(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る照明装置を、図面を参照して説明する。
第1の実施形態に係る照明装置は、照明装置が有する面状の発光部を複数(例えば縦横3つずつの)小領域に分割し、当該小領域に含まれる光源別に発光強度を独立して調整可能とする照明装置である。
【0017】
[全体構成]
図1は、第1の実施形態に係るナンバープレート認識システムの全体構成を示す図である。
ナンバープレート認識システム100は、撮像装置1、照明装置2及びこれらを支持する取付支柱3と、他のエリアに設置された情報収集装置4と、を備えている。
【0018】
ナンバープレート認識システム100は、
図1に示すように、一般道路や有料道路等の車線上に設置される設備である。ナンバープレート認識システム100は、例えば、車線102の路面S上を走行する車両101の進行方向後方側から車両101の後面側のナンバープレートを撮像し、当該撮像データから車両101の車両番号情報等を取得する。
【0019】
図1に示すように、撮像装置1は、路面S上の所定の撮像範囲を撮像可能なように、取付支柱3に設置され、車線102を走行する車両101の進行方向後方側からナンバープレートを含む後面を撮像する。ここで「撮像範囲」とは、撮像装置1が取得する撮像データ内に含まれる路面S上の範囲である。したがって、撮像装置1は、当該撮像範囲内を走行する車両101のナンバープレートを撮像可能とする。
車両101のナンバープレートが撮像された撮像データ(後述する撮像データP)は、有線または無線通信を介して、他のエリア(例えば、料金所事務所等)に設置された情報収集装置4に出力される。
【0020】
図1に示すように、照明装置2は、路面S上の所定の照射範囲を照射可能なように、撮像装置1とともに取付支柱3に設置される。ここで「照射範囲」とは、照明装置2が路面S上を明るく照らすことが可能な範囲である。なお、照明装置2の照射範囲は、撮像装置1の撮像範囲を全て含むように配される。そして、照明装置2は、当該撮像範囲における撮像画像の明度が期待される程度の値となるように、照射範囲内の照度分布を所望に調整可能とする。これにより、撮像装置1は、当該撮像範囲のうちいずれの箇所で撮像される車両であっても、ナンバープレートの鮮明な撮像データを取得することができる。
なお、照明範囲においてその照度分布を所望に調整可能とする照明装置2の具体的な構成については後述する。
【0021】
取付支柱3は、その基端が車線102の外側の路面に固定設置され、上方において車線102の内側に延伸する支持柱である。取付支柱3には、上述した撮像装置1及び照明装置2が設置される。
なお、取付支柱3は、例として、
図1に示すような片持ちのカンチレバーでもよいし、車線102を幅方向に跨ぐように設置されるガントリー等であってもよい。
【0022】
情報収集装置4は、入力された撮像データに対し、撮像されたナンバープレートに描かれた車両番号情報等を抽出する処理等を実施する。また、情報収集装置4は、抽出した車両番号情報を、時刻情報や撮像位置(撮像装置1の識別子)等の情報とともに記憶、蓄積する。このように収集された車両番号情報は、例えば、不正交通車両の特定等に役立てられる。
【0023】
[照明装置の構成]
図2は、第1の実施形態に係る照明装置の構造を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係る照明装置2は、略方形状の筐体20の正面に面状の発光部21を備えた構成となっている。面状の発光部21は、赤外波長領域の光を放射可能とする赤外線LED21aが平面状の実装基板21b一面に多数配列されて構成される。発光部21は、この赤外線LED21aに直流電流が供給されることで当該直流電流に応じた発光強度の赤外光が放射され、所定の照射範囲を照射可能とする。ここで「発光強度」とは、光源部210(すなわち赤外線LED21a)から放射される赤外光の強さの度合いであって、一般的な物理量としては、「放射束」(単位:W)等によって示されるものである。なお、光源部210が可視光を放射する場合は、当該「発光強度」は、「光束」(単位:ルーメン)等で示されてもよい。
発光部21は、縦横に3区分ずつ格子状の小領域に区分された9個の板状の光源部210で構成されている。9個の光源部210は、単一の実装基板21bにより物理的に一体とされているが、後述するように、電流調整部23(
図3)により、各々独立して赤外光の発光強度を調整できるようになっている。
複数の光源部210は、照明装置2の照射範囲を複数に分割した照射区画の各々を主として照射する。
【0024】
図3は、第1の実施形態に係る照明装置の機能構成を示す図である。
図3に示すように、本実施形態に係る照明装置2は、筐体20の内部に、発光部21、設定入力部22、電流調整部23、及び電力供給部24を備えている。
発光部21は、
図2に示したように、9個の光源部210により構成される。発光部21の各光源部210は、電流調整部23から直流電流を供給されることで発光(赤外光を放射)する。なお、光源部210(赤外線LED21a)は、供給される直流電流に比例して発光強度が増減する。
設定入力部22は、作業者の設定入力を受け付ける操作パネルである。設定入力部22は、作業者が入力する設定入力値に応じた設定値を電流調整部23に提供する。ここで、設定入力値とは、各光源部210の各々に供給する電流値である。
電流調整部23は、電力供給部24から供給される電力を元に直流電流を生成して各光源部210に供給する。ここで、電流調整部23は、設定入力部22にて光源部210ごとに設定された電流値を、各々対応する光源部210に供給する。
以上の構成により、作業者は、設定入力部22を介して各光源部210の各々に供給する電流値を個別に設定することで、9個の光源部210それぞれの照射条件である発光強度を独立して調整することができる。
電力供給部24は、照射の元となる電力を電流調整部23に供給する。電力供給部24は、例えば、接続された電力系統から電力の入力を受け付ける受電回路や、照明装置2に内蔵される蓄電池、またはこれらの組み合わせであってもよい。
なお、以下の説明において、光源部210ごとの供給電流の大小関係を説明する場合には、所定の供給電流値[A]を基準(100%)とした百分率[%]により示すこととする。
【0025】
[作用効果]
図4、
図5は、第1の実施形態に係る照明装置の作用効果を説明する第1、第2の図である。
以下の作用効果の説明では、所望の照度分布を得る一例として、路面S上において均一な照度分布を得る場合を説明する。
