(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上部タンクには、前記燃焼室へ前記酸化剤ガスを供給するための発電用空気供給通路が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、固体酸化物形燃料電池装置において、未反応の燃料ガスを集める上部タンクを設けることにより種々の利点はある。
しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池装置は、燃料電池ハウジング一側面に設けられた発電用空気供給口から供給した発電用空気を他側面へ向けて送っているため、発電用空気供給口から近い一側面方向の燃料電池セルと他側面方向の燃料電池セルでは、発電用空気の供給量に偏りが生じてしまい、一部の燃料電池セルに空気枯れを引き起こす懸念がある。そのため、発電用空気を大流量で流し、空気枯れを防止する必要がある。
【0007】
一方、燃料電池セルから排出されたオフガスの燃焼熱で改質触媒を加熱する形式の固体酸化物形燃料電池装置では、空気枯れを防ぐために発電用空気流量を大量に供給された場合、大量の発電用空気により改質触媒を有する改質部が冷却される。さらに、発電用空気が大流量のため発電用空気が一様に加熱されず、改質触媒の昇温に時間がかかってしまう。
【0008】
これに対して、燃料電池セル集合体中央から周囲方向に向けて発電用空気を噴出させることで、燃料電池セル集合体の空気の流れは軸対称な流れになる。したがって、適切な流量で発電用空気を燃料電池セル集合体にほぼムラなく供給することができる。
しかしながら、このような構成にすると、燃料電池ハウジング側面へ発電用空気を吹き付けることになり、燃料電池ハウジング側面に沿って発電用空気が上昇していく。そのため、燃焼室が上部タンク天井面に設けられた場合、上昇してきた発電用空気が燃焼室にまで回り込まず、燃焼が不安定になり、改質触媒の昇温が不十分となる。
【0009】
そのため、燃料電池セルから排出された未反応の燃料ガスの燃焼熱で改質触媒を昇温する形式の固体酸化物形燃料電池装置では、特に冷間時において、燃焼の不安定に伴い、改質触媒が十分に昇温されず、水素の精製が不十分となり、起動が不安定になる。
【0010】
従って、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、未反応の燃料ガスを集める上部タンクを設けたものにおいて、空気枯れを引き起こすことなく、上部タンクから噴出された未反応の燃料ガスの燃焼性を安定させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
炭化水素系の原燃料ガスが改質された燃料ガスと、酸化剤ガスとにより発電する固体酸化物形燃料電池装置であって、原燃料ガスを燃料ガスに改質する改質部と、内部に燃料ガス通路を備え、上下方向に延びる複数の燃料電池セルと、複数の燃料電池セルの周囲を取り囲むように形成された内側ケース部材と、内側ケース部材の周囲を取り囲むように形成された外側ケース部材と、内側ケース部材の外壁面と外側ケース部材の内壁面との間に形成された、燃料ガスを複数の燃料電池セルの下端へ供給する燃料ガス供給流路と、内側ケース部材の内部の中心に配置された酸化剤ガス供給管と、複数の燃料電池セルの各々の上端を内包すると共に、複数の燃料電池セルの各々の上端から噴出される未反応の燃料ガスを集約する上部タンクと、を備え、所定の間隔で、上部タンクの側面と内側ケース部材の内壁面との間に設けられ、酸化剤ガス供給管から内側ケース部材の内壁面へ向けて酸化剤ガスが通過する第一発電用空気流路を有し、酸化剤ガス供給管は上部タンクの中央を貫通して延びるように配置され、所定の間隔で全周に渡って、上部タンクの内周面と酸化剤ガス供給管の外周面との間に設けられ、酸化剤ガス供給管から上部タンクの上方へと酸化剤ガスが通過する第二発電用空気流路を有し、上部タンクは未反応の燃料ガスを上部タンクの外部へ噴出する噴出孔を有し、噴出孔は、第一発電用空気流路および第二発電用空気流路からの酸化剤ガスが噴出孔へ向かって集中するように設けられ、改質部は、燃料ガス供給流路内に燃料電池セルの上部を取り囲み、噴出孔の上方に設けられた燃焼室からの熱を受けるように配置されていることを特徴とする。
【0012】
このように構成された本発明においては、上部タンクは上面視においてドーナツ状に形成されており、上部タンクの中央を酸化剤ガス供給管が貫通するように延びている。また、酸化剤ガス供給管から内側ケース部材の方向へ酸化剤ガスを含有する発電用空気が供給され、上部タンクの側面と内側ケース部材の内壁との間を通る第一発電用空気流路が構成されている。なおかつ上部タンクの内周面と酸化剤ガス供給管外周面との間に全周に渡って均等に間隔が設けられた第二発電用空気通路が構成されており、酸化剤ガス供給管に対して軸対称な発電用空気の流れが形成され、適切な量の発電用空気で、燃料電池セルへ均等に供給することができる。さらに、上部タンクに形成された未反応の燃料ガスを噴出する噴出孔へ酸化剤ガスを集中するように構成することで、継続的に発電用空気を噴出孔へ供給することが可能になり、燃焼を安定させることができる。それに加えて、燃焼炎からの熱を受けるように改質部が配置されているため、燃焼炎の輻射熱により改質触媒を昇温させることができ、冷間時においても改質部の昇温を効率よく行い、水素を迅速に供給することができる。
