特許第6299718号(P6299718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6299718-空気調和装置 図000002
  • 特許6299718-空気調和装置 図000003
  • 特許6299718-空気調和装置 図000004
  • 特許6299718-空気調和装置 図000005
  • 特許6299718-空気調和装置 図000006
  • 特許6299718-空気調和装置 図000007
  • 特許6299718-空気調和装置 図000008
  • 特許6299718-空気調和装置 図000009
  • 特許6299718-空気調和装置 図000010
  • 特許6299718-空気調和装置 図000011
  • 特許6299718-空気調和装置 図000012
  • 特許6299718-空気調和装置 図000013
  • 特許6299718-空気調和装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6299718
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/28 20060101AFI20180319BHJP
【FI】
   F24F1/00 371A
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-195393(P2015-195393)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-67408(P2017-67408A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】樽木 裕介
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−032170(JP,A)
【文献】 特開2010−197034(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/038570(WO,A1)
【文献】 特開2009−287902(JP,A)
【文献】 特開2009−180465(JP,A)
【文献】 特開2007−192455(JP,A)
【文献】 特開2009−168349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタフレーム(250)およびフィルタ本体(260)を有するフィルタ(150)と、
前記フィルタに接触しながら前記フィルタに対して相対的に移動することにより、前記フィルタ本体に付着した塵埃を除去する除去ブラシ(170)と、
を備え、
前記除去ブラシの第1部分の毛先は、前記除去ブラシの基準直線から第1距離だけ離れており、
前記除去ブラシの第2部分の毛先は、前記基準直線から第1距離よりも長い第2距離だけ離れており、
前記基準直線は、前記除去ブラシの内部を通り、かつ、前記除去ブラシの延伸方向に沿う直線であり、
前記第1部分は、前記除去ブラシが前記塵埃を除去する場合に、前記フィルタ本体が第1撓み量だけ撓んだ部分に対向する部分であり、
前記第2部分は、前記除去ブラシが前記塵埃を除去する場合に、前記フィルタ本体が前記第1撓み量よりも大きい第2撓み量だけ撓んだ部分に対向する部分であ
前記第1部分は、前記第2部分よりも前記フィルタフレームに寄っており、
前記除去ブラシの毛先は、前記フィルタフレームから離れるにつれて、前記基準直線から離れ、
前記除去ブラシは、隣接する前記フィルタフレーム間の前記フィルタ本体に対向し、対向する前記フィルタ本体の撓み方向と同方向に突出するように凸状に、毛先により形成された毛先面を有する、
空気調和装置。
【請求項2】
前記除去ブラシは、基材部分(171)を有し、
前記基材部分の厚みが、前記フィルタフレームから離れるにつれて厚くなることにより、前記除去ブラシの毛先は、前記フィルタフレームから離れるにつれて前記基準直線から離れる、
請求項に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記除去ブラシは、基材部分(171)と、前記基材部分に固定された毛部分(172)とを有し、
前記毛部分の長さが、前記フィルタフレームから離れるにつれて長くなることにより、前記除去ブラシの毛先は、前記フィルタフレームから離れるにつれて前記基準直線から離れる、
請求項に記載の空気調和装置。
【請求項4】
フィルタフレーム(250)およびフィルタ本体(260)を有するフィルタ(150)と、
前記フィルタに接触しながら前記フィルタに対して相対的に移動することにより、前記フィルタ本体に付着した塵埃を除去する除去ブラシ(170)と、
前記除去ブラシに付着した前記塵埃を剥がす剥離ブラシ(180)と、
を備え、
前記除去ブラシの第1部分の毛先は、前記除去ブラシの基準直線から第1距離だけ離れており、
前記除去ブラシの第2部分の毛先は、前記基準直線から第1距離よりも長い第2距離だけ離れており、
前記基準直線は、前記除去ブラシの内部を通り、かつ、前記除去ブラシの延伸方向に沿う直線であり、
前記第1部分は、前記除去ブラシが前記塵埃を除去する場合に、前記フィルタ本体が第1撓み量だけ撓んだ部分に対向する部分であり、
前記第2部分は、前記除去ブラシが前記塵埃を除去する場合に、前記フィルタ本体が前記第1撓み量よりも大きい第2撓み量だけ撓んだ部分に対向する部分であり、
記剥離ブラシは、前記除去ブラシに対向して配置されており、
前記剥離ブラシのうち前記第1部分に対向する部分の毛先は、前記剥離ブラシのうち前記第2部分に対向する部分の毛先よりも、前記剥離ブラシの基準直線から離れており、
前記剥離ブラシの前記基準直線は、前記剥離ブラシの内部を通り、かつ、前記剥離ブラシの延伸方向に沿う直線である
気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタに付着した塵埃を除去する除去ブラシを備えた空気調和装置が知られている(特許文献1(特開2009−192211号公報)参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の空気調和装置に搭載されたフィルタは、自重により撓み得る。フィルタが撓むと、当該フィルタに付着した塵埃を除去ブラシで十分に取り除くことができない場合がある。
【0004】
