特許第6300017号(P6300017)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6300017-コージェネレーションシステム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6300017
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】コージェネレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20180319BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20180319BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20180319BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/00 Z
   H01M8/12
   H02J3/38
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-89582(P2014-89582)
(22)【出願日】2014年4月23日
(65)【公開番号】特開2015-210843(P2015-210843A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】神田 宜儀
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−061245(JP,A)
【文献】 特開2007−141525(JP,A)
【文献】 特開2014−017993(JP,A)
【文献】 特開2006−073415(JP,A)
【文献】 特開2005−327494(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0255354(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0196703(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M8/00−8/2495
H02J3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスの供給を受けて発電を行う発電手段と、この発電手段の発電に伴う排熱を回収する排熱回収手段とを備え、前記発電手段によって発電された発電電力と前記排熱回収手段によって回収された排熱とを複数の住宅に分配して供給するコージェネレーションシステムにおいて、
前記複数の住宅の各々は、前記発電手段の発電電力が供給される分電盤と、前記発電手段に燃料ガスを供給する為のガス供給通路と、このガス供給通路に設けられ且つ燃料ガスの流量を計測する為のガスメータとを備え、
前記複数の住宅から前記ガス供給通路が夫々延びて前記発電手段に接続されていることを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項2】
前記複数のガス供給通路の各々を流通する燃料ガスの遮断及び流量調整を行う為のガス流量調整手段を備え、
前記発電手段の発電電力の分配比率又は前記発電手段から回収された排熱の分配比率の少なくとも一方に応じて、前記ガス流量調整手段が、前記複数のガス供給通路の各々を流れる燃料ガスの流量を調整することを特徴とする請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項3】
前記複数のガス供給通路の一部は、前記ガス流量調整手段によって設定期間毎に遮断されることを特徴とする請求項2に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項4】
前記発電手段は、固体酸化物形燃料電池であることを特徴とする請求項3に記載のコージェネレーションシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコージェネレーションシステムに関し、特に2世帯住宅や集合住宅等の複数の住宅で共用されるコージェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発電装置の排熱を回収して再利用することで総合エネルギー効率を高めたコージェネレーションシステムが一般に知られている。このコージェネレーションシステムにおいては、燃料電池(固体酸化物形燃料電池、固体高分子形燃料電池)やガスエンジン等の種々のタイプのものが実用化されている。