【0013】
噴出孔は上方に突出するように設けられていることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、上部タンクの噴出孔を上方へ突出させることで、第一発電用空気流路から上昇してきた酸化剤ガスを含有する発電用空気は上部タンクの壁面の形状に沿って流れ、噴出孔まで誘導される。さらに、第二発電用空気流路から上昇してきた酸化剤ガスも第一発電用空気流路と同様に、上部タンクの壁面の形状に沿って流れていくため、噴出孔へ酸化剤ガスが集中する。したがって、噴出孔上方へ設けられた燃焼室へ発電用空気が絶えず供給されることになり、燃焼を安定させることができる。
【0014】
上部タンクには、燃焼室へ酸化剤ガスを供給するための発電用空気供給通路が設けられていることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、上部タンクは発電室と燃焼室とを連通させる発電用空気供給通路を備えているので、発電室へ供給された酸化剤ガスを直接燃焼室へ供給することができる。したがって、燃焼室への酸化剤ガスの供給量が増加し、燃焼性を向上させることが可能になる。さらに、より多くの酸化剤ガスを燃焼炎に接触させることができ、排ガスに熱量を与えることができるため、内側ケース部材を通じて、内側ケース部材に隣接して設けられた改質部へ熱を与えることができる。そのため、冷間時においても迅速な昇温が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の固体酸化物形燃料電池装置によれば、未反応の燃料ガスを集める上部タンクを設けた形式において、上部タンクに設けられた噴出孔へ発電用空気を集中させ、さらに燃焼室へ発電用空気を直接供給することで、燃焼性を安定させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1により、本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)の燃料電池モジュールに内蔵された燃料電池ハウジング8の内部構造を説明する。
この燃料電池ハウジング8内の内部には発電室10が設けられ、この発電室10の中には複数の燃料電池セル16が同心円状に配置されており、これらの燃料電池セル16により、燃料ガスと酸化剤ガスである発電用空気の発電反応が行われる。
【0018】
各燃料電池セル16の上端部には、上部タンク18が取り付けられている。各燃料電池セル16において発電反応に使用されずに残った残余の未反応の燃料(オフガス)は、上端部に取り付けられた上部タンク18に集められ、噴出孔18dの上方に設けられた燃焼室17へ流出される。流出した燃料は、発電室10内で発電に使用されずに残った空気により、燃焼室17内で燃焼され、排気ガスが生成される。
【0019】
図1に示すように、燃料電池ハウジング8は、概ね円筒状の密閉容器であり、燃料電池ハウジング8内の空間には、複数の燃料電池セル16が同心円状に配列されている。さらに、その周囲を取り囲むように燃料流路である燃料ガス供給流路20、排ガス排出流路21、酸化剤ガス供給流路22が順に同心円状に形成されている。ここで、排ガス排出流路21及び酸化剤ガス供給流路22は、酸化剤ガスを供給/排出する酸化剤ガス流路として機能する。
【0020】
燃料電池ハウジング8の下方からは、発電用の空気を供給する酸化剤ガス流入口である酸化剤ガス導入パイプ56、排気ガスを排出する排ガス排出パイプ58、さらに、上部タンク18から流出した残余燃料に点火するための点火ヒーター62が接続されている。
図1に示すように、これらの配管はすべて下方から接続されているため、燃料電池ハウジング8を縦長に形成でき、コンパクトに形成することができる。
【0021】
さらに、燃料電池ハウジング8の内部には、燃料電池セル16の周囲を取り囲むように、内側から順に、発電室構成部材である内側ケース部材64、外側ケース部材66、内側円筒容器68、外側円筒容器70が配置されている。上述した燃料ガス供給流路20、排ガス排出流路21、及び酸化剤ガス供給流路22は、これらの円筒部材及び円筒容器の間に夫々形成される流路であり、隣り合う流路の間で熱交換が行われる。即ち、排ガス排出流路21は燃料ガス供給流路20を取り囲むように配置され、酸化剤ガス供給流路22は排ガス排出流路21を取り囲むように配置されている。また、燃料電池ハウジング8の下端部の開放空間は、燃料を各燃料電池セル16に分散させる燃料ガス分散室76の底面となる概ね円形の分散室底部材72により塞がれている。
