(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
接続対象物が挿入される挿入開口部が第1の面に形成され、前記挿入開口部から前記第1の面と対向する第2の面に向けて挿入された前記接続対象物が嵌合空間の内部に収容される構成になされた絶縁ハウジングと、
前記絶縁ハウジングの内部に取り付けられた複数体のコンタクト部材と、
前記絶縁ハウジングの外表面を覆う状態に装着された導電性シェルと、を備え、
前記コンタクト部材は、前記絶縁ハウジングに保持された固定基部と、その固定基部から前記第1の面側に延出して前記嵌合空間の内部で弾性変位可能な状態に配置された弾性ビーム部と、前記固定基部から前記第2の面側に延出して配線基板に接合される基板接続部と、を有する一方、
前記挿入開口部が、前記配線基板に直接対面する絶縁ハウジングの下側壁部と、その下側壁部に対して前記配線基板から離れる方向である上方向に対向配置された上側壁部との間に形成され、
前記導電性シェルが、前記絶縁ハウジングにおける前記配線基板に臨む前記下側壁部に対向する前記上側壁部の外表面の少なくとも一部を覆う第1のシェル板を有する電気コネクタにおいて、
前記導電性シェルの第1のシェル板に、前記配線基板に接合される中間接続部が一体的に設けられたものであって、
前記中間接続部は、前記コンタクト部材の固定基部に対して前記第1の面寄りの位置から、前記配線基板に向かって延出する状態に形成されていることを特徴とする電気コネクタ。
前記中間接続部は、前記絶縁ハウジングにおける第1の面を形成している端縁部と、第2の面を形成している端縁部との間部分に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、簡易な構成で、接続対象物に対するコンタクト部材の接触圧力の低下を良好に防止することができるようにした電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため請求項1にかかる発明においては、接続対象物が挿入される挿入開口部が第1の面に形成され、前記挿入開口部から前記第1の面と対向する第2の面に向けて挿入された前記接続対象物が嵌合空間の内部に収容される構成になされた絶縁ハウジングと、前記絶縁ハウジングの内部
に取り付けられた複数体のコンタクト部材と、前記絶縁ハウジングの外表面を覆う状態に装着された導電性シェルとを備え、前記コンタクト部材は、前記絶縁ハウジングに保持された固定基部と、その固定基部から前記第1の面側に延出して前記嵌合空間の内部で弾性変位可能な状態に配置された弾性ビーム部と、前記固定基部から前記第2の面側に延出して配線基板に接合される基板接続部とを有する一方、
前記挿入開口部が、前記配線基板に直接対面する絶縁ハウジングの下側壁部と、その下側壁部に対して前記配線基板から離れる方向である上方向に対向配置された上側壁部との間に形成され、前記導電性シェルが、前記絶縁ハウジングにおける前記配線基板に臨む
前記下側壁部に対向する
前記上側壁部の外表面の少なくとも一部を覆う第1のシェル板を有する電気コネクタにおいて、前記導電性シェルの第1のシェル板に、前記配線基板に接合される中間接続部が一体的に設けられたものであって、前記中間接続部は、前記コンタクト部材の固定基部に対して前記第1の面寄りの位
置から、前記配線基板に向かって延出する状態に形成された構成が採用されている。
【0008】
このような構成を備えた請求項1にかかる発明によれば、接続対象物を嵌合空間の内部に挿入していく際に、コンタクト部材の弾性変位に伴う絶縁ハウジングおよび導電性シェルの変形が、中間接続部の保持力によって抑制されることとなり、接続対象物に対するコンタクト部材の接触圧力の低下が防止される。
【0009】
また、請求項2にかかる発明のように、前記中間接続部は、前記配線基板に形成されたグランド導電路に接合される状態に構成されていることが望ましい。
【0010】
このような構成を備えた請求項2にかかる発明によれば、中間接続部が設けられている分だけグランド接点部の数が増大されることから、グランド抵抗が低減されるという利点が得られる。
