(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置SD1を示す平面図である。
図2および
図3は、
図1に示す半導体装置SD1を示す断面図である。
図2は
図1におけるA−A'断面を、
図3は
図1におけるB−B'断面を、それぞれ示している。
【0012】
電気ヒューズは、たとえば二つのパッド部と、これらのパッド部間に位置する幅の細いヒューズ切断部と、により構成される。上述したように、半導体基板上にヒューズ切断部を覆うように膜応力の大きい絶縁材料により構成される絶縁膜が形成される場合、電気ヒューズの切断時におけるヒューズ切断部の膨張に伴って上記絶縁膜が破断することが懸念される。このような懸念は、切断時の電圧が大きくなるにつれてとくに顕著となる。一方で、ヒューズ切断部を上記絶縁膜によって覆わない場合には、電気ヒューズの切断時にヒューズ切断部に発生するボイドが上方へ伸びることに起因して、ヒューズ切断部上に位置する他の層間膜にダメージが生じるおそれがあった。
【0013】
このため、ヒューズ切断部の全体に亘って膜応力の大きい絶縁膜を形成しつつ、電気ヒューズの切断時における当該絶縁膜の破断を抑制することについて検討を行った。本発明者による鋭意検討の結果、電気ヒューズの切断時における上記絶縁膜の破断を引き起こし得る要因として、次の二点が推認された。
(a)上記絶縁膜のうちのヒューズ切断部の側面上に位置する部分の密着性が低いこと
(b)上記絶縁膜のうちのヒューズ切断部上に位置する部分の上下方向の位置が固定されていることから、ヒューズ切断部の膨張に起因した圧力を十分に緩和できないこと
【0014】
本実施形態に係る半導体装置SD1は、このような検討に基づいて実現されたものである。本実施形態によれば、ヒューズ切断部の全体に亘って膜応力の大きい絶縁膜を形成しつつ、ヒューズ切断部の側面上に上記絶縁膜を形成せず、かつ上記絶縁膜のヒューズ切断部上における上下方向の位置の変動を容易としている。ヒューズ切断部の側面上に上記絶縁膜を設けないことによって、上記(a)に起因した破断を抑制できる。また、上記絶縁膜のうちのヒューズ切断部上に位置する部分の上下方向の位置の変動を容易とすることにより、ヒューズ切断部の膨張に起因した圧力を十分に緩和して、上記(b)に起因した破断を抑制できる。このように、本実施形態によれば、電気ヒューズの切断時において上記絶縁膜に破断が生じることを抑制し、電気ヒューズを備える半導体装置の信頼性の向上に寄与することが可能となる。
【0015】
このような本実施形態に係る半導体装置SD1の一例としては、半導体基板SB1と、電気ヒューズEF1と、絶縁膜IL1と、絶縁膜IL2と、絶縁膜IL3と、を有するものが挙げられる。電気ヒューズEF1は、半導体基板SB1上に形成され、所定の電流を流すことによって切断される。また、電気ヒューズEF1は、ポリシリコン膜を含む。さらに、電気ヒューズEF1は、ヒューズ切断部FC1と、第1パッド部PD1と、第2パッド部PD2と、を含む。ヒューズ切断部FC1は、第1方向において第1パッド部PD1と第2パッド部PD2の間に形成され、上記第1方向と直交する第2方向に沿う第1短辺NS1および第2短辺NS2を有する長方形状である。第1パッド部PD1は、上記第2方向において第1短辺NS1よりも大きい幅を有し、かつヒューズ切断部FC1と第1短辺NS1側において一体に形成されている。第2パッド部PD2は、上記第2方向において第2短辺NS2よりも大きい幅を有し、かつヒューズ切断部FC1と第2短辺NS2側において一体に形成されている。絶縁膜IL1は、電気ヒューズEF1上に形成されている。また、絶縁膜IL1は、ヒューズ切断部FC1の表面を覆うように第1短辺NS1と第2短辺NS2の間において連続的に形成されている。絶縁膜IL2は、半導体基板SB1上に形成され、絶縁膜IL1と同一の絶縁材料により形成されている。また、絶縁膜IL2は、絶縁膜IL1を平面的に囲むように形成され、かつ絶縁膜IL1と間隔をもって配置されている。絶縁膜IL3は、電気ヒューズEF1と、絶縁膜IL1と、絶縁膜IL2と、を覆うように形成されている。また、絶縁膜IL1および絶縁膜IL2の応力は、絶縁膜IL3の応力よりも大きい。
【0016】
以下、本実施形態に係る半導体装置SD1について詳細に説明する。
【0017】
半導体装置SD1は、電気ヒューズEF1を備えている。電気ヒューズEF1は、所定の電流を流すことによって切断される電気溶断型ヒューズである。この場合、電気ヒューズEF1に対して過電流を流すことによって電気ヒューズEF1を溶断して高抵抗化させて、電気ヒューズEF1の切断が行われることとなる。そして、電気ヒューズEF1を切断することによって、冗長回路の設定や抵抗値等を調製することが可能となる。
【0018】
図5は、本実施形態に係る半導体装置SD1を示す回路図である。
図5において例示される電気ヒューズEF1を用いたヒューズ回路の動作は、たとえば次のように行われる。まず、ヒューズ制御回路CC1を用いて切断トランジスタCT1がオフ設定となるような信号S1を入力した上で、ヒューズ回路の電源電圧VDDを立ち上げる。この状態で電気ヒューズEF1を切断したい場合には、ヒューズ切断を実行する信号S1を入力して切断トランジスタCT1をオンにすることにより、切断トランジスタCT1に電流を流して電気ヒューズEF1を溶断させる。電気ヒューズEF1が切断された場合、信号S2としてLOレベル(GND)の信号が出力される。一方で、電気ヒューズEF1が切断されていない場合には、信号S2としてHIレベル(VDD)の信号が出力される。この信号S2と、レファレンス信号S3と、をヒューズ判定回路DC1に入力することにより、最終的な信号S4を出力させてヒューズ切断の有無を判定する。そして、最終的な出力信号S4に基づいて、各種製品特性の調整が行われる。なお、半導体装置SD1を構成するヒューズ回路は、
図5に示すものに限定されない。
【0019】
図2および
図3に示すように、電気ヒューズEF1は、たとえば半導体基板SB1上に設けられている。半導体基板SB1は、たとえばシリコン基板、または化合物半導体基板である。本実施形態において、電気ヒューズEF1は、たとえば半導体基板SB1上に設けられた素子分離領域EI1上に配置される。素子分離領域EI1は、たとえば酸化シリコン膜等の絶縁体により構成される。このため、電気ヒューズEF1と、半導体基板SB1と、を互いに電気的に分離することができる。素子分離領域EI1を形成する方法は、とくに限定されないが、たとえばSTI(Shallow Trench Isolation)法、またはLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法等を採用することができる。
【0020】
図1に示すように、電気ヒューズEF1は、ヒューズ切断部FC1と、ヒューズ切断部FC1の一端に設けられた第1パッド部PD1と、ヒューズ切断部FC1の上記一端とは反対の他端に設けられた第2パッド部PD2と、を有している。電気ヒューズEF1の切断は、たとえば第1パッド部PD1と第2パッド部PD2の間に所定の電流を流すことによってヒューズ切断部FC1を切断することにより行われる。これにより、電気溶断型ヒューズが実現されることとなる。
【0021】
ヒューズ切断部FC1は、第1方向において第1パッド部PD1と第2パッド部PD2の間に形成されている。また、ヒューズ切断部FC1は、たとえば第1方向において延在するように設けられている。このため、ヒューズ切断部FC1は、第1方向における長さが、第1方向と直交する第2方向における長さよりも長い平面形状を有することとなる。本実施形態では、たとえば第1方向を半導体基板SB1の基板面に平行な方向とし、第2方向を半導体基板SB1の基板面と平行な面内方向において第1方向と直交する方向とすることができる。
【0022】
図1に示す例において、ヒューズ切断部FC1は長方形状の平面形状を有している。この場合、ヒューズ切断部FC1は、第1方向に沿う第1長辺LS1および第2長辺LS2と、第2方向に沿う第1短辺NS1および第2短辺NS2と、を有することとなる。第1長辺LS1および第2長辺LS2は、ともに第1短辺NS1および第2短辺NS2よりも長い辺である。第1短辺NS1と第2短辺NS2は、互いに等しい長さを有することが好ましいが、互いに異なる長さを有していてもよい。第1長辺LS1と第2長辺LS2は、互いに等しい長さを有することが好ましいが、互いに異なる長さを有していてもよい。
第1短辺NS1および第2短辺NS2の長さは、とくに限定されないが、たとえば0.15μm以上2.0μm以下である。また、第1長辺LS1および第2長辺LS2の長さは、とくに限定されないが、たとえば2μm以上10μm以下である。