【0022】
内側ケース部材64は、概ね円筒状の中空体であり、その上端及び下端は開放されている。また、内側ケース部材64の内壁面には、分散室形成板である円形の固定部材63が気密的に溶接されている。この固定部材63の下面と、内側ケース部材64の内壁面と、分散室底部材72の上面により、燃料ガス分散室76が画定される。また、固定部材63には、各燃料電池セル16を挿通させる複数の挿通穴(図示せず)が形成されており、各燃料電池セル16は、各挿通穴63に挿通された状態で、セラミック接着剤により固定部材63に接着されている。このように、本実施形態の固体酸化物形燃料電池装置1においては、燃料電池モジュール2を構成する部材間相互の接合部には、セラミック接着剤が充填され、硬化されることにより、各部材が相互に気密的に接合されている。
【0023】
外側ケース部材66は、内側ケース部材64の周囲に配置される円筒状の管であり、内側円筒部材64との間に円環状の流路が形成されるように、内側ケース部材64と概ね相似形に形成されている。さらに、内側ケース部材64と外側ケース部材66の間には中間ケース部材65が配置されている。中間ケース部材65は、内側ケース部材64と外側ケース部材66の間に配置された円筒状の管であり、内側ケース部材64の外周面と外側ケース部材66、及び中間ケース部材65により燃料ガス供給流路20として機能する。その燃料ガス供給流路20内に改質触媒96を充填させることで改質部94が形成されている。このため、改質部94及び燃料ガス供給流路20は、燃料電池セル16における発熱、及び段状に形成された上部タンク18の上段側側面に設けられた噴出孔における残余燃料の燃焼熱を受ける。また、内側ケース部材64の上端部と外側ケース部材66の上端部は溶接により気密的に接合されており、燃料ガス供給流路20の上端は閉鎖されている。さらに、中間ケース部材65の下端と、内側ケース部材64の外周面は、溶接により気密的に接合されている。
【0024】
内側円筒容器68は、外側ケース部材66の周囲に配置される円形断面のカップ状の部材であり、外側ケース部材66との間にほぼ一定幅の円環状の流路が形成されるように、側面が外側ケース部材66と概ね相似形に形成されている。この内側円筒容器68は、内側円筒部材64の上端の開放部を覆うように配置される。外側ケース部材66の外周面と、内側円筒容器68の内周面の間の円環状の空間は、排ガス排出流路21として機能する。この排ガス排出流路21は、内側ケース部材64の上端部に設けられた複数の小穴64aを介して内側ケース部材64の内側の空間と連通している。また、外側ケース部材の下部側面には、排ガス流出口である排ガス排出パイプ58が接続されており、排ガス排出流路21が排ガス排出パイプ58に連通される。
【0025】
排ガス排出流路21の下部には、燃焼触媒60及びこれを加熱するためのシースヒーター61が配置されている。
燃焼触媒60は、排ガス排出パイプ58よりも上方に、外側ケース部材66の外周面と内側円筒容器68の内周面の間の円環状の空間に充填された触媒である。排ガス排出流路21を下降した排気ガスは、燃焼触媒60を通過することにより一酸化炭素が除去され、排ガス排出パイプ58から排出される。
シースヒーター61は、燃焼触媒60の下方の、外側ケース部材66の外周面を取り囲むように取り付けられた電気ヒーターである。固体酸化物形燃料電池装置1の起動時において、シースヒーター61に通電することにより、燃焼触媒60が活性温度まで加熱される。
【0026】
外側円筒容器70は、内側円筒容器68の周囲に配置される円形断面のカップ状の部材であり、内側円筒容器68との間にほぼ一定幅の円環状の流路が形成されるように、側面が内側円筒容器68と概ね相似形に形成されている。内側円筒容器68の外周面と、外側円筒容器70の内周面の間の円環状の空間は、酸化剤ガス供給流路22として機能する。また、燃料電池ハウジング8の下方には、酸化剤ガス導入パイプ56が接続されており、酸化剤ガス供給流路22が酸化剤ガス導入パイプ56に連通される。
【0027】
分散室底部材72は、概ね円形の皿状の部材であり、内側ケース部材64の内壁面にセラミック接着剤により気密的に固定される。これにより、固定部材63と分散室底部材72の間に、燃料ガス分散室76が形成される。また、分散室底部材72の中央には、バスバー80(
図1)を挿通させるための挿通管72aが設けられている。各燃料電池セル16に電気的に接続されたバスバー80は、この挿通管72aを通して燃料電池ハウジング8の外部に引き出される。また、挿通管72aには、セラミック接着剤が充填され、燃料ガス分散室78の気密性が確保されている。
【0028】
