(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の引出し配線のそれぞれは、少なくとも一部に、線幅方向に平行な断面の形状における側面のテーパー角が90°未満である順テーパー側面部分を前記第1無機バリア層に接する2つの側面の少なくとも最下部に有し、前記順テーパー側面部分を有する、前記複数の引出し配線のそれぞれの部分の上に前記無機バリア層接合部を有する、請求項3に記載の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるOLED表示装置およびその製造方法を説明する。なお、本発明の実施形態は、以下に例示する実施形態に限定されない。
【0048】
[第1のモード]
まず、有機バリア層を介して、大気中の水蒸気がアクティブ領域内に到達する原因の2つのモードの内の第1のモードを説明する。
【0049】
インクジェット法などの印刷法を用いて有機バリア層を形成する場合、有機バリア層は、素子基板上のアクティブ領域にのみ形成され、アクティブ領域以外の領域には形成されないようにすることができる。したがって、アクティブ領域の周辺(外側)では、第1の無機材料層と第2の無機材料層とが直接接触する領域が存在し、有機バリア層は第1無機材料層と第2無機材料層とによって完全に包囲されており、周囲から隔絶されている。
【0050】
これに対し、特許文献2または3に記載の有機バリア層の形成方法では、素子基板の全面に樹脂(有機材料)が供給され、液状の樹脂の表面張力を利用して、素子基板の表面の凸部の側面と基板表面との境界部に樹脂を偏在させる。したがって、アクティブ領域外の領域(「周辺領域」ということもある。)、すなわち、複数の端子が配置される端子領域、およびアクティブ領域から端子領域に至る引出し配線が形成される引出し配線領域にも有機バリア層が形成されることがある。具体的には、例えば、引出し配線および端子の側面と基板表面との境界部に樹脂が偏在する。そうすると、引出し配線に沿って形成された有機バリア層の部分の端部は第1無機バリア層と第2無機バリア層とによって包囲されておらず、大気(周辺雰囲気)に晒されている。
【0051】
有機バリア層は、無機バリア層に比べて水蒸気バリア性が低いので、引出し配線に沿って形成された有機バリア層は、大気中の水蒸気をアクティブ領域内へ導く経路となってしまう。これが第1のモードである。以下ではまず、第1のモードの原因による耐湿信頼性の低下を抑制する実施形態を説明する。
【0052】
図1(a)および(b)を参照して、本発明の実施形態によるOLED表示装置100の基本的な構成を説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態によるOLED表示装置100のアクティブ領域の模式的な部分断面図であり、
図1(b)は、OLED3上に形成されたTFE構造10の部分断面図である。後に説明する実施形態1および実施形態2によるOLED表示装置も基本的に同じ構成を有しており、特に、TFE構造に関する構造以外の構造はOLED表示装置100と同じであってよい。
【0053】
OLED表示装置100は、複数の画素を有し、画素ごとに少なくとも1つの有機EL素子(OLED)を有している。ここでは、簡単のために、1つのOLEDに対応する構造について説明する。
【0054】
図1(a)に示す様に、OLED表示装置100は、フレキシブル基板(以下、単に「基板」ということがある。)1と、基板1上に形成されたTFTを含む回路(バックプレーン)2と、回路2上に形成されたOLED3と、OLED3上に形成されたTFE構造10とを有している。OLED3は例えばトップエミッションタイプである。OLED3の最上部は、例えば、上部電極またはキャップ層(屈折率調整層)である。TFE構造10の上にはオプショナルな偏光板4が配置されている。
【0055】
基板1は、例えば厚さが15μmのポリイミドフィルムである。TFTを含む回路2の厚さは例えば4μmであり、OLED3の厚さは例えば1μmであり、TFE構造10の厚さは例えば1.5μm以下である。
【0056】
図1(b)は、OLED3上に形成されたTFE10の部分断面図である。OLED3の直上に第1無機バリア層(例えばSiN層)12が形成されており、第1無機バリア層12の上に有機バリア層(例えばアクリル樹脂層)14が形成されており、有機バリア層14の上に第2無機バリア層(例えばSiN層)16が形成されている。
【0057】
例えば、第1無機バリア層12および第2無機バリア層16は、例えば厚さが400nmのSiN層であり、有機バリア層14は厚さが100nm未満のアクリル樹脂層である。第1無機バリア層12および第2無機バリア層16の厚さはそれぞれ独立に、200nm以上1000nm以下であり、有機バリア層14の厚さは50nm以上200nm未満である。TFE構造10の厚さは400nm以上2μm未満であることが好ましく、400nm以上1.5μm未満であることがさらに好ましい。
【0058】
TFE構造10は、OLED表示装置100のアクティブ領域(
図2中のアクティブ領域R1参照)を保護するように形成されており、少なくともアクティブ領域には、上述したように、OLED3に近い側から順に、第1無機バリア層12、有機バリア層14、および第2無機バリア層16を有している。なお、有機バリア層14は、アクティブ領域の全面を覆う膜として存在しているのではなく、離散的に分布する複数の中実部(実際に有機膜が存在する部分)を有している。逆に、有機膜が存在しない部分を非中実部という。中実部に包囲された非中実部を開口部ということもある。非中実部においては、第1無機バリア層12と第2無機バリア層16とが直接接触している。有機バリア層14が有する非中実部は、少なくとも、アクティブ領域を包囲するように連続する部分を含み、アクティブ領域は、第1無機バリア層12と第2無機バリア層16とが直接接触している部分(以下、「無機バリア層接合部」という。)で完全に包囲されている。
【0059】
(実施形態1)
図2から
図5を参照して、本発明の実施形態1によるOLED表示装置の構造および製造方法を説明する。
【0060】
図2に本発明の実施形態1によるOLED表示装置100Aの模式的な平面図を示す。
【0061】
OLED表示装置100Aは、フレキシブル基板1と、フレキシブル基板1上に形成された回路(「駆動回路」または「バックプレーン回路」ということがある。)2と、回路2上に形成された複数のOLED3と、OLED3上に形成されたTFE構造10Aとを有している。複数のOLED3が配列されている層をOLED層3ということがある。なお、回路2とOLED層3とが一部の構成要素を共有してもよい。TFE構造10Aの上にはオプショナルな偏光板(
図1中の参照符号4を参照)がさらに配置されてもよい。また、例えば、TFE構造10Aと偏光板との間にタッチパネル機能を担う層が配置されてもよい。すなわち、OLED表示装置100Aは、オンセル型のタッチパネル付き表示装置に改変され得る。
【0062】
回路2は、複数のTFT(不図示)と、それぞれが複数のTFT(不図示)のいずれかに接続された複数のゲートバスライン(不図示)および複数のソースバスライン(不図示)とを有している。回路2は、複数のOLED3を駆動するための公知の回路であってよい。複数のOLED3は、回路2が有する複数のTFTのいずれかに接続されている。OLED3も公知のOLEDであってよい。
【0063】
OLED表示装置100Aは、さらに、複数のOLED3が配置されているアクティブ領域(
図2中の破線で囲まれた領域)R1の外側の周辺領域R2に配置された複数の端子38Aと、複数の端子38Aと複数のゲートバスラインまたは複数のソースバスラインのいずれかとを接続する複数の引出し配線30Aを有しており、TFE構造10Aは、複数のOLED3の上および複数の引出し配線30Aのアクティブ領域R1側の部分の上に形成されている。すなわち、TFE構造10Aはアクティブ領域R1の全体を覆い、かつ、複数の引出し配線30Aのアクティブ領域R1側の部分の上に選択的に形成されており、引出し配線30Aの端子38A側および端子38Aは、TFE構造10Aでは覆われていない。
【0064】
以下では、引出し配線30Aと端子38Aとが同じ導電層を用いて一体に形成された例を説明するが、互いに異なる導電層(積層構造を含む)を用いて形成されてもよい。
【0065】
次に、
図3(a)〜(e)を参照して、OLED表示装置100AのTFE構造10Aを説明する。
図3(a)に
図2中の3A−3A’線に沿った断面図を示し、
図3(b)に
図2中の3B−3B’線に沿った断面図を示し、
図3(c)に
図2中の3C−3C’線に沿った断面図を示し、
図3(d)に
図2中の3D−3D’線に沿った断面図を示し、
図3(e)に
図2中の3E−3E’線に沿った断面図を示す。なお、
図3(d)および(e)は、TFE構造10Aが形成されていない領域の断面図であるが、有機バリア層14Aは端子38Aが形成されている領域(端子領域)まで延設され得るので併せて示している。
【0066】
図3(a)〜(c)に示す様に、TFE構造10Aは、OLED3上に形成された第1無機バリア層12Aと、第1無機バリア層12Aに接する有機バリア層14Aと、有機バリア層14Aに接する第2無機バリア層16Aとを有している。第1無機バリア層12Aおよび第2無機バリア層16Aは、例えば、SiN層であり、マスクを用いたプラズマCVD法で、アクティブ領域R1を覆うように所定の領域だけに選択的に形成される。ここでは、第1無機バリア層12Aおよび第2無機バリア層16Aは、それぞれ独立に、アクティブ領域R1の上および複数の引出し配線30Aのアクティブ領域R1側の部分の上に選択的に形成される。なお、信頼性の観点からは、第2無機バリア層16Aは、第1無機バリア層12Aと同じ(外縁が一致する)か、第1無機バリア層12Aの全体を覆うように形成されることが好ましい。
