特許第6299918号(P6299918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6299918
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20180319BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/10 M
   H01M2/20 Z
   H01M2/20 A
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-157397(P2017-157397)
(22)【出願日】2017年8月17日
【審査請求日】2017年10月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 克司
(72)【発明者】
【氏名】望月 光一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 哲也
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−243412(JP,A)
【文献】 特開2016−201179(JP,A)
【文献】 特開2015−049931(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/144542(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/099062(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子を並べてなる蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、
前記複数の蓄電素子同士を電気的に接続するバスバーと、
前記バスバーを収容し前記蓄電素子群に載置される絶縁プロテクタと、
前記バスバー側から前記絶縁プロテクタの外部に延出される電線と、
前記電線の前記絶縁プロテクタから延出された延出端部に設けられたコネクタと、
前記絶縁プロテクタに設けられ前記コネクタを着脱可能に保持するコネクタ保持部と、を備える配線モジュール。
【請求項2】
前記コネクタには、前記コネクタの挿入方向に対して交差する方向に撓み可能な弾性片が設けられ、
前記コネクタ保持部には、前記コネクタが前記コネクタ保持部に保持された状態において前記弾性片が保持される保持孔と、前記コネクタを前記コネクタ保持部から離脱させるに伴って前記弾性片と摺動し前記弾性片を撓ませる内部テーパ面が連続して設けられた請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記コネクタ保持部は、前記コネクタの挿入方向と交差する方向に突出し、その突出端部が前記コネクタを押圧する突出壁部を備える請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記コネクタ保持部は、
前記コネクタ保持部に挿入された前記コネクタの後端部に後方から係止することで前記コネクタが前記コネクタ保持部から脱落することを防止する脱落防止部と、
前記脱落防止部に連なって設けられ、前記脱落防止部による係止状態を解除可能なつまみ片と、
を備える請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項5】
前記突出壁部は、前記コネクタ保持部のうち前記コネクタの挿入方向における一部分に設けられる請求項3に記載の配線モジュール。
【請求項6】
前記コネクタ保持部は、前記コネクタを受け入れるための受入口を備え、前記突出壁部は前記受入口の近傍に配されている請求項5に記載の配線モジュール。
【請求項7】
前記絶縁プロテクタの一壁部には前記電線を外部に延出させる電線延出口が設けられ、
前記コネクタ保持部は、前記一壁部において前記電線延出口から遠い端部に設けられた請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項8】
前記絶縁プロテクタには前記電線を外部に延出させる電線延出口が設けられ、
前記コネクタ保持部は、前記電線延出口と隣接して設けられた請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項9】
前記コネクタは、相手方端子が挿入される挿入孔と、前記挿入孔の内部に設けられた端子と、を備え、
前記コネクタ保持部は、前記挿入孔を外方から隔離する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項10】
前記コネクタ保持部へ前記コネクタを挿入する方向を挿入方向とした場合に、前記電線は、前記コネクタから前記挿入方向とは反対方向に引き出されている請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項11】
前記コネクタ保持部へ前記コネクタを挿入する方向を挿入方向とした場合に、前記挿入方向は、前記絶縁プロテクタを前記蓄電素子群から離間させる方向とは交差する請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電素子を備える蓄電ユニットに載置され各蓄電素子間を接続するための配線モジュールとして、特許文献1のものが知られている。この配線用モジュールにおいては、樹脂プロテクタ内に複数のバスバーを収容するとともに、各バスバーから延出する電線を樹脂プロテクタの一端側から一束にまとめて延出させ、その先端に外部機器と接続するためのコネクタを配している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−9646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしこの構成では、コネクタを外部機器と接続しない状態においては、コネクタが樹脂プロテクタの外部において電線の先端にぶら下がり、他部品と干渉するおそれがある。これを防ぐ方法としては、例えば樹脂プロテクタにコネクタを粘着テープ等を用いて仮保持しておくことが考えられる。