内側円筒容器68の天井面から垂下するように、発電用の空気を噴射するための、円形断面の酸化剤ガス供給管74が取り付けられている。この酸化剤ガス供給管74は、内側円筒容器68の中心軸線上を鉛直方向に延び、その周囲の同心円上に各燃料電池セル16が配置される。酸化剤ガス供給管74の上端が内側円筒容器68の天井面に取り付けられることにより、内側円筒容器68と外側円筒容器70の間に形成されている酸化剤ガス供給流路22と酸化剤ガス供給管74が連通される。酸化剤ガス供給流路22を介して供給された発電用空気は、酸化剤ガス供給管74の先端から下方に噴射され、固定部材63の上面に当たって、発電室10内全体に広がる。
【0029】
燃料ガス分散室76は、固定部材63と分散室底部材72の間に形成される円筒形の気密性のあるチャンバであり、その上面に各燃料電池セル16が林立されている。固定部材63の上面に取り付けられた各燃料電池セル16は、その内側の燃料極が、燃料ガス分散室76の内部と連通されている。各燃料電池セル16の下端部は、固定部材63の挿通穴63a(図示せず)を貫通して燃料ガス分散室76の内部に突出し、各燃料電池セル16は固定部材63に、接着により固定されている。
【0030】
図1に示すように、内側ケース部材64には、固定部材63よりも下方に複数の小穴64bが設けられている。内側ケース部材64の外周と中間ケース部材65の内周の間の空間は、複数の小穴64bを介して燃料ガス分散室76内に連通されている。供給された燃料は、外側ケース部材66の内周と中間ケース部材65の外周の間の空間を一旦上昇した後、内側円筒部材64の外周と中間ケース部材65の内周の間の空間を下降し、複数の小穴64bを通って燃料ガス分散室76内に流入する。燃料ガス分散室76に流入した燃料は、燃料ガス分散室76の天井面(固定部材63)に取り付けられた各燃料電池セル16の燃料極に分配される。
【0031】
さらに、燃料ガス分散室76内に突出している各燃料電池セル16の下端部は、燃料ガス分散室76内でバスバー80に電気的に接続され、挿通管72aを通して電力が外部に引き出される。バスバー80は、各燃料電池セル16により生成された電力を、燃料電池ハウジング8の外部へ取り出すための細長い金属プレート導体であり、碍子78を介して分散室底部材72の挿通管72aに固定されている。バスバー80は、燃料ガス分散室76の内部において、各燃料電池セル16に取り付けられた集電体82と電気的に接続されている。また、バスバー80は、燃料電池ハウジング8の外部において、インバータに接続される。なお、集電体82は、上部タンク18内に突出している各燃料電池セル16の上端部にも取り付けられている。これら上端部及び下端部の集電体82により、複数の燃料電池セル16が電気的に並列に接続されると共に、並列に接続された複数の燃料電池セル16が電気的に直列に接続され、この直列接続の両端が夫々バスバー80に接続される。
【0032】
次に、
図1を参照して、上部タンク18の構造を説明する。
図1に示すように、上部タンク18は、各燃料電池セル16の上端部に取り付けられたドーナツ型断面のチャンバーであり、この上部タンク18の中央には、酸化剤ガス供給管74が貫通して延びている。
【0033】
さらに、内側ケース部材64の内壁面には、上部タンク18支持用の3つのステー64cが等間隔に取り付けられている。各ステー64cは金属製の薄板を折り曲げた小片であり、上部タンク18を各ステー64cの上に載置することにより、上部タンク18は内側ケース部材64と同心円上に位置決めされる。これにより、上部タンク18の外周面と内側ケース部材64の内周面の間の隙間、及び上部タンク18の内周面と酸化剤ガス供給管74の外周面との間の隙間は、全周でほぼ均一になる(
図1)。
【0034】
発電に使用されずに残った未反応の燃料ガスは、各燃料電池セル16の上端から上部タンク18内に流出し、上部タンク18内で集約された燃料は各噴出孔18dから燃焼室17に流出し、
図1で示すように燃焼室17で燃焼される。
【0035】
また、
図1に示すように、噴出孔18dは上部タンク18の天井面に設けられており、上方に突出するように配置され、突出した形状にそって酸化剤ガスが流れるように構成されている。なお、本実施形態では、噴出孔18dは上部タンク18において最も上方に形成されている。さらに、上部タンクには発電室10と燃焼室17とを連通させる発電用空供給通路125が設けられている。発電用空気供給通路125は上部タンク18の全周に渡って均等な間隔で配置されており、酸化剤ガス供給管74から供給された酸化剤ガスが燃焼室17へと直接供給されるように構成されている。
【0036】
次に、
図1を参照して、原燃料ガスを改質するための構成について説明する。
まず、内側ケース部材64と外側ケース部材66の間の空間により形成されている燃料ガス供給流路20の下部には、水蒸気改質用の水を蒸発させるための蒸発部86が設けられている。蒸発部86は、外側ケース部材66の下部内周に取り付けられたリング状の傾斜板86a及び水供給パイプ88から形成されている。また、蒸発部86は、発電用の空気を導入するための酸化剤ガス導入パイプ56よりも下方で、排気ガスを排出する排ガス排出パイプ58よりも上方に配置されている。傾斜板86aは、リング状に形成された金属の薄板であり、その外周縁が外側ケース部材66の内壁面に取り付けられる。一方、傾斜板86aの内周縁は外周縁よりも上方に位置し、傾斜板86aの内周縁と、内側ケース部材64の外壁面との間には隙間が設けられている。
