(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のX線CT画像に含まれる前記被検体の画素値を用いて生成された前記被検体のガンマ線減弱係数マップにもとづいて前記ガンマ線投影データに対して減弱補正を行う減弱補正部、
をさらに備えた請求項1ないし8のいずれか1項に記載の核医学診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る核医学診断装置および画像処理プログラムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施形態に係る核医学診断装置および画像処理プログラムは、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)やPET(Positron Emission Tomography)などのガンマ線検出器により検出されたガンマ線の線量分布にもとづいて画像再構成を行う各種装置に適用することが可能である。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る核医学診断装置10の一構成例を示す概略的なブロック図である。なお、本実施形態に係る核医学診断装置10は、X線CT装置101により生成されたX線CT画像を取得可能に構成される。
【0012】
核医学診断装置10は、ガンマ線検出部11およびガンマ線データ収集部12を有する核医学スキャナ装置13と画像処理装置14とを有する。なお、画像処理装置14はガンマ線データ収集部12とデータ送受信可能に接続されていればよく、同一の部屋や建屋に設けられずともよい。
【0013】
ガンマ線検出部11は、画像処理装置14に制御されて天板15に載置された被検体Pの所定の撮像領域の放射性同位元素から放射されたガンマ線を検出する。
【0014】
核医学診断装置10としてSPECT装置を用いる場合、ガンマ線検出部11は被検体Pに薬品に含まれて投与されたテクネシウムなどの放射性同位元素から放射されるガンマ線を検出する検出器である。ガンマ線検出部11としては、シンチレータ型検出器を用いてもよいし、半導体型検出器を用いてもよい。
【0015】
シンチレータ型検出器を用いてガンマ線検出部11を構成する場合は、ガンマ線検出部11は、ガンマ線の入射角度を規定するためのコリメータ、コリメートされたガンマ線が入射すると瞬間的な閃光を発するシンチレータ、ライトガイド、シンチレータから射出された光を検出するための2次元に配列された複数の光電子増倍管、およびシンチレータ用電子回路などを有する。シンチレータは、たとえばタリウム活性化ヨウ化ナトリウムNaI(Tl)により構成される。
【0016】
シンチレータ用電子回路は、ガンマ線が入射する事象(イベント)が発生するごとに、複数の光電子増倍管の出力にもとづいて複数の光電子増倍管により構成される検出面内におけるガンマ線の入射位置情報(位置情報)および強度情報を生成しガンマ線データ収集部12に出力する。この位置情報は、検出面内の2次元座標の情報であってもよいし、あらかじめ検出面を複数の分割領域(以下、1次セルという)に仮想的に分割しておき(たとえば1024×1024個に分割しておき)、どの1次セルに入射があったかを示す情報であってもよい。
【0017】
一方、半導体型検出器を用いてガンマ線検出部11を構成する場合は、ガンマ線検出部11は、コリメータ、コリメートされたガンマ線を検出するための2次元に配列された複数のガンマ線検出用半導体素子(以下、半導体素子という)および半導体用電子回路などを有する。半導体素子は、たとえばCdTeやCdZnTe(CZT)により構成される。
【0018】
半導体用電子回路は、ガンマ線が入射する事象(イベント)が発生するごとに、半導体素子の出力にもとづいて位置情報および強度情報を生成しガンマ線データ収集部12に出力する。この位置情報は、複数の半導体素子(たとえば1024×1024個)のうちのどの半導体素子に入射したかを示す情報である。
【0019】
また、核医学診断装置10としてPET装置を用いる場合、ガンマ線検出部11はFDG(フルオロデオキシグルコース)などの薬品に含まれて被検体Pに投与された放射性同位元素から放射されるガンマ線を検出する検出器である。この場合も、ガンマ線検出部11としては、シンチレータ型検出器を用いてもよいし、半導体型検出器を用いてもよく、シンチレータ型検出器および半導体型検出器の構成は核医学診断装置10としてSPECT装置を用いる場合と同様である。
