特許第6299917号(P6299917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6299917
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】接続モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20180319BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20180319BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20180319BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20180319BHJP
   H01G 11/10 20130101ALN20180319BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/10 M
   H01M2/10 S
   H01M2/20 Z
   H01M2/04 A
   H01M2/34 B
   !H01G11/10
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-154127(P2017-154127)
(22)【出願日】2017年8月9日
【審査請求日】2017年10月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 克司
(72)【発明者】
【氏名】木村 成志
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−122577(JP,A)
【文献】 特開2014−007105(JP,A)
【文献】 特開2012−256538(JP,A)
【文献】 特開2017−027926(JP,A)
【文献】 特開2017−084491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/04
H01M 2/10
H01M 2/34
H01G 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する複数の蓄電素子から成る蓄電素子群に取り付けられる接続モジュールであって、
前記蓄電素子群は、一方の極性の電力を出力する第1出力電極端子と、他方の極性の電力を出力する第2出力電極端子とを含み、
当該接続モジュールは、
隣り合う前記蓄電素子の前記正極の電極端子と前記負極の電極端子とを接続する複数のバスバーと、前記複数のバスバーを保持する絶縁プロテクタと、を含むバスバー保持モジュールと、
前記バスバー保持モジュールの上方に配置される外部接続バスバー保持部と、を備え、
前記絶縁プロテクタは、前記蓄電素子あるいは前記蓄電素子に対して固定される他の部材に設けられた被固定部と結合して前記外部接続バスバー保持部を固定する固定部を含み、
前記外部接続バスバー保持部は、
一端が前記第1出力電極端子に電気的に接続され、他端に外部接続部品がボルト止めされる第1外部接続バスバーと、
一端が前記第2出力電極端子に電気的に接続され、他端に外部接続部品がボルト止めされる第2外部接続バスバーと、
前記固定部に係合する係合部と、を含み、
前記固定部は、前記係合部の係合に応じて変位して当該固定部と前記被固定部との間のクリアランスを埋める固定強化部を有する、接続モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の接続モジュールにおいて、
前記係合部は、前記外部接続バスバー保持部の底部から下方に突出する突出部によって構成され、
前記固定部は、本体部と、前記突出部が嵌合される嵌合部とを含み、
前記固定強化部は、前記本体部の底部から上方に突起し前記嵌合部を形成する突起片によって構成されている、接続モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の接続モジュールにおいて、
前記嵌合部は、前記固定部の前記本体部と前記突起片との間に形成された嵌合溝によって構成され、
前記突出部は、前記嵌合溝に嵌合する板状の形状を有し、
前記突起片は薄板状の形状を有し、側方視において前記嵌合溝の溝幅を上方に向けて拡げるように形成されている、接続モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の接続モジュールにおいて、
前記外部接続バスバー保持部は、
前記第1外部接続バスバーの前記一端を保持する第1プロテクタ部と、
前記複数の蓄電素子の並び方向と垂直方向の一端部に前記第1外部接続バスバーの前記他端を保持し、前記垂直方向の他端部に前記第2外部接続バスバーを保持する第2プロテクタ部と、を含み、
前記係合部は前記第2プロテクタ部に形成されている、接続モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の接続モジュールにおいて、
前記外部接続バスバー保持部は、前記第1外部接続バスバーを保持する中間プロテクタ部を含み、
前記第1プロテクタ部、前記第2プロテクタ部、および中間プロテクタ部は、個別の部材であり、
