(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6299981
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置及び補正方法
(51)【国際特許分類】
A61C 1/14 20060101AFI20180319BHJP
A61C 1/12 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
A61C1/14 Z
A61C1/12
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-175048(P2015-175048)
(22)【出願日】2015年9月4日
(65)【公開番号】特開2016-55173(P2016-55173A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0118985
(32)【優先日】2014年9月5日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515244450
【氏名又は名称】ナム,ユン
(73)【特許権者】
【識別番号】515244461
【氏名又は名称】ジョン,クァンウ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ナム,ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,クァンウ
【審査官】
佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−5248(JP,A)
【文献】
特開平3−18358(JP,A)
【文献】
特開昭61−131738(JP,A)
【文献】
特表2014−522249(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0319859(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 1/14
A61C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の歯牙と顎骨を含む口腔顎顔面領域の硬組織と軟組織の構造物を含む歯牙構造物に対する歯科ハンドピースのドリル刃の3次元空間的角度を補正する歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置であり、
前記歯科ハンドピースの固定部に具備されるハウジングと、
前記ハウジングの角度を実時間測定する第1センシング部と、
前記患者の頭部またはあごの角度を実時間測定する第2センシング部と、
前記第1センシング部で測定された角度を前記ドリル刃の角度で1次補正して、前記1次補正されたドリル刃の角度を前記第2センシング部で測定された角度を考慮して前記歯牙構造物に対する前記ドリル刃の角度補正値で実時間2次補正して前記ドリル刃の3次元空間的角度を演算する演算部と、
前記演算部の3次元空間的角度のうちで術者が所望する3次元空間的角度で前記歯牙構造物に対する前記ドリル刃の基準3次元空間的角度をセッティングするセッティング部と、及び
前記演算部の3次元空間的角度が前記基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、これを知らせるように警告メッセージを表示する表示部と、
を含む補正装置であって、
前記歯科ハンドピースの角度及び前記患者の頭部またはあごの角度をそれぞれ実時間で測定する段階と、
前記測定された歯科ハンドピースの角度を前記ドリル刃の角度で1次補正して、前記1次補正されたドリル刃の角度を前記頭部の角度を考慮して前記歯牙構造物に対する前記ドリル刃の角度補正値で実時間2次補正して前記ドリル刃の3次元空間的角度を演算する段階と、
前記演算された3次元空間的角度のうちで術者が所望する3次元空間的角度で前記歯牙構造物に対する前記ドリル刃の基準3次元空間的角度をセッティングする段階と、
前記演算された3次元空間的角度が前記3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、これを知らせるために警告メッセージを表示する段階と、を含む補正方法において、
前記実時間で測定する段階で、
前記歯科ハンドピースの角度を実時間で測定して前記ドリル刃の角度に補正するため、
行列式:
【数1】
(x、y、zはドリル刃の位置、x’、y’、z’は歯科ハンドピースの固定部の位置、そしてθは固定部の長さ方向に延長された仮想の第1線とドリル刃に対して垂直である仮想の第2線との角度)が使用され、
前記セッティング部はスイッチをさらに含んで、術者が前記ドリル刃の角度を決めた後、前記スイッチを押せば前記角度が前記基準3次元空間的角度としてセッティングされ、前記スイッチは足で押すことができるように足場に具備され、
前記表示部は、
前記ドリル刃が+X軸方向である右側方向に傾くことを表示する第1ランプと、
前記ドリル刃が−Y軸方向である下側方向に傾くことを表示する第2ランプと、
前記ドリル刃が−X軸方向である左側方向に傾くことを表示する第3ランプと、及び前記ドリル刃が+Y軸方向である上側方向に傾くことを表示する第4ランプと、を含み、
前記第1、第2、第3及び第4ランプは、一つのランプユニットで提供されて、前記ランプユニットは前記ハウジングの外周面のまわりに沿って一定間隔を置いて複数個配置され、前記第1、第2、第3及び第4ランプそれぞれには、一つ以上の色を有する灯がセットで具備されることにより、
