特許第6301064号(P6301064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6301064プレススルーパックの蓋材およびプレススルーパック包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6301064
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】プレススルーパックの蓋材およびプレススルーパック包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/36 20060101AFI20180319BHJP
   B65D 83/04 20060101ALI20180319BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   B65D75/36
   B65D83/04 D
   B65D77/20 M
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-58062(P2013-58062)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-181069(P2014-181069A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】399054321
【氏名又は名称】東洋アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩之
(72)【発明者】
【氏名】関口 朋伸
(72)【発明者】
【氏名】山田 和範
(72)【発明者】
【氏名】久保 博司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真弘
(72)【発明者】
【氏名】千葉 修一
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/057507(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第4402038(DE,A1)
【文献】 登録実用新案第3035462(JP,U)
【文献】 特開平10−167320(JP,A)
【文献】 特開2008−155956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/36
B65D 77/20
B65D 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレススルーパックの蓋材であって、
外面側から内面側に向けて順に、樹脂フィルム、アルミニウム箔、および熱接着層を備え、
前記樹脂フィルムに、テーパー状の貫通孔が複数形成されており、
前記貫通孔は、樹脂フィルムの平面視でランダム状に方向性が存在しない状態に配置されており、かつ蓋材の内面側に向かって末広がりとなるテーパー状であるプレススルーパックの蓋材。
【請求項2】
前記貫通孔が、1cmあたり100個〜10000個の範囲内で形成されている請求項1に記載のプレススルーパックの蓋材。
【請求項3】
内容物を収納可能な収納部が設けられた容器と、
前記容器に対して前記収納部の開口を閉塞するように積層された請求項1または2に記載の蓋材と、を備えたプレススルーパック包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレススルーパックの蓋材およびそれを用いたプレススルーパック包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のように、従来から市販されているプレススルーパック(以下、プレススルーパックをPTPともいう)包装体では、その蓋材は主としてアルミニウム箔と熱接着層とで構成されている。該包装体の容器の部分に指で圧力をかけることにより、内容物である薬剤(錠剤またはカプセルなど)が蓋材を突き破り、容易に取り出せることから病院、薬局、薬店などに広く普及している。
【0003】
この種のPTP包装体は、衣類のポケットや鞄、袋などに収容し、持ち歩いたり、複数の包装体を混在させたりすると蓋材が不用意に破けたり、孔が開いたりする場合がある。その結果、薬剤が外気中の多量の酸素や水分と反応し効能が低下する場合が生じる。また、薬剤が不用意に飛び出してしまうことは望ましくないし、何よりも不衛生である。さらに、蓋材が破けやすいため、幼児が誤って薬剤を飲み込んでしまう事故が絶えず、いわゆるチャイルドレジスタンス機能、すなわち幼児が不用意に開封し誤飲することを防止する機能が無い。
【0004】
一方、特許文献2には、PTP包装体の蓋材として、アルミニウム箔の外側に、ミシン目を施した樹脂フィルムを積層したものが開示されている。この蓋材では、アルミニウム箔に樹脂フィルムが積層されているため、特許文献1の蓋材に比べて、アルミニウム箔が破れにくくなっており、チャイルドレジスタンス機能も有している。
【0005】
しかし、特許文献2のPTP包装体は、樹脂フィルムに施されたミシン目が特定方向に連続しているため、蓋材の強度に方向性があり、内容物のカプセル等を取り出す力が一定しない。また、蓋材はミシン目直上では破れやすく、ミシン目の無い部分では破れ難く、内容物である薬剤が取り出しにくいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−1591号公報