図4(a)では、全ての光源部210の供給電流を所定値(100%)一定と設定した場合における路面S上の照度分布を示している。なお、この設定は、従来の照明装置による照射を模擬している。
図4(a)に示すように、光源部210の供給電流を共通(100%)とした場合、光源部210ごとの発光強度は均一となる。この場合、各光源部210は各々に対応する照射区画を同等に照射する結果、一定距離以上離れた路面S上においては通常の点光源の特性を示す。すなわち、発光部21から距離が近いエリアに照度が高いスポット(
図4(a)「明」の領域)が現れ、当該スポットから距離が離れるにつれて放射状に照度が落ちていく特性となる。このような照度分布のため、路面Sにおいては、特に車線幅方向に照度の変化が大きくなる。例えば、車線L1を走行する車両と車線L2を走行する車両に照射される光の強度は大きく異なってしまい、撮像装置1(
図1)における同一の撮像条件(シャッター速度、絞り量等)によっては、何れか一方の車両しかナンバープレートを鮮明に撮像できない(
図4(a)参照)。
【0026】
上述したように、本実施形態に係る照明装置2は、供給電流を光源部210別に調整できる。そこで、例えば、車線幅方向の左右の光源部210への供給電流を基準値よりも高く設定し(例えば120%)、車線幅方向中央の光源部210への供給電流を基準値よりも低く設定する(例えば60%)。このように設定すると、発光部21の右側または左側に配される光源部210は、それぞれ、車線幅方向右寄りまたは左寄りの照射区画を一層明るく照らし、一方、発光部21の中央に配される光源部210は、車線方向中央付近の照射区画の照度を低下させる。その結果、路面S上における照度分布は、全体として車線幅方向に均一化される(
図4(b)参照)。このような照度分布によれば、例えば車線L1を走行する車両と車線L2を走行する車両に照射される光の強度はほぼ均一となるため、撮像装置1は、いずれの車両も同等の撮像条件で鮮明に撮像することができる。
このように、本実施形態に係る照明装置2は、車線幅方向に配される光源部210ごとの供給電流を適切に調整することで、従来(
図4(a))と比較して、車線幅方向の照度分布を均一化させることができる。
【0027】
また、本実施形態に係る照明装置2は、
図5に示すように、車両101の進行方向に沿う方向に生じる照度分布を均一化させることもできる。例えば、高さ方向において最も高い位置に配される光源部210は、車両の進行方向前方側の照射区画(照射区画Aa)を照射する。同様に、高さ方向において中央に配される光源部210は、照射区画Abを、最も低い位置に配される光源部210は、進行方向後方側の照射区画(照射区画Ac)を照射する。この場合、全ての光源部210が均一な供給電流(100%)であった場合、進行方向後方側から前方側(照射区画Acから照射区画Aa)にかけて徐々に照度が低下する特性となる。
しかしながら、
図5に示すように、高さ方向において最も高い位置に配される光源部210への供給電流を相対的に高く設定し(例えば120%)、最も低い位置に配される光源部210への供給電流を相対的に低く設定する(例えば80%)。このようにすることで、路面S上の照射区画までの距離が離れている光源部210ほど発光強度が増加するため、照射範囲全体(照射区画Aa〜Ac)にかけて均一な照度分布とすることができる。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る照明装置2は、面状の発光部21において格子状の小領域に区分された9個の光源部210別に独立して発光強度を調整することができる。したがって、照明装置2の照射範囲の照度を、各光源部210に対応する照射区画別にきめ細やかに調整することができ、これにより、例えば、
図4、
図5で示したように、1台の照明装置のみで、車線幅方向、及び、車両の進行方向の両方にわたって広範囲に照度を均一化させることも可能となる。なお、本実施形態に係る照明装置2は、発光部21を区分した小領域(光源)別に電流供給量を調整する電流調整部23を有する他は、従来の照明装置と変わらない構成であるため、通常の照明装置と比較して製造コストが極端に増加することはない。
なお、本実施形態に係る照明装置2の作用効果として、路面S上において均一な照度分布を得ることが可能であることを説明したが、これは一例であり、他の照度分布を得るものとしてもよい。例えば、撮像装置1が取得した撮像画像の明度がより均一となるように、照明装置2の投光方向における手前側の照度が相対的に低く、遠方側の照度が相対的に高くなるような照度分布となるように調整してもよい。
【0029】
以上、第1の実施形態に係る照明装置によれば、低コストで、照射範囲内における照度分布を所望に調整することができる。
【0030】
また、本実施形態に係る照明装置2は、発光部21が縦横の両方に格子状に区分されているため、車線幅方向のみならず車両の進行方向(投光方向に沿う方向)についての照度分布を調整可能とすることができる。これにより、例えば、照射する領域との距離が大きい光源部210ほどその発光強度を強く設定することで、照度分布を所望に調整できる領域を一層拡大させることができる。
【0031】
なお、上述の照明装置2は、設定入力部22を介して、作業者自らが供給電流(すなわち光源部210ごとの発光強度)を設定するものとして説明したが、他の実施形態においては、このような態様に限定されない。例えば、他の実施形態に係る照明装置2(電流調整部23)は、有線または無線を介して外部から受信する設定情報に基づいて、光源部210ごとの供給電流を決定するものであってもよい。
また、電力供給部24は、筐体20の内部ではなく、筐体20とは別の筐体として設けられていてもよい。このようにすることで、照明装置2の内部における発熱を抑制することができる。
【0032】
なお、上述の照明装置2は、各光源部210が単一の実装基板21bにより物理的に一体とされていたが、他の実施形態においては、光源部210ごとに、物理的に分離した複数の実装基板21bにより構成されるものであってもよい。
また、照明装置2が照射する光は赤外光に限定されず、例えば、可視光等であってもよい。
【0033】
また、照明装置2は、照射条件として、上述した「発光強度」の他に、撮像装置1の撮像処理時における「照射時間」を調整可能としてもよい。また、この場合、照明装置2は、「発光強度」及び「照射時間」を組み合わせて調整してもよい。このように、撮像処理時における照射時間を調整することによっても、照射範囲内における照度分布を調整することができる。
発光強度そのものの調整範囲は有限であるため、発光強度の調整のみでは所望の照度分布とすることができない場合が想定される。しかし、上述のように、照射条件として「発光時間」を調整することで、照度分布の調整範囲を拡大することができる。