支台歯のドリル穴の3次元空間的角度の分散を減少させ、且つ、治療時間を短縮させることを特徴とする歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記歯科ハンドピースの前記固定部に着脱可能に具備されることを特徴とする請求項1に記載の歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置。
【請求項3】
前記ハウジングは前記歯科ハンドピースの前記固定部に着脱可能に挟まれるように中空部を有することを特徴とする請求項2に記載の歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置。
【請求項4】
前記ハウジングは前記歯科ハンドピースの前記固定部と一体でなされることを特徴とする請求項1に記載の歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置。
【請求項5】
前記中空内周防振部材が具備されることを特徴とする請求項3に記載の歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置。
【請求項6】
前記第1及び第2センシング部それぞれは、電子センサーであることを特徴とする請求項1に記載の歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置。
【請求項7】
前記第1及び第2センシング部それぞれは、前記電子センサーで、ジャイロセンサーと加速度センサーを含むことを特徴とする請求項6に記載の歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置。
【請求項8】
前記表示部は、無線または有線の通信モジュールを含んで、前記通信モジュールは外部端末機に前記警告メッセージを送ることを特徴とする請求項1に記載の歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科ハンドピースに装着される歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置及び補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、歯科ハンドピースは歯牙を削るか、または歯牙に穴を空けるか、または歯槽骨に穴を空けるなどに使用されるものであり、その末端にドリル刃が回転可能に具備されている。
【0003】
このような歯科ハンドピースを利用した正確な歯科術式に対する要求はますます増加している。現代歯科術式の二つの軸と言える歯牙削除術式とインプラント植立術式に対してこのような要求を満たすための限りない発展がなされた。正確な歯科的術式は術式の完成度を向上させて、補綴物の寿命を増加させるだけでなく、術式に必要となる時間を減少させて、術式後合併症を減少させる最小浸湿技術(minimally invasive technique)ができるようにする。このうち角度の正確性は鋳造金冠のための支台齒形成と、インプラント植立で特に強調される。
【0004】
鋳造金冠が機能中に脱落しないためには十分な維持と適切な抵抗形態が必須である。鋳造修復物の維持量は、歯牙削除部の収斂角、表面積、鋳造物の内部表面荒さなどによって決まるが、このうち収斂角が重要因子(primary factor)であり、これに対して一番多くの研究が行われた。収斂角の定義は、歯牙削除を通じて支台齒に形成された向き合っている二つの軸壁の延長線がなす角度であり、前裝冠維持に影響を及ぼして、最適の収斂角は5度から12度の間で知られている。また、角度の正確性は、歯科用インプラント植立時最上の審美的結果と、長い寿命のための重要である。インプラント植立角度はインプラントに加えられる噛合力の方向と、修復物の維持力を決める。特に、二つ以上の歯科用インプラントが植立された場合、多くのインプラントの間の植立角度はインプラントの機能と寿命に決定的な役割をする。
【0005】
このように歯科術式で正確な角度は非常に重要であるが、既存のハンドピースを利用した歯科術式は、このような大切さに及ぶことができない結果を見せている。これは鋳造用金冠のための支台歯の収斂角に対する研究でよく現われる。実際の臨床で形成された478個の鋳造金属冠支台歯の収斂角を分析した結果、実際の収斂角は平均21度であり、術者ごとに収斂角に大きい差があるという報告がある。他の研究らも実際臨床での支台齒削除時に収斂角が14度から20度の間であると報告して、上の事実を裏付けている。これは理想的な値から相当に脱した数値である。このような収斂角の増加は、使用するセメントの種類に構わなく平均的な維持力の減少に帰結される。固定性補綴物で陶材破絶(16%)に引き続き現われる問題がまさに維持力不足による接着不良(15.1%)で、これは収斂角増加を防止して予防することができる。
【0006】
上のような不正確な臨床結果は、既存のハンドピースを利用した歯科術式がひたすら術者の運動能力と空間遅刻能力に頼るから発生する。特に、人間の生理的限界によって3次元空間で理想的なハンドピースドリルの3次元的角度を達成することはとても難しい。特別な才能と多年間の経験を有した一部‘匠人’を除いた多数の歯科医らが理想的な歯科術式を再現し出すのに困難を経験している。このような限界を補って全般的な歯科治療の質を高めるためには術式を客観的に測定して、これを現わす補助器具の開発が必要である。
【0007】
