(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コマンドには、前記空調室内機の設置時又はメンテナンス時に行われる前記空調室内機又は前記リモートコントロール装置の初期設定に係る初期設定コマンドが含まれる、
請求項2から4のいずれか1項に記載の空調システム(100)。
前記リモートコントロール装置は、入力された前記データ送信要求コマンドに対応して前記通信機器へ送信する前記データを記憶する送信データ記憶部(351)をさらに有し、
前記コントローラは、前記データ送信要求コマンドによって要求されうる前記データを、前記送信データ記憶部に格納する、
請求項2又は6に記載の空調システム(100)。
前記リモートコントロール装置は、前記通信部を介した前記空調室内機との通信を行っている場合に前記空調室内機と通信中であることを示す情報を表示する通信状態表示部(32)をさらに有する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の空調システム(100)。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の一実施形態に係る空調システム100について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0042】
(1)空調システム100
図1は、空調システム100の概略構成図である。空調システム100は、家屋、ビル、工場、公共施設等の建築物内に含まれる対象空間において冷房や暖房等の空気調和を実現するシステムである。特に、空調システム100は、空調室内機が複数台必要となる大きな対象空間又は複数の対象空間を形成された施設、に適用されることを想定している。本実施形態において、空調システム100は、複数(ここでは6つ)の対象空間SP(SP1、SP2、SP3、SP4、SP5及びSP6)を含む施設1に適用されている(
図3参照)。
【0043】
空調システム100は、冷媒回路を含み、冷媒回路において冷媒を循環させて蒸気圧縮方式の冷凍サイクルを行うことにより、対象空間SPの冷房又は暖房を行う。空調システム100は、冷房モード及び暖房モードを含む複数の運転モードを有しており、運転モードに応じた運転を行う。具体的に、空調システム100は、冷房モード時には冷房運転を行い、暖房モード時には暖房運転を行う。
【0044】
空調システム100は、主として、熱源ユニットとしての1台の室外ユニット10と、利用ユニットとしての複数台(ここでは6台)の室内ユニット20と、各種設定に係るコマンドを入力する入力装置としての複数台(ここでは6台)のリモートコントロール装置30(以下、「リモコン」と称する)と、集中リモコン40と、コントローラ50と、を有している。
【0045】
空調システム100では、室外ユニット10と、各室内ユニット20と、が冷媒連絡配管(ガス連絡配管GP及び液連絡配管LP)で接続されることで冷媒回路が構成されている。また、空調システム100では、各ユニット間の信号の伝送路として機能する複数の通信ネットワーク(第1ネットワークNW1、第2ネットワークNW2、及び第3ネットワークNW3)が構築されている。また、空調システム100において、コントローラ50は、室外ユニット10、各室内ユニット20、各リモコン30、及び集中リモコン40が、通信ネットワークで接続されることで、構成されている(
図10参照)。
【0046】
ここで、リモコン30は、空調システム100の設置時又はメンテナンス時に作業を担当するサービスマンや空調システム100の管理者又は利用者が保持する、近距離無線通信機能を備えた携帯通信端末110(以下、単に「端末110」と称する)と通信(近距離無線通信)を行えるように構成されている。リモコン30は、端末110から送信された信号を受信することで、空調システム100の各種設定に係るコマンドを入力される。換言すると、空調システム100では、端末110を、各種設定に係るコマンドを出力するための「コマンド出力装置」として機能させることが可能である。
【0047】
また、リモコン30は、端末110に対して信号を送信することで、空調システム100が保持するデータの送信を行う。換言すると、空調システム100では、端末110を、空調システム100から各種データを取得するための「データ取得装置」として機能させることが可能である。
【0048】
なお、本実施形態において、リモコン30及び端末110間で行われる近距離無線通信は、13.56MHzの周波数を用いるNFC(Near Field Communication)である。NFCは、数センチから約1メートル程度の近距離における双方向通信を可能とする通信方式である。
【0049】
また、本実施形態において、リモコン30に入力されるコマンドは、例えば、設定温度、運転モード、設定風量、設定風向、タイマー設定、及びスケジュール設定等の動作設定や、設置時やメンテナンス時に行われる初期設定、リモコン30(後述するリモコン表示部32)における表示態様の設定(表示態様設定)、及びリモートコントロール装置から通信機器に対するデータ送信を行うための設定等、各種設定に係るコマンドとして入力される。
【0050】
本実施形態において、端末110(通信機器)は、例えば
図2に示すような、入力部としてのタッチスクリーン111と、及び近距離無線通信用のアンテナ及びリーダ/ライタを含む通信モジュール112と、を有するスマートフォンやタブレットPC等の情報処理端末を想定している。但し、端末110は、ラップトップPC等の他の情報処理機器であってもよい。また、端末110は、タッチスクリーン111に代えて又はタッチスクリーン111とともに、入力部としての物理キー(ハードウェアキー)を有していてもよい。
【0051】
端末110は、所定のアプリケーションをインストールすることで、所定のプロトコルを用いてリモコン30と近距離無線通信を行い、互いに信号の送受信を行うことが可能となる。本実施形態では、リモコン30(より詳細には、後述する近距離無線通信部34)と端末110とが接近することにより、リモコン30及び端末110間における近距離無線通信が行われる。
【0052】
(1−1)室外ユニット10
室外ユニット10は、室外(対象空間SP外)に設置される。室外ユニット10は、主として、冷媒回路を構成する要素として、複数の冷媒配管、圧縮機、四路切換弁、室外熱交換器、膨張弁等の機器を有している(図示省略)。また、室外ユニット10は、室外熱交換器内の冷媒と熱交換させる空気流を生成する室外ファンを有している(図示省略)。また、室外ユニット10は、冷媒温度や外気温を検出する温度センサ等、所定の値を検出するためのセンサ12(
図10参照)を有している。
【0053】
また、室外ユニット10は、圧縮機、四路切換弁、膨張弁、及び室外ファン等、室外ユニット10内のアクチュエータ11(
図10参照)の動作を制御する室外ユニット制御部13を有している。室外ユニット制御部13は、室外ユニット10内に配置される基板に実装されている。室外ユニット制御部13は、CPU(以下、「室外ユニットCPU131」と記載)やメモリ(以下、「室外ユニット記憶部132」と記載)を含んでいる(
図9参照)。
【0054】
また、室外ユニット制御部13は、他のユニット(室内ユニット20、リモコン30及び集中リモコン40等)と、通信を行うための通信モジュール(以下、「室外ユニット通信部133」と記載)を含んでいる(
図9参照)。室外ユニット制御部13は、室外ユニット通信部133において、各室内ユニット20(より詳細には、後述する室内ユニット制御部23)と、通信線cb1(第1ネットワークNW1)を介して、互いに信号の送受信を行う。
【0055】
また、室外ユニット制御部13は、室外ユニット通信部133において、通信線cb1を介して広域ネットワーク120に接続されており、広域ネットワーク120に接続された機器(ここでは集中リモコン40)と互いに通信可能に構成されている。なお、広域ネットワーク120は、インターネット等のWAN(Wide Area Network)である。
【0056】
室外ユニット制御部13には、第1ネットワークNW1及び第2ネットワークNW2における通信に用いられる通信アドレスとして、室内ユニット20(室内ユニット制御部23)又はリモコン30(リモコン制御部35)との通信において用いられるユニットアドレスと、集中リモコン40との通信において用いられる集中管理アドレスと、が割り当てられている。ユニットアドレスは、工場出荷前に予め割り当てられる通信アドレス、又は電源投入時に制御プログラムに基づき自動で割り当てられる通信アドレスである。集中管理アドレスは、設置時やメンテナンス時に設定者により行われる初期設定時に割り当てられる通信アドレスである。
【0057】
(1−2)室内ユニット20(空調室内機)
図3は、施設1における各室内ユニット20及び各リモコン30の設置態様を概略的に示した模式図である。
図4は、対象空間SPにおける室内ユニット20及びリモコン30の設置態様を概略的に示した模式図である。
【0058】
本実施形態においては、第1室内ユニット20a、第2室内ユニット20b、第3室内ユニット20c、第4室内ユニット20d、第5室内ユニット20e、及び第6室内ユニット20fが、室内ユニット20として施設1の対象空間SPに設置されている。具体的には、
図3に示すように、第1室内ユニット20aが対象空間SP1に設置されている。また、第2室内ユニット20bが対象空間SP2に、第3室内ユニット20cが対象空間SP3に、第4室内ユニット20dが対象空間SP4に、第5室内ユニット20eが対象空間SP5に、第6室内ユニット20fが対象空間SP6に、それぞれ設置されている。