【0034】
<第2の実施形態>
第1の実施形態に係る照明装置は、面状の発光部を小領域に分割し、当該小領域に含まれる光源別に発光強度を独立して調整可能としたが、第2の実施形態に係る照明装置は、当該小領域毎に光(赤外光)の投光方向を独立して変更可能とする。
【0035】
[照明装置の構成]
図6、
図7は、第2の実施形態に係る照明装置の構造を示す第1、第2の図である。
図6に示すように、本実施形態に係る照明装置2は、第1の実施形態と同様、略方形状の筐体20の正面に面状の発光部21を備えた構成となっており、発光部21は、縦横に3区分ずつ格子状の小領域に区分された9個の光源部210で構成される。本実施形態に係る光源部210の構成は、光源部210ごとに実装基板21bが物理的に分離して配されているほかは、第1の実施形態と同一である。
【0036】
図6に示すように、各光源部210(実装基板21b)は、投光方向を独立して変更可能としている。具体的には、実装基板21bの初期配置(
図6のXZ平面に平行な面)から±X方向及び±Z方向を軸として所定角度まで回転可能としている。
【0037】
図7に示すように、各光源部210は、実装基板21bの裏面(−Y方向側の面)側において第1軸可動部25及び第2軸可動部26を備えている。
第1軸可動部25には、±X方向に沿って形成された水平挿入口25a、及び±Y方向に沿って形成された垂直挿入口25bが設けられている。第1軸可動部25の水平挿入口25aには、筐体20に固定された水平挿入軸20aが挿入されている。これにより、第1軸可動部25は、筐体20を基準として、水平挿入軸20aの延伸方向を軸回りに回転可能とされている。
また、第1軸可動部25の垂直挿入口25bには、第2軸可動部26の一部である垂直挿入軸26aが挿入されている。これにより、第2軸可動部26は、第1軸可動部25を基準として、垂直挿入軸26aの延伸方向を軸回りに回転可能とされている。さらに、第2軸可動部26は、
図7に示すように、接合面26bをもって実装基板21bの裏面側に固着される。
実装基板21bは、上述の第1軸可動部25及び第2軸可動部26を介して筐体20に連結されることで、面の向く方向を±X軸回り、±Z軸回りの両方に回転させることができる。
以上の構成により、作業者は、光源部210(実装基板21b)の向きを個別に調整することで、9個の光源部210それぞれの照射条件である投光方向を独立して調整することができる。
【0038】
なお、上述した実装基板21bの可動機構は一例であり、光源部210の向きを個別に調整可能とすることができれば他の異なる構成であっても構わない。
【0039】
[作用効果]
図8は、第2の実施形態に係る照明装置の作用効果を説明する図である。
ここで、
図8(a)は、全ての光源部210の実装基板21bの面が車線幅方向と平行となるように、同一に設定されている。この設定は、従来の照明装置による照射を模擬している。
この場合、
図4(a)と同様に、各光源部210は各々に対応する照射区画を同等に照射する結果、一定距離以上離れた路面S上においては通常の点光源の特性を示す。よって、路面S上における照度分布はスポット状となり、照度が均一となる範囲は狭くなってしまう。
【0040】
上述したように、本実施形態に係る照明装置2は、投光方向を光源部210別に調整できる。そこで、例えば、
図4(b)に示すように、車両進行方向左側の光源部210の投光方向を左寄りに調整するとともに、右側の光源部210の投光方向を右寄りに調整する。このように設定すると、発光部21の右側または左側に配される光源部210に対応する照射区画が一層右側または左側へシフトし、スポット状に集中していた光が分散する。その結果、路面S上における照度分布は、全体として車線幅方向に均一化される(
図8(b)参照)。このような照度分布によれば、例えば車線L1を走行する車両と車線L2を走行する車両に照射される光の強度は均一となるため、撮像装置1は、いずれの車両も同等の撮像条件で鮮明に撮像することができる。
このように、本実施形態に係る照明装置2は、車線幅方向に配される光源部210ごとの投光方向を適切に調整することで、従来(
図8(a))と比較して、車線幅方向の照度分布を均一化させることができる。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る照明装置2は、面状の発光部21において格子状の小領域に区分された9個の光源別に独立して投光方向を調整することができる。したがって、各光源部210に対応する照射区画の位置を調整して、照射範囲全体の大きさや形状を柔軟に変化させることができる。これにより、作業者は、照度分布が広範囲で均一となるように照射範囲の大きさ、形状を調整することができる。
【0042】
<第2の実施形態の変形例>
また、第2の実施形態に係る照明装置2は、第1の実施形態(
図3)と同一の機能構成を有することで、同実施形態に係る照明装置と同様に、光源部210ごとの発光強度を独立して制御可能としてもよい。このようにすることで、光源部210ごとの投光方向と発光強度の両方が調整可能となるので、照度分布の調整範囲を一層拡大することができる。
【0043】
[作用効果]
図9は、第2の実施形態の変形例に係る照明装置の作用効果を説明する図である。
図9に示すように、第2の実施形態の変形例に係る照明装置2A、2B、2Cは、撮像装置1とともに取付支柱3に取り付けられて支持されている。撮像装置1は、
図9に示す所定の撮像範囲Rを撮像する。なお、取付支柱3が片持ちのため、照明装置2A、2B、2Cは、いずれも一方側の車線(車線L1)に寄って取り付けられている。
本実施形態に係る照明装置2A、2B、2Cによれば、
図9のように、全ての照明装置が一方側の車線に寄って取り付けられている状態であっても、他方側の車線も含めた撮像範囲Rの全範囲において照度分布が均一となるように照射することができる。
【0044】
具体的には、作業者は、まず、照明装置2Aの9個の光源部210の投光方向を変更することで、各々に対応する照射区画a1の位置を、撮像範囲Rに整合させるように調整する。同様に、作業者は、照明装置2B、2Cの各光源部210の投光方向を変更して、各々に対応する照射区画b1、c1の位置を撮像範囲Rに合わせるように調整する。このようにすることで、3つの照明装置2A、2B、2Cは、各々の照射範囲A、B、Cの形状を撮像範囲Rの形状に一致させるように個別に変形させることができる。
【0045】
