(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6300905
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】エネルギ蓄積装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/36 20060101AFI20180319BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
G01R31/36 A
H01M10/48 P
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-517469(P2016-517469)
(86)(22)【出願日】2014年9月11日
(65)【公表番号】特表2016-539319(P2016-539319A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】EP2014069348
(87)【国際公開番号】WO2015043965
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年5月25日
(31)【優先権主張番号】102013219360.2
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ ヨハン ラッバース
(72)【発明者】
【氏名】バーバラ シュリッカー
【審査官】
小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−315793(JP,A)
【文献】
特開2001−86604(JP,A)
【文献】
特開2011−86530(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0225325(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102012003100(DE,A1)
【文献】
特開2008−260346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのバッテリセルおよび2つの極を備えたバッテリ(2)と、当該バッテリ(2)の各極に直接または間接的に接続されておりかつ前記バッテリ(2)を充放電する外部回路に接続する2つの接続点(5,6)と、前記バッテリ(2)の充電状態を求める充電状態監視装置(29)とを含む、エネルギ蓄積装置(1)において、
前記エネルギ蓄積装置(1)は、前記バッテリセルとは別に形成されている少なくとも1つの付加的なエネルギ蓄積素子(3)と、当該エネルギ蓄積素子(3)を前記バッテリ(2)の前記極の少なくとも1つに直接または間接的に接続する接続回路(4)と、少なくとも1つの接続点(5,6)とを有しており、
前記接続回路(4)は、前記エネルギ蓄積素子(3)が、前記エネルギ蓄積装置(1)を流れる全体電流に対してあらかじめ設定された比を有するエネルギ蓄積素子電流で充電および/または放電されるように形成および接触接続されており、
電圧測定装置(28)が、前記エネルギ蓄積素子(3)において降下するエネルギ蓄積電圧を測定するために前記付加的なエネルギ蓄積素子(3)に接触接続しており、
前記充電状態監視装置(29)は、少なくとも前記エネルギ蓄積電圧に依存して、前記バッテリ(2)の充電状態を求めるように形成されており、
前記接続回路(4)は、1つの第1接続コンタクト(7)、1つの第2接続コンタクト(8)および1つの第3接続コンタクト(9)を少なくとも有しており、かつ、前記バッテリ(2)の前記極の1つと、当該極に接続される接続点(6)との間を、前記第1接続コンタクト(7)および前記第2接続コンタクト(8)によって直列接続されており、かつ、前記第3接続コンタクト(9)によって前記エネルギ蓄積素子(3)と直接または間接的に接触接続されている、
ことを特徴とするエネルギ蓄積装置。
【請求項2】
前記全体電流の所定の一部分が、前記バッテリ(2)および前記エネルギ蓄積素子(3)から得られ、かつ/または、前記バッテリ(2)および前記エネルギ蓄積素子(3)へ供給されるように前記接続回路(4)が形成および接触接続されている、
請求項1に記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項3】
前記接続回路(4)が更に第4接続コンタクト(10)を有する場合は、前記第1の接続コンタクト(7)および前記第2の接続コンタクト(8)と接続される前記バッテリ(2)と、前記第3接続コンタクト(9)および前記第4接続コンタクト(10)と接続される前記エネルギ蓄積素子(3)とは絶縁されている、
請求項1または2に記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項4】
前記接続回路(4)は、前記第1接続コンタクト(7)と前記第2接続コンタクト(8)との間のバッテリ電流を測定する電流測定装置を有する、
請求項1から3までのいずれか1項に記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項5】
前記接続回路(4)は、前記第3接続コンタクト(9)と、前記第2または第4接続コンタクト(8,10)との間に電流源(14)および/または電流シンクを有しており、
前記電流源(14)および/または電流シンクは、前記バッテリ電流に依存して制御可能である、