【0020】
核医学診断装置10としてPET装置を用いる場合、ガンマ線検出部11を構成する複数の検出素子は、たとえば被検体Pの周囲を囲むように、六角形または円形に検出器カバー内に配置される。なお、複数の検出素子の配置態様はリング配列型に限られず、たとえば平板上に配列された複数の検出素子が2つ被検体Pを挟んで対向配置されつつ被検体Pの周りに回転可能に保持される2検出器対向型に配置されてもよい。また、複数の検出素子は多層のリングに配列されて隣接する層間の画像を取得可能に構成されてもよい。
【0021】
すなわち、ガンマ線検出部11は、画像処理装置14に制御されて被検体Pの所定の撮像領域の放射性同位元素から放射されたガンマ線を検出し、イベントごとに位置情報および強度情報を出力する。また、位置情報は、1次セルのどの位置にガンマ線が入射したかを示す情報および検出面内の2次元座標の情報の少なくとも一方である。以下の説明では、ガンマ線検出部11が位置情報として検出面内のどの位置にガンマ線が入射したかを示す情報を出力する場合の例について示す。
【0022】
ガンマ線データ収集部12は、ガンマ線検出部11の出力をたとえばリストモードで収集し、ガンマ線投影データとして画像処理装置14に与える。リストモードでは、ガンマ線の検出位置情報、強度情報、ガンマ線検出部11と被検体Pとの相対位置を示す情報(ガンマ線検出部11の位置や角度など)、およびガンマ線の検出時刻がガンマ線の入射イベントごとに収集される。
【0023】
画像処理装置14は、
図1に示すように、入力部21、表示部22、記憶部23、ネットワーク接続部24および主制御部25を有する。
【0024】
入力部21は、少なくともポインティングデバイスを含み、たとえばマウス、トラックボール、キーボード、タッチパネル、テンキーなどの一般的な入力装置により構成され、ユーザの操作に対応した操作入力信号を主制御部25に出力する。
【0025】
表示部22は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、主制御部25の制御に従ってX線CT画像や核医学画像などの各種画像を表示する。
【0026】
記憶部23は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。記憶部23は、主制御部25により制御されて表示画素ごとの計数値や、計数値と色や輝度などの画素値とを関連付ける複数種類のルックアップテーブル(LUT)のほか、天板15のテンプレート形状情報などを記憶する。
【0027】
ネットワーク接続部24は、ネットワーク100の形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワーク接続部24は、この各種プロトコルに従ってネットワーク100を介して画像処理装置14と他の電気機器とを接続する。ここで、ネットワーク100とは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、病院基幹LANなどの無線/有線LANやインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0028】
画像サーバ102は、たとえばPACS(Picture Archiving and Communication System:医用画像保管通信システム)に備えられる画像の長期保管用のサーバであり、ネットワーク100を介して接続されたX線CT(Computed Tomography)装置101などの他のモダリティで生成された医用画像を記憶する。
【0029】
主制御部25は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成され、この記憶媒体に記憶されたプログラムに従って画像処理装置14の動作を制御する。
【0030】
主制御部25のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶された画像処理プログラムおよびこのプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、このプログラムに従って、X線CT画像から的確に推定された非被検体領域を用いてテールフィッティング法により適切な散乱線補正を行うための処理を実行する。