また、本実施形態に係る照明装置2A、2B、2Cによれば、さらに、光源部210の発光強度を個別に変更することができる。したがって、作業員は、各照射区画a1、b1、c1ごとの照度が均一となるように発光強度を調整する。例えば、照明装置2A、2B、2Cから対応する照射区画の距離が離れるほど、光源部210の発光強度を増加させる(
図5参照)。このようにすることで、照射範囲A、B、Cの全範囲、すなわち撮像範囲Rの全範囲において照度分布を均一とすることができる。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る照明装置2によれば、照射区画ごとの位置及び照度を個別に設定することで、照射範囲A、B、Cの大きさ、形状を自由に変更可能としつつ、さらにその範囲全体において所望する照度分布とすることができる。したがって、撮像範囲Rの全範囲を均一に照射させるに際し、照明装置の台数を必要最小限に抑えることができ、設置コストを一層低減させることができる。
【0047】
なお、上述の第1の実施形態、第2の実施形態においては、面状の発光部21が縦横3区分ずつ(3×3)に分割された9個の光源部210によって構成される例を説明したが、他の実施形態においては、このような態様に限定されない。例えば、他の実施形態に係る照明装置2の発光部21は、2×2、3×2等、より少ない区分数に分割されていてもよいし、4×3等、より多い区分数に分割されていてもよい。また、複数の光源部210は、必ずしも格子状に配されている必要はなく、例えば、光源部210を縦または横一列のみに複数配置したり、発光部21内において千鳥状に配置したりしてもよい。
【0048】
また、上述の第1の実施形態、第2の実施形態において、照明装置2は、車両の進行方向後方側から車両101の後面を照射するものとして説明したが、他の実施形態においては、車両101の前面を照射するように配されるものであってもよい。ただしこの場合、撮像装置1は、照明装置2と同様に、車両101の進行方向前方側において、当該車両101のナンバープレートを含む前面を撮像可能とするように配されるものとする。
【0049】
また、照明装置2は、照射条件として、「発光強度」、「照射時間」及び「投光方向」の少なくとも2つを組み合わせて調整してもよい。
【0050】
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、上述した第1の実施形態、第2の実施形態に係る照明装置の照射条件(発光強度、投光方向、発光時間)を決定するために用いられる照明装置調整システムについて説明する。なお、本実施形態に係る照明装置調整システムは、以下に説明するナンバープレート認識システム100Aに組み込まれている態様として説明する。
【0051】
[全体構成]
図10は、第3の実施形態に係るナンバープレート認識システム(照射条件調整システム)の全体構成を示す図である。
図10に示すように、ナンバープレート認識システム100Aは、撮像装置1、照明装置2及びこれらを支持する取付支柱3と、他のエリアに設置された情報収集装置4と、を備えている。
本実施形態に係るナンバープレート認識システム100Aは、通常の処理(車両番号情報の収集処理)に加え、照明装置2の照射条件の調整作業をサポートするための動作モードである「照射条件調整モード」を選択可能とする。本実施形態に係るナンバープレート認識システム100Aは、当該「照射条件調整モード」が選択された際の処理動作に基づいて「照射条件調整システム」として機能する。
また、この照射条件調整モードにおいては、
図10に示すように、路面S上に複数の被撮像基準部材41が配置される。この被撮像基準部材41の構造及び配置の仕方について、以下に説明する。
【0052】
[被撮像基準部材についての説明]
図11は、第3の実施形態に係る被撮像基準部材の構造を示す図である。
図11に示すように、被撮像基準部材41は、矩形状に形成された被撮像面41aと、路面Sに接して筐体全体を支持する支持面41bと、を有している。被撮像面41aと支持面41bとは、直角に折れるように一体として形成されるとともに、支持面41bが路面Sに接して置かれることで、被撮像面41aが路面Sに対して垂直に立つように設置される。
路面S上に設置される被撮像基準部材41の被撮像面41aは、全て同一の材質、表面状態とし、その反射率が互いに同一となるように形成される。例えば、被撮像面41aは、一般的に用いられるナンバープレートと同一の材質または表面状態としてもよい。
【0053】
図12は、第3の実施形態に係る被撮像基準部材の配置方法を説明する図である。
本実施形態に係る照明装置は、第1の実施形態、第2の実施形態(及びその変形例)に係る照明装置と同一の照明装置である。すなわち、照明装置2の発光部21は、縦横3つずつに区分された9個の光源部210で構成され、当該光源部210別に独立して照射条件を変更可能とする。
例えば、
図12に示す照明装置2Bを調整の対象とする場合を説明する。この場合、照明装置2Bの発光部21を構成する複数の光源部210は、照射範囲Bのうちそれぞれ対応する9つの照射区画b1を照射している。この場合において、被撮像基準部材41は、被撮像面41aが撮像装置1に撮像されるように対向して配されながら、路面S上における照射範囲Bの照射区画b1ごとに複数設置される(
図12参照)。このように配置することで、複数の光源部210の各々の照射条件と、各被撮像基準部材41の撮像状態と、を概ね一対一に対応付けることができる。
【0054】
[情報収集装置の構成]
図13は、第3の実施形態に係る情報収集装置の機能構成を示す図である。
図13に示すように、本実施形態に係る情報収集装置4は、通信部400、モード選択部401、情報抽出部402、記憶部403、照射条件判定部404を備えている。
【0055】
通信部400は、無線または有線を介して撮像装置1と情報を送受信する通信モジュールである。情報収集装置4は、通信部400を介して撮像装置1が取得した撮像データP(P’)を取得する。
モード選択部401は、所定の入力手段(キーボード、タッチパネル等)を介して、作業者による入力操作を受け付けて、当該入力に応じてナンバープレート認識システム100の動作モードを決定する。具体的には、モード選択部401は、作業者の入力操作により、走行する車両(ナンバープレート)を撮像して車両情報等を抽出する「車両情報収集モード」と、照明装置2の照射条件の調整作業を行うための「照射条件調整モード」と、を選択可能とする。
照明装置2の照射条件の調整作業を行いたい場合、作業者は、入力手段を介して「照射条件調整モード」を選択する。
【0056】
