特許第6299996号(P6299996)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6299996-ガラスラミネートの製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6299996
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】ガラスラミネートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/30 20060101AFI20180319BHJP
【FI】
   C03C17/30 Z
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-559964(P2016-559964)
(86)(22)【出願日】2015年9月14日
(65)【公表番号】特表2017-537042(P2017-537042A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】CN2015089505
(87)【国際公開番号】WO2017041309
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2016年11月30日
(31)【優先権主張番号】201510570623.7
(32)【優先日】2015年9月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516290472
【氏名又は名称】李峰
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】李峰
【審査官】 永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−252888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C17/28−13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスラミネートの製造方法であって、真空条件下で、0.2mmの厚さに成型することができる分量の液状シリコーンゴムをモールド内に注入し、ガラスプレートを、ラミネートする面がモールド内の液状シリコーンゴムに面するようにモールド内に装着し、押さえ板でガラスプレートを圧着して定位する;焼成:80℃〜150℃で、20〜30分間焼成する;成型してから、接着フィルムおよびガラスプレートを一緒にモールドから取り出す過程である製造方法。
【請求項2】
該モールドは上端が開放しており、下部キャビティの形状がガラスプレートの形状と一致する箱形状であることを特徴とする、請求項1に記載のガラスラミネートの製造方法。
【請求項3】
モールドの側面に定位溝を有し、押さえ板に、対応する定位突起が設けられることを特徴とする、請求項2に記載のガラスラミネートの製造方法。
【請求項4】
モールドの下部に加熱部位が設けられ、該加熱部位に加熱器設置空間が設けられ、液状シリコーンゴムを加熱する加熱器が内蔵されることを特徴とする、請求項3に記載のガラスラミネートの製造方法。
【請求項5】
モールドの下部に加熱孔が設けられ、加熱ロッドを加熱孔に挿入して加熱することを特徴とする、請求項4に記載のガラスラミネートの製造方法。
【請求項6】
該モールドの内壁面に付着防止コートを吹き付けることを特徴とする、請求項1に記載のガラスラミネートの製造方法。
【請求項7】
該付着防止コートが0.01〜0.02mmのテフロンコートであることを特徴とする、請求項6に記載のガラスラミネートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス表面のラミネート技術に関し、特に真空環境下で直接ガラスに接着フィルムを射出成型する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明で採用するガラスは、一般的に照明の透光パネル部分とすることができる硬質の材料を指し、例えばサファイア、PVCおよびガラス類である。LED照明灯に用いる透光パネルが照明を保証するとき、透光性は良好である。本発明では、LEDチップが発する光子を接着フィルムにより励起し、可視光線を形成する透光パネルを製造しようとしており、そのためガラスにラミネートする必要がある。
【0003】
現在用いられている成型技術は、接着フィルムを単独でモールドにより成型し、その後、接着剤でガラスに接着する。このような工程で得られる接着フィルムおよびガラスは一体構造ではなく、さらに接着フィルムおよびガラスの間に、接着するための接着体を1層有し、完全に継ぎ目無しにつなげるのは不可能である。光子は接着フィルムに進入すると、間の接着用の接着体を通過するが、光子はこの接着体で反射され、光の損失が生じる。さらに接着フィルムおよびガラスは一体成型ではなく、光子が接着体を通過してガラス表面に進入するとき、鏡面反射が起こる。これも光の損失をもたらし、発光効率に影響を及ぼす。
【0004】
他に、接着させた接着体を、光が強く、高温の環境に長時間置くと、接着体が容易に劣化する。接着効果に影響を及ぼし、これにより最終的にLED灯の寿命に影響を及ぼす。
【0005】
接着方式の採用を考慮しなければ、一体成型、直接射出成型する方式を考慮するが、従来の射出成型モールドが複雑になる問題が存在する。従来の射出成型モールドは成型部分、注入システム、ガイド機構、押出機構、冷却および加熱システムなどを含み、さらに離型が難しい問題を有する。透光パネルに射出成型を行う場合、射出成型過程で、排気がスムーズである、接着フィルム自体の膨張およびバブリングの問題を防止する、離型して接着フィルムが裂ける問題を防止する、ことを確実に保証する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の状況に対して、真空環境下の開放型樹脂注入方式により、ガラスラミネートを製造することを示している。このガラスラミネート方式は、接着フィルムおよびガラスの完全性を保証し、取付工程を省略することができる。最適な出光、導光効果を提供することもでき、鏡面現象が生じるのを防止する。生産過程全体が簡単で、離型が便利である。