【0011】
このとき、請求項3にかかる発明のように、前記中間接続部は、前記絶縁ハウジングにおける第1の面を形成している端縁部と、第2の面を形成している端縁部との間部分に形成されていることが望ましい。
【0012】
また、請求項4にかかる発明のように、前記絶縁ハウジングに、前記中間接続部を収容するハウジング凹部が設けられたものであって、前記ハウジング凹部は、前記絶縁ハウジングの第1の面を形成している端縁から第2の面側に向かって切り欠いた状態に形成されていることが望ましい。
【0013】
このような構成を備えた請求項4記載の発明によれば、絶縁ハウジングに対する導電性シェルの装着が、中間接続部に邪魔されることなく円滑に行われる。
【0014】
また、請求項5にかかる発明のように、前記導電性シェルは、前記配線基板に臨む
前記絶縁ハウジングの下側壁部に配される第2シェル板を有し、前記第2シェル板には、前記中間接続部を収容するシェル凹部が、当該第2シェル板の前記第2の面側の端縁から第1の面側に向かって切り欠いた状態で形成されていることが可能である。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明は、絶縁ハウジングにおける配線基板に臨む
下側壁部と対向
する上側壁部の外表面を覆う導電性シェルに、コンタクト部材の固定基部の近傍位置から配線基板に向かって延出する中間接続部を設け、その中間接続部を配線基板に接合することで、接続対象物の挿入時に絶縁ハウジングおよび導電性シェルが反る等の変形を中間接続部の保持力によって抑制し、接続対象物に対するコンタクト部材の接触圧力の低下を防止するように構成したものであるから、簡易な構成で、接続対象物に対するコンタクト部材の接触圧力の低下を良好に防止することができ、電気コネクタの信頼性を低廉かつ大幅に高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、複数本の同軸ケーブルを印刷配線基板側に接続する電気コネクタに本発明を適用した場合の実施形態に関する説明を図面に基づいて詳細に行う。
【0018】
[電気コネクタ装置の全体構造の概要]
まず、
図1〜
図5に表された本発明の一実施形態にかかる電気コネクタ装置は、信号伝送媒体を構成する同軸ケーブルSCの端末部分が連結された相手コネクタとしてのプラグコネクタ1と、印刷配線基板(図示省略)上に実装された本発明にかかるリセプタクルコネクタ2と、を備えた水平嵌合型の電気コネクタ装置であって、印刷配線基板上に実装されたリセプタクルコネクタ2に対してプラグコネクタ1が略水平方向に対向するように配置された後に、印刷配線基板の表面に略平行な方向(印刷配線基板の延在方向)にプラグコネクタ1がリセプタクルコネクタ2側に近接するように水平に移動される。それによって、プラグコネクタ1における横長状の一端縁部分(電極部分)が、リセプタクルコネクタ2に同じく横長状をなすように設けられた挿入開口部を通して差し込まれることで両電気コネクタ1,2同士が嵌合状態になされる。
【0019】
このように本実施形態においては、相手コネクタとしてのプラグコネクタ1をリセプタクルコネクタ2に差し込む方向、およびその反対方向に抜き出す方向が、印刷配線基板の表面が延在する方向と略平行な方向となる構成になされているが、以下においては、印刷配線基板の表面の延在方向を「水平方向」とし、印刷配線基板の表面に対して垂直なる方向を「上下方向」とする。
【0020】
そして、プラグコネクタ1の単体においては、当該プラグコネクタ1をリセプタクルコネクタ2に差し込む方向を「前方向」、その反対方向に抜き出す方向を「後方向」とし、プラグコネクタ1の差し込み側の先端部分を「前端部分」、その反対側に対向する他端部分を「後端部分」とする。さらに、リセプタクルコネクタ2においては、当該リセプタクルコネクタ2からプラグコネクタ1を抜き出す方向を「前方向」、その反対方向を「後方向」とし、相手コネクタとしてのプラグコネクタ1が差し込まれる挿入開口部が設けられた「前端面(第1の面)」を含む側の端部分を「前端部分」、その反対側に対向する「後端面(第2の面)」を含む部分を「後端部分」とする。