請求項3を引用する請求項4に記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項6】
前記接続回路(4)は、電流制御素子を有しており、
前記電流制御素子は、前記バッテリ電流に依存して、前記第3接続コンタクト(9)と、前記第2または前記第4接続コンタクト(8,10)との間で当該電流制御素子を流れる電流を定める、
請求項5記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項7】
前記電流制御素子および前記電流測定装置には、それぞれ少なくとも1つのトランジスタ(17,18,19,20,21,24,25)が含まれており、
前記トランジスタを不飽和領域で動作させて、前記電流制御素子に、前記バッテリ電流に依存する電流を流させる、
請求項6に記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項8】
前記接続回路(4)はカレントミラーとして形成されており、
前記第3接続コンタクト(9)と、前記第2または前記第4接続コンタクト(8,10)との間の電流が、前記第1接続コンタクト(7)と前記第2接続コンタクト(8)との間の電流によって定められる、
請求項6または7に記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項9】
前記接続回路(4)は、DC−DCコンバータ(15)であるかまたはDC−DCコンバータ(15)を含む、
請求項1から3までのいずれか1項に記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項10】
前記接続回路(4)は、前記バッテリ(2)を前記エネルギ蓄積素子(3)から電気的に絶縁する、
請求項1から9までのいずれか1項に記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項11】
複数のエネルギ蓄積素子(3)が、互いに並列接続されている、
請求項1から10までのいずれか1項に記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項12】
前記充電状態監視装置(29)は、前記バッテリ(2)および/または前記エネルギ蓄積素子(3)の、時間的に離隔された複数の電圧測定値および/または求めた複数の充電状態を記憶して、前記バッテリ(2)の前記充電状態を計算する際に考慮するように形成されている、
請求項1から11までのいずれか1項に記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項13】
前記エネルギ蓄積素子(3)の前記充電状態の少なくとも1つの領域に対する、前記エネルギ蓄積素子(3)において降下する電圧は、前記エネルギ蓄積素子(3)の前記充電状態に対し依存性を有し、
当該依存性は、当該バッテリ(2)の同等の充電領域における、前記バッテリ(2)において降下する電圧の、当該バッテリ(2)の前記充電状態に対する依存性よりも大きい、
請求項1から12までのいずれか1項に記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項14】
前記別のエネルギ蓄積素子(3)は、電気化学的な蓄電池またはコンデンサまたはスーパーコンデンサである、
請求項1から13までのいずれか1項に記載のエネルギ蓄積装置。
【請求項15】
前記スーパーコンデンサは、2重層コンデンサ、ハイブリッドコンデンサまたはピエゾコンデンサである、
請求項14に記載のエネルギ蓄積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのバッテリセルおよび2つの極を備えたバッテリと、2つの接続点と、このバッテリの充電状態を求める充電状態監視装置とを含み、上記の2つの接続点は、このバッテリを充放電する外部回路に接続するため、バッテリの1つずつの極に直接または間接的に接続されているエネルギ蓄積装置に関する。
【0002】
例えばリチウムイオンバッテリのような、電気化学式エネルギ蓄積器の充電状態は、充電状態を示すため、および、この蓄積器の充電ないしは放電を制御するために必要な基本的な状態量である。エネルギ蓄積装置を確実に動作させるためには、充電状態を十分に正確に求めなければならない。しかしながら実践的には、まさにこの充電状態を求めることが、特にリチウム・鉄・リン酸塩をベースとするバッテリのような、平坦な特性曲線を有するバッテリでは殊に困難である。平坦な特性曲線とは、充電状態の大部分に対してバッテリ電圧が、充電状態に依存しないかまたは極めてわずかにしか依存しないことを意味する。したがってこのバッテリの充電状態を、バッテリにおいて降下する電圧の測定によって決定しようとすると、このようなわずかな依存性に起因して、求められる充電状態は大きな誤差を有してしまうのである。不正確な充電状態値は動作時に、バッテリの全蓄積容量を利用できないか、または、バッテリの電圧限界に達した場合、バッテリ管理システムにより、このエネルギ蓄積装置によって動作されるシステムが、妨害的に非常遮断されてしまうことにもなる。
【0003】
従来、充電状態は、相補的な2つの方法を組み合わせることによって求められている。ゼロでない電流が流れる際には、充電状態の決定は、電荷カウンタによって実現される。ここでは、エネルギ蓄積装置を充電ないしは放電する電流が測定されて、時間について累算される。明確に定めた開始値との組み合わせにおいて、さらに都度の実際の充電状態が計算される。例えばオフセットのような電流測定における不正確さは、時間について累算され、実際の充電状態から大きな偏差に結び付き得るのである。