【0059】
本実施形態において、各室内ユニット20は、対象空間SPの天井CIに設置される天井埋込型の空調室内機である。各室内ユニット20は、対象空間SPにおいて吸気口及び排気口が天井CIから露出するように設置されている。各室内ユニット20は、主として、冷媒回路を構成する要素として、複数の冷媒配管、室内熱交換器、及び開閉弁等の各種弁を有している(図示省略)。また、各室内ユニット20は、室内熱交換器内の冷媒と熱交換させる空気流を生成する室内ファンを有している(図示省略)。
【0060】
また、各室内ユニット20は、吸気口を介して流入する空気から塵埃を取り除くフィルタ201を有している。また、各室内ユニット20は、対象空間SPの温度を検出する温度センサ等、所定の値を検出するセンサ22を有している。
【0061】
また、室内ユニット20は、室内ユニット20内のアクチュエータ21(例えば室内ファンや各種弁等、
図10参照)の動作を制御する室内ユニット制御部23を有している。室内ユニット制御部23は、室内ユニット20内に配置される基板に実装されている。室内ユニット制御部23は、CPU(以下、「室内ユニットCPU231」と記載)やメモリ(以下、「室内ユニット記憶部232」と記載)を含んでいる(
図9参照)。
【0062】
また、室内ユニット制御部23は、他のユニット(室外ユニット10、他の室内ユニット20又は集中リモコン40)と、通信を行うための通信モジュール(以下、「室内ユニット第1通信部233」と記載)を含んでいる(
図9参照)。室内ユニット制御部23は、室内ユニット第1通信部233において、室外ユニット10(室外ユニット制御部13)及び他の室内ユニット20(室内ユニット制御部23)と、通信線cb1(第1ネットワークNW1)を介して電気的に接続されており、互いに信号の送受信を行う。また、室内ユニット制御部23は、室内ユニット第1通信部233において、通信線cb1を介して広域ネットワーク120に接続されており、広域ネットワーク120に接続された機器(例えば集中リモコン40)と互いに信号の送受信を行う。
【0063】
また、室内ユニット制御部23は、対応するリモコン30と、通信を行うための通信モジュール(以下、「室内ユニット第2通信部234」と記載)を含んでいる(
図9参照)。室内ユニット制御部23は、室内ユニット第2通信部234において、対応するリモコン30と通信線cb2を介して電気的に接続されており、互いに信号の送受信を行う。
【0064】
室外ユニット制御部13と同様、室内ユニット制御部23には、室外ユニット10(室外ユニット制御部13)又はリモコン30(リモコン制御部35)との通信において用いられるユニットアドレスと、集中リモコン40との通信において用いられる集中管理アドレスと、が割り当てられている。
【0065】
(1−3)リモコン30(リモートコントロール装置)
図5から
図8は、正面視(使用時)におけるリモコン30の外観図である(
図6から
図8においてはセンサ33、近距離無線通信部34、及びリモコン制御部35を図示省略)。
【0066】
本実施形態においては、第1リモコン30a、第2リモコン30b、第3リモコン30c、第4リモコン30d、第5リモコン30e、及び第6リモコン30fが、リモコン30として施設1の対象空間SPに設置されている。
【0067】
各リモコン30は、いずれかの室内ユニット20と対応付けられており、対応する室内ユニット20と同一の対象空間SPに設置されている。具体的に、第1リモコン30aは、第1室内ユニット20aと対応付けられている。また、第2リモコン30bは第2室内ユニット20bと、第3リモコン30cは第3室内ユニット20cと、第4リモコン30dは第4室内ユニット20dと、第5リモコン30eは第5室内ユニット20eと、第6リモコン30fは第6室内ユニット20fと、それぞれ対応付けられている。各リモコン30は、対象空間SPの側壁SWに、取付部材を介して固定されている。
【0068】
各リモコン30は、いわゆる有線式のリモートコントロール装置であって、通信線cb2を介して、対応する室内ユニット20(室内ユニット制御部23)と電気的に接続されている。
【0069】
各リモコン30は、各種設定に係るコマンドを、空調システム100に入力するためのコマンド入力装置として機能する。また、各リモコン30は、各種情報を表示する表示装置として機能する。また、各リモコン30は、端末110を介したコマンド入力を行う際に、端末110から送信されたコマンドを受信するためのコマンド受信装置として機能する。また、各リモコン30は、要求されるデータを端末110に対して送信するデータ送信装置として機能する。
【0070】
各リモコン30は、対応する室内ユニット20又は自己の各種設定に係るコマンドを入力される。リモコン30に入力されるコマンドによって行われる各種設定には、例えば、設定温度、運転モード、設定風量、設定風向、及び運転スケジュールの設定等の動作設定や、設置時やメンテナンス時において設定される初期設定、リモコン表示部32における表示態様の設定、及びリモコン30から端末110に対するデータ送信に係る設定等が含まれる。
【0071】
各リモコン30は、主として、入力手段としてのリモコン入力部31と、表示手段としてのリモコン表示部32と、センサ33と、近距離無線通信部34と、リモコン30内の各部の動作を制御するリモコン制御部35と、を有している。
【0072】
また、各リモコン30は、図示しない電源ケーブルを介して、対応する室内ユニット20に含まれる電源部(図示省略)に電気的に接続されており、当該電源部から電源供給されている。なお、各リモコン30への電源供給の態様については、必ずしもこれに限定されず、適宜変更が可能である。例えば、各リモコン30は、図示しない電源ケーブルを介して、他の電源部(例えば、商用電源等)から電源供給を受けてもよいし、独立した電源部(例えば、二次電池等)を有していてもよい。
【0073】
(1−3−1)リモコン入力部31
リモコン入力部31は、複数の物理キー311を含んでいる。物理キー311は、ユーザが押下することによりコマンドを入力するプッシュ式ボタンである。物理キー311は、機能が固定的に割り当てられた固定キー、又は割り当てられる機能が状況に応じて変動するファンクションキーである。各物理キー311は、リモコン制御部35と電気的に接続されており、押下されると所定の入力信号をリモコン制御部35に出力する。
【0074】
(1−3−2)リモコン表示部32
リモコン表示部32は、フルドットマトリクス液晶表示パネルと、LEDバックライトと、を含んでいる。リモコン表示部32は、供給される駆動電圧に応じてバックライトの輝度を段階的に切り換えられる。
【0075】
リモコン表示部32は、リモコン制御部35によって動作を制御される。具体的にリモコン表示部32は、所定の駆動電圧を供給されることで所定の輝度でバックライトを点灯又は点滅させるとともに、所定の領域において所定の画像を表示する。また、リモコン表示部32は、駆動電圧の供給を停止されることで、表示を停止する。
【0076】
リモコン表示部32においては、状況に応じて、各種情報が表示される。例えば、リモコン表示部32において表示される各種情報には、操作者や利用者等の視認者に対して利便的な案内情報、設置環境の状況に関する設置環境情報、空調システム100の保守や異常等に関して報知を要する報知情報、対応する室内ユニット20の運転状態を示す運転情報、コマンド入力に対応して設定可能な設定項目を示す設定項目情報、リモコン30が第1ネットワークNW1又は第2ネットワークNW2を介して通信を行っている場合に通信中であることを示す通信状況通知情報が含まれる。
【0077】
図5では、リモコン表示部32において、対応する室内ユニット20が設置されている対象空間を特定するテキスト情報「第1会議室」、及び現在時刻を示すテキスト情報「11:09」が、案内情報として表示される様子が示されている(二点鎖線D1で示す領域を参照)。
【0078】
また、
図5では、リモコン表示部32において、対応する室内ユニット20が設置される対象空間SP内の温度(室温)を示すテキスト情報「室温28(℃)」、及び室外の温度(外気温の状態)を示すテキスト情報「外気温30(℃)」が、設置環境情報として表示される様子が示されている(二点鎖線D2で示す領域を参照)。
【0079】
また、
図5では、リモコン表示部32において、対応する室内ユニット20のフィルタ201のメンテナンスを促すテキスト情報「フィルタサイン」が報知情報として表示される様子が示されている(二点鎖線D3で示す領域を参照)。
【0080】
また、
図5では、リモコン表示部32において、対応する室内ユニット20に関し、設定されている設定風量のレベルを示す図形情報、設定風向の状態を示す図形情報、運転モードを示すテキスト情報「冷房」、及び設定温度の値を示すテキスト情報「設定温度26(℃)」が、運転情報として表示される様子が示されている(二点鎖線D4で示す領域を参照)。
【0081】
また、
図5では、リモコン表示部32において、対応する室内ユニット20に関し、複数(ここでは4つ)の設定項目情報、具体的には、設定温度(「温度」)、運転モード(「モード」)、設定風量(「風量」)、及び設定風向(「風向」)が、水平方向に並べて表示されている(二点鎖線D5で示す領域を参照)。
【0082】
また、
図6では、リモコン表示部32において、リモコン30が第1ネットワークNW1又は第2ネットワークNW2を介して通信を行っている場合に通信中であることを示すテキスト情報「通信中 しばらくお待ちください。」が、通信状況通知情報として表示される様子が示されている(二点鎖線D4で示す領域を参照)。
【0083】
