供給する場合には、
図6に示されるように、開閉バルブ22、126が閉状態から開状態とされる。
【0072】
これにより、第一容器12の内部の圧力と蒸発凝縮器80の内部の圧力との差により、第一容器12の内部の水が蒸発し、この水蒸気が、連通管18を通って、第二容器14の内部に貯留されている水の液面を押圧する。
【0073】
さらに、第二容器14の内部に貯留されている水の液面が押圧されることで、第二容器14の内部に貯留されている水が、連通管124を通って蒸発凝縮器80の容器82の内部に供給される。
【0074】
なお、蒸発凝縮器80への水の供給を終了する場合には、開閉バルブ22、126が開状態から閉状態とされる。これにより、蒸発凝縮器80への水の供給が終了する。
【0075】
〔水の回収〕
水を蒸発凝縮器80から回収する前の状態では、
図7に示されるように、開閉バルブ22、122、126は、閉状態とされ、第二容器14の内部には水が貯留されていない。
【0076】
この状態で、水を蒸発凝縮器80から回収する場合には、
図8に示されるように、開閉バルブ22、122が閉状態から開状態とされる。
【0077】
これにより、第一容器12の内部の圧力と蒸発凝縮器80の内部の圧力との差により、第一容器12の内部で水蒸気が凝縮される。第一容器12の内部で水蒸気が凝縮することで、第一容器12の内部が減圧される。そして、容器82の内部で凝縮することで生成された水が、連通管120を通って、第二容器14の内部に流れ込み、第二容器14の内部に貯留される。
【0078】
また、第二容器14の内部に貯留された水の一部が、第二容器14の液面で蒸発する。さらに、第二容器14の内部で蒸発した水蒸気は、連通管18を通って第一容器12の内部に貯留されている水の液面で凝縮する。このようにして、蒸発凝縮器80によって凝縮した水が回収される。
【0079】
なお、蒸発凝縮器80からの水の回収を終了させる場合には、開閉バルブ22、24が開状態から閉状態とされる。これにより、蒸発凝縮器80からの水の回収が終了する。
【0080】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る液体輸送装置及びヒートポンプの一例について
図9〜
図13を用いて説明する。なお、第2実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第2実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0081】
(構成)
第3実施形態に係るヒートポンプ300に備えられた液体輸送装置210は、
図9に示されるように、内部に水が貯留される第三容器212を備えている。この第三容器212は、鉛直方向において、蒸発凝縮器80の上方側に配置されている。
【0082】
そして、液体輸送装置210は、第二容器14の液層部と第三容器212を連通する第三連通部の一例としての連通管214を備えている。さらに、液体輸送装置210は、第三容器212の液層部と蒸発凝縮器80の容器82とを連通する第四連通部の一例としての連通管218とを備えている。この連通管218は、容器82の側板82Bに連結されている。
【0083】
さらに、液体輸送装置210は、連通管214を開閉する第二開閉部材の一例としての開閉バルブ216と、連通管218を開閉する第三開閉部材の一例としての開閉バルブ220とを備えている。
【0084】
(作用)
次に、液体輸送装置210の作用について説明する。
【0085】
〔水の供給〕
水を蒸発凝縮器80に供給する前の状態では、
図9に示されるように、開閉バルブ22、216、220は、閉状態とされ、第二容器14の内部には水が貯留されている。
【0086】
そして、蒸発凝縮器80の内部の温度及び圧力は、一例として、5〔℃〕、0.9〔kPa〕となっている。また、第二容器14の内部の温度及び圧力は、一例として、5〔℃〕、0.9〔kPa〕となっている。さらに、第三容器212の内部の温度及び圧力は、一例として、5〔℃〕、0.9〔kPa〕となっている。このように、蒸発凝縮器80の内部の温度及び圧力と、第二容器14の内部の温度及び圧力と第三容器212の内部の温度及び圧力とは同様とされている。そして、蒸発凝縮器80、第二容器14、及び第三容器212の内部は、水蒸気と水とが平衡状態となる環境となっている。
【0087】
この状態で、水を蒸発凝縮器80に供給する場合には、
図10に示されるように、開閉バルブ22、216が閉状態から開状態とされる。
【0088】
そして、第一容器12の内部の圧力と第二容器14の内部の圧力との差により、第一容器12の内部の水が蒸発し、この水蒸気が、連通管18を通って、第二容器14の内部に貯留されている水の液面を押圧する。
【0089】
さらに、第二容器14の内部に貯留されている水の液面が押圧されることで、第二容器14の内部に貯留されている水が、連通管214を通って第三容器212の内部に供給される。そして、第二容器14の内部に貯留されていた水が、全て第三容器212の内部に供給されると、
図11に示されるように、開閉バルブ22、216が開状態から閉状態とされ、さらに、開閉バルブ220が閉状態から開状態とされる。
【0090】
これにより、第三容器212に貯留されていた水が、重力により、連通管218を通って蒸発凝縮器80に供給される。
【0091】
なお、蒸発凝縮器80への水の供給を終了する場合には、開閉バルブ220が開状態から閉状態とされる。これにより、蒸発凝縮器80への水の供給が終了する。
【0092】
〔水の回収〕
水を蒸発凝縮器80から回収する前の状態では、