前記第1プロテクタ部および前記第2プロテクタ部が前記中間プロテクタ部によって結合されることによって、前記外部接続バスバー保持部は、一体化されている、接続モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、接続モジュールに関し、詳しくは、蓄電素子群の外部に電力を出力するための一対の出力電極端子に接続される外部接続バスバーを保持する外部接続バスバー保持部を備えた接続モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子群の出力電極端子に接続される外部接続バスバーとして、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1には、一対の出力電極端子が蓄電素子群の両端の蓄電素子の電極端子とされる構成の電池モジュール(蓄電モジュール)M1において、両端の蓄電素子の電極端子に接続される外部接続バスバー19Bが、記載されている。そこでは、各外部接続バスバー19Bは、樹蓄電素子の電極端子を接続するバスバー19とともに、樹脂プロテクタ20によって保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−127229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蓄電素子群の複数の蓄電素子の配列が上記特許文献1と同一である場合、言い換えれば、厚みの薄い直方体形状を成す蓄電素子が厚み方向に配列される場合において、外部接続バスバーを介しての蓄電素子群から外部機器への電力供給が、蓄電素子群の同一端側から行われる場合がある。この場合、一対の出力電極端子の一方に接続される外部接続バスバーを蓄電素子群の他端までの長い距離に亘って配設する必要がある。すなわち、長尺状の外部接続バスバーと、その長尺状の外部接続バスバーを保持する保持部材が必要とされる。
【0005】
また、各外部接続バスバーには、外部接続バスバーを蓄電素子群の電力が供給される外部機器に接続するための外部機器接続用バスバー等の外部接続部品がボルト締結されることが多い。また、外部接続バスバーの保持部材を係止する係止部材との間には製品偏差を吸収するために、所定のクリアランス(間隙)が設けられることが多い。この場合において、外部接続部品が、他方の出力電極端子に接続される外部接続バスバーにボルト止めされる際に、上記クリアランスは、保持部材にガタつき(変位)を発生させる要因となることが考えられる。言い換えれば、上記クリアランスに起因してボルトの回転に伴うトルク負荷が発生しやすくなり、発生したトルク負荷は、保持部材を介して外部接続バスバーと出力電極端子との接続部に掛かることになる。このようなトルク負荷は、外部接続バスバーと蓄電素子群の出力電極端子との接続の信頼性に影響を及ぼす虞がある。
【0006】
本明細書に開示される技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、外部接続部品とボルト止めされる外部接続バスバーと蓄電素子群の出力電極端子との接続の信頼性を維持できる接続モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される接続モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する複数の蓄電素子から成る蓄電素子群に取り付けられる接続モジュールであって、前記蓄電素子群は、一方の極性の電力を出力する第1出力電極端子と、他方の極性の電力を出力する第2出力電極端子とを含み、隣り合う前記蓄電素子の前記正極の電極端子と前記負極の電極端子とを接続する複数のバスバーと、前記複数のバスバーを保持する絶縁プロテクタと、を含むバスバー保持モジュールと、前記バスバー保持モジュールの上方に配置される外部接続バスバー保持部と、を備え、前記絶縁プロテクタは、前記蓄電素子あるいは前記蓄電素子に対して固定される他の部材に設けられた被固定部と結合して前記外部接続バスバー保持部を固定する固定部を含み、前記外部接続バスバー保持部は、一端が前記第1出力電極端子に電気的に接続され、他端に外部接続部品がボルト止めされる第1外部接続バスバーと、一端が前記第2出力電極端子に電気的に接続され、他端に外部接続部品がボルト止めされる第2外部接続バスバーと、前記固定部に係合する係合部と、を含み、前記固定部は、前記係合部の係合に応じて変位して当該固定部と前記被固定部との間のクリアランスを埋める固定強化部を有する。
本構成によれば、外部接続バスバー保持部に保持される第1および第2外部接続バスバーの他端に、外部接続部品がボルト止めされる構成において、絶縁プロテクタに設けられた固定部は、外部接続バスバー保持部に設けられた係合部の係合に応じて変位して当該固定部と被固定部との間のクリアランスを埋める固定強化部を有する。そのため、外部接続部品が第1および第2外部接続バスバーの他端にボルト止めされる際にトルク負荷が発生する場合であっても、トルク負荷による回転力によって外部接続バスバー保持部が固定部と被固定部との間のクリアランスに起因して移動することが、抑制される。それによって、トルク負荷の影響が外部接続バスバー保持部を介して第1外部接続バスバーおよび第2外部接続バスバーに及ぶことが、抑制される。その結果、外部接続部品とボルト止めされる外部接続バスバーと蓄電素子群の出力電極端子との接続の信頼性を維持できる。