【0031】
なお、非被検体領域とは、RIが存在しないはずの被検体P周囲の領域をいい、たとえば天板15の領域(天板領域)やエア(雰囲気気体)の領域(エア領域)などが含まれる。
【0032】
主制御部25のRAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。主制御部25のROMをはじめとする記憶媒体は、画像処理装置14の起動プログラム、画像処理プログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。なお、ROMをはじめとする記憶媒体は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部はネットワーク100を介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0033】
図2は、第1実施形態に係る主制御部25のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、この機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0034】
図2に示すように、主制御部25のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶された画像処理プログラムによって、少なくとも核医学スキャン制御部31、ガンマ線投影データ取得部32、計数分配部33、散乱線補正部34、減弱補正部35および核医学画像生成部36として機能する。この各部31〜36は、RAMの所要のワークエリアをデータの一時的な格納場所として利用する。
【0035】
核医学スキャン制御部31は、ユーザから入力部21を介してスキャン計画の実行指示を受けて、スキャン計画にもとづいて核医学スキャナ装置13を制御してスキャンを実行する。この結果、被検体Pから放出されたガンマ線の情報がガンマ線検出部11からガンマ線データ収集部12を介してガンマ線投影データ取得部32に与えられる。
【0036】
ガンマ線投影データ取得部32は、被検体Pに投与されたRIから放射されたガンマ線にもとづくガンマ線投影データを取得する。このガンマ線投影データには、ガンマ線の検出位置情報、強度情報、ガンマ線検出部11と被検体Pとの相対位置を示す情報(ガンマ線検出部11の位置や角度など)、およびガンマ線の検出時刻などが含まれる。
【0037】
計数分配部33は、ガンマ線の入射位置情報と表示部22の表示画素とを対応させ、入射位置情報にもとづいて表示画素のそれぞれについて入射ガンマ線を光子数として計数した計数値(カウント数)を割り当てる(分配する)。
【0038】
散乱線補正部34は、画素値置換部34aおよび散乱線補正実行部34bを有し、X線CT画像にもとづいてテールフィッティング法によりガンマ線投影データに対して散乱線補正を行う。
【0039】
ここで、散乱線補正部34による散乱線補正について説明する。
【0040】
図3は、核医学画像の画素値の分布41とこの分布において推定される散乱線の分布42との関係の一例を示す説明図である。核医学画像の画素値は、各画素に関連付けられた計数値に応じた値を有する。
【0041】
核医学画像の画素値の分布41は、
図3に示すように、被検体Pに由来する領域(被検体領域)43においてピークをもち、非被検体領域44において被検体領域43から遠ざかるにつれてなだらかに画素値がゼロに近づくようなテール部分(散乱領域)をもつ分布となる。
【0042】
いわゆるテールフィッティング法では、この放射能分布が存在しないはずのテール部分(散乱領域)をガウス分布などで近似することによって、散乱線の分布42を推定して散乱線補正を行う。しかし、より詳細には、散乱線補正を行うためには、散乱線の分布42の形状に加え、絶対値の情報が必要となる。絶対値を確定する方法としては、核医学画像をフォワードプロジェクションして生成されるサイノグラム上で角度ごとに被検体Pの輪郭を抽出し、この輪郭より外側の値を散乱線の値とみなしてテールフィッティングする方法が考えられる。
【0043】