【0067】
有機バリア層14Aは、例えば、上記特許文献2または3に記載の方法で形成され得る。例えば、後に、
図20を参照して詳述するように、成膜装置200を用いて、チャンバー内で、蒸気または霧状の光硬化性樹脂(例えばアクリルモノマー)を、室温以下の温度に維持された素子基板上に供給し、素子基板上で凝縮させ、液状になった光硬化性樹脂の毛細管現象または表面張力によって、第1無機バリア層12Aの凸部の側面と平坦部との境界部に偏在させる。その後、光硬化性樹脂に例えば紫外線を照射することによって、凸部の周辺の境界部に有機バリア層(例えばアクリル樹脂層)14Aの中実部を形成する。この方法によって形成される有機バリア層14は、平坦部には中実部が実質的に存在しない。有機バリア層の形成方法に関して、特許文献2および3の開示内容を参考のために本明細書に援用する。
【0068】
TFE構造10Aにおける有機バリア層14Aは、また、後述する実施形態2のOLED表示装置が有する、平坦部にも中実部が存在するTFE構造10Dの形成方法において、成膜装置200を用いて形成する樹脂層の初期層厚さ(光硬化性樹脂の液膜の厚さとほぼ等しい)を調整する(例えば、100nm未満とする)、および/または、アッシング条件(時間を含む)を調整することによっても、形成することもできる。
【0069】
図3(a)は、
図2中の3A−3A’線に沿った断面図であり、パーティクルPを含む部分を示している。パーティクルPは、OLED表示装置の製造プロセス中に発生する微細なゴミで、例えば、ガラスの微細な破片、金属の粒子、有機物の粒子である。マスク蒸着法を用いると、特にパーティクルが発生しやすい。
【0070】
図3(a)に示す様に、有機バリア層(中実部)14Aは、パーティクルPの周辺にのみ形成され得る。これは、第1無機バリア層12Aを形成した後に付与されたアクリルモノマーが、パーティクルP上の第1無機バリア層12Aaの表面(テーパー角が90°超)の周辺に凝縮され、偏在するからである。第1無機バリア層12Aの平坦部上は、有機バリア層14Aの非中実部となっている。
【0071】
ここで、
図4(a)、(b)および(c)を参照して、パーティクルPを含む部分の構造を説明する。
図4(a)は
図3(a)のパーティクルPを含む部分の拡大図であり、
図4(b)はパーティクルPと、パーティクルPを覆う第1無機バリア層(SiN層)と、有機バリア層との大きさの関係を示す模式的な平面図であり、
図4(c)はパーティクルPを覆う第1無機バリア層(例えばSiN層)の模式的な断面図である。
【0072】
図4(c)に示す様に、パーティクル(例えば直径が約1μm以上)Pが存在すると、第1無機バリア層にクラック(欠陥)12Acが形成されることがある。これは、後に説明するように、パーティクルPの表面から成長するSiN層12Aaと、OLED3の表面の平坦部分から成長するSiN層12Abとが衝突(インピンジ)するために生じたと考えられる。このようなクラック12Acが存在すると、TFE構造10Aのバリア性が低下する。
【0073】
OLED表示装置100AのTFE構造10Aでは、
図4(a)に示す様に、有機バリア層14Aが、第1無機バリア層12Aのクラック12Acを充填するように形成され、かつ、有機バリア層14Aの表面(凹状)は、パーティクルP上の第1無機バリア層12Aaの表面と、OLED3の平坦部上の第1無機バリア層12Abとの表面を連続的に滑らかに連結する。有機バリア層14Aは、後述するように、液状の光硬化性樹脂を硬化することによって形成されるので、表面張力によって凹状の表面を形成する。このとき、光硬化性樹脂は、第1無機バリア層12Aに対して良好な濡れ性を示している。光硬化性樹脂の第1無機バリア層12Aに対する濡れ性が悪いと、逆に凸状になることがある。
【0074】
凹状の表面を有する有機バリア層(中実部)14Aによって、パーティクルP上の第1無機バリア層12Aaの表面と、平坦部上の第1無機バリア層12Abとの表面を連続的に滑らかに連結されるので、この上に、欠陥の無い、緻密な膜で第2無機バリア層16Aを形成することができる。このように、有機バリア層14Aによって、パーティクルPが存在しても、TFE構造10Aのバリア性を保持することができる。
【0075】
有機バリア層(中実部)14Aは、
図4(b)に示す様に、パーティクルPの周りにリング状に形成される。直径(面積円相当径)が1μm程度のパーティクルPに対して、例えば、リング状の中実部の直径(面積円相当径)D
oは2μm以上である。また、後述するように、離散的に分布する複数の島状中実部の隣接する2つの島状中実部の距離は2mm以上であることが好ましい。すなわち、島状中実部は、幅2mm以上の無機バリア層接合部によって包囲されていることが好ましい。このような構成を採用すると、有機バリア層14Aを介して大気中の水蒸気がアクティブ領域内に到達する(後述する第2のモード)ことによる耐湿信頼性の低下を抑制することができる。
【0076】
次に、
図3(b)および(c)を参照して、引出し配線30A上のTFE構造10Aの構造を説明する。
図3(b)は、
図2中の3B−3B’線に沿った断面図であり、引出し配線30Aのアクティブ領域R1側の部分32Aの断面図であり、
図3(c)は
図2中の3C−3C’線に沿った断面図であり、側面のテーパー角が90°未満である順テーパー側面部分(傾斜側面部分)TSFを有する部分34Aの断面図である。
【0077】
引出し配線30Aは、例えば、ゲートバスラインまたはソースバスラインと同じプロセスでパターニングされるので、ここでは、アクティブ領域R1内に形成されるゲートバスラインおよびソースバスラインも、
図3(b)に示した引出し配線30Aのアクティブ領域R1側の部分32Aと同じ断面構造を有する例を説明する。
【0078】
本発明の実施形態によるOLED表示装置100Aは、例えば、高精細の中小型のスマートフォンおよびタブレット端末に好適に用いられる。高精細(例えば500ppi)の中小型(例えば5.7型)のOLED表示装置では、限られた線幅で、十分に低抵抗な配線(ゲートバスラインおよびソースバスラインを含む)を形成するために、アクティブ領域R1内における配線の線幅方向に平行な断面の形状は矩形(側面のテーパー角が約90°)に近いことが好ましい。一方、OLED表示装置100Aのアクティブ領域R1は、第1無機バリア層12Aと第2無機バリア層16Aとが直接接触する無機バリア層接合部によって実質的に包囲されているので、有機バリア層14Aが水分の侵入経路となって、OLED表示装置のアクティブ領域R1に水分が到達することがない。上記無機バリア層接合部は、引出し配線30Aに形成された順テーパー側面部分を有する部分上に形成される。順テーパー側面部分を形成すると、引出し配線30Aの底部の配線幅を一定とするならば、引出し配線30Aの断面積が小さくなり、抵抗が増大する。したがって、順テーパー側面部分は、引出し配線30Aの一部にだけ選択的に形成し、他の部分は低い抵抗を得るために矩形の断面形状を有することが好ましい。アクティブ領域R1内に形成される配線の断面も矩形の断面形状を有することが好ましい。順テーパー側面部分を形成する部分の長さは、耐湿信頼性と抵抗との関係で適宜設定され得る。ただし、十分に低い抵抗を得られるのであれば、引出し配線30Aの全長にわたって順テーパー側面部分を形成してもよい。
【0079】
OLED表示装置100Aは、例えば高精細な中小型の表示装置であり、ゲートバスラインおよびソースバスラインの線幅方向に平行な断面の形状における側面のテーパー角は約90°である。引出し配線30Aのアクティブ領域R1側の部分32Aも、ゲートバスラインまたはソースバスラインと同様に、線幅方向に平行な断面の形状における側面のテーパー角は約90°である。引出し配線30Aの部分32Aを覆う第1無機バリア層12Aの最下部(引出し配線30Aの側面を覆う部分と、基板1の平坦部上に形成された部分との境界部)に、有機バリア層(中実部)14Aが形成されている。これは、第1無機バリア層12Aの表面が90°以下の角度を成す箇所には、有機材料が偏在しやすいからである。
【0080】
これに対して、
図3(c)に示す、引出し配線30Aの部分34Aは、側面のテーパー角が90°未満である順テーパー側面部分(傾斜側面部分)TSFを有している。順テーパー側面部分TSFのテーパー角は85°以下が好ましく、70°以下が好ましい。このように、順テーパー側面部分TSFを有する部分では、第1無機バリア層12Aの表面が90°以下の角度を形成しないので、有機材料が偏在し難いからである。第1無機バリア層12Aの表面が90°超の角度を成す箇所に有機材料が偏在したとしても、その量は、第1無機バリア層12Aの表面が90°以下の角度を成す箇所に比べて少ない。したがって、一旦形成された有機バリア層14Aを、例えば後述するアッシング処理を行うことによって、第1無機バリア層12Aの表面が90°超の角度を成す箇所の有機材料を除去することができる。
【0081】
図3(c)に示した順テーパー側面部分TSFを有する引出し配線30Aの部分34Aの上には、有機バリア層(中実部)14が存在せず、第1無機バリア層12Aと第2無機バリア層16Aとが直接接触している(すなわち、無機バリア層接合部が形成されている。)。また、平坦部には、有機バリア層14(中実部)Aが形成されていないので、引出し配線30Aは、