なお、ここで用語「固定強化部の変位」には、固定強化部が変形すること、および固定強化部が移動すること、が含まれる。また、用語「電気的に接続される」は、外部接続バスバーと出力電極端子とが直接接続されていることと、外部接続バスバーと出力電極端子とがサブバスバー等の導電部材を介して間接的に接続されていることとを含む。
【0008】
上記接続モジュールにおいて、前記係合部は、前記外部接続バスバー保持部の底部から下方に突出する突出部によって構成され、前記固定部は、本体部と、前記突出部が嵌合される嵌合部とを含み、前記固定強化部は、前記本体部の底部から上方に突起し前記嵌合部を形成する突起片によって構成されているようにしてもよい。
本構成によれば、外部接続バスバー保持部を固定するための固定部、当該固定部に係合する外部接続バスバー保持部の係合部、および固定部の固定強化部を簡易な構成で実現できる。
【0009】
また、上記接続モジュールにおいて、前記嵌合部は、前記固定部の前記本体部と前記突起片との間に形成された嵌合溝によって構成され、前記突出部は、前記嵌合溝に嵌合する板状の形状を有し、前記突起片は薄板状の形状を有し、側方視において前記嵌合溝の溝幅を上方に向けて拡げるように形成されているようにしてもよい。
本構成によれば、固定部の嵌合部および突起片を簡易な構成で実現できる。
【0010】
また、上記接続モジュールにおいて、前記外部接続バスバー保持部は、前記第1外部接続バスバーの前記一端を保持する第1プロテクタ部と、前記複数の蓄電素子の並び方向と垂直方向の一端部に前記第1外部接続バスバーの前記他端を保持し、前記垂直方向の他端部に前記第2外部接続バスバーを保持する第2プロテクタ部と、を含み、前記係合部は前記第2プロテクタ部に形成されているようにしてもよい。
本構成によれば、第2プロテクタ部に保持される第2外部接続バスバーの他端に、外部接続部品がボルト止めされる構成において、バスバー保持モジュールの固定部に第2プロテクタ部の係合部が係合している。そのため、外部接続部品が第2外部接続バスバーの他端にボルト止めされる際にトルク負荷が発生する場合であっても、トルク負荷による回転力によって第2プロテクタ部が移動することが抑制される。それによって、トルク負荷の影響が第2プロテクタ部を介して第1外部接続バスバーおよび第2外部接続バスバーに及ぶことが、抑制される。
【0011】
また、上記接続モジュールにおいて、前記外部接続バスバー保持部は、前記第1外部接続バスバーを保持する中間プロテクタ部を含み、前記第1プロテクタ部、前記第2プロテクタ部、および中間プロテクタ部は、個別の部材であり、前記第1プロテクタ部および前記第2プロテクタ部が前記中間プロテクタ部によって結合されることによって、前記外部接続バスバー保持部は、一体化されているようにしてもよい。
本構成によれば、第1プロテクタ部、第2プロテクタ部、および中間プロテクタ部は、個別の部材で構成される。そのため、蓄電素子数が異なる蓄電素子群に対して、第1プロテクタ部と第2プロテクタ部の設計変更なしに、単に、中間プロテクタ部の長さを設計変更するだけで対応できる。
【発明の効果】
【0012】
本明細書に開示される接続モジュールによれば、外部接続部品とボルト止めされる外部接続バスバーと蓄電素子群の出力電極端子との接続の信頼性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の接続モジュールを含む蓄電モジュールの平面図
図2】蓄電モジュールの側面図
図3】蓄電素子群の平面図
図4】蓄電素子群の側面図
図5】バスバー保持モジュールの平面図
図6】バスバー保持モジュールの側面図
図7】外部接続バスバー保持部の平面図
図8】外部接続バスバー保持部の側面図
図9】蓄電モジュールに外部機器接続用バスバーがボルト止めされた状態を示す平面図
図10】蓄電モジュールに外部機器接続用バスバーがボルト止めされた状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
一実施形態を図1から図10を参照しつつ説明する。なお、図2および図10の側面図には、一部に断面図が含まれる。また、以下の説明においては、図1および図3の矢印Xで示される方向を左側とし、図1の矢印Yで示される方向を幅方向とし、図2の矢印Zで示される方向を上方として説明する。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
【0015】
本実施形態に示される蓄電モジュール100は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載されて、車両を駆動するための動力源として使用される。
【0016】
1.蓄電モジュールの構成
本実施形態の蓄電モジュール100は、図1および図2に示すように、大きくは、複数(本実施形態では9個)の蓄電素子61を並べて構成された蓄電素子群60(図3参照)、および蓄電素子群60上に取り付けられた接続モジュール1によって構成される。以下に、蓄電素子群60について、簡単に説明する。
【0017】
1−1.蓄電素子群および蓄電素子
本実施形態に係る蓄電素子61は、例えば、二次電池である。図3に示すように、複数の蓄電素子61が一列に並べられて蓄電素子群60を構成している。
【0018】
各蓄電素子61は、外形が扁平な直方体状をなしており、図3に示すように、隣接する蓄電素子61と対向する面に対して垂直な電極配置面62を有している。電極配置面62には、長手方向の両端部寄りの位置に、一対の電極端子63が配置されている。電極端子63のうち一方は正極端子63Aであり、他方は負極端子63Bである。各電極端子63は金属製であり、電極配置面62から角筒状に突出している(図4参照)。各電極端子63にはボルト82(図1参照)が結合されるボルト孔64が形成されている。