【0003】
2世帯住宅や集合住宅等では、1台のコージェネレーションシステムを設置して複数の住宅で共用する場合がある。このコージェネレーションシステムは、燃料ガスの供給を受けて発電する1台の発電装置と、この発電装置の発電に伴う排熱を回収する湯水を循環させる排熱回収循環回路と、排熱を回収した湯水を貯湯する為に各住宅に設置された複数の貯湯タンク等を備え、発電装置で発電された発電電力を分配して各住宅の分電盤に夫々供給すると共に、発電装置の発電に伴う排熱を分配して湯水として各住宅の貯湯タンクに夫々供給するように構成されている。
【0004】
ところで、複数の住宅でコージェネレーションシステムを共用する場合、一般的に、各住宅における発電電力や排熱利用の使用量に応じて、各住宅への課金が行われている。従量制の場合には、各住宅に発電電力の使用量を計測する為の電気メータや排熱利用を計測する為の熱量メータ等を追加的に設置し、これら電気メータや熱量メータによって計測された値に基づいて課金が行われている。このような住宅毎の使用量を計測して課金を行う課金システムの技術については、以下に示すような文献に開示されている。
【0005】
例えば、特許文献1の集合住宅電力システムにおいては、燃料電池及び負荷と分電盤との間の電力ラインに、分電盤から負荷に供給される電力量を計測する為の買電メータと燃料電池から分電盤に出力する電力量を計測する為の売電メータとが設置され、これら買電メータと売電メータによって計測された買電電力量と売電電力量を使用して各住宅に対する電気料金の精算が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−38838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の集合住宅電力システムにおいては、燃料電池の設置に伴って、燃料電池の発電電力や排熱が出力される出力側に対して、買電メータや売電メータ等の計測器具を追加的に設置して燃料電池専用の課金システムを新たに構成する必要があるので、システムが複雑化する上、部品点数が増加して、コスト高となる問題がある。
【0008】
本発明の目的は、コージェネレーションシステムにおいて、専用の課金システムを追加的に設けずに低コストで課金可能なもの、各住宅に設置された既存のガスメータを利用して容易に課金可能なもの、等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1のコージェネレーションシステムは、燃料ガスの供給を受けて発電を行う発電手段と、この発電手段の発電に伴う排熱を回収する排熱回収手段とを備え、前記発電手段によって発電された発電電力と前記排熱回収手段によって回収された排熱とを複数の住宅に分配して供給するコージェネレーションシステムにおいて、前記複数の住宅の各々は、前記発電手段の発電電力が供給される分電盤と、前記発電手段に燃料ガスを供給する為のガス供給通路と、このガス供給通路に設けられ且つ燃料ガスの流量を計測する為のガスメータとを備え、前記複数の住宅から前記ガス供給通路が夫々延びて前記発電手段に接続されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2のコージェネレーションシステムは、請求項1の発明において、前記複数のガス供給通路の各々を流通する燃料ガスの遮断及び流量調整を行う為のガス流量調整手段を備え、前記発電手段の発電電力の分配比率又は前記発電手段から回収された排熱の分配比率の少なくとも一方に応じて、前記ガス流量調整手段が、前記複数のガス供給通路の各々を流れる燃料ガスの流量を調整することを特徴としている。
【0011】
請求項3のコージェネレーションシステムは、請求項2の発明において、前記複数のガス供給通路の一部は、前記ガス流量調整手段によって設定期間毎に遮断されることを特徴としている。
【0012】
請求項4のコージェネレーションシステムは、請求項3の発明において、前記発電手段は、固体酸化物形燃料電池であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明(コージェネレーションシステム)によれば、複数の住宅の各々は、発電手段の発電電力が供給される分電盤と、発電手段に燃料ガスを供給する為のガス供給通路と、このガス供給通路に設けられ且つ燃料ガスの流量を計測する為のガスメータとを備え、複数の住宅からガス供給通路が夫々延びて発電手段に接続されているので、発電手段の入力側に設置された複数のガスメータを使用して、複数のガス供給通路を流通する燃料ガスの流量を夫々計測し、これらガス流量を利用することで、各住宅に対して発電手段の使用に応じて課金を行うことができる。