本発明の課題は、除去ブラシによる塵埃の取り残しを低減する空気調和装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空気調和装置は、フィルタと、除去ブラシとを備える。フィルタは、フィルタフレームおよびフィルタ本体を有する。除去ブラシは、フィルタに接触しながらフィルタに対して相対的に移動することにより、フィルタ本体に付着した塵埃を除去する。除去ブラシの第1部分の毛先は、除去ブラシの基準直線から第1距離だけ離れている。除去ブラシの第2部分の毛先は、基準直線から第1距離よりも長い第2距離だけ離れている。基準直線は、除去ブラシの内部を通り、かつ、除去ブラシの延伸方向に沿う直線である。第1部分は、除去ブラシが塵埃を除去する場合に、フィルタ本体が第1撓み量だけ撓んだ部分に対向する部分である。第2部分は、除去ブラシが塵埃を除去する場合に、フィルタ本体が第1撓み量よりも大きい第2撓み量だけ撓んだ部分に対向する部分である。
【0006】
また、本発明の第1観点に係る空気調和装置においては、第1部分は、第2部分よりもフィルタフレームに寄っている。すなわち、除去ブラシの第1部分は、フィルタフレーム近傍に対向し、除去ブラシの第2部分は、フィルタフレーム近傍というよりも、フィルタフレームからある程度離れた部分に対向する。
【0007】
また、本発明の第1観点に係る空気調和装置においては、除去ブラシの毛先は、フィルタフレームから離れるにつれて、基準直線から離れる。すなわち、除去ブラシの毛先は、凸部を有する。
【0008】
また、本発明の第1観点に係る空気調和装置においては、除去ブラシは、隣接するフィルタフレーム間のフィルタ本体に対向し、対向するフィルタ本体の撓み方向と同方向に突出するように凸状に、毛先により形成された毛先面を有する。
【0009】
本発明の第1観点に係る空気調和装置では、除去ブラシの毛先は、第1部分では、基準直線から第1距離だけ離れるように、形成されている。一方、除去ブラシの毛先は、第2部分では、基準直線から第1距離よりも長い第2距離だけ離れるように、形成されている。除去ブラシの毛先の高さが一定ではなく、フィルタ本体の撓み量に応じて変えられているので、撓み量が小さい部分に限らず、撓み量が大きい部分に対しても塵埃を効果的に除去することができる。すなわち、フィルタ本体の撓み量によらず、塵埃を除去することができる。結果として、除去ブラシによる塵埃の取り残しを低減することができる
【0010】
たがって、本発明の第観点に係る空気調和装置では、フィルタ本体の撓み量に応じた、除去ブラシの毛先の高さを実現することができる。
【0011】
また、本発明の第観点に係る空気調和装置では、除去ブラシの毛先がフィルタ本体の撓み具合に合わせた形状に形成されているので、フィルタ本体に付着した塵埃を効果的に除去することができる。
【0012】
本発明の第観点に係る空気調和装置においては、除去ブラシは、基材部分を有する。基材部分の厚みが、フィルタフレームから離れるにつれて厚くなることにより、除去ブラシの毛先は、フィルタフレームから離れるにつれて基準直線から離れる。
【0013】
本発明の第観点に係る空気調和装置では、基材部分の厚みは、フィルタフレームから離れるにつれて厚くなる。これにより、毛部分の長さを変えることなく、除去ブラシの毛先の形状を変えることができる。
【0014】
本発明の第観点に係る空気調和装置においては、除去ブラシは、基材部分と、毛部分とを有する。毛部分は、基材部分に固定されている。毛部分の長さが、フィルタフレームから離れるにつれて長くなることにより、除去ブラシの毛先は、フィルタフレームから離れるにつれて基準直線から離れる。
【0015】
本発明の第観点に係る空気調和装置では、毛部分の長さは、フィルタフレームから離れるにつれて長くなる。これにより、基材部分の厚さを変えることなく、除去ブラシの毛先の形状を変えることができる。
【0016】
本発明の第観点に係る空気調和装置は、フィルタと、除去ブラシとを備える。フィルタは、フィルタフレームおよびフィルタ本体を有する。除去ブラシは、フィルタに接触しながらフィルタに対して相対的に移動することにより、フィルタ本体に付着した塵埃を除去する。除去ブラシの第1部分の毛先は、除去ブラシの基準直線から第1距離だけ離れている。除去ブラシの第2部分の毛先は、基準直線から第1距離よりも長い第2距離だけ離れている。基準直線は、除去ブラシの内部を通り、かつ、除去ブラシの延伸方向に沿う直線である。第1部分は、除去ブラシが塵埃を除去する場合に、フィルタ本体が第1撓み量だけ撓んだ部分に対向する部分である。第2部分は、除去ブラシが塵埃を除去する場合に、フィルタ本体が第1撓み量よりも大きい第2撓み量だけ撓んだ部分に対向する部分である。空気調和装置は、除去ブラシに付着した塵埃を剥がす剥離ブラシをさらに備える。剥離ブラシは、除去ブラシに対向して配置されている。剥離ブラシのうち第1部分に対向する部分の毛先は、剥離ブラシのうち第2部分に対向する部分の毛先よりも、剥離ブラシの基準直線から離れている。剥離ブラシの基準直線は、剥離ブラシの内部を通り、かつ、剥離ブラシの延伸方向に沿う直線である。
【0017】
本発明の第観点に係る空気調和装置では、剥離ブラシのうち第1部分に対向する部分の毛先は、剥離ブラシのうち第2部分に対向する部分の毛先よりも、剥離ブラシの基準直線から離れている。すなわち、剥離ブラシの毛先の高さは一定ではなく、除去ブラシの毛先の高さに応じて変えられている。これにより、除去ブラシの毛先の高さが高い部分に限らず、毛先の高さが低い部分に対しても塵埃を効果的に剥がすことができる。つまり、除去ブラシの毛先の高さによらず、除去ブラシに付着した塵埃を効果的に剥がすことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1観点に係る空気調和装置では、フィルタ本体の撓み量によらず、塵埃を除去することができる。結果として、除去ブラシによる塵埃の取り残しを低減することができる。
【0019】
本発明の第観点に係る空気調和装置では、フィルタ本体の撓み量に応じた、除去ブラシの毛先の高さを実現することができる。
【0020】
本発明の第観点に係る空気調和装置では、除去ブラシの毛先がフィルタ本体の撓み具合に合わせた形状に形成されているので、フィルタ本体に付着した塵埃を効果的に除去することができる。
【0021】
本発明の第観点に係る空気調和装置では、毛部分の長さを変えることなく、除去ブラシの毛先の形状を変えることができる。
【0022】
本発明の第観点に係る空気調和装置では、基材部分の厚さを変えることなく、除去ブラシの毛先の形状を変えることができる。
【0023】
本発明の第観点に係る空気調和装置では、除去ブラシの毛先の高さによらず、除去ブラシに付着した塵埃を効果的に剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る空気調和装置の外観斜視図である。