【特許文献2】WO2006/048687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、PTP包装体を衣類のポケットや鞄、袋などに収容し、持ち歩いたり、複数の包装体を混在させたりした場合においても、蓋材が不用意に破けないようにするとともに、開封強度をほぼ一定とし、手指を用いて一定の力以上で内容物である錠剤やカプセルが取り出せるようにした、プレススルーパックの蓋材およびそれを用いたプレススルーパック包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプレススルーパックの蓋材は、樹脂フィルム、アルミニウム箔、および熱接着層を備え、好ましくはこの順に積層され、樹脂フィルムに、テーパー状の貫通孔が形成されている。これによれば、蓋材が不用意に破けないようアルミニウム箔に樹脂フィルムが積層されて補強されているとともに、手指で押し出すときは樹脂フィルムに設けたテーパー状の貫通孔を起点として破断し、一定の力で内容物を取り出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のPTPの蓋材等によれば、蓋材が不用意に破けないようにするとともに、開封強度のばらつき無く、手指を用いて一定の力以上で内容物である錠剤やカプセルを取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態におけるPTPの蓋材の断面模式図である。
図2】本発明の実施の形態におけるPTP包装体の断面模式図である。
図3】本発明の実施の形態におけるPTP包装体の蓋材の側より見た平面図である。
図4】本発明の他の実施の形態におけるPTPの蓋材の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(蓋材の構成)
本発明の実施の形態におけるPTPの蓋材10は、少なくとも、樹脂フィルム11、アルミニウム箔13、および熱接着層14を備え、樹脂フィルム11にはテーパー状の貫通孔11aが形成されている。
蓋材10の好ましい形態としては、図1に示すように、最外層として貫通孔11aを形成した樹脂フィルム11、中間層(バリアー層)としてアルミニウム箔13、最内層(容器側)として熱接着層14を設ければよい。同図のように、樹脂フィルム11とアルミニウム箔13との間に接着剤12を配置してもよい。
【0012】
樹脂フィルム11の種類等は、特に制限されることはなく、公知の樹脂フィルムを用いればよい。例えば、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド(ナイロン)系フィルム、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、その他各種の樹脂のフィルムを使用することができる。これらの樹脂のフィルムは、一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよく、無延伸のものであってもよい。プレススルー機能の観点からは特に端裂抵抗が70N以下の樹脂フィルムが好ましく、端裂抵抗が20N〜60Nの樹脂フィルムを用いるのがさらに好ましい。このような樹脂フィルムとしては東洋紡績株式会社製「ティアファイン(登録商標)TF110」ポリエステルフィルム(端裂抵抗タテ:45N、ヨコ:45N)を挙げることができる。端裂抵抗が70N以下(さらに好ましくは20N〜60N)の樹脂フィルムを用いることによりプレススルー機能を向上させることができ、よりスムースに内容物を個別に取り出すことができる。なお、端裂抵抗はJIS C 2318により測定(試料幅:20mm)することができる。
樹脂フィルム11の厚みは、9μm〜25μm程度が好ましい。9μm未満では樹脂フィルムの剛性が低く、後述する穴あけ加工が困難になるおそれがある。逆に25μmを超えると樹脂フィルムの剛性が高くなりすぎ、プレススルー機能を阻害するおそれがある。
【0013】
アルミニウム箔13についても公知のPTPで用いられているアルミニウム箔を使用することができ、厚み10μm〜30μm程度の(JIS)1N30材、8021材、8079材などの軟質材、半硬質材または硬質材を採用するのが好ましい。アルミニウム箔の厚みが10μm未満では耐湿性に乏しくなるおそれがあり、逆に30μmを超えるとプレススルー機能を阻害するおそれがある。
なお、アルミニウム箔13と樹脂フィルム11との積層は特に制限されるものではないが、ドライラミネート接着剤を用いたドライラミネート法によるのが好ましい。
アルミニウム箔13には適宜、印刷層、着色層、プライマーコート層などを積層し介在させることもできる。
【0014】
熱接着層14についても公知のPTPで用いられている熱接着層(熱接着剤)を使用することができ、ポリプロピレン系接着剤、塩化ビニル系接着剤、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体系接着剤などを使用することができる。熱接着剤の塗布量は乾燥後重量で0.5g/m〜15g/m程度とするのが好ましい。包装体製造時のヒートシール条件は、通常140℃〜260℃程度で1秒〜3秒程度である。シール後の断面形状は、連続する凹凸状(ギザギザ状)のメッシュシールとしても良い。