【0014】
従って、ガス料金の精算の為に設置された既存のガスメータを利用することで、発電手段の出力側に電力メータや熱量メータ等の計測器具を追加的に設置して専用の課金システムを構成する必要がなくなるので、低コストで且つ簡単に課金を行うことができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、発電手段の発電電力の分配比率又は前記発電手段から回収された排熱の分配比率の少なくとも一方に応じて、ガス流量調整手段が、複数のガス供給通路の各々を流れる燃料ガスの流量を調整するので、各住宅における発電電力や排熱の使用量と複数のガス供給通路を流通する燃料ガスの流量とを対応付けることができ、燃料ガスの使用量に応じて各住宅に課金を行うことで、各住宅が適正に利用可能なコージェネレーションシステムを提供することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、複数のガス供給通路の一部は、ガス流量調整手段によって設定期間毎に遮断されるので、ガス供給通路に燃料ガスが長時間流通した状態になるのを防止し、ガスメータの遮断機能が作動してガス供給通路が強制的に遮断されるのを防止することができると共に、複数のガス供給通路を順次遮断することで、一部のガス供給通路の流通状態は確保できるので、発電手段の発電運転を継続することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、発電手段が、固体酸化物形燃料電池である場合には、起動停止に長時間必要であるが、固体酸化物形燃料電池の発電運転を継続することで、コージェネレーションシステムの効率の悪化を防止することができると共に、起動停止回数の増加を抑制するので、発電セルの劣化を防止し、発電効率の低下や発電電圧の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例に係るコージェネレーションシステムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0020】
先ず、本発明のコージェネレーションシステム1について説明する。
図1に示すように、コージェネレーションシステム1は、2世帯住宅や集合住宅等の複数の住宅(住居)A,Bに対応したものであり、共通の燃料電池発電装置2(発電手段に相当する)と、各住宅A,Bに対応して設置された複数の貯湯給湯装置3,4と、これら複数の貯湯給湯装置3,4と燃料電池発電装置2との間に湯水を循環させる排熱回収循環回路5(排熱回収手段に相当する)等を備え、燃料電池発電装置2によって発電された発電電力と排熱回収循環回路5によって回収された排熱とを複数の住宅A,Bに分配して供給する機能を備えている。
【0021】
尚、各住宅A,Bには、漏電遮断器や配線用遮断器等を備えた分電盤6a,6bが夫々設置され、これら分電盤6a,6bに系統電源7から電源線8a,8bを介して商用電力が供給されている。電源線8a,8bには、家庭内の使用電力量を計測する為の電力量計9a,9bが夫々設置されている。分電盤6a,6b又はその近傍に電源線8a,8bを流れる電流を監視可能な電流検出部11a,11b(CT)が夫々設置されている。これら電流検出部11a,11bは、計測された電流値を信号配線12a,12bを介して燃料電池発電装置2の制御ユニット19に夫々送信する。
【0022】
次に、燃料電池発電装置2について説明する。
図1に示すように、燃料電池発電装置2は、各住宅A,Bから燃料ガスの供給を受けて発電を行い、この発電電力を複数の分電盤6a,6bに分配して供給する固体酸化物形燃料電池であり、燃料電池発電モジュール15、燃料ガス供給部16、カソード空気及び燃料改質空気供給部(図示略)、燃料電池発電モジュール15から排出される排気ガスの排熱を回収する為の排熱回収部17、燃料電池発電モジュール15の出力を調整する為のパワーコンディショナユニット18、これら各種装置を制御する為の制御ユニット19等を備え、これらは外装ケース20に収納されて構成されている。
【0023】
燃料電池発電モジュール15は、複数の燃料電池セルで構成された燃料電池セルスタック、燃料ガスに混合する為の水蒸気を生成する蒸発器、燃料ガスと空気と水蒸気とを混合して反応(所謂、水蒸気改質)させて改質燃料ガスを生成する燃料改質器、燃料電池セルスタックによる発電に伴い生じる残余燃料ガスを燃焼処理するオフガス燃焼室等を備え、燃料改質器によって改質された改質燃料ガス及び酸化剤としての空気を燃料電池セルスタックで高温の環境下で化学反応させることで発電を行うものである。