【0021】
また、このような電気コネクタ装置を構成しているプラグコネクタ1およびリセプタクルコネクタ2の両電気コネクタは、
図6〜
図15に示されているように、横長状に形成された樹脂等の絶縁部材からなる絶縁ハウジング11,21をそれぞれ備えているが、以下においては、これら絶縁ハウジング11,21の長手方向(
図2の左右方向)を「コネクタ長手方向」と呼ぶこととする。
【0022】
上述した絶縁ハウジング11,21には、コネクタ長手方向(
図2の左右方向)に沿って、同一形状を有する複数体の導電コンタクト部材(導電端子)12,22が、適宜のピッチ間隔で多極状をなすように配列されている。これらの導電コンタクト部材12,22は、コネクタ長手方向に複数ブロック(4ブロック)に分割した状態で配置されており、互いに隣り合う両ブロック同士の間部分には、各ブロック内における導電コンタクト部材12,22のピッチ間隔の約3倍に相当する幅にわたって空間部分が形成されている。
【0023】
また、前記両電気コネクタ1,2のうち、プラグコネクタ1の後端部分には、コネクタ長手方向に沿って多極状に並列するように配列された複数本の同軸ケーブルSCの端末部分が連結されている。これらの各同軸ケーブルSCは、コネクタ長手方向における配置位置が、上述した導電コンタクト部材12に対応して設定されており、導電コンタクト部材12と同様にコネクタ長手方向に複数ブロック(4ブロック)に分割配置されている。
【0024】
各同軸ケーブルSCの端末部分においては、被覆材が皮剥きされることによってケーブル中心導体(信号線)SCaおよびケーブル外部導体(シールド線)SCbが同軸状をなすように露出されている。そして、当該同軸ケーブルSCの中心軸線に沿って延在するように配置されたケーブル中心導体SCaが、信号伝送用の導電コンタクト部材12に接続されることによって信号回路が構成される。このケーブル中心導体SCaの接続構造については後段において詳細に説明する。
【0025】
また、上述したケーブル中心導体SCaの外周側を同心状に取り囲むように配置されたケーブル外部導体SCbは、コネクタ長手方向に延在する導電性のグランド部材からなるグランドバーGBにコモン接続されている。このグランドバーGBは、上述した同軸ケーブルSCの多極配列方向(コネクタ長手方向)に沿って長尺状に延在する細長の帯板状部材またはブロック状部材から形成されており、当該グランドバーGBが、同軸ケーブルSCのケーブル外部導体(シールド線)SCbに対して、半田付けやカシメや圧接等により一括的に接続されている。このようにして設けられたグランドバーGBは、後述するリセプタクルコネクタ2の導電性シェル等を介して印刷配線基板に形成されたグランド回路に電気的に接続される。
【0026】
[プラグコネクタの絶縁ハウジングおよび導電コンタクト部材について]
ここで、プラグコネクタ1側に設けられた絶縁ハウジング11は、当該プラグコネクタ1の前後方向における中央領域に配置された本体支持部11aと、その本体支持部11aから前方側に向かって延出する嵌合突部11bとを一体的に備えており、それら本体支持部11aから嵌合突部11bにかけての上面側に、導電コンタクト部材(プラグ側コンタクト部材)12がインサート成形により埋設され、または圧入により保持されている。この導電コンタクト部材12は、上述した複数体(4体)のブロックに分割された状態で、絶縁ハウジング11の上側表面から上方に露出するようにして略水平に延在している。
【0027】
このようなプラグコネクタ1に設けられた導電コンタクト部材(プラグ側コンタクト部材)12の後端部分には、同軸ケーブルSCにおけるケーブル中心導体(信号線)SCaの端末部分が、上方側から当接された状態で半田接続されている。このときのケーブル中心導体SCaと導電コンタクト部材12との半田接合は、多極配列方向の複数箇所に対して一括的に行うことが可能であるが、そのような一括半田接合によって複数本の同軸ケーブルSCが効率的に連結される。