情報抽出部402は、モード選択部401において「車両情報収集モード」が選択されているときに、通信部400を介して撮像装置1が取得した撮像データPを受け付ける。ここで、撮像データPは、車線102の路面S上を走行する車両101のナンバープレートが撮像された撮像データである。情報抽出部402は、取得した撮像データPに所定の解析処理(例えば、OCR(Optical Character Reader)処理)を施して、当該撮像データPのうちナンバープレートが撮像された領域から車両番号情報等を抽出する。情報抽出部402は、抽出した車両情報に時刻情報、位置情報等を関連付けながら記憶部403に記憶、蓄積する。
【0057】
照射条件判定部404は、モード選択部401において「照射条件調整モード」が選択されているときに、通信部400を介して撮像装置1が取得した撮像データP’を受け付ける。ここで、撮像データP’は、路面S上に配された複数の被撮像基準部材41が撮像された撮像データである。照射条件判定部404は、複数の被撮像基準部材41が撮像された撮像データP’を取得して、当該撮像データP’のうち被撮像面41aが撮像された領域における明度が均一か否かを判定する。また、照射条件判定部404は、ディスプレイモニタ等の通知手段を介して、作業者に判定結果を通知する。
照射条件判定部404の具体的な判定処理については後述する。
【0058】
[照射条件判定部の機能]
図14、
図15は、第3の実施形態に係る照射条件判定部の処理を説明する第1、第2の図である。
図14、
図15のそれぞれには、照射条件調整モードにおいて、撮像装置1により取得された撮像データP’の例を示している。
図14、
図15に示すように、撮像データP’には、路面S上に設置された9個の被撮像基準部材41の被撮像面41a(
図11)が撮像されている。
照射条件判定部404は、このような撮像データP’に対し、当該撮像データP’のうち被撮像面41aが撮像された9つの領域(判定領域p1〜p9)を抽出するとともに、9つの判定領域p1〜p9の各々の明度が予め定められた所定の範囲(固定明度範囲Bc)に収まっているか否かの判定処理を行う。なお、固定明度範囲Bcは、予め定められた最大判定閾値Bcmaxと、最小判定閾値Bcminとの差(Bc=Bcmax−Bcmin)で定められる。
【0059】
まず、
図14に示す撮像データP’の入力を受け付けた場合の照射条件判定部404の処理について説明する。
照射条件判定部404は、撮像データP’の入力を受け付けると、まず取得された撮像データP’のうち被撮像基準部材41の被撮像面41aが撮像された領域である判定領域p1〜p9を抽出する。そして、照射条件判定部404は、撮像データP’を構成する画素ごとの明度情報に基づいて、判定領域p1〜p9ごとの明度を算出する。
ここで、
図14に示す撮像データP’では、被撮像面41aが撮像された判定領域p1〜p9の明度がそれぞれ異なっている。具体的には、判定領域p1は、明度が相対的に高くなっている一方、判定領域p6〜p9は、相対的に明度が低くなっている。この場合において、判定領域p2〜p5の明度のみが、予め定められた所定の範囲(固定明度範囲Bc)に収まっているものとする。
この場合、照射条件判定部404は、判定領域p1、及び判定領域p6〜p9における明度が固定明度範囲Bcに収まっていないと判定し、撮像装置1の撮像領域において所望する照度分布となっていない旨を通知する。
【0060】
次に、
図15に示す撮像データP’の入力を受け付けた場合の照射条件判定部404の処理について説明する。
照射条件判定部404は、
図14の場合と同様に、撮像データP’の入力を受け付けると、取得された撮像データP’のうちの判定領域p1〜p9を抽出するとともに、判定領域p1〜p9ごとの明度を算出する。
ここで、
図15に示す撮像データP’では、被撮像面41aが撮像された判定領域p1〜p9の明度が均一となっている。この場合において、判定領域p1〜p9の明度全てが、固定明度範囲Bcに収まっているものとする。
この場合、照射条件判定部404は、判定領域p1〜p9における全ての明度が固定明度範囲Bcに収まっていると判定し、撮像装置1の撮像領域において所望する照度分布となっている旨を通知する。
【0061】
[情報収集装置の処理フロー]
図16は、第3の実施形態に係る情報収集装置の処理フローを示す図である。
まず、情報収集装置4のモード選択部401は、現在選択されている動作モードを参照する(ステップS01)。ここで、「車両情報収集モード」が選択されていた場合(ステップS01:NO)、情報収集装置4の通信部400は、撮像装置1から撮像データPの入力を受け付ける(ステップS02)。この場合、入力された撮像データPには、走行する車両101のナンバープレートが撮像されている。
モード選択部401は、入力された撮像データPを情報抽出部402に出力する。情報抽出部402は、この撮像データPに対し、車両番号情報の抽出処理を実施して、新たに抽出した情報を記憶部403に記憶、蓄積し(ステップS03)、処理を終了する。
【0062】
一方、「照射条件調整モード」が選択されていた場合(ステップS01:YES)、通信部400は、撮像装置1から撮像データP’の入力を受け付ける(ステップS04)。この場合、撮像の前段階において、予め被撮像基準部材41が、調整を実施しようとする照明装置2に対応する照射区画ごとに配置されており、撮像データP’には、当該被撮像基準部材41の被撮像面41aが撮像されている。
モード選択部401は、入力された撮像データP’を照射条件調整部44に出力する。照射条件調整部44は、この撮像データP’に対し、判定領域p1〜p9(
図14、
図15参照)の抽出処理、及び当該判定領域p1〜p9における明度の算出処理を行う(ステップS05)。
【0063】
照射条件判定部404は、抽出された全ての判定領域p1〜p9における明度が予め定められた所定の範囲内(固定明度範囲Bc)に収まっているか否かを判定する(ステップS06)。ここで、複数の判定領域p1〜p9における明度が固定明度範囲Bcに収まっていると判定した場合(ステップS06:YES、
図15参照)、照射条件判定部404は、所定の通知手段(ディスプレイモニタ等)を通じて、照明装置2が照射する照明範囲において所望する照度分布となっている旨の通知を行い(ステップS07)、処理を終了する。
一方、複数の判定領域p1〜p9の少なくとも一つにおいて明度が固定明度範囲Bcに収まっていないと判定した場合(ステップS06:NO、
図14参照)、照射条件判定部404は、通知手段を通じて、照明装置2が照射する照明範囲において所望する照度分布となっていない旨の通知を行い(ステップS08)、ステップS04(撮像データ取得処理)に戻る。
【0064】