また、リモコン表示部32において表示される各種情報の表示態様(例えば、表示言語、表示サイズ、表示色、輝度、及び表示図形等)は、リモコン制御部35において、新たな表示データの設定(表示態様設定)を行うことで、適宜変更が可能である。例えば、
図7では、リモコン表示部32における表示言語として英語が選択され、
図5において表示されていた各テキスト情報が英語表示されるとともに摂氏表示されていた温度情報が華氏表示される様子が示されている。また、例えば、
図8では、各設定項目情報が図形(アイコン)で表示される例が示されている(二点鎖線D5で示す領域を参照)。
【0084】
(1−3−3)センサ33
リモコン30が有するセンサ33には、室温を検出するためのサーミスタ等の温度センサが含まれている。センサ33は、リモコン制御部35と電気的に接続されており、検出値に相当する信号をリモコン制御部35に対して出力する。
【0085】
(1−3−4)近距離無線通信部34
近距離無線通信部34は、端末110と近距離無線通信を行うための機能部である。なお、リモコン30においては、視認者がリモコン30に内蔵されている近距離無線通信部34の位置を把握しやすいように、正面視(設置時)において通信回路341と重畳する位置に、近距離無線通信部34の位置を示すマーク又はテキストが印字されたラベル34aが貼り付けられている。なお、係るラベル34aについては、適宜省略若しくは変更が可能である。
【0086】
近距離無線通信部34は、端末110と近距離線通信用のアンテナやリーダ/ライタを含む通信回路341を含んでいる(
図9参照)。近距離無線通信部34は、通信回路341を介して端末110から信号(コマンド)を受信する、又は端末110に対して信号(送信データ)を送信する。
【0087】
また、近距離無線通信部34は、通信回路341における受信信号(受信コマンド)、又は送信信号(送信データ)を記憶するメモリ(以下、「ユニット記憶部342」と記載)を含んでいる(
図9参照)。通信回路341は、端末110の通信モジュール112に接近されることで、磁界を発生させ端末110の通信モジュール112内のアンテナに誘導電流を生じさせる。これにより、第3ネットワークNW3が形成され、近距離無線通信部34及び端末110間において近距離無線通信による信号の送受信が可能となる。
【0088】
また、近距離無線通信部34は、通信回路341において受信コマンドを受信した際、又は端末110に対して送信データを送信する際に、所定の処理を実行するCPU(以下、「ユニットCPU343」と記載)を含んでいる(
図9参照)。
【0089】
ユニットCPU343(特許請求の範囲記載の「処理部」に相当)は、第1処理モード及び第2処理モードを含む複数の処理モードを有している。ユニットCPU343は、図示しないプログラム記憶部に記憶されている制御プログラムに沿って、状況に応じた処理モードに遷移し所定の処理を実行する。
【0090】
ユニットCPU343は、第1処理モードにおいては、通信回路341における受信コマンドを、ユニット記憶部342(特許請求の範囲記載の「入力コマンド記憶部」に相当)に格納する処理(以下、「第1処理」と記載)を実行する。
【0091】
また、ユニットCPU343は、第2処理モードにおいては、通信回路341における受信コマンドを、ユニット記憶部342に格納することなく、リモコン制御部35に対して出力する処理(以下、「第2処理」と記載)を実行する。
【0092】
ユニットCPU343は、電源供給されていない状態においてコマンドを受信した際には第1処理モードに遷移して第1処理を実行し、電源供給されている状態においてコマンドを受信した際には第2処理モードに遷移して第2処理を実行する。
【0093】
なお、近距離無線通信部34は、受電モジュール(図示省略)を有しており、電源供給されていない状態において、給電モジュールを有する端末110に接近されると、ワイアレス給電される。すなわち、近距離無線通信部34は、電源供給されていない状態において、端末110に接近されると電源供給されて近距離無線通信を行うことが可能な状態となる。
【0094】
(1−3−5)リモコン制御部35
リモコン制御部35は、メモリ(リモコン記憶部351)やCPU(リモコンCPU352)等で構成されるマイクロコンピュータを含んでいる(
図9参照)。リモコン制御部35は、近距離無線通信部34と共通のプリント基板に実装されており、配線36を介して近距離無線通信部34と電気的に接続されている。また、リモコン制御部35は、図示しない配線を介してセンサ33と電気的に接続されている。
【0095】
また、リモコン制御部35は、第2ネットワークNW2を介して他のユニットと、通信を行うための通信モジュール(リモコン通信部353)を含んでいる(
図9参照)。室内ユニット制御部23は、リモコン通信部353において、対応する室内ユニット20(室内ユニット制御部23)と、通信線cb2を介して電気的に接続されており、互いに信号の送受信を行う。
【0096】
リモコン制御部35には、室外ユニット10(室外ユニット制御部13)又は室内ユニット20(室内ユニット制御部23)との通信において用いられるユニットアドレスと、集中リモコン40との通信において用いられる集中管理アドレスと、が割り当てられている。
【0097】
(1−4)集中リモコン40(集中リモートコントローラ)
集中リモコン40は、空調システム100の動作を統括的に制御するユニットである。ユーザは、集中リモコン40にコマンドを入力することで、室外ユニット10、所望の室内ユニット20、又は所望のリモコン30の動作を適宜制御可能である。
【0098】
集中リモコン40は、CPUやメモリ等を含むコンピュータ、入力手段、及び各ユニットとの通信手段を有する(図示省略)。集中リモコン40は、例えば、対象空間SPから離れた遠隔地に配置されている。集中リモコン40は、通信線cb3を介して広域ネットワーク120に接続されている。集中リモコン40は、広域ネットワーク120を介して、室外ユニット10(室外ユニット制御部13)、各室内ユニット20(室内ユニット制御部23)及び各リモコン30(リモコン制御部35)と、集中管理アドレスを用いて通信を行う。
【0099】
(2)空調システム100において構築されるネットワーク
図9は、空調システム100において構築される通信ネットワークと、室外ユニット制御部13、各室内ユニット制御部23、各リモコン制御部35及び各近距離無線通信部34に含まれる機能部と、を模式的に示したブロック図である。
【0100】
空調システム100では、室外ユニット(室外ユニット制御部13)及び各室内ユニット20(室内ユニット制御部23)間における信号の伝送路として機能する第1ネットワークNW1が構築されている。また、空調システム100では、各リモコン30(リモコン制御部35)、及び対応する室内ユニット20(室内ユニット制御部23)間における信号の伝送路として機能する複数の第2ネットワークNW2が構築されている。また、空調システム100では、各リモコン30(リモコン制御部35)、及び端末110間における信号の伝送路として機能する複数の第3ネットワークNW3が構築されている。
【0101】
第1ネットワークNW1は、室外ユニット制御部13(室外ユニット通信部133)が一の室内ユニット20(ここでは第1室内ユニット20a)の室内ユニット制御部23(室内ユニット第1通信部233)と通信線cb1で接続されるとともに、各室内ユニット20の室内ユニット制御部23(室内ユニット第1通信部233)が他の室内ユニット20の室内ユニット制御部23(室内ユニット第1通信部233)と通信線cb1で接続されることで構築されている。また、第1ネットワークNW1は、広域ネットワーク120を介して集中リモコン40と接続されており、室外ユニット制御部13及び各室内ユニット20(室内ユニット制御部23と、集中リモコン40との間における信号の伝送路としても機能する。
【0102】
第2ネットワークNW2は、各リモコン30のリモコン通信部353と、対応する室内ユニット20の室内ユニット第2通信部234と、が通信線cb2で接続されることで構築されている。
【0103】
第3ネットワークNW3は、各リモコン30の近距離無線通信部34(通信回路341)と、端末110の通信モジュール112と、が接近することで構築される。
【0104】
(3)コントローラ50
図10は、コントローラ50、及びコントローラ50に接続される各部を模式的に示したブロック図である。
図11は、コントローラ50に含まれる各機能部を模式的に示したブロック図である。
【0105】
コントローラ50は、室外ユニット制御部13、各室内ユニット20の室内ユニット制御部23、各リモコン30のリモコン制御部35、及び集中リモコン40が、通信ネットワーク(NW1、NW2、120)を介して接続されることで構成されるコンピュータである。
【0106】
コントローラ50は、室外ユニット10内のアクチュエータ11及び各種センサ12と、各室内ユニット20内のアクチュエータ21及びセンサ22と、各リモコン30内のリモコン入力部31、リモコン表示部32、センサ33、及び近距離無線通信部34と、インターフェース(図示省略)を介して電気的に接続されている。
【0107】
コントローラ50は、主として、記憶部51、コマンド取得部52、検出値取得部53、運転スケジュール制御部54、アクチュエータ制御部55、使用センサ管理部56、アドレス管理部57、現地情報管理部58、報知管理部59、時刻管理部60、運転履歴管理部61、表示データ生成部62、送信データ生成部63、及び出力制御部64等の機能部を含んでいる。
【0108】
(3−1)記憶部51