【0028】
一方、前述したように絶縁ハウジング(コネクタ本体部)11の前端部分に設けられた嵌合突部11bの上側表面には、導電コンタクト部材(プラグ側コンタクト部材)12の前方側部分を構成している端子電極部12aが、多極状の露出電極を形成するように配置されている。そして、この導電コンタクト部材12の前方側延在部分を構成している端子電極部12aは、前述したようにプラグコネクタ1がリセプタクルコネクタ2に嵌合されたときに、リセプタクルコネクタ2に設けられた導電コンタクト部材(リセ側コンタクト部材)22に対して下方側から当接し、それによって信号伝送回路が形成される構成になされている。なお、これらの複数の導電コンタクト部材12,22のうちの一部を、グランド接続用として構成することも可能である。
【0029】
[リセプタクルコネクタの絶縁ハウジングおよび導電コンタクト部材について]
一方、リセプタクルコネクタ2側の絶縁ハウジング(コネクタ本体部)21の前方側の端面、すなわち本発明における「第1の面」には、コネクタ長手方向に沿って横長状に延在する挿入開口部21aが形成されているとともに、その挿入開口部21aから後方側に向かって延びる嵌合空間21bが同じく横長状をなすように形成されている。そして、上述したように相手コネクタとしてのプラグコネクタ1の嵌合突部11bが、リセプタクルコネクタ2側の挿入開口部21aを通して嵌合空間21bの内部に挿入されて収容されるようになっている。
【0030】
また、リセプタクルコネクタ2側の絶縁ハウジング(コネクタ本体部)21に取り付けられた導電コンタクト部材(リセ側コンタクト部材)22は、上述したプラグコネクタ1側の導電コンタクト部材(プラグ側コンタクト部材)12に対応した位置に配置されており、コネクタ長手方向において複数ブロック(4ブロック)に分割した状態で多極状をなすように配列されている。このリセプタクルコネクタ2の絶縁ハウジング21に取り付けられた導電コンタクト部材22は、両電気コネクタ1,2同士の嵌合時に、プラグコネクタ1側の導電コンタクト部材12の端子電極部12aに対して上方側から弾性的に接触して電気的な接続状態になされる。
【0031】
このような導電コンタクト部材(リセ側コンタクト部材)22の後端部分(
図14および
図15の右端側部分)には、印刷配線基板(図示省略)の表面上に沿って延在するように形成された基板接続脚部22aが形成されている。その基板接続脚部22aは、実際の使用時(実装時)に、前述した印刷配線基板上の信号導電路またはグランド接続用の導電路に載置された状態で、例えば一括的な半田接合が行われる。
【0032】
また、本実施形態における導電コンタクト部材(リセ側コンタクト部材)22は、上述した後端側の基板接続脚部22aから上方に折れ曲がった後に、絶縁ハウジング11の後方側の端面(第2の面)に沿って上方に立ち上がるように延出し、さらに前方側(
図14および
図15の左方側)に折れ曲がって延出する構成になされている。より具体的には、上述した基板接続脚部22aから立ち上がった部分の上端から前方側(
図14および
図15の左方側)に向かって延出している部分が、絶縁ハウジング11に対して固定状態となるように取り付けられた固定基部22bになされているとともに、その固定基部22bから前方側(第1の面側)に向かって弾性ビーム部22cが片持ち状に延出している。
【0033】
このような導電コンタクト部材(リセ側コンタクト部材)22の基端部分を構成している固定基部22bは、絶縁ハウジング11の後端部分に対して圧入またはインサート成形されることで固定状態に保持されており、その固定基部22bの後方側に、上述した基板接続脚部22aが連設されているとともに、当該固定基部22bの前方側には、弾性ビーム部22cが連設されている。
【0034】