一方、核医学画像は一般に計数値が少ないため、ノイズを多く含んでいる。このため、核医学画像のサイノグラムから被検体Pの輪郭を抽出することは難しい。そこで、テールフィッティング法において被検体Pの輪郭を抽出する際には、X線CT画像をフォワードプロジェクションしたサイノグラムが用いられることが多い。
【0044】
以下の説明では、ガンマ線投影データを得た同一被検体Pに関して、ガンマ線投影データとほぼ等しい部位についてあらかじめX線CT装置101で生成されたX線CT画像を第1のX線CT画像51という。
【0045】
図4(a)は第1のX線CT画像51の一例を示す説明図であり、(b)は第1のX線CT画像51をフォワードプロジェクションしたサイノグラム52の一例を示す説明図である。なお、以下の説明では、第1のX線CT画像51が被検体Pの画像、天板15の画像およびエア46の画像により構成される場合の例について示す。また、
図4(b)には、第1のX線CT画像51の
図4(a)の破線53に対応する所定の角度におけるサイノグラム52の一例を示した。
【0046】
また、以下の説明では、被検体Pの体軸方向をz軸方向、天板15の面に平行な被検体Pの幅方向をx軸方向、天板15の面の法線方向をy軸方向とする場合の例について示す。
【0047】
RIが存在しない領域からは当然ながら散乱線を除きガンマ線を計数することはない。このため、核医学画像の画素値の分布41では、非被検体領域44は単純に被検体Pを除く領域であって、非被検体領域44にはたとえば天板15の領域45やエア(雰囲気気体、空気)46の領域47が含まれる。
【0048】
一方、同じ非被検体領域44であっても、天板15の領域45とエア46の領域47とでは、CT値が異なるため、X線CT画像の画素値も異なる。たとえばX線CT画像においてエア46のCT値(−1000HU)に対応する画素値を有する領域を非被検体領域44ctとし、他の領域を被検体領域43ctとする場合には、第1のX線CT画像51に対応するサイノグラム52における非被検体領域44ctは、天板15の領域47のぶんだけ実際とは差異が生じてしまう(
図4(b)参照)。
【0049】
この場合、第1のX線CT画像51から推定される非被検体領域44ctは、第1のX線CT画像51の被検体Pの天板15側において、実際よりも天板15のぶんだけ狭くなってしまう。したがって、天板15の領域47のぶんだけテール部分(散乱領域)のデータが少なくなり、テールフィッティング法で適切な散乱線補正を行うことが難しくなってしまう。
【0050】
図5(a)はテール部分のプロット54の数が不十分である場合において散乱線の分布42を推定する様子の一例を示す説明図であり、(b)はテール部分のプロット54の数が十分に存在する場合において散乱線の分布42を推定する様子の一例を示す説明図である。
【0051】
図5(a)に示すように、テール部分にテールフィッティングに十分な画素数がないと、散乱線の分布42を推定することが難しく、散乱線の絶対値の推定精度が悪くなる。したがって、テールフィッティング法において的確に散乱線の分布42を推定するためには、
図5(b)に示すように、テール部分に十分な画素値が存在することが重要となる。
【0052】
しかし、
図4(b)に示すように、天板15の画像が含まれる第1のX線CT画像51にもとづいて推定される非被検体領域44ctは、天板15の領域45のぶんだけ実際の非被検体領域44より狭くなってしまう。したがって、第1のX線CT画像51から推定された被検体領域43ctおよび非被検体領域44ctにもとづいて被検体Pの輪郭(被検体領域43ctと非被検体領域44ctの境界)を抽出して核医学投影データの散乱線補正を行うと、テール部分の画素数が不十分となり散乱線の分布42の推定精度が悪くなってしまう。
【0053】
そこで、散乱線補正部34の画素値置換部34aは、第1のX線CT画像51に含まれる所定の非被検体領域(たとえば天板15の領域45)の画素値を、所定の画素値(たとえばエア46のHU値−1000に対応する画素値)に置換することにより、画素値置換後のX線CT画像(第2のX線CT画像)61を生成する。
【0054】
図6(a)は第2のX線CT画像61の一例を示す説明図であり、(b)は第2のX線CT画像61をフォワードプロジェクションしたサイノグラム62(順投影データ(1次元データ))の一例を示す説明図である。