図2中の3C−3C’線に沿った断面において、第1無機バリア層12Aと第2無機バリア層16Aとが直接接触している無機バリア層接合部で覆われている。したがって、上述したように、引出し配線に沿って形成された有機バリア層が大気中の水蒸気をアクティブ領域内へ導く経路となることがない。耐湿信頼性の観点からは、引出し配線30Aの部分34Aの長さ、すなわち、無機バリア層接合部の長さは、少なくとも0.01mmであることが好ましい。無機バリア層接合部の長さに特に上限は無いが、0.1mm超としても耐湿信頼性を向上させる効果はほぼ飽和しており、それ以上長くしても、むしろ、額縁幅を増大させるだけなので、0.1mm以下が好ましく、例えば0.05mm以下とすればよい。インクジェット法で有機バリア層を形成する従来のTFE構造では、有機バリア層の端部が形成される位置のばらつきを考慮して0.5mm〜1.0mm程度の長さの無機バリア層接合部が設けられている。これに対し、本発明の実施形態によると、無機バリア層接合部の長さは0.1mm以下でよいので、有機EL表示装置を狭額縁化できる。
【0082】
次に、
図3(d)および(e)を参照する。
図3(d)および(e)は、TFE構造10Aが形成されていない領域の断面図である。
図3(d)に示す引出し配線30Aの部分36Aは、
図3(b)に示した引出し配線30Aの部分32Aと同様の断面形状を有しており、その側面の最下部に有機バリア層14Aが形成されている。一方、
図3(e)に示す端子38Aは、
図3(c)に示した引出し配線30Aの部分34Aと同様の断面形状を有しており、側面のテーパー角が90°未満である順テーパー側面部分TSFを有している。したがって、端子38Aの側面には有機バリア層(中実部)14Aが存在しない。また、平坦部上にも有機バリア層(中実部)14Aが存在しない。
【0083】
有機バリア層14Aは、上述したように、蒸気または霧状の有機材料(例えばアクリルモノマー)を供給する工程を包含するので、第1無機バリア層12Aおよび第2無機バリア層16Aの様に所定の領域にのみ選択的に形成することができない。したがって、端子38A上にも有機バリア層(中実部)14Aが形成され得ることになる。そうすると、端子38A上の有機バリア層(中実部)14Aを除去する必要が生じ、量産性が低下する。端子38Aの側面に順テーパー側面部分TSFを形成することによって、端子38Aの側面上に有機バリア層(中実部)14Aが形成されるのを抑制することができる。端子38Aが有する側面の全てに順テーパー側面部分TSFを形成することが好ましい。なお、端子38Aの側面や上面に有機バリア層(中実部)14が形成されたとしても、アッシング処理によって除去することができる。
【0084】
また、
図3(d)に示した引出し配線30Aの部分36Aの断面形状は、
図3(c)に示した部分34Aおよび
図3(d)に示した端子38Aと同様にしてもよい。なお、引出し配線30Aを形成する工程において、多階調マスク(ハーフトーンマスクまたはグレートーンマスク)を用いるフォトリソグラフィ工程によって、1回の露光工程で、順テーパー側面部分TSFを有する部分を含む引出し配線30Aを形成することができる。なお、本明細書において、「フォトリソグラフィ工程」は、レジスト付与、露光、現像、レジストをマスクとしたエッチング、レジスト剥離を含む。
【0085】
次に、
図5(a)および(b)を参照する。
図5(a)および(b)はそれぞれ実施形態1による他のOLED表示装置が有するTFE構造10Bおよび10Cの模式的な部分断面図である。
【0086】
図5(a)は、TFE構造10Bの
図2中の3B−3B’線に沿った模式的な断面図であり、引出し配線のアクティブ領域R1側の部分32Bの断面図である。
【0087】
例えば、
図3(b)に示した断面形状を有する引出し配線30Aを形成しようとしても、プロセス条件の変動によって、
図5(a)に示したような、逆テーパー側面を有する部分32Bが形成されることがある。逆テーパー側面が形成されると、第1無機バリア層12Bは不連続となる。このような場合でも、引出し配線の部分32Bの側面の最下部に有機バリア層14Bが形成され、その上に欠陥の無い第2無機バリア層16Bを形成することができる。このように、有機バリア層14Bは、パーティクルPが存在する場合や、逆テーパー状の断面形状を有するパターンが形成された場合に、耐湿信頼性が低下することを抑制することができる。
【0088】
図5(b)は、TFE構造10Cの
図2中の3C−3C’線に沿った模式的な断面図である。TFE構造10Aにおいては部分34の側面の全体を順テーパー側面部分TSFとしたが、
図5(b)に示す部分34Cの様に、側面の少なくとも最下部にだけ順テーパー側面部分TSFを形成してもよい。有機材料(例えばアクリルモノマー)が偏在するのは、側面の最下部(平坦部との境界)なので、この部分に有機材料が偏在することを抑制すればよい。順テーパー側面部分TSFの高さ(基板法線方向の長さ)は、有機材料の厚さよりも大きいことが好ましく、例えば、50nm以上、好ましくは100nm以上ある。順テーパー側面部分を含む配線の部分は、逆テーパー部を有しないことが好ましい。このような断面形状を有する部分34上には有機バリア層が存在しなくても、欠陥の無い第1無機バリア層12Cおよび第2無機バリア層16Cを形成することができる。
【0089】
プロセスマージンを考慮すると、順テーパー側面部分のテーパー角は85°未満、好ましくは70°以下とし、それ以外の配線部分のテーパー角は85°超90°以下に設定することが好ましく、テーパー角の差は15°以上あることが好ましい。なお、順テーパー側面部分のテーパー角の下限に特に制限はないが、30°以上であることが好ましい。テーパー角を30°未満としても有機材料の偏在を抑制する効果に特段の差がなく、配線間の距離を一定とするならば、配線の抵抗が大きくなる、または、配線抵抗を一定とするならば、配線間距離が小さくなるだけだからである。このような断面形状を有するゲートバスライン、ソースバスラインおよび引出し配線ならびに端子は、ドライエッチングプロセスを用いて形成することが好ましい。なお、順テーパー側面部分のテーパー角は、多階調マスク(ハーフトーンマスクまたはグレートーンマスク)のパターンで調整することができ、それ以外の部分のテーパー角はドライエッチング条件で調整することができる。
【0090】
(実施形態2)
実施形態1によるOLED表示装置の製造方法は、例えば、以下の工程を包含する。複数の引出し配線30Aのそれぞれの少なくとも一部に、線幅方向に平行な断面の形状における側面のテーパー角が90°未満である順テーパー側面部分を露出された2つの側面の少なくとも最下部に形成する。次に、アクティブ領域R1に選択的に第1無機バリア層12Aを形成した後、チャンバー内に蒸気または霧状のアクリルモノマーを供給し、第1無機バリア層12A上でアクリルモノマーを凝縮させる工程において、複数の引出し配線30Aのそれぞれの順テーパー側面部分を有する部分の上には、アクリルモノマーを存在させないように、アクリルモノマーを凝縮させる。凝縮されたアクリルモノマーに光(例えば紫外線)を照射することによってアクリル樹脂からなる有機バリア層14を形成する。
【0091】
上述の方法は、アクリルモノマーを偏在させるので、プロセスマージンが狭いという問題がある。以下に説明する実施形態2のOLED表示装置の製造方法は、平坦部上の一部にも樹脂層(例えばアクリル樹脂層)を形成し、樹脂層を部分的にアッシングすることによって有機バリア層を形成する工程を包含している。後に、
図20を参照して詳述するように、成膜装置200を用いて、有機バリア層を形成することができる。例えば、チャンバー内に蒸気または霧状の光硬化性樹脂を供給し、素子基板上で光硬化性樹脂を凝縮させて、液膜を形成する。その後、光硬化性樹脂の液膜に光を照射することによって、光硬化樹脂層を形成する。得られた光硬化樹脂層を部分的にアッシングすることによって、有機バリア層が得られる。
【0092】
形成する樹脂層の初期層厚さを調整する(例えば、100nm未満とする)、および/または、アッシング条件(時間を含む)を調整することによって、種々の形態の有機バリア層を形成することができる。すなわち、実施形態1で説明したOLED表示装置100Aが有する有機バリア層14Aを形成することもできるし、平坦部の一部または全部を覆う有機バリア層(中実部)を形成することもできる。なお、有機バリア層の面積が大きいと、耐屈曲性を向上させる効果が得られるが、一方で、後述する第2のモードによる耐湿信頼性の低下が起こることがある。用途に応じて、有機バリア層(中実部)の形態を適宜選択すればよい。
【0093】
なお、TFE構造を形成する前の素子基板の構造、特に、引出し配線および端子の構造ならびにTFTの構造は、実施形態1で説明したいずれであってもよい。
【0094】
図6(a)は、本発明の実施形態2によるOLED表示装置におけるTFE構造10Dの模式的な部分断面図であり、パーティクルPを含む部分を示している。
図4(c)を参照して説明した様に、パーティクルPが存在すると、第1無機バリア層12Dにクラック(欠陥)12Dcが形成されることがある。これは、
図7に示す断面SEM像から、パーティクルPの表面から成長するSiN層12Daと、OLED3の表面の平坦部分から成長するSiN層12Dbとが衝突(インピンジ)するために生じたと考えられる。このようなクラック12Dcが存在すると、TFE構造10Dのバリア性が低下する。なお、
図7のSEM像は、ガラス基板上に、パーティクルPとして、直径が1μmの球状シリカを配置した状態で、SiN膜をプラズマCVD法で成膜した試料の断面SEM像である。断面はパーティクルPの中心を通っていない。また、最表面は断面加工時の保護のためのカーボン層(C−depo)である。このように、直径が1μmの比較的小さな球状のシリカが存在するだけで、SiN層12Dにクラック(欠陥)12Dcが形成される。