【0023】
第1パッド部PD1は、第2方向において、ヒューズ切断部FC1の第1短辺NS1よりも大きい幅を有している。第2パッド部PD2は、第2方向において、ヒューズ切断部FC1の第2短辺NS2よりも大きい幅を有している。これにより、電気ヒューズEF1に電流を流して切断する際に、ヒューズ切断部FC1を高温化してヒューズ切断部FC1に確実に切断箇所を生じさせることができる。第1パッド部PD1および第2パッド部PD2の平面形状は、とくに限定されないが、たとえば矩形状とすることができる。
なお、ヒューズ切断部FC1は、第1パッド部PD1と第2パッド部PD2の間を接続するように延在していればよく、湾曲部や角部をその平面形状内に含んでいてもよい。この場合であっても、ヒューズ切断部FC1の延在方向と直交する方向において、ヒューズ切断部FC1の長さを第1パッド部PD1および第2パッド部PD2の長さよりも長くする。これにより、ヒューズ切断部FC1に切断箇所を生じさせることができる。
【0024】
第1パッド部PD1および第2パッド部PD2は、たとえばヒューズ切断部FC1と一体として形成される。すなわち、第1パッド部PD1はヒューズ切断部FC1と第1短辺NS1側において一体に形成され、第2パッド部PD2はヒューズ切断部FC1と第2短辺NS2側において一体に形成されることとなる。これにより、ヒューズ切断部FC1、第1パッド部PD1、および第2パッド部PD2を同一の工程により形成することが可能となる。この場合、第1パッド部PD1と、第2パッド部PD2と、ヒューズ切断部FC1と、は互いに同じ導電材料により形成される。一方で、第1パッド部PD1および第2パッド部PD2は、ヒューズ切断部FC1と異なる導電材料により形成されていてもよい。
【0025】
ヒューズ切断部FC1を構成する導電材料は、とくに限定されず、電気ヒューズEF1の必要性能に応じて適宜選択することが可能である。ヒューズ切断部FC1は、たとえばSiO
2よりも熱膨張係数が高い導電材料を含むことができる。これにより、ヒューズ切断部FC1に電流を流して高温化した場合に、SiO
2によって構成される層間膜よりも熱膨張係数が高いヒューズ切断部FC1を十分に膨張させることができる。このため、高温化して溶断する際にヒューズ切断部FC1中にボイドを確実に形成して、より安定的な切断動作を実現することが可能となる。
本実施形態においては、たとえばヒューズ切断部FC1、第1パッド部PD1、および第2パッド部PD2により構成される電気ヒューズEF1がポリシリコン膜を含む態様を採用することができる。また、本実施形態においては、たとえば半導体基板SB1に形成されるMOSトランジスタを構成するゲート電極と同一の材料により電気ヒューズEF1を形成することが可能である。これにより、電気ヒューズEF1を、ゲート電極とともに形成することが可能となる。
【0026】
ヒューズ切断部FC1の厚さは、たとえば0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。また、
図6に示すようにポリシリコン膜PS1とシリサイド膜MS1を順に積層してヒューズ切断部FC1を形成する場合には、各膜の厚さが、それぞれ0.05μm以上0.9μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。
【0027】
ヒューズ切断部FC1の側壁には、たとえばサイドウォールSW1を形成することができる。本実施形態においては、ヒューズ切断部FC1の側壁上、第1パッド部PD1の側壁上、および第2パッド部PD2の側壁上のそれぞれにサイドウォールSW1が形成された態様を採用することができる。サイドウォールSW1は、たとえば絶縁材料により構成される。サイドウォールSW1を構成する絶縁材料は、たとえばSiO
2、SiN、およびSiONから選択される一種または二種以上を含むことができる。
【0028】
絶縁膜IL1は、電気ヒューズEF1上に形成されている。また、絶縁膜IL1は、ヒューズ切断部FC1の表面を覆うように第1短辺NS1と第2短辺NS2の間において連続的に形成されている。
図1に示す例においては、たとえばヒューズ切断部FC1を第1方向の全体に亘って覆うようにヒューズ切断部FC1上に絶縁膜IL1が設けられる。このように、本実施形態によれば、絶縁膜IL1が第1パッド部PD1と第2パッド部PD2の間の全体に亘ってヒューズ切断部FC1を覆うように形成されている。これにより、電気ヒューズEF1の切断時にヒューズ切断部FC1に発生するボイドが、ヒューズ切断部FC1の上方に伸びることを絶縁膜IL1によって抑えることができる。このため、ヒューズ切断部FC1上に位置する他の層間膜にダメージが生じることを抑制できる。
【0029】
絶縁膜IL1は、後述する絶縁膜IL3よりも応力が大きい絶縁材料により構成される膜である。本実施形態においては、とくに引っ張り応力を有する絶縁膜により絶縁膜IL1を構成することがより好ましい。このように、引っ張り応力が大きい絶縁膜IL1をヒューズ切断部FC1上に形成することにより、絶縁膜IL1からヒューズ切断部FC1へ向かって働く押圧力が生じることとなる。この場合、切断時にヒューズ切断部FC1中に生じるボイドの、上方への成長を抑えつつ、横方向への成長を促進させることができる。このため、ヒューズ切断部FC1上に位置する層間膜にダメージが生じることを抑制できる。また、ボイドの横方向への成長を促進させることにより、切断後のボイドを十分に大きなものとして、ヒューズ切断部FC1を十分に高抵抗化させることができる。このため、電気ヒューズEF1の切断動作における信頼性向上に寄与することも可能となる。
【0030】
絶縁膜IL1は、たとえば後述する絶縁膜IL3を構成する絶縁材料よりも熱膨張係数が大きい絶縁材料を含むことができる。本実施形態においては、たとえば絶縁膜IL1がSiO
2よりも熱膨張係数が大きい絶縁材料を含むことがより好ましい。このように熱膨張係数が大きい絶縁膜IL1をヒューズ切断部FC1上に形成する場合、ヒューズ切断部FC1に電流を流して高温状態とした際に絶縁膜IL1が大きく膨張することから、ヒューズ切断部FC1は絶縁膜IL1から圧縮応力を受けることとなる。このため、ヒューズ切断部FC1の上方向への膨張が抑制され、横方向または下方向への膨張が促進される。これにより、ヒューズ切断部FC1上に位置する層間膜にダメージが生じることを抑制できる。本実施形態において、絶縁膜IL1を構成する絶縁材料の熱膨張係数は、たとえば2.0μm/K以上5.0μm/K以下であることがとくに好ましい。
【0031】
絶縁膜IL1は、たとえば窒素含有シリコン膜である。これにより、絶縁膜IL1の膜応力や熱膨張係数等を好適な大きさに調整することが容易となる。また、ゲート電極を覆うカバー膜を構成する窒素含有シリコン膜の形成とともに、絶縁膜IL1を形成することも可能となる。窒素含有シリコン膜としては、窒素およびシリコンを含む絶縁膜であればとくに限定されないが、たとえばSiN、SiON、およびSiCNから選択される一種または二種以上を含むものを使用することができる。
【0032】
絶縁膜IL1の厚さは、とくに限定されないが、たとえば5nm以上50nm以下であることが好ましく、10nm以上30nm以下であることがより好ましい。また、絶縁膜IL1の平面形状は、とくに限定されないが、たとえば矩形状とすることができる。
【0033】
図1に示す例において、絶縁膜IL1の第1方向の長さは、ヒューズ切断部FC1の第1方向の長さと等しい。すなわち、絶縁膜IL1の第1方向における一端は第1短辺NS1と重なり、絶縁膜IL1の第1方向における他端は第2短辺NS2と重なる。この場合、絶縁膜IL1はヒューズ切断部FC1上のみに位置することとなることから、絶縁膜IL1の上下方向の位置の変動をさらに容易として、切断時におけるヒューズ切断部FC1の膨張に起因した圧力をさらに緩和することができる。一方で、後述するように、絶縁膜IL1の第1方向の長さは、ヒューズ切断部FC1の第1方向の長さより長くてもよい。
【0034】
本実施形態において、絶縁膜IL1は、たとえば第1パッド部PD1を覆わないように形成される。
図1では、第1パッド部PD1全体および第2パッド部PD2全体が、絶縁膜IL1によって覆われていない場合が例示されている。この場合、絶縁膜IL1はヒューズ切断部FC1上のみに位置することとなることから、絶縁膜IL1の上下方向の位置の変動をさらに容易として、切断時におけるヒューズ切断部FC1の膨張に起因した圧力をさらに緩和することができる。一方で、後述するように、絶縁膜IL1は、第1パッド部PD1および第2パッド部PD2の少なくとも一方を覆うように形成されていてもよい。
【0035】