【0004】
したがってこの偏差を補正するため、充電状態は付加的にエネルギ蓄積装置の開放電圧を介して求められる。しかしながらバッテリ電圧と充電状態との間の関係は、急峻な特性曲線を有するエネルギ蓄積装置であっても、このバッテリが比較的長い時間、例えば15分にわたって静止している場合でしか、すなわちこのバッテリから電流が流れないまたはこのバッテリへ電流が流れない場合でしか得られないのである。これに対し、ゼロと等しくない電流では、電流方向に応じて開放電圧から上または下に偏差してしまう。この偏差は、多くの要因、特に保持プロフィール(Belassungsprofil)および温度に依存する。したがって充電状態の上記の補正は、エネルギ蓄積装置が充電も放電もしていない期間にしか行うことができないのである。これらの期間は、時間的に離隔しているため、これらの補正は一般的に、求めた充電状態から跳躍を生じさせる。
【0005】
上で説明した補正は、平坦な特性曲線を有するバッテリではさらに格段に困難になる。このような蓄積器では、充電状態に対する開放電圧の依存性は広い範囲において弱すぎるため、充電状態を確実に求められることができない。したがって上で説明したように開放電圧補正は、これらのバッテリで不可能なのである。したがって電荷カウンタによって計算した充電状態は、時間の経過と共に次第に不正確になるため、充電状態を時々校正しなければならないのである。これは、例えば、バッテリを完全に充電して電荷カウンタを100%にセットすることによって可能になる。しかしながらこのプロセスの間は一般的にバッテリを使用することはできない。なぜならばバッテリを100%に充電することは、確定した手順にしたがって行われるからである。したがってこのプロセスは有利には、この蓄積器の使用が予定されていない場合に実行される。このような校正が、比較的長い時間にわたってできない場合、校正のためにバッテリの動作を中断しなければならないこともあり得る。
【0006】
したがって本発明の課題は、特に、平坦な充電曲線を有するバッテリの利用時に、改善された充電状態の決定を可能にするエネルギ蓄積装置を提供することである。
【0007】
この課題は、導入部で述べたタイプのエネルギ蓄積装置を用いた本発明にしたがい解決される。このエネルギ蓄積装置には、バッテリセルとは別に形成されている少なくとも1つの付加的なエネルギ蓄積素子と、バッテリの複数の極の少なくとも1つおよび少なくとも1つの接続点にエネルギ蓄積素子を直接または間接的に接続する接続回路とが含まれており、この接続回路は、エネルギ蓄積素子が、エネルギ蓄積装置を流れる全体電流に対してあらかじめ設定された比を有するエネルギ蓄積素子電流で充電および/または放電されるように形成および接触接続されている。電圧測定装置は、エネルギ蓄積素子で(電圧)降下するエネルギ蓄積器の電圧を測定するために前記付加的なエネルギ蓄積素子に接触接続されている。充電状態監視装置は、少なくとも上記エネルギ蓄積器の電圧に依存して、バッテリの充電状態を求めるように設計されている。
【0008】
本発明の基礎にある着想は、バッテリ電圧の測定によって直接充電状態を測定するのではなく、別のエネルギ蓄積素子における電圧を測定することであり、ここでこの別のエネルギ蓄積素子は、エネルギ蓄積装置を流れる全体電流に対してあらかじめ設定された比を有するエネルギ蓄積素子電流で充電および/または放電される。この手法は特に、比較的平坦な特性曲線を有するバッテリであって、これにより、冒頭に述べたように、このバッテリにおいて降下する電圧を測定することによっては、バッテリの充電状態を十分な精度で求めることができないバッテリを使用する場合に有利である。さらに、有利にも、上記の別のエネルギ蓄積素子が全体電流に比べ比較的小さい電流で充電ないしは放電されるなら、このエネルギ蓄積素子において降下する電圧は、バッテリにおいて降下する電圧に比べて、エネルギ蓄積装置の負荷(動作)に極めてにわずかにしか依存しない。これにより、本発明によるエネルギ蓄積装置では、このエネルギ蓄積装置の負荷(動作)中にもこのバッテリの充電状態を求めることができる。
【0009】
本発明のエネルギ蓄積装置を使用する前、バッテリおよびエネルギ蓄積素子は、所定の充電状態にすることが可能である。特に有利であるのは、全体電流に対するエネルギ蓄積素子電流の比を選択して、このエネルギ蓄積素子が、このバッテリの考えられ得るすべての充電領域にわたって並列に充電ないしは放電され得るようにする場合である。したがって、バッテリに蓄積可能な電荷に対する、このエネルギ蓄積素子に蓄積可能な電荷の比を、バッテリが充電ないしは放電する電流に対する、エネルギ蓄積素子電流の比と、少なくとも同じ大きさになるように、このエネルギ蓄積素子に蓄積可能な電荷の量を少なくとも選択する。このエネルギ蓄積素子は、接続回路を介して、バッテリおよび上記の複数の接続点の少なくとも1つに接続される。この接続回路は、エネルギ蓄積素子の少なくとも1つの極、および、バッテリの少なくとも1つの極、および、少なくとも1つの接続点に、直接導電的に接触接続することができるか、またはこの接続は、少なくとも1つの別のコンポーネントを介して間接的に行うことができる。
【0010】
上記のエネルギ蓄積素子電流は、全体電流の一部とすることが可能である。したがって上記接続回路は、この全体電流の所定の一部分が、上記のバッテリおよびエネルギ蓄積素子から得られる、かつ/または、これらに供給されるように形成および接触接続することができる。しかしながらここでは択一的に、このバッテリおよびエネルギ蓄積素子が別々の電気回路で配置され、接続回路のコンポーネントがこれらの電気回路を結合して、これらの回路間で電気エネルギの伝送が可能になり、このエネルギ伝送が全体電流に依存して制御されて、エネルギ蓄積素子電流が、全体電流に対して所定の比になるようにすることも可能である。