図6(a)には、画素値置換部34aによって第1のX線CT画像51の天板15の画素の画素値がエア46の画素値に置換されて生成された第2のX線CT画像61の一例を示した。また、
図6(b)は、第2のX線CT画像61の
図6(a)の破線53に対応する所定の角度におけるサイノグラム62の一例である。
【0055】
図6(b)に示すように、天板15の画素値がエア46の画素値に置換された第2のX線CT画像61にもとづいて推定される非被検体領域44ctは、天板15の領域47が存在しないため、実際の非被検体領域44と等しくなる。したがって、第2のX線CT画像61によれば、的確に非被検体領域44を推定することができる。したがって、第2のX線CT画像61にもとづいて抽出される被検体Pの輪郭を用いる場合、第1のX線CT画像51にもとづく輪郭を用いる場合に比べて、テール部分(散乱領域)の画素数を多く確保することができるため、テールフィッティング法により適切な散乱線補正を行うことができる。
【0056】
具体的には、画素値置換部34aは、第2のX線CT画像61の断面ごとに被検体Pの輪郭を抽出したあと(
図6(a)参照)、この輪郭の情報にもとづいてフォワードプロジェクションしてサイノグラム62(順投影データ(1次元データ))を生成し、散乱線補正実行部34bに与える。また、画素値置換部34aは、第2のX線CT画像61をフォワードプロジェクションしたサイノグラム62から被検体領域43ctと非被検体領域44ctの境界を抽出することにより被検体Pの輪郭を抽出してもよい。
【0057】
なお、X線CT装置101が画素値置換部34aと同等の機能を有する場合は、核医学診断装置10は画素値置換部34aを備えずともよい。
【0058】
散乱線補正実行部34bは、第2のX線CT画像(画素値置換後のX線CT画像)61にもとづいて、テールフィッティング法によりガンマ線投影データに対して散乱線補正を行う。
【0059】
減弱補正部35は、減弱マップ生成部35aおよび減弱補正実行部35bを有し、第1のX線CT画像51または第2のX線CT画像61に含まれる被検体Pの画素値を用いて生成された被検体Pのガンマ線減弱係数マップにもとづいてガンマ線投影データに対して減弱補正を行う。
【0060】
ガンマ線は、生体内で減弱される。このため、ガンマ線の検出結果には、この生体内での減弱の影響が含まれている。この種の生体内での減弱の影響を補正する方法としてよく用いられる方法に、使用する核種のガンマ線エネルギーの減弱係数の分布を示すガンマ線減弱係数マップ(以下、減弱マップという)を生成し、この減弱マップにもとづいてガンマ線の検出結果を補正する方法がある。この方法によれば、ガンマ線の生体内での減弱の影響を補正する(以下、減弱補正するという)ことができる。このため、減弱の補正を行わない場合にくらべ、核医学画像をより高精度に生成することができる。
【0061】
減弱マップ生成部35aは、第1のX線CT画像51(または第2のX線CT画像61)に含まれる被検体Pの画像の画素値を用いて、Hu−Mu変換を行うことにより被検体Pのガンマ線減弱係数マップ(減弱マップ)を生成する。なお、Hu−Mu変換は、減弱マップを生成するためにX線CT画像の画素ごとのCT値(HU値)を線減弱係数μに変換することをいう。このHu−Mu変換法としては従来各種のものが知られており、これらのうち任意のものを使用することが可能である。
【0062】
なお、X線CT装置101が減弱マップ生成部35aと同等の機能を有する場合や、減弱マップがネットワーク100を介して取得可能である場合や減弱マップがあらかじめ記憶部23に記憶されている場合など、減弱マップを生成せずとも取得可能である場合は、核医学診断装置10は画素値置換部34aを備えずともよい。
【0063】
減弱補正実行部35bは、減弱マップにもとづいてガンマ線投影データに対して減弱補正を行う。
【0064】
核医学画像生成部36は、散乱線補正部34および減弱補正部35により散乱線補正および減弱補正を受けた計数値を用いて、記憶部23に記憶されたLUTの1つ(たとえば特にユーザ指示がない場合に用いられるようデフォルト設定されたLUT)にもとづいて各表示画素の色や輝度などの画素値を求めることにより核医学画像を生成し、表示部22に表示させる。
【0065】