絶縁膜IL1は、ヒューズ切断部FC1の側面上には形成されていない。すなわち、ヒューズ切断部FC1の側面は絶縁膜IL1によって覆われないこととなる。これにより、ヒューズ切断部FC1の側面上に位置する絶縁膜IL1の密着性が低いことに起因して絶縁膜IL1に破断が生じることを確実に抑制することができる。
図1においては、ヒューズ切断部FC1の第1方向に延在する二つの側面のいずれにも、絶縁膜IL1が形成されていない場合が例示されている。
【0036】
図1に示す例において、絶縁膜IL1の第2方向の長さは、ヒューズ切断部FC1の第2方向の長さよりも短い。これにより、ヒューズ切断部FC1の側方を覆わない形状に絶縁膜IL1をパターニングする際の、パターニングずれに対するマージンを確保することができる。
図1では、絶縁膜IL1の第2方向における一端が第1長辺LS1よりも内側に位置し、かつ絶縁膜IL1の第2方向における他端が第2長辺LS2よりも内側に位置する例が示されている。一方で、絶縁膜IL1の第2方向における一端または他端のいずれかが、第1長辺LS1または第2長辺LS2と重なっていてもよい。また、本実施形態においては、絶縁膜IL1の第2方向の長さが、ヒューズ切断部FC1の第2方向の長さと等しい態様を採用することも可能である。
図1に示すように、絶縁膜IL1の第1方向に沿う一辺が第1長辺LS1よりも内側に位置する場合には、当該一辺から第1長辺LS1までの長さL1は0.1μm以上0.3μm以下であることが好ましい。また、絶縁膜IL1の第1方向に沿う他辺が第2長辺LS2よりも内側に位置する場合には、当該他辺から第2長辺LS2までの長さL2は0.1μm以上0.3μm以下であることが好ましい。
【0037】
図3に示すように、ヒューズ切断部FC1の側壁にサイドウォールSW1が形成されている場合には、絶縁膜IL1を、たとえばヒューズ切断部FC1の側壁に形成されたサイドウォールSW1と平面的に重ならないように形成することができる。すなわち、ヒューズ切断部FC1の側壁に形成されたサイドウォールSW1上には絶縁膜IL1が設けられないこととなる。サイドウォールSW1のうちのヒューズ切断部FC1と対向しない側面と、上面と、は互いに一体となって湾曲面を構成する場合がある。このようなサイドウォールSW1の湾曲面上に形成された絶縁膜IL1については、サイドウォールSW1との密着性が十分に得られずに、ヒューズ切断部FC1の膨張とともに破断を生じることが懸念される。
図3に示す例によれば、絶縁膜IL1をヒューズ切断部FC1の側壁に形成されたサイドウォールSW1と重ならないように形成することにより、このような要因に基づく絶縁膜IL1の破断を抑制することが可能となる。
【0038】
絶縁膜IL2は、絶縁膜IL1を平面的に囲むように、絶縁膜IL1の周囲に形成されている。すなわち、絶縁膜IL2は、平面視において絶縁膜IL1と重なる領域を有しないこととなる。
図1〜3に示す例において、絶縁膜IL2は、半導体基板SB1と、半導体基板SB1上に設けられた素子分離領域EI1と、の上に形成されている。本実施形態において、絶縁膜IL2は、たとえば半導体基板SB1上に設けられたトランジスタのゲート電極を覆うカバー膜として機能することができる。
【0039】
絶縁膜IL2は、後述する絶縁膜IL3よりも応力が大きい膜である。本実施形態においては、とくに引っ張り応力を有する絶縁膜により絶縁膜IL2を構成することがより好ましい。絶縁膜IL2がゲート電極を覆うカバー膜である場合に、このような膜応力の大きい絶縁膜IL2を採用することにより、ゲート電極下におけるチャネル領域に応力を発生させてキャリア移動度を向上させることができる。
【0040】
絶縁膜IL2は、たとえば窒素含有シリコン膜である。これにより、絶縁膜IL2の膜応力等を好適な大きさに調整することが容易となる。窒素含有シリコン膜としては、窒素およびシリコンを含む絶縁膜であればとくに限定されないが、たとえばSiN、SiON、およびSiCNから選択される一種または二種以上を含むものを使用することができる。本実施形態においては、たとえば絶縁膜IL1と同一の絶縁材料によって絶縁膜IL2を形成することができる。これにより、絶縁膜IL1と絶縁膜IL2を同一のプロセスにより成膜することが可能となる。
【0041】
絶縁膜IL2は、絶縁膜IL1と第1方向および第2方向において間隔をもって配置されている。これにより、絶縁膜IL1が絶縁膜IL2から受ける、絶縁膜IL1の上下方向の位置を固定する圧力を緩和または除去することができる。このため、ヒューズ切断部FC1上における絶縁膜IL1の上下方向の位置の変動が容易となるため、ヒューズ切断部FC1の膨張に起因した圧力を十分に緩和することが可能となる。したがって、電気ヒューズEF1の切断時におけるヒューズ切断部FC1の膨張に起因した絶縁膜IL1の破断を抑制することができる。また、絶縁膜IL2が第2方向において絶縁膜IL1と間隔をもって配置されているため、ヒューズ切断部FC1の側方が絶縁膜IL1や絶縁膜IL2によって覆われることを抑制することも可能となる。このため、ヒューズ切断部FC1の側面上に位置する絶縁膜の密着性が低いことに起因した絶縁膜IL1や絶縁膜IL2の破断を抑制することもできる。
【0042】
本実施形態においては、たとえば絶縁膜IL1の全周が絶縁膜IL2との間に間隔を有するように、絶縁膜IL1および絶縁膜IL2が設けられていることがより好ましい。これにより、絶縁膜IL1が絶縁膜IL2から受ける、絶縁膜IL1の上下方向の位置を固定する圧力をより確実に除去することができる。
【0043】
図1に示すように、絶縁膜IL2は、たとえばヒューズ切断部FC1が内部に位置する開口部OP1を有している。また、絶縁膜IL1は、たとえば第1方向および第2方向において開口部OP1よりも内側に位置する。この場合、絶縁膜IL1は絶縁膜IL2と間隔をもって配置されこととなるため、絶縁膜IL1が絶縁膜IL2から受ける、絶縁膜IL1の上下方向の位置を固定する圧力を緩和または除去することができる。また、絶縁膜IL2が第2方向において絶縁膜IL1と間隔をもって配置されることとなるため、ヒューズ切断部FC1の側方が絶縁膜IL1や絶縁膜IL2によって覆われることを抑制することも可能となる。したがって、電気ヒューズEF1の切断時におけるヒューズ切断部FC1の膨張に起因した絶縁膜IL1や絶縁膜IL2の破断を抑制することができる。
【0044】
本実施形態においては、たとえば絶縁膜IL1の全周が開口部OP1よりも内側に位置するように、絶縁膜IL1および絶縁膜IL2が設けられていることがより好ましい。これにより、絶縁膜IL1が絶縁膜IL2から受ける、絶縁膜IL1の上下方向の位置を固定する圧力をより確実に除去することができる。
図1では、絶縁膜IL1の全周が絶縁膜IL2から離間するように、開口部OP1が設けられる場合が例示されている。この場合、絶縁膜IL1の外側には、絶縁膜IL1の全周に亘って、電気ヒューズEF1、サイドウォールSW1、素子分離領域EI1、半導体基板SB1、または後述する絶縁膜IL4が絶縁膜IL1および絶縁膜IL2から露出した領域が形成されることとなる。
【0045】
本実施形態においては、たとえば第1パッド部PD1全体が絶縁膜IL2によって覆われないよう、絶縁膜IL2を形成することができる。
図1においては、第1パッド部PD1全体および第2パッド部PD2全体が絶縁膜IL2によって覆われていない場合が例示されている。これにより、絶縁膜IL2に起因した圧力が過度に電気ヒューズEF1にかかることを確実に抑制することが可能となる。一方で、後述するように、第1パッド部PD1の一部が、絶縁膜IL2によって覆われていてもよい。
【0046】
図1に示すように、絶縁膜IL2は、ヒューズ切断部FC1の側面上に設けられていない。すなわち、ヒューズ切断部FC1の側面は、絶縁膜IL2によって覆われないこととなる。これにより、ヒューズ切断部FC1の側面上に位置する絶縁膜IL2の密着性が低いことに起因して絶縁膜IL2に破断が生じることを抑制することができる。
図1においては、ヒューズ切断部FC1の第2方向を垂線方向とする二つの側面のいずれにも、絶縁膜IL2が形成されていない場合が例示されている。
【0047】
図3に示すように、ヒューズ切断部FC1の側壁にサイドウォールSW1が形成されている場合には、絶縁膜IL2を、たとえばヒューズ切断部FC1の側壁に形成されたサイドウォールSW1と平面的に重ならないように形成することができる。すなわち、ヒューズ切断部FC1の側壁に形成されたサイドウォールSW1上には絶縁膜IL2が設けられないこととなる。サイドウォールSW1のうちのヒューズ切断部FC1と対向しない側面と、上面と、は互いに一体となって湾曲面を構成する場合がある。このようなサイドウォールSW1の湾曲面上に形成された絶縁膜IL2については、サイドウォールSW1との密着性が十分に得られずに、ヒューズ切断部FC1の膨張とともに破断を生じることが懸念される。