【0095】
実施形態2のOLED表示装置におけるTFE構造10Dでは、
図6(a)に示す様に、有機バリア層14Dcが、第1無機バリア層12Dのクラック12DcおよびパーティクルPのオーバーハング部分を充填するように形成されているので、第2無機バリア層16Dによってバリア性を保持することができる。これは、
図8に示す断面SEM像で確認することができる。
図8においては、第1無機バリア層12D上に第2無機バリア層16Dが直接形成された箇所には界面は観察されていないが、模式図では分かり易さのために、第1無機バリア層12Dと第2無機バリア層16Dとを異なるハッチングで示している。
【0096】
図8に示す断面SEM像は、
図7の断面SEM像と同様に、ガラス基板上に、直径が2.15μmの球状シリカを配置した状態で、TFE構造10Dを成膜した試料の断面SEM像である。
図8と
図7と比較すれば分かるように、
図8に示す直径が約2倍のパーティクルPであっても、アクリル樹脂層の上に形成されたSiN膜は欠陥の無い緻密な膜であることがわかる。アクリル樹脂層は、凹状の表面を有しており、SiN膜に対して良好な濡れ性を有していることがわかる。
【0097】
また、
図7の場合と同様に、パーティクルP(直径が2.15μmおよび4.6μmの球状シリカ)を覆うようにSiN膜をプラズマCVD法で成膜した後、有機バリア層14Dとしてアクリル樹脂層を形成し、その後、再び、SiN膜をプラズマCVD法で成膜した試料においても、アクリル樹脂層の上に欠陥の無い緻密なSiN膜が形成されていることをSEM観察で確認した。
【0098】
図6(a)に示した有機バリア層14は、後述するように、例えばアクリル樹脂から形成される。特に、室温(例えば25℃)における粘度が、1〜100mPa・s程度のアクリルモノマー(アクリレート)を光硬化(例えば紫外線硬化)することによって形成されたものが好ましい。このように低粘度のアクリルモノマーは、クラック12DcおよびパーティクルPのオーバーハング部分を容易に埋めることができる。また、アクリル樹脂は可視光の透過率が高く、トップエミッションタイプのOLED表示装置に好適に用いられる。アクリルモノマーには必要に応じて、光重合開始剤が混合され得る。光重合開始剤の種類によって感光波長を調節することができる。アクリルモノマーに代えて、他の光硬化性樹脂を用いることもできる。光硬化性樹脂としては、反応性等の観点から紫外線硬化性樹脂が好ましい。照射する紫外線は、近紫外線(200nm以上400nm以下)の中でも特に波長315nm以上400nm以下のUV−A領域のものが好ましいが、300nm以上315nm未満の紫外線を用いてもよい。また、400nm以上450nm以下の青紫色から青色にかけての可視光線を照射することによって硬化する光硬化性樹脂を用いることもできる。
【0099】
クラック12DcおよびパーティクルPのオーバーハング部分に充填された有機バリア層14Dcの表面は、パーティクルP上の第1無機バリア層12Daの表面と、OLED3の表面の平坦部上に形成された有機バリア層14Dとの表面を連続的に滑らかに連結する。したがって、パーティクルP上の第1無機バリア層12Dおよび有機バリア層14D上に形成される第2無機バリア層(SiN層)16Dに欠陥が形成されることなく、緻密な膜が形成される。
【0100】
また、有機バリア層14Dの表面14Dsは、アッシング処理によって酸化されており、親水性を有しており、第2無機バリア層16Dとの密着性が高い。
【0101】
有機バリア層14Dは、アッシング処理を経て形成される。アッシング処理は面内でばらつくことがあるので、平坦部に形成された有機バリア層14Dの一部が完全に除去され、第1無機バリア層12Dの表面が露出される場合がある。
【0102】
また、平坦部の全面に有機バリア層14Dを形成すると、平坦部の有機バリア層14Dが水分の侵入経路となって、OLED表示装置の耐湿信頼性を低下させることになる。これを防止するために、実施形態2によるOLED表示装置は、
図6(b)に示すように、有機バリア層14Dの下地表面(例えば、OLED3の表面)は、アクティブ領域を実質的に包囲するバンク3DBを有し、バンク3DBは、幅方向に平行な断面の形状における側面のテーパー角が90°未満である順テーパー側面部分TSFを露出された2つの側面の少なくとも最下部に有する。順テーパー側面部分TSFの高さ(基板法線方向の長さ)は、有機材料の厚さ(有機バリア層14D厚さとほぼ等しい)よりも大きいことが好ましく、例えば、50nm以上、好ましくは100nm以上ある。
【0103】
バンク3DB上に形成された第1無機バリア層12Dもバンク12DBを形成するので、バンク3DBの上には有機バリア層14Dの非中実部が形成され、中実部は存在しない。すなわち、バンク3DBの上では、第1無機バリア層12Dと第2無機バリア層16Dとが直接接触し、無機バリア層接合部を形成している。引出し配線(実施形態1の引出し配線30Aと同じ構造を有する)のバンク3DB上に位置する部分は、順テーパー側面部分TSFを有するように配置されており、バンク3DB上には、有機バリア層14Dの中実部は存在しない。したがって、実施形態2のOLED表示装置は、平坦部に有機バリア層14Dを有してはいるが、アクティブ領域は、無機バリア層接合部で完全に包囲されているので、高い耐湿信頼性を有する。
【0104】
バンク3DBは、種々の方法で形成することができる。例えば、回路2を形成する工程で、OLED3で構成される各画素を規定するためのバンクを感光性樹脂(例えばポリイミドまたはアクリル樹脂)を用いて形成する際に、同時に、アクティブ領域R1を包囲するバンク3DBを形成すればよい。あるいは、ゲートメタル層および/またはソースメタル層をパターニングして、ゲートバスラインおよび/またはソースバスラインを形成する際に、アクティブ領域を包囲するパターン(バンク3DB用のパターン)を併せて形成すればよい。このとき、バンクDB用のパターンを形成するために開口部を多階調マスクとすることによって、順テーパー側面部分を有するパターンを形成することができる。
【0105】
図9および
図10を参照して、有機バリア層14Dおよび第2無機バリア層16Dの形成工程、特に、アッシング工程を説明する。
図9に有機バリア層14Dの形成工程を示し、
図10に第2無機バリア層16Dの形成工程を示す。
【0106】
図9(a)に模式的に示す様にOLED3の表面のパーティクルPを覆う第1無機バリア層12Dを形成した後、第1無機バリア層12D上に有機バリア層14Dを形成する。有機バリア層14Dは、例えば、蒸気または霧状のアクリルモノマーを、冷却された素子基板上で凝縮させ、その後、光(例えば紫外線)を照射することによって、アクリルモノマーを硬化させることによって得られる。低粘度のアクリルモノマーを用いることよって、第1無機バリア層12Dに形成されたクラック12Dc内にアクリルモノマーを充填させることができる。
【0107】
なお、
図9(a)では、パーティクルP上の第1無機バリア層12Da上に有機バリア層14Ddが形成されている例を示しているが、パーティクルPの大きさや形状、およびアクリルモノマーの種類に依存するが、アクリルモノマーがパーティクルP上の第1無機バリア層12Da上に堆積(または付着)しない、あるいは、極微量しか堆積(または付着)しないことがある。有機バリア層14Dは、例えば、後述する
図20に示す成膜装置200を用いて形成され得る。初期の有機バリア層14Dの厚さは平坦部上で100nm以上500nm以下となるように調整される。形成された初期の有機バリア層14Dの表面14Dsaは滑らかに連続しており、疎水性を帯びている。なお、簡単のために、アッシング前の有機バリア層にも同じ参照符号を付す。
【0108】
次に、
図9(b)に示すように、有機バリア層14Dをアッシングする。アッシングは、公知のプラズマアッシング装置、光励起アッシング装置、UVオゾンアッシング装置を用いて行い得る。例えば、N
2O、O
2およびO
3の内の少なくとも1種のガスを用いたプラズマアッシング、または、これらにさらに紫外線照射とを組合せて行われ得る。第1無機バリア層12Dおよび第2無機バリア層16DとしてSiN膜をCVD法で成膜する場合、原料ガスとして、N
2Oを用いるので、N
2Oをアッシングに用いると装置を簡略化できるという利点が得られる。
【0109】
アッシングを行うと、有機バリア層14Dの表面14Dsが酸化され、親水性に改質される。また、表面14Dsがほぼ一様に削られるとともに、極めて微細な凹凸が形成され、表面積が増大する。アッシングを行ったときの表面積増大効果は、無機材料である第1無機バリア層12Dに対してよりも有機バリア層14Dの表面に対しての方が大きい。したがって、有機バリア層14Dの表面14Dsが親水性に改質されることと、表面14Dsの表面積が増大することから、第2無機バリア層16Dとの密着性が向上させられる。
【0110】
さらに、アッシングを進めると、
図9(c)に示す様に、島状の中実部で構成された有機バリア層14が形成される。
【0111】
さらに、アッシングを進めると、
図4(a)に示した有機バリア層14Aの様に、第1無機バリア層12Dのクラック12DcおよびパーティクルPのオーバーハング部分の近傍にだけ有機バリア層14Dcを残すことができる。このとき、有機バリア層14Dcの表面は、パーティクルP上の第1無機バリア層12Daの表面と、OLED3の表面の平坦部の表面とを連続的に滑らかに連結する。
【0112】