【0005】
しかしこの場合、コネクタを外部機器と接続する際に粘着テープを除去するという手間を要し、しかも除去したテープがごみとなって接続作業の妨げとなることが懸念される。
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コネクタが外部機器に接続されない状態において他部品と干渉するおそれのない配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術に係る配線モジュールは、複数の蓄電素子を並べてなる蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、前記複数の蓄電素子同士を電気的に接続するバスバーと、前記バスバーを収容し前記蓄電素子群に載置される絶縁プロテクタと、前記バスバー側から前記絶縁プロテクタの外部に延出される電線と、前記電線の前記絶縁プロテクタから延出された延出端部に設けられたコネクタと、前記絶縁プロテクタに設けられ前記コネクタを着脱可能に保持するコネクタ保持部と、を備える。
【0007】
この構成によれば、コネクタをコネクタ保持部において着脱可能に保持できるから、コネクタが検知電線の延出端部にぶら下がって他部材と干渉することを防ぐことができる。
【0008】
本明細書に開示された技術に係る実施態様として、次の構成が好ましい。
【0009】
(1)前記コネクタには、前記コネクタの挿入方向に対して交差する方向に撓み可能な弾性片が設けられ、前記コネクタ保持部には、前記コネクタが前記コネクタ保持部に保持された状態において前記弾性片が保持される保持孔と、前記コネクタを前記コネクタ保持部から離脱させるに伴って前記弾性片と摺動し前記弾性片を撓ませる内部テーパ面が連続して設けられている。
【0010】
この構成によれば、コネクタの弾性片が保持孔に係止することでコネクタ保持部内に保持されるとともに、コネクタがコネクタ保持部から離脱される際には内部テーパ面に摺動しながら次第に撓む。したがって、コネクタを引くだけでコネクタをコネクタ保持部から取り外すことができ、取り外し作業が容易である。
【0011】
(2)前記コネクタ保持部は、前記コネクタの挿入方向と交差する方向に突出し、その突出端部が前記コネクタを押圧する突出壁部を備える。
【0012】
この構成によれば、コネクタのハウジングを突出壁部によって押圧するから、例えば突出壁部がない場合と比較して、配線モジュールを傾けるなどした場合にもコネクタ保持部からコネクタが滑落しにくい。また、コネクタ保持部に突出壁部を設けるだけでコネクタを保持できるから、コネクタ保持部の構造や抜き取り操作をシンプルにすることができる。
【0013】
(3)前記コネクタ保持部は、前記コネクタ保持部に挿入された前記コネクタの後端部に後方から係止することで前記コネクタが前記コネクタ保持部から脱落することを防止する脱落防止部と、前記脱落防止部に連なって設けられ、前記脱落防止部による係止状態を解除可能なつまみ片と、を備える。
【0014】
この構成によれば、コネクタの後端部には脱落防止部が後方から係止するから、コネクタがコネクタ保持部から脱落することを防ぐことができる。また、コネクタをコネクタ保持部から引き抜く際にはつまみ片を操作することで保持凹部から引き抜き可能な状態とすることができるから、例えば作業者が厚手のグローブ等を着用しているときにも、厚手のグローブ越しにつまみ片を操作することができ、引き抜き作業が容易となる。
【0015】
(4)前記突出壁部は、前記コネクタ保持部のうち前記コネクタの挿入方向における一部分に設けられる。
【0016】
突出壁部が、例えばコネクタの挿入方向に延びる形状とされた場合には、コネクタに対して適切な押圧力を得るための精確な寸法管理がコネクタの挿入方向全域に亘って必要となる。これに対し、上記の構成によれば、突出壁部はコネクタ保持部のうちコネクタの挿入方向における一部分に設けられるから、この部分さえ精確な寸法管理をすればよく、したがって製造が容易となる。
【0017】
(5)前記コネクタ保持部は、前記コネクタを受け入れるための受入口を備え、前記突出壁部は前記受入口の近傍に配されている。
【0018】
この構成によれば、突出壁部は受入口の近傍に配されているから、例えば突出壁部がコネクタ保持部の奥に設けられる場合や、またはコネクタ保持部全体でコネクタを押圧する場合よりもコネクタ保持部自体が弾性的に拡径変形しやすく、したがってコネクタを挿入しやすくなる。
【0019】
(6)前記絶縁プロテクタの一壁部には前記電線を外部に延出させる電線延出口が設けられ、前記コネクタ保持部は、前記一壁部において前記電線延出口から遠い端部に設けられている。
【0020】
この構成によれば、コネクタ保持部は電線延出口と同じ一壁部に設けられ、かつ当該壁部のうち電線延出口から遠い端部に設けられているから、電線延出口から延出しコネクタ保持部に向かって曲げられる電線の曲げ半径を大きくとることができる。これにより、電線の曲げ反力が小さくなり、電線の延出端部に設けられたコネクタのコネクタ保持部に対する組付作業が容易になる。
【0021】
(7)前記絶縁プロテクタには前記電線を外部に延出させる電線延出口が設けられ、前記コネクタ保持部は、前記電線延出口と隣接して設けられている。
【0022】
この構成によれば、電線延出口から延出しコネクタ保持部に向かって曲げられる電線の曲げ半径を小さくすることができる。したがって、絶縁プロテクタの外部における電線の専有面積が少なくて済み、省スペース化できる。
【0023】
(8)前記コネクタは、相手方端子が挿入される挿入孔と、前記挿入孔の内部に設けられた端子と、を備え、前記コネクタ保持部は、前記挿入孔を外方から隔離する。
【0024】