【0024】
燃料ガス供給部16は、燃料電池発電装置2の内部に設置された共通ガス供給通路16a、この共通ガス供給通路16aの途中部に設けられ且つ燃料ガスを昇圧する為の燃料ガス昇圧ブロワ16b等を備えている。共通ガス供給通路16aの下流端は、燃料電池発電モジュール15に接続され、共通ガス供給通路16aの上流端は、各住宅A,Bから延びる後述する複数のガス供給通路35a,35bの下流端に接続されている。
【0025】
排熱回収部17は、燃料電池発電モジュール15から外部に延びる排気ガスの排出通路の内部に設けられ、排熱回収循環回路5の一部を構成する熱交換通路部を備えている。この排熱回収部17において、燃料電池発電モジュール15から排出される排気を、熱交換通路部を流れる湯水との間で熱交換させて、排気中に含まれる水蒸気は冷却され凝縮されて凝縮水となり回収され、この回収された凝縮水は、不純物の浄化後に水蒸気改質用の純水として使用される。
【0026】
パワーコンディショナユニット18は、燃料電池発電モジュール15にて発電された直流電力を、通常の住宅A,B内で利用可能な100Vの交流電力に変換して、各住宅A,Bの分電盤6a,6bに配線を介して夫々出力する。複数の住宅A,Bのうちの一方の住宅Aの分電盤6aに供給された発電電力は、第1貯湯給湯装置3、家庭用電化製品等の各種の負荷に供給され、他方の住宅Bの分電盤6bに供給された発電電力は、第2貯湯給湯装置4、家庭用電化製品等の各種の負荷に供給される。
【0027】
尚、この燃料電池発電装置2は、2つの住宅A,Bに対応したものであり、燃料電池発電装置2の制御ユニット19は、燃料電池発電装置2の発電電力を最高効率点又はその近傍に設定して運転し、発電出力の合計として、例えば700W〜1kW程度が連続的に出力されるように制御するのが望ましい。
【0028】
この燃料電池発電装置2においては、系統電源7側に設置された電流検出部11a,11b(CT)を介して各住宅A,Bの使用電力量を共通のパワーコンディショナユニット18で監視し、現在の使用電力量に応じて、又は、過去数時間程度の発電電力履歴より算出された電力使用割合に応じて、燃料電池発電装置2の発電電力を各住宅A,Bの分電盤6a,6bに分配するようにパワーコンディショナユニット18を制御する。
【0029】
次に、複数の貯湯給湯装置3,4について説明する。
図1に示すように、複数の貯湯給湯装置3,4は、第1貯湯給湯装置3、第2貯湯給湯装置4からなる。第1貯湯給湯装置3は、貯湯、給湯、風呂への給湯及び追い焚き、床暖房パネル等の温水暖房端末への温水の供給等の機能を有するものであり、第1貯湯タンク21a、第1補助熱源機22a、給水通路23a、給湯通路24a、第1制御ユニット25a等を備えている。第2貯湯給湯装置4は、第1貯湯給湯装置3と同様な機能を有するものであり、第2貯湯タンク21b、第2補助熱源機22b、給水通路23b、給湯通路24b、第2制御ユニット25b等を備えている。
【0030】
尚、第1,第2貯湯給湯装置3,4は、上記の器具以外にも各種の通路類、混合弁や開閉弁等の各種の弁類を備えているが、図示は省略する。また、第1,第2貯湯給湯装置3,4は、同じ機能を備えたものであっても良いし、異なる機能を備えたものであっても良い。
【0031】
図1に示すように、第1,第2貯湯タンク21a,21bは、燃料電池発電装置2で加熱された高温の湯水を貯留するものであり、耐腐食性に優れたステンレス板製の胴部材とその上下両端を塞ぐ1対の鏡板とで夫々構成され、貯留された湯水の放熱を防ぐ為にタンク周囲は断熱材で覆われている。第1,第2貯湯タンク21a,21bは、本実施例では同じ容量・形状ではあるが、特に同じ容量・形状に限定する必要はなく、互いに容量の異なる形状であっても良い。
【0032】
第1,第2貯湯タンク21a,21bには、給水通路23a,23b、給湯通路24a,24b、排熱回収循環回路5等が夫々接続され、給水通路23a,23bを介して上水源からの上水を第1,第2貯湯タンク21a,21b内に夫々補充可能となっており、排熱回収循環回路5を介して湯水が夫々加熱され、給湯通路24a,24bを介して第1,第2貯湯タンク21a,21b内に夫々貯留された高温の湯水(例えば、65〜90℃)を所望の給湯先に供給することができる。
【0033】
次に、排熱回収循環回路5について説明する。