そのうちの弾性ビーム部22cは、絶縁ハウジング21に設けられた嵌合空間21bの内部において上下方向に弾性変位可能な状態に配置されており、当該弾性ビーム部22cにおける前方側の先端部分には、下方側に向かって山形状に張り出す接点凸部22dがそれぞれ設けられている。この導電コンタクト部材22の弾性ビーム部22cに設けられた接点凸部22dの下方側頂部は、プラグコネクタ1がリセプタクルコネクタ2に嵌合されたときに、プラグコネクタ1側の導電コンタクト部材(プラグ側コンタクト部材)12の端子電極部12aに対して、上方側から弾性的に押圧する状態で接触される構成になされており、このような弾性的な接触関係によって、上述した両接点部12a,22d同士の電気的な接続が維持されるようになっている。
【0035】
[導電性シェルについて]
一方、プラグコネクタ1およびリセプタクルコネクタ2に設けられた各絶縁ハウジング11,21の外表面は、導電性の薄板状金属部材を適宜の形状に折曲形成したプラグ側導電性シェル13およびリセ側導電性シェル23によりそれぞれ覆われている。これらプラグ側導電性シェル13およびリセ側導電性シェル23は、各電気コネクタ1,2の内部に形成される信号伝送回路およびグランド回路を外方側から覆うことにより電磁遮蔽を行うシールド部材として装着されたものであるが、グランド回路の一部を構成する部材でもある。
【0036】
[プラグ側導電性シェルについて]
そのうち、プラグコネクタ1側に装着されているプラグ側導電性シェル13は、絶縁ハウジング11を上下方向から挟む一対の上下シェル板(第1および第2のシェル板)の嵌合体から構成されている。これらの上シェル板(第1のシェル板)13aおよび下シェル板(第2のシェル板)13bをプラグコネクタ1に装着するにあたっては、その前工程として、まず同軸ケーブルSCの端末部分に対してグランドバー(グランド部材)GBが半田接合された状態になされる。そして、上述したプラグ側導電性シェル13の下半側部分を構成する下シェル板(第2のシェル板)13bが絶縁ハウジング11に対して下方側から被せられ、その下シェル板(第2のシェル板)13bを被せられた絶縁ハウジング11の表面に、上述したグランドバーGBを半田接合された状態の同軸ケーブルSCの端末部分が載置されるようにしてセットされ、その後に、プラグ側導電性シェル13の上半側部分を構成する上シェル板(第1のシェル板)13aが、絶縁ハウジング11に対して上方側から被せるようにして装着される。
【0037】
このようなプラグ側導電性シェル13の下半側部分を構成している下シェル板(第2のシェル板)13bには、多極配列方向(コネクタ長手方向)に沿って複数体のグランド接続舌片13cが、切り欠き加工により形成されている。それらの各グランド接続舌片13cは、コネクタ内方側の空間に向かって突出する片持ちの板バネ状をなすように切り起こされており、前述したグランドバーGBの下面側に対して弾性的に接触または半田接合されている。
【0038】
そして、特に
図4および
図5に示されているように、プラグコネクタ1が相手コネクタであるリセプタクルコネクタ2に嵌合された状態において、プラグ側導電性シェル13の下シェル板(第2のシェル板)13bは、後述するリセプタクルコネクタ2に装着されたリセ側導電性シェル23の下シェル板(第2のシェル板)23bの内側表面に対して上方側から当接し、それによってグランド回路(接地回路)が構成されるようになっている。
【0039】
[リセプタクルコネクタの導電性シェル(導電性シェル)について]
すなわち、リセプタクルコネクタ2に設けられたリセ側導電性シェル23も、絶縁ハウジング21に対して上下から挟む一対の上下シェル板(第1および第2のシェル板)23a,23bの嵌合体から構成されている。このリセ側導電性シェル23を構成している上シェル板(第1のシェル板)23aおよび下シェル板(第2のシェル板)23bも、導電性を有する薄板状金属部材の折り曲げ構造体から形成されているが、上シェル板(第1のシェル板)23aにおけるコネクタ長手方向の両端部分には、特に
図9〜
図13に示されているように、コネクタ長手方向の両側から絶縁ハウジング21を挟むようにして一対のホールドダウン23c,23cが、印刷配線基板の表面から上方に立ち上がるように配置されている。
【0040】