【0037】
水供給パイプ88は内側ケース部材64の下端から燃料ガス供給流路20内に鉛直方向に延びるパイプであり、水流量調整ユニットから供給された水蒸気改質用の水が、水供給パイプ88を介して蒸発部86に供給される。水供給パイプ88の上端は、傾斜板86aを貫通して傾斜板86aの上面側まで延び、傾斜板86aの上面側に供給された水は、傾斜板86aの上面と外側ケース部材66の内壁面の間に留まる。傾斜板86aの上面側に供給された水は、そこで蒸発され水蒸気が生成される。
【0038】
また、蒸発部86の下方には、原燃料ガスを燃料ガス供給流路20内に導入するための燃料ガス導入部が設けられており、燃料ガス供給パイプ90を介して燃料ガス供給流路20に導入される。燃料ガス供給パイプ90は内側ケース部材64の下端から燃料ガス供給流路20内に鉛直方向に延びるパイプである。また、燃料ガス供給パイプ90の上端は、傾斜板86aよりも下方に位置している。燃料ブロアから送られた原燃料ガスは、傾斜板86aの下側に導入され、傾斜板86aの傾斜により流路を絞られながら傾斜板86aの上側へ上昇する。傾斜板86aの上側へ上昇した原燃料ガスは、蒸発部86で生成された水蒸気と共に上昇する。
【0039】
燃料ガス供給流路20内の蒸発部86上方には、燃料ガス供給流路隔壁92が設けられている。燃料ガス供給流路隔壁92は、外側ケース部材66の内周と中間ケース部材65の外周の間の円環状の空間を上下に隔てるように設けられた円環状の金属板である。この燃料ガス供給流路隔壁92の円周上には等間隔に複数の噴射口92aが設けられており、これらの噴射口92aにより燃料ガス供給流路隔壁92の上側の空間と下側の空間が連通されている。燃料ガス供給パイプ90から導入された原燃料ガス及び蒸発部86で生成された水蒸気は、一旦、燃料ガス供給流路隔壁92の下側の空間に滞留した後、各噴射口92aを通って燃料ガス供給流路隔壁92の上側の空間に噴射される。各噴射口92aから燃料ガス供給流路隔壁92の上側の広い空間に噴射されると、原燃料ガス及び水蒸気は急激に減速され、ここで十分に混合される。
【0040】
さらに、外側ケース部材66の内周と内側ケース部材64の外周の間の、円環状の空間の上部には、改質部94が設けられている。改質部94は、各燃料電池セル16の上部と、その上方の上部タンク18の周囲を取り囲むように配置されている。改質部94は、
図1に示すように、内側ケース部材64の外壁面と外側ケース部材66の内壁面に取り付けられた触媒保持板(図示せず)と、これにより保持された改質触媒96によって構成されている。
【0041】
図2に示すように、改質触媒96は外側ケース部材66の内壁面、内側ケース部材64の外壁面、および中間ケース部材65の外壁面で規定される折り返し部分から、発電部10にいたるまで充填される。このように構成されることで、改質部94の距離が確保され、確実に改質反応を起こすことができる。さらに、改質部94は排ガス排出流路21に隣接しており、排ガスが排ガス排出流路21に流出しても、熱を与えつつ排出することができるので、改質部94は発電熱や未反応の燃料ガスの燃焼炎による輻射熱に加えて、排ガスの熱を受けることができる。したがって、起動時などの改質触媒が昇温しがたい状態においても、迅速な昇温が可能である。
【0042】
このように、改質部94内に充填された改質触媒96に、燃料ガス供給流路隔壁92の上側の空間で混合された原燃料ガス及び水蒸気が接触すると、改質部94内においては、式(1)に示す水蒸気改質反応SRが進行する。
C
mH
n+xH
2O → aCO
2+bCO+cH
2 (1)
【0043】
改質部94において改質された燃料ガスは、中間ケース部材65の内周と内側ケース部材64の外周の間の空間を下方に流れ、燃料ガス分散室76に流入して、各燃料電池セル16に供給される。水蒸気改質反応SRは吸熱反応であるが、反応に要する熱は、上部タンク18から流出する未反応の燃料ガス(オフガス)の燃焼熱、及び各燃料電池セル16において発生する発熱により供給される。
【0044】
次に、
図3を参照して、燃料電池セル16について説明する。
本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池装置においては、燃料電池セル16は、固体酸化物を用いたセルであり、さらに、複数の電極が上下方向に沿って配置された円筒横縞型セルである。各燃料電池セル16上には、複数の単セル16aが横縞状に形成されており、これらが電気的に直列に接続されることにより1本の燃料電池セル16となる。
【0045】
各燃料電池セル16は、その一端がアノード(陽極)、他端がカソード(陰極)となるように構成され、複数の燃料電池セル16のうちの半数は上端がアノード、下端がカソードとなるように配置され、残りの半数は上端がカソード、下端がアノードとなるように配置されている。