図1に示すように、排熱回収循環回路5は、第1,第2貯湯給湯装置3,4と燃料電池発電装置2との間に湯水を循環させて燃料電池発電装置2の排熱を回収し、この回収された排熱を複数の住宅A,Bに分配して供給する閉回路であり、第1,第2貯湯タンク21a,21bの下部から延びる複数の上流往き通路部26a,26b、共通の下流往き通路部27、排熱分配弁32、共通の上流戻り通路部28、第1,第2貯湯タンク21a,21bの上部に戻る複数の下流戻り通路部29a,29b等を有している。
【0034】
共通の下流往き通路部27の燃料電池発電装置2の内部には、循環ポンプ31が設置されている。共通の下流往き通路部27と共通の上流戻り通路部28との間には、排熱回収部17の熱交換通路部が接続され、共通の上流戻り通路部28と複数の下流戻り通路部29a,29bとの間には、排熱分配弁32が設置されている。排熱分配弁32は、制御ユニット19により制御され、燃料電池発電装置2から回収した排熱を第1,第2貯湯タンク21a,21bに分配可能に構成されたものである。
【0035】
排熱分配弁32による排熱の分配比率においては、上流往き通路部26a,26bを流れる湯水温度に応じて排熱分配弁32を切換え制御しても良いし、設定時間に応じて排熱分配弁32を切換え制御しても良い。さらに、第1,第2制御ユニット25a,25bから排熱分配弁32に送信される第1,第2貯湯給湯装置3,4からの要求に応じて排熱分配弁32を切換え制御しても良い。
【0036】
次に、本発明に関連する複数のガス供給通路35a,35bとガスメータ36a,36bとガス流量調整弁38について説明する。
図1に示すように、コージェネレーションシステム1が設置された複数の住宅A,Bの各々は、燃料電池発電装置2に燃料ガスを供給する為のガス供給通路35a,35bと、このガス供給通路35a,35bに設けられ且つ燃料ガスの流量を計測する為のガスメータ36a,36bと、共通ガス供給通路16aと複数のガス供給通路35a,35bとの合流部に設置されたガス流量調整弁38等を備えている。複数のガス供給通路35a,35bは、第1ガス供給通路35aと第2ガス供給通路35bからなり、各住宅A,Bから延びて燃料電池発電装置2の共通ガス供給通路16aの上流端に夫々接続されている。
【0037】
各ガスメータ36a,36bは、膜式のものであり、小型コンピュータを内蔵し、自動遮断機能等を備えた公知のマイコンメータであり、ガス料金を精算する為に各住宅A,Bに夫々設置されている。第1,第2ガス供給通路35a,35bから分岐した分岐通路37a,37bが、第1,第2貯湯給湯装置3,4の第1,第2補助熱源機22a,22b等に夫々接続されている。第1,第2ガス供給通路35a,35bの上流端は、共通の燃料ガスの供給源に夫々接続されている。
【0038】
ガス流量調整弁38(ガス流量調整手段に相当する)は、制御ユニット19により制御される混合弁であり、複数のガス供給通路35a,35bの各々を流通する燃料ガスの遮断及び流量調整を行うように構成されたものである。即ち、ガス流量調整弁38は、燃料電池発電装置2の発電電力の分配比率又は燃料電池発電装置2から回収された排熱の分配比率の少なくとも一方に応じて、複数のガス供給通路35a,35bの各々を流れる燃料ガスの流量を調整する。尚、ガス流量調整弁38は、燃料電池発電装置2の外部に設置されているが、特に限定する必要はなく、燃料電池発電装置2の内部に設置されても良い。
【0039】
複数のガス供給通路35a,35bの一部は、ガス流量調整弁38によって設定期間毎に遮断される。即ち、第1,第2ガス供給通路35a,35bを流れる燃料ガスの流量が交互に100:0になるように、ガス流量調整弁38を設定期間毎(例えば27日毎)に設定時間(例えば各10時間程度)強制的に交互に閉じることで、燃料電池発電装置2の発電運転を継続しながら、ガスメータ36a,36bによるガス漏れ異常検出を回避することができる。
【0040】
次に、本発明のコージェネレーションシステム1の作用及び効果について説明する。
このコージェネレーションシステム1においては、燃料電池発電装置2の稼動時、燃料電池発電装置2の発電電力の分配比率又は燃料電池発電装置2から回収された排熱の分配比率の少なくとも一方に応じて、ガス流量調整弁38が、第1,第2ガス供給通路35a,35bの各々を流れる燃料ガスの流量を調整して、この流量が調整されて混合された燃料ガスが共通ガス供給通路16aを通って燃料電池発電装置2に供給されている。
【0041】