このような処理フローによれば、判定領域p1〜p9のいずれかにおいて明度が所定の範囲内に収まっていない場合(ステップS06:NO)は、ステップS04〜ステップS08の処理が繰り返される。作業者は、この間に、照明装置2(発光部21)の照射条件(発光強度、投光方向または照射時間)を調整する。そして、照射条件が適切に調整されて、全ての判定領域p1〜p9において明度が所定の範囲内に収まった場合(ステップS06:YES)には、照射範囲内において所望する照度分布となった旨の通知が行われて処理が終了する。
【0065】
[作用効果]
以上のようなナンバープレート認識システム100Aによれば、実際に撮像装置1に取得された撮像データに基づいて、照明装置2の照射条件を調整することができる。すなわち、路面S上に配置された被撮像基準部材41の撮像状態(明度)を参照しながら、これらの撮像が均一に撮像されていることをもって最適な照射条件を決定することができる。
これにより、照射条件を細かく設定可能な照明装置に対し、当該照射条件を決定する際の負担を大幅に軽減させることができる。
【0066】
また、上述の
図12で説明したように、撮像装置1が撮像データP’を取得する際、被撮像基準部材41は、照明装置2の照射範囲に含まれる複数の照射区画ごとに複数設置されている。このようにすると、一つの光源部210の照射条件に応じて、当該光源部210の照射区画に対応する一つの判定領域p1〜p9の明度が大きく変化する。したがって、作業者は、撮像データP’のうち被撮像面が撮像された領域(判定p1〜p9)ごとの明度と、光源部210ごとの照射条件と、をある程度対応させながら調整することができ、作業者の調整作業の負担を一層軽減させることができる。
【0067】
なお、上記の説明において、第3の実施形態に係る照射条件調整システムは、ナンバープレート認識システム100Aに組み込まれ、「照射条件調整モード」で動作することでその機能を発揮する態様として説明したが、他の実施形態においてはこのような態様に限定されない。例えば、照射条件調整システムは、ナンバープレート認識システム100Aとは別に設けられる態様であってもよい。この場合、照射条件調整システムは、情報収集装置4の照射条件判定部404に相当する機能を有する他の装置(照射条件判定装置)を別途備える。さらに、当該照射条件判定装置は、撮像装置1から照射条件判定用の撮像データP’を取得して、照度分布の判定処理を行うものとする。
なお、この場合において、上記照射条件判定装置の設置箇所は、情報収集装置4の設置箇所(料金所事務所等)に限定されず、例えば、作業者が照射条件を調整中にリアルタイムで判定結果を確認可能な箇所に設置されるものであってもよい。
【0068】
また、第3の実施形態に係る照射条件調整システムは、撮像データP’の各判定領域p1〜p9における明度の「絶対評価」を行うもの、すなわち、各明度が予め定められた所定の範囲内(固定明度範囲Bc)に収まっているか否かを判定するものとして説明した。しかし、他の実施形態に係る照射条件調整システムにおいてはこの態様に限定されない。例えば、他の実施形態に係る照射条件判定部404は、撮像データP’の各判定領域p1〜p9における明度の「相対評価」を行うものとしてもよい。
【0069】
具体的には、照射条件判定部404は、各判定領域p1〜p9における明度のうち、最大の明度Bmaxと最小の明度Bminを取得するとともに、最大明度差ΔB(ΔB=Bmax−Bmin)を算出する。照射条件判定部404は、最大明度差ΔBが所定の判定閾値Bth以下となっている場合(ΔB≦Bth)には、撮像データP’内の明度がほぼ均一化され、照射範囲が所望する照度分布となっている旨の通知を行う(ステップS07)。一方、照射条件判定部404は、最大明度差ΔBが所定の判定閾値Bthを上回っている場合(ΔB>Bth)には、撮像データP’内の明度が均一化されていないため、照射範囲が所望する照度分布となっていない旨の通知を行う(ステップS08)。
【0070】
「絶対評価」の場合、太陽光や、周囲照明(街灯など)などの影響により、照明装置2単体の照射条件を精度よく評価できない場合が想定される。また、上記のような周囲環境や、照明装置2本体の位置と撮像範囲との距離等によっては、判定基準を満たす照度分布を得ることができない可能性もある。一方、上述のような「相対評価」とすることで、太陽光や周囲照明の影響を受けていていも、照明装置2単体の配光に基づいて明度が均一となっているか否かの判定をすることができる。
なお、照射条件判定部404は、さらに、上述の「絶対評価」と「相対評価」とを組み合わせて判定処理を行ってもよい。具体的には、照射条件判定部404は、各判定領域p1〜p9における明度が固定明度範囲Bcに収まっているか否か、を判定するとともに、さらに、固定明度範囲Bc内において、最大明度差ΔBが判定閾値Bth以下となっているか否かを判定してもよい。
【0071】
また、第3の実施形態に係る照射条件調整システムは、撮像データP’内の明度が均一化されていない場合には、単に、照射範囲が所望する照度分布となっていない旨の通知を行う(ステップS08)のみで、実際の調整作業は作業者が手動で行うものとして説明した。しかし、他の実施形態においては、例えば、取得された各判定領域p1〜p9における明度の大小関係に基づいて、照射条件を自動で変更する機能を有していてもよい。
【0072】
具体的には、他の実施形態に係る情報収集装置4は、新たに、照射条件判定部404の判定結果に基づいて照明装置2の照射条件を自動で調整可能とする照射条件調整部を有する。
ここで、照射条件判定部404は、例えば、判定領域p1〜p9における明度のうち最大の明度となっている判定領域pxと、最小の明度となっている判定領域pnと、を特定し、当該判定領域px、pnを示す情報を上記照射条件調整部に出力する。照射条件調整部は、判定領域px、pnを示す情報を受け付けると、照明装置2に向けて、判定領域pxに対応する光源部210の発光強度を一定量低下させる指令信号を出力する。同様に、照射条件調整部は、照明装置2に向けて、判定領域pnに対応する光源部210の発光強度を一定量増加させる指令信号を出力する。なお、当該他の実施形態に係る照明装置2の設定入力部22(
図3)は、上記照射条件調整部からの指令信号を受け付けるとともに、当該指令信号に応じた設定値を電流調整部23(
図3)に提供する機能を有するものとする。
照射条件調整部からの指令信号が照射条件に反映された後、通信部400が、新たに撮像装置1が取得した撮像データP’を受け付ける。照射条件判定部404は、新たに取得された撮像データP’について上記の判定処理を繰り返す。