記憶部51は、室外ユニット制御部13、各室内ユニット制御部23、各リモコン制御部35、及び集中リモコン40に含まれるROM、RAM、フラッシュメモリ等のメモリによって構成されている。記憶部51は、複数の記憶領域を含み、各記憶領域において所定の情報を記憶している。具体的に、記憶部51は、プログラム記憶領域511と、コマンド記憶領域512と、状態記憶領域513と、運転スケジュール記憶領域514と、運転履歴記憶領域515と、アドレス記憶領域516と、現地情報記憶領域517と、報知タイミング記憶領域518と、運転時間記憶領域519と、フィルタサインフラグ520と、時刻記憶領域521と、表示データ記憶領域522と、送信データ記憶領域523と、使用センサ判別フラグ524と、を有している。
【0109】
プログラム記憶領域511には、リモコン制御部35の各部において実行される各種処理を定義した制御プログラムが記憶されている。制御プログラムは、適宜更新が可能である。
【0110】
コマンド記憶領域512には、リモコン30において入力されたコマンドが記憶されている。例えば、コマンド記憶領域512には、リモコン入力部31を介して入力されたコマンドが記憶されている。また、コマンド記憶領域512には、近距離無線通信部34において受信した受信コマンドが記憶されている。
【0111】
状態記憶領域513には、空調システム100の運転状態(例えば各室内ユニット20の運転モード、設定温度、設定風量、及び設定風向等)に係る情報が記憶されている。また、状態記憶領域513には、各種センサ(12、22、33)の検出値に係る情報が記憶されている。
【0112】
運転スケジュール記憶領域514には、空調システム100の運転スケジュール(例えば各室内ユニット20の運転日時)を識別する運転スケジュールテーブルTB1(
図12参照)が記憶されている。運転スケジュールテーブルTB1は、運転スケジュール制御部54によって生成又は更新される。
【0113】
運転履歴記憶領域515には、空調システム100の運転履歴(過去の運転状態)に係る情報(運転履歴情報)が記憶されている。運転履歴情報は、空調システム100の各ユニット(特に各室内ユニット20)の過去の運転状態(例えば時間毎の、発停状態、運転モード、設定温度、設定風向、圧縮機の回転数、膨張弁の開度、冷媒の過熱度、及び冷媒の過冷却度等)を個別に特定可能な情報である。運手履歴情報は、運転履歴管理部61によって生成される。
【0114】
アドレス記憶領域516には、空調システム100に含まれる各ユニットに割り振られた通信アドレス(ユニットアドレス及び集中管理アドレス)を識別するアドレステーブルTB2(
図13参照)が記憶されている。アドレステーブルTB2は、アドレス管理部57によって生成又は更新される。
【0115】
現地情報記憶領域517には、各室内ユニット20の設置場所(対象空間SP)に関する現地情報を特定する現地情報テーブルTB3(
図14参照)が記憶されている。現地情報テーブルTB3は、現地情報管理部58によって、生成又は更新される。
【0116】
報知タイミング記憶領域518には、各リモコン30のリモコン表示部32においてフィルタ201のメンテナンスを促すテキスト情報「フィルタサイン」を、報知情報として表示するタイミングを特定するための情報(報知タイミング情報)が記憶されている。報知タイミング情報は、報知管理部59によって生成又は更新される。本実施形態においては、室内ユニット20の運転時間が所定時間(例えば1000時間)を経過する毎に対応するリモコン表示部32において「フィルタサイン」が報知情報として表示されるように、報知タイミング情報が定義されている。
【0117】
運転時間記憶領域519には、室内ユニット20毎の運転時間を特定する情報(運転時間特定情報)が記憶されている。
【0118】
フィルタサインフラグ520は、特定のリモコン30のリモコン表示部32においてフィルタ201のメンテナンスを促すテキスト情報「フィルタサイン」を、報知情報として表示するか否かを判別するフラグである。フィルタサインフラグ520は、対応する室内ユニット20及びリモコン30の組の数に対応するビット数を含んでおり、報知管理部59によって対応するビットを立てられる又はクリアされる。
【0119】
時刻記憶領域521には、現在時刻を特定する情報(時刻情報)が記憶されている。時刻情報は、時刻管理部60によって生成又は更新される。
【0120】
表示データ記憶領域522には、表示データ生成部62によって生成された表示データが記憶されている。
【0121】
送信データ記憶領域523には、送信データ生成部63によって生成された送信データが記憶されている。なお、送信データ記憶領域523は、各リモコン制御部35のリモコン記憶部351に設けられている。すなわち、空調システム100において各リモコン30のリモコン記憶部351は、特許請求の範囲記載の「送信データ記憶部」に相当する。
【0122】
使用センサ判別フラグ524には、対応する各組の室内ユニット20及びリモコン30において、リモコン表示部32に表示する室温に関して、センサ22及びセンサ33のいずれの検出値を使用するかを判別するためのフラグである。使用センサ判別フラグ524は、対応する室内ユニット20及びリモコン30の組の数に対応するビット数を含んでおり、使用センサ管理部56によって対応するビットを立てられる或いはクリアされる。
【0123】
(3−2)コマンド取得部52
コマンド取得部52は、近距離無線通信部34が近距離無線通信によって受信した受信コマンドを取得する機能部である。コマンド取得部52は、近距離無線通信部34から受信コマンドを出力されると、これを取得してコマンド記憶領域512に格納する。また、コマンド取得部52は、近距離無線通信部34内のユニット記憶部342において新たな受信コマンドが格納されると、これを取得してコマンド記憶領域512に格納する。
【0124】
(3−3)検出値取得部53
検出値取得部53は、各種センサ(12、22、23)から検出値を出力されると、これを取得して状態記憶領域513に格納する。
【0125】
(3−4)運転スケジュール制御部54
運転スケジュール制御部54は、コマンド記憶領域512において運転スケジュールに係るコマンド(スケジュール設定コマンド)が新たに格納されると、当該コマンドに基づき、運転スケジュールテーブルTB1を生成又は更新する。運転スケジュール制御部54は、生成又は更新した運転スケジュールテーブルTB1を、運転スケジュール記憶領域514に格納する。
【0126】
図12は、運転スケジュールテーブルTB1の一例を示した模式図である。運転スケジュールテーブルTB1は、各室内ユニット20の運転スケジュールが登録されている。本実施形態では、各時間帯における運転状態を定義する行において、それぞれの室内ユニット20に関する発停状況及び/又は運転種別を特定する情報等が、運転スケジュールとして登録されている。
【0127】
図12に示す運転スケジュールテーブルTB1では、22:00−8:00の時間において第1室内ユニット20a―第5室内ユニット20eが停止するとともに第6室内ユニット20fが冷房運転を行うように、22:00−7:00のそれぞれの運転状態を定義する各行において、第1室内ユニット20a―第5室内ユニット20eに関して発停状況を特定する情報(「停止」)が登録され、第6室内ユニット20fに関して発停状況及び運転種別を特定する情報(「冷房運転」)が登録された様子が示されている。
【0128】
また、
図12に示す運転スケジュールテーブルTB1では、8:00−22:00の時間において第1室内ユニット20a―第6室内ユニット20fが冷房運転を行うように、8:00−21:00のそれぞれの運転状態を定義する各行において、第1室内ユニット20a―第6室内ユニット20fに関して発停状況及び運転種別を特定する情報(「冷房運転」)が登録された様子が示されている。
【0129】
(3−5)アクチュエータ制御部55
アクチュエータ制御部55は、記憶部51に記憶されている各種情報(例えば、コマンド記憶領域512において記憶されているコマンド、状態記憶領域513に記憶されている情報、運転スケジュール記憶領域514に記憶されている運転スケジュールテーブルTB1、及び/又は現地情報記憶領域517に記憶されている現地情報等)に基づき、状況に応じて各種アクチュエータ(11、21)に信号を送信して動作を制御する。
【0130】
(3−6)使用センサ管理部56
使用センサ管理部56は、コマンド記憶領域512に記憶されている所定のコマンド(使用センサ選択コマンド)に基づき、使用センサ判別フラグ524において対応するビットを立てる、又はクリアする。
【0131】
(3−7)アドレス管理部57
アドレス管理部57は、コマンド記憶領域512に記憶されている所定のコマンド(使用センサ選択コマンド)に基づき、アドレステーブルTB2を生成又は更新する。アドレス管理部57は、生成したアドレステーブルTB2をアドレス記憶領域516に格納する。
【0132】
図13は、アドレステーブルTB2の一例を示した模式図である。アドレステーブルTB2には、空調システム100に含まれる各ユニット(室外ユニット10、各室内ユニット20、各リモコン30、及び集中リモコン40)に割り当てられているユニットアドレスを特定する情報、集中管理アドレスを特定する情報、及び各ユニットを一意に識別する情報(ユニット識別情報)が登録されている。
【0133】
図13に示すアドレステーブルTB2では、それぞれのユニットを定義する各行において、ユニットアドレスを特定する変数「ユニットアドレス」の値が登録され、集中管理アドレスを特定する変数「集中管理アドレス」の値が登録され、ユニット識別情報を特定する変数「識別情報」の値が登録されている。例えば、