図2】前面板が取り外された空気調和装置の外観斜視図である。
図3図1のIII−III断面図である。
図4】空気調和装置の一部の分解斜視図である。
図5】清掃ユニットの外観斜視図である。
図6】清掃ユニットの外観斜視図である。
図7】清掃ユニットの外観斜視図である。
図8図5のVIII−VIII断面図である。
図9】除去ブラシの基材部分の外観斜視図である。
図10】剥離ブラシの基材部分の外観斜視図である。
図11】左側フィルタの外観斜視図である。
図12】除去ブラシと左側フィルタの位置関係を説明する図である。
図13】除去ブラシと剥離ブラシの位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を以下に示す。なお、以下の実施形態は、具体例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
【0026】
<第1実施形態>
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置100の外観斜視図である。本明細書では、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、および「右」の6つの方向は、図1に示されるように定義される。図2は、後述の前面板116が取り外された空気調和装置100の外観斜視図である。図3は、図1のIII−III断面図である。図4は、空気調和装置100の一部の分解斜視図である。
【0027】
空気調和装置100は、主として、本体ケーシング110、室内ファン120、室内熱交換器130、支持フレーム140、フィルタ150、および清掃ユニット160を備える。本体ケーシング110の背面側が側壁WLに取り付けられることにより、空気調和装置100は室内RSの側壁WLに設置される。
【0028】
(1−1)本体ケーシング
本体ケーシング110は、背面板111、天板113、左側板114、右側板115、および前面板116により構成されている。本体ケーシング110は、室内ファン120、室内熱交換器130、支持フレーム140、フィルタ150、および清掃ユニット160等を収納している。本体ケーシング110の上部には、吸込口101が形成されている。本体ケーシング110の下部の中央付近には、調和空気を吹き出す吹出口102が形成されている。
【0029】
(1−2)室内ファン
室内ファン120は、本体ケーシング110の、上下方向における略中央部分に配置されている。室内ファン120は、クロスフローファンである。室内ファン120は、ファンモータに接続されている。室内ファン120がファンモータの駆動により回転すると、室内の空気は、吸込口101から本体ケーシング110の内部に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、室内熱交換器130を通過した後、吹出口102に通じる案内流路を案内されて、最終的に吹出口102から吹き出される。
【0030】
(1−3)室内熱交換器
室内熱交換器130は、室内ファン120の一部を覆うように配置されている。より詳細には、室内熱交換器130は、室内ファン120の上部付近、すなわち、室内ファン120の前方下側付近から室内ファン120の後方上側付近にかけて、位置している。室内熱交換器130は、冷房運転時に冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時に冷媒の放熱器として機能する。
【0031】
(1−4)支持フレーム
支持フレーム140は、室内熱交換器130を覆うように配置されている。支持フレーム140の後端は、化粧板であるグリル117にビス止めされている。支持フレーム140は、フィルタ150および清掃ユニット160を支持している。支持フレーム140は、中央フレーム140C、左側支持フレーム部分140L、および右側支持フレーム部分140Rを有する。
【0032】
中央フレーム140Cは、支持フレーム140の左右方向の中央に設けられている。中央フレーム140Cは、支持フレーム140の前方下側の端部から後方上側の端部にかけて位置している。中央フレーム140Cは、支持フレーム140を左側支持フレーム部分140Lと右側支持フレーム部分140Rに区画している。
【0033】
左側支持フレーム部分140Lは、支持フレーム140のうち、中央フレーム140Cにより区画された左側の部分である。左側支持フレーム部分140Lは、2つの爪部141Lと、2つの取付部142Lとを含む。2つの爪部141Lは、左側支持フレーム部分140Lの前方下側に設けられている。2つの爪部141Lは、互いに左右方向に離れて位置している。一方の取付部142Lは、左側支持フレーム部分140Lの左側端部の側壁に設けられている。他方の取付部142Lは、中央フレーム140Cのうち左側支持フレーム部分140L側の側壁に設けられている。すなわち、2つの取付部142Lは、互いに左右方向に離れて位置している。2つの取付部142Lは、左右方向に対向して位置している。また、左側支持フレーム部分140Lの上部の左右両端には、ガイドレール143Lが設けられている。
【0034】
左側支持フレーム部分140Lの前方下側の端部には、左用シャフトが左右方向に沿って設けられている。左用シャフトは、左用モータにより回転する。左用シャフトの両端には、左用駆動ギアが連結されている。それぞれの左用駆動ギアには、左用ワイヤーベルトが掛けられている。それぞれの左用ワイヤーベルトは、左側支持フレーム部分140Lの前方下側(すなわち左用駆動ギア)から後方上側に沿って環状に配置されている。2つの取付部142Lは、左用ワイヤーベルトのそれぞれに固定されている。それぞれの左用駆動ギアが回転することによって、左用ワイヤーベルトが左側支持フレーム部分140Lに沿った軌道上を移動する。そうすると、2つの取付部142Lも移動する。より詳細には、前方下側の端部から後方上側の端部の間を移動する。
【0035】
右側支持フレーム部分140Rは、支持フレーム140のうち、中央フレーム140Cにより区画された右側の部分である。右側支持フレーム部分140Rは、2つの爪部141Rと、2つの取付部142Rとを含む。2つの爪部141Rは、右側支持フレーム部分140Rの前方下側に設けられている。2つの爪部141Rは、互いに左右方向に離れて位置している。一方の取付部142Rは、右側支持フレーム部分140Rの右側端部の側壁に設けられている。他方の取付部142Rは、中央フレーム140Cのうち右側支持フレーム部分140R側の側壁に設けられている。すなわち、2つの取付部142Rは、互いに左右方向に離れて位置している。2つの取付部142Rは、左右方向に対向して位置している。また、右側支持フレーム部分140Rの上部の左右両端には、ガイドレール143Rが設けられている。