【0011】
この接続回路は、最も簡単なケースでは、エネルギ蓄積素子の第1極とバッテリの複数の極の1つとの間の、および、エネルギ蓄積素子の第2極と複数の接続点の1つとの間の、例えば複数の導体路による各導電性接続を含むことができる。しかしながらこの接続回路は、能動または受動コンポーネントを含むことも可能である。特にこの接続回路は、少なくとも1つの第1接続コンタクトと、第2接続コンタクトと、第3接続コンタクトと含み、バッテリの複数の極の1つと、これに接続される接続点との間で、第1接続コンタクトおよび第2接続コンタクトによって直列接続されており、また、第3接続コンタクトによってエネルギ蓄積素子に直接または間接的に接触接続されている。バッテリと接続回路との間の直列接続により実現されること、例えば、第1接続コンタクトがバッテリの複数の極の1つに接続され、かつ、第2接続コンタクトが対応する接続点に接続されることにより実現されることは、バッテリからの、またはバッテリへの全電流がこの接続回路を通って案内されることである。したがって第1接続コンタクトと第2接続コンタクトとの間の電流は、バッテリへの、ないしはバッテリからの電流に等しくなる。
【0012】
第3接続コンタクトは、エネルギ蓄積素子の複数の極の1つに直接または間接的に接触接続している。ここでは、第3接続コンタクトと、第2または第4接続コンタクトとがそれぞれ、エネルギ蓄積素子の複数の極の1つに直接または間接的に接触接続することが可能である。択一的には第3接続コンタクトが、エネルギ蓄積素子の複数の極の1つに直接または間接的に接触接続し、エネルギ蓄積素子の別の1つの極が、バッテリの別の極に直接または間接的に接続することも可能である。2つの実施形態において、エネルギ蓄積素子電流は、第3接続コンタクトを流れる電流に等しくなり得る。第3接続コンタクトを流れる電流は、接続回路によって直接得ることができる。本発明では、第3接続コンタクトを流れる電流、すなわち、エネルギ蓄積素子電流を、エネルギ蓄積装置を流れる全体電流に対して比例するように、事前に設定する。
【0013】
これを達成するため、接続回路は、第1接続コンタクトと第2接続コンタクトとの間のバッテリ電流を測定する電流測定装置を含むことができる。この電流測定装置は特に、第1接続コンタクトと第2接続コンタクトとの間に接続される抵抗と、この抵抗において降下する電圧を測定する電圧測定装置とを含むことができる。この電圧測定装置は、計測用増幅器の形態で形成することができ、この計測用増幅器には、その複数の入力側の1つの入力側に、バッテリ側で抵抗に加わる電圧と、その複数の入力側の別の1つの入力側に、接続点側で抵抗に加わる電圧とが供給される。これにより、計測用増幅器の出力側には、第1および第2接続コンタクトとの間の電流に比例する電圧信号が供給される。この電圧信号はつぎに、この接続回路の別の複数の素子を制御するために利用することができる。
【0014】
この接続回路はさらに、第3接続コンタクトと、第2または第4接続コンタクトとの間に電流源および/または電流シンクを有することが可能であり、この電流源および/または電流シンクは、バッテリ電流に依存して制御可能である。これは特に接続回路に、上で説明したように、第1接続コンタクトと第2接続コンタクトとの間の電流に比例する電圧信号がある場合に簡単に可能である。この場合に電流源ないしは電流シンクは特に、電圧制御の電流源または電流シンクとして形成することができる。ここでは特に、2象限ないしは4象限の電流源を利用することができ、これは、電流源として、すなわち、回路にエネルギを供給すると共に、電流シンクとして、すなわち回路からエネルギを取り出すものとして使用することができる。
【0015】
本発明のエネルギ蓄積装置では、2ないしは4象限のエネルギ供給は特にこのエネルギ蓄積装置それ自体によって行われる。ここでこの給電は、接続点に直接接続されている給電線路によって行うことができる。この場合に2ないしは4象限電流源によってエネルギ蓄積素子に供給されるかまたはこれから取り出されるエネルギ蓄積素子電流は全体電流に寄与し、かつ、この全体電流の所定の一部分がバッテリまたはエネルギ蓄積素子から得られ、および/または、これらに供給される。
【0016】
択一的には上記の接続回路には、第1接続コンタクトと第2接続コンタクトとの間のバッテリ電流を測定する電流測定装置と、電流制御素子とを含むことができ、この電流制御素子は、バッテリ電流に依存して、第3接続コンタクトと、第2接続コンタクトまたは第4接続コンタクトとの間でこの電流制御素子を流れる電流を求める。これにより、第3接続コンタクトを流れる電流ひいてはエネルギ蓄積素子電流が、ここでも第1接続コンタクトと第2接続コンタクトとの間の電流に依存して、ひいては、バッテリに流れるまたはここから流れる電流に依存して求められる。
【0017】