このために、コンピューターと連動された新しい方法らが開発された。特に、インプラント植立術式は、3D CT、計画ソフトウェア(planning software)を通じて術前計画を立てて、術式ガイド(surgical guide)と光学追跡(optical tracking)機器を利用して術前計画を具現するコンピューター案内ナビゲーションシステム(computer guided navigation system)の水準に至った。また、電磁気追跡器(electromagnetic tracker)を利用した方式もあり、歯牙削除時に口内で直接測量(surveying)ができるようにするパラレル−エイ−プレブ(Parallel−A−prep)のような器具が市販されている。
【0008】
しかし、このような技術的発展にもかかわらずコンピューター案内ナビゲーションシステム(computer guided navigation system)の臨床的な活用のためには乗り越えなければならない難題らが多い。前で例に挙げた術式ガイド(surgical guide)や光学追跡(optical tracking)を利用する場合嵩が大きくて値が高いハードウェア(hardware)と複雑なプロセッサ(process)が必要である。また、術式ガイド(surgical guide)や光学追跡(optical tracking)の基準胴体(reference body)が再現可能で完璧に患者に適合されなければならないが、すべての手術状況でこれを保障することは現実的に不可能である。特に、術式ガイド(surgical guide)はインプラント手術部位に冷却水が入って行くためにドリル(drill)とホール(hole)の間の遊隙が不可欠で存在する。それで、一定角度の誤差可能性がいつも存在して、このような誤差は歯槽骨尖部(coronal)でより歯槽骨深部(apical)部位でさらに大きく現われる。また、電磁気追跡器(electromagnetic tracker)を利用する方法の場合相対的に低い正確性と、口腔内の金属補綴物に測定値が不安定になることができる限界を有している。そして、ナビゲーションシステム(navigation system)を利用する場合既存の方法に比べてインプラント術式途中に基準設定(referencing)とナビゲーション(navigation)自体に入れなければならない時間が長いため手術時間がむしろ長くなる危険性もある。歯牙削除時に正確な挿入路(path of insertion)のために使用されるパラレル−エイ−プレブ(Parallel−A−Prep)の場合、装置の嵩がとても大きくて、装着時に煩わしいという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の技術的課題は、追跡(tracking)のための基準胴体(reference body)や、付加的なカメラなどの測定装備がないのに周辺環境によって使用が制限されない歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置及び補正方法を提供することである。
【0010】
本発明の他の技術的課題は、小型化、単純化を通じて術者に邪魔になることがある要素を減らして、口腔内金属補綴物などの周辺環境要因によって使用が制限されないで、既存の正確性を維持することができるし、費用がチープで、使用が直観的で簡便な歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置及び補正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置は、患者の歯牙と顎骨を含む口腔顎顔面領域の硬組織と軟組織の構造物を含む歯牙構造物に対する歯科ハンドピースのドリル刃の3次元空間的角度を補正する歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置で、前記歯科ハンドピースの固定部に具備されるハウジングと、該ハウジングの角度を実時間測定する第1センシング部と、前記患者の頭部の位置を実時間測定する第2センシング部と、前記第1センシング部で測定された角度を前記ドリル刃の角度で1次補正して、前記1次補正されたドリル刃の角度を前記第2センシング部で測定された角度を考慮して前記歯牙構造物に対する前記ドリル刃の角度補正値で実時間2次補正して、前記ドリル刃の3次元空間的角度を演算する演算部と、前記演算部の3次元空間的角度のうちで術者が所望する3次元空間的角度で前記歯牙構造物に対する前記ドリル刃の基準3次元空間的角度をセッティングするセッティング部と、及び前記演算部の3次元空間的角度が前記基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、これを知らせるように警告メッセージを表示する表示部と、を含む。
【0012】
一例で、前記ハウジングは、前記歯科ハンドピースの前記固定部に着脱可能に具備されることができる。特に、前記ハウジングは前記歯科ハンドピースの前記固定部が着脱可能に挟まれるように中空部を有することができる。
【0013】
他の例で、前記ハウジングは、前記歯科ハンドピースの前記固定部と一体でなされることができる。
【0014】
前記中空部の内周面には防振部材が具備されることができる。
【0015】
前記第1及び第2センシング部それぞれは、電子センサーであることができる。
【0016】
前記第1及び第2センシング部それぞれは、電子センサーでジャイロセンサーと加速度センサーを含むことができる。
【0017】
前記表示部は、無線または有線の通信モジュールを含むことができるし、前記通信モジュールは外部端末機に警告メッセージを送ることができる。
【0018】