図7(a)は所定のファントムの第1断面における第1のX線CT画像51にもとづく散乱線補正後の核医学画像の画素値71と第2のX線CT画像61にもとづく散乱線補正後の画素値72とを比較した説明図であり、(b)は第2断面における第1のX線CT画像51にもとづく散乱線補正後の核医学画像の画素値71と第2のX線CT画像61にもとづく散乱線補正後の画素値72とを比較した説明図である。
【0066】
図7(a)および(b)に示すように、第1のX線CT画像51にもとづく散乱線補正後の核医学画像の画素値71に比べ、第2のX線CT画像61にもとづく散乱線補正後の画素値72のほうがより高コントラストとなることがわかる。このため、第2のX線CT画像61にもとづく散乱線補正を施した核医学画像によれば、画質が向上するほか、定量性が向上し、核医学画像にもとづく診断の効率が向上する。
【0067】
次に、本実施形態に係る核医学診断装置10の動作の一例について説明する。
【0068】
図8は、
図1に示す主制御部25のCPUにより、第2のX線CT画像61から的確に推定された非被検体領域44ctを用いてテールフィッティング法により適切な散乱線補正を行う際の手順を示すフローチャートである。
図8において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0069】
まず、ステップS1において、核医学スキャン制御部31は、ユーザから入力部21を介してスキャン計画の実行指示を受けて、スキャン計画にもとづいて核医学スキャナ装置13を制御してスキャンを実行する。
【0070】
次に、ステップS2において、ガンマ線投影データ取得部32は、被検体Pに投与されたRIから放射されたガンマ線にもとづくガンマ線投影データを取得する。
【0071】
次に、ステップS3において、計数分配部33は、ガンマ線の入射位置情報と表示部22の表示画素とを対応させ、ガンマ線投影データにもとづいて表示画素のそれぞれについて入射ガンマ線を光子数として計数した計数値(カウント数)を分配し、この分配情報を記憶部23に記憶させる。
【0072】
次に、ステップS4において、散乱線補正部34は、第2のX線CT画像61から推定された被検体Pの輪郭の情報(非被検体領域44ctの情報)にもとづいて、テールフィッティング法により計数値に対して散乱線補正を行う。
【0073】
次に、ステップS5において、減弱補正部35は、第1のX線CT画像51または第2のX線CT画像61にもとづいて生成された減弱マップにもとづいて、計数値に対して減弱補正を行う。
【0074】
次に、ステップS6において、核医学画像生成部36は、散乱線補正部34および減弱補正部35により散乱線補正および減弱補正を受けた計数値を用いて核医学画像を生成し、表示部22に表示させる。
【0075】
そして、ステップS7において、核医学画像生成部36は、生成した核医学画像を表示部22に表示させる。
【0076】
以上の手順により、第2のX線CT画像61から的確に推定された非被検体領域44ctを用いてテールフィッティング法により適切な散乱線補正を行うことができる。
【0077】
図9は、
図8のステップS4で散乱線補正部34により実行される、第2のX線CT画像61にもとづく散乱線補正処理の手順を示すサブルーチンフローチャートである。
【0078】
この手順は、核医学診断装置10がX線CT装置101から第1のX線CT画像51を取得してスタートとなる。第1のX線CT画像51は、たとえば
図8に示す手順の開始前にあらかじめX線CT装置101から取得されて記憶部23に記憶させておいてもよい。
【0079】
ステップS41において、画素値置換部34aは、第1のX線CT画像51に含まれる所定の非被検体領域(たとえば天板15の領域45)の画素値を、所定の画素値(たとえばエア46のHU値−1000に対応する画素値)に置換することにより、第2のX線CT画像61を生成する画素値置換処理を実行する。
【0080】
次に、ステップS42において、画素値置換部34aは、第2のX線CT画像61の断面ごとに被検体Pの輪郭を抽出する。
【0081】
次に、ステップS43において、画素値置換部34aは、抽出された輪郭の情報にもとづいてフォワードプロジェクションしてサイノグラム62(順投影データ(1次元データ))を生成する。
【0082】
次に、ステップS44において、散乱線補正実行部34bは、順投影データにもとづいてテールフィッティングにより計数値を散乱線補正し、
図8のステップS5に進む。
【0083】