【0019】
各蓄電素子61の電極配置面62において、一対の電極端子63の近傍には、後述する第1プロテクタ部10の係止片15、および第2プロテクタ部20の係止片25A,25Bが係合する係止溝66が設けられている。係止溝66は、矩形の開口を有し、電極配置面62から凹状に窪んだ形態をなしている(図2および図3参照)。係止溝66は、各係止片15、25A,25Bを係止する係止部66Aを有する(図2参照)。各係止片15、25A,25Bが係止部66Aによって係止されることによって、外部接続バスバー保持部2が、蓄電素子群60の上部に組み付けられる。
【0020】
また、図3の右端の蓄電素子61の電極配置面62において、一対の係止溝66の近傍には、詳しくは、図3に示されるように、一対の係止溝66の電極端子63とは反対側には、後述する絶縁プロテクタ71Aの固定部75が挿入される一対の固定溝67が設けられている。固定溝67は、矩形の開口を有し、電極配置面62から凹状に窪んだ形態をなしている(図2および図3参照)。絶縁プロテクタ71Aの固定部75が固定溝67に挿入され固定溝67によって固定されることによって、絶縁プロテクタ71A、言い換えれば、外部接続バスバー保持部2が、蓄電素子群60の上部に固定される。
【0021】
複数の蓄電素子61は、隣り合う2つの蓄電素子61において、異なる極性の電極端子63が互いに隣り合うように(つまり、1つの蓄電素子61の正極端子63Aと、これと隣接する他の蓄電素子61の負極端子63Bとが互いに隣り合うように)並べられている。そして、図3に示されるように、本実施形態では、左端の蓄電素子61の負極端子63Bが負極出力端子OUTNとされ、右端の蓄電素子61の正極端子63Aが正極出力端子OUTPとされる。
【0022】
2.接続モジュール
接続モジュール1は、図1に示されるように、バスバー保持モジュール70と、外部接続バスバー保持部2を含み、蓄電素子群60の上部に取付けられる(図2参照)。
【0023】
2−1.バスバー保持モジュールの構成
バスバー保持モジュール70は、蓄電素子群60において、各蓄電素子61の電極配置面62によって構成される面に組み付けられる部材である。バスバー保持モジュール70は、図5に示されるように、2個の絶縁プロテクタ(71A,71B)、各絶縁プロテクタ(71A,71B)に保持され、隣り合う蓄電素子61の正極端子63Aと負極端子63Bとを接続する複数のバスバー80、バスバー80に重ねて配され電気的に接続される電圧検知端子(図示せず)、および電圧検知端子に接続される検知電線(図示せず)等を備える。以下において、絶縁プロテクタ(71A,71B)を区別する必要が無い場合、絶縁プロテクタ71と記す。
【0024】
バスバー80は金属板を打ち抜き加工することによって形成されており、図5に示すように、四隅が扁平な長方形状に切り欠かれた全体として略長方形の板状の部材である。バスバー80には、ボルト82(図1参照)を蓄電素子61のボルト孔64に結合させるための二個の接続孔81が形成されている。バスバー80の材質としては、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。
【0025】
本実施形態では、2個の絶縁プロテクタ71が複数の蓄電素子61の並び方向に沿って並べられている。各絶縁プロテクタ71は、合成樹脂等の絶縁部材によって構成されている。なお、絶縁プロテクタ71の数は2個に限られない。絶縁プロテクタ71の数、言い換えれば、絶縁プロテクタ71の分割数は、蓄電素子群60の大きさ、すなわち、蓄電素子61の数に応じて、適宜、決定されればよい。
【0026】
各絶縁プロテクタ71は、図5に示すように、上下方向に開口するとともにバスバー80を収容し保持する複数(本実施形態では4つ)のバスバー保持部72、および外部接続バスバー保持部2の各係止片15、25A,25Bを蓄電素子61の係止溝66に係合させるための開口部74等を備えている。バスバー保持部72は、各蓄電素子61の電極端子63に対応して、絶縁プロテクタ71の、蓄電素子の並び方向(矢印X方向)と垂直方向の両端部に分離して設けられている。分離されたバスバー保持部72は連結部77によって連結されている。
【0027】
バスバー保持部72は、バスバー80をその内側に保持して隣り合うバスバー80と絶縁状態に保持する角筒状の収容壁73を有しており、この収容壁73は、隣接する電極端子63の保護壁としても機能する。また、絶縁プロテクタ71には、隣り合う絶縁プロテクタ71と連結するための係合部78および係合受け部79が設けられている。
【0028】
また、図6に示されるように、一方の絶縁プロテクタ71Aの連結部77の両側の位置に、一対の固定部75が形成されている。各固定部75は、蓄電素子61に形成された固定溝67と結合して外部接続バスバー保持部2を固定する。そのため、図1および図2に示されるように、一対の固定部75は、絶縁プロテクタ71Aにおいて、右端の蓄電素子61に形成された一対の固定溝67(図3参照)に対応する位置に形成されている。固定部75は、図5および図6に示されるように、本体部75A、固定強化部75B、嵌合部(嵌合溝)75C、および開口部75Dを含む。なお、固定部75の形状および構成はこれに限られない。
【0029】