この構成によれば、コネクタの挿入孔はコネクタ保持部に保持された状態において外方から隔離されるから、作業者や工具が誤って端子に接触することを防ぐことができる。なお、「外方から隔離する」とは、挿入孔を全面的に遮蔽する構成に限らず、例えば挿入孔と、それと対向するコネクタ保持部の奥面との間に間隙を設ける構成でもよいし、挿入孔の一部のみを覆い、その他の部分を外方に臨ませる構成でもよい。要は、挿入孔内に作業者の指や工具などが誤って挿入されない程度に、コネクタ保持部が外方と挿入孔との間に介在すればよい。
【0025】
(9)前記コネクタ保持部へ前記コネクタを挿入する方向を挿入方向とした場合に、前記電線は、前記コネクタから前記挿入方向とは反対方向に引き出されている。
【0026】
この構成によれば、コネクタ保持部にコネクタを挿入するために必要なスペースと、コネクタ保持部から延出した電線の専有スペースとを兼ねることができるから、コネクタ保持部にコネクタを挿入するために必要なスペースをわざわざ設ける必要がなく、その分だけ省スペース化できる。
【0027】
(10)前記コネクタ保持部へ前記コネクタを挿入する方向を挿入方向とした場合に、前記挿入方向は、前記絶縁プロテクタを前記蓄電素子群から離間させる方向とは交差している。
【0028】
この構成によれば、コネクタは絶縁プロテクタを蓄電素子群から離間させる方向とは交差する方向にコネクタ保持部から引き抜かれるから、コネクタをコネクタ保持部から引き抜く際に接続導体と電極との接続状態に影響を及ぼすことがない。
【発明の効果】
【0029】
本明細書に開示された技術によれば、コネクタが外部機器に接続されない状態において他部品と干渉するおそれのない配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態1の配線モジュールを示す上面図
図2】絶縁プロテクタおよびバスバーを示す上面図
図3】絶縁プロテクタを示す背面図
図4】配線モジュールを示す上面図
図5図4のA−A断面図
図6】配線モジュールを示す背面図
図7】実施形態2の絶縁プロテクタおよびバスバーを示す上面図
図8】絶縁プロテクタを示す背面図
図9】配線モジュールを示す上面図
図10図9のB−B断面図
図11】配線モジュールを示す側面図
図12図11のC−C断面図
図13】実施形態3の絶縁プロテクタおよびバスバーを示す上面図
図14】絶縁プロテクタを示す背面図
図15】配線モジュールを示す断面図
図16】実施形態3の変形例を示す断面図
図17】実施形態4の配線モジュールを示す上面図
図18図17のD−D断面図
図19】絶縁プロテクタおよびバスバーを示す上面図
図20】絶縁プロテクタを示す背面図
図21】絶縁プロテクタの断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術に係る実施形態1を、図1から図6によって説明する。
【0032】
本実施形態の配線モジュール1は、リチウムイオン電池等の複数の蓄電素子80を並べた蓄電素子群BUに装着される。蓄電素子群BUは、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載されて、走行用の電源として使用される。以下では、図示におけるY方向を前方、X方向を右方、Z方向を上方として説明する。また、以下の説明においては、複数の同一部材については一の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略することがある。また以下の説明においては、複数の同一部材については一の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略することがある。
【0033】
蓄電素子群BUは、正負極が互い違いになるように前後方向に一列に並んだ複数の蓄電素子80を備えている。各蓄電素子80は、蓄電要素が収容された扁平な直方体状の本体部と、電極81と、を備える。電極81は、本体部から突出する角柱部81Aと、角柱部81Aから突出し周囲にねじ溝の切られた円柱部81Bと、を備える。各蓄電素子80は各電極81を上面に並べて配され、後述のバスバー40により電気的に接続されている。なお蓄電素子80は、電池、キャパシタ、燃料電池のいずれであってもよい。
【0034】
配線モジュール1は、図1に示すように、絶縁プロテクタPと、複数のバスバー40と、複数の検知電線60と、複数の検知端子50と、コネクタ70と、コネクタ保持部30と、により構成されている。コネクタ保持部30は後述するとおり、絶縁プロテクタPと一体に設けられている。
【0035】
絶縁プロテクタPは絶縁性の合成樹脂材から形成され、全体として上下に扁平な直方体形状をなしている。絶縁プロテクタPは、図1に示すように、バスバー40を収容する端子金具収容部10と、バスバー40から延出する検知電線60を収容する電線収容部20と、後端に設けられた後壁13(一壁部の一例)を備えて、蓄電素子群BUの上面に載置されている。
【0036】
端子金具収容部10は、図1に示すように、絶縁プロテクタPのうち右側および左側に1列ずつ設けられ、各列毎に、バスバー40を載置するための載置面11と、前壁12と、後壁13と、左右側壁14と、を備えている。各端子金具収容部10R,10Lは、左右に延びる複数の仕切り壁15によって前後に並ぶ複数の区画に仕切られている。各区画の載置面11には、図2に示すように、一対の電極挿通孔16が前後に並んで設けられている。各電極挿通孔16は上下に貫通し、各蓄電素子80の電極81の角柱部81Aよりも僅かに大きい長方形状をなしている。各電極挿通孔16には、電極81の角柱部81Aが挿通され、上方に突出している。各電極挿通孔16は、各端子金具収容部10毎に前後方向に一直線上に並んで配されている。
【0037】
電線収容部20は両端子金具収容部10R,10Lの間に設けられ、図1および図3に示すように、絶縁プロテクタPの前端から後端に亘り角樋形状に形成されている。なお端子金具収容部10のうち電線収容部20側の側壁14には、各区画毎に上方から切り欠いた形状の連通孔17が形成されている。
【0038】
各バスバー40は、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電金属板から形成され、図2に示すように、前後に長い長方形状をなしている。各バスバー40の前後両端近傍には、円形または前後に長い長円形の貫通孔41が上下に貫通して設けられている。