図3に示す例によれば、絶縁膜IL2をヒューズ切断部FC1の側壁に形成されたサイドウォールSW1と重ならないように形成することにより、このような要因に基づく絶縁膜IL2の破断を抑制することが可能となる。
【0048】
絶縁膜IL1と絶縁膜IL2が同一の絶縁材料により構成される場合には、絶縁膜IL1と絶縁膜IL2を一の絶縁膜ILと捉えることも可能である。すなわち、上記一の絶縁膜ILが、ヒューズ切断部FC1を第1方向の全体に亘って覆うようヒューズ切断部FC1上と、ヒューズ切断部FC1の周囲と、に形成されることとなる。このような場合において、絶縁膜ILには、たとえばヒューズ切断部FC1の第2方向における両側に開口部OP1が形成される。これにより、ヒューズ切断部FC1の側方が絶縁膜ILによって覆われることを抑制することができる。このため、ヒューズ切断部FC1の側面上に位置する絶縁膜の密着性が低いことに起因した絶縁膜ILの破断を抑制することもできる。
また、
図1においては、第1パッド部PD1の少なくとも一部が、絶縁膜ILによって覆われていない場合が例示されている。すなわち、絶縁膜ILのうちのヒューズ切断部FC1に近接する第1パッド部PD1上に位置する部分に、開口部OP1が形成されることとなる。この場合、絶縁膜ILのうちのヒューズ切断部FC1上に位置する部分が、絶縁膜ILのうちの電気ヒューズEF1の周囲に位置する部分から受ける、上下方向の位置を固定する圧力を緩和または除去することができる。このため、電気ヒューズEF1の切断時におけるヒューズ切断部FC1の膨張に起因した絶縁膜ILの破断を抑制することができる。本実施形態においては、たとえば第1パッド部PD1の少なくとも一部および第2パッド部PD2の少なくとも一部が、絶縁膜ILによって覆われていない態様がより好ましい。
【0049】
本実施形態においては、絶縁膜ILが、ヒューズ切断部FC1を第1方向の全体に亘って覆うようヒューズ切断部FC1上に設けられた第1部分と、ヒューズ切断部FC1の周囲に上記第1部分と離間して位置するように設けられた第2部分と、を有するように絶縁膜IL1を形成することができる。これにより、ヒューズ切断部FC1上に位置する第1部分が、第2部分から受ける、上下方向の位置を固定する圧力を緩和または除去することができる。このため、ヒューズ切断部FC1の膨張に起因した第1部分の破断を抑制できる。なお、
図1においては、絶縁膜IL1が第1部分に、絶縁膜IL2が第2部分に、それぞれ対応することとなる。
【0050】
本実施形態においては、たとえば第1パッド部PD1全体が絶縁膜ILにより覆われないよう、絶縁膜ILを形成することができる。
図1では、第1パッド部PD1全体および第2パッド部PD2全体が絶縁膜ILにより覆われていない場合が例示されている。これにより、絶縁膜ILに起因した圧力が過度に電気ヒューズEF1にかかることを確実に抑制することが可能となる。なお、後述するように、第1パッド部PD1および第1パッド部PD1の一部が、絶縁膜ILによって覆われていてもよい。
【0051】
絶縁膜IL3は、電気ヒューズEF1、絶縁膜IL1、および絶縁膜IL2を覆うように形成されている。すなわち、電気ヒューズEF1のうちの絶縁膜IL1および絶縁膜IL2によって覆われていない領域が、絶縁膜IL3と接触することとなる。
【0052】
絶縁膜IL3は、たとえば酸素含有シリコン膜により構成される。これにより、層間絶縁膜の低誘電率化を図ることができる。また、絶縁膜IL3の熱膨張係数や膜応力等を、絶縁膜IL1や絶縁膜IL2よりも小さくすることが容易となる。絶縁膜IL3を構成する酸素含有シリコン膜としては、窒素含有量が絶縁膜IL1および絶縁膜IL2を構成する窒素含有シリコン膜よりも小さい膜を用いることができる。酸素含有シリコン膜としては、酸素およびシリコンを含む絶縁膜であればとくに限定されないが、たとえばSiO
2を含むものを採用することができる。また、絶縁膜IL3を構成する絶縁材料の熱膨張係数は、たとえば0.1μm/K以上1.0μm以下とすることができる。
【0053】
図4は、本実施形態に係る半導体装置SD1を示す断面図である。
図4においては、半導体基板SB1と、半導体基板SB1上に設けられたトランジスタTR1および電気ヒューズEF1と、を備える半導体装置SD1が例示されている。トランジスタTR1は、半導体基板SB1のうちの素子分離領域EI1が設けられていない領域上に形成されている。また、トランジスタTR1は、半導体基板SB1上に設けられたゲート絶縁膜GI1と、ゲート絶縁膜GI1上に設けられたゲート電極GE1と、ゲート電極GE1の側面上に設けられたサイドウォールSW2と、を備えている。半導体基板SB1のうちの平面視においてトランジスタTR1を含む領域には、ウェル領域となる低濃度不純物層を構成する不純物拡散領域DR1が設けられている。不純物拡散領域DR1は、たとえばP型不純物により構成される。不純物拡散領域DR1内には、トランジスタTR1のソース・ドレイン領域となる高濃度不純物層を構成する不純物拡散領域DR2が設けられている。不純物拡散領域DR2は、たとえばN型不純物により構成される。
【0054】
ゲート電極GE1は、たとえばヒューズ切断部FC1と同じ導電材料により形成することができる。この場合、ゲート電極GE1の形成と同時に、ヒューズ切断部FC1を形成することが可能となる。本実施形態においては、たとえばポリシリコン膜、またはポリシリコン膜とシリサイド膜の積層膜によってゲート電極GE1を構成することができる。サイドウォールSW2は、たとえばサイドウォールSW1と同じ絶縁材料により形成することができる、この場合、サイドウォールSW2の形成と同時に、ヒューズ切断部FC1の側面上にサイドウォールSW1を形成することが可能となる。
【0055】
本実施形態において、絶縁膜IL2は、たとえばゲート電極GE1を覆うように半導体基板SB1上に形成することが可能である。絶縁膜IL2が引っ張り応力の大きい膜により形成される場合には、ゲート電極GE1下に形成されるチャネル領域に対して応力を発生させて、キャリア移動度を向上させることが可能となる。
図4においては、絶縁膜IL2が、たとえばゲート電極GE1およびサイドウォールSW2を覆うように形成される場合が例示されている。本実施形態においては、絶縁膜IL2は、たとえば開口部OP1が設けられる領域を除いて半導体基板SB1の全体を覆うように形成されることがとくに好ましい。開口部OP1が設けられる領域を電気ヒューズEF1が形成されている領域に限定することにより、その他の領域でのチップ上面からの水分の侵入を確実に抑制して、トランジスタTR1等への水分による特性変動の影響を小さくし、半導体装置の耐湿信頼性を向上させることが可能となる。電気ヒューズEF1は、後述するように、ポリシリコン膜PS1と、ポリシリコン膜PS1上に形成されたシリサイド膜MS1とを含む抵抗素子であるため、水分による特性変動の影響は小さく、開口部OP1を設けることによる耐湿信頼性の劣化は小さいと考えられる。
【0056】
絶縁膜IL3中には、電気ヒューズEF1に電位を供給するための複数のコンタクトプラグCP1が形成されている。これらのうち、第1のコンタクトプラグCP1は第1パッド部PD1に接続され、第2のコンタクトプラグCP1は第2パッド部PD2に接続されている。これにより、電気ヒューズEF1に電流を流すことが可能となる。また、絶縁膜IL3には、たとえばゲート電極GE1および不純物拡散領域DR2に接続する他のコンタクトプラグCP1が埋め込まれている。
【0057】
絶縁膜IL3上には、たとえば配線IC1が形成される。配線IC1は、たとえば絶縁膜IL3中に埋め込まれたコンタクトプラグCP1を介して、第1パッド部PD1および第2パッド部PD2に電気的に接続される。また、半導体基板SB1上にトランジスタTR1が形成される場合には、配線IC1は、たとえばコンタクトプラグCP1を介してゲート電極GE1や不純物拡散領域DR2へ電気的に接続される。
図4においては、たとえば配線IC1およびコンタクトプラグCP1を介して、トランジスタTR1の不純物拡散領域DR2と、電気ヒューズEF1の第1パッド部PD1と、が互いに電気的に接続される場合が例示されている。配線IC1は、たとえばCuまたはAl等の金属材料を含む。コンタクトプラグCP1は、たとえばW等の金属材料を含む。
【0058】