【0036】
右側支持フレーム部分140Rの前方下側の端部には、右用シャフトが左右方向に沿って設けられている。右用シャフトは、右用モータにより回転する。右用シャフトの両端には、右用駆動ギアが連結されている。それぞれの右用駆動ギアには、右用ワイヤーベルトが掛けられている。それぞれの右用ワイヤーベルトは、右側支持フレーム部分140Rの前方下側(すなわち右用駆動ギア)から後方上側に沿って環状に配置されている。2つの取付部142Rは、右用ワイヤーベルトのそれぞれに固定されている。それぞれの右用駆動ギアが回転することによって、右用ワイヤーベルトが右側支持フレーム部分140Rに沿った軌道上を移動する。そうすると、2つの取付部142Rも移動する。より詳細には、前方下側の端部から後方上側の端部の間を移動する。
【0037】
(1−5)フィルタ
フィルタ150は、支持フレーム140を覆うように、すなわち、室内熱交換器130を覆うように、配置されている。フィルタ150は、室内熱交換器130に向かう空気中に含まれる塵埃を捕集する。本実施形態においては、フィルタ150は、左側フィルタ150Lおよび右側フィルタ150Rを含む。
【0038】
左側フィルタ150Lは、室内熱交換器130の左半分を覆う。左側フィルタ150Lは、2つの溝部151Lと、複数の突起部152Lとを有する。2つの溝部151Lは、左側フィルタ150Lの前方下側に設けられている。2つの溝部151Lは、左右方向に離れて位置している。2つの溝部151Lが2つの爪部141Lに掛けられ、かつ、左側フィルタ150Lの左右両端のフレーム部分が左右のガイドレール143Lに差し込まれることによって、左側フィルタ150Lは、左側支持フレーム部分140Lに支持されている。
【0039】
複数の突起部152Lは、左側フィルタ150Lの左右両端のそれぞれに列状に設けられている。より詳細には、複数の突起部152Lは、左右の外枠部分のそれぞれに前側から後側にかけて一定間隔毎に形成されている。複数の突起部152Lは、後述の清掃ユニット160Lの動作状態を、清掃状態とリフレッシュ状態との間で切り換える役割を担う。
【0040】
右側フィルタ150Rは、室内熱交換器130の右半分を覆う。右側フィルタ150Rは、2つの溝部151Rと、複数の突起部152Rとを有する。2つの溝部151Rは、右側フィルタ150Rの前方下側に設けられている。2つの溝部151Rは、左右方向に離れて位置している。2つの溝部151Rが2つの爪部141Rに掛けられ、かつ、右側フィルタ150Rの左右両端のフレーム部分が左右のガイドレール143Rに差し込まれることによって、右側フィルタ150Rは、右側支持フレーム部分140Rに支持されている。
【0041】
複数の突起部152Rは、右側フィルタ150Rの左右両端のそれぞれに列状に設けられている。より詳細には、複数の突起部152Rは、左右の外枠部分のそれぞれに前側から後側にかけて一定間隔毎に形成されている。複数の突起部152Rは、後述の清掃ユニット160Rの動作状態を、清掃状態とリフレッシュ状態との間で切り換える役割を担う。
【0042】
(1−6)清掃ユニット
清掃ユニット160は、支持フレーム140に摺動可能に取り付けられている。清掃ユニット160は、フィルタ150に対して移動してフィルタ150を清掃する。より詳細には、清掃ユニット160は、フィルタ150の前方下側の端部から後方上側の端部の間を移動する。清掃ユニット160の動作状態は、後方上側に向けて移動する場合に清掃状態となり、前方下側に向けて移動する場合にリフレッシュ状態となる。なお、清掃状態は、フィルタ150に付着した塵埃を除去する状態であり、リフレッシュ状態は、後述の除去ブラシ170に付着した塵埃を剥がす状態である。本実施形態においては、清掃ユニット160は、清掃状態とリフレッシュ状態の切換を細かく繰り返す。より詳細には、清掃ユニット160がフィルタ150の前方下側の端部から後方上側の端部まで移動する間に、清掃ユニット160は、清掃状態とリフレッシュ状態の切換を複数回行う。
【0043】
清掃ユニット160は、フィルタ150に対向して配置されている。なお、本明細書においては、清掃ユニット160のうちフィルタ150に対向する面とは反対側の面を表面と記し、フィルタ150に対向する面を裏面と記す場合がある。本実施形態においては、清掃ユニット160は、清掃ユニット160Lおよび清掃ユニット160Rを含む。
【0044】
清掃ユニット160Lは、左側フィルタ150Lに対向して配置されている。清掃ユニット160Lは、2つの固定部161Lを有する。一方の固定部161Lは、左側面に設けられている。より詳細には、左側面から左方向に突出している。他方の固定部161Lは、右側面に設けられている。より詳細には、右側面から右方向に突出している。2つの固定部161Lが2つの取付部142Lに取り付けられることにより、清掃ユニット160Lは、支持フレーム140に支持されている。2つの取付部142Lが移動することにより、清掃ユニット160Lも移動する。
【0045】
清掃ユニット160Rは、右側フィルタ150Rに対向して配置されている。清掃ユニット160Rは、2つの固定部161Rを有する。一方の固定部161Rは、左側面に設けられている。より詳細には、左側面から左方向に突出している。他方の固定部161Rは、右側面に設けられている。より詳細には、右側面から右方向に突出している。2つの固定部161Rが2つの取付部142Rに取り付けられることにより、清掃ユニット160Rは、支持フレーム140に支持されている。2つの取付部142Rが移動することにより、清掃ユニット160Rも移動する。
【0046】
(2)清掃ユニットの詳細構成
清掃ユニット160Lの構成および清掃ユニット160Rの構成は、同一である。したがって、ここでは、清掃ユニット160Lを例に挙げて説明する。
【0047】
図5図6、および図7は、清掃ユニット160Lの外観斜視図である。図5および図6は、清掃ユニット160Lの表面側の外観斜視図である。図5は、後述のカバー部163が閉じた状態の清掃ユニット160Lを示す。図6は、カバー部163が開いた状態の清掃ユニット160Lを示す。図7は、清掃ユニット160Lの裏面側の外観斜視図である。図7は、カバー部163が閉じた状態の清掃ユニット160Lを示す。なお、本明細書では、Z軸は、カバー部163が閉じた状態において、後述のダストボックス162とカバー部163が重ねられた方向である。Z軸プラス方向は、ダストボックス162からカバー部163に向かう方向である。X軸およびY軸は、Z軸に直交する平面における、互いに直交する2軸である。具体的には、X軸は、図5において、清掃ユニット160Lの幅方向(すなわち、紙面の左右方向)である。X軸プラス方向は、紙面の右方向である。Y軸は、図5において、清掃ユニット160Lの奥行方向(すなわち、紙面の前後方向)である。Y軸プラス方向は、紙面の奥方向である。