【0039】
各バスバー40は端子金具収容部10の各区画において、各貫通孔41に各電極81の円柱部81Bが挿通され角柱部81Aに載置されるとともに、ナットNを上方から円柱部81Bに締結すること固定された状態で収容されている。すなわち、バスバー40は蓄電素子80に対して絶縁プロテクタPを介して上方から装着されており、絶縁プロテクタPが蓄電素子80から上方に離間されるとバスバー40と蓄電素子80との接続が切断されるようになっている。各バスバー40と、各区画の仕切り壁15および各側壁14との間のクリアランスは、各バスバー40を各区画内に収容するための最小限度とされている。
【0040】
各端子金具収容部10にはさらに、薄い金属材から形成された検知端子50が収容されている。検知端子50は、図4に示すように、端子本体51と、端子本体51に設けられたバスバー40の貫通孔41と同程度の寸法の孔部52と、端子本体51から延出する圧着部53を備えている。端子本体51はバスバー40に重ねて配され、孔部52にはバスバー40の貫通孔41の一つから突出した電極81の(円柱部81B)が挿通され、圧着部53は各区画の連通孔17から電線収容部20側に延出して配されている。
【0041】
検知端子50の孔部52から突出した電極81(円柱部81B)にはナットNが上方から螺合され、検知端子50を上方から押圧している。これにより、バスバー40および検知端子50は、電気的な接続を切断する方向(上方)への変位が抑制された状態で、電極81に対して電気的に接続されている。
【0042】
各検知電線60は導体部の周囲を絶縁被覆(絶縁層)で覆った絶縁電線であり、一端61において絶縁被覆が剥ぎ取られて、検知端子50の圧着部53に加締め圧着されている。検知端子50の圧着部53から延出した検知電線60は、図1に示すように、電線収容部20内において後方に曲げられ、電線収容部20の後壁13の左右方向における中央に形成された電線延出口21から外方に延出している。なお、図示においては絶縁プロテクタPから延出した検知電線60は絶縁被覆が露出した状態を模式的に示しているが、絶縁プロテクタPから延出した検知電線60を一つの束に束ね、保護部材で覆ってもよい。
【0043】
コネクタ70は、図1および図6に示すように、検知電線60の延出端部62(絶縁プロテクタPの電線延出口21から外方に延出した側の端部)に設けられている。コネクタ70は、図5に示すように、扁平な直方体形状のハウジング71と、雌端子72と、弾性片73と、を備えている。ハウジング71には、前方に開口する挿入孔74が設けられ、前方が保持凹部31への挿入方向となっている。また、ハウジング71の後方からは、検知電線60が引き出されている。雌端子72は挿入孔74内に配されて、ハウジング71内において検知電線60(延出端部62)と接続されている。弾性片73は前端を基端73A、斜め上方に突出する後端を自由端73Bとする片持ちばね形状をなして、ハウジング71の上面側に設けられている。基端73Aはハウジング71の上面よりも下に配され、自由端73Bはハウジング71の上面よりも上方に突出し、下方(コネクタ保持部30への挿入方向に対して交差する方向)に撓み可能となっている。
【0044】
なお、コネクタ70は図示しない外部のECU(Electronic Control Unit)に接続されるためのものである。ECUは、マイクロコンピュータ、電子部品等が搭載されたものであって、各蓄電素子80の電圧・電流・温度等の検知、各蓄電素子80の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。コネクタ70は、弾性片73が図示しない相手方コネクタに設けられたロック部に係止することで相手方コネクタと嵌合状態にロックされるとともに、図示しない相手方端子が挿入孔74内に挿入されて相手方コネクタと接続されるようになっている。
【0045】
さて、前述のとおり、絶縁プロテクタPには、相手方コネクタに接続されない状態のコネクタ70を保持するためのコネクタ保持部30が設けられている。コネクタ保持部30は、図1から図5に示すように、上下に扁平な直方体形状をなして絶縁プロテクタPと一体に形成され、左側の端子金具収容部10Lの後壁13A(絶縁プロテクタPの後壁13において、電線延出口21から遠い端部13A)から後方に突出している。
【0046】
コネクタ保持部30は、後方(絶縁プロテクタPから側方に離間する方向)に開口する保持凹部31を備えるとともに、上方開口32と、第1作業口33と、第2作業口34と、を備えている。
【0047】
保持凹部31は、左右方向における中心線が端子金具収容部10L内に挿通された各蓄電素子80の円柱部81Bの軸心を結ぶ直線と同一線上に位置するように配されている。保持凹部31の高さ寸法は、コネクタ70のハウジング71の高さ寸法と同程度である。保持凹部31の深さ寸法(前後方向における長さ寸法)は、コネクタ70の前後寸法よりも小寸となっている。なお、保持凹部31の開口は、コネクタ70を受け入れるための受入口31Eとなっている。すなわち、絶縁プロテクタPが蓄電素子80から上方に離間されるとバスバー40と蓄電素子80との接続が切断されるようになっているところ、コネクタ保持部30においては、絶縁プロテクタPを蓄電素子群BUから離間させる方向とは直交する方向がコネクタ70の挿入方向とされている。
【0048】
上方開口32(保持孔の一例)は、コネクタ保持部30の保持上面31Uにおいて前後方向における中央を長方形状に開口して形成され、保持凹部31の内部空間の中央部分を全幅に亘って上方に連通させている。上方開口32の開口後縁は、垂直面32Aと、垂直面32Aと連続して設けられ、保持凹部31の内部空間側を斜めに切り落とした形状の前方から後方に向かって下がり勾配となる内部テーパ面32Bと、を備えている。側面視における垂直面32Aの下端(内部テーパ面32Bの上端)から支持板部35の上面までの高さ寸法は、弾性片73も含めたコネクタ70全体の高さ寸法よりも大寸となっている。
【0049】