なお、第1無機バリア層12Dと有機バリア層14Dとの密着性を改善するために、有機バリア層14Dを形成する前に、第1無機バリア層12Dの表面にアッシング処理を施しておいてもよい。
【0113】
次に、
図10を参照して、有機バリア層14D上に第2無機バリア層16Dを形成した後の構造を説明する。
【0114】
図10(a)は、
図9(a)に示した有機バリア層14Dの表面14Dsaをアッシングすることによって酸化し、親水性を有する表面14Dsに改質した後に、第2無機バリア層16Dを形成した構造を模試的に示している。ここでは、有機バリア層14Dの表面14Dsaをわずかにアッシングした場合を示しており、パーティクルP上の第1無機バリア層12Da上に形成された有機バリア層14Ddも残存している例を示しているが、パーティクルP上の第1無機バリア層12Da上には有機バリア層14Dが形成されない(または残存しない)こともある。
【0115】
図10(a)に示す様に、有機バリア層14D上に形成された第2無機バリア層16Dには欠陥が無く、また、有機バリア層14Dとの密着性にも優れる。
【0116】
図10(b)〜(c)に示す様に、それぞれ
図9(b)〜(c)に示した有機バリア層14D上に第2無機バリア層16Dを形成すると、欠陥が無く、有機バリア層14Dとの密着性に優れた第2無機バリア層16Dが得られる。OLED3の平坦部上の有機バリア層14Dが完全に除去されても、有機バリア層14Dcの表面が、パーティクルP上の第1無機バリア層12Daの表面と、OLED3の表面の平坦部の表面とを連続的に滑らかに連結していれば、欠陥が無く、有機バリア層14Dとの密着性に優れた第2無機バリア層16Dが得られる。
【0117】
有機バリア層14Dは、
図10(b)に示す様に、パーティクルP上に形成された第1無機バリア層12Daの凸状部分を除いて全面に有機バリア層14Dが薄く残存するように、アッシングされてもよい。耐屈曲性の観点からは、平坦部上の有機バリア層14Dの厚さは10nm以上200nm未満であることが好ましい。ここで、光硬化性樹脂の液膜(または光硬化樹脂膜)の厚さは、平坦部における厚さをいう。液膜は平坦な(水平な)表面を形成するので、下地に凹部があると、その部分の液膜の厚さは大きくなる。また、液膜は、表面張力(毛細管現象を含む)によって曲面を形成するので、凸部の周辺の液膜の厚さが大きくなる。このような局所的に厚さが大きくなった部分は、500nmを超えてもよい。
【0118】
しかしながら、有機バリア層14D(中実部)が連続的に広い面積にわたって形成されていると、後述する第2のモードによる耐湿信頼性の低下を招く。
図10(c)に示す様に、中実部は、無機バリア層接合部によって包囲されていることが好ましい。すなわち、有機バリア層14Dは、離散的に分布する島状中実部で構成されることが好ましい。また、島状中実部を包囲する無機バリア層接合部の幅は2mm以上であることが好ましい。
【0119】
有機バリア層14Dをアッシングしすぎると
図11に示す様に、OLED3の平坦部上に形成された有機バリア層14Dが完全に除去されるだけでなく、パーティクルPによって形成されたクラック12Dcに充填された有機バリア層14Ddが小さくなり、第2無機バリア層16Dが形成される下地の表面を滑らかな連続的な形状にする作用を有しなくなる。その結果、
図12に示す様に、第2無機バリア層16Dに欠陥16Dcが形成され、TFE構造のバリア特性を低下させることになる。たとえ欠陥16Dcが形成されなくとも、第2無機バリア層16Dの表面に鋭角な凹部16Ddが形成されると、その部分に応力が集中しやすく、外力によってクラックが発生しやすい。
【0120】
また、例えば、パーティクルPとして凸レンズ状シリカ(直径4.6μm)を用いた実験では、凸レンズ状シリカの端部において、有機バリア層がエッチングされ過ぎた結果、第2無機バリア層の膜厚が部分的に極端に薄くなることがあった。このような場合、たとえ第2無機バリア層に欠陥が生じなくても、OLED表示装置の製造プロセスにおいて、または製造後に、TFE構造に外力が掛かった際に、第2無機バリア層にクラックが生じるおそれがある。
【0121】
TFE構造10に外力が掛けられる場合として、次のような場合を挙げることができる。例えば、OLED表示装置のフレキシブルな基板1を支持基板であるガラス基板から剥離する際、TFE構造10を含むOLED表示装置には曲げ応力が作用する。また、曲面ディスプレイを製造する過程で、所定の曲面形状に沿ってOLED表示装置を曲げる際にも、TFE構造10に曲げ応力が作用する。もちろん、OLED表示装置の最終的な利用形態が、OLED表示装置のフレキシビリティを利用する形態(例えば折り畳む、曲げる、あるいは、丸める)のときは、ユーザーが使用している間に種々の応力がTFE構造10に掛かることになる。
【0122】
本発明の実施形態2によるOLED表示装置の製造方法は、第1無機バリア層12Dが形成されたOLED3をチャンバー内に用意する工程と、チャンバー内に蒸気または霧状の光硬化性樹脂(例えばアクリルモノマー)を供給する工程と、第1無機バリア層12D上で光硬化性樹脂を凝縮させ、液膜を形成する工程と、光硬化性樹脂の液膜に光を照射することによって、光硬化樹脂層(硬化された樹脂層)を形成する工程と、光硬化樹脂層を部分的にアッシングすることによって、有機バリア層14Dを形成する工程とを包含する。光硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂が好適に用いられるが、光硬化性樹脂を硬化させることができる所定の波長の光を出射する光源を用いれば、可視光硬化性樹脂にも適用できる。実施形態2によるOLED表示装置の製造方法は、
図20を参照して、後に詳しく説明する。
【0123】
本発明の実施形態1および2によると、アクティブ領域を包囲する無機バリア接合部を有する薄膜封止構造を備えるOLED表示装置を製造することができる。なお、実施形態2において、有機バリア層をどの程度残存させるかは、OLED表示装置の用途や要求性に応じて、適宜変更され得る。
【0124】
[第2のモード]
次に、有機バリア層を介して、大気中の水蒸気がアクティブ領域内に到達する原因の2つのモードの内の第2のモードについて説明する。
【0125】
まず、
図13(a)および(b)を参照して、有機バリア層を介して、大気中の水蒸気がアクティブ領域内に到達する第2のモードを説明する。
【0126】
図13(a)は、従来のTFE構造40の模式的な断面図である。従来のバリア構造TFEは、第1無機バリア層42と、有機バリア層44と、第2無機バリア層46とを有している。有機バリア層44は、例えばインクジェット法などの印刷法で形成されており、素子基板上のアクティブ領域にのみ形成されている。したがって、上述の第1のモードによる耐湿信頼性の低下は無いと考えられる。
【0127】
しかしながら、本発明者の検討によると、第2無機バリア層46を成膜する過程で、パーティクルP2が発生すると、耐湿信頼性が低下することがわかった。第1無機バリア層42または第2無機バリア層46を成膜する前から存在するパーティクルをP1で表し、第1無機バリア層42または第2無機バリア層46を成膜している間に発生するパーティクルをP2で表すことにする。
【0128】
第1無機バリア層42を成膜する前から存在していたパーティクルP1上に第1無機バリア層42を成膜すると、パーティクルP1の表面から成長する部分42aと、OLED3の平坦部分から成長する部分42bとが衝突し、クラック42cが形成される。同様に、第2無機バリア層46を成膜する過程でパーティクルP2が発生すると、第2無機バリア層46に欠陥(例えばクラック)46cが形成される。なお、パーティクルP2は、第2無機バリア層46の成膜中に発生するので、パーティクルP2上に形成される第2無機バリア層46の部分42aの厚さは、平坦部上に形成される部分42bの厚さよりも小さく図示している。
【0129】
この欠陥46cから大気中の蒸気が有機バリア層44に侵入する。有機バリア層44は、第1無機バリア層42および第2無機バリア層46に比べて水蒸気バリア性が低いので、水分は矢印Wで示したように、有機バリア層44中を浸透し、第1無機バリア層42のクラック42cに到達する。有機バリア層44の存在によって、水分が欠陥46cからクラック42cに至る時間は長くはなるものの、十分な耐湿信頼性が得られない場合もあった。
【0130】
これは上記の実施形態1および2で説明した、比較的薄い有機バリア層を有するTFE構造についても同様である。
図13(b)に示す参考例のTFE構造10DXの模式的な断面図に示すように、有機バリア層14DXの中実部が第1無機バリア層12Dのクラック12Dcと、第2無機バリア層16Dの欠陥16Dcとの間に連続して存在していると、十分な耐湿信頼性が得られないことがある。
【0131】
以下に説明する本発明の実施形態によるOLEDは、比較的薄い有機バリア層を有するTFE構造における上記の問題を解決することができる。
【0132】
図14に、本発明の実施形態3によるOLED表示装置におけるTFE構造10Eの模式的な部分断面図を示す。
【0133】
TFE構造10Eが有する有機バリア層14Eの中実部は、
図4(b)を参照して説明したのと同様に、パーティクルP1の周りにリング状(ドーナツ状)に形成されている。直径(面積円相当径)が1μm程度のパーティクルP1に対して、例えば、リング状の中実部の直径(面積円相当径)D
oは2μm以上であることが好ましい。
【0134】