図13に示すアドレステーブルTB2では、第1リモコン30aに割り当てられているユニットアドレスが「121」であり集中管理アドレスが「1021」でありユニット識別情報が「C1」であることを特定するべく、室外ユニット10を定義する行において、変数「ユニットアドレス」の値として「121」が登録され、変数「集中管理アドレス」の値として「1021」が登録され、変数「識別情報」の値として「C1」が登録された様子が示されている。
【0134】
(3−8)現地情報管理部58
現地情報管理部58は、コマンド記憶領域512に記憶されている所定のコマンド(現地情報設定コマンド)に基づき、現地情報テーブルTB3を生成又は更新する。現地情報管理部58は、生成した現地情報テーブルTB3を現地情報記憶領域517に格納する。現地情報テーブルTB3は、各室内ユニット20の設置場所に関する情報(現地情報)であり、例えば、対象空間SPの天井高、広さ、所在階、又は識別名称等を特定するための情報である。
【0135】
図14は、現地情報テーブルTB3の一例を示した模式図である。現地情報テーブルTB3では、それぞれの室内ユニット20を定義する各行において、設置場所を特定する情報、設置場所の識別名称、天井高、広さ、及び所在階等が登録されている。例えば、
図14に示す現地情報テーブルTB3では、第1室内ユニット20aの現地情報を定義する行において、設置場所を特定する情報「SP1」、設置場所の識別名称「第1会議室」、設置場所の天井高「2.7m」、設置場所の広さ「56m
2」、及び設置場所の所在階「11F」等が登録された様子が示されている。
【0136】
(3−9)報知管理部59
報知管理部59は、コマンド記憶領域512に記憶されている所定のコマンド(フィルタサイン報知設定コマンド)に基づき、報知タイミング情報を生成又は更新し、報知タイミング記憶領域518に格納する。
【0137】
また、報知管理部59は、各室内ユニット20の運転時間を計測するカウンタを含んでおり、運転時間記憶領域519に記憶されている運転時間特定情報を適宜更新する。
【0138】
また、報知管理部59は、各室内ユニット20に関し、施工後又はメンテナンス後において運転時間が、報知タイミング記憶領域518に記憶されている報知タイミング情報によって特定される時間を越えた場合には、フィルタサインフラグ520の対応するビットを立てる。なお、室内ユニット20に関し、施工後又はメンテナンス後において運転時間が、報知タイミング記憶領域518に記憶されている報知タイミング情報によって特定される時間を越える場合とは、係る室内ユニット20のフィルタ201に関しメンテナンス時期が到来したと推定される場合に相当する。
【0139】
(3−10)時刻管理部60
時刻管理部60は、時間を計測するカウンタを含む機能部である。時刻管理部60は、コマンド記憶領域512において時刻の設定に係るコマンド(時刻設定コマンド)が新たに格納されると、当該コマンドに基づき時刻情報を生成し、時刻記憶領域521に格納する。時刻管理部60は、継続的に時間を計測し、計測した時間に基づき時刻記憶領域521に記憶されている時刻情報を適宜更新する。
【0140】
(3−11)運転履歴管理部61
運転履歴管理部61は、記憶部51に記憶されている各種情報(例えば、コマンド記憶領域512において記憶されているコマンド、状態記憶領域513に記憶されている各情報、運転スケジュール記憶領域514に記憶されている運転スケジュールテーブルTB1、及び/又は時刻記憶領域521に記憶されている時刻情報等)に基づき、状況に応じて、運転履歴情報を生成する。運転履歴管理部61は、生成した運転履歴情報を運転履歴記憶領域515に格納する。
【0141】
(3−12)表示データ生成部62
表示データ生成部62は、記憶部51に記憶されている各種情報(例えば、コマンド記憶領域512において記憶されているコマンド、状態記憶領域513に記憶されている情報、運転スケジュール記憶領域514に記憶されている運転スケジュールテーブルTB1、運転履歴記憶領域515に記憶されている運転履歴情報、現地情報記憶領域517に記憶されている現地情報テーブルTB3、運転時間記憶領域519に記憶されている運転時間特定情報、フィルタサインフラグ520の状態、及び/又は時刻記憶領域521に記憶されている時刻情報等)に基づき、状況に応じて、各リモコン30のリモコン表示部32において表示させる情報に係るデータ(表示データ)を生成する。表示データ生成部62は、生成した表示データを表示データ記憶領域522に格納する。
【0142】
例えば、表示データ生成部62は、フィルタサインフラグ520のいずれかのビットが立てられた場合には、当該ビットに対応する室内ユニット20のフィルタ201のメンテナンスを促すテキスト情報「フィルタサイン」(
図5参照)が対応するリモコン表示部32において報知情報として表示されるべく、所定の表示データを生成する。
【0143】
また、例えば、表示データ生成部62は、時刻記憶領域521に記憶されている時刻情報が更新された場合には、当該時刻情報が各リモコン30のリモコン表示部32において案内情報として表示されるべく、所定の表示データを生成する。
【0144】
また、例えば、表示データ生成部62は、対応するリモコン30が第1ネットワークNW1又は第2ネットワークNW2を介して通信を行っている場合には、当該リモコン30のリモコン表示部32において通信状況通知情報(
図6参照)が表示されるべく、所定の表示データを生成する。
【0145】
(3−13)送信データ生成部63
送信データ生成部63は、コマンド記憶領域512においてデータ送信の要求に係るコマンド(データ送信要求コマンド)が新たに格納されると、当該コマンドにおいて要求されるデータ(送信データ)を生成する。送信データ生成部63は、記憶部51に記憶されている各種情報(例えば、コマンド記憶領域512において記憶されているコマンド、状態記憶領域513に記憶されている各情報、運転スケジュール記憶領域514に記憶されている運転スケジュールテーブルTB1、運転履歴記憶領域515に記憶されている運転履歴情報、現地情報記憶領域517に記憶されている現地情報テーブルTB3、及び/又は運転時間記憶領域519に記憶されている運転時間特定情報等)に沿って、送信データを生成する。送信データ生成部63は、生成した送信データを送信データ記憶領域523に格納する。
【0146】
また、送信データ生成部63は、コマンド記憶領域512においてデータ送信要求コマンドが新たに格納されない場合においても、定期的に(例えば1週間毎に)、当該コマンドにおいて要求されうる各データを生成しておき、送信データ記憶領域523に格納する。これにより、ユーザによってデータ送信要求コマンドを入力された場合に、データの生成及び送信に係る時間が抑制されるようになっている。
【0147】
(3−14)出力制御部64
出力制御部64は、状況に応じて、各部に所定のデータを出力する。例えば、出力制御部64は、表示データ記憶領域522に新たな表示データが格納されると、当該表示データが対応するリモコン30において表示されるように、当該リモコン30(リモコン表示部32)に対して対応する駆動信号を出力する。
【0148】
また、出力制御部64は、送信データ記憶領域523に新たな送信データが格納されると、データ送信要求コマンドの送信元の端末110に対して当該送信データが送信されるように、当該送信データを対応する近距離無線通信部34に対して出力する。
【0149】
なお、上述のように、本実施形態において、送信データ記憶領域523は、各リモコン制御部35のリモコン記憶部351に設けられているため、ユーザがデータ送信要求コマンドを入力した場合に、リモコン記憶部351内に所望の送信データが既に存在する時には送信データの取得に係る時間(伝送時間)が抑制されるようになっている。
【0150】
(4)空調システム100に入力されるコマンド
空調システム100においては、操作者によって各種設定に係るコマンドを入力される。操作者は、リモコン30のリモコン入力部31に所望のコマンドを入力することにより、又は端末110に入力したコマンドを端末110からリモコン30の通信回路341に送信させることにより、コマンドを入力する。
【0151】
具体的に、空調システム100において、入力されるコマンドは、例えば、運転状態切換コマンド、現地情報登録設定コマンド、スケジュール設定コマンド、集中アドレス設定コマンド、時刻設定コマンド、使用センサ選択コマンド、フィルタサイン報知設定コマンド、表示態様設定コマンド、及びデータ送信要求コマンド等である。なお、これらの各コマンドのうち、現地情報登録設定コマンド、スケジュール設定コマンド、集中アドレス設定コマンド、時刻設定コマンド、使用センサ選択コマンド、フィルタサイン報知設定コマンド、及び表示態様設定コマンド、は、主として、初期設定が行われる際に入力される(但し、初期設定が行われる場合以外の場合にも入力されうる)ため、特許請求の範囲記載の「初期設定コマンド」に相当する。
【0152】
運転状態切換コマンドは、空調システム100(特に室外ユニット10及び室内ユニット20)の運転状態を切り換えるための各種設定項目の切換えに係るコマンドである。例えば、運転状態切換コマンドは、各室内ユニット20の運転モード、設定温度、設定風量、設定風向、タイマー設定等の設定項目を切り換えるためのコマンドである。
【0153】
現地情報登録設定コマンドは、各室内ユニット20の設置場所に関する現地情報の登録(現地情報テーブルTB3の生成又は更新)に係るコマンドである。
【0154】
スケジュール設定コマンドは、空調システム100の運転スケジュールの設定(すなわち、運転スケジュールテーブルTB1の設定)に係るコマンドである。