また、絶縁膜IL3上には、層間絶縁膜II1が形成される。層間絶縁膜II1は、たとえば絶縁膜IL3上に多層形成されて多層配線構造を構成することができる。この場合、層間絶縁膜II1中には、複数の配線層が形成されることとなる。層間絶縁膜II1のうちの平面視で電気ヒューズEF1と重なる領域には、たとえば凹部RC1を形成することができる。これにより、電気ヒューズEF1の放熱性を向上させることが可能となる。層間絶縁膜II1上には、たとえば表面保護膜であるポリイミド膜PI1が形成される。なお、表面保護膜は、ポリイミド以外の絶縁材料により構成されていてもよい。
【0059】
次に、半導体装置SD1の製造方法について説明する。
図10〜13は、
図4に示す半導体装置SD1の製造方法を示す断面図である。半導体装置SD1の製造方法は、たとえば次のように行うことができる。まず、半導体基板SB1上に、電気ヒューズEF1を形成する。電気ヒューズEF1は、第1方向に延在するヒューズ切断部FC1と、ヒューズ切断部FC1の一端に接続し、かつ第1方向と直交する第2方向における幅がヒューズ切断部FC1よりも大きい第1パッド部PD1と、ヒューズ切断部FC1の一端とは反対の他端に接続し、かつ第2方向における幅がヒューズ切断部FC1よりも大きい第2パッド部PD2と、により構成される。次いで、半導体基板SB1上に電気ヒューズEF1を覆うよう絶縁膜ILを形成する。次いで、絶縁膜ILをパターニングする。次いで、絶縁膜IL上に絶縁膜IL3を形成する。
以下、半導体装置SD1の製造方法について詳細に説明する。
【0060】
まず、
図10(a)に示すように、半導体基板SB1上に素子分離領域EI1を形成する。素子分離領域EI1を形成する方法は、とくに限定されないが、たとえばSTI法、またはLOCOS法等を採用することができる。
【0061】
次に、
図10(b)に示すように、半導体基板SB1のうちのトランジスタTR1が形成される領域に不純物拡散領域DR1を形成する。トランジスタTR1がNchMOSトランジスタである場合、不純物拡散領域DR2はP型不純物により構成される。次いで、半導体基板SB1上にゲート絶縁膜GI1を形成する。
【0062】
次に、
図11(a)に示すように、ゲート電極GE1および電気ヒューズEF1を形成する。ゲート電極GE1および電気ヒューズEF1は、たとえば半導体基板SB1上および素子分離領域EI1上に形成された導電膜をリソグラフィおよびエッチングを用いてパターニングすることにより同時に形成される。一方で、電気ヒューズEF1を、ゲート電極GE1とは異なる工程によって形成することも可能である。この場合、電気ヒューズEF1を構成する導電材料を、ゲート電極GE1の材料に制限されずに選択できる。
【0063】
次に、
図11(b)に示すように、ゲート電極GE1の側面上にサイドウォールSW2を形成するとともに、電気ヒューズEF1の側面上にサイドウォールSW1を形成する。サイドウォールSW1およびサイドウォールSW2は、たとえばゲート電極GE1および電気ヒューズEF1を覆う絶縁膜を半導体基板SB1上に形成した後、当該絶縁膜をエッチバックすることによって形成することができる。
【0064】
次に、
図12(a)に示すように、トランジスタTR1のソース・ドレイン領域を構成する不純物拡散領域DR2を形成する。トランジスタTR1がNchMOSトランジスタである場合、不純物拡散領域DR2はN型不純物により構成される。
【0065】
次に、
図12(b)に示すように、半導体基板SB1上に電気ヒューズEF1およびトランジスタTR1を覆うよう絶縁膜ILを形成する。絶縁膜ILは、たとえば上記において例示した絶縁膜IL1および絶縁膜IL2を構成する絶縁材料により構成される。本実施形態では、たとえば窒素含有シリコン膜により絶縁膜ILを形成することができる。
図12(b)においては、絶縁膜ILが、ゲート電極GE1および電気ヒューズEF1と接するように形成される場合が例示されている。一方で、絶縁膜IL下には、ゲート電極GE1および電気ヒューズEF1を覆うよう後述する絶縁膜IL4が形成されていてもよい。
【0066】
次に、
図13(a)に示すように、絶縁膜ILをパターニングする。
絶縁膜ILのパターニングは、たとえばヒューズ切断部FC1が内部に位置する開口部OP1を有する第1部分と、ヒューズ切断部FC1を第1方向の全体に亘って覆うようにヒューズ切断部FC1上に位置し、かつ第1方向および第2方向において開口部OP1よりも内側に位置する第2部分と、が形成されるように行うことができる。この場合、第1部分が絶縁膜IL2を、第2部分が絶縁膜IL1を、それぞれ構成することとなる。絶縁膜IL1と絶縁膜IL2は、互いの間に間隔を有するように形成される。
【0067】
また、絶縁膜ILのパターニングは、たとえばパターニング後の絶縁膜ILが、ヒューズ切断部FC1を第1方向の全体に亘って覆うようヒューズ切断部FC1上に位置し、かつヒューズ切断部FC1の第2方向における両側と、第1パッド部PD1部の少なくとも一部上と、に開口部OP1を有するように行うこともできる。本実施形態においては、たとえば絶縁膜ILのうちの、第1パッド部PD1の少なくとも一部上と、第2パッド部PD2の少なくとも一部上と、のそれぞれに開口部OP1が形成される。なお、第1パッド部PD1上、第2パッド部PD2上、およびヒューズ切断部FC1の第2方向における両側のそれぞれに設けられた開口部OP1は、たとえば互いに連続するように形成される。
【0068】
次に、
図13(b)に示すように、絶縁膜IL上に絶縁膜IL3を形成する。
図13(b)においては、絶縁膜IL上と、電気ヒューズEF1、サイドウォールSW1、および素子分離領域EI1それぞれの絶縁膜ILにより覆われていない領域上と、に絶縁膜IL3が形成される場合が例示されている。
【0069】
その後、絶縁膜IL3中に、電気ヒューズEF1に接続するコンタクトプラグ、およびトランジスタTR1に接続するコンタクトプラグがそれぞれ形成される。次いで、絶縁膜IL3上に多層配線構造が形成される。
本実施形態に係る半導体装置SD1は、たとえばこのようにして製造される。
【0070】
図6は、本実施形態に係る半導体装置SD1の第1変形例を示す断面図である。
図6に示す例において、電気ヒューズEF1は、ポリシリコン膜PS1と、ポリシリコン膜PS1上に形成されたシリサイド膜MS1と、を含んでいる。これにより、より信頼性の高い切断動作を行うことが可能となる。シリサイド膜MS1中に含まれる金属材料としては、たとえばW(タングステン)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、Co(コバルト)、およびNi(ニッケル)等が挙げられる。
【0071】
図7は、本実施形態に係る半導体装置SD1の第2変形例を示す断面図であり、
図6とは異なる例を示している。
図7においては、絶縁膜IL1下および絶縁膜IL2下に、電気ヒューズEF1を覆う絶縁膜IL4が形成される場合が例示されている。絶縁膜IL4を構成する絶縁材料は、とくに限定されないが、たとえば酸素含有シリコン膜とすることができる。絶縁膜IL4を構成する酸素含有シリコン膜としては、酸素およびシリコンを含有する膜であれば限定されないが、たとえばSiO
2を含むものが挙げられる。絶縁膜IL4は、たとえばヒューズ切断部FC1、第1パッド部PD1、および第2パッド部PD2それぞれの全体を覆うように半導体基板SB1上に形成される。
本変形例に係る半導体装置SD1は、たとえば電気ヒューズEF1を形成する工程の後であって絶縁膜ILを形成する工程の前に、電気ヒューズEF1を覆う絶縁膜IL4を形成する工程を行うことにより実現することができる。
【0072】
図8は、本実施形態に係る半導体装置SD1の第3変形例を示す平面図であり、
図6および7とは異なる例を示している。
図8では、第1パッド部PD1の一部と、第2パッド部PD2の一部と、が絶縁膜IL2によって覆われている場合が例示されている。この場合、絶縁膜IL2は、第1パッド部PD1の他の部分と、第2パッド部PD2の他の部分と、を覆わないように形成される。
【0073】
次に、電気ヒューズEF1の切断動作について説明する。
電気ヒューズEF1の切断は、たとえば第1パッド部PD1と第2パッド部PD2の間に所定の電流を流すことによってヒューズ切断部FC1中のボイドを生じさせ、ヒューズ切断部FC1を高抵抗化することにより行われる。以下、詳細に説明する。
【0074】