トランジスタのような電流制御素子は一般的に、この電流制御素子において電圧が降下する場合にのみ、電流を制御することができる。すなわち、この電流制御素子が、第3接続コンタクトと、第2接続コンタクトとの間の電流を制御するか、または第4接続コンタクトおよび第2接続コンタクトが低抵抗に接続されている場合、上記のケースにおいて、第3接続コンタクトと、第2接続コンタクトとの間の電圧降下は、第1接続コンタクトと第2接続コンタクトとの間の電圧降下よりも大きくなければならない。DC−DCコンバータまたはこれに類するもののような付加的にコンポーネントを利用しない場合、バッテリ電圧は、このバッテリの放電時には、エネルギ蓄積素子において降下する電圧よりも低く、またこのバッテリの充電時には、エネルギ蓄積素子において降下する電圧よりも高くなるはずである。したがってバッテリの充電にも放電にも接続回路を利用できるようにし、それでもなお全体電流に対して、エネルギ蓄積素子電流が、あらかじめ設定された比になることを保証するためには補足的に、第2または第4接続コンタクトと、第3接続コンタクトとの間の別の電流測定装置、および、第2接続コンタクトと、第1接続コンタクトとの間の別の電流制御素子を設けるのが有利である。さらに、バッテリおよびエネルギ蓄積素子を選択して、利用されるすべての充電状態において、バッテリにおいて降下する電圧が、エネルギ蓄積素子において降下する電圧よりも大きいかまたはその逆であるようにすると、有利である。バッテリおよびエネルギ蓄積素子を選択する際のより大きなフレキシビリティは、バッテリまたはエネルギ蓄積素子と、それぞれ対応する電流制御素子との間にDC−DCコンバータを配置して、対応する電圧を大きくするか小さくすることである。
【0018】
電流制御素子および/または電流測定装置は少なくとも1つのトランジスタを含むことができる。トランジスタは、これが飽和状態で動作されるのでなければ、出力側において、ベースないしはゲート電圧に依存して制御される電流源のように振る舞う。しかしながら同時に、特にコレクタへのないしはソース端子に対する、ベースないしはゲートの帰還結合により、トランジスタを電流測定装置として利用することも可能である。この際には特に同じ構造の複数のトランジスタを電流制御素子および電流測定装置として利用することができる。同じ構造のこれらのトランジスタは、特に1つの集積回路の2つの部分とすることができる。
【0019】
接続回路は特に、カレントミラーとして形成することができ、第3接続コンタクトと、第2または第4接続コンタクトとの間の電流は、第1接続コンタクトと第2接続コンタクトとの間の電流によって求めることができる。すでに説明したように、バッテリの充放電時に接続回路を利用する場合、2つのカレントミラーを設けるのが有利であり、ここでこれらのカレントミラーの1つにより、バッテリ電流に依存して、エネルギ蓄積素子電流が求められ、これらのカレントミラーの別の1つにより、エネルギ蓄積素子電流に依存してバッテリ電流が求められる。この際には、第1接続コンタクトは、バッテリの第1極に、第3接続コンタクトは、エネルギ蓄積器素子の第1極に、またバッテリの第2極は、エネルギ蓄積素子の第2極に接続することができる。
【0020】
択一的には接続回路は、DC−DCコンバータとするか、またはDC−DCコンバータを含むことができる。この際にこのDC−DCコンバータは特に、第1接続コンタクトと第2接続コンタクトとの間で降下する電圧と、第3接続コンタクトと、第2または第4接続コンタクトとの間で降下する電圧との間で変換を行うことができる。特にエネルギ蓄積素子は、第3接続コンタクトおよび第4または第2接続コンタクトに直接または間接的に接続することができ、特に、エネルギ蓄積素子の複数の極の少なくとも1つと、複数の接続コンタクトの1つとの間に付加的な抵抗を配置することができる。この付加的な抵抗によって特に、DC−DCコンバータは電流源として機能することが可能である。第1接続コンタクトと第2接続コンタクトとの間で降下する電圧は、上記の電流に比例する。したがって接続回路内のDC−DCコンバータを利用することにより、バッテリにまたはバッテリから流れる電流と、エネルギ蓄積素子電流との間の固定の電流比を得ることができ、これにより、エネルギ蓄積素子電流は、全体電流に対してあらかじめ設定された比になる。DC−DCコンバータを利用することは特に有利である。なぜならばエネルギ蓄積素子において降下する電圧はバッテリ電圧に依存せずに選択できるからであり、その理由はこれらの電圧がDC−DCコンバータの適切なクロック比によって調整できるからである。さらにDC−DCコンバータでは電流またはエネルギ伝送が双方向に可能である。これにより、個別のDC−DCコンバータを有する接続回路は、エネルギ蓄積装置の充電時にも放電時にも利用することができる。
【0021】
基本的には上記の接続回路により、エネルギ蓄積素子からバッテリを電気的に絶縁することができる。この場合、エネルギ蓄積素子は特に、バッテリとは別の電気回路に配置することができる。この場合にこれらの電気回路間のエネルギ伝送は特に、例えば電気的に絶縁されたDC−DCコンバータにおいて、電流の向きを変えることによって行うことできる。
【0022】
択一的にはエネルギ蓄積素子をバッテリに直列接続することができる。エネルギ蓄積素子とバッテリとの直列接続によって保証されるのは、エネルギ蓄積素子電流が、バッテリに供給されるまたはここから取り出される電流に等しくなることである。一般的にはエネルギ蓄積素子は、バッテリよりも容量が少ない。したがってエネルギ蓄積素子とバッテリとの直列接続では付加的な手段を講じて、バッテリの全容量が引き続いて利用できるようにすることが考えられる。
【0023】
ここでは、別の複数の実施形態と同様に、複数のエネルギ蓄積素子を互いに並列接続することも可能である。特に比較的電圧降下の少ない複数のエネルギ蓄積素子を利用することができる。これらの蓄積素子を並列接続することにより、比較的大きな容量が得られる。同時に類似の容量を有するが、より大きなバッテリ電圧を有するバッテリにより、上記の全体電圧を供給することができる。