以上の手順により、第2のX線CT画像61から推定された被検体Pの輪郭の情報(非被検体領域44ctの情報)にもとづいて、テールフィッティング法により計数値に対して散乱線補正を行うことができる。
【0084】
なお、X線CT装置101が画素値置換部34aと同等の機能を有する場合は、核医学診断装置10は画素値置換部34aを備えずともよい。この場合、
図9のステップS41−43はあらかじめX線CT装置101により実行され、被検体Pの的確な輪郭の情報を有する順投影データはX線CT装置101から散乱線補正実行部34bに与えられる。
【0085】
図10は、
図8のステップS5で減弱補正部35により実行される、第1のX線CT画像51または第2のX線CT画像61にもとづく減弱補正処理の手順を示すサブルーチンフローチャートである。
【0086】
この手順は、核医学診断装置10がX線CT装置101から第1のX線CT画像51を取得してスタートとなる。第1のX線CT画像51は、たとえば
図8に示す手順の開始前にあらかじめX線CT装置101から取得されて記憶部23に記憶させておいてもよい。以下の説明では、減弱補正部35が第1のX線CT画像51にもとづいて減弱補正処理を実行する場合の例について示す。
【0087】
ステップS51において、減弱マップ生成部35aは、第1のX線CT画像51に含まれる被検体Pの画像の画素値を用いて、Hu−Mu変換を行うことにより被検体Pのガンマ線減弱係数マップ(減弱マップ)を生成する。
【0088】
次に、ステップS52において、減弱補正実行部35bは、減弱マップにもとづいてガンマ線投影データに対して減弱補正を行い、
図8のステップS6に進む。
【0089】
以上の手順により、第1のX線CT画像51または第2のX線CT画像61にもとづいて減弱マップを生成し減弱補正を行うことができる。
【0090】
なお、X線CT装置101が減弱マップ生成部35aと同等の機能を有する場合や、減弱マップがネットワーク100を介して取得可能である場合や減弱マップがあらかじめ記憶部23に記憶されている場合など、減弱マップを生成せずとも取得可能である場合は、核医学診断装置10は画素値置換部34aを備えずともよい。この場合、
図10のステップS51は実行されず、減弱マップはX線CT装置101からまたはネットワーク100を介して他の機器から減弱補正実行部35bに与えられてもよいし、あらかじめ記憶部23に記憶されて減弱補正実行部35bにより読み出されて利用されてもよい。
【0091】
続いて、
図9のステップS41で実行される画素値置換処理について説明する。以下の説明では、所定の非被検体領域が天板15の領域45であり、所定の画素値がエア46のHU値−1000に対応する画素値である場合の例について示す。
【0092】
図11は、
図9のステップS41で実行される画素値置換処理の第1の手順を示すサブルーチンフローチャートである。また、
図12(a)は画素値置換処理の第1の手順を説明するための第1のX線CT画像51の一例を示す説明図であり、(b)は第1の手順におけるガイドラインの設定例を示す説明図であり、(c)は第1の手順におけるガイドライン以下の画像領域75の一例を示す説明図であり、(d)は第1の手順において抽出される天板15の領域45の一例を示す説明図であり、(e)は第1の手順により生成される第2のX線CT画像61の一例を示す説明図である。
【0093】
画素値置換処理の第1の手順は、天板15の位置の情報をX線CT装置101から取得する場合の手順である。
【0094】
ステップS411において、画素値置換部34aは、X線CT装置101から天板15の位置情報を取得し、第1のX線CT画像51における天板15の高さH(z)を求める。X線CT装置101は、たとえば天板15を駆動するモータに取付けられたエンコーダの出力やX線スキャン計画に含まれる天板15の高さの情報等にもとづいて天板15の位置情報を生成して核医学診断装置10に与えることができる。
【0095】
なお、X線CT装置101から取得される天板15の位置情報は、z軸方向(被検体Pの体軸方向)に一定の値の情報であってもよいし、z軸方向の位置に応じた値の情報であってもよい。また、X線CT装置101から取得される天板15の位置情報がz軸方向に一定の値であっても、被検体Pの重さの情報や天板15の支持台からの伸張位置の情報などにもとづいて、画素値置換部34aがz軸方向の位置に応じた天板15の高さH(z)を算出してもよい。