【0015】
以上が本発明のPTP蓋材10の主要構成であるが、必要に応じてアンカーコート層、アルミナ、シリカ等の蒸着層、プライマーコート層、印刷層、着色層、バーコード層、キーラッカー層、オーバーコート層等を設けることもできる。
各層の積層方法は特に限定されるものではなく、公知の方法によればよい。例えば、ポリエステル、ポリウレタン系接着剤を利用したドライラミネート法、ウェットラミネート法、ヒートラミーネート、押し出しラミネート法、グラビア印刷やロールコーティングによる塗布積層などによればよい。
【0016】
(2.樹脂フィルムの穴あけ加工)
本発明に用いる樹脂フィルム11には貫通孔11aを形成するための穴あけ加工を施す。加工方法は特に制限されるものではなく、レーザー加工、熱針による溶融加工、溶剤による溶解穿孔、突起ロールによる機械加工などで穿孔することができる。貫通孔11aはテーパー状であるのがよく、特に図1のように、貫通孔11aが、蓋材10の内面側(熱接着層14側)に向かって先細りとなるテーパー状であるのが好ましい。換言すると、PTP包装体の外面側に向かって末広がりとなるテーパー状とするのが、チャイルドレジスタンス機能の点で好ましい。すなわち、貫通孔11aが蓋材10の内面側に向けて小さくなっているため、蓋材10は内面側から、つまり容器20の内側から破断しにくくなっている。
貫通孔11aのテーパー角度(樹脂フィルムの表裏面に対し垂直な方向からの傾き)は、1〜45度程度が好ましく、3〜30度とするのがさらに好ましい。これらの角度内で、チャイルドレジスタンス機能と外面保護機能と内容物の取り出し性とを両立させることができる。すなわち、テーパー角度が45度を超えると、貫通孔11aが蓋材10の外面側に向けて大きく広がりすぎて、外面保護機能が不充分となるおそれがある一方、テーパー角度が1度未満であると、貫通孔11aが蓋材10の内面側に向けてあまり窄まらず、チャイルドレジスタンス機能が不充分となるおそれがある。
テーパー角度は、たとえば穴の形成に貫針(突起)を用いる場合には、その先端角度が所望のテーパー角度と対応している貫針を選択するなどして、適宜調整可能である。
貫通孔11aの平面視形状は、多角形や三角形でもよいが、多角形は角に荷重が集中して蓋材10が不用意に破断するおそれがあるため、荷重が集中する箇所のない略円形または略楕円形であるのが好ましい。
貫通孔11aの数は、特に制限されるものではないが、1cmあたり100〜10000個の範囲とするのが好ましく、1cmあたり1500〜5000個とするのがさらに好ましい。この範囲内で蓋材としての強度、内容物の取り出し易さおよびチャイルドレジスタンス機能が最適となる。
貫通孔11aのサイズとしては、貫通孔1個あたりの平面視面積(テーパーが広がっている方の面の面積)が10 −8mm〜1mmであるのが好ましく、さらに好ましくは10 −6mm〜10 −2mmとすればよい。貫通孔の平均の平面視面積を10 −8mm〜1mmとすることで、手指で内容物を確実に取り出しやすくすることができる。1個当りの貫通孔の平面視面積が10 −8mm未満では、プレススルー性即ち内容物を指で押し出して蓋材を開封するのが困難になるおそれがある。一方、1mmを超えると下地となるアルミニウム箔の露出が広くなりすぎ、樹脂フィルムによるアルミニウム箔の防御効果が低下するおそれがある。なお、本発明において、貫通孔の平面視面積は、テーパーが広がっている方の樹脂フィルムの面において、貫通孔の最長径(2本の線分で貫通孔を挟み込んだときの最大距離)と当該最長径の方向に垂直な方向に2本の線分で貫通孔を挟み込んだ距離を乗じて計算した値とする。
図3のように、貫通孔は、樹脂フィルムの平面視でランダム状に配置されている、すなわちミシン目のような方向性が存在しない状態に配置されているのが好ましい。なお、図3においては、貫通孔11aが樹脂フィルム11を貫通していることを示すために、樹脂フィルム11の一部を強制的に折り返し(めくり返し)た状態で図示している。このように、貫通孔11aをランダム状に配置することにより、樹脂フィルムの破壊強度(蓋材の開封強度)の位置によるばらつきが解消され、どの部分においても一定の力で蓋材を開封し内容物を取り出すことが可能となる。
また、蓋材10に1cmあたり100〜10000個の範囲で平面視ランダム状に多数の貫通孔11aが配置されていると、これを容器20に被せる際には、収納部21と貫通孔11aとの位置あわせは不要である。すなわち蓋材10の全体に貫通孔11aを満遍なく多数設けてあるので、容器の収納部21とフランジ部22の境界に臨む位置、つまりプレススルー時に破断される位置にも確実に貫通孔11aが存在することになり、本発明の効果を確実に得ることができる。
【0017】
(3.包装体の構成)
また本発明の実施の形態におけるPTP包装体1は、図2および図3に示すように、実施形態の蓋材10と、内容物30の収納部21を形成した容器20のフランジ部22とを熱接着した包装体である。