【0024】
しかしながらエネルギ蓄積素子とバッテリとの直列回路の場合に特に、電流に対するバイパス路を構成すること可能であり、このバイパス路を介し、エネルギ蓄積素子をバイパスして電流の所定の一部分を直接バッテリにまたはバッテリから供給することも可能である。このためには、全体電流の所定の一部分をバッテリおよびエネルギ蓄積ユニットに供給するかまたはこれらから取り出すように形成されておりかつ接触接続している上で説明したすべての接続回路を利用することができる。しかしながらここでは全体電流が、エネルギ蓄積ユニットとバッテリとに分割されるのではなく、一方ではエネルギ蓄積ユニットとバッテリとからなる直列回路に分割され、また他方ではバッテリにのみ分割される。
【0025】
充電状態監視装置を形成して、バッテリおよび/またはエネルギ蓄積素子の時間的に離隔され複数の電圧値および/または求めた充電状態を記憶して、バッテリの充電状態を計算する際に考慮することが可能である。これは、バッテリおよび/またはエネルギ蓄積素子の充電状態に依存して、全体電流とエネルギ蓄積素子電流との間のあらかじめ設定した比からわずかに偏差が生じ得るため、有利である。バッテリおよび/またはエネルギ蓄積素子の時間的に先行する充電状態が検出され、上記のエネルギ蓄積装置または同じ構成のエネルギ蓄積装置に対する校正データが一旦検出されて充電状態監視装置に格納される場合には、充電状態に依存してあらかじめ設定した比から偏差する場合にも、実際の充電状態を再構成することできる。この際には、充電状態の補正が純粋に計算によって行うことができ、これにより、バッテリの補正された充電状態が求められるが、バッテリおよびエネルギ蓄積素子の充電状態は、時間的に離れて別々にドリフトし得るため、所定の時間間隔でエネルギ蓄積装置の構成を行うべきである。しかしながらここでは、エネルギ蓄積装置が、電荷輸送装置、特にDC−DCコンバータを有することも可能であり、このDC−DCコンバータは、バッテリおよびエネルギ蓄積素子の充電状態の時間に離れた別々のドリフトを確認した際にあらかじめ設定した、バッテリの電流量をエネルギ蓄積素子にまたその逆に伝送することが可能である。
【0026】
さらにここでは、エネルギ蓄積装置が、エネルギ蓄積装置および/またはバッテリおよび/またはエネルギ蓄積素子を流れる電流に対する実際電流量を測定する電流測定装置を含むことも可能であり、充電状態監視装置は、バッテリおよび/またはエネルギ蓄積素子の充電状態を計算する際に、実際電流量を考慮するため、および/または、実際電流量を記憶するため、および、時間的に先行する実際電流量を考慮するために形成されている。このことは、エネルギ蓄積装置の負荷に依存して、全体電流とエネルギ蓄積素子電流との間の実際の比を、あらかじめ設定した比から区別できるため、有利である。実際電流量ないしは時間的に先行する複数の実際電流量を考慮することにより、バッテリの充電状態を計算する際にこれらのような偏差を考慮することができる。上で説明したように、このような場合にも、バッテリおよびエネルギ蓄積素子の充電状態の時間的に離れたドリフトを求める際に、バッテリからエネルギ蓄積装置へまたはこの逆に所定の電流量を伝送することができる。
【0027】
本発明によるエネルギ蓄積装置において特に有利であるのは、エネルギ蓄積素子の充電状態の少なくとも1つの領域について、エネルギ蓄積素子において降下する電圧が、エネルギ蓄積素子の充電状態に対する依存性を有し、この依存性が、このバッテリの同等の充電領域において、このバッテリにおいて降下する電圧の、このバッテリの充電状態に対する依存性よりも大きい場合である。冒頭に説明したように、特に問題であるのは、平坦な特性曲線を有するバッテリの充電状態を電圧測定によって求めることである。このようなバッテリを使用したい場合、本発明のエネルギ蓄積装置では有利にも、比較的急峻な特性曲線を有するエネルギ蓄積素子を利用することができる。付加的なエネルギ蓄積素子の選択は、フレキシブルに行うことができる。なぜならば、対応して形成した接続回路では、エネルギ蓄積素子において降下する電圧も、エネルギ蓄積素子の容量も共にほとんど選択可能だからである。エネルギ蓄積素子およびバッテリの充電状態を長期にわたって良好に一致させるために有利であるのは、自己放電の少ないエネルギ蓄積素子を選択する場合である。
【0028】
エネルギ蓄積素子は、特に電気化学式の蓄電池またはコンデンサまたはスーパーコンデンサとすることできる。スーパーコンデンサは、特に2重層コンデンサ、ハイブリッドコンデンサまたはピエゾコンデンサとすることができる。
【0029】
本発明の別の複数の利点および詳細は、以下の複数の実施例および対応する図面から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明によるエネルギ蓄積装置の一実施例を概略的に示す図である。
【
図2】本発明によるエネルギ蓄積器の別の一実施例を概略的に示す図である。
【
図3】
図2に示した接続回路の考えられ得る一実施形態を示す図である。
【
図4】
図2に示した接続回路の考えられ得る別の一実施形態を示す図である。
【
図5】
図1に示した接続回路の考えられ得る一実施形態を示す図である。
【
図6】
図1に示した接続回路の考えられ得る別の一実施形態を示す図である。
【
図7】本発明によるエネルギ蓄積装置の第3実施例を示す図である。
【
図8】本発明によるエネルギ蓄積装置の第4実施例を示す図である。
【0031】