図12に示されるように、開閉バルブ22、122、216、220は、閉状態とされ、第二容器14の内部及び第三容器212の内部には水が貯留されていない。第二容器14及び第三容器212に貯留されていた水が、液体輸送装置210を用いて蒸発凝縮器80に水を供給する際に、蒸発凝縮器80に全て供給されたからである。
【0093】
この状態で、水を蒸発凝縮器80から回収する場合には、
図13に示されるように、開閉バルブ22、122が閉状態から開状態とされる。
【0094】
これにより、第一容器12の内部の圧力と蒸発凝縮器80の内部の圧力との差により、第一容器12の内部で水蒸気が凝縮される。第一容器12の内部で水蒸気が凝縮することで、第一容器12の内部が減圧される。そして、容器82の内部で凝縮することで生成された水が、連通管120を通って、第二容器14の内部に流れ込み、第二容器14の内部に貯留される。
【0095】
第二容器14の内部に貯留された水の一部が、第二容器14の液面で蒸発する。第二容器14の内部で蒸発した水蒸気は、連通管18を通って第一容器12の内部に貯留されている水の液面で凝縮する。このようにして、蒸発凝縮器80によって凝縮した水が回収される。
【0096】
なお、蒸発凝縮器80からの水の回収を終了させる場合には、開閉バルブ22、122が開状態から閉状態とされる。これにより、蒸発凝縮器80からの水の回収が終了する。
【0097】
<第4施形態>
次に、本発明の第4施形態に係る液体輸送装置及び蓄熱システムの一例について
図14を用いて説明する。なお、第1施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0098】
(構成)
第4実施形態に係る蓄熱システム400は、
図14に示されるように、水(液体の一例)を蒸発及び凝縮させる蒸発凝縮器80と、蒸発凝縮器80へ水を供給、蒸発凝縮器80から水を回収する液体輸送装置10とを備えている。さらに、蓄熱システム400は、蓄熱装置390を備えている。
【0099】
そして、蒸発凝縮器80、液体輸送装置10、及び蓄熱装置390は、内圧が大気圧と比して低い減圧系とされている。
【0100】
〔蓄熱装置〕
蓄熱装置390は、
図14に示されるように、内部が真空脱気された容器392と、容器392の内部に配置されている蓄熱材394とを備えている。この蓄熱材394としては、例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、及び粘土鉱物等を用いることができる。
【0101】
また、蓄熱装置390は、蓄熱材394との間で熱交換が行われる第一熱媒が流れる第一流路(図示省略)と、第二熱媒が流れる第二流路(図示省略)とを備えている。
【0102】
具体的には、蓄熱材394は、第一流路を流れる第一熱媒との熱交換より、蒸発凝縮器80によって蒸発して容器392に流れ込んだ水蒸気を吸着することで放熱するようになっている。さらに、蓄熱材394は、第二流路を流れる第二熱媒との熱交換により、吸着している水蒸気を脱着することで蓄熱するようになっている。
【0103】
この蓄熱装置390に供給される水蒸気の生成、蓄熱装置390から排出される水蒸気の凝縮については、第1実施形態の吸着装置90に供給される水蒸気の生成、吸着装置90から排出される水蒸気の凝縮と同様である。
【0104】
この蓄熱システム400においては、蒸発凝縮器80と液体輸送装置10との間の水の輸送効率が向上することで、蓄熱システム400の熱効率が向上する。
【0105】
また、蓄熱システム400の熱効率が向上することで、例えば、蓄熱装置390によって蓄熱される熱量を増加させることができる。
【0106】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、内部が減圧されている減圧容器として、蒸発凝縮器80を例として説明したが、他の減圧容器に液体を供給、他の減圧容器から液体を回収する場合に液体輸送装置10、110、210を用いてもよい。
【0107】
また、上記第2、3実施形態では、連通管120を用いて、容器82と第二容器14とを連通したが、例えば、容器82の隔壁と第二容器14の隔壁とを接触させ、隔壁に貫通孔を形成することで連通してもよい。
【0108】
また、上記第3実施形態では、連通管218を用いて、容器82と第三容器212とを連通したが、例えば、容器82と第三容器212とを接触させ、貫通孔を形成することで連通してもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、吸着媒体の一例として水蒸気を例として説明したが、例えば、アンモニア等であってもよい。
【0110】
また、上記第4実施形態の蓄熱システム400は、液体輸送装置10を備えたが、液体輸送装置110、又は210を備えてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では特に説明しなかったが、三方弁等を用いることで、一の連通管の一部と他の連通管の一部とを共用してもよい。
【0112】
また、上記第1実施形態では、第一容器12に貯留されている液体と、蒸発凝縮器80へ供給される液体とが同様であったが、種類の異なる液体であってもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、蒸発凝縮器80が、一体であったが、水を蒸発させる蒸発部と水蒸気を凝縮する凝縮部が別体であってもよい。この場合には、蒸発部に水が供給され、凝縮部から水が回収される。
【0114】
また、上記実施形態では、第二容器14の内部に貯留された水が無くなるまで、水が蒸発凝縮器80に供給されたが、第二容器14に水が残ってもよい。