【0046】
図3(a)は、下端がカソードにされている燃料電池セル16の下端部を拡大して示す断面図であり、
図3(b)は、下端がアノードにされている燃料電池セル16の下端部を拡大して示す断面図である。
【0047】
図3に示すように、燃料電池セル16は、細長い円筒状の多孔質支持体97と、この多孔質支持体97の外側に横縞状に形成された複数の層から形成されている。この多孔質支持体97には、その下端から上端まで燃料ガス通路97aが形成されている。多孔質支持体97の周囲には、内側から順に、多孔質の燃料極層98、多孔質の反応抑制層99、緻密な固体電解質層100、多孔質の空気極層101が夫々横縞状に形成されている。このため、燃料ガス分散室76を介して供給された燃料ガスは、各燃料電池セル16の多孔質支持体97の内部を流れ、酸化剤ガス供給管74から噴射された発電用空気は、空気極層101の外側を流れる。燃料電池セル16上に形成された各単セル16aは、一組の燃料極層98、反応抑制層99、固体電解質層100、及び空気極層101から構成されている。1つの単セル16aの燃料極層98は、インターコネクタ層102を介して、隣接する単セル16aの空気極層101に電気的に接続されている。これにより、1本の燃料電池セル16上に形成された複数の単セル16aが、電気的に直列に接続される。
【0048】
図3(a)に示すように、燃料電池セル16のカソード側端部には、多孔質支持体97の外周に多孔質の電極層(リード膜層)103aが形成され、この電極層103aの外側に緻密なリード膜保護層104aが形成されている。カソード側端部においては、端部に位置する単セル16aの空気極層101と電極層103aが、インターコネクタ層102により電気的に接続されている。これらの電極層103a及びリード膜保護層104aは、燃料電池セル16端部において固定部材63を貫通し、固定部材63よりも下方に突出するように形成されている。電極層103aは、リード膜保護層104aよりも下方まで形成されており、外部に露出された電極層103aに緻密な集電体82が電気的に接続されている。これにより、端部に位置する単セル16aの空気極層101がインターコネクタ層102、電極層103aを介して集電体82に接続され、図中の矢印のように電流が流れる。また、固定部材63の挿通穴63の縁とリード膜保護層104aの間の隙間には、セラミック接着剤が充填されてセラミック接着剤層122となり、このセラミック接着剤が硬化されることにより、燃料電池セル16は、リード膜保護層104aの外周で固定部材63に固定される。
【0049】
ここで、緻密な電解質層であるリード膜保護層104aは、セラミック接着剤層122の所定の基準接着領域よりも上下方向にそれぞれより広くなる領域に設けられ、このリード膜保護層104aにより電極層103a及び支持体97の端部が覆われている。
【0050】
図3(b)に示すように、燃料電池セル16のアノード側端部においては、端部に位置する単セル16aの燃料極層98が延長されており、燃料極層98の延長部が電極層103bとして機能する。電極層103bの外側にはリード膜保護層104bが形成されている。これらの電極層103b及びリード膜保護層104bは、燃料電池セル16端部において固定部材63を貫通し、固定部材63よりも下方に突出するように形成されている。電極層103bは、リード膜保護層104bよりも下方まで形成されており、外部に露出された電極層103bに集電体82が電気的に接続されている。これにより、端部に位置する単セル16aの燃料極層98が、一体的に形成された電極層103bを介して集電体82に接続され、図中の矢印のように電流が流れる。また、固定部材63の挿通穴63の縁とリード膜保護層104bの間の隙間には、セラミック接着剤が充填されてセラミック接着剤層122となり、このセラミック接着剤が硬化されることにより、燃料電池セル16は、リード膜保護層104bの外周で固定部材63に固定される。
【0051】
同様に、緻密な電解質層であるリード膜保護層104bは、セラミック接着剤層122の所定の基準接着領域よりも上下方向にそれぞれより広くなる領域に設けられ、このリード膜保護層104bにより電極層103b及び支持体97の端部が覆われている。
【0052】
図3(a)(b)においては、各燃料電池セル16の下端部の構成を説明したが、各燃料電池セル16の上端部における構成も同様である。
【0053】
次に、多孔質支持体97及び各層の構成を説明する。
多孔質支持体97は、本実施形態においては、フォルステライト粉末、及びバインダーの混合物を押し出し成形し、焼結することにより形成されている。
燃料極層98は、本実施形態においては、NiO粉末及び10YSZ(10mol%Y
2O
3−90mol%ZrO
2)粉末の混合物により構成された導電性の薄膜である。
【0054】
反応抑制層99は、本実施形態においては、セリウム系複合酸化物(LDC40。すなわち、40mol%のLa