前記表示部は、前記ドリル刃が+X軸方向である右側方向に傾くように表示する第1ランプと、前記ドリル刃が−Y軸方向である下側方向に傾くように表示する第2ランプと、前記ドリル刃が−X軸方向である左側方向に傾くように表示する第3ランプと、及び前記ドリル刃が+Y軸方向である上側方向に傾くように表示する第4ランプと、を含むことができる。
【0019】
前記第1、第2、第3及び第4ランプそれぞれには、一つ以上の色を有した灯が一つのセットで具備されることができる。
【0020】
前記ハウジングは、中空された円筒形状を有することができるし、前記第1、第2、第3及び第4ランプは一つのランプユニットに提供されることがあるし、そして、前記ランプユニットは前記ハウジングの外周面にその周りに沿って設定間隔を置いて複数配置されることができる。
【0021】
前記セッティング部は、スイッチをさらに含むことができるし、術者が前記ドリル刃の角度を決めた後前記スイッチを押せば、その角度が前記基準3次元空間的角度でセッティングされることがある。
【0022】
前記スイッチは、足で押すことができるように足場に具備されることができる。
【0023】
一方、本発明の実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正方法は、患者の歯牙と顎孔を含む口腔顎顔面領域の硬組織と軟組織の構造物を含む歯牙構造物に対する歯科ハンドピースのドリル刃の3次元空間的角度を補正する歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正方法で、前記歯科ハンドピースの角度及び前記患者の頭部の角度をそれぞれ実時間で測定する段階と、前記測定された歯科ハンドピースの角度を前記ドリル刃の角度で1次補正して、前記1次補正されたドリル刃の角度を前記頭部の角度を考慮して前記歯牙構造物に対する前記ドリル刃の角度補正値で実時間2次補正して、前記ドリル刃の3次元空間的角度を演算する段階と、前記演算された3次元空間的角度のうちで術者が所望する3次元空間的角度で前記歯牙構造物に対する前記ドリル刃の基準3次元空間的角度をセッティングする段階と、前記演算された3次元空間的角度が前記基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、これを知らせるために警告メッセージを表示する段階と、を含む。
【0024】
前記演算する段階で、前記歯科ハンドピースの角度を実時間で測定して前記ドリル刃の角度で補正するため、行列式:
【0025】
【数1】
【0026】
(x、y、zはドリル刃の位置、x’、y’、z’は歯科ハンドピースの固定部の位置、そして、θは固定部の長さ方向に延長された仮想の第1線とドリル刃に対して垂直である仮想の第2線との角度)
が使用されることができる。
【0027】
前記表示する段階は、+X軸方向である右側方向にかたよって前記3次元空間的角度が前記基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、−X軸方向である左側方向に傾くように表示して、−Y軸方向である下側方向にかたよって前記3次元空間的角度が前記3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、+Y軸方向である右側方向に傾くように表示して、−X軸方向である左側方向にかたよって前記3次元空間的角度が前記基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、+X軸方向である右側方向に傾くように表示して、そして+Y軸方向である上側方向にかたよって前記3次元空間的角度が前記基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、−Y軸方向である下側方向に傾くように表示することができる。
【0028】
前記ドリル刃の3次元空間的角度が一側にかたよって前記基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、前記一側反対側に前記ドリル刃が傾くように、前記反対側に具備されたランプのうちで第1色を有した色灯を持続的につけて、前記一側に具備されたランプのうちで前記第1色を有した灯をちらつくようにして表示することができる。
【0029】
前記表示する段階は、無線または有線で外部端末機に警告メッセージを送る過程を含むことができる。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明の実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置及び補正方法は、次のような効果を有することができる。
【0031】
本発明の実施例によれば、追跡(tracking)のための基準胴体(reference body)や、付加的なカメラなどの測定装備がなくて、周辺環境によって使用が制限されないながらも歯科ハンドピースのドリル刃の3次元空間的角度を基準3次元空間的角度の設定範囲で補正することができる。
【0032】
また、本発明の実施例によれば、小型化、単純化を通じて術者に邪魔になることがある要素を減らすことができるし、口腔内金属補綴物などの周辺環境要因によって使用が制限されないで、既存の正確性を維持することができるし、費用がチープで、使用が直観的で簡便なことがある。
【0033】
また、本発明の実施例によれば、ハンドピース胴体部で歯科用ドリルの角度を計算することができて、大きさの小型化が要求されるハンドピースヘッド部(ドリル収容部)の大きさを増加させなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置が歯科ハンドピースなどに設置された状態を現わした図面である。