第1作業口33は、コネクタ保持部30のうち前側(端子金具収容部10Lに近い側)を下方に開口して形成され、保持凹部31の内部空間を下方に連通させている。第2作業口34は、コネクタ保持部30のうち後端(端子金具収容部10Lから遠い側)を下方に開口して形成され、保持凹部31の内部空間を下方に連通させている。言い換えれば、保持凹部31は、両保持側面31Sを前後方向における中央において連結する支持板部35を残して、下方に開放された形状となっている。
【0050】
コネクタ70は、支持板部35により支持され、保持凹部31の保持上面31U、両保持側面31S、および保持奥面31A(すなわち端子金具収容部10の後壁13Aの外面)により上方、側方、および前方への変位が規制されるとともに、弾性片73の自由端73Bが上方開口32の内部テーパ面32Bに当接または対向することで後方への変位が規制された状態で、保持凹部31内に保持されている。
【0051】
この状態において、挿入孔74の開口端部には保持凹部31の保持奥面31Aが当接または対向し、挿入孔74を外方から隔離している。また、この状態において、絶縁プロテクタPから延出した検知電線60は、図1及び図6に示すように、水平視において絶縁プロテクタPの厚み範囲内に配され、上面視において全体として180度屈曲した状態で保持されている。
【0052】
なお、「外方から隔離する」とは、挿入孔を全面的に遮蔽する構成に限らず、例えば挿入孔と保持奥面との間に間隙を設ける構成でもよいし、挿入孔の一部のみを覆い、その他の部分を外方に臨ませる構成でもよい。要は、挿入孔内に作業者の指や工具などが誤って挿入されない程度に、保持凹部31が外方と挿入孔との間に介在すればよい。
【0053】
コネクタ保持部30にコネクタ70を保持させるには、コネクタ70の挿入孔74の開口をコネクタ保持部30の保持凹部31の受入口31Eと対向させ、コネクタ70の上面および両側面を各々保持凹部31の保持上面31Uおよび左右の保持側面31Sに沿わせつつ、保持凹部31の保持奥面31A(前方)に向かって進入させる。すると、コネクタ70の弾性片73は保持凹部31の保持上面31Uが相対的に摺動することにより弾性的に下方へ押し込まれた状態で保持凹部31内を進入した後、その自由端73Bが上方開口32の内部テーパ面32Bに沿って上方に弾性復帰し、やがて完全に弾性復帰して内部テーパ面32Bと当接または対向し、弾性片73が上方開口32の上端より下方に配置された状態となる。これとともに、コネクタ70の挿入孔74の開口端部が保持凹部31の保持奥面31Aに後方から突き当たって外方から隔離された状態となる。これにより、コネクタ70は保持凹部31内に保持された状態となる。
【0054】
コネクタ70をコネクタ保持部30から取り外すには、コネクタ保持部30の上方開口32から工具などを差し込み、弾性片73を下方へ押し込みつつ、保持凹部31から露出しているコネクタ70の後端を掴んで後方へ引く。この際、さらに第1作業口33から保持凹部31の保持奥面31Aとコネクタ70との間に工具を差し込み、抉る等してコネクタ70を後方へ変位させてもよい。すると、弾性片73が上方開口32の垂直面32Aよりも後方に変位したところで、保持凹部31の内部テーパ面32Bおよびそれに続く保持上面31Uが弾性片73に対して相対的に摺動し、弾性片73を下方へ撓ませる。そして、コネクタ70をさらにそのまま後方へ変位させると、コネクタ70は保持凹部31の受入口31Eより引き抜かれ、コネクタ保持部30から離脱した状態となる。
【0055】
上記の構成によれば、コネクタ70をコネクタ保持部30において着脱可能に保持できるから、コネクタ70が検知電線60の延出端部にぶら下がって他部材と干渉することを防ぐことができる。
【0056】
また、コネクタ70の弾性片73が保持孔32に係止することで保持部凹部31内に保持されるとともに、コネクタ70が保持凹部31から離脱される際には内部テーパ面32Bに摺動しながら次第に撓む。したがって、コネクタ70を引くだけでコネクタ70を保持凹部31から取り外すことができ、取り外し作業が容易である。
【0057】
また、コネクタ保持部30は電線延出口21と同じ一壁部13に設けられ、かつ当該壁部13のうち電線延出口21から遠い端部13Aに設けられているから、電線延出口21から延出しコネクタ保持部30に向かって曲げられる電線60の曲げ半径を大きくとることができる。これにより、電線60の曲げ反力が小さくなり、電線60の延出端部に設けられたコネクタ70のコネクタ保持部30に対する組付作業が容易になる。
【0058】
また、コネクタ70の挿入孔74はコネクタ保持凹部31内に保持された状態において外方から隔離されるから、作業者や工具が誤って雌端子に接触することを防ぐことができる。なお、「外方から隔離する」とは、挿入孔を全面的に遮蔽する構成に限らず、例えば挿入孔と保持奥面との間に間隙を設ける構成でもよいし、挿入孔の一部のみを覆い、その他の部分を外方に臨ませる構成でもよい。要は、挿入孔内に作業者の指や工具などが誤って挿入されない程度に、保持凹部が外方と挿入孔との間に介在すればよい。
【0059】
また、保持凹部31にコネクタ70を挿入するために必要なスペースと、コネクタ保持部30から延出した電線60の専有スペースとを兼ねることができるから、保持凹部31にコネクタ70を挿入するために必要なスペースをわざわざ設ける必要がなく、その分だけ省スペース化できる。
【0060】
また、コネクタ70は絶縁プロテクタPを蓄電素子群から離間させる方向とは交差する方向にコネクタ保持部30から引き抜かれるから、コネクタ70をコネクタ保持部30から引き抜く際に接続導体50と電極81との接続状態に影響を及ぼすことがない。この構成は特に、例えばバスバー40および検知端子50と電極81の角柱部81Aとの接続手段が剥がし力に対して比較的弱い場合(例えば、半田付けや超音波溶接により接続した場合)に有効である。
また、コネクタ70を相手方コネクタのロック部と係止するための弾性片73を利用してコネクタ保持部30内に係止させているから、別途係止機構を設けなくてもよい構成となっている。
【0061】
<実施形態2>