【0007】
本発明の係るガラスラミネートの製造方法の過程は次の通りである。真空条件下で、0.2mmの厚さに成型することができる分量の液状シリコーンゴムをモールド内に注入し、ガラスプレートを、ラミネートする面がモールド内の液状シリコーンゴムに面するようにモールド内に装着し、押さえ板でガラスプレートを圧着して定位する。焼成:80℃〜150℃で、20〜30分間焼成する。成型してから、接着フィルムおよびガラスプレートを一緒にモールドから取り出す。
【0008】
モールドは上端が開放しており、下部キャビティの形状はガラスプレートの形状と一致する箱形状である。
【0009】
モールドの側面に定位溝を有し、押さえ板に、対応する定位突起が設けられる。
【0010】
モールドの下部に加熱部位が設けられ、該加熱部位に加熱器設置空間が設けられ、液状シリコーンゴムを加熱する加熱器が内蔵される。
【0011】
モールドの下部に加熱孔が設けられ、加熱ロッドを加熱孔に挿入して加熱する。
【0012】
該モールドの内壁面に付着防止コートを吹き付ける。
【0013】
該付着防止コートは0.01〜0.02mmのテフロンコートである。
【0014】
本発明は、真空環境下において開放式で樹脂を注入する。モールドは下モールド部分しか有さず、直接キャビティ内に樹脂を注入し、自動化装置で離型する。モールド自体の構造は簡単で、操作は容易であり、従来の射出成型モールドに存在する可能性がある問題、例えば排気がスムーズでない、プラスチック加工部品の膨張およびバブリングなどを防止した。接着フィルムの厚さは0.2mmしかなく、直接ガラスを成型過程における1つの部材とし、接着フィルムと一体成型し、最後に一緒に離型する。従来のモールドの離型過程で生じる可能性があるキャビ取られ、加工部品の破損などの問題を解決し、0.2mmの薄膜の取付が難しい問題も解決した。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施例のガラスラミネートの製造方法における装備の構造概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の図および具体的実施方式を組み合わせて、本発明のガラスラミネートの製造方法について、さらに詳細に説明する。
【0017】
図1を参照されたい。図1は、ガラスラミネートの製造方法を実行する配置を示している。このうちモールド20と、押さえ板30と、加熱ロッド40と、モールド20および押さえ板30の間に位置するガラスプレート10とを含んでいる。
【0018】
ガラスラミネートの製造方法の過程は次の通りである。真空条件下で、充分な分量の液状シリコーンゴムをモールド20内に注入する。真空状態下でシリコーンゴムは自然に水平になり、およそ0.2mmの厚さの1層が形成される。注入後の液状シリコーンゴムの厚さは0.2mmよりやや厚くするべきであり、焼成後わずかに収縮する現象が生じる。
【0019】
自動化搬入搬出装置により、ガラスプレート10を吸着してモールド20内に入れる。ガラスプレート10を、ラミネートする面がモールド内の液状シリコーンゴムに面するようにモールド20内に装着し、押さえ板30でガラスプレートを圧着して定位する。焼成:80℃〜150℃で、20〜30分間焼成する。ダウコーニング社のシリコーンゴムを採用した場合、80℃〜100℃の温度で20〜30分間焼成する必要があり、信越のシリコーンゴムを採用した場合、150℃の温度で20〜30分間焼成する必要がある。
【0020】
成型すると、自動化装置が押さえ板30および接着フィルムおよびガラスプレート10をモールド20から外し、さらに押さえ板30をガラスから外す。このとき、接着フィルムは直接ガラスに付着し、ガラスプレート10と一体である。
【0021】
モールド20は上端が開放しており、下部キャビティの形状はガラスプレートの形状と一致する箱形状である。
【0022】
モールド20の側面に定位溝21を有し、押さえ板30に、対応する定位突起31が設けられる。押さえ板30がガラスプレートを押さえ、モールド20内に固定するとき、該定位突起31はモールドの定位溝21内に対応して係入され、ガラスプレート10とモールド内部の下表面との間の間隔が0.2mmに保持される。
【0023】
モールド20の下部に加熱部位が設けられ、該加熱部位に加熱器設置空間が設けられ、液状シリコーンゴムを加熱する加熱器が内蔵される。モールド20の下部に加熱孔22が設けられ、加熱ロッド40を加熱孔22に挿入して加熱する。
【0024】
該モールドの内壁面に付着防止コートを吹き付ける。
【0025】
該付着防止コートは0.01〜0.02mmのテフロンコートである。
テフロンは優れた耐熱性、不粘着性、耐候性、絶縁性、耐腐食性、難燃性などの特性を有し、接着フィルムを離型させるとき、モールドの内表面に付着しないようにすることができる。
【0026】
モールド自体の構造は簡単で、操作は容易であり、従来の射出成型モールドに存在する可能性がある問題、例えば排気がスムーズでない、プラスチック加工部品の膨張およびバブリングなどを防止した。接着フィルムの厚さは0.2mmしかなく、直接ガラスを成型過程における1つの部材とし、接着フィルムと一体成型し、最後に一緒に離型する。従来のモールドの離型過程で生じる可能性があるキャビ取られ、加工部品の破損などの問題を解決し、0.2mmの薄膜の取付が困難である問題も解決した。
【0027】
以上の記載は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明をどのような形式でも制限しない。本発明は、好ましい実施例により上記のように開示したが、本発明を限定するものではない。当業者は本発明の技術案を逸脱しない範囲内で、上記に示した技術内容を利用して、同等に変化した同等の実施例に変更または修飾することができるが、いずれも本発明の技術案の内容を逸脱しない。本発明に基づく技術とは、以上の実施例に対して行う簡単な修正、同等な変化および修飾を指し、いずれも本発明の技術案の範囲内に属する。
【符号の説明】
【0028】
10 ガラスプレート
20 モールド
21 定位溝
22 加熱孔
30 押さえ板
31 定位突起
40 加熱ロッド
図1