【
図2】
図1の歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置を現わしたブロック図である。
【
図3】
図1の歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置のうちで表示部のランプユニット一つを現わした図面である。
【
図4】本発明の一実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正方法を現わしたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例に対して本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明はいろいろ相異な形態で具現されることができるし、ここで説明する実施例に限定されない。
【0036】
図1は、本発明の一実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置が歯科ハンドピースなどに設置された状態を現わした図面であり、
図2は
図1の歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置を現わしたブロック図であり、そして、
図3は
図1の歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置のうちで表示部のランプユニット一つを現わした図面である。
【0037】
本発明の一実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置は、
図1乃至
図3に示されたように、患者の歯牙1と顎骨を含む口腔顎顔面領域の硬組織と軟組織の構造物を含む歯牙構造物[以下、歯牙1を一つの例にして説明する]に対する歯科ハンドピース10のドリル刃11の3次元空間的角度を補正する歯科ハンドピース用ドリル用3次元空間的角度の補正装置で、ハウジング110と、第1センシング部120と、第2センシング部130と、演算部140と、セッティング部150と、そして表示部160を含む。
【0038】
ハウジング110は、歯科ハンドピース10の固定部12に具備されるものであり、ここに第1センシング部120と表示部160などが具備される。例えば、ハウジング110は術者が歯科ハンドピース10の固定部12を取る場合に術者の手によってハウジング110が隠されない部位、例えば、親指と人差し指を鉛筆取るように取った場合、親指と人差し指の間の空の空間に位置されるように具備されることができる。一例で、ハウジング110は歯科ハンドピース10の固定部12に着脱可能に具備されることもできて、他の例で歯科ハンドピース10の固定部12と一体でなされることもできる。特に、ハウジング110が歯科ハンドピース10の固定部12に着脱可能に具備される場合、歯科ハンドピース10の洗滌時にハウジング110を脱去することができて、ハウジング110に具備される第1センシング部120や表示部160などの電子装置らが洗滌物によってショート(short)されることをあらかじめ阻むことができる。
【0039】
延いては、ハウジング110は、
図1に示されたように歯科ハンドピース10の固定部12に着脱可能に挟まれるように中空部111を有することができる。また、歯科ハンドピース10が駆動になればその末端に具備されたドリル刃11が回転するようになるが、この時発生される振動からハウジング110に具備される第1センシング部120などが影響を受けないように中空部111の内周面には防振部材(図示せず)が具備されることができる。
【0040】
第1センシング部120は、ハウジング110の角度を実時間測定することで、電子センサーであることができるし、
図2に示されたようにジャイロセンサーS1と加速度センサーS2を含むことができる。ジャイロセンサーS1と加速度センサーS2は、ハンドピースドリルの3次元空間的角度を測定するために使用されるものであり、加速度センサーS2は重力加速度に対する相対加速度を測定して、ジャイロセンサーS1はその測定された角速度を積分して回転距離を求める。これを通じて歯科ハンドピース10のドリル刃11の3次元空間的角度を評価する基礎情報でハウジング110の角度を正確に測定することができる。例えば、加速度センサーS2とジャイロセンサーS1が共に内蔵されているMPU−6050モジュールを利用することができる。
【0041】
第2センシング部130は、患者の頭部の角度を実時間測定することで、患者のあごや治療を要しない歯牙2にマウスピース200などを通じて固定されることができる。このような第2センシング部130は患者の頭、あるいはあごが動く場合を対比したものであり、患者の頭あるいはあごが動く場合患者の治療を要する歯牙1の角度がまた変更されるので、このような歯牙1の動きを正確に測定する場合演算部140を通じて歯牙1に対するドリル刃11の角度補正値を正確に提供することができるようになる。
【0042】
延いては、第2センシング部130は、上述した第1センシング部120のように電子センサーであることができるし、ジャイロセンサーS1と加速度センサーS2を含むことができる。ジャイロセンサーS1と加速度センサーS2は、ハンドピースドリルの3次元空間的角度を測定するために使用されるものであり、加速度センサーS2は重力加速度に対する相対加速度を測定して、ジャイロセンサーS1はその測定された角速度を積分して回転距離を求める。これを通じて歯科ハンドピース10のドリル刃11の3次元空間的角度を評価する基礎情報で頭部、あるいはあごの歯牙2の角度を正確に測定することができる。例えば、加速度センサーS2とジャイロセンサーS1が共に内蔵されているMPU−6050モジュールを利用することができる。