次に、本明細書に開示された技術に係る実施形態2を図7から図12によって説明する。本実施形態の配線モジュール100においては、図7および図8に示すように、絶縁プロテクタP1のコネクタ保持部130に一対のリブ136と一対の突出壁部137とを備えている。なお、本実施形態においては、上方開口132の後縁は内部テーパ面を備えていない。
【0062】
各リブ136は、コネクタ保持部130の保持凹部131の保持上面131Uから下方(突出壁部137の突出方向とは交差する方向)に突出している。各リブ136は、保持上面131Uにおいて、左右方向における中心線を挟んで対称となる位置に設けられ、保持凹部131の前端から後端に亘って延びている。
【0063】
各突出壁部137は、保持凹部131の両保持側面131Sのうち前後方向における中央部分から互いに向かって(すなわちコネクタ170の挿入方向と交差する方向に)突出し、前後方向よりも上下方向の寸法のほうが長い形状をなしている。言い換えれば、各突出壁部137は、支持板部135の左右両端を両保持側面131Sに沿って上方に立ち上げた形状をなしている。
【0064】
図10および図11に示すように、保持凹部131の高さ寸法H1は、コネクタ170の弾性片173を含む全体の高さ寸法H2よりも大きく、かつ、側面視において各リブ136の下端から支持板部135の上面までの高さ寸法H3は、ハウジング171の高さ寸法よりも僅かに小さい。また、図9および図12に示すように、保持凹部131の左右方向における寸法W1はコネクタ170(ハウジング171)の左右方向における寸法よりも大きく、かつ、両突出壁部137の間隙寸法W2はハウジング171の幅寸法よりも僅かに小さい。
【0065】
これにより、コネクタ170は、上下においては各リブ136と支持板部135により上下から押圧されてこれらの間に挟持されるとともに、左右においては各突出壁部137の突出端部により左右から押圧されてこれらの間に挟持されることで、不用意には脱落しない程度にコネクタ保持部130内に緊密に嵌った状態で保持されている。このとき、コネクタ170の弾性片173は、自由端173Bが上方開口132の下方に配され、弾性変形しない状態でリブ136の間に収容されている。その他の構成は実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0066】
この構成によれば、コネクタ170のハウジング171は突出壁部137とリブ136によってそれぞれ異なる方向から押圧されるから、コネクタ保持部130から抜けにくくなる。また、弾性片173はコネクタの挿入方向に延びるリブ136の間に収容され、撓むことなく保持凹部131から引き抜かれるから、弾性片の弾発力を低下させる懸念がない。
【0067】
また、突出壁部が、例えば上下方向よりも前後方向に長い形状とされた場合には、コネクタがコネクタ保持部130を僅かに拡径させて嵌まり込みつつ突出壁部がコネクタの側壁に面当たりするような精確な寸法管理を、突出壁部の長さ全体に亘って行わなければならない。これに対し、上記の構成によれば、突出壁部137はコネクタ保持部130のうちコネクタ170の挿入方向における一部分に上下に延びて設けられるから、この部分さえ精確な寸法管理を行い、その他の部分はコネクタ170が確実に収容できる大きさにすればよいから、製造が容易となる。
【0068】
<実施形態3>
次に、本明細書に開示された技術に係る実施形態3を図13から図15によって説明する。
【0069】
本実施形態の配線モジュール200においては、絶縁プロテクタP2のコネクタ保持部230は、突出凹部236と、脱落防止タブ237(脱落防止部の一例)と、つまみ片238と、を備えている。
【0070】
突出凹部236(逃がし凹部の一例)は、上方開口232よりも後方の保持上面231Uのうち左右方向における中心部分を上方に一段上げた形状に形成されている。突出凹部236の左右寸法(左右の突出保持側面236Sの間隙寸法)は、コネクタ270の弾性片273の左右寸法よりも大きい。また、側面視における突出凹部236の突出上壁236Uの下面から支持板部235の上面までの高さ寸法H4は、コネクタ270の弾性片273を含む全体の高さ寸法H5よりも大きい。
【0071】
脱落防止タブ237は、図14に示すように、突出凹部236の突出上壁236Uのうち左右方向における中央部分を後方に延出させた水平延出部237Aと、さらにその後端を下方に延出させた垂直延出部237Bと、を備えて形成されている。脱落防止タブ237の前面(保持凹部231側の面)には、後方に向かって下がり勾配をなす形状の外部テーパ面237Cが設けられている。なお、突出上壁236Uには、水平延出部237Aの基端の両側から前方に向かって切り込んだ形状のスリット239が設けられている。
【0072】
つまみ片238は、脱落防止タブ237の水平延出部237Aをさらに後方に延出させた形状に設けられている。つまみ片238と水平延出部237Aとの間には段差が設けられ、つまみ片238のほうが一段高くなっている。
【0073】
図15に示すように、側面視において保持上面231Uの下面から支持板部235の上面までの高さ寸法H6は、ハウジング271の高さ寸法と同程度となっている。突出上壁236Uの下面から支持板部235までの高さ寸法H4は、コネクタ70の弾性片73を含むコネクタ70全体の高さ寸法H5よりも大きい。また、脱落防止タブ237の下端における高さレベルL1は、ハウジング271の上面の高さレベルL2よりも低い。
【0074】
コネクタ270をコネクタ保持部230に保持させる際には、つまみ片238をつまんで上方に弾性的に変位させることで脱落防止タブ237の下端を高さレベルL2よりも上方に引き上げてから、コネクタ270を後方から保持凹部231内に進入させる。すると、弾性片273は弾性変形することなく突出凹部236内を通って、上方開口232の下方に配される。そして、つまみ片238を放すと、脱落防止タブ237が弾性復帰してハウジング271の後端部に後方から対向した位置に配置され、すなわち、コネクタ270の後端部に後方から係止する。コネクタ270が後方への変位を規制された状態で保持凹部231内に保持された状態となる。