固定強化部75Bは、後述する外部接続バスバー保持部2の係合部(突出部)26の係合に応じて変形して当該固定部75と固定溝67との間のクリアランス68(図2参照)を埋める。固定強化部は、本実施形態では、図6に示されるように、本体部75Aの底部から上方に突起し嵌合部75Cを形成する突起片75Bによって構成されている。突起片75Bは、弾性変形する合成樹脂等の絶縁部材から成り、外部接続バスバー保持部2の突出部26の嵌合部75Cへの係合によって弾性変形する。なお、固定強化部の構成は、突起片75Bに限られない。要は、固定強化部は、係合部(突出部)26の係合に応じて変位して固定部35と被固定部(固定溝)67との間のクリアランス68を埋める構成であればよい。ここで、用語「変位」には、変形、変動、移動が含まれる。そのため、固定強化部は、係合部(突出部)26の係合に応じて移動してクリアランス68を埋める構成であってもよい。
【0030】
このように、本実施形態では、嵌合部は、本体部75Aと突起片75Bとの間に形成される嵌合溝75Cとされる。また、本実施形態では、突起片75Bは、薄板状の形状を有し、側方視において嵌合溝75Cの溝幅を上方(矢印Z方向)に向けて拡げるように形成されている(図6参照)。なお、突起片75Bの形状は、図6に示された形状に限られない。また、嵌合部の構成も嵌合溝75Cに限られない。すなわち、固定部75の形状および構成は、図6に示されたものに限られない。
【0031】
嵌合部(嵌合溝)75Cには、図2に示されるように、開口部75Dを介して外部接続バスバー保持部2の突出部26が嵌合される。その際、突起片75Bが固定溝67の壁を押圧するように変形し、固定部75と固定溝67との間のクリアランス68が埋められる。それによって、固定部75と固定溝67との結合は強化され、ひいては、絶縁プロテクタ71Aと蓄電素子61との結合が強化される。その際、外部接続バスバー保持部2と絶縁プロテクタ71Aとの結合も強化される。
【0032】
2−2.外部接続バスバー保持部の構成
外部接続バスバー保持部2は、図7に示されるように、負極外部接続バスバー40、および正極外部接続バスバー50を備える。また、外部接続バスバー保持部2は、個別に形成された第1プロテクタ部10、第2プロテクタ部20、および中間プロテクタ部30を備える。第1プロテクタ部10および第2プロテクタ部20は、中間プロテクタ部30によって連結されて、一体化されている。
【0033】
負極外部接続バスバー40は、蓄電素子群60の、外部に電力を出力するための一対の出力電極端子(OUTP、OUTN)の内、負極出力端子OUTNに接続される(図1参照)。
【0034】
負極外部接続バスバー40は、複数の蓄電素子61の並び方向(図7の矢印X方向)に延びる薄板で長尺状の形状を成す。詳しくは、負極外部接続バスバー40は、図7に示されるように、蓄電素子群60の負極出力端子OUTNに接続される第1電極接続部40A、蓄電素子群60から電力を供給される外部機器に接続される第1外部接続部40B、および第1電極接続部40Aと第1外部接続部40Bの間に位置する中間部40Cを含む。中間部40Cは、図7に示されるように、第1電極接続部40Aから第1外部接続部40Bに延伸する形状を有している。
【0035】
第1電極接続部40Aには、負極外部接続バスバー40を負極出力端子OUTNに接続するための貫通孔41が形成されている。また、第1外部接続部40Bには、負極外部接続バスバー40を外部機器接続用バスバー(「外部接続部品」の一例」)92に接続するための第1接続端子部42が鉛直方向に屈曲されて形成されている。第1接続端子部42には外部機器接続用バスバー92に接続するための貫通孔42Aが形成されている(図8参照)。
【0036】
すなわち、負極外部接続バスバー40は、図7に示されるように、複数の蓄電素子の並び方向(矢印X方向)に延びる形状を有し、その一端である第1電極接続部40Aが負極出力端子OUTN(第1出力電極端子)に接続され、その他端である第1外部接続部40Bが(詳細には、第1外部接続部40Bの第1接続端子部42)外部機器接続用バスバー92にボルト止めされる(図9参照)。負極外部接続バスバー40は、「第1外部接続バスバー」の一例である。
【0037】
正極外部接続バスバー50は、図7に示されるように、蓄電素子群60の正極出力端子OUTPに接続される第2電極接続部50A、および蓄電素子群60から電力を供給される外部機器に接続される第2外部接続部50Bを含む。第2電極接続部50Aには、正極外部接続バスバー50を正極出力端子OUTPに接続するための貫通孔51が形成されている。
【0038】
また、第2外部接続部50Bには、図8に示されるように、正極外部接続バスバー50を外部機器に接続するための第2接続端子部52が鉛直方向に屈曲されて形成されている。第2接続端子部52には外部機器接続用バスバー91に接続するための貫通孔52Aが形成されている(図8参照)。
【0039】
すなわち、第2外部接続バスバー50の一端である第2電極接続部50Aが正極出力端子OUTP(第2出力電極端子)に接続され、他端である第2外部接続部50Bが、詳細には第2外部接続部50Bの第2接続端子部52が外部機器接続用バスバー91にボルト止めされる(図9参照)。正極外部接続バスバー50は、「第2外部接続バスバー」の一例である。
【0040】