【0043】
演算部140は第1センシング部120で測定されたハウジング110の角度をドリル刃11の角度で1次補正して、このように1次補正されたドリル刃11の角度を第2センシング部130で測定された頭部(あるいは、あご)の歯牙2の角度を考慮して治療を要する歯牙1に対するドリル刃11の角度補正値で実時間2次補正して歯牙1に対するドリル刃11の3次元空間的角度を演算することで、第1及び第2センシング部120、130でそれぞれ得られる測定値をカルマンフィルターアルゴリズム(Kalman filter algorithm)などのような補正アルゴリズムを通じて補正する方式でドリル刃の3次元空間的角度を演算することができる。
【0044】
セッティング部150は演算部140の3次元空間的角度のうちで術者が所望する3次元空間的角度で歯牙1に対するドリル刃11の基準3次元空間的角度をセッティングすることで、術者がドリル刃11の角度を所望する角度にした後スイッチ151を押せば、その角度が基準3次元空間的角度でセッティングされることができる。
【0045】
図1に示されたように、スイッチ151は足で押すことができるように足場に具備されることができる。スイッチ151とセッティング部150は有線で連結されることもできて、図示しなかったが無線通信を通じて連結されることもできる。また、電源は、図示しなかったが周知されたように歯科ハンドピース10の固定部12の後段に回動可能に締結される回動部(図示せず)を通じて印加されることができる。
【0046】
表示部160は演算部140の3次元空間的角度が基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、これを知らせるように警告メッセージを表示する。例えば、表示部160は、
図2に示されたように、無線または有線の通信モジュール161を含むことができる。このような通信モジュール161はグーグルガラスなどのような外部端末機30に警告メッセージを送ることができる。
【0047】
他の例で、表示部は
図3に示されたように、ドリル刃11が+X軸方向である右側方向に傾くように表示する第1ランプ161と、ドリル刃11が−Y軸方向である下側方向に傾くように表示する第2ランプ162と、ドリル刃11が−X軸方向である左側方向に傾くように表示する第3ランプ163と、そして、ドリル刃11が+Y軸方向である上側方向に傾くように表示する第4ランプ164を含むことができる。
【0048】
延いては、第1、第2、第3及び第4ランプ161、162、163、164それぞれには一つ以上の色を有した灯が一つのセットで具備されることができる。また、
図1に示されたように、ハウジング110が中空された円筒形状を有する場合、第1、第2、第3及び第4ランプ161、162、163、164は一つのランプユニット(U1)に提供されることができるし、このようなランプユニット(U1)はハウジング110の外周面にそのまわりに沿って設定間隔を置いて複数個配置されることができる。
【0049】
また、第1色を有する灯と第2色を有する灯は、発光多異オード(LED)で具現されることができる。一方、ドリル刃11の軸に該当するZ軸に対して回転する場合に術者によってハンドピース胴体が移動されてもハンドピースドリルの3次元空間的角度は変化しないので、Z軸に対する角度を表示しない。実質的にX軸及びY軸に対する角度情報だけが表示部160に表示されるので、Z軸と共に表示されることに比べて使用が便利で臨床に好適な利点がある。
【0050】
一例で、表示部160の一つの動作例を詳しく見れば、
図3の(a)に示されたように、ドリル刃11の基準角の設定範囲にあれば、90度間隔を置いて位置された第1、第2、第3及び第4ランプ161、162、163、164をつけるが、各ランプに含まれた緑色灯を持続的につけて表示することができる。よって、緑色灯が各ランプ161、162、163、164にすべて灯るので、術者は+X軸、−X軸、+Y軸、−Y軸に対して正確な情報を容易に認知することができる。
【0051】
また、
図3の(b)に示されたように、ドリル刃11の3次元空間的角度が−Y軸にかたよって設定範囲を脱すれば、−Y軸の反対である+Y軸にドリル刃11が傾くように、+Y軸に具備された第4ランプ164のうちで赤色灯を持続的につけて、−Y軸に具備された第2ランプ162のうちで赤色灯をちらつくようにして表示することができる。よって、術者は赤色灯が持続的につけている+Y軸にドリル刃11を傾ければ良い。残りX軸に対しても等しい方法で表示部の動作例を具現することができる。
【0052】
他の例で、表示部160の他の動作例を詳しく見れば、図示しなかったが、色を区別しないで第1、第2、第3及び第4ランプ161、162、163、164がすべてつけていれば、設定範囲にあることにして、何れか一つがちらつけばそのちらつく方にドリル刃11を傾ければ良いようにすることもできる。
【0053】
以下、
図4を参照して、本発明の一実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正方法を説明する。
【0054】
図4は、本発明の一実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正方法を現わしたフローチャートである。
【0055】