図1には、バッテリ2と、2重層コンデンサとして形成されている付加的なエネルギ蓄積素子3とを含むエネルギ蓄積装置1が示されている。エネルギ蓄積装置1は、電気回路と接続するための第1接続点5および第2接続点6を有する。バッテリ2と付加的なエネルギ蓄積素子3との間の接続は、バッテリ2のマイナス極側では直接行われ、バッテリ2のプラス極側では接続回路4によって行われる。接続回路4は、第1接続コンタクト7と、第2接続コンタクト8と、第3接続コンタクト9を有する。第1接続コンタクト7は、バッテリ2のマイナス極に直接接続されており、第2接続コンタクト8は、第2接続点6に直接接続されており、第3接続コンタクト9は、エネルギ蓄積素子3に接触接続している。接続回路4は、接続点5,6を介して流れ、ひいては接続コンタクト8をも介して流れる全体電流が、あらかじめ定めた比で、バッテリ2とエネルギ蓄積装置3との間、ひいては接続コンタクト7と9の間で分割されるように形成されている。接続回路4の考えられ得る実施形態は、
図5および
図6に関連して説明する。
図3および
図4で説明する、接続回路の実施形態はさらに、これらの接続回路が、
図1に示したエネルギ蓄積装置1内にも利用できるように構成することができる。
【0032】
エネルギ蓄積素子3において降下する電圧は、電圧測定装置28によって測定され、求めた電圧値は、充電状態監視装置29によって読み出される。エネルギ蓄積素子3で降下する電圧は、エネルギ蓄積素子3の充電状態に依存する。エネルギ蓄積素子3を充電ないしは放電するエネルギ蓄積素子電流は、バッテリを充電ないしは放電する電流に比例するため、エネルギ蓄積素子3の充電状態ひいてはエネルギ蓄積素子3において降下する電圧は、バッテリ2の充電状態2と相関する。したがって前もって求めた校正データセットに基づき、充電状態監視装置29は、電圧測定装置28によって測定した電圧から、バッテリ2の充電状態を計算することできるのである。
【0033】
図2には、エネルギ蓄積装置の別の一実施例が示されている。エネルギ蓄積器1は、エネルギ蓄積素子3の接続の仕方が、
図1に示したエネルギ蓄積器と異なっている。エネルギ蓄積素子3の極は、
図2において、接続装置4の第3接続コンタクト9に直接接続されているか、または、抵抗11を介して間接的に接続回路4の第4接続コンタクト10に接続されている。接続回路4は、第1接続コンタクト7と第2接続コンタクト8との間の電流が、第3接続コンタクト9と第4接続コンタクト10との間の電流に対して固定の比になるように形成されている。ここでは、第1接続コンタクト7および第2接続コンタクト8が、第3接続コンタクト9および第4接続コンタクト10から電気的に絶縁されるように接続装置4を形成することができる。この場合、接続点5,6と、エネルギ蓄積素子3との間に直流電流が流れることはできない。しかしながらそれにもかかわらず、特に一時的な方向転換により、エネルギ蓄積素子3と、接続点5,6に接続される回路との間のエネルギ伝送が可能である。接続回路4の考えられ得る実施形態を、
図3および
図4に関連して説明する。
【0034】
図3には、第2接続点8および第4接続点10を接続することによって
図1に示したエネルギ蓄積装置1の実施形態にも利用可能な、
図2の接続回路4の実施形態が示されている。第1接続コンタクト7と第2接続コンタクト8との間には、低抵抗12が配置されており、この抵抗では、第1接続コンタクト7と第2接続コンタクト8との間に流れる電流に依存して電圧が降下する。抵抗12で降下する電圧は、計装用増幅器13によって増幅され、制御電圧として電流源14に供給される。電流源14は、4象限電流源であり、第3接続点9と第4接続点10との間で降下する電圧には依存せず、計装用増幅器13の出力電圧に依存して、第3接続コンタクト9と第4接続コンタクト10との間に所定の電流を生じさせることができる。4象限電流源14における電流および電圧の相対的な方向に依存して、4象限電流源14は、電流源または電流シンクとして使用される。4象限電流源のエネルギ供給は、接続点5,6を接触接続する図示しない給電線路によって行われる。したがって4象限電流源の動作に必要なエネルギは、エネルギ蓄積装置から取り出され、電流シンクとしての動作時には、得らえたエネルギをこのエネルギ蓄積装置に供給する。これにより、全電流の所定の一部分が、バッテリおよびエネルギ蓄積ユニットから発生し、かつ/または、これらから供給されるようにすることが可能である。
【0035】
図4には、
図2に示した回路1に利用可能な接続回路4の別の一実施形態が示されている。第2接続コンタクト8が第4接続コンタクト10に接続される場合、この接続回路4についても、
図1に示した回路1に利用することが可能である。接続回路4には、DC−DCコンバータ15が含まれており、このDC−DCコンバータは、入力電圧として、第1接続コンタクト7と第2接続コンタクト8との間の電圧を取り出す。DC−DCコンバータ15の出力電圧は、一方では、第3接続コンタクト9に直接接続されており、接続コンタクト9において出力される電圧に対する基準点は、抵抗1を介して第4接続コンタクト10に接続されている。上記の別の回路の予想されるインピーダンス変化に比べて高い抵抗16により、DC−DCコンバータ15は、電流源とみなすことができる。出力される電流の大きさは、第1接続コンタクト7と第2接続コンタクト8との間で降下する電圧に相関付けされる。しかしながらこれは、DC−DCコンバータ15によって供給される電流に依存する。これにより、第3接続コンタクト9と第4接続コンタクト10との間の電流も、第1接続コンタクト7と第2接続コンタクト8との間の電流に依存する。ここでは、第1接続コンタクト7と第2接続コンタクト8との間に、DC−DCコンバータ15に並列に付加的に抵抗を設けて、第1接続コンタクト7と第2接続コンタクト8との間のインピーダンスの実部を適合化することも有利になり得る。