ここで、燃料電池発電装置2の発電電力の分配比率に応じて燃料ガスの流量を調整する場合は、制御ユニット19は、電流検出部11a,11b(CT)を介して、例えば、各住宅A,Bにおける現在の使用電力量を取得し、これら使用電力量に応じて、燃料電池発電装置2の発電電力を各住宅A,Bの分電盤6a,6bに分配し、このときの発電電力の分配比率に応じて、制御ユニット19は、発電電力の分配比率と同様な比率になるように、ガス流量調整弁38を介して燃料ガスの流量を調整する。
【0042】
また、燃料電池発電装置2から回収された排熱の分配比率に応じて燃料ガスの流量を調整する場合は、制御ユニット19は、例えば、排熱分配弁32による排熱の分配比率と同様な比率になるように、ガス流量調整弁38を介して燃料ガスの流量を調整する。尚、発電電力の分配比率と排熱の分配比率の両方の比率に応じて、ガス流量調整弁38を介して燃料ガスの流量を調整することもできる。
【0043】
各ガスメータ36a,36bは、第1,第2ガス供給通路35a,35bを流通する燃料ガスの流量を自動的に夫々計測し、その積算値を算出する。この算出された積算値に基づいて各住宅A,Bのガス料金の算出を行う。この際、上述したように発電電力の分配比率又は排熱の分配比率の少なくとも一方に応じた燃料ガスが第1,第2ガス供給通路35a,35bを流通しているので、住宅A,B毎における発電電力や排熱の使用量を含めたガス料金が算出可能になる。
【0044】
以上説明したように、複数の住宅A,Bの各々は、燃料電池発電装置2に燃料ガスを供給する為のガス供給通路35a,35bと、複数のガス供給通路35a,35bの各々に設けられ且つ燃料ガスの流量を計測する為のガスメータ36a,36bとを備えているので、燃料電池発電装置2の入力側に設置された複数のガスメータ36a,36bを使用して、複数のガス供給通路35a,35bを流通する燃料ガスの流量を夫々計測し、これらガス流量を利用することで、各住宅A,Bに対して燃料電池発電装置2の使用に応じて課金を行うことができる。
【0045】
従って、ガス料金の精算の為に設置された既存のガスメータ36a,36bを利用することで、燃料電池発電装置2の出力側に電力メータや熱量メータ等の計測器具を追加的に設置して専用の課金システムを構成する必要がなくなるので、低コストで且つ簡単に課金を行うことができる上、各住宅A,Bが適正に利用可能なコージェネレーションシステム1を提供することができる。
【0046】
また、複数のガス供給通路35a,35bの一部は、ガス流量調整弁38によって設定期間毎に遮断されるので、ガス供給通路35a,35bに燃料ガスが長時間流通した状態になるのを防止し、ガスメータ36a,36bの遮断機能が作動してガス供給通路35a,35bが強制的に遮断されるのを防止することができると共に、複数のガス供給通路35a,35bを順次遮断することで、一部のガス供給通路35a,35bの流通状態は確保できるので、燃料電池発電装置2の発電運転を継続することができる。
【0047】
特に、燃料電池発電装置2が、固体酸化物形燃料電池である場合には、起動停止に長時間必要であるが、固体酸化物形燃料電池の発電運転を継続することで、コージェネレーションシステムの効率の悪化を防止することができると共に、起動停止回数の増加を抑制するので、発電セルの劣化を防止し、発電効率の低下や発電電圧の低下を防止することができる。
【0048】
次に、前記実施例を部分的に変更した形態について説明する。
[1]前記実施例において、第1,第2ガス供給通路35a,35bの合流部にガス流量調整弁38として混合弁が設置されているが、特にこの構造に限定する必要はなく、1つのガス流量調整弁38に代えて、第1,第2ガス供給通路35a,35bの合流部の近傍部にガス流量調整手段として1対の調整弁を夫々設置しても良い。
【0049】
[2]前記実施例において、コージェネレーションシステム1は、2つの住宅A,Bに対応した構造であるが、この構造に限定する必要はなく、2以上の複数の住宅に対応した構造であっても良い。この構造の場合、ガス流量調整弁38や排熱分配弁32の弁構造が住宅の数に応じて適宜変更される。
【0050】
[3]前記実施例において、発電手段として固体酸化物形燃料電池について説明したが、これに限定する必要はなく、固体高分子形燃料電池、ガスエンジン等を採用しても良いし、これら以外にも種々の公知なものを採用可能である。
【0051】
[4]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0052】
A,B 住宅
1 コージェネレーションシステム
2 燃料電池発電装置(発電手段)
5 排熱回収循環回路(排熱回収手段)
6a,6b 分電盤
35a,35b ガス供給通路
36a,36b ガスメータ
38 ガス流量調整弁(ガス流量調整手段)
図1