【0048】
清掃ユニット160Lは、2つの固定部161Lに加えて、ダストボックス162およびカバー部163を有する。清掃ユニット160Lは、カバー部163が閉じられた状態では、全体として略直方体の形状を有する。カバー部163が閉じられた状態では、清掃ユニット160LのうちのX軸方向の長さが最も長く、Z軸方向の長さが最も短い。
【0049】
ダストボックス162は、窪み部162aを有する。窪み部162aは、ダストボックス162の表面側に形成されている。すなわち、窪み部162aは、Z軸マイナス方向に窪んでいる。本実施形態においては、窪み部162aは、ダストボックス162のX軸方向の一端から他端にかけて形成されている。窪み部162aは、ダストボックス162のY軸マイナス方向寄りに形成されている。本実施形態においては、窪み部162aは、ダストボックス162のY軸中心付近からY軸マイナス方向の端部にかけて形成されている。
【0050】
カバー部163は、板状の部材である。カバー部163のX軸方向およびY軸方向の長さは、ダストボックス162のX軸方向およびY軸方向の長さに合わせて形成されている。カバー部163は、ダストボックス162に取り付けられている。カバー部163が閉じられた状態においては、カバー部163は、Z軸プラス方向側からダストボックス162に重ねられている。すなわち、カバー部163は、ダストボックス162の表面側をカバーする。ダストボックス162の窪み部162aとカバー部163とにより、後述の貯留部190が構成されている。
【0051】
清掃ユニット160は、上述のダストボックス162およびカバー部163に加えて、除去ブラシ170および剥離ブラシ180を有する。
【0052】
除去ブラシ170は、左側フィルタ150Lに付着した塵埃を除去する。除去ブラシ170は、X軸方向に伸びた棒形状を有する。除去ブラシ170は、ダストボックス162の裏面に取り付けられている。
【0053】
除去ブラシ170は、基材部分171、毛部分172、および2つのゴム製のベロ部材173を含む。基材部分171は、樹脂材料により形成されている。毛部分172は、基材部分171の一面に固定されている。本実施形態においては、毛部分172は、全体として一定の長さに揃えられている。除去ブラシ170の表面は、断面視において、略円弧状に形成されている(図8参照)。2つのベロ部材173は、除去ブラシ170を回転させる役割を担う。2つのベロ部材173は、除去ブラシ170を回転させる役割を担う。2つのベロ部材173は、Z軸マイナス方向に突出している。一方のベロ部材173は、除去ブラシ170のX軸プラス方向の端部に設けられている。他方のベロ部材173は、除去ブラシ170のX軸マイナス方向の端部に設けられている。
【0054】
剥離ブラシ180は、左側フィルタ150Lに付着した塵埃を除去することにより除去ブラシ170に付着した塵埃を剥がす。剥離ブラシ180は、X軸方向に伸びた棒形状を有する。剥離ブラシ180は、ダストボックス162の裏面に取り付けられている。剥離ブラシ180は、除去ブラシ170に対向している。
【0055】
剥離ブラシ180は、基材部分181および毛部分182を含む。基材部分181は、樹脂材料により形成されている。毛部分182は、基材部分181の一面に固定されている。本実施形態においては、毛部分182は、全体として一定の長さに揃えられている。
【0056】
図8は、図5のVIII−VIII断面図である。図8は、清掃時の清掃ユニット160Lを示す。図8において、破線矢印は、清掃ユニット160Lの清掃時の進行方向を示す。太線矢印は、塵埃の流れを示す。既に説明したように、2つの固定部161Lが2つの取付部142Lに取り付けられた場合に、清掃ユニット160Lは、左側フィルタ150Lに対向して配置される。このとき、清掃ユニット160Lの裏面は、左側フィルタ150Lの面に沿う。
【0057】
除去ブラシ170、剥離ブラシ180、および貯留部190は、左側フィルタ150Lの面に沿った方向に配置されている。より詳細には、除去ブラシ170は、剥離ブラシ180と貯留部190の間に位置している。すなわち、貯留部190は、除去ブラシ170を挟んで、剥離ブラシ180とは反対側に位置している。換言すると、清掃ユニット160Lの清掃時の進行方向の前側から順に、剥離ブラシ180、除去ブラシ170、および貯留部190が位置している。貯留部190は、剥離ブラシ180により剥がされた塵埃を貯留する。
【0058】
既に説明したように、左側フィルタ150Lの左右の外枠部分のそれぞれには、複数の突起部152Lが列状に形成されている。すなわち、左側フィルタ150Lの左右の外枠部分のそれぞれには、突起部列が形成されている。清掃ユニット160Lが移動する場合に、2つのベロ部材173は、突起部列のそれぞれの列上を移動する。
【0059】
除去ブラシ170の毛部分172が左側フィルタ150Lに対向している場合には、図8に示されるように、ベロ部材173は、清掃ユニット160LのY軸方向の略中央に位置している。このとき、ベロ部材173は、紙面下方に向いている。清掃ユニット160Lが左側フィルタ150Lの後方上側の方向(図8の破線矢印で示す方向)に移動すると、2つのベロ部材173は、それぞれの突起部列の突起部152Lの各々を乗り越える。したがって、毛部分172が左側フィルタ150Lに対向した状態が維持される。よって、この間に、左側フィルタ150Lに対する清掃動作が行われる。すなわち、毛部分172により、左側フィルタ150Lに付着した塵埃が除去される。
【0060】
一方、清掃ユニット160Lが左側フィルタ150Lの前方下側の方向(図8の破線矢印で示す方向とは反対方向)に移動すると、2つのベロ部材173は、それぞれの突起部列のいずれかの突起部152Lに引っ掛かり、押されることにより、Y軸プラス方向に移動する。これにより、除去ブラシ170の全体が反時計周りに回転する。そうすると、毛部分172が清掃ユニット160Lの内部に収納される。毛部分172が左側フィルタ150Lに対向しないので、左側フィルタ150Lに付着した塵埃の除去は行われない。
【0061】