有機バリア層14Ecは、第1無機バリア層12EのパーティクルP1の表面から成長した部分12Eaと、平坦部分から成長した部分12Ebとの間に形成されたクラック12EcおよびパーティクルP1のオーバーハング部分を充填するように形成されており、凹状の表面を有している。有機バリア層14Eの凹状の表面は、パーティクルP1上の第1無機バリア層12Eaの表面と、OLED3の平坦部上の第1無機バリア層12Ebとの表面を連続的に滑らかに連結しているので、パーティクルP1を覆う第2無機バリア層16Eに欠陥が形成されることがない。また、有機バリア層14Eの中実部は、第1無機バリア層12Eと第2無機バリア層16Eとが直接接触した無機バリア層接合部によって包囲されているので、第2無機バリア層16EのパーティクルP2の表面から成長した部分16Eaと、平坦部分から成長した部分16Ebとの間に形成された欠陥16Ecから侵入しようとする水分は、有機バリア層14Eに到達することが抑制・防止される。
【0135】
このとき、
図15に示す様に、離散的に分布する複数の島状中実部14Eの隣接する2つの島状中実部の距離d
oは2mm以上であることが好ましい。すなわち、島状中実部14Eは、幅2mm以上の無機バリア層接合部によって包囲されていることが好ましい。このような構成を有すると、有機バリア層14Eを介して大気中の水蒸気がアクティブ領域内に到達することによる耐湿信頼性の低下を抑制することができる。
【0136】
発明者が検討している量産用のプラズマCVD装置において、1μm以下のパーティクルP2が発生する頻度は、概ね8mm×8mmの領域に1つ以下である。一方、OLED3を製造する過程、すなわち、TFE構造10の形成工程までに発生する1μmを超える種々のパーティクルP1の発生頻度は概ね100mm×100mmの領域に1つ以下である。したがって、有機バリア層14Eの島状中実部を幅2mm以上の無機バリア層接合部で包囲すれば、すなわち、互いに隣接する2つの島状中実部の距離d
Oが2mm以上であれば、互いに隣接する2つのパーティクルP1、P2の間に有機バリア層14Eの中実部が連続して存在する確率を実用上十分なレベルまで低減させることができると考えられる。
【0137】
以下では、第1無機バリア層と、第1無機バリア層の上面に接する有機バリア層と、有機バリア層の上面に接する第2無機バリア層とを有する積層構造を複合積層体(10S)と呼ぶことにする。すなわち、上述のTFE構造10A〜10Eは、1つの複合積層体10Sを有している。
【0138】
第2のモードによる耐湿信頼性の低下を抑制するためには、
図14のTFE構造10Eと同様の構造を有する、少なくとも1つの複合積層体10Sを有すればよい。
図16および
図17を参照して、そのような薄膜封止構造の他の例を説明する。
【0139】
図16に、本発明の実施形態4によるOLED表示装置におけるTFE構造10Fの模式的な部分断面図を示す。
【0140】
TFE構造10Fは、無機下地層17Fと、無機下地層17Fの上に形成された有機平坦化層19Fと、有機平坦化層19Fの上面に接するように形成された複合積層体10S1を有している。複合積層体10S1は、第1無機バリア層12F、有機バリア層14Fおよび第2無機バリア層16Fを有し、
図14に示した複合積層体10S(TFE構造10E)と同様の構造を有している。したがって、第2無機バリア層16Fの欠陥16Fcから侵入しようとする水分は、第1無機バリア層12Fと第2無機バリア層16Fとが直接接触した無機バリア層接合部によってブロックされ、有機バリア層14Fに到達することが抑制・防止される。
【0141】
有機平坦化層19Fは、無機下地層17Fおよび複合積層体10S1よりも内側にだけ形成されており、有機平坦化層19Fの外周では、無機下地層17Fと、複合積層体10S1の第1無機バリア層12Fとが直接接合している。したがって、有機平坦化層19Fを介して、大気中の水分がアクティブ領域に到達することが抑制・防止されている。
【0142】
有機平坦化層19Fは、OLED3を形成する過程でまれに発生する3μm以上のパーティクル(不図示)が存在しても、その上面を平坦にできる。したがって、有機平坦化層19Fに、欠陥のない複合積層体10S1を形成することができる。
【0143】
マスクCVD法による無機層(第1無機バリア層および第2無機バリア層)を形成する過程で発生するパーティクルP1および/またはP2は、3μm未満のものがほとんどであり、かつ、直径が1μm超のものは1μm以下のものよりも概ね1桁少ない。また、マスクの管理等によって、特に直径が1μmを超えるパーティクルの発生を低減することができる。一方、直径が1μm以下のパーティクルP1またはP2を実質的に無くすことは難しく、直径が1μm以下のパーティクルP1またはP2が存在しても耐湿信頼性を維持できる薄膜封止構造が望まれる。上述したTFE構造10A〜10Eは、この条件を満足している。
【0144】
しかしながら、まれではあるが、OLED3を製造する過程で、直径が3μm以上のパーティクルが発生することがある。このような場合に、有機平坦化層19Fを設けておけば、欠陥の無い複合積層体10S1を形成することができる。有機平坦化層19Fの厚さは3μm以上であることが好ましい。製造プロセスにもよるが、厚さが5μm以上20μm以下の有機平坦化層19Fを設けてもよい。
【0145】
有機平坦化層19Fは、例えば、インクジェット法、スクリーン印刷法、スロットコート法などの公知の印刷方法または成膜方法を用いて形成される。ここで、有機平坦化層19Fを形成する材料は、従来のインクジェット法に用いられていた高価な材料を用いる必要がない。有機平坦化層19F上に複合積層体10S1が形成されているからである。有機平坦化層19Fは、例えば、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂で形成され、量産性の観点から光硬化性樹脂、特に紫外線硬化性樹脂が好ましい。
【0146】
紫外線硬化性樹脂としては、例えばアクリル樹脂またはエポキシ樹脂が用いられる。厚さが数μm以上、典型的には10μm〜20μmの有機平坦化層19Fを形成するためには10mPa・s程度の樹脂を用いることが好ましく、良好な平坦性を得るためには20mN/m〜40mN/m程度の表面張力を有することが好ましい。このような紫外線硬化性樹脂は、インクジェット法で付与することができる。ノズルから吐出させた後、レベリングのために数十秒から数分程度の時間をおいて、紫外線を照射し、硬化させることによって、所望の領域に有機平坦化層19Fを形成することができる。有機平坦化層19Fは可視光の透過率が高いことが好ましく、例えば、厚さが1μmで、波長400nmの光に対する透過率が98%以上となる樹脂を用いることが好ましい。
【0147】
次に、
図17に、本発明の実施形態5によるOLED表示装置におけるTFE構造10Gの模式的な部分断面図を示す。
【0148】
TFE構造10Gは、有機平坦化層19Gと、2つの複合積層体10S1、10S2とを有しており、有機平坦化層19Gは、2つの複合積層体10S1、10S2の間に設けられている。複合積層体10S1は、第1無機バリア層12G1、有機バリア層14G1および第2無機バリア層16G1を有し、複合積層体10S2は、第1無機バリア層12G2、有機バリア層14G2および第2無機バリア層16G2を有しており、複合積層体10S1および10S2はいずれも、
図14に示した複合積層体10S(TFE構造10E)と同様の構造を有している。
【0149】
したがって、第2無機バリア層16G1の欠陥16G1cから侵入しようとする水分は、第1無機バリア層12G1と第2無機バリア層16G1とが直接接触した無機バリア層接合部によってブロックされ、有機バリア層14G1に到達することが抑制・防止される。また、TFE構造10Gは、TFE構造10Fの無機下地層17Fの代わりに、複合積層体10S2を有するので、TFE構造10Fよりも一層高い耐湿信頼性を有し得る。
【0150】
次に、
図18および
図19を参照して、OLED表示装置100Aに用いられるTFTの例と、TFTを作製する際のゲートメタル層およびソースメタル層を用いて形成した引出し配線および端子の例を説明する。以下で説明する、TFT、引出し配線および端子の構造は、上述した実施形態1〜5のOLED表示装置のいずれにも用いることができる。
【0151】
高精細の中小型用OLED表示装置には、移動度が高い、低温ポリシリコン(「LTPS」と略称する。)TFTまたは酸化物TFT(例えば、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、O(酸素)を含む4元系(In−Ga−Zn−O系)酸化物TFT)が好適に用いられる。LTPS−TFTおよびIn−Ga−Zn−O系TFTの構造および製造方法はよく知られているので、以下では簡単な説明に留める。
【0152】
図18(a)は、LTPS−TFT2
PTの模式的な断面図であり、TFT2
PTはOLED表示装置100Aの回路2に含まれ得る。LTPS−TFT2
PTは、トップゲート型のTFTである。
【0153】
TFT2
PTは、基板(例えばポリイミドフィルム)1上のベースコート2
Pp上に形成されている。上記の説明では省略したが、基板1上には無機絶縁体で形成されたベースコートを形成することが好ましい。
【0154】
TFT2
PTは、ベースコート2
Pp上に形成されたポリシリコン層2
Pseと、ポリシリコン層2
Pse上に形成されたゲート絶縁層2
Pgiと、ゲート絶縁層2
Pgi上に形成されたゲート電極2
Pgと、ゲート電極2
Pg上に形成された層間絶縁層2
Piと、層間絶縁層2
Pi上に形成されたソース電極2
Pssおよびドレイン電極2
Psdとを有している。ソース電極2
Pssおよびドレイン電極2
Psdは、層間絶縁層2
Piおよびゲート絶縁層2