2O
3−60mol%のCeO
2)等により構成された薄膜であり、これにより、燃料極層98と固体電解質層100の間の化学反応を抑制している。
固体電解質層100は、本実施形態においては、La
0.9Sr
0.1Ga
0.8Mg
0.2O
3の組成のLSGM粉末により構成された薄膜である。この固体電解質層100を介して酸化物イオンと水素又は一酸化炭素が反応することにより電気エネルギーが生成される。
【0055】
空気極層101は、本実施形態においては、La
0.6Sr
0.4Co
0.8Fe
0.2O
3の組成の粉末により構成された導電性の薄膜である。
インターコネクタ層102は、本実施形態においては、SLT(ランタンドープストロンチウムチタネート)から作られた導電性の薄膜である。燃料電池セル16上の隣接する単セル16aはインターコネクタ層102を介して接続される。
電極層103a、103bは、本実施形態においては、燃料極層98と同一の材料で形成されている。
リード膜保護層104a、104bは、本実施形態においては、固体電解質層100と同一の材料で形成されている。
【0056】
次に、
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の作用を説明する。
まず、固体酸化物形燃料電池装置の起動工程において、燃料供給パイプ90から原燃料の供給が開始されると共に、シースヒーター61への通電が開始される。シースヒーター61への通電が開始されることにより、その上方に配置された燃焼触媒60が加熱されると共に、内側に配置された蒸発部86も加熱される。
図2の実線の矢印に示すように、燃料ガス供給パイプ90から燃料電池ハウジング8の内部に流入した燃料は、燃料ガス供給流路20内を上昇した後、改質部94内通過し、内側ケース部材64の下部に設けられた小穴64bを通って燃料ガス分散室76に流入する。なお、固体酸化物形燃料電池装置の起動直後においては、改質部94内の改質触媒96の温度が十分に上昇していないため、燃料の改質は行われない。
【0057】
燃料ガス分散室76に流入した燃料ガスは、燃料ガス分散室76の固定部材63に取り付けられた各燃料電池セル16の内側(燃料極側)を通って上部タンク18に流入する。なお、固体酸化物形燃料電池装置の起動直後においては、各燃料電池セル16の温度が十分に上昇しておらず、また、インバータへの電力の取り出しも行われていないため、発電反応は発生しない。
【0058】
上部タンク18に流入した燃料は、上部タンク18の噴出孔18dから噴出される。噴出孔18dから噴出された燃料は、点火ヒーター62により点火され、そこで燃焼される。この燃焼により、上部タンク18の周囲に配置された改質部94が加熱される。また、燃焼により生成された排気ガスは、内側ケース部材64の上部に設けられた小穴64aを通って排ガス排出流路21に流入する。その後、排気ガスは、排ガス排出流路21内に配置された燃焼触媒60を通ることにより一酸化炭素が除去され、排ガス排出パイプ58を通って燃料電池ハウジング8から排出される。
【0059】
排気ガス及びシースヒーター61により蒸発部86が加熱されると、蒸発部86に供給された水蒸気改質用の水が蒸発され、水蒸気が生成される。水蒸気改質用の水は、水供給源から、水供給パイプ88を介して燃料電池ハウジング8内の蒸発部86に供給される。蒸発部86で生成された水蒸気と、燃料ガス供給パイプ90を介して供給された燃料は、一旦、燃料ガス供給流路20内の燃料ガス供給流路隔壁92の下側の空間に滞留し、燃料ガス供給流路隔壁92に設けられた複数の噴射口92aから噴射される。噴射口92aから勢いよく噴射された燃料及び水蒸気は、燃料ガス供給流路隔壁92の上側の空間内で減速されることにより、十分に混合される。
【0060】
混合された燃料及び水蒸気は、燃料ガス供給流路20内を上昇し、改質部94に流入する。改質部94の改質触媒96が改質可能な温度まで上昇している状態においては、燃料及び水蒸気の混合気が改質部94を通過する際、水蒸気改質反応が発生し、混合気が水素を多く含む燃料に改質される。改質された燃料は、小穴64bを通って燃料ガス分散室76に流入する。小穴64bは燃料ガス分散室76の周囲に多数設けられ、燃料ガス分散室76として十分な容積が確保されているため、改質された燃料は、燃料ガス分散室76内に突出している各燃料電池セル16に均等に流入する。
【0061】
一方、
図1で示すように、空気流量調整ユニットにより供給された酸化剤ガスである発電用空気は、酸化剤ガス導入パイプ56を介して酸化剤ガス供給流路22に流入する。酸化剤ガス供給流路22に流入した発電用空気は、内側を流れる排気ガスにより加熱されながら酸化剤ガス供給流路22内を上昇する。酸化剤ガス供給流路22内を上昇した発電用空気は、燃料電池ハウジング8内の上端部で中央に集められ、