一方、除去ブラシ170の全体が反時計周りに回転することにより、除去ブラシ170の毛部分172と剥離ブラシ180の毛部分182とが、互いに接触する。これにより、除去ブラシ170に付着した塵埃が取り除かれる。すなわち、リフレッシュ動作が行われる。このとき、除去ブラシ170と剥離ブラシ180が互いに接する領域のうち、清掃ユニット160Lの内側の部分Aは、清掃ユニット160Lの外側の部分Bよりも強く接している。除去ブラシ170と剥離ブラシ180の位置関係は、部分Aが部分Bよりも強く接するように、調整されている。塵埃は、太線矢印に示されるように案内されて貯留部190に貯留される。
【0062】
2つのベロ部材173がY軸プラス方向に移動した結果、2つのベロ部材173は、清掃ユニット160LのY軸方向の中央よりもプラス方向寄りに位置している。このとき、ベロ部材173は、紙面上方に向いている。その後、清掃ユニット160Lが左側フィルタ150Lの後方上側の方向に再度移動すると、2つのベロ部材173は、それぞれの突起部列のいずれかの突起部152Lに引っ掛かり、押されることにより、Y軸マイナス方向に移動する。これにより、除去ブラシ170の全体が時計周りに回転する。そうすると、毛部分172が清掃ユニット160Lの外部に現れ、毛部分172は、左側フィルタ150Lに再び対向する。
【0063】
上述のように、剥離ブラシ180により剥がされた塵埃が貯留部190に案内されるときに、剥離ブラシ180および除去ブラシ170は、互いに接触している。すなわち、剥離ブラシ180と除去ブラシ170の間に隙間が存在しない。
【0064】
ここでは、塵埃の流れをより詳細に説明する。既に説明したように、清掃ユニット160Lが左側フィルタ150Lの前方下側の端部から後方上側の端部まで移動する間に、清掃ユニット160Lは、清掃状態とリフレッシュ状態の切換を複数回行う。すなわち、清掃ユニット160Lは、左側フィルタ150Lの後方上側の方向への移動と、前方下側の方向への移動とを繰り返しながら、最終的に後方上側の端部まで移動する。ここで、清掃ユニット160Lが左側フィルタ150Lの前方下方から前方上方の間を移動する場合には、除去ブラシ170から剥がされた塵埃は、重力により貯留部190に運ばれる。
【0065】
清掃ユニット160Lは、左側フィルタ150Lの後方に向かうにつれて、その体勢を起こす。すなわち、清掃ユニット160Lの姿勢は、清掃ユニット160Lの裏面が水平面に沿う水平姿勢に近づく。したがって、清掃ユニット160Lが左側フィルタ150Lの前方上方から後方上方の間を移動する場合には、除去ブラシ170から剥がされた塵埃は、貯留部190に運ばれ難くなる。つまり、塵埃は、除去ブラシ170および剥離ブラシ180の近辺に滞留する。その後、清掃ユニット160Lが前方に向けて移動し、さらに上方から下方に移動すると、滞留していた塵埃は、重力により貯留部190に運ばれる。塵埃が除去ブラシ170および剥離ブラシ180の近辺に滞留している間のリフレッシュ動作中においても、剥離ブラシ180と除去ブラシ170の間には隙間が存在しない。
【0066】
図9は、除去ブラシ170の基材部分171の外観斜視図である。基材部分171は、毛部分172を取り付けるための取付面174を有する。取付面174は、平坦ではなく、凹凸状に形成されている。すなわち、取付面174は、凸部174aと、凹部174bとを含む。詳しくは後述するが、取付面174のうち後述の前後フレーム255b(図11参照)に対向する部分が凹んでいる。
【0067】
図10は、剥離ブラシ180の基材部分181の外観斜視図である。基材部分181は、毛部分182を取り付けるための取付面184を有する。取付面184は、平坦ではなく、凹凸状に形成されている。すなわち、取付面184は、凸部184aと、凹部184bとを含む。詳しくは後述するが、取付面184のうち前後フレーム255b(図11参照)に対向する部分が凸んでいる。
【0068】
(3)フィルタの詳細構成
左側フィルタ150Lの構成および右側フィルタ150Rの構成は、同一である。したがって、ここでは、左側フィルタ150Lを例に挙げて説明する。
【0069】
図11は、左側フィルタ150Lの外観斜視図である。左側フィルタ150Lは、フィルタフレーム250およびフィルタ本体260を有する。フィルタフレーム250は、前側下方フレーム251、後側上方フレーム252、左側フレーム253、右側フレーム254、および内フレーム255を含む。前側下方フレーム251、後側上方フレーム252、左側フレーム253、および右側フレーム254により、左側フィルタ150Lの外周枠が構成されている。
【0070】
内フレーム255は、外周枠により囲まれる領域を複数の区画に区分けする。内フレーム255は、左右フレーム255aと、前後フレーム255bとを含む。本実施形態においては、外周枠により囲まれる領域は、前後方向に5区画に区分けされ、左右方向に3区画に区分けられる。すなわち、5行×3列に区分けされている。複数の区画のそれぞれには、フィルタ本体260が配置されている。また、詳しくは後述するが、フィルタ本体260は、自重により撓み得る。なお、内フレーム255の本数は、上述の例に限られず、他の本数でもよい。また、内フレーム255が形成されていなくてもよい。この場合には、上述の外周枠に1つのフィルタ本体260が形成される。
【0071】
(4)除去ブラシとフィルタの位置関係
清掃ユニット160Lの除去ブラシ170と、左側フィルタ150Lとの位置関係、および清掃ユニット160Rの除去ブラシ170と、右側フィルタ150Rとの位置関係は、同一である。したがって、ここでは、清掃ユニット160Lの除去ブラシ170と、左側フィルタ150Lとの位置関係を例に挙げて説明する。
【0072】
図12は、除去ブラシ170と左側フィルタ150Lの位置関係を説明する図である。図12は、除去ブラシ170と左側フィルタ150Lを模式的に示す。ここでは、左側フィルタ150Lのうち上述の区画された1列が図示されている。具体的には、左側フィルタ150Lの1列は、左側フィルタ150Lが支持フレーム140に取り付けられた場合に、略水平に位置する部分である。この部分では、自重による撓みが最も大きくなる。図12において、第1基準直線Sは、除去ブラシ170の内部を通り、かつ、除去ブラシ170の延伸方向(すなわち図5のX軸方向)に沿う直線である。
【0073】
1列を構成している3つのフィルタ本体260は、フィルタフレーム250により固定されている。それぞれのフィルタ本体260は、自重により撓んでいる。より詳細には、それぞれのフィルタ本体260の撓みは、フィルタフレーム250から左右方向に離れるにつれて、大きくなる。
【0074】