まず、第1パッド部PD1と第2パッド部PD2の間に所定の電流を流すことにより、ヒューズ切断部FC1が高温化して熱膨張する。このとき、第1パッド部PD1と第2パッド部PD2の間に印加する電圧の値は、切断後の電気ヒューズEF1の抵抗値に合わせて適宜制御することが可能である。本実施形態においては、とくに限定されないが、たとえば5.0V以上という高電圧によって電気ヒューズEF1の切断を行うことが可能である。より安定的に切断を行う観点からは、5.5V以上10V以下の電圧により切断動作を行うことがより好ましい。高温化によりヒューズ切断部FC1の温度が融点に到達すると、ヒューズ切断部FC1において溶融が起こる。本実施形態においては、ヒューズ切断部FC1の融点が、絶縁膜IL1や絶縁膜IL3等の周囲の絶縁膜の融点よりも低いため、ヒューズ切断部FC1のみが溶融することとなる。次いで、溶融したヒューズ切断部FC1は、膨張領域内を移動して再結晶化するため、高抵抗化する。また、再結晶後のヒューズ切断部FC1の体積は膨張時よりも小さくなるため、上記膨張領域内には何も存在しないボイドが形成されることとなる。このボイドが形成されることにより、切断後の電気ヒューズEF1をさらに高抵抗化することが可能となる。本実施形態においては、たとえばこのようにして電気ヒューズEF1の切断が行われる。
【0075】
本実施形態においては、たとえば切断後の電気ヒューズEF1の抵抗値を1GΩ以上とすることが、半導体装置の信頼性を向上させる観点からとくに好ましい。切断後の電気ヒューズEF1を1GΩ以上という高抵抗状態とするためには、たとえば5.0V以上という高電圧による切断動作が必要となる。本実施形態に係る電気ヒューズEF1によれば、このような高電圧による切断動作であっても、層間膜にダメージが生じることを抑制することできる。また、このように切断電圧を高めに設定することにより、切断後のヒューズ切断部FC1中に残存するボイドのサイズを大きくすることができるため、電気ヒューズEF1の切断歩留まりを向上させることも可能となる。また、電気ヒューズEF1に接続される切断トランジスタのサイズを小さくして、ヒューズ回路全体のレイアウトサイズの縮小化に寄与することもできる。
【0076】
図9は、電気ヒューズEF1の切断後の構造の一例を示す断面図である。
図9においては、ヒューズ切断部FC1がポリシリコン膜PS1とシリサイド膜MS1を含み、かつ絶縁膜IL4を備える場合の切断構造が例示されている。この場合、ヒューズ切断部FC1の高温化に伴いシリサイド膜MS1におけるエレクトロマイグレーションが生じることから、シリサイド膜MS1とポリシリコン膜PS1が混合しこれらの合金部AL1が生じる。また、合金部AL1の溶融とともにヒューズ切断部FC1の膨張が進むため、上述のようにヒューズ切断部FC1内にボイドVO1が発生することとなる。
【0077】
上述のように、切断後のヒューズ切断部FC1内にはボイドVO1が残存する。
図9においては、絶縁膜IL1のうちの少なくともボイドVO1が発生する領域上に位置する部分が、絶縁膜IL4等の他の絶縁膜中に取り込まれて切断後のヒューズ切断部FC1上には残存しない場合が例示されている。このとき、絶縁膜IL1のうちの他の部分は、ヒューズ切断部FC1上に残存しなくてもよいが、ヒューズ切断部FC1上に残存していてもよい。このような切断後の構造は、電気ヒューズEF1を切断する際の電圧等の条件を適切に選択することにより実現することが可能である。
また、ヒューズ切断部FC1のうちの少なくともボイドVO1の周囲には、たとえばシリサイド膜MS1とポリシリコン膜PS1が混合して形成される合金部AL1が残存する。
【0078】
(第2の実施形態)
図14は、第2の実施形態に係る半導体装置SD2を示す図である。
図14(a)は平面図を、
図14(b)は
図14(a)におけるA−A'断面を、それぞれ示している。
本実施形態に係る半導体装置SD2において、絶縁膜IL1は、ヒューズ切断部FC1上とともに、第1パッド部PD1上および第2パッド部PD2上にも形成される。このような点を除いて、本実施形態に係る半導体装置SD2は、第1の実施形態に係る半導体装置SD1と同様の構成を有することができる。
以下、半導体装置SD2について詳細に説明する。
【0079】
本実施形態に係る半導体装置SD2において、絶縁膜IL1は、ヒューズ切断部FC1上、第1パッド部PD1上および第2パッド部PD2上に設けられている。すなわち、絶縁膜IL1は、ヒューズ切断部FC1上に設けられた部分IL11と、第1パッド部PD1上に設けられた部分IL12と、第2パッド部PD2上に設けられた部分IL13と、により構成されることとなる。これにより、絶縁膜IL1からヒューズ切断部FC1にかかる圧力をより効果的に発生させることができ、安定的なボイドの形成に寄与することができる。また、ヒューズ切断部FC1を全体に亘って覆うように絶縁膜IL1のパターニングを行う際のパターニングずれに対するマージンを確保することができる。なお、絶縁膜IL1のうちのヒューズ切断部FC1上に設けられている部分IL11と、第1パッド部PD1上に設けられている部分IL12と、第2パッド部PD2上に設けられている部分IL13と、は互いに連続的に設けられている。
【0080】
本実施形態では、絶縁膜IL1の第1方向の長さは、ヒューズ切断部FC1の第1方向の長さよりも長くなる。これにより、ヒューズ切断部FC1上、第1パッド部PD1上、および第2パッド部PD2上において連続した絶縁膜IL1を形成することができる。
【0081】
図14(a)および
図14(b)に示すように、絶縁膜IL1は、たとえば第1パッド部PD1のうちの一部を覆い、第1パッド部PD1のうちの他の部分を覆わないように形成することができる。これにより、第1パッド部PD1上に形成される面積を一定値以下に抑えることができるため、ヒューズ切断部FC1上における上下方向の位置の変動をより容易とすることができる。このため、ヒューズ切断部FC1の膨張に伴ってヒューズ切断部FC1上の絶縁膜IL1が破断することをより確実に抑制できる。
図14(a)に例示する構造においては、第1パッド部PD1の第2方向に沿う二辺のうちのヒューズ切断部FC1と接していない一辺と、部分IL12と、の間の第1方向における最短長さL3を1μm以上12μm以下とすることができる。また、第1パッド部PD1の第1方向に沿う一辺と、これに隣接する部分IL12の第1方向に沿う一辺と、の間の第2方向における最短長さL4を1μm以上5μm以下とすることができる。
【0082】
絶縁膜IL1の平面形状は、とくに限定されない。本実施形態においては、
図14(a)に示すように、たとえばヒューズ切断部FC1上を覆うように第1方向に延在する一の部分と、当該一の部分の一端および他端の少なくとも一方から第2方向の少なくとも一方側へ伸びて形成される他の部分と、を含む平面形状を有する絶縁膜IL1を採用することができる。一方で、絶縁膜IL1は、ヒューズ切断部FC1上を覆うように第1方向に延在する部分のみからなる平面形状を有していてもよい。
【0083】
図15は、本実施形態に係る半導体装置SD2を示す断面図である。また、
図21は、
図15に示す半導体装置SD2のうちの電気ヒューズEF1の構成を示す図である。
図21(a)は平面図を、
図21(b)は
図21(a)におけるA−A'断面を、それぞれ示している。
図15および
図21においては、電気ヒューズEF1に接続される複数のコンタクトプラグCP1の下部が、絶縁膜IL1により囲まれている場合が例示されている。これにより、絶縁膜IL3にコンタクトプラグCP1を埋め込むためのコンタクトホールを形成する際に、絶縁膜IL1をエッチングストッパ膜として機能させることができる。また、絶縁膜IL2が第1パッド部PD1の一部および第2パッド部PD2の一部を覆う場合には、電気ヒューズEF1に接続される複数のコンタクトプラグCP1の下部は、絶縁膜IL2により囲まれていてもよい。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
【0084】
図16は、
図15に示す半導体装置SD2の第1変形例を示す図である。
図16(a)は平面図を、
図16(b)は
図16(a)におけるA−A'断面を、それぞれ示している。
図16においては、第1パッド部PD1全体および第2パッド部PD2全体が、絶縁膜IL1によって覆われる場合が例示されている。本変形例では、絶縁膜IL1のうちの第1パッド部PD1上に設けられた部分IL12の平面形状が、第1パッド部PD1の平面形状と一致する。また、絶縁膜IL1のうちの第2パッド部PD2上に設けられた部分IL13の平面形状が、第2パッド部PD2の平面形状と一致する。このような場合においても、絶縁膜IL1は絶縁膜IL2と間隔をもって配置されこととなるため、絶縁膜IL1が絶縁膜IL2から受ける、絶縁膜IL1の上下方向の位置を固定する圧力を緩和または除去することができる。
【0085】
図17は、
図15に示す半導体装置SD2の第2変形例を示す図であり、
図16とは異なる例を示す。
図17(a)は平面図を、
図17(b)は
図17(a)におけるA−A'断面を、それぞれ示している。