【0075】
コネクタ270をコネクタ保持部230から取り外す際には、つまみ片238をつまんで弾性的に上方へ変位させて脱落防止タブ237の下端を高さレベルL2よりも上方に引き上げ、これによりコネクタ270への係止を解除してから、コネクタ270を保持凹部231から後方へ引き抜く。または、つまみ片238をつまみ上げることなく、コネクタ270を保持凹部231から後方に強く引き抜いてもよい。この場合、コネクタ270はその後端において脱落防止タブ237の外部テーパ面237Cに前方から当接し、脱落防止タブ237の下端を高さレベルL2よりも上方に弾性的に押し上げてコネクタ270への係止を解除しつつ引き抜かれる。その他の構成は実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
上記の構成によれば、コネクタ270の弾性片273を弾性変形させずに逃がし凹部236から引き抜くことができるから、弾性片273の弾発力を低下させる懸念がない。また、コネクタ270の後端部には脱落防止部237が後方から係止するから、コネクタ270がコネクタ保持部230から脱落することを防ぐことができる。また、コネクタ270をコネクタ保持部230から引き抜く際にはつまみ片238を操作することで保持凹部231から引き抜き可能な状態とすることができるから、例えば作業者が厚手のグローブ等を着用しているときにも、厚手のグローブ越しにつまみ片238を操作することができ、引き抜き作業が容易である。
【0077】
<変形例>
次に、実施形態3の変形例を図16によって説明する。実施形態3の脱落防止タブ237には後方に向かって下がり勾配をなす形状の外部テーパ面237Cが設けられているのに対し、本変形例の脱落防止タブ2237には外部テーパ面がなく、垂直延出部2237Bの前面が垂直面2237Cとなっている。この垂直面2237Cは、コネクタ2270が保持凹部2231内に収容されている状態において、コネクタ2270の背面に対向して配されている。その他の構成は実施形態3と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
この構成によれば、コネクタ2270を保持凹部2231から取り外すには、コネクタ270を後方に引く前に、まずつまみ片2238をつまんで上方に弾性的に変位させなければならない。これにより、コネクタ2270が不用意に保持凹部231から脱落することを防止することができる。すなわちこの構成は、コネクタをコネクタ保持部によって確実に保持したい場合に好適である。
【0079】
<実施形態4>
次に、本明細書に開示された技術に係る実施形態4を図17から図21によって説明する。
【0080】
実施形態2の配線モジュール100においては、絶縁プロテクタP1のコネクタ保持部130は、コネクタの挿入方向に直交する方向に延びる一対の突出壁部137と、コネクタ170の挿入方向に延びる一対のリブ136と、を備えるのに対して、本実施形態の配線モジュール300は絶縁プロテクタP3を備え、絶縁プロテクタP3のコネクタ保持部330は、図17および図18に示すように、コネクタ170の挿入方向に直交する方向に延びる一対の突出壁部337と、コネクタ170の挿入方向に延びる逃がし凹部338と、を備えている。そして、コネクタ370のハウジング371は突出壁部337によって押圧されて保持されるとともに、コネクタ370の弾性片373は逃がし凹部338によって上方に逃がされる構成となっている。
【0081】
詳しくは、コネクタ保持部330の保持凹部331は、図18および図19に示すように、支持板部335の上面(保持下面の一例)と、支持板部335の平面の側縁から対向状態で立ち上がる一対の保持側面331Sと、前記保持下面と対向して配された保持上面331Uと、コネクタ370を受け入れるための受入口331Eと、を備えている。
【0082】
逃がし凹部338は、図17および図19に示すように、保持凹部331のうち略左半分とコネクタ370の弾性片373の進入経路とを上方に開口するように、保持上面331Uを後端から前端に亘って凹ませた形状に形成されている。また、支持板部335には、保持凹部331の略右半分を下方に開口するように、後端から前端に亘って凹ませた形状の型抜き開口390が形成されている。これにより、支持板部335の上面は逃がし凹部338を通って上方に臨んでいるとともに、保持上面331Uは型抜き開口を通って下方に臨んでいる。
【0083】
突出壁部337は、保持側面331Sの後端近傍(すなわち受入口331Eの近傍)から保持凹部331内に向かって突出し、前後方向よりも上下方向の寸法のほうが長い形状をなしている。
【0084】
コネクタ370をコネクタ保持部330に挿入する際には、コネクタ370を突出壁部337の間に後方から圧入する。すると、図18に示すように、ハウジング371は、弾性片373が逃がし凹部338により上方に逃がされて、全体がコネクタ保持部330の上面よりも下方に配され、かつ保持凹部331に当接しない状態で挿通され、そして、図21に示すように,雌端子372の設けられた挿通孔374が保持奥面331Aと対向して外方から隔離され、ハウジング371が突出壁部337によって両側方から押圧されて変位規制されるとともに、弾性片373が逃がし凹部338により保持凹部331内から上方に逃がされた保持状態となる。
【0085】
この構成によれば、コネクタ保持部330には突出壁部337が設けられ、これによりコネクタは押圧された状態で保持凹部331内に保持されるから、保持凹部331から脱落しにくい。また、コネクタ保持部330には逃がし凹部338が設けられ、コネクタ370の弾性片373はコネクタ保持部330に対して非当接状態で保持凹部331に挿入されるから、弾性片373の弾発力を低下させる懸念がない。
【0086】
また、本実施形態の構成によれば、逃がし凹部338を、上下に延びる突出壁部337が上面側に設けられた支持板部335を型抜き加工により形成するための抜き孔として機能させるとともに、コネクタ370の弾性片373を保持凹部331に挿通させ保持する際の逃がし孔としても機能させることができる。