図2の点線の矢印で示すように、酸化剤ガス供給流路22に連通された酸化剤ガス供給管74に流入する。酸化剤ガス供給管74に流入した発電用空気は下端から発電室10内に噴射され、噴射された発電用空気は固定部材63の上面に当たって発電室10内全体に広がる。発電室10内に流入した発電用空気は、上部タンク18の外周壁と内側ケース部材64の内周壁の間の隙間の第一発電用空気流路123を通過する。
【0062】
図2の点線の矢印で示すように、第一発電用空気通路123から上昇した酸化剤ガスを含有する発電用空気は、上部タンク18の側面の形状に沿って噴出孔18dに向かって流れる。さらに、発電室10内に流入した発電用空気は、燃料電池セル16の集合体の中央上部方向にも十分に空気を供給した後に、上部タンク18の内周壁と酸化剤ガス供給管74の外周面の間の隙間の第二発電用空気流路124を通って上昇する。第二発電用空気流路124から上昇した酸化剤ガスは、上部タンク18の形状に沿ってさらに上昇していくため、噴出孔18d方向へ流れる。
【0063】
図2に示すように上部タンク18には発電部10へ供給された発電用空気を、噴出孔18dの上方に設けられた燃焼室17へ直接供給するための発電用空気供給通路125が設けられている。発電用空気供給通路125は発電室10と燃焼室17とを連通させるため、より多くの発電用空気を燃焼室17へ供給することができる。
【0064】
この際、各燃料電池セル16の外側(空気極側)を通って流れる空気は発電反応に利用される。また、燃焼により生成された排気ガス、及び発電、燃焼に利用されずに残った空気は、小穴64aを通って排ガス排出流路21に流入する。
【0065】
さらに、
図2の一点鎖線で示すように高温の排気ガスは、排ガス排出流路21内を下降し、その外側に設けられた酸化剤ガス供給流路22内を流れる発電用空気、内側に設けられた燃料ガス供給流路20を流れる燃料、および燃料ガス供給流路20内に設けられた改質部を加熱する。さらに、排気ガスは、排ガス排出流路21内に配置された燃焼触媒60を通ることにより一酸化炭素が除去され、排ガス排出パイプ58を通って燃料電池ハウジング8から排出される。
【0066】
このように、各燃料電池セル16が発電可能な温度である650℃程度まで上昇し、各燃料電池セル16の内側(燃料極側)に改質された燃料が流れ、外側(空気極側)に発電用空気が流れると、化学反応により起電力が発生する。この状態において、燃料電池ハウジング8から引き出されているバスバー80にインバータが接続されると、各燃料電池セル16から電力が取り出され、発電が行われる。
【0067】
次に、本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の上部タンク18における作用を説明する。本実施形態の固体酸化物形燃料電池装置においては、発電用の空気は、発電室10の中央に配置された酸化剤ガス供給管74から噴射され、発電室10内を上部タンク18と内側ケース部材64の間の均等な隙間である第一発電用空気流路123、さらに上部タンク18と酸化剤ガス供給管74の間の均等な隙間である第二発電用空気流路124通って上昇する。このため、発電室10内の酸化剤ガスを含有する発電用空気の流れは、ほぼ完全に酸化剤ガス供給管74に対して軸対称の流れとなり、各燃料電池セル16の周囲には、ムラなく発電用空気が流れる。さらに、第一発電用空気流路123および第二発電用空気流路124からの発電用空気が噴出孔18dへ集中するように構成されることで、継続的に発電用空気が噴出孔18dへ供給することができるため、燃焼を安定させることができる。
それに加えて改質部94が燃焼室17からの熱を受けるように配置されているため、燃焼炎の輻射熱により改質触媒96を昇温させることができ、冷間時においても改質部94の昇温を効率よく行い、水素を迅速に供給することができる。
【0068】
また、
図2に示すように、未反応の燃料ガスを噴出する噴出孔18dを上部タンク18の上方へ突出するように構成することで、第一発電用空気流路123から上昇してきた発電用空気及び、第二発電用空気流路124から上昇してきた発電用空気が上部タンク18の形状に沿って、上部タンク18において最も上方に位置する噴出孔18dまで上昇していくため、噴出孔18dへ酸化剤ガスが集中する。したがって、燃焼に必要な酸化剤ガスを含有する発電用空気が継続的に供給されることになるため、空気が不足することなく燃焼が安定する。
【0069】
さらに、本実施形態によれば、
図2に示すように、上部タンク18は発電室10と燃焼室17とを連通させる発電用空気供給通路125を備えているので、発電室10へ供給された発電用空気を直接燃焼室17へ供給することができる。したがって、燃焼室へ空気を継続的に供給することができ、燃焼性を安定させることが可能になる。さらに、より多くの発電用空気を燃焼炎に接触させることができるため、内側ケース部材64を通じて、内側ケース部材64に隣接して設けられた改質部94へ熱を与えることができる。
なお、本実施形態においては燃料電池ハウジング8やそれに収容されている各部材を円筒形として説明しているが、本発明においてはそれに限らず、直方体でも良い。