【0155】
集中アドレス設定コマンドは、空調システム100の各ユニットの集中管理アドレスの設定(すなわち、アドレステーブルTB2の設定)に係るコマンドである。具体的に、集中アドレス設定コマンドは、例えば1回の入力に応じて、特定のユニットの集中管理アドレスを増加させる/低下させるコマンドである。また、集中アドレス設定コマンドは、例えば1回の入力に応じて、特定の複数のユニットの集中管理アドレスを一括に設定するコマンドである。
【0156】
時刻設定コマンドは、各リモコン30において案内情報として表示される時刻の設定(すなわち、空調システム100が保持する時刻情報の設定)に係るコマンドである。
【0157】
使用センサ選択コマンドは、対応する室内ユニット20及びリモコン30においてリモコン30に表示する室温に関して、室内ユニット20内蔵のセンサ22、及びリモコン30内蔵のセンサ33のいずれの検出値を使用するかの設定に係るコマンド(使用センサ判別フラグ524の切換え設定に係るコマンド)である。
【0158】
フィルタサイン報知設定コマンドは、各リモコン30においてフィルタ201のメンテナンスを促すテキスト情報「フィルタサイン」を、報知情報として表示するタイミングの設定(すなわち、報知タイミング記憶領域518に記憶される報知タイミング情報の設定)に係るコマンドである。
【0159】
表示態様設定コマンドは、各リモコン30のリモコン表示部32における表示態様の設定に係るコマンドである。
【0160】
データ送信要求コマンドは、空調システム100が保持する情報をリモコン30から端末110へと送信させるデータ送信の設定に係るコマンド(空調システム100に対して端末110へのデータの送信を要求するコマンド)である。
【0161】
データ送信要求コマンドは、例えば、室内ユニット20の運転状況や故障したタイミング等を特定する運転履歴情報、所定時刻におけるアクチュエータの動作状態(圧縮機又はファンの回転数や各種弁の開度)を特定する情報、所定時刻における各種センサ(12、22、33)の検出値を特定する情報、所定時刻における各種設定に係る設定状態を特定する情報、消費電力に関する情報、又は各種設定に係る設定状態を特定する情報に係るデータの送信を空調システム100に対して要求する際に入力される。
【0162】
また、入力されたデータ送信要求コマンドに対応してリモコン30から端末110へ送信されるデータには、特定データが含まれる。特定データは、各コマンドに基づき設定内容を切り換えられた設定項目に関し、切換前の状態と、切換後の状態と、の差分を特定可能な情報である。特定データは、例えば、メンテナンス時等にサービスマンによって係る差分を解析されることで故障の原因究明に用いられる。また、特定データは、例えば、管理者によって施設や対象空間毎の特定データが収集して分析されることで各種運用に用いられる。
【0163】
(5)空調システム100における処理の流れ
以下、
図15を参照して、空調システム100における処理の流れの一例を説明する。
図15は、空調システム100の処理の流れの一例を示したフローチャートである。
【0164】
空調システム100は、
図15のステップS101からステップS108に示すような流れで処理を実行する。なお、
図15に示す処理の流れは、適宜変更が可能であり、処理が適正に行われる限り、いずれかのステップの順序を入れ換えてもよいし、いずれかのステップが同時に実行されてもよいし、図示しない他のステップが追加されてもよい。
【0165】
ステップS101において、空調システム100は、リモコン入力部31を介してコマンドを入力されない場合(すなわち、NOの場合)には、ステップS103へ進む。一方、空調システム100は、リモコン入力部31を介してコマンドを入力された場合(すなわち、YESの場合)には、ステップS102へ進む。
【0166】
ステップS102において、空調システム100は、リモコン入力部31を介して入力されたコマンドに基づき、対応する所定の処理を実行する。その後、ステップS101に戻る。
【0167】
ステップS103において、空調システム100は、近距離無線通信部34において近距離無線通信により端末110からのコマンドを受信しない場合(すなわち、NOの場合)には、ステップS107へ進む。一方、空調システム100は、近距離無線通信部34において近距離無線通信により端末110からのコマンドを受信した場合(すなわち、YESの場合)には、ステップS104へ進む。
【0168】
ステップS104において、空調システム100は、近距離無線通信部34が電源供給されていない状態におけるコマンド入力である場合(すなわち、NOの場合)には、ステップS106へ進む。一方、空調システム100は、近距離無線通信部34が電源供給されていた状態におけるコマンド入力である場合(すなわち、YESの場合)には、ステップS105へ進む。
【0169】
ステップS105において、空調システム100は、第2処理を実行する。すなわち、電源供給されている状態において端末110に接近されてコマンドを受信した近距離無線通信部34(ユニットCPU343)が、第2処理モードに遷移し、通信回路341における受信コマンドを、ユニット記憶部342に格納することなく、リモコン制御部35に対して出力する。その結果、リモコン制御部35において受信コマンドが入力される。そして、空調システム100は、受信コマンドに対応する処理を実行する。その後、ステップS101に戻る。
【0170】
ステップS106において、空調システム100は、第1処理を実行する。すなわち、電源供給されていない状態において端末110に接近されることで給電されるとともにコマンドを受信した近距離無線通信部34(ユニットCPU343)が、第1処理モードに遷移し、通信回路341における受信コマンドを、ユニット記憶部342に格納する。その結果、ユニット記憶部342に格納された受信コマンドがリモコン制御部35(コマンド取得部52)により取得され、リモコン制御部35において受信コマンドが入力される。そして、空調システム100は、受信コマンドに対応する処理を実行する。その後、ステップS101に戻る。
【0171】
ステップS107において、空調システム100は、運転スケジュールを有していない場合(具体的には運転スケジュール記憶領域514において運転スケジュールが記憶されていない場合、すなわちNOの場合)には、ステップS101に戻る。一方、空調システム100は、運転スケジュールを有している場合(具体的には運転スケジュール記憶領域514において運転スケジュールが記憶されている場合、すなわちYESの場合)には、ステップS108へ進む。
【0172】
ステップS108において、空調システム100は、運転スケジュールに沿って、各ユニット(特に室外ユニット10及び各室内ユニット20)の動作を制御する。その後、ステップS101に戻る。
【0173】
(6)空調システム100の特徴
(6−1)
上記実施形態に係る空調システム100は、複数のリモコン30に対するコマンドの入力を、簡易に行うことが可能である。
【0174】
すなわち、ビル、工場、倉庫又は公共施設等、複数の空調室内機が設置される施設においては、空調室内機の台数に応じて複数のリモートコントロール装置が設置されることに伴い、上述のような各種設定が行われる際に、各リモートコントロール装置に対しコマンドの入力がそれぞれ行われるケースがある。係るケースにおいて、従来の空調システムでは、複数のリモートコントロール装置に対し入力キーを操作してコマンドをそれぞれ入力する必要があるため、設定作業が煩雑となり、作業に要する労力及び時間の増大や設定ミスの発生等を抑制することが難しい。このため、昨今、複数のリモートコントロール装置に対するコマンド入力を、より簡易に行える空調システムの需要が高まっていた。
【0175】
この点、上記実施形態に係る空調システム100では、各リモコン30は、近距離無線通信機能を有する端末110と近距離無線通信を行う近距離無線通信部34を有しており、近距離無線通信によって端末110から送信された信号を近距離無線通信部34において受信することでコマンドを入力されるように構成されている。これにより、各種設定を行うに際し複数のリモコン30に対してコマンドの入力をそれぞれ行うケースにおいて、コマンドを近距離無線通信によって端末110からリモコン30へ送信することが可能となっている。つまり、端末110に予め入力又は記憶させておいたコマンドを、近距離無線通信によって各リモコン30に送信することが可能となっている。
【0176】
その結果、各リモコン30のリモコン入力部31(入力キー)を操作せずとも、複数のリモコン30に対するコマンドの入力を行うことが可能となっている。よって、複数のリモコン30に対するコマンドの入力を、簡易に行うことが可能となっている。すなわち、各種設定に係る作業が煩雑となることが抑制されており、作業に要する労力及び時間の増大や設定ミスの発生等が抑制されている。
【0177】
(6−2)
上記実施形態に係る空調システム100では、リモコン30に入力されるコマンドには、室内ユニット20又はリモコン30の設置時又はメンテナンス時に行われる、室内ユニット20又はリモコン30の初期設定に係るコマンドが含まれている。これにより、室内ユニット20の設置時やメンテナンス時等に初期設定が行われる際、初期設定に係る作業が煩雑となることが抑制されており、作業に要する労力及び時間の増大や設定ミスの発生等が抑制されている。
【0178】
(6−3)
上記実施形態に係る空調システム100おいて、初期設定時に入力される各コマンドには、以下の(A)−(E)に示すコマンドが含まれる。
【0179】
(A)現地情報登録設定に係る現地情報登録設定コマンド