【0087】
また、コネクタを挿入する際には、突出壁部がコネクタ保持部の拡径変形の力点となり、コネクタ保持部330の根元部分が拡径変形の支点となるが、例えば突出壁部がコネクタ保持部の奥方に設けられる場合には、この力点と支点が近接するため、コネクタの挿入に大きな力が必要となる。これに対し、本実施形態においては突出壁部337が受入口331の近傍に配され、すなわち力点が支点から離間して配されている。したがって、コネクタ370の挿入力を抑えることができる。
【0088】
なお本実施形態においては、逃がし凹部338は保持上面331Uのみを開口して設けられているが、保持上面331Uを開口して設けられた第一逃がし開口部と、支持板部335を開口して設けられた第二逃がし開口部と、を備え、すなわち上面視と下面視において同じ形状となるように構成されてもよい。このように構成することで、コネクタ370の天地を逆にしても保持凹部331内に保持することができるから、コネクタ370を保持凹部331内に挿入する際にコネクタ370の上下の向きを確認する作業の手間が省ける。
【0089】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような形態で実施することが可能である。
【0090】
(1)上記実施形態においては、検知電線60の一端61側には検知端子50の圧着部53が接続され、この検知端子50がバスバー40と重ねて配される構成としているが、バスバーに圧着部を設け、この圧着部に検知電線60を直接接続する構成としてもよい。また、検知電線がバスバーに、溶接、半田付け、またはロウ付けされていてもよい。
【0091】
(2)上記実施形態においては、コネクタ70がコネクタ保持部30に保持されている状態においては挿入孔74の開口端部全体が保持凹部31の保持奥面31Aにより閉鎖することで外方から隔離されているが、挿入孔の開口端部全体を閉鎖する必要はなく、例えば保持奥面に空気抜き孔を設けてもよい。
【0092】
(3)上記実施形態においては、コネクタ保持部30は端子金具収容部10の後壁13から突設されているが、コネクタ保持部は絶縁プロテクタの側面または下面に突設されてもよい。
【0093】
(4)上記実施形態においては、保持凹部は、保持下面と、保持下面の両側縁から対向状態で立ち上がる一対の保持側面と、保持下面と対向して配された保持上面とを備えて構成されているが、保持凹部はこれらのすべてを備える必要はなく、例えばこれらのうちいずれかを備えない構成としてもよいし、またはこれらをすべて備えず、例えばコネクタを保持可能な枠形状としてもよい。要は、コネクタを着脱可能に保持できればよい。
【0094】
(5)上記実施形態においては、電線として検知端子50とコネクタ70とを接続する検知電線60を例示しているが、電線はこれに限らない。例えば、サーミスタとコネクタとを接続するサーミスタ用の電線でもよいし、各蓄電素子からの電力を外部に出力するための電源線でもよい。
【0095】
(6)上記実施形態においては、コネクタ保持部30を絶縁プロテクタPの一壁部13において電線延出口から遠い端部13Aに設けた構成としているが、コネクタ保持部を設ける位置はこれに限らず、例えば電線延出口と隣接して設けてもよい。この構成によれば、コネクタ保持部は電線延出口と隣接して設けられているから、電線延出口から延出しコネクタ保持部に向かって曲げられる電線の曲げ半径を小さくすることができる。したがって、絶縁プロテクタの外部における電線の専有面積が少なくて済み、省スペース化できる。または、絶縁プロテクタの一壁部において、電線延出口と、電線延出口から遠い端部との中間領域に設けてもよい。要は、所望されるコネクタのコネクタ保持部への挿入しやすさと専有可能面積とを勘案して適切な位置を選択すればよい。
【0096】
(7)上記実施形態においては、挿入孔を外方から隔離するための閉鎖面を絶縁プロテクタの背面に設け、コネクタの挿入方向をY方向としているが、閉鎖面の位置はこれに限らず、例えばコネクタ保持部の側面(Y方向に対して直交する面)に設けてもよいし、または設けなくてもよい。また、コネクタの挿入方向はX方向またはZ方向でもよい。
【0097】
上記実施形態においては、コネクタ保持部内にコネクタの挿入方向に交差する方向に延びる突出壁部を設けてコネクタを押圧する構成としているが、これに代えて、例えばコネクタの挿入方向に延びる突出壁部を設けてもよく、または突出壁部を設けずコネクタ保持部の保持側面全体を押圧壁部とし、押圧壁部の全体または一部においてコネクタを押圧する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1:配線モジュール
BU:蓄電素子群
60:電線
80:蓄電素子
P:絶縁プロテクタ
10:端子金具収容部
20:電線収容部
21:電線延出口
30:コネクタ保持部
31:保持凹部(コネクタ保持部)
31E:受入口
40:バスバー
50:検知端子
60:検知電線
70:コネクタ
72:雌端子
73:弾性片
74:挿入孔
136:リブ
137,337:突出壁部
236:突出凹部(逃がし凹部)
237:脱落防止タブ
238:つまみ片
331S:保持側面
331U:保持上面
331E:受入口
335:支持板部(保持下面)
336:逃がし凹部
【要約】
【課題】コネクタが外部機器に接続されない状態において他部品と干渉するおそれのない配線モジュールを提供する。
【解決手段】複数の蓄電素子80を並べてなる蓄電素子群BUに取り付けられる配線モジュール1であって、複数の蓄電素子同士を電気的に接続するバスバー40と、バスバー40を収容し蓄電素子群BUに載置される絶縁プロテクタPと、バスバー40から絶縁プロテクタPの外部に延出される電線60と、電線60の絶縁プロテクタPから延出された延出端部62に設けられたコネクタ70と、絶縁プロテクタPに設けられコネクタ70を着脱可能に保持するコネクタ保持部30と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21