Pgiに形成されたコンタクトホール内で、ポリシリコン層2
Pseのソース領域およびドレイン領域にそれぞれ接続されている。
【0155】
ゲート電極2
Pgはゲートバスラインと同じゲートメタル層に含まれ、ソース電極2
Pssおよびドレイン電極2
Psdはソースバスラインと同じソースメタル層に含まれる。ゲートメタル層およびソースメタル層を用いて、引出し配線および端子が形成される(
図19を参照して後述する)。
【0156】
TFT2
PTは、例えば、以下の様にして作製される。
【0157】
基板1として、例えば、厚さが15μmのポリイミドフィルムを用意する。
【0158】
ベースコート2
Pp(SiO
2膜:250nm/SiN
x膜:50nm/SiO
2膜:500nm(上層/中間層/下層))およびa−Si膜(40nm)をプラズマCVD法で成膜する。
【0159】
a−Si膜の脱水素処理(例えば450℃、180分間アニール)を行う。
【0160】
a−Si膜をエキシマレーザーアニール(ELA)法でポリシリコン化する。
【0161】
フォトリソグラフィ工程でa−Si膜をパターニングすることによって活性層(半導体島)を形成する。
【0162】
ゲート絶縁膜(SiO
2膜:50nm)をプラズマCVD法で成膜する。
【0163】
活性層のチャネル領域にドーピング(B
+)を行う。
【0164】
ゲートメタル(Mo:250nm)をスパッタ法で成膜し、フォトリソグラフィ工程(ドライエッチング工程を含む)でパターニングする(ゲート電極2
Pgおよびゲートバスライン等を形成する)。
【0165】
活性層のソース領域およびドレイン領域にドーピング(P
+)を行う。
【0166】
活性化アニール(例えば、450℃、45分間アニール)を行う。このようにしてポリシリコン層2
Pseが得られる。
【0167】
層間絶縁膜(例えば、SiO
2膜:300nm/SiN
x膜:300nm(上層/下層))をプラズマCVD法で成膜する。
【0168】
ゲート絶縁膜および層間絶縁膜にコンタクトホールをドライエッチングで形成する。このように、層間絶縁層2
Piおよびゲート絶縁層2
Pgiが得られる。
【0169】
ソースメタル(Ti膜:100nm/Al膜:300nm/Ti膜:30nm)をスパッタ法で成膜し、フォトリソグラフィ工程(ドライエッチング工程を含む)でパターニングする(ソース電極2
Pss、ドレイン電極2
Psdおよびソースバスライン等を形成する)。
【0170】
図18(b)は、In−Ga−Zn−O系TFT2
OTの模式的な断面図であり、TFT2
OTはOLED表示装置100Aの回路2に含まれ得る。TFT2
OTは、ボトムゲート型のTFTである。
【0171】
TFT2
OTは、基板(例えばポリイミドフィルム)1上のベースコート2
Op上に形成されている。TFT2
OTは、ベースコート2
Pp上に形成されたゲート電極2
Ogと、ゲート電極2
Og上に形成されたゲート絶縁層2
Ogiと、ゲート絶縁層2
Ogi上に形成された酸化物半導体層2
Oseと、酸化物半導体層2
Oseのソース領域上およびドレイン領域上にそれぞれ接続されたソース電極2
Ossおよびドレイン電極2
Osdとを有している。ソース電極2
Ossおよびドレイン電極2
Osdは、層間絶縁層2Oiに覆われている。
【0172】
ゲート電極2
Ogはゲートバスラインと同じゲートメタル層に含まれ、ソース電極2
Ossおよびドレイン電極2
Osdはソースバスラインと同じソースメタル層に含まれる。ゲートメタル層およびソースメタル層を用いて、引出し配線および端子が形成され、
図19を参照して後述する構造を有し得る。
【0173】
TFT2
OTは、例えば、以下の様にして作製される。
【0174】
基板1として、例えば、厚さが15μmのポリイミドフィルムを用意する。
【0175】
ベースコート2
Op(SiO
2膜:250nm/SiN
x膜:50nm/SiO
2膜:500nm(上層/中間層/下層))をプラズマCVD法で成膜する。
【0176】
ゲートメタル(Cu膜:300nm/Ti膜:30nm(上層/下層))をスパッタ法で成膜し、フォトリソグラフィ工程(ドライエッチング工程を含む)でパターニングする(ゲート電極2Ogおよびゲートバスライン等を形成する)。
【0177】
ゲート絶縁膜(SiO
2膜:30nm/SiN
x膜:350nm(上層/下層))をプラズマCVD法で成膜する。
【0178】
酸化物半導体膜(In−Ga−Zn−O系半導体膜:100nm)をスパッタ法で成膜し、フォトリソグラフィ工程(ウエットエッチング工程を含む)でパターニングすることによって、活性層(半導体島)を形成する。
【0179】
ソースメタル(Ti膜:100nm/Al膜:300nm/Ti膜:30nm(上層/中間層/下層))をスパッタ法で成膜し、フォトリソグラフィ工程(ドライエッチング工程を含む)でパターニングする(ソース電極2
Oss、ドレイン電極2
Osdおよびソースバスライン等を形成する)。
【0180】
活性化アニール(例えば、300℃、120分間アニール)を行う。このようにして酸化物半導体層2
Oseが得られる。
【0181】
この後、保護膜として、層間絶縁層2Oi(例えば、SiN
x膜:300nm/SiO
2膜:300nm/(上層/下層))をプラズマCVD法で成膜する。
【0182】
次に、
図19(a)〜(d)を参照して、実施形態1による他のOLED表示装置の構造を説明する。このOLED表示装置の回路(バックプレーン)は、
図18(a)に示したTFT2
PTまたは
図18(b)に示したTFT2
OTを有し、TFT2
PTまたはTFT2
OTを作製する際のゲートメタル層およびソースメタル層を用いて引出し配線30A’および端子38A’が形成されている。
図19(a)〜(d)はそれぞれ
図3(b)〜(e)に対応し、対応する構成要素の参照符号に「’」を付すことにする。また、
図19中のベースコート2pは、
図18(a)中のベースコート2
Ppおよび
図18(b)中のベースコート2
Opに対応し、
図19中のゲート絶縁層2giは、
図18(a)中のゲート絶縁層2
Pgiおよび
図18(b)中のゲート絶縁層2
Ogiに対応し、
図19中の層間絶縁層2iは、
図18(a)中の層間絶縁層2
Piおよび
図18(b)中の層間絶縁層2
Oiにそれぞれ対応する。
【0183】
図19(a)〜(d)に示す様に、ゲートメタル層2gおよびソースメタル層2sは、基板1上に形成されたベースコート2p上に形成されている。
図3では省略したが、基板1上には無機絶縁体で形成されたベースコート2pを形成することが好ましい。
【0184】
図19(a)および(b)を参照して、TFE構造10A’の構造を説明する。
図19(a)は、
図2中の3B−3B’線に沿った断面図に対応し、引出し配線30A’のアクティブ領域側の部分32A’の断面図であり、
図19(b)は
図2中の3C−3C’線に沿った断面図に対応し、側面のテーパー角が90°未満である順テーパー側面部分(傾斜側面部分)TSFを有する部分34A’の断面図である。
【0185】
図19(a)〜(c)に示すように、引出し配線30A’は、ゲートメタル層2gとソースメタル層2sとの積層体として形成されている。引出し配線30A’のゲートメタル層2gで形成された部分は、例えばゲートバスラインと同じ断面形状を有し、引出し配線30A’のソースメタル層2sで形成された部分は、例えばソースバスラインとお同じ断面形状を有している。例えば、500ppiの5.7型の表示装置の場合、ゲートメタル層2gで形成された部分の線幅は例えば10μmであり、隣接間距離は16μm(L/S=10/16)あり、ソースメタル層2sで形成された部分の線幅は例えば16μmであり、隣接間距離は10μm(L/S=16/10)である。
【0186】
図19(a)に示す引出し配線30A’のアクティブ領域側の部分32A’の線幅方向に平行な断面の形状における側面のテーパー角は、ゲートバスラインまたはソースバスラインと同様に、約90°である。引出し配線30A’の部分32A’を覆う第1無機バリア層12A’の最下部(引出し配線30A’の側面を覆う部分と、基板1の平坦部上に形成された部分との境界部)に、有機バリア層(中実部)14A’が形成されている。
【0187】
これに対して、
図19(b)に示す、引出し配線30A’の部分34A’は、側面のテーパー角が90°未満である順テーパー側面部分(傾斜側面部分)TSFを有している。順テーパー側面部分TSFを有する引出し配線30A’の部分34A’の上には、有機バリア層(中実部)14が存在せず、第1無機バリア層12A’と第2無機バリア層16A’とが直接接触している(すなわち、無機バリア層接合部が形成されている。)。また、平坦部には、有機バリア層14(中実部)A’が形成されていないので、引出し配線30A’は、
図2中の3C−3C’線に沿った断面において、第1無機バリア層12A’と第2無機バリア層16A’とが直接接触している無機バリア層接合部で覆われている。
【0188】
図19(c)および(d)を参照する。
図19(c)および(d)は、TFE構造10A’が形成されていない領域の断面図である。
図19(c)に示す引出し配線30A’の部分36A’は、
図19(a)に示した引出し配線30A’の部分32A’と同様の断面形状を有しており、その側面の最下部に有機バリア層14A’が形成されている。一方、
図19(d)に示す端子38A’は、
図19(b)に示した引出し配線30A’の部分34A’と同様の断面形状を有しており、側面のテーパー角が90°未満である順テーパー側面部分TSFを有している。したがって、端子38A’の側面には有機バリア層(中実部)14A’が存在しない。また、平坦部上にも有機バリア層(中実部)14A’が存在しない。