なお、これに限られず、逆に、「第1外部接続バスバー」が正極外部接続バスバーとされ、「第2外部接続バスバー」が負極外部接続バスバーとされてもよい。すなわち、蓄電素子群60の蓄電素子61の配置に応じて、第1外部接続バスバー40が正極外部接続バスバーとされ、第2外部接続バスバー50が負極外部接続バスバーとされてもよい。
【0041】
第1プロテクタ部10は、合成樹脂等の絶縁部材から成り、図7に示されるように、バスバー保持部11、第1係止部12、延設部14、および係止片15等を含む。
【0042】
バスバー保持部11は、負極外部接続バスバー40の一端である第1電極接続部40Aを絶縁保持する。詳しくは、負極外部接続バスバー40の中間部40Cの一部も保持する。
【0043】
第1係止部12は、図7に示されているように、中間プロテクタ部30の幅に対応して一対設けられており、中間プロテクタ部30を介して負極外部接続バスバー40を係止する。
【0044】
延設部14は、バスバー保持部11から負極外部接続バスバー40の中間部30Cの幅方向、言い換えれば、蓄電素子の並び方向と垂直方向に延設されており、その先端部に係止片15が形成されている。係止片15は、上記した蓄電素子61に形成された係止溝66(図2参照)と係合することによって、第1プロテクタ部10を、言い換えれば、外部接続バスバー保持部2を蓄電素子群60に結合させる。
【0045】
第2プロテクタ部20は、第1プロテクタ部10と同様に、合成樹脂等の絶縁部材から成り、図7に示されるように、第1バスバー保持部21、第2係止部22、第2バスバー保持部23、延設部24、二個の係止片25A,25B、および二個の突出部(26A,26B)等を含む。第2プロテクタ部20は、図7に示されるように、第1プロテクタ部10とは所定の間隔をおいて配置されている。
【0046】
第1バスバー保持部21は、負極外部接続バスバー40の他端部である第1外部接続部40Bを絶縁保持する。詳しくは、後述する中間プロテクタ部30を介して、負極外部接続バスバー40の中間部40Cの一部も保持する。
【0047】
第2係止部22は、図7に示されているように、中間プロテクタ部30の幅に対応して一対設けられており、中間プロテクタ部30を介して負極外部接続バスバー40を係止する。
【0048】
第2バスバー保持部23は、正極外部接続バスバー50を保持する。延設部24は、第1バスバー保持部21から負極外部接続バスバー40の中間部40Cの幅方向(図7の矢印Y方向)に延設されており、その両端部には係止片25A,25Bが形成されている。なお、各係止片25A,25Bの位置は、図7に示される位置に限られない。各係止片25A,25Bは、上記した蓄電素子61に形成された係止溝66(図2参照)と係合することによって、第2プロテクタ部20を、言い換えれば、外部接続バスバー保持部2を蓄電素子群60に結合させる。
【0049】
このように、第2プロテクタ部20は、第1プロテクタ部10と離間して配置され、複数の蓄電素子の並び方向(図7の矢印X方向)と垂直方向の一端部に負極外部接続バスバー(第1外部接続バスバー)40の他端を保持し、同垂直方向の他端部に正極外部接続バスバー(第2外部接続バスバー)50を保持する。
【0050】
また、第2プロテクタ部20は、上記した絶縁プロテクタ71Aの一対の固定部75と係合する、詳しくは、固定部75の嵌合溝75Cと嵌合する一対の突出部(「係合部」の一例)(26A、26B)を含む(図2参照)。なお、以下において、各突出部26A,26Bを区別する必要がない場合、突出部26と記す。詳しくは、一対の突出部26は、板状の形状を有し、図8に示されるように、第2プロテクタ部20(外部接続バスバー保持部)の底部から下方に突出している。
【0051】
中間プロテクタ部30は、弾性変形する合成樹脂等の絶縁部材から成り、本実施形態においては、押し出し成形によって形成される。中間プロテクタ部30は、第1プロテクタ部10と第2プロテクタ部20との間において、負極外部接続バスバー40の中間部40Cを保持する。その際、中間プロテクタ部30の端部30Aによって負極外部接続バスバー40の上面の一部を覆うようにして、負極外部接続バスバー40を保持する。中間プロテクタ部30の一端が第1係止部12によって第1プロテクタ部10に保持され、中間プロテクタ部30の他端が第2係止部22によって第2プロテクタ部20に保持されている。
【0052】
このように、第1プロテクタ部10、第2プロテクタ部20、および中間プロテクタ部30は、個別の部材で構成される。そのため、蓄電素子数が異なる蓄電素子群に対して、第1プロテクタ部10と第2プロテクタ部20の設計変更なしに、単に、中間プロテクタ部30の長さを設計変更するだけで対応できる。なお、外部接続バスバー保持部2のプロテクタ部の構成はこれに限られない。例えば、各プロテクタ部(10、20,30)は分離されず、一体化された一個のプロテクタ部として構成されてもよい。
【0053】
3.蓄電モジュールの組立方法
上述した本実施形態の蓄電モジュール100を組み立てる際には、まず、2つの絶縁プロテクタ(71A,71B)を、係合部78および係合受け部79によって互いに連結する。次に、バスバー80を各絶縁プロテクタ71のバスバー保持部72内に収容する。
【0054】
このようにして組み立てられたバスバー保持モジュール70は、蓄電素子群60の電極配置面62に載置される。その際、絶縁プロテクタ71Aの一対の固定部75を、右端の蓄電素子61の電極配置面62に形成された一対の固定溝67に嵌め込む。次いで、ボルト82を、バスバー80の接続孔81を介して蓄電素子61のボルト孔64と結合させる。これによって、隣り合う蓄電素子61の正極端子63Aと負極端子63Bとが接続されるとともに、バスバー保持モジュール70が蓄電素子群60に取付けられる。