このようにすることで、撮像データP’における明度分布の判定結果に応じて、明度分布が均一となるように照射条件が自動調整されるので、作業者の調整作業の負担を軽減することができる。
【0073】
また、上記の説明においては、照射条件調整システム(ナンバープレート認識システム100A)は、第1、第2の実施形態等に係る照明装置、すなわち、細かく区分された光源部210別に照射条件を設定可能とする照明装置について、照射条件の調整を行う例を説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。例えば、上述の照射条件調整システムは、発光部の照射条件を細かく設定変更できない従来の照明装置を調整対象としてもよい。例えば、上記従来の照明装置を複数設置して一つの撮像装置1の撮像範囲を照射する場合、複数の従来の照明装置の各々が照射する照射範囲ごとに被撮像基準部材41を配置する。そして、当該従来の照明装置の各々の照射条件を、撮像装置1が取得した撮像データP’の明度分布の判定結果に従って調整するようにしてもよい。
【0074】
また、本実施形態において、照射条件調整システムは、撮像データP’における判定領域p1〜p9の明度が予め定められた所定の範囲内に収まっているか否かを判定する照射条件判定部404を有するものとして説明したが、他の実施形態に係る照射条件調整システムは、この照射条件判定部404を要さない態様であってもよい。例えば、作業者は、単に、撮像データP’に含まれる判定領域p1〜p9の明度が均一になっているか否かを目視で判断しながら、照明装置2の照射条件を調整するようにしてもよい。
【0075】
また、上記の説明において、被撮像基準部材41は、光源部210の各々に対応する照射区画ごとに配置されるものとして説明したが、この被撮像基準部材41は、必ずしも照射区画ごとに配置されなくともよい。すなわち、被撮像基準部材41は、光源部210の各々に対応するように配置されなくとも、撮像装置1の撮像範囲内の照度を予め定めた所定照度とするための指標として機能するように配置されていればよい。
【0076】
また、上述の被撮像基準部材41は、被撮像面41aが路面Sに対して垂直に立つように設置されるものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。例えば、二輪車のナンバープレートを考慮して、路面Sの垂直方向に対し、被撮像面41aが30°程度上向きとなるように形成されるものであってもよい。その他、被撮像基準部材41は、撮像装置1に撮像されるとともに、照明装置2の照射条件を定める上で基準となるものであれば、如何なる態様であってもよい。
【0077】
<第4の実施形態>
第4の実施形態では、上述した第1の実施形態または第2の実施形態に係る照明装置を取付支柱に取り付ける際、その筐体を所望の取り付け角度に調整するために用いられる角度調整用治具について説明する。
【0078】
[全体構成]
図17は、第4の実施形態に係るナンバープレート認識システムの全体構成を示す図である。
図17に示すように、ナンバープレート認識システム100Bは、第1〜第3の実施形態と同様に、撮像装置1、照明装置2及びこれらを支持する取付支柱3と、他のエリアに設置された情報収集装置4と、を備えている。
また、本実施形態においては、照明装置2の取付支柱3への取り付け角度を調整する際に、当該照明装置2の天面に角度調整用治具5が配される(
図17参照)。
【0079】
[角度調整機構の構成]
図18は、第4の実施形態に係る照明装置の取り付け角度調整機構を説明する図である。
図18に示すように、本実施形態に係る照明装置2は、雲台27及びUボルト28を介して取付支柱3に取り付けられている。
雲台27は、照明装置2の筐体20と取付支柱3との間に取り付けられて、筐体20を自由な方向にむけて固定可能とするための台である。
雲台27は、回転機構27a、27bをそれぞれ有することで、筐体20に対し、ロール(Y軸を回転軸とする回転位置)、及び、パン(Z軸を回転軸とする回転位置)の調整が可能となっている(
図18参照)。また、雲台27の底面(−Z方向側の面)にはUボルト28が取り付けられる。このUボルト28は、取付支柱3を締め付けながら雲台27の底面に連結されることで、雲台27及び筐体20を取付支柱3に固定設置する。
図18に示すように、Uボルト28は、取付支柱3を締め付けながら雲台27に連結される際に、筐体20のチルト(X軸を回転軸とする回転位置)を調整可能とする。
【0080】
[角度調整用治具の構成]
図19は、第4の実施形態に係る角度調整用治具の構造を示す図である。
図19に示すように、角度調整用治具5は、矩形板状の角度調整面5aと、その角(頂点)に取り付けられた支持脚5bと、を有している。
【0081】
図19に示すように、角度調整面5aは、2つの水準器50a、50bと、方位磁石50c及び方位目盛り50dを有する。
水準器50a及び水準器50bは、例えば気泡管水準器であって、角度調整面5aが水平面(XY平面)と平行か否かを判断するための計測器である。例えば、水準器50a内の気泡の位置を判断することで、角度調整面5aが±X方向に対して傾斜しているか否かを判断することができる。また、水準器50b内の気泡の位置を判断することで、角度調整面5aが±Y方向に対して傾斜しているか否かを判断することができる。
また、方位磁石50cは、磁針により磁北を示す計測器である。方位目盛り50dは、方位磁石50cが示す磁北の向きを基準として、角度調整面5aのパン(Z軸を回転軸とする回転位置)を特定するための目盛りである。
【0082】
また、
図19に示すように、支持脚5bは、角度調整面5aの各頂点から−Z方向に延伸するように取り付けられている。支持脚5bは、各々の長さを調整可能とする伸縮機構51aを有している。支持脚5bは、その先端が筐体20の天面に固定されながら角度調整面5aを支持する。
【0083】
[情報収集装置の機能構成]
図20は、第4の実施形態に係る情報収集装置の機能構成を示す図である。
図20に示すように、本実施形態に係る情報収集装置4は、新たに照度分布シミュレータ450と、治具設定値演算部451と、を有している。なお、他の実施形態と同一の機能構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
照度分布シミュレータ450は、利用者による設定入力を受け付けて、照明装置そのものの配光特性、発光強度、並びに当該照明装置の取り付け位置や角度に基づいて、照射対象物における照度分布を模擬(シミュレート)する機能部である。
なお、本実施形態に係る照度分布シミュレータ450は、一般的に用いられる既存の照度分布シミュレーションソフト等であってよい。
