(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6300903
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】セラミック金属遷移部のためのセラミック金属被覆の製造方法および該セラミック金属遷移部
(51)【国際特許分類】
C04B 37/02 20060101AFI20180319BHJP
【FI】
C04B37/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2016-515401(P2016-515401)
(86)(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公表番号】特表2016-531819(P2016-531819A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】EP2014002539
(87)【国際公開番号】WO2015039757
(87)【国際公開日】20150326
【審査請求日】2016年5月17日
(31)【優先権主張番号】13004596.6
(32)【優先日】2013年9月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507050230
【氏名又は名称】アーベーベー テクノロジー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ABB Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディートマー ゲンチュ
【審査官】
増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04996111(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0112945(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 37/02
C04B 41/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低、中および高電圧の装置または開閉器または開閉手段の部品に使用するためのセラミック金属遷移部のためのセラミック金属被覆の製造方法であって、前記方法によりセラミック体が金属部品に接合されるものとし、その際、主にAl2O3材料からなるセラミック体を、少なくとも、MoMnの第1の層とNiの第2の層とで被覆する前記方法において、Ni層の上に第3の層としてAg層を配置し、次いでその上に金属部品を置き、これをろう付けまたは熱処理により接合することで、真空遮断器または真空装置である構成要素を得て、該真空遮断器/装置のセラミック体にキャップが気密接合されていることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、ろう付けステップを、真空、不活性ガスまたは活性ガス環境下においてその場で進行させることを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、活性ガスが、水素である、前記方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法であって、Ag層をめっきにより配置することを特徴とする、前記方法。
【請求項5】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法であって、Ag層を冷ガス溶射により配置することを特徴とする、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック金属遷移部のためのセラミック金属被覆の製造方法、並びに請求項1および5の前文に記載の低、中および高電圧技術において使用するための該セラミック金属遷移部に関する。
【0002】
低、中および高電圧の開閉器または開閉手段の部品に使用するためのセラミック金属遷移部のためのセラミック金属被覆の製造方法は、主にAl
2O
3材料からなるセラミック体を用いて開始され、これが、MoMn(またはタングステン(W))を標準的に施与した第1の層とNiの第2の層とで被覆される。このNi層の上に、通常はろう付け箔が置かれる。これに金属部品が続き、その後、これが上述の層の領域においてこのセラミック体にろう付けされる。通常は、ろう付け箔を使用することが必要である。
【0003】
真空遮断器のセラミック体への気密接合を得るためには、一般にろう付け技術が用いられる。ろう付けプロセスは、標準的な製造プロセス(ここでは部品の脱気プロセスと最終ステップであるろう付けプロセス)の中で行われる。ろう付けを行うためには付加的なろう付け箔を追加する必要があり、これがセラミック体の両側で行われる。
【0004】
従って本発明の目的は、薄いろう付け箔の使用に伴う問題を解決するためにろう付け箔を省き、製造をより容易にかつより一層効率的にすることである。
【0005】
本発明によって与えられる解決方法は、Ni層の上に第3の層としてAg層を配置し、次いでその上に金属部品を置き、これをろう付けまたは熱処理により接合することである。
【0006】
これにより、ろう付け箔の使用は完全に省かれる。
【0007】
利点は、いかなるセラミック金属接合用のろう付け箔の別個の使用をも省くことができる点にある。これによって、使用される要素の低減により製造コストが削減される。
【0008】
さらなる一実施形態においては、ろう付けステップは、真空、不活性ガスまたは活性ガス(水素)環境下にその場で熱処理により進行される。
【0009】
第1の有利な代替的実施形態においては、Ag層はめっきにより配置される。
【0010】
第2の有利な代替的実施形態においては、Ag層は冷ガス溶射により配置される。
【0011】
低、中または高電圧の使用のための開閉器の構成要素によれば、遷移部領域は、MoMnまたはタングステンの第1の層と、Niの第2の層と、このNi層の上のAgの最終層とを有する層系からなり、この層系がろう付けまたは熱処理によってその場で金属部品に直接接合されている。
【0012】
本発明の重要な利点は次のことによって生じ、すなわち、構成要素が真空遮断器または真空装置であって、該真空遮断器または真空装置において、上述の特徴により該真空遮断器/装置のセラミック体にキャップが気密接合されていることにより生じる。
【0013】
本発明を図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【0015】
図1は、真空遮断器の一部を示す。主要部分は円筒状のセラミック体である。この円筒体の縁部において、この縁部は異なる金属の層系で被覆されている。このセラミック体は、通常はAl
2O
3(酸化アルミニウム)セラミックからなる。
【0016】
この円筒状のセラミック体の環状端面上に堆積される第1の層は、MoMn(モリブデンマンガン)合金からなる。その上の第2の層は、Ni(ニッケル)からなる。次のステップは、その上に銀層(Ag)を堆積させることである。次いで、この上方のAg層の上にキャップを配置し、その後、熱処理またはろう付けを行う。このことは、合金化点を超える温度で進行する温度によって、その領域内での金属の拡散によりその場で合金化プロセスが生じることを意味する。