本発明の一実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正方法、患者の歯牙1と顎骨を含む口腔顎顔面領域の硬組織と軟組織の構造物を含む歯牙構造物[以下、歯牙1を一つの例にして説明する]に対する歯科ハンドピース10のドリル刃11の3次元空間的角度を補正する歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正方法で、先ず、歯科ハンドピース10の角度[例えば、ハウジング110の角度]及び患者の頭部(あるいはあご)の角度[例えば、治療を要しない歯牙1の角度]をそれぞれ実時間で測定する(S110)。
【0056】
例えば、ジャイロセンサーS1と加速度センサーS2を一つのセットにして各位置にそれぞれ具備されて測定することができる。3軸の角速度を測定するジャイロセンサーS1と加速度センサーS2は、重力加速度に対する相対加速度を測定して、測定された角速度を積分して回転距離を求めることができる。これを通じて歯科ハンドピース10のドリル刃11の3次元空間的角度を評価する基礎情報でハウジング110の角度を正確に測定することができる。例えば、加速度センサーS2とジャイロセンサーS1が共に内蔵されているMPU−6050モジュールを利用することができる。
【0057】
そしてから、測定された歯科ハンドピース10の角度[すなわち、ハウジング110の角度]をドリル刃11の角度で1次補正して、1次補正されたドリル刃11の角度を頭部(あるいはあご)の角度[すなわち、治療を要しない歯牙2の角度]を考慮して歯牙1に対するドリル刃11の角度補正値で実時間2次補正してドリル刃11の3次元空間的角度を演算する(S120)。
【0058】
例えば、ジャイロセンサーS1と加速度センサーS2でそれぞれ得られる測定値をカルマンフィルターアルゴリズム(Kalman filter algorithm)などのような補正アルゴリズムを通じて補正する方式でドリル刃11の3次元空間的角度を演算することができる。また、演算する過程(S120)で、歯科ハンドピース10の角度を実時間で測定してドリル刃11の角度に補正するために、行列式:
【0060】
(
図1を基礎にして、x、y、zはドリル刃の位置、x’、y’、z’は、歯科ハンドピースの固定部の位置、そしてθは固定部の長さ方向に延長された仮想の第1線とドリル刃に対して垂直である仮想の第2線との角度)が使用されることができる。
【0061】
演算された3次元空間的角度のうちで術者が所望する3次元空間的角度で歯牙1に対するドリル刃11の基準3次元空間的角度をセッティングする(S130)。
【0062】
例えば、術者がドリル刃11の角度を所望する角度にした後に足でセッティング部150のスイッチ151を押せば、その角度が基準3次元空間的角度でセッティングされることができる。
【0063】
演算された3次元空間的角度が基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、これを知らせるように警告メッセージを表示することができる(S140)。表示する方法は、+X軸方向である右側方向にかたよって3次元空間的角度が基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、−X軸方向である左側方向に傾くように表示して、−Y軸方向である下側方向にかたよって3次元空間的角度が基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、+Y軸方向である右側方向に傾くように表示して、−X軸方向である左側方向にかたよって3次元空間的角度が基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、+X軸方向である右側方向に傾くように表示して、そして+Y軸方向である上側方向にかたよって3次元空間的角度が基準3次元空間的角度の設定範囲を脱すれば、−Y軸方向である下側方向に傾くように表示することができる。
【0064】
より具体的に、
図3の(a)に示されたように、ドリル刃11の3次元空間的角度が基準3次元空間的角度の設定範囲にあれば、90度間隔を置いて位置された第1、第2、第3及び第4ランプ161、162、163、164をつけるが各ランプに含まれた第2色を有した灯を持続的につけて表示することができる。
【0065】
よって、第2色を有した灯が各ランプ161、162、163、164にすべて灯るので、術者は+X軸、−X軸、+Y軸、−Y軸に対して正確な情報を容易に認知することができる。
【0066】
また、
図3の(b)に示されたように、ドリル刃11の3次元空間的角度が−Y軸にかたよって設定範囲を脱すれば、−Y軸の反対である+Y軸にドリル刃11が傾くように、+Y軸に具備された第2ランプ162のうち第1色を有した灯を持続的につけて、−Y軸に具備された第4ランプ164のうち第1色を有した灯をちらつくようにして表示することができる。
【0067】
よって、術者は第1色を有した灯が持続的につけている+Y軸にドリル刃110を傾ければ良い。残りX軸に対しても等しい方法で表示部160の動作例を具現することができる。
【0068】
以下、本発明の一実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置に対する効用性に対して説明する。
【0069】
本発明の一実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置の検証
本発明で検証しようとする3次元空間的角度の補正装置の効用性は次のようである。第一、停止状態で既存方式に比べて向上された支台齒3次元空間的角度、第二、患者の動きに対する補正、第三、既存方式に比べて減った総術式時間である。
【0070】
1.停止状態での支台齒形成評価