図17においては、第1パッド部PD1全体と、第2パッド部PD2全体と、第1パッド部PD1および第2パッド部PD2それぞれの側面上に設けられるサイドウォールSW1と、が絶縁膜IL1によって覆われる場合が例示されている。この場合、ヒューズ切断部FC1の側面上に形成されたサイドウォールSW1が平面視で絶縁膜IL1と重ならないように、絶縁膜IL1を形成することができる。この場合においても、絶縁膜IL1は絶縁膜IL2と間隔をもって配置されこととなるため、絶縁膜IL1が絶縁膜IL2から受ける、絶縁膜IL1の上下方向の位置を固定する圧力を緩和または除去することができる。なお、第1パッド部PD1および第2パッド部PD2のうちのいずれか一方の側面上に設けられたサイドウォールSW1のみが絶縁膜IL1によって覆われていてもよい。
【0086】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
(第3の実施形態)
図18は、第3の実施形態に係る半導体装置SD3を示す図である。
図18(a)は平面図を、
図18(b)は
図18(a)におけるA−A'断面を、それぞれ示している。
本実施形態に係る半導体装置SD3においては、絶縁膜IL5が、第1パッド部PD1上または第2パッド部PD2上に形成された絶縁膜IL1と、絶縁膜IL2と、をつなぐように形成されている。このような点を除いて、本実施形態に係る半導体装置SD3は、第2の実施形態に係る半導体装置SD2と同様の構成を有することができる。
以下、半導体装置SD3について詳細に説明する。
【0088】
本実施形態に係る半導体装置SD3は、絶縁膜IL1のうちの第1パッド部PD1上に設けられた部分IL12または第2パッド部PD2に設けられた部分IL13と、絶縁膜IL2と、を繋ぐ絶縁膜IL5を備えている。
図18においては、絶縁膜IL1のうちの第1パッド部PD1上に位置する部分IL12からみて第1方向に位置しており、かつ当該部分IL12と絶縁膜IL2を接続するように、絶縁膜IL5が形成されている。このように、絶縁膜IL1の一部を絶縁膜IL2と接続させることにより、絶縁膜IL1からヒューズ切断部FC1へ向かって働く押圧力をより効果的に発生させることができる。このため、ヒューズ切断部FC1に生じるボイドの横方向への成長を効果的に促進させて、安定的な切断動作を実現することができる。また、このような構造を有する場合であっても、絶縁膜IL5が設けられていない領域については絶縁膜IL1と絶縁膜IL2は互いに間隔をもって配置されこととなる。さらに、第1パッド部PD1および第2パッド部PD2の一部上において、開口部OP1を形成することもできる。このため、絶縁膜IL1が絶縁膜IL2から受ける、絶縁膜IL1の上下方向の位置を固定する圧力を緩和または除去することが可能となる。
【0089】
絶縁膜IL5は、たとえば絶縁膜IL1および絶縁膜IL2と一体に形成される。この場合、絶縁膜IL5は、絶縁膜IL1と同一の絶縁材料により構成されることとなる。
【0090】
図18においては、絶縁膜IL1のうちの第1パッド部PD1上に位置する部分IL12と、第2パッド部PD2上に位置する部分IL13と、のそれぞれに絶縁膜IL5が形成される場合が例示されている。ここでは、これらの各部分について、ヒューズ切断部FC1が位置する側と反対側に絶縁膜IL5が形成されることとなる。なお、絶縁膜IL1のうちの第1パッド部PD1上に位置する部分IL12と、第2パッド部PD2上に位置する部分IL13と、のいずれか一方に絶縁膜IL5が形成されていてもよい。
図18に示す構造において、絶縁膜IL5の第2方向における長さは、部分IL12のうちの絶縁膜IL5と接する部分の第2方向における長さと等しい。一方で、絶縁膜IL5の第2方向における長さは、部分IL12のうちの絶縁膜IL5と接する部分の第2方向における長さよりも長くてもよく、短くてもよい。
図18に係る例について、絶縁膜IL5の第2方向における長さは、たとえば5μm以上40μm以下とすることができる。
【0091】
図18においては、たとえば絶縁膜IL1と、絶縁膜IL1の両端側に設けられた絶縁膜IL5と、により開口部OP1が分割されている。この場合、電気ヒューズEF1からみて第2方向の一方側に位置する開口部OP11と、電気ヒューズEF1からみて第2方向の他方側に位置する開口部OP12と、に開口部OP1が分割されることとなる。開口部OP11および開口部OP12は、それぞれ第1パッド部PD1および第2パッド部PD2それぞれの一部と重なっている。
図18に示す例においては、開口部OP11の内部に第1長辺LS1が、開口部OP12の内部に第2長辺LS2が、それぞれ配置される。
【0092】
図19は、
図18に示す半導体装置SD3の変形例を示す図である。
図19(a)は平面図を、
図19(b)は
図19(a)におけるA−A'断面を、それぞれ示している。
本変形例において、絶縁膜IL5は、絶縁膜IL1のうちの第1パッド部PD1上に位置する部分IL12からみて第2方向に位置しており、かつ当該部分IL12と絶縁膜IL2を接続するように形成される。
図19においては、絶縁膜IL1のうちの第1パッド部PD1上に位置する部分IL12と、第2パッド部PD2上に位置する部分IL13と、のそれぞれに絶縁膜IL5が形成される場合が例示されている。この場合、絶縁膜IL1のうちの第1パッド部PD1上に位置する部分IL12からみて第2方向における一方側または両側に、絶縁膜IL5を形成することができる。また、絶縁膜IL1のうちの第2パッド部PD2上に位置する部分IL13からみて第2方向における一方側または両側に、絶縁膜IL5を形成することができる。このような構造を有する場合であっても、絶縁膜IL5が設けられていない領域については絶縁膜IL1と絶縁膜IL2は互いに間隔をもって配置されこととなる。さらに、第1パッド部PD1および第2パッド部PD2の一部上に、開口部OP1を形成することもできる。このため、絶縁膜IL1が絶縁膜IL2から受ける、絶縁膜IL1の上下方向の位置を固定する圧力を緩和または除去することが可能となる。
【0093】
図19においては、たとえば絶縁膜IL1のうちの第1パッド部PD1上に位置する部分IL12からみて第2方向における両側に絶縁膜IL5を形成し、かつ絶縁膜IL1のうちの第2パッド部PD2上に位置する部分IL13からみて第2方向における両側に絶縁膜IL5を形成する。この場合、開口部OP1は、絶縁膜IL1および絶縁膜IL5によって4つの開口部に分割されることとなる。なお、絶縁膜IL1のうちの第1パッド部PD1上に位置する部分IL12または第2パッド部PD2上に位置する部分IL13の少なくとも一方について、第2方向における少なくとも一方側には絶縁膜IL5が形成されていなくてもよい。
図19に示す構造において、絶縁膜IL5の第1方向における長さは、部分IL12のうちの絶縁膜IL5と接する部分の第1方向における長さと等しい。一方で、絶縁膜IL5の第1方向における長さは、部分IL12のうちの絶縁膜IL5と接する部分の第1方向における長さよりも長くてもよく、短くてもよい。
図19に係る例について、絶縁膜IL5の第1方向における長さは、たとえば1μm以上8μm以下とすることができる。
【0094】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
(第4の実施形態)
図20は、第4の実施形態に係る半導体装置SD4を示す図である。
図20(a)は平面図を、
図20(b)は
図20(a)におけるA−A'断面を、それぞれ示している。
本実施形態に係る半導体装置SD4においては、絶縁膜IL2が、第1パッド部PD1の一部を覆うように形成されている。また、絶縁膜IL2のうちの第1パッド部PD1上に設けられた部分は、絶縁膜IL1と接続している。これらの点を除いて、本実施形態に係る半導体装置SD4は、第1の実施形態に係る半導体装置SD1と同様の構成を有することができる。
以下、半導体装置SD4について詳細に説明する。
【0096】
本実施形態に係る半導体装置SD4においては、絶縁膜IL2が、第1パッド部PD1の一部を覆うように形成されている。また、絶縁膜IL2のうちの第1パッド部PD1上に設けられた部分は、絶縁膜IL1と接続している。一方で、第1パッド部PD1の一部は、絶縁膜IL1および絶縁膜IL2により覆われていない。すなわち、ヒューズ切断部FC1に近接する第1パッド部PD1上に開口部OP1を形成することができる。このため、本実施形態においても、絶縁膜IL1が絶縁膜IL2から受ける、絶縁膜IL1の上下方向の位置を固定する圧力を緩和または除去することが可能となる。
【0097】