包装体1の容器20としては、従来と同様のものを使用することができる。例えば、図2に示すように、フランジ部22の間に内容物30の収納部21としてのポケットを形成した公知の容器を用いることができる。容器20は、例えばポリプロピレン、塩化ビニルなどの樹脂シートを用いて、プラグアシスト成形、真空または圧空成形、真空圧空成形、熱プレスなどにより成形できる。また、市販のPTP用容器を用いることもできる。上記収納部21に錠剤やカプセルなどの内容物30を収納後、容器20の開口部、すなわち収納部21の上を跨ぐように蓋材10を被せ、容器のフランジ部22と蓋材10とを熱接着することにより封緘し、本発明の包装体を提供することができる。熱接着(ヒートシール)の条件は特に限定されないが、通常は100℃〜260℃、0.1秒〜3秒、0.1MPa〜0.5MPa程度とすればよい。
容器20が、蓋材10を収納部21に臨む箇所とフランジ部22に熱接着される箇所とに区画することになるが、収納部21の平均の平面視面積が5mm〜900mmとするのがよい。これによって収納部21から内容物30を取り出す出口広さを十分確保することができる。
容器20には、内容物30として、錠剤やカプセルなどの薬剤のほか、芳香剤、除湿剤、防虫剤、防臭剤などの化学品、チョコレート粒、キャンディーなどの菓子類、ICチップ、半導体部品、LED、ボタン電池などの電子電気部品(製品)などを収容できる。
【実施例】
【0018】
本発明にかかる実施例と比較例とについて、プレススルー性(チャイルドレジスタンス機能)および破れ防止性の評価試験を行った。試験体は、下記の実施例1〜4および比較例1の合計5体を用いた。
(実施例1〜2):厚み14μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製「ティアファイン(登録商標)TF110」)に、円錐状の突起を用いて平面視ランダム状に表1に示す所定数の貫通孔を穿孔した。貫通孔はテーパー状で、テーパー角度は20度前後であった。貫通孔の平均サイズを同表に示す。
次いで、該フィルムの一方面(実施例1と2とでテーパーの向きを変えている)と、厚み20μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製、1N30、軟質箔)の一方面とをポリウレタン系ドライラミネート接着剤(乾燥後重量3g/m)を使用してドライラミネートした後、アルミニウム箔の他方面に塩化ビニル系熱接着剤(乾燥後重量5g/m)をグラビアロールを用いて塗布し、乾燥させ、本発明例1〜2の蓋材を作製した。
(実施例3〜4):ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みを12μm(東洋紡績株式会社製「E5100」)とした以外は、実施例1〜2と同様にして実施例3〜4の蓋材を作製した。
(比較例1):比較品として、厚み20μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製、1N30、軟質箔)の一方面に塩化ビニル系熱接着剤(乾燥後重量5g/m)をグラビアロールを用いて塗布し、乾燥させ、比較例1の蓋材を作製した。
上記の試験体に対して次の各種テストおよび測定を行った
【0019】
【表1】
【0020】
<包装体の作製およびプレススルーテスト>
上記本発明例1〜4および比較例1の蓋材と、別途準備したプレススルーパック用の市販の容器のフランジ部とを170℃×3秒×0.5MPaの条件でヒートシールした。なお、当該容器の各収容部(ポケット)には予め、ビオフェルミン製薬株式会社製の直径約8mm×厚み約4.2mmの新ビオフェルミンS錠を入れておいた。当該容器のポケットのサイズは直径10mm×深さ5mmであった。
作製した各包装体の容器の底(蓋材と反対側のポケット部分)を3〜5歳児と80歳のモニター各5人の手指で圧迫し、錠剤が蓋材を突き破って錠剤を取り出せるかをテストした結果を表2に示す。
表2中、○は5人全員が10秒以内に取り出せたことを、△は3〜4人が10秒以内に取り出せたことを、×は10秒以内に取り出せたのは2人以下だったことを、それぞれ示す。
【0021】
【表2】
【0022】
<蓋材強度の測定>
(1)−破れ防止性の評価−
先端が半球状で、該半径が0.5mmのポンチを各蓋材のPET面(比較例1はアルミ箔面)側から50mm/minの速度で突き刺し、ポンチの貫通に要する最大荷重を測定した。表3には、n=6の平均値を示す。突起物による不用意な破れを想定しており、突刺強度3.0N以上で破れにくく、破れ防止性が良好であることを示す。
(2)−プレススルー性の評価−
上記1と同様に各包装体を作製し、容器側の底部分を除去し、除去した部分から先端半径2.5mmの円柱状の押出治具を用いて、50mm/minの速度で錠剤を圧迫し、蓋材が錠剤によって破断する最大荷重を測定した。表3には、n=10の平均値を示す。30N〜60Nの範囲内で良好なチャイルドレジスタンス性と内容物取り出し性(シニアフレンドリー)を示す。
【0023】
【表3】
【0024】
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0025】
たとえば、図4のように、蓋材10の貫通孔11aを、蓋材10の外面側に向って先細りとなるテーパー状にすることもできる。その場合、貫通孔11aが蓋材の外面側に向けて小さくなっているため、外面保護機能の点で好ましい。
【符号の説明】
【0026】
1 包装体
10 蓋材
11 樹脂フィルム
11a 貫通孔
12 接着剤
13 アルミニウム箔
14 熱接着層
20 容器
21 収納部
22 フランジ部
30 内容物
図1
図2
図3
図4