例えば、左端のフィルタ本体260は、左側フレーム253および前後フレーム255bにより固定されている。ここで、左端のフィルタ本体260の第1撓み部分FP1が、第1撓み量Aだけ撓んでいるのに対し、左端のフィルタ本体260の第2撓み部分FP2は、第2撓み量Aだけ撓んでいる。第2撓み部分FP2は、第1撓み部分FP1よりも左側フレーム253から離れている。すなわち、第1撓み部分FP1は、第2撓み部分FP2よりも左側フレーム253に寄っている。ただし、第2撓み部分FP2は、左側フレーム253と前後フレーム255bの中央よりも左側に寄っている。第2撓み量Aは、第1撓み量Aよりも大きい。
【0075】
左端のフィルタ本体260の撓みは、左側フレーム253から右方向に離れるにつれて、かつ、前後フレーム255bから左方向に離れるにつれて、大きくなる。すなわち、左端のフィルタ本体260の撓みは、左側フレーム253と前後フレーム255bの中央付近で最も大きくなる。左端のフィルタ本体260の形状は、下側に突出した略ドーム状である。
【0076】
なお、中央のフィルタ本体260の撓みおよび右端のフィルタ本体260の撓みについても、左端のフィルタ本体260の撓みと同様のことが言える。
【0077】
除去ブラシ170は、上述の撓み具合に合わせて形成されている。除去ブラシ170の毛先175は、フィルタフレーム250から左右方向に離れるにつれて、第1基準直線Sから離れている。すなわち、毛先175は、フィルタフレーム250から左右方向に離れるにつれて、フィルタ本体260の撓み方向と同方向(すなわち下側)に突出している。本実施形態においては、基材部分171の厚みがフィルタフレーム250から離れるにつれて厚くなる。これにより、除去ブラシ170の毛先は、フィルタフレーム250から離れるにつれて第1基準直線Sから離れる。
【0078】
例えば、左端の凸部174aにおいては、除去ブラシ170の第1部分Pは、第1基準直線Sから第1距離Dだけ離れているのに対し、第2部分Pは、第1基準直線Sから第2距離Dだけ離れている。ここで、第1距離Dは、第1部分Pと第1基準直線Sを結ぶ最短距離である。第2距離Dは、第2部分Pと第1基準直線Sを結ぶ最短距離である。第2部分Pは、第1部分Pよりも左側フレーム253から離れている。すなわち、第1部分Pは、第2部分Pよりも左側フレーム253に寄っている。ただし、第2部分Pは、左側フレーム253と前後フレーム255bの中央よりも左側に寄っている。第2距離Dは、第1距離Dよりも長い。
【0079】
除去ブラシ170の第1部分Pは、除去ブラシ170が塵埃を除去する場合に、フィルタ本体260の第1撓み部分FP1に対向する。除去ブラシ170の第2部分Pは、除去ブラシ170が塵埃を除去する場合に、フィルタ本体260の第2撓み部分FP2に対向する。
【0080】
左端の凸部174aの出っ張りは、左側フレーム253から右方向に離れるにつれて、かつ、前後フレーム255bから左方向に離れるにつれて、大きくなる。すなわち、左端の凸部174aの出っ張りは、左側フレーム253と前後フレーム255bの中央付近で最も大きくなる。左端の凸部174aの形状は、下側に突出した略ドーム状である。
【0081】
なお、中央の凸部174aの形状および右端の凸部174aの形状についても、左端の凸部174aの形状と同様のことが言える。
【0082】
以上のように、除去ブラシ170は、左右方向に並ぶ3つのフィルタ本体260の撓みに対応した3つの凸部174aを含む。換言すると、除去ブラシ170のうち前後フレーム255bに対向する部分が相対的に凹んでいる。すなわち、凹部174bは、除去ブラシ170のうち前後フレーム255bに対向する部分に形成されている。
【0083】
(5)除去ブラシと剥離ブラシの位置関係
図13は、除去ブラシ170と剥離ブラシ180の位置関係を説明する図である。図13は、除去ブラシ170と剥離ブラシ180を模式的に示す。図13において、第2基準直線Sは、剥離ブラシ180の内部を通り、かつ、剥離ブラシ180の延伸方向(すなわち図5のX軸方向)に沿う直線である。第1基準直線Sは、既に説明した通りである。
【0084】
剥離ブラシ180は、除去ブラシ170の毛先の形状に合わせて形成されている。剥離ブラシ180の毛先185は、フィルタフレーム250から左右方向に離れるにつれて、第2基準直線Sに近づいている。すなわち、毛先185は、フィルタフレーム250から左右方向に離れるにつれて、剥離ブラシ180の厚み方向に凹んでいる。本実施形態においては、基材部分181の厚みがフィルタフレーム250から離れるにつれて薄くなる。これにより、剥離ブラシ180の毛先185は、フィルタフレーム250から離れるにつれて第2基準直線Sに近づく。
【0085】
例えば、左端の凹部184bにおいては、剥離ブラシ180の第3部分Pは、第2基準直線Sから第3距離Dだけ離れているのに対し、第4部分Pは、第2基準直線Sから第4距離Dだけ離れている。ここで、第3距離Dは、第3部分Pと第2基準直線Sを結ぶ最短距離である。第4距離Dは、第4部分Pと第2基準直線Sを結ぶ最短距離である。第4部分Pは、第3部分Pよりも左側フレーム253から離れている。すなわち、第3部分Pは、第4部分Pよりも左側フレーム253に寄っている。ただし、第4部分Pは、左側フレーム253と前後フレーム255bの中央よりも左側に寄っている。第3距離Dは、第4距離Dよりも長い。
【0086】
剥離ブラシ180の第3部分Pは、除去ブラシ170の第1部分Pに対向する。剥離ブラシ180の第4部分Pは、除去ブラシ170の第2部分Pに対向する。
【0087】
左端の凹部184bの窪みは、左側フレーム253から右方向に離れるにつれて、かつ、前後フレーム255bから左方向に離れるにつれて、大きくなる。すなわち、左端の凹部184bの窪みは、左側フレーム253と前後フレーム255bの中央付近で最も大きくなる。左端の凹部184bの形状は、略椀状である。
【0088】
なお、中央の凹部184bの形状および右端の凹部184bの形状についても、左端の凹部184bの形状と同様のことが言える。
【0089】
以上のように、剥離ブラシ180は、3つの凸部174aに対応した3つの凹部184bを含む。換言すると、剥離ブラシ180のうち前後フレーム255bに対向する部分が相対的に凸んでいる。すなわち、凸部184aは、前後フレーム255bに対向する部分、つまり、凹部174bに対向する部分に形成されている。
【0090】
(6)空気調和装置の特徴
本実施形態の空気調和装置100においては、フィルタ150と、清掃ユニット160に含まれる除去ブラシ170とを備える。清掃ユニット160は、フィルタ150に接触しながらフィルタ150に対して移動する。これにより、除去ブラシ170はフィルタ本体260に付着した塵埃を除去する。
【0091】