すなわち、これらの両ホールドダウン23c,23cは、リセ側導電性シェル23の両側壁板を構成するように、上シェル板(第1のシェル板)23caのコネクタ長手方向両端縁部から下方に折り曲げられて形成されたものであって、当該各ホールドダウン23cの下端縁部分における前後方向の両側部分が長手方向の外方に向かって延出するように折り曲げられて基板接続部になされている。これらの各基板接続部は、印刷配線基板上に形成されたグランド接続用の導電路に対して半田接合され、それによってグランド回路の電気的な接続が行われるとともに、リセプタクルコネクタ2の全体が強固に固定されるようになっている。
【0041】
ここで、上述した上シェル板(第1のシェル板)23aは、絶縁ハウジング21の嵌合空間21bを形成している上側壁部の外表面に沿って平面状の天井板をなすように延在しているとともに、下シェル板(第2のシェル板)23bは、絶縁ハウジング21の嵌合空間21bを形成している下側壁部の内表面に沿って平面状の底板をなすように延在している。すなわち、このリセ側導電性シェル23における上シェル板(第1のシェル板)23aは、絶縁ハウジング21の外表面のうち、印刷配線基板に臨む面に対向する表面の少なくとも一部を覆う構成になされており、当該上シェル板(第1のシェル板)23aの前端縁部分は、下シェル板(第2のシェル板)23bの上方位置においてコネクタ長手方向に延在する配置関係になされている。これらの上シェル板(第1のシェル板)23aの前端縁部分と、下シェル板(第2のシェル板)23bとの間部分には、横長状に延在するシェル挿入開口部が形成されている。
【0042】
このリセ側導電性シェル23に設けられたシェル挿入開口部は、前述した絶縁ハウジング21側の挿入開口部21aを前方側に向かって露出させる配置関係になされており、上シェル板(第1のシェル板)23aの前端縁部は、絶縁ハウジング21側の挿入開口部21aを形成している上側壁部の前端縁部に対して上方側から、前後方向に位置合わせされた状態に重なり合うように配置されている。そして、このリセ側導電性シェル23のシェル挿入開口部により前方側に露出状態とされた絶縁ハウジング21の挿入開口部21aを通して、前述したようにプラグコネクタ1の嵌合突部11bが、リセプタクルコネクタ2の内部に形成されている嵌合空間21bに挿入されるようになっている。
【0043】
上述したように、リセ側導電性シェル23を構成している上シェル板(第1のシェル板)23aの前端縁部分は、絶縁ハウジング21側の挿入開口部21aを形成している上側壁部の前端縁部に対して上方側から位置合わせされた状態に重なり合わされているが、当該リセ側導電性シェル23の上シェル板(第1のシェル板)23aの前端縁部分には、長手方向に一定の間隔をなして複数体(4体)の係止穴部23dが設けられている。これらの各係止穴部23dは、上シェル板(第1のシェル板)23aの前端縁部分の一部を、絶縁ハウジング21の挿入開口部21aの内方側に向かって湾曲状に折り曲げられた爪状部分に貫通形成されている。
【0044】
一方、このようなリセ側導電性シェル23側の各係止穴部23dに対応して、絶縁ハウジング21の前端縁部には、複数体(4体)の係合突起部21dが、コネクタ長手方向に一定の間隔をなして設けられている。これらの各係合突起部21dは、絶縁ハウジング21の前端縁部から前方に向かって突出するように形成されており、絶縁ハウジング21にリセ側導電性シェル23が装着された際に、上述したリセ側導電性シェル23側の各係止穴部23dに対して当該係合突起部21dが挿通状態になされ、それによって両部材21,23同士が、前後・左右方向に位置ズレを生じることを防止すると共に、リセ側導電性シェル23が絶縁ハウジング21から浮き上がることなく固定状態に維持されるようになっている。
【0045】
[リセプタクルコネクタの中間接続部について]
ここで、上述したリセ側導電性シェル23の上半側部分を構成している上シェル板(第1のシェル板)23aには、印刷配線基板(図示省略)に接合される中間接続部23eが一体的に形成されている。この中間接続部23eは、リセ側導電性シェル23の長手方向に沿って複数体(3体)設けられており、それらの各中間接続部23eのコネクタ長手方向における形成位置が、上述した係止穴部23dの間部分に設定されている。