図20においては、絶縁膜IL2が、第1パッド部PD1の一部および第2パッド部PD2の一部を覆うように形成される場合が例示されている。また、絶縁膜IL2のうちの第1パッド部PD1上に設けられた部分と、第2パッド部PD2上に設けられた部分と、はヒューズ切断部FC1上に設けられた絶縁膜IL1と接続している。一方で、第1パッド部PD1の一部および第2パッド部PD2の一部は、絶縁膜IL1および絶縁膜IL2により覆われていない。このような場合、開口部OP1は、絶縁膜IL1と絶縁膜IL2によって開口部OP11および開口部OP12に分割されることとなる。
【0098】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
なお、上記実施の形態によれば、以下の発明が開示されている。
(付記1)
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成され、所定の電流を流すことによって切断される電気ヒューズと、
前記電気ヒューズ上に形成された第1絶縁膜と、
前記半導体基板上に形成され、前記第1絶縁膜と同一の絶縁材料により形成された第2絶縁膜と、
前記電気ヒューズと前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜とを覆うように形成された第3絶縁膜と、
を有し、
前記電気ヒューズは、ポリシリコン膜を含み、
前記電気ヒューズは、ヒューズ切断部と第1パッド部と第2パッド部とを含み、
前記ヒューズ切断部は、第1方向において第1パッド部と第2パッド部の間に形成され、前記第1方向と直交する第2方向に沿う第1短辺及び第2短辺を有する長方形状であり、
前記第1パッド部は、前記第2方向において前記第1短辺よりも大きい幅を有し、かつ、前記ヒューズ切断部と前記第1短辺側において一体に形成され、
前記第2パッド部は、前記第2方向において前記第2短辺よりも大きい幅を有し、かつ、前記ヒューズ切断部と前記第2短辺側において一体に形成され、
前記第1絶縁膜は、前記ヒューズ切断部の表面を覆うように前記第1短辺と前記第2短辺の間において連続的に形成され、
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜を平面的に囲むように形成され、かつ、前記第1絶縁膜と前記第1方向および前記第2方向において間隔をもって配置され、
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜の応力は、前記第3絶縁膜の応力よりも大きい、半導体装置。
(付記2)
付記1記載の半導体装置において、
前記第3絶縁膜は、酸素含有シリコン膜である、半導体装置。
(付記3)
付記1に記載の半導体装置において、
前記半導体基板上には、酸化シリコン膜からなる素子分離部がさらに形成され、前記電気ヒューズは、前記素子分離部上に形成されていることを特徴とする半導体装置。
(付記4)
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、かつ第1方向に延在するヒューズ切断部と、
前記ヒューズ切断部の一端に設けられ、かつ前記第1方向と直交する第2方向における幅が前記ヒューズ切断部よりも大きい第1パッド部と、
前記ヒューズ切断部の前記一端とは反対の他端に設けられ、かつ前記第2方向における幅が前記ヒューズ切断部よりも大きい第2パッド部と、
前記ヒューズ切断部が内部に位置する開口部を有する第1窒素含有シリコン膜と、
前記ヒューズ切断部を前記第1方向の全体に亘って覆うように前記ヒューズ切断部上に設けられ、かつ前記第1方向および前記第2方向において前記開口部よりも内側に位置する第2窒素含有シリコン膜と、
前記第1窒素含有シリコン膜および前記第2窒素含有シリコン膜を覆う絶縁膜と、
を備える半導体装置。
(付記5)
付記4に記載の半導体装置において、
前記第2窒素含有シリコン膜は、前記ヒューズ切断部上、前記第1パッド部上および前記第2パッド部上に設けられている半導体装置。
(付記6)
付記4に記載の半導体装置において、
前記絶縁膜は、酸素含有シリコン膜である半導体装置。
(付記7)
付記5に記載の半導体装置において、
前記第2窒素含有シリコン膜は、前記第1パッド部のうちの一部を覆い、他の部分を覆っていない半導体装置。
(付記8)
付記4に記載の半導体装置において、
前記第1窒素含有シリコン膜は、前記第1パッド部を覆っていない半導体装置。
(付記9)
付記4に記載の半導体装置において、
前記第2窒素含有シリコン膜は、前記第1パッド部を覆っていない半導体装置。
(付記10)
付記4に記載の半導体装置において、
前記第2窒素含有シリコン膜は、全周において前記開口部よりも内側に位置する半導体装置。
(付記11)
付記4に記載の半導体装置において、
前記第1パッド部と前記第2パッド部の間に所定の電流を流すことによって、前記ヒューズ切断部が切断される半導体装置。
(付記12)
付記4に記載の半導体装置において、
前記ヒューズ切断部は、ポリシリコン膜と、前記ポリシリコン膜上に設けられたシリサイド膜と、を含む半導体装置。
(付記13)
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、第1方向に延在するヒューズ切断部と、
前記ヒューズ切断部の一端に設けられ、かつ前記第1方向と直交する第2方向における幅が前記ヒューズ切断部よりも大きい第1パッド部と、
前記ヒューズ切断部の前記一端とは反対の他端に設けられ、かつ前記第2方向における幅が前記ヒューズ切断部よりも大きい第2パッド部と、
前記ヒューズ切断部を前記第1方向の全体に亘って覆うよう前記ヒューズ切断部上と、前記ヒューズ切断部の周囲と、に設けられ、かつ前記ヒューズ切断部の前記第2方向における両側に開口部を有する窒素含有シリコン膜と、
前記窒素含有シリコン膜を覆う絶縁膜と、
を備え、
前記第1パッド部の少なくとも一部は、前記窒素含有シリコン膜によって覆われていない半導体装置。
(付記14)
付記13に記載の半導体装置において、
前記絶縁膜は、酸素含有シリコン膜である半導体装置。
(付記15)
付記13に記載の半導体装置において、
前記窒素含有シリコン膜は、前記第1パッドを覆っていない半導体装置。
(付記16)
付記13に記載の半導体装置において、
前記第1パッド部と前記第2パッド部の間に所定の電流を流すことによって、前記ヒューズ切断部が切断される半導体装置。
(付記17)
付記13に記載の半導体装置において、
前記ヒューズ切断部は、ポリシリコン膜と、前記ポリシリコン膜上に設けられたシリサイド膜と、を含む半導体装置。
(付記18)
半導体基板上に、第1方向に延在するヒューズ切断部と、前記ヒューズ切断部の一端に接続し、かつ前記第1方向と直交する第2方向における幅が前記ヒューズ切断部よりも大きい第1パッド部と、前記ヒューズ切断部の前記一端とは反対の他端に接続し、かつ前記第2方向における幅が前記ヒューズ切断部よりも大きい第2パッド部と、により構成される電気ヒューズを形成する工程と、
前記半導体基板上に前記電気ヒューズを覆うよう窒素含有シリコン膜を形成する工程と、
前記窒素含有シリコン膜をパターニングする工程と、
前記窒素含有シリコン膜上に絶縁膜を形成する工程と、
を備え、
前記窒素含有シリコン膜をパターニングする工程は、
前記ヒューズ切断部が内部に位置する開口部を有する第1部分と、前記ヒューズ切断部を前記第1方向の全体に亘って覆うように前記ヒューズ切断部上に位置し、かつ前記第1方向および前記第2方向において前記開口部よりも内側に位置する第2部分と、が形成されるように行われる半導体装置の製造方法。
(付記19)
半導体基板上に、第1方向に延在するヒューズ切断部と、前記ヒューズ切断部の一端に接続し、かつ前記第1方向と直交する第2方向における幅が前記ヒューズ切断部よりも大きい第1パッド部と、前記ヒューズ切断部の前記一端とは反対の他端に接続し、かつ前記第2方向における幅が前記ヒューズ切断部よりも大きい第2パッド部と、により構成される電気ヒューズを形成する工程と、
前記半導体基板上に前記電気ヒューズを覆うよう窒素含有シリコン膜を形成する工程と、
前記窒素含有シリコン膜をパターニングする工程と、
前記窒素含有シリコン膜上に絶縁膜を形成する工程と、
を備え、
前記窒素含有シリコン膜をパターニングする工程は、
パターニング後の前記窒素含有シリコン膜が、前記ヒューズ切断部を前記第1方向の全体に亘って覆うよう前記ヒューズ切断部上に位置し、かつ前記ヒューズ切断部の前記第2方向における両側と、前記第1パッド部の少なくとも一部上と、に開口部を有するように行われる半導体装置の製造方法。
【0100】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。