【0180】
(B)空調システム100が保持する時刻情報の設定(すなわち、リモコン30が有する時計機能に関し時刻調整を行うための時刻設定)に係る時刻設定コマンド
【0181】
(C)リモコン30に表示する室温に関して室内ユニット20内蔵のセンサ22及びリモコン30内蔵のセンサ33のいずれの検出値を使用するかの設定(すなわち、対象空間SPに温度センサが複数配置される場合に評価対象となる温度センサの選択を行うための温度センサ選択設定)に係る使用センサ選択コマンド
【0182】
(D)各リモコン30においてフィルタ201のメンテナンスを促す報知情報を表示するタイミングの設定(すなわち、室内ユニット20が有するフィルタ201のメンテナンスを促す報知を行うタイミング、を決定するための報知タイミング設定)に係るフィルタサイン報知設定コマンド
【0183】
(E)各リモコン30のリモコン表示部32における表示態様の設定(表示態様設定)に係る表示態様設定コマンド
【0184】
上記(A)−(E)の各コマンドは、従来においては入力が特に煩雑となりうる設定に係るものであるが、空調システム100では、当該設定に係る作業が煩雑となることが抑制されており、作業に要する労力及び時間の増大や設定ミスの発生等が抑制されている。
【0185】
(6−4)
上記実施形態に係る空調システム100では、リモコン30に入力されるコマンドに、リモコン30(空調システム100)に対して所定のデータの送信を要求するコマンドであるデータ送信要求コマンドが含まれている。また、コントローラ50は、リモコン30に入力されたデータ送信要求コマンドによって要求されるデータを、近距離無線通信部34から端末110へ送信させるように構成されている。
【0186】
これにより、従来においてはコマンドの入力が特に煩雑となっていた、複数のリモコン30に対するデータ送信の設定に係るデータ送信要求コマンドの入力が行われる際、作業が煩雑となることが抑制され、作業に要する労力及び時間の増大や設定ミスの発生等が抑制されている。
【0187】
(6−5)
上記実施形態に係る空調システム100では、コントローラ50はデータ送信要求コマンドによって要求されうるデータを送信データ記憶領域523に格納し、送信データ記憶領域523はリモコン記憶部351に含まれている。これにより、データ送信要求コマンドによって要求されうる情報を、予めリモコン30(リモコン記憶部351)に格納しておくことが可能となっている。その結果、データ送信要求コマンドが入力された際に、端末110へのデータ転送に係る時間の短縮が可能となっている。よって、空調システム100内のデータ取得に係る作業時間がさらに短縮されうる。
【0188】
(6−6)
上記実施形態に係る空調システム100では、入力されたデータ送信要求コマンドに対応してリモコン30から端末110へ送信されるデータには、特定データが含まれている。特定データは、コマンドに基づき設定内容を切り換えられた設定項目に関し、切換前の状態と、切換後の状態と、の差分を特定可能な情報である。
【0189】
これにより、コマンドに基づき設定内容を切り換えられた設定項目に関し、切換前の状態と、切換後の状態と、の差分を特定可能な特定データが、データ送信要求コマンドに基づきリモコン30から端末110へ送信されるようになっている。その結果、特定データを取得した端末110又は当該端末110から特定データを転送された情報処理機器において、特定データによって特定される差分を表示することが可能となっている。このため、設定者が、設定内容の切換えを行う設定項目に関し、切換前の状態と切換後の状態との差分を容易に把握可能となっており、利便性が向上している。また、取得した特定データを現場(対象空間SP)において即座に分析又は加工することが可能となっており、利便性が向上している。
【0190】
(6−7)
上記実施形態に係る空調システム100では、近距離無線通信部34は、入力されたコマンドを記憶するユニット記憶部342と、端末110からコマンドを入力された場合に第1処理モード及び第2処理モードのいずれかにより処理を実行するユニットCPU343と、を有している。第1処理モードは、入力されたコマンドをユニット記憶部342に格納するモードである。第2処理モードは、入力されたコマンドをユニット記憶部342に格納せずにコントローラ50へ出力するモードである。ユニットCPU343は、電源供給されていない状態において端末110に接近されることで給電されるとともにコマンドを入力された場合には第1処理モードにより第1処理を実行し、電源供給されている状態においてコマンドを入力された場合には第2処理モードにより第2処理を実行するように構成されている。
【0191】
これにより、近距離無線通信部34に電源供給されているか否かに関わらず、近距離無線通信によってコマンドを入力することが可能となっている。また、近距離無線通信部34に電源供給されている状態においてコマンドが入力された場合には、入力されたコマンドがユニット記憶部342に格納されずにコントローラへ出力されるため、近距離無線通信部に電源供給されていない状態においてコマンドを入力された場合と比較して、入力されたコマンドに関する伝送時間が短縮され、入力されたコマンドに対する結果が反映されるまでの時間が短縮されている。よって、各種設定に係る作業に要する労力及び時間の増大がさらに抑制されている。
【0192】
(6−8)
上記実施形態に係る空調システム100では、リモコン30に入力されるコマンドには、室内ユニット20の運転スケジュールの設定に係るコマンドであるスケジュール設定コマンドが含まれている。これにより、従来においてはコマンドの入力が特に煩雑となっていた運転スケジュールの登録に関する設定が行われる際、設定に係る作業が煩雑となることが抑制されており、作業に要する労力及び時間の増大や設定ミスの発生等が抑制されている。
【0193】
(6−9)
上記実施形態に係る空調システム100では、各リモコン30は、集中リモコン40との通信に用いられる集中管理アドレスを割り当てられている。また、リモコン30に入力されるコマンドには、集中管理アドレスの設定に係るコマンドである集中管理アドレス設定コマンドが含まれている。これにより、従来においてはコマンドの入力が特に煩雑となっていた集中管理アドレスの設定が行われる際、設定に係る作業が煩雑となることが抑制されており、作業に要する労力及び時間の増大や設定ミスの発生等が抑制されている。
【0194】
(6−10)
上記実施形態に係る空調システム100では、リモコン30のリモコン表示部32には、リモコン通信部353を介した室内ユニット20との通信を行っている場合に、室内ユニット20と通信中であることを示す通信状況通知情報が表示されるようになっている。
【0195】
これにより、利便性が向上している。例えば、リモコン30及び室内ユニット20間の通信に長時間を要する場合においても、設定者がコマンドに係る処理の進捗状況を把握可能となっており、利便性が向上している。また、リモコン30及び室内ユニット20間の通信が完了する毎にコマンドを入力する必要がある場合(すなわち、リモコン30に対してコマンドを複数回に分けて入力する必要がある場合)において、コマンドを入力するタイミングを容易に把握可能となっており、利便性が向上している。
【0196】
(7)変形例
上記実施形態は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0197】
(7−1)変形例A
上記実施形態では、空調システム100に入力されるコマンドとして、運転状態切換コマンド、現地情報登録設定コマンド、スケジュール設定コマンド、集中アドレス設定コマンド、時刻設定コマンド、使用センサ選択コマンド、フィルタサイン報知設定コマンド、表示態様設定コマンド、及びデータ送信要求コマンドを例に挙げて説明した。しかし、空調システム100において入力されるコマンドは、必ずしもこれらのコマンドに限定されず、これらのコマンドのいずれかについては設計仕様や設置環境に基づき適宜省略が可能である。また、空調システム100において入力されるコマンドには、他のコマンドが含まれていてもよい。
【0198】
(7−2)変形例B
上記実施形態では、データ送信要求コマンドによって要求されるデータは、例えば、空調室内機の運転状況や故障したタイミング等を特定する履歴情報、所定時刻における各種アクチュエータの動作状態(例えば圧縮機又はファンの回転数や各種弁の開度)を特定する情報、所定時刻における各種センサの検出値を特定する情報、所定時刻における各種設定に係る設定状態を特定する情報、若しくは消費電力に関する情報に係るデータ、又は各コマンドに基づき設定内容を切り換えられた設定項目に関し切換前の状態と切換後の状態と、の差分を特定可能な情報である特定データであった。しかし、データ送信要求コマンドによって要求されるデータは、必ずしもこれらのデータには限定されず、他のデータであってもよい。
【0199】
(7−3)変形例C
上記実施形態に係る空調システム100では、近距離無線通信部34(ユニットCPU343)は、電源供給されていない状態において端末110に接近されることで給電されるとともにコマンドを入力された場合には第1処理モードにより第1処理を実行し、電源供給されている状態においてコマンドを入力された場合には第2処理モードにより第2処理を実行するように構成されていた。この点、コントローラ50へのコマンドの伝送時間を短縮するという観点によれば、第2処理が実行されることは好ましいが、空調システム100において必ずしも第2処理が行われる必要はない。すなわち、第2処理モード(第2処理)については、適宜省略が可能であり、近距離無線通信部34(ユニットCPU343)は、電源供給されている状態においてコマンドを入力された場合でも第1処理(入力されたコマンドをユニット記憶部342に格納する処理)を実行するように構成されてもよい。