【0046】
また、それらの各中間接続部23eが設けられている前後方向の形成位置は、絶縁ハウジング11の前端面(第1の面)と後端面(第2面)との間部分に設定されており、前述した導電コンタクト部材(リセ側コンタクト部材)22の固定基部22bに対してやや前方側の位置、すなわち絶縁ハウジング11の前端面(第1の面)寄りの弾性ビーム部22cが延出している位置において、略直角下方に折れ曲がって印刷配線基板側に向かって垂下する状態に形成されている。
【0047】
そして、上述した各中間接続部23eの下端部分は、前方側に向かって略直角に折れ曲げられており、その折れ曲がり後に前方に向かって平坦状に延出している接合脚部23fが、印刷配線基板(図示省略)に形成されたグランド導電路に対して上方側から載置された状態で半田接合される構成になされている。
【0048】
このような構成を備えた本実施形態によれば、接続対象物である相手コネクタとしてのプラグコネクタ1を、本発明にかかるリセプタクルコネクタ2に挿入していく際に、当該リセプタクルコネクタ2に設けられた導電コンタクト部材(リセ側コンタクト部材)22の弾性変位に伴って、絶縁ハウジング21および導電性シェル23が上方に反る等の変形を生じようとしても、そのような変形は、中間接続部23eの保持力によって抑制されることとなる。その結果、プラグコネクタ(接続対象物)1に対する導電コンタクト部材(リセ側コンタクト部材)22の接触圧力の低下が防止される。
【0049】
また、上述したような中間接続部23eが設けられている分だけ、グランド接点部の数が増大されることから、グランド抵抗が低減されるという利点が得られる。
【0050】
一方、本実施形態においては、リセ側導電性シェル23に設けられた中間接続部23eに対応して、絶縁ハウジング21の嵌合空間21bを形成している下側壁部に、中間接続部23eを収容する中間ハウジング凹部21cが設けられている。この中間ハウジング凹部21cは、絶縁ハウジング21の前端面(第1の面)側の端縁部から後端面(第2面)側に向かって平面略矩形状をなすように切り欠いた状態で形成されている。
【0051】
このような中間ハウジング凹部21cを設けた構成を採用しておけば、絶縁ハウジング21に対するリセ側導電性シェル23の装着が、上述した中間接続部23eに邪魔されることなく円滑に行われる。
【0052】
また、本実施形態においては、前述したリセ側導電性シェル23の下シェル板(第2シェル板)23bにも、リセ側導電性シェル23の中間接続部23eを収容する中間シェル凹部23gが設けられている。この中間シェル凹部23gは、リセ側導電性シェル23の下シェル板(第2シェル板)23bの後端面(第2の面)側の端縁から、前端面(第1の面)側に向かって平面略矩形状をなすように切り欠いた状態で形成されており、上述した中間ハウジング凹部21cに対して前後方向に対面する配置関係になされている。
【0053】
さらに、上述したリセ側導電性シェル23の下シェル板(第2シェル板)23bの後端側端縁には、後方側に向かって突出する複数体の基板接続脚部23jが設けられており、リセプタクルコネクタ2の実装時に印刷配線基板に対して半田接合されるようになっている。
【0054】
[嵌合保持部材について]
ここで、嵌合相手コネクタとしてのプラグコネクタ1がリセプタクルコネクタ2に嵌合されたときの両電気コネクタ1,2同士の嵌合状態は、プラグコネクタ1に設けられた嵌合保持部材(嵌合操作レバー)14の保持力によって保持される構成が採用されている。すなわち、プラグコネクタ1が、リセプタクルコネクタ2に嵌合された状態において、嵌合保持部材(嵌合操作レバー)14を「嵌合開放位置」から「嵌合作用位置」まで回動させておくことで、両電気コネクタ1,2同士が一定範囲内の外力によっては分離することなく嵌合状態に保持されることとなる。一方、リセプタクルコネクタ2に嵌合したプラグコネクタ1を、リセプタクルコネクタ2から抜去する際においては、「嵌合作用位置」にあった嵌合保持部材14を開放操作させて「嵌合開放位置」に戻すことによって両電気コネクタ1,2同士が抜去可能な状態になされる。