【0055】
次いで、負極外部接続バスバー40および正極外部接続バスバー50が取付けられた状態の外部接続バスバー保持部2を、バスバー保持モジュール70の上方から蓄電素子群60に取付ける。その際、外部接続バスバー保持部2の各係止片15、25A,25Bを、バスバー保持モジュール70の開口部74を介して、蓄電素子61の係止溝66に係合させる。その際、外部接続バスバー保持部2の第2プロテクタ部20の一対の突出部26を、絶縁プロテクタ71Aに形成された固定部75の開口部75Dを介して固定部75の嵌合溝75Cに嵌め込む。それによって、第2プロテクタ部20が絶縁プロテクタ71Aに係合される。
【0056】
すなわち、外部接続バスバー保持部2がバスバー保持モジュール70に係合されるとともに、蓄電素子群60に固定される。その際、突起片75Bが固定溝67の壁を押圧するように変形し、固定部75と固定溝67との間のクリアランス68を埋める(図10参照)。すなわち、製品偏差の吸収のために設けられたクリアランス68によって固定部75の固定溝67への挿入が容易とされるとともに、クリアランス68が突出部26および突起片75Bによって塞がれることによって、外部接続バスバー保持部2の蓄電素子群60への固定が強化される。なお、負極外部接続バスバー40を外部接続バスバー保持部2に取付ける前に、負極外部接続バスバー40の中間部40Cに、中間プロテクタ部30が取付けられる。
【0057】
また、ボルト82を、負極外部接続バスバー40の貫通孔41を介して、蓄電素子群60の負極出力端子OUTNのボルト孔64と結合させるとともに、ボルト82を、正極外部接続バスバー50の貫通孔51を介して、蓄電素子群60の正極出力端子OUTPのボルト孔64と結合させる。これによって、外部接続バスバー保持部2が、バスバー保持モジュール70の上から蓄電素子群60に取付けられる。このようにして、図1に示すような蓄電モジュール100が完成する。
【0058】
この蓄電モジュール100には、さらに、図9および図10に示されるように、第1接続端子部42には外部機器接続用バスバー92が、第2接続端子部52には外部機器接続用バスバー91が、それぞれボルト95によってボルト止めされる(図10参照)。その際、外部接続バスバー保持部2の蓄電素子群60への固定が強化されているため、ボルト止めの際のトルクの影響が長尺状の第1外部接続バスバー40の第1電極接続部40Aおよび第2外部接続バスバー50の第2電極接続部50Aに及ぶことが、抑制される。
【0059】
4.実施形態の効果
上記実施形態では、第2プロテクタ部20に保持される第1および第2外部接続バスバー40、50の他端に、外部機器接続用バスバー(外部接続部品)91、92がボルト止めされる構成において、絶縁プロテクタ71Aに設けられた固定部75は、突起片(固定強化部)75Bを有する。突起片75Bは、外部接続バスバー保持部2に設けられた、詳しくは、外部接続バスバー保持部2の第2プロテクタ部20に設けられた一対の突出部(係合部)26の係合に応じて変形して、固定部75と固定溝(被固定部)67との間のクリアランス68を埋める。それによって、第2プロテクタ部20は絶縁プロテクタ71Aを介して蓄電素子61に固定される。
【0060】
そのため、外部機器接続用バスバー91、92が第1および第2外部接続バスバー40、50の他端にボルト止めされる際にトルク負荷が発生する場合であっても、トルク負荷による回転力によって外部接続バスバー保持部2が、固定部75と固定溝67との間のクリアランス68に起因して移動することが抑制される。特に、外部接続バスバー保持部2の幅方向(図10の矢印Y方向)の移動(ガタつき)が抑制される。それによって、トルク負荷の影響が外部接続バスバー保持部2を介して長尺状の第1外部接続バスバー40の第1電極接続部40A、および第2外部接続バスバー50の第2電極接続部50Aに及ぶことが、抑制される。それによって、外部接続部品とボルト止めされる、第1外部接続バスバー40と負極出力端子(出力電極端子)OUTN(63B)との接続、および第2外部接続バスバー50と正極出力端子(出力電極端子)OUTP(63A)との接続の信頼性を維持できる。
【0061】
より詳細には、ボルト止めされる際のボルト95の回転に伴って発生するトルク負荷(図10参照)によって、第2プロテクタ部20の第1バスバー保持部21および第2バスバー保持部23に回転力が働くこととなる。そのため、固定部75および突出部(係合部)26が設けられていない場合、その回転力によって第1バスバー保持部21および第2バスバー保持部23が、図10の矢印Y方向にガタつく(矢印Y方向に変位する)ことも考えられる。第2プロテクタ部20が矢印Y方向に変位すると、それに伴って、正極外部接続バスバー50および負極外部接続バスバー40に矢印Y方向の力が加わることとなる。そして、その力が、正極外部接続バスバー50と正極出力端子OUTP(63A)との第2電極接続部50A、および負極外部接続バスバー40と負極出力端子OUTN(63B)との第1電極接続部40Aに加わることとなる。その際、正極外部接続バスバー50の長さは、負極外部接続バスバー40の長さに比べて短いため、正極外部接続バスバー50の第2電極接続部50Aに加わる力の方が大きい。それによって、特に第2電極接続部50Aの信頼性に影響が及ぶことが、懸念される。