【0200】
(7−4)変形例D
上記実施形態では、現地情報テーブルTB3は、各室内ユニット20の設置場所に関する情報(現地情報)であり、具体的には、対象空間SPの天井高、広さ、所在階、又は識別名称等を特定するための情報であった。しかし、これに限定されず、現地情報テーブルTB3は、他の情報を特定するものであってもよい。例えば、現地情報テーブルTB3は、対象空間SPの所在地等の位置情報や、対象空間SPにおけるサマータイム運用の有無を特定する情報であってもよい。
【0201】
(7−5)変形例E
上記実施形態では、室内ユニット20は、複数の対象空間SPを含む施設1に設置されていた。しかし、室内ユニット20が設置される環境は、特に限定されず、あらゆる環境において設置可能である。例えば、室内ユニット20は、単一の大きな対象空間SPを含む工場等に設置されてもよい。
【0202】
(7−6)変形例F
上記実施形態では、空調システム100には、集中リモコン40が含まれていた。しかし、集中リモコン40は必ずしも必要ではなく、適宜省略が可能である。
【0203】
(7−7)変形例G
上記実施形態では、各ユニットは、複数の通信アドレス(具体的にはユニットアドレス及び集中管理アドレス)を割り当てられていた。しかし、各ユニットは、複数の通信アドレスを割り当てられる必要はなく、ユニットアドレス及び集中管理アドレスのいずれかについては適宜省略が可能である。係る場合、各ユニット間の信号伝送には、ユニットアドレス及び集中管理アドレスのいずれかを用いて行われればよい。
【0204】
(7−8)変形例H
上記実施形態においては、リモコン30のリモコン表示部32には、リモコン通信部353を介した室内ユニット20との通信を行っている場合に、室内ユニット20と通信中であることを示す通信状況通知情報が表示されるようになっていた。しかし、通信状況通知情報の出力態様については、適宜変更が可能である。例えば、リモコン30が音声の出力が可能なスピーカを含む場合には、通信状況通知情報をリモコン表示部32において表示させるのに代えて、通信状況通知情報に相当する音声をスピーカから出力させてもよい。また、例えば、リモコン30がLEDランプ等の光源部を含む場合には、通信状況通知情報をリモコン表示部32において表示させるのに代えて、通信状況通知情報に相当する情報として光源部を点灯又は点滅させてもよい。また、リモコン30における通信状況通知情報の出力については必ずしも必要ではなく、適宜省略してもよい。
【0205】
(7−9)変形例I
上記実施形態では、集中リモコン40は、広域ネットワーク120(WAN)上に配置されていた。しかし、集中リモコン40は、必ずしも広域ネットワーク120上に配置される必要はなく、施設1の構内に構築されたLAN(Local Area Network)上に配置されてもよい。
【0206】
(7−10)変形例J
上記実施形態では、リモコン30は、いずれかの室内ユニット20と1対1に対応していたが、リモコン30は複数の室内ユニット20と対応付けられてもよい。すなわち、リモコン30は、いずれかの室内ユニット20と1対多に対応づけられてもよい。
【0207】
(7−11)変形例K
上記実施形態では、近距離無線通信部34は、リモコン制御部35とは別に設けられていた。しかし、近距離無線通信部34は、リモコン制御部35に含まれていてもよい。
【0208】
(7−12)変形例L
上記実施形態では、室外ユニット制御部13、室内ユニット制御部23、リモコン制御部35、及び集中リモコン40が個別に配置されていた。しかし、これに限定されず、室外ユニット制御部13の一部若しくは全部、各室内ユニット制御部23の一部若しくは全部、各リモコン制御部35の一部若しくは全部、及び/又は集中リモコン40は、一体に構成されてもよい。係る場合、一体に構成された制御部は、室外ユニット10内に配置されてもよいし、室内ユニット20内に配置されてもよいし、リモコン30内に配置されてもよいし、集中リモコン40内に配置されてもよいし、LANやWANを介して接続された遠隔地に配置されてもよい。
【0209】
(7−13)変形例M
上記実施形態では、コントローラ50は、室外ユニット制御部13、各室内ユニット20の室内ユニット制御部23、各リモコン30のリモコン制御部35、及び集中リモコン40が、通信ネットワーク(NW1、NW2、120)を介して接続されることで構成されていた。しかし、コントローラ50の構成態様については、特に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、コントローラ50は、室外ユニット10、各室内ユニット20、各リモコン30、及び集中リモコン40の、いずれかに代えて又は全てとともに、他のユニット(例えば、近距離無線通信部34や他の外部機器等)を追加されて構成されてもよい。また、コントローラ50は、異なる空間に配置されるユニットが通信ネットワークで接続されることで構成されるのではなく、同一の空間に配置される各ユニットによって一体に構成されてもよい。
【0210】
(7−14)変形例N
上記実施形態では、リモコン30は、いわゆる有線式のリモートコントロール装置であり、通信線cb2を介して対応する室内ユニット20と電気的に接続されていた。しかし、リモコン30は、対応する室内ユニット20(室内ユニット制御部23)と電波や赤外線を用いた無線通信を行うワイアレスリモコンであってもよい。係る場合、リモコン30は、持ち運び自在であるハンディタイプのものであってもよい。
【0211】
(7−15)変形例O
上記実施形態では、リモコン30は、室内ユニット20とは別に独立して設けられていた。しかし、リモコン30は、必ずしも室内ユニット20と別体に構成される必要はなく、室内ユニット20と一体に構成されてもよい。すなわち、リモコン30は、室内ユニット20に内蔵されていてもよい。
【0212】
(7−16)変形例P
上記実施形態では、リモコン30には表示手段としてのリモコン表示部32が設けられていた。しかし、必ずしもリモコン30においてリモコン表示部32を設ける必要はなく、リモコン表示部32については適宜省略が可能である。係る場合、リモコン表示部32において表示される表示データを表示する表示部を、他のユニット(室外ユニット10、室内ユニット20、又は集中リモコン40)に設けてもよいし、他のユニットとは独立に設けて対象空間SPや他の空間に配置してもよい。
【0213】
(7−17)変形例Q
上記実施形態において、リモコン30及び端末110間で行われる近距離無線通信は、13.56MHzの周波数を用いるNFC(Near Field Communication)であった。しかし、リモコン30及び端末110間で行われる近距離無線通信は、必ずしもNFCである必要はなく、例えばBluetooth(登録商標)等、他の方式であってもよい。
【0214】
(7−18)変形例R
上記実施形態では、各ユニットに割り当てられるユニットアドレスは、工場出荷前に予め割り当てられる通信アドレス、電源投入時に制御プログラムに基づき自動で割り当てられる通信アドレスであった。しかし、これに限定されず、ユニットアドレスは、集中管理アドレスと同様に、設置時やメンテナンス時に行われる初期設定により割り当てられてもよい。係る場合、ユニットアドレスは、端末110からリモコン30へコマンドを出力することによって設定されるように構成してもよい。
【0215】
(7−19)変形例S
上記実施形態では、リモコン30は、対応する室内ユニット20と同一の対象空間SPに設置されたが、対応する室内ユニット20が設置される対象空間SPとは異なる他の空間に設置されてもよい。
【0216】
(7−20)変形例T
上記実施形態では、各対象空間SPにおいて1台の室内ユニット20が設置されていた。しかし、各対象空間SPには、室内ユニット20が複数台設置されてもよい。
【0217】
(7−21)変形例U
上記実施形態では、1台の室外ユニット10と複数台の室内ユニット20とが冷媒配管で接続されることで冷媒回路が構成されていた。しかし、空調システム100は、複数台の室外ユニット10を有していてもよい。すなわち、複数台の室外ユニット10と複数台の室内ユニット20とが冷媒配管で接続されることで冷媒回路が構成されてもよい。係る場合、空調システム100において構成される冷媒系統の数は単数であってもよいし複数であってもよい。
【0218】
(7−22)変形例V
上記実施形態では、室内ユニット20は、天井に設置される天井埋込型であったが、これに限定されず、他の型式のものでもよい。例えば、室内ユニット20は、対象空間SPの内壁に設置される壁掛型、床面に設置される床置型等の空調室内機、又は床面より下方に設置される床下収納型等でもよい。
【0219】
(7−23)変形例W
上記実施形態では、「空調室内機」としての室内ユニット20は、エアコンの室内機であった。しかし、これに限定されず、室内ユニット20は、空気清浄機、換気装置、又は除湿機等、対象空間SPに設置され空気調和を行う他の装置であってもよい。また、室内ユニット20は、給湯器等、冷媒回路を含むヒートポンプ装置であってもよい。
【0220】
(7−24)変形例X
上記実施形態では、端末110は、コマンドを入力するコマンド入力手段としてタッチスクリーン111を有していた。しかし、端末110は、必ずしもタッチスクリーン111のようなコマンド入力手段を有している必要はなく、コマンドを記憶した記憶媒体からコマンドを取り込むコマンド取込部を有している場合には、コマンド入力手段については適宜省略が可能である。