【0055】
より具体的には、
図1〜
図8に示されているように嵌合保持部材(嵌合操作レバー)14は、上述したプラグコネクタ1のプラグ側導電性シェル13に回動可能に取り付けられており、当該嵌合保持部材14のコネクタ長手方向両端部分に設けられた回動軸部14a,14aが、プラグ側導電性シェル13の後端部分における長手方向両端部分に設けられた軸受け部13d,13dに遊嵌状態で回動可能に挿入されている。
【0056】
この嵌合保持部材(嵌合操作レバー)14に設けられた一対の回動軸部14a,14aは、横断面形状が略円形をなしてコネクタ長手方向に延在するように形成されたものであるが、延在方向の途中部分に径方向の段差部分(軸ズレ部分)を有しており、その回動軸部14aの段差部分に対して、軸受け部13dに設けられたバネ部材(図示省略)の付勢力が付与されることで、上述した「嵌合開放位置」および「嵌合作用位置」において回動軸部14aが保持される構成になされている。
【0057】
また、この嵌合保持部材(嵌合操作レバー)14の回動軸部14aにおけるコネクタ長手方向両側の外端部分からは、一対の連結腕部14b,14bが、回動半径の外側に向かって折れ曲がるように延出している。それらの連結腕部14b,14bは、上述した回動軸部14a,14aから折れ曲がるように延出した直後の部位からコネクタ中心側に向かって互いに近付くように斜めに延び、その後に嵌合保持部材14の回動半径に沿うように延在している。さらに、それらの連結腕部14b,14bの回動半径外端部分には、当該連結腕部14b,14bの回動側の先端部分同士を一体的に連結する回動操作部14cが、コネクタ長手方向に沿って長尺状に延在している。
【0058】
そして、その回動操作部14cの一部を、組立て作業者が把持しながら適宜の回動力を付与することによって、嵌合保持部材(嵌合操作レバー)14の全体が「嵌合開放位置」と「嵌合作用位置」との間で回動される構成になされている。両コネクタ1,2同士の嵌合完了時に「嵌合開放位置」にあった保持部材14が「嵌合作用位置」まで回動操作されることで両コネクタ1,2同士の嵌合状態が維持される。
【0059】
さらに、前述したようにリセプタクルコネクタ2のリセ側導電性シェル23に設けられた各ホールドダウン23cには、上述した「嵌合作用位置」に回動された嵌合保持部材(嵌合操作レバー)14の連結腕部14bが嵌合されるロック部23hがそれぞれ設けられている。これらの各ロック部23hは、コネクタ長手方向の外方に向かって張り出す弾性バネ部材から形成されており、両電気コネクタ1,2同士の嵌合後に、嵌合保持部材14が「嵌合作用位置」の近傍まで回動されてくると、嵌合保持部材14に設けられた連結腕部14bが、上述したリセプタクルコネクタ2側のロック部23hの外方張り出し部を乗り越えた後に、コネクタ内方側に向かって弾性変位するように移動してロック部23hの下方側に落ち込むことで両者が係合状態となり、それによって嵌合保持部材14の全体が「嵌合作用位置」に弾性的に保持される。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0061】
例えば、上述した実施形態では、リセ側導電性シェル23の中間接続部23eを、上シェル板(第1のシェル板)23aにおける前後方向の中央領域に形成しているが、当該中間接続部23eは、上シェル板(第1のシェル板)23aの後端縁から後方に向かって延出するように形成することも可能である。
【0062】
さらに本発明は、上述した実施形態のような同軸ケーブル用コネクタに限定されることはなく、絶縁ケーブル用コネクタや、同軸ケーブルと絶縁ケーブルとが複数混合したタイプの電気コネクタや、フレキシブル配線基板等が連結される電気コネクタ、プリント基板同士を接続する基板対基板コネクタ、あるいは、プラグコネクタを介さずに直接的にフレキシブル配線基板をコネクタ内部に収容し電気的に接続するコネクタ等についても同様に適用することが可能である。