【0085】
治具設定値演算部451は、照度分布シミュレータ450により設定された照明装置2のパン、ロール、チルトの各々の値に基づいて、角度調整用治具5についての設定値を算出する。ここで、角度調整用治具5についての設定値とは、具体的には、4つの支持脚5bの各々の長さと、方位磁石50cの磁針が指す方位目盛り50dの目盛り数(すなわち、磁北を基準として角度調整面5aが向くべき方位)と、を算出する。
【0086】
図21は、第4の実施形態に係る照度分布シミュレータの機能を説明する図である。
作業者は、実際に照明装置2の取り付け作業を行う前に、照度分布シミュレータ450を用いて所望する照度分布を得るための照明装置2の取り付け角度条件を決定する。ここで、例えば、照度分布シミュレータ450は、
図21に示すように、照度分布を模擬した画像を表示する。この際、照度分布シミュレータ450は、予め記憶された照明装置2Bについての照射特性(発光強度、配光)、取り付け高さ(取付支柱3の高さ)等の各種設定値、並びに、作業者に入力されるパン、チルト、ロールの各入力パラメータを参照して、照明装置2Bについての照射範囲Bをシミュレート(模擬)する。作業者は、照度分布シミュレータ450が表示する模擬画像(
図21)を参照しながら、照明装置2Bについて所望する照射範囲Bを照射するための取り付け角度条件(パン、チルト、ロール)を決定する。
【0087】
図22は、第4の実施形態に係る治具設定値演算部の機能を説明する図である。
治具設定値演算部451は、照度分布シミュレータ450を用いて決定された照明装置2についての取り付け角度(パン、チルト、ロール)に基づいて、角度調整用治具5に対応する治具設定値を演算する。
具体的には、
図22(a)に示すように、治具設定値演算部451は、ロール値θと、角度調整面5aの長辺の長さrと、を参照して、支持脚5bの長さd1、d2を決定する。ここで長さd1、d2は、差Δdが、Δd=r・tanθを満たすように決定される。同様に、治具設定値演算部451は、チルト値と、角度調整面5aの短辺の長さと、に基づいて他の支持脚5bの長さを決定する。
また、
図22(b)に示すように、治具設定値演算部451は、照度分布シミュレータ450において決定されたパン値に基づいて磁北との角度差φを算出する。
【0088】
[作用効果]
作業者は、照明装置2の取り付け作業の際、以上に説明した角度調整用治具5を用いて作業を行う。具体的には、作業者は、まず、角度調整用治具5の各支持脚5bを、治具設定値演算部451が算出した支持脚5bごとの長さに調節する。そして、作業者は、支持脚5bの長さが調節された角度調整用治具5を照明装置2の天面に配しながら当該照明装置2の取り付け作業を行う。
【0089】
作業者は、照明装置2の天面に配された角度調整用治具5の水準器50a、50bを参照しながら照明装置2のチルト及びロールを調整する。すなわち、作業者は、水準器50a、50bにより角度調整面5aが水平となっていることが示されていることをもって、取り付け作業中の照明装置2が予め照度分布シミュレータ450を用いて決定したチルト及びロールの条件を満たしていることを把握することができる。
【0090】
さらに、作業者は、方位磁石50cの磁針の指す方位と、方位目盛り50dと、を参照しながら照明装置2のパンを調整する。すなわち、作業者は、方位磁石50cの磁針が方位目盛り50dにおいて角度差φを指すことをもって、当該照明装置2が予め決定したパンの条件を満たしていることを把握することができる。
【0091】
以上のように、作業者は、角度調整用治具5を用いながら予め決定した取り付け角度に合わせ込みながら、迅速かつ正確に照明装置2を取り付けることができる。したがって、高所において行われる作業者の取り付け作業の負担が軽減される。
また、角度調整用治具5専用の演算機能を有する治具設定値演算部451を用いることで、照度分布シミュレータ450により決定された取り付け角度条件を満たすための設定値(支持脚5bの長さ等)を容易に取得することができる。
【0092】
以上、本実施形態に係る角度調整用治具によれば、作業者による取り付け作業時の負担を軽減することができる。
【0093】
なお、本実施形態において、角度調整用治具5は、水準器50a、50b、及び方位磁石50cを備える態様として説明したが、他の実施形態についてはこの態様に限定されない。
例えば、角度調整用治具5は、水準器50a、50bのみを備え、方位磁石50cを備えない態様であってもよい。水準器50a、50bのみを備える角度調整用治具であっても、少なくとも、照明装置2のチルト及びロールを調整する際の負担を軽減する効果を得られる。
【0094】
具体的には、本実施形態に係る角度調整用治具5は、照明装置2の天面に配置される治具であって、板状の角度調整面5aと、角度調整面5aの水平面に対する傾斜の度合いを表示可能な水準器50a、50bと、角度調整面5aから垂直下方向に、照明装置2の取り付け角度に応じた長さに延伸し、その先端を照明装置2の天面に接しながら角度調整面5aを支持する複数の支持脚5bと、を備えている。
【0095】
また、上述の実施形態において、照度分布シミュレータ450及び治具設定値演算部451は、情報収集装置4に組み込まれているものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。例えば、照度分布シミュレータ450、治具設定値演算部451は、情報収集装置4とは異なる他の情報処理装置(汎用のパーソナルコンピュータ等)によって実現されるものであってもよい。
また、本実施形態に係る角度調整用治具5は、別途、作業者等が照明装置2を実際に設置して照射実験等を行いながら各支持脚5bの長さを決定してもよい。
さらに、角度調整用治具5の各支持脚5bは、必ずしもその長さを調整可能とされていなくともよい。すなわち、角度調整用治具5は、最初から、事前に行われた照射実験やシミュレーション結果等に基づいて決定された脚の長さに合わせて作製されたものであってもよい。
【0096】
上述の各実施形態における情報収集装置4の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる態様であってもよい。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)または半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0097】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。