既に説明したように、フィルタ本体260は、自重により撓み得る。特に、図12に示されたように、支持フレーム140に対して略水平に位置する部分では、撓みが相対的に大きい。ここで、仮に、除去ブラシ170の毛先175の形状が平坦であれば、フィルタ本体260の撓んだ部分に付着した塵埃を除去することは困難である。本実施形態においては、図12に示したように、除去ブラシ170の第1部分Pは、第1基準直線Sから第1距離Dだけ離れており、除去ブラシ170の第2部分Pは、第1基準直線Sから第1距離Dよりも長い第2距離Dだけ離れている。第1部分Pは、除去ブラシ170が塵埃を除去する場合に、フィルタ本体260が第1撓み量Aだけ撓んだ部分(すなわち第1撓み部分FP1)に対向する部分である。第2部分Pは、除去ブラシ170が塵埃を除去する場合に、フィルタ本体260が第1撓み量Aよりも大きい第2撓み量Aだけ撓んだ部分(すなわち第2撓み部分FP2)に対向する部分である。
【0092】
以上のように、除去ブラシ170の毛先175は、第1部分Pでは、第1基準直線Sから第1距離Dだけ離れるように、形成されている。一方、第2部分Pでは、第1基準直線Sから第1距離Dよりも長い第2距離Dだけ離れるように、形成されている。除去ブラシ170の毛先175の高さが一定ではなく、フィルタ本体260の撓み量に応じて変えられているので、撓み量が小さい部分に限らず、撓み量が大きい部分に対しても塵埃を効果的に除去することができる。すなわち、フィルタ本体260の撓み量によらず、塵埃を除去することができる。結果として、除去ブラシ170による塵埃の取り残しを低減することができる。
【0093】
本実施形態においては、第1部分Pは、第2部分Pよりもフィルタフレーム250に寄っている。すなわち、除去ブラシ170の第1部分Pは、フィルタフレーム250近傍に対向し、第2部分Pは、フィルタフレーム250近傍というよりも、フィルタフレーム250からある程度離れた部分に対向する。以上のように、第1部分Pおよび第2部分Pが位置することにより、フィルタ本体260の撓み量に応じた、除去ブラシ170の毛先175の高さを実現することができる。
【0094】
本実施形態においては、除去ブラシ170の毛先175は、フィルタフレーム250から離れるにつれて、第1基準直線Sから離れる。すなわち、除去ブラシ170の毛先175は、凸状に湾曲して形成されている。除去ブラシ170の毛先がフィルタ本体260の撓み具合に合わせた形状に形成されているので、フィルタ本体260に付着した塵埃を効果的に除去することができる。
【0095】
本実施形態においては、除去ブラシ170は、基材部分171を有する。そして、基材部分171の厚みが、フィルタフレーム250から離れるにつれて厚くなることにより、除去ブラシ170の毛先175は、フィルタフレーム250から離れるにつれて第1基準直線Sから離れる。これにより、毛部分172の長さを変えることなく、除去ブラシ170の毛先175を凸状に湾曲させることができる。
【0096】
本実施形態においては、清掃ユニット160には、さらに、剥離ブラシ180が含まれる。剥離ブラシ180は、除去ブラシ170に対向して配置されている。剥離ブラシ180のうち第1部分Pに対向する部分(すなわち第3部分P)の毛先は、剥離ブラシ180のうち第2部分Pに対向する部分(すなわち第4部分P)の毛先よりも、第2基準直線Sから離れている。すなわち、剥離ブラシ180の毛先185の形状は、除去ブラシ170の毛先175の形状に沿うように形成されている。これにより、除去ブラシ170に付着した塵埃を効果的に剥がすことができる。
【0097】
<変形例>
本発明の実施形態に適用可能な変形例を説明する。
【0098】
(1)変形例A
以上の説明では、除去ブラシ170の毛先175がフィルタフレーム250から離れるにつれて第1基準直線Sから離れるように、基材部分171の厚みがフィルタフレーム250から離れるにつれて厚くなったが、毛部分172の長さが、フィルタフレーム250から離れるにつれて長くなってもよい。この場合には、基材部分171の厚さを変えることなく、除去ブラシ170の毛先175を凸状に湾曲させることができる。
【0099】
(2)変形例B
以上の説明では、剥離ブラシ180の毛先185がフィルタフレーム250から離れるにつれて第2基準直線Sに近づくように、基材部分181の厚みがフィルタフレーム250に近づくにつれて厚くなったが、毛部分182の長さが、フィルタフレーム250から離れるにつれて短くなってもよい。この場合には、基材部分181の厚さを変えることなく、剥離ブラシ180の毛先185を凹状に湾曲させることができる。
【0100】
(3)変形例C
以上の説明では、除去ブラシ170とフィルタ本体260の、互いに対向する部分において、フィルタ本体260の撓み量と除去ブラシ170の突出量は同程度であったら、除去ブラシ170の突出量がフィルタ本体260の撓み量よりも大きくてもよい。この場合には、除去ブラシ170の毛先175がフィルタ本体260に、より強く押し付けられながら移動するので、塵埃を除去する能力を向上させることができる。
【0101】
(4)変形例D
以上の説明では、除去ブラシ170の毛先175の凹部は、内フレーム255(具体的には前後フレーム255b)の位置に合わせて形成されていたが、支持フレーム140の外周枠を区画する内フレームの位置に合わせて形成されてもよい。
【0102】
(5)変形例E
以上の説明では、清掃ユニット160がフィルタ150に対して移動したが、フィルタ150が清掃ユニット160に対して移動してもよい。より詳細には、清掃ユニット160が支持フレーム140に固定され、フィルタ150が支持フレーム140に摺動可能に取り付けられてもよい。すなわち、清掃ユニット160は、フィルタ150に対して相対的に移動すればよい。
【0103】
以上のように、本発明は実施形態を用いて説明されたが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の範囲に限定されない。多様な変更または改良を上記の実施形態に加えることが可能であることは、当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0104】
100 空気調和装置
150 フィルタ
170 除去ブラシ
180 剥離ブラシ
171 基材部分
172 毛部分
181 基材部分
250 フィルタフレーム
260 フィルタ本体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特開2009−192211号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13