【0036】
図5には、
図1に示した接続回路4の考えられ得る一実施形態が示されている。接続回路4は、3つのトランジスタ17,18および19を含むカレントミラーとして構成されている。すべてのトランジスタ17,18,19のベースおよびトランジスタ17,18のコレクタは、第1接続コンタクト7に接続されており、トランジスタ19のコレクタは第3接続コンタクト9に接続されている。すべてのトランジスタ17,18,19のエミッタにより、第2接続コンタクト8が給電される。トランジスタ17,18のベースとコレクタとの間の帰還結合により、これは電流電圧変換器として動作し、ベースとエミッタとの間の電圧は、トランジスタ17,18を流れる電流にそれぞれ依存する。この電圧は、トランジスタ19のベースにおける電圧に対応し、これによってトランジスタ19は、トランジスタ17および18のそれぞれと同じ量の電流が流れるプログラミング可能な電流源として動作する。すなわち図示の回路はカレントミラーとして使用され、第3接続コンタクト9と第2接続コンタクト8との間の電流は、第1接続コンタクト7と、第2接続コンタクト8との間の電流の丁度半分である。トランジスタ17,18が接続されているように別の複数のトランジスタを接続することにより、分割比を適合させることができる。この際に注意しなければならないのは、トランジスタ17,18の電流のトランジスタ19へのミラーリングは、トランジスタ19のコレクトとベースとの間で電圧が降下する場合にだけ行い得ることである。したがって第3接続コンタクト9における電圧は、第1接続コンタクト7における電圧よりもつねに高くなければならない。したがって、バッテリおよびエネルギ蓄積素子を相応に選択するか、または択一的に付加的なDC−DCコンバータを利用して、この境界条件がつねに満たされるようにしなければならない。
【0037】
図5に示した接続回路4により、エネルギ蓄積素子電流と、全体電流との間のあらかじめ設定した比が、バッテリの放電時にだけ保証される。
図6には、エネルギ蓄積素子電流と、全体電流との間のあらかじめ設定した比が、充電時にも放電時にも共に保証される別の接続回路4が示されている。図示の接続回路4において、第2接続コンタクト8を流れる電流は、第1接続コンタクト7および第3接続コンタクト9における複数の電流からなる同じ複数の部分になる。しかしながら、
図5に示したように、同様に接続される複数のトランジスタを並列に利用することにより、この分割比を適合化することができる。接続回路4では、トランジスタ20および21は、
図5に関連してすでに説明したようにカレントミラーとして接続されている。トランジスタ20および21にはダイオード22および23が直列接続されており、これにより、エネルギ蓄積装置1の充電時に、対応する回路分岐が使用されることが阻止される。第2接続コンタクト8における電圧が、第2接続コンタクト7ないしは第3接続コンタクト9における電圧よりも高い場合に、トランジスタ24および25はカレントミラーを構成する。この状況はまさに、エネルギ蓄積装置が充電される場合に発生する。トランジスタ24,25の回路分岐にはさらに、エネルギ蓄積器装置1の充電時にだけ、対応する回路分岐が利用されることを保証するため、ダイオード26,27が含まれている。
【0038】
図7には、エネルギ蓄積装置の第3実施例が示されており、この装置には、バッテリ2の他に、互いに並列かつバッテリ2に直接接続されている複数のエネルギ蓄積素子3が含まれている。複数のエネルギ蓄積素子3を並列接続することにより、エネルギ蓄積装置3の一層大きな全体容量が得られる。これにより、各エネルギ蓄積素子3が、エネルギ蓄積装置を通って流れる電流の一部分だけを提供すればよい。この実施例では、エネルギ蓄積素子の総数を通って、上記の全体電流に等しい電流が流れるが、全体電流をエネルギ蓄積素子の個数で割った電流と等しいエネルギ蓄積素子電流だけが個々のそれぞれのエネルギ蓄積素子を通って流れるのである。電圧測定装置28による、エネルギ蓄積素子3において降下する電圧の測定および充電状態監視装置29によるバッテリ2の充電状態の計算は、
図1で説明したように行われる。
【0039】
図8にはエネルギ蓄積装置の別の実施例が示されており、ここでは、バッテリの充電状態は、エネルギ蓄積素子3における電圧降下を測定することによって求められる。
図8に示したエネルギ蓄積装置1では、エネルギ蓄積素子3と複数のバッテリとが直接接続されている。エネルギ蓄積装置を通って流れる全体電流は、接続コンタクト8において接続回路4へ流れるかまたはこの接続回路4から流れる。接続回路4は、第1接続コンタクト7と第3接続コンタクト9との間において、あらかじめ設定した比で上記の電流を分割する。第3接続コンタクト9を流れる電流は、エネルギ蓄積素子3を充電ないしは放電する。しかしながらこの電流は同時にバッテリ2も充電または放電する。第1接続コンタクト7を通って流れる電流は、エネルギ蓄積素子3をバイパスし、バッテリ2だけを充電または放電する。
図8の接続回路4は、
図1の接続回路4と同じ役割を果たすので、この接続回路は同じに構成することも可能である。
【0040】
有利な実施例によって本発明を詳細に説明してきたが、本発明は、開示したこれらの例によって制限されることはなく、当業者は、本発明の保護範囲を逸脱することなく、ここから別の複数の変形形態を導出することができる。