学習効果による影響を排除するために本発明品を先に使用するグループ(前グループ;学生10人、熟練歯科医2人)と本発明品を後で使用するグループ(後グループ;学生10人、熟練歯科医2人)で分けて実験を進行する。前/後グループは本発明の3次元空間的角度の補正装置を使って支台歯形成(tooth preparation)をする手順だけが違うだけで他のすべての実験は等しい条件で進行する。
【0071】
デントルファントム(Dental phantom)に24、25番模型歯牙らを抜いた上、下顎デンティフォーム(dentiform)を装着する。標準基準(Standard reference)であらかじめ6度傾斜でミーリング(milling)した24番模型歯牙を使用する。この時、術者がデントルファントム(Dental phantom)の位置と方向を操作することができないように指示する。
【0072】
A.3次元空間的角度の補正装置使用群
標準基準歯牙(Standard reference tooth)の3次元空間的角度を3次元空間的角度の補正装置に入力した後、この角度を基準でデプスグローブ(depth groove)を形成して24−26番3unit PFM bridgeのためのアキシャルウォール(axial wall)の歯牙削除を施行する。歯牙削除途中にも持続的に3次元空間的角度の補正装置に表現される角度情報を活用して3次元空間的角度を調整する。トータル支台歯形成タイム(Total tooth preparation time)を測定する。
【0073】
B.既存支台歯形成(conventional tooth preparation)群
標準基準歯牙(standard reference tooth)を基準で既存の方式どおりに26番歯牙に3unit PFM bridgeのためのアキシャルウォール(axial wall)の支台歯形成(tooth preparation)を施行する。トータル支台歯形成タイム(Total tooth preparation time)を測定する。
【0074】
2.患者の動きに対する補正評価
デントルファントム(dental phantom)がスパインポジション(supine position)である時の標準基準(standard reference)の角度を測定した後、26番支台齒に案内グルーブ(guiding groove)を形成する。デントルファントム(dental phantom)の頭を−60度回転させた後26番歯牙の他の面に新しい案内グルーブ(guiding groove)を形成して、二つのグルーブ(groove)の平行如何を比べる。
【0075】
上1番と2番の実験で支台齒形成が完了された26番模型歯牙を3D−scanner(4D CULTURE、Daegu、Korea)を利用して幾何学的情報をデジタル化させて、イメージ分析ソフトウェア(image analysis software:3D SYSTEMS、Rock−Hill、SC、USA)利用してアキシャルウォール(axial wall)の平均収斂角と各面の収斂角を測定する。この時平均収斂角は、全体アキシャルウォールアンギュレーション(axial wall angulation)の平均値で仮定する。
【0076】
3.既存方式に比べて減った総術式時間評価
上1番のA、B実験で術者がユニットチェアに座った瞬間から術式が終わる時までの総術式時間を測定して比べる。
【0077】
結論
1.本発明の3次元空間的角度の補正装置を利用して支台齒形成をした時、既存の方式を利用した時より支台歯の3次元空間的角度が統計的に有意味に減少する。既存の方式を利用した場合平均3次元空間的角度が21度であるが、本発明の3次元空間的角度の補正装置を利用した時支台歯の3次元空間的角度は平均12度である。本発明の3次元空間的角度の補正装置を利用した場合3次元空間的角度の分散が既存の方式に比べて減少して、術者の正確で一貫された診療を助ける。
【0078】
2.総術式時間が統計的に有意味に減少する。
【0079】
以上のように、本発明の一実施例による歯科ハンドピース用ドリルの3次元空間的角度の補正装置及び補正方法は、次のような効果を有することができる。
【0080】
本発明の一実施例によれば、追跡(tracking)のための基準胴体(reference body)や、付加的なカメラなどの測定装備がないながらも、そして周辺環境によって使用が制限されないながらも歯科ハンドピースのドリル刃の3次元空間的角度を基準3次元空間的角度の設定範囲に補正することができる。
【0081】
また、本発明の一実施例によれば、小型化、単純化を通じて術者に邪魔になることがある要素を減らすことができるし、口腔内金属補綴物などの周辺環境要因によって使用が制限されないで、既存の正確性を維持することができるし、費用がチープで、使用が直観的で簡便なことがある。
【0082】
以上で本発明の望ましい実施例に対して詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなくて、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多くの変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0083】
1 歯牙(治療対象)
2 歯牙(治療非対象)
10 歯科ハンドピース
11 ドリル刃
110 ハウジング
111 中空部
120 第1センシング部
U1 ランプユニット
130 第2センシング部
140 演算部
150 セッティング部
160 表示部
200 マウスピース
FP 足場
30 外部端末機
161 通信モジュール
151 スイッチ