しかしながら、本実施形態によれば、一対の固定部75および一対の突出部26によって外部接続バスバー保持部2の蓄電素子群60への固定が強化されている。そのため、第1バスバー保持部21および第2バスバー保持部23の移動が抑制されることによって、ボルト止めに起因する力が、負極外部接続バスバー40と負極出力端子OUTNとの第1電極接続部40Aおよび正極外部接続バスバー50と正極出力端子OUTP(63A)との第2電極接続部50Aに加わることとが、抑制される。
【0062】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0063】
(1)上記実施形態では、絶縁プロテクタ71Aの固定部75と結合する被固定部が蓄電素子61に設けられた固定溝67によって構成される例を示したがこれに限られない。被固定部は、前記蓄電素子に対して固定される他の部材、例えば、蓄電素子群60上に固定して設けられる電池カバー等に設けるようにしてもよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、外部接続バスバー保持部2は、第1プロテクタ部10、第2プロテクタ部20、および中間プロテクタ部30を含み、係合部(突出部)26が第2プロテクタ部20の二か所に形成されている例を示したが、これに限られない。例えば、突出部26は、第1プロテクタ部10の延設部14にも設けられ、それに対応して、絶縁プロテクタ71Bにも固定部75を設けるようにしてもよい。あるいは、第1プロテクタ部10および第2プロテクタ部20に各一個の突出部26が設けられるようにしてもよいし、第2プロテクタ部20の三か所に設けられるようにしてもよい。
また、外部接続バスバー保持部2は、中間プロテクタ部30を介して分離された第1および第2プロテクタ部(10、20)ではなく、一体化された一個のプロテクタ部によって構成されるようにしてもよい。あるいは、中間プロテクタ部30に相当する部分を第1または第2プロテクタ部に含むようにして、外部接続バスバー保持部2を、第1プロテクタ部10と第2プロテクタ部20によって構成するようにしてもよい。さらには、第2プロテクタ部を二つに分割して、計4個のプロテクタ部を外部接続バスバー保持部2が含むようにしてもよい。
【0065】
(3)上記実施形態では、バスバー80の蓄電素子61の電極端子63への接続、負極外部接続バスバー40の負極出力端子OUTN(63B)への接続、および正極外部接続バスバー50の正極出力端子OUTP(63A)への接続は、ボルト82を用いたボルト止めによって行われる例を示したが、これに限られない。各接続は、例えば、レーザ溶接によって行われてもよい。その場合、各ボルト止め用の貫通孔は省略される。この場合であっても、長尺状の外部接続バスバーと蓄電素子群の出力電極端子との接続の信頼性を維持できる。
また、各外部接続バスバーと各出力端子との接続は、直接接続されていることに限られず、サブバスバー等の導電部材を介して間接的に接続されていてもよい。要は、各外部接続バスバーと各出力端子とは、電気的に接続されていればよい。
【0066】
(4)上記実施形態では、負極外部接続バスバー(第1外部接続バスバー)40は、長尺状の形状として、複数の蓄電素子61の並び方向に延びる形状を成す例を示したが、これに限られない。負極外部接続バスバーは、例えば、複数の蓄電素子61の並び方向と垂直方向に延びる形状であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…接続モジュール
2…外部接続バスバー保持部
10…第1プロテクタ部
20…第2プロテクタ部
26…突出部(係合部)
30…中間プロテクタ部
40…負極外部接続バスバー(第1外部接続バスバー)
50…正極外部接続バスバー(第2外部接続バスバー)
60…蓄電素子群
61…蓄電素子
63…電極端子
63A…正極端子
63B…負極端子
67…固定溝(被固定部)
68…クリアランス
70…バスバー保持モジュール
71、71A、71B…絶縁プロテクタ
75…固定部
75A…固定部の本体部
75B…突起片(固定強化部)
75C…嵌合溝(嵌合部)
91、92…外部機器接続用バスバー(外部接続部品)
OUTN…負極出力端子(第1出力電極端子)
OUTP…正極出力端子(第2出力電極端子)
【要約】
【課題】外部接続部品がボルト止めされる外部接続バスバーと蓄電素子群の出力電極端子との接続の信頼性を維持できる接続モジュールを提供する。
【解決手段】接続モジュール1は、絶縁プロテクタ71を含むバスバー保持モジュール70と、バスバー保持モジュール70の上方に配置される外部接続バスバー保持部2とを備える。絶縁プロテクタ71は、蓄電素子61あるいは他の部材に設けられた被固定部67と結合して外部接続バスバー保持部2を固定する固定部75を含む。外部接続バスバー保持部2は、外部接続部品がボルト止めされる、第1外部接続バスバー40および第2外部接続バスバー50と、固定部75に係合する係合部26とを含む。固定部75は、係合部26の係合に応じて変位して当該固定部75と被固定部67との間のクリアランス68を埋める固定強化部75Bを有する。
【選択図】図2
図1
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図6
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図9
図10