【0189】
図19(b)では、引出し配線30A’の第1無機バリア層12A’に接する2つの側面の全体が順テーパー側面部分TSFの例を示したが、
図5(b)を参照して説明した様に、第1無機バリア層12A’に接する2つの側面の少なくとも最下部に順テーパー側面部分TSFを有すれば、光硬化性樹脂が偏在することを防止し、非中実部を形成することができる。同様に、
図19(d)では、端子38A’ 露出された全ての側面の全体が順テーパー側面部分TSFの例を示したが、露出された全ての側面の少なくとも最下部に順テーパー側面部分を有すれば、上述の効果を得ることができる。
【0190】
次に、
図20(a)および(b)を参照して、有機バリア層の形成に用いられる成膜装置200およびそれを用いた成膜方法を説明する。
図20(a)および(b)は、成膜装置200の構成を模式的に示す図であり、
図20(a)は、蒸気または霧状の光硬化性樹脂を含むチャンバー内において、第1無機バリア層上で光硬化性樹脂を凝縮させる工程における成膜装置200の状態を示しており、
図20(b)は、光硬化性樹脂が感光性をする光を照射し、光硬化性樹脂を硬化させる工程における成膜装置200の状態を示している。
【0191】
成膜装置200は、チャンバー210と、チャンバー210の内部を2個の空間に分割する隔壁234とを有している。チャンバー210の内部のうち隔壁234で仕切られた一方の空間には、ステージ212と、シャワープレート220とが配置されている。隔壁234で仕切られた他方の空間には、紫外線照射装置230が配置されている。チャンバー210は、その内部の空間を所定の圧力(真空度)および温度に制御される。ステージ212は、第1無機バリア層が形成されたOLED3を複数有する素子基板20を受容する上面を有し、上面を例えば−20℃まで冷却することができる。
【0192】
シャワープレート220は、隔壁234との間に、間隙部224を形成するように配置されており、複数の貫通孔222を有している。間隙部224の鉛直方向サイズは、例えば100mm以上1000mm以下であり得る。間隙部224に供給されたアクリルモノマー(蒸気または霧状)は、シャワープレート220の複数の貫通孔222から、チャンバー210内のステージ212側の空間に供給される。必要に応じてアクリルモノマーは加熱される。蒸気または霧状のアクリルモノマー26pは、素子基板20の第1無機バリア層に付着または接触する。アクリルモノマー26は、容器202からチャンバー210内に所定の流量で供給される。容器202には、配管206を介してアクリルモノマー26が供給されるとともに、配管204から窒素ガスが供給される。容器202へのアクリルモノマーの流量は、マスフローコントローラ208によって制御される。シャワープレート220、容器202、配管204、206およびマスフローコントローラ208などによって原料供給装置が構成されている。
【0193】
紫外線照射装置230は、紫外線光源とオプショナルな光学素子とを有している。紫外線光源は、例えば、紫外線ランプ(例えば、水銀ランプ(高圧、超高圧を含む)、水銀キセノンランプまたはメタルハライドランプ)であってもよいし、紫外線LEDや紫外線半導体レーザなどの紫外線発光半導体素子であってもよい。光学素子は、例えば、反射鏡、プリズム、レンズ、光ファイバー、回折素子、空間光変調素子、およびホログラム素子である。例えば、紫外線レーザから出射されたビームは、公知の種々の光学素子を用いて成形される。例えば、ライン状の断面形状を有するビームを形成することができる。紫外線光源の種類や大きさに応じて、複数の紫外線光源を用いてもよい。例えば、複数の半導体レーザ素子を一列に配列してもよいし、2次元アレイ状に配列してもよい。また、1本または2本以上のレーザビームをスキャンしてもよい。
【0194】
紫外線照射装置230は所定の位置に配置されたときに、所定の波長および強度を有する光をステージ212の上面に向けて出射する。隔壁234およびシャワープレート220は、紫外線の透過率が高い材料、例えば、石英で形成されていることが好ましい。
【0195】
成膜装置200を用いて、
図4に示した有機バリア層14Aまたは
図6に示した有機バリア層14Dを、例えば以下の様にして形成することができる。ここでは、光硬化性樹脂としてアクリルモノマーを用いる例を説明する。
【0196】
チャンバー210内に、アクリルモノマー26pを供給する。素子基板20は、ステージ212上で、例えば−15℃に冷却されている。アクリルモノマー26pは素子基板20の第1無機バリア層12Aまたは12D上で凝縮される。このときの条件を制御することによって、第1無機バリア層12Aが有する凸部の周囲にだけ液状のアクリルモノマーを偏在させることができる。一方、
図6に示した有機バリア層14Dを形成する場合には、第1無機バリア層12D上で凝縮されたアクリモノマーが液膜を形成するように、条件を制御する。
【0197】
液状の光硬化性樹脂の粘度および/または表面張力を調整することによって、液膜の厚さや第1無機バリア層12A、12Dの凸部に接する部分の形状(凹形状)を制御することができる。例えば、粘度および表面張力は、温度に依存するので、素子基板の温度を調節することによって制御することができる。
図6に示した有機バリア層14Dを形成する際に、平坦部上に存在する中実部の大きさは、液膜の第1無機バリア層12Dの凸部に接する部分の形状(凹形状)および後で行うアッシング処理の条件によって制御され得る。
【0198】
続いて、紫外線照射装置230Uを用いて、典型的には、素子基板20の上面の全体に紫外線232を照射することによって、第1無機バリア層12A、12D上のアクリルモノマーを硬化させる。紫外線光源としては、例えば、365nmにメインピークを持つ高圧水銀ランプを用い、紫外線強度として例えば、12mW/cm
2で、約10秒照射する。
【0199】
アクリル樹脂からなる有機バリア層14Aはこのようにして形成される。この有機バリア層14Aの形成工程のタクトタイムは例えば、約30秒未満であり、非常に量産性が高い。
【0200】
一方、有機バリア層14Dは、この後、
図9を参照して説明したように、アッシング処理を経て、形成される。なお、有機バリア層14Aの形成においても、アッシング処理を施してもよい。アッシング処理によって、有機バリア層14Aと第2無機バリア層16Aとの接着性を向上させることができる。
【0201】
この後、第2無機バリア層16A、16Dを形成するためのCVDチャンバーに搬送し、例えば、第1無機バリア層12A、12Dと同じ条件で、第2無機バリア層16A、16Dを形成する。第2無機バリア層16A、16Dは、第1無機バリア層12A、12Dが形成された領域に形成されるので、有機バリア層14A、14Dの非中実部には、第1無機バリア層12A、12Dと第2無機バリア層16A、16Dとが直接接触する無機バリア層接合部が形成される。したがって、上述したように、有機バリア層を介して大気中の水蒸気がアクティブ領域内に到達することが抑制・防止される。
【0202】
なお、第1無機バリア層12Dおよび第2無機バリア層16Dは、例えば、以下の様にして形成される。SiH
4およびN
2Oガスを用いたプラズマCVD法で、例えば、成膜対象の基板(OLED3)の温度を80℃以下に制御した状態で、400nm/minの成膜速度で、厚さ400nmの無機バリア層を形成することができる。この様にして得られる無機バリア層の屈折率は1.84で、400nmの可視光の透過率は90%(厚さ400nm)である。また、膜応力の絶対値は50MPaである。
【0203】
なお、無機バリア層として、SiN層の他、SiO層、SiON層、SiNO層、Al
2O
3層などを用いることもできる。光硬化性樹脂は、例えば、ビニル基含有モノマーを含む。その中でも、アクリルモノマーが好適に用いられる。アクリルモノマーには必要に応じて、光重合開始剤が混合され得る。公知の種々のアクリモノマーを用いることができる。複数のアクリルモノマーを混合してもよい。例えば、2官能モノマーと3官能以上の多官能モノマーを混合してもよい。また、オリゴマーを混合してもよい。光硬化性樹脂として、紫外線硬化型のシリコーン樹脂を用いることもできる。シリコーン樹脂(シリコーンゴムを含む)は可視光透過性および耐候性に優れ、長期間の使用でも黄変しにくいという特徴がある。可視光の照射で硬化する光硬化性樹脂を用いることもできる。光硬化性樹脂の硬化前の室温(例えば25℃)の粘度は、10Pa・sを超えないことが好ましく、1〜100mPa・sであることが特に好ましい。粘度が高いと、厚さが500nm以下の薄い液膜を形成することが難しいことがある。
【0204】
上記では、フレキシブル基板を有するOLED表示装置およびその製造方法の実施形態を説明したが、本発明の実施形態は例示したものに限られず、柔軟性を有しない基板(例えばガラス基板)に形成された有機EL素子と、有機EL素子上に形成された薄膜封止構造とを有する有機ELデバイス(例えば、有機EL照明装置)に広く適用できる。
実施形態による有機ELデバイス(100A)は、基板に支持された複数の有機EL素子(3)を有する素子基板と、複数の有機EL素子上に形成された薄膜封止構造(10E)とを有し、薄膜封止構造(10E)は、第1無機バリア層(12E)と、第1無機バリア層(12E)の上面に接しかつ離散的に分布する複数の中実部を有する有機バリア層(14E)と、第1無機バリア層の上面および有機バリア層の複数の中実部の上面に接する第2無機バリア層(16E)とで構成された、少なくとも1つの複合積層体(10S)を有し、複数の中実部は、離散的に設けられた、凹状の表面を有する複数の中実部を含む。