【0096】
次に、ステップS412において、画素値置換部34aは、天板15の高さH(z)に対してオフセットαを加えたガイドラインH(z)+αを生成する(
図12(b)参照)。
【0097】
次に、ステップS413において、画素値置換部34aは、第1のX線CT画像51においてガイドラインH(z)+αよりy軸方向下側に位置する画素を抽出する(
図12(c)参照)。
【0098】
次に、ステップS414において、画素値置換部34aは、抽出された画素から天板15の画素を抽出する(
図12(d)参照)。
【0099】
次に、ステップS415において、画素値置換部34aは、天板15の画素値をエア46の画素値に置換することにより、第2のX線CT画像61を生成する(
図12(e)参照)。
【0100】
次に、ステップS416において、画素値置換部34aは、ユーザの入力部21を介した指示があると、この指示に応じて、第2のX線CT画像61においてなお残存する天板15の画素の画素値をエア46の画素値に置換し、
図9のステップS42に進む。
【0101】
以上の画素値置換処理の第1の手順により、X線CT装置101から取得した天板15の位置の情報にもとづいて天板15の画素の画素値をエア46の画素値に置換して第2のX線CT画像61を生成することができる。
【0102】
図13は、
図9のステップS41で実行される画素値置換処理の第2の手順を示すサブルーチンフローチャートである。
【0103】
画素値置換処理の第2の手順は、第1のX線CT画像51を画像処理することにより天板15の位置の情報を求める場合の手順である。
図11と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0104】
ステップS421において、画素値置換部34aは、第1のX線CT画像51の3次元データにもとづいて、パターンマッチングなどの画像処理により天板15を抽出し、各断面における天板15の高さH(z)を算出する。
【0105】
図13に示す画素値置換処理の第2の手順により、第1のX線CT画像51を画像処理することにより取得した天板15の位置の情報にもとづいて天板15の画素の画素値をエア46の画素値に置換し、第2のX線CT画像61を生成することができる。第2の手順によれば、X線CT装置101から天板15の位置情報を受けることなく第1のX線CT画像51から直接天板15の高さH(z)を求めることができる。
【0106】
図14は、
図9のステップS41で実行される画素値置換処理の第3の手順を示すサブルーチンフローチャートである。また、
図15(a)は第1の手順におけるガイドラインの設定例を示す説明図であり、(b)は第3の手順におけるガイドラインの設定例を示す説明図であり、(c)は第3の手順におけるガイドライン以下の画像領域75の一例を示す説明図であり、(d)は第3の手順において抽出される天板15の領域45の一例を示す説明図であり、(e)は第3の手順により生成される第2のX線CT画像61の一例を示す説明図である。
【0107】
画素値置換処理の第3の手順は、第1のX線CT画像51を画像処理することにより天板15の位置の情報を求めるとともに、ガイドラインを天板15のテンプレート形状に沿った曲線とする場合の手順である。
【0108】
ステップS412でガイドラインH(z)+αが生成されると、ステップS431において、画素値置換部34aはガイドラインの直線を天板15のテンプレート形状に沿った曲線Hc(z)に変更する(
図15(b)参照)。天板15のテンプレート形状は、あらかじめ記憶部23に記憶させておいてもよいし、ネットワーク100を介して取得してもよい。
【0109】
次に、ステップS432において、画素値置換部34aは、第1のX線CT画像51においてガイドラインHc(z)よりy軸方向下側に位置する画素を抽出する(
図15(c)参照)。
【0110】
そして、画素値置換部34aは、抽出された画素から天板15の画素を抽出し(ステップS414、
図15(d)参照)、天板15の画素値をエア46の画素値に置換することにより、第2のX線CT画像61を生成する(ステップS415、
図15(e)参照)。また、ユーザの入力部21を介した指示があると、画素値置換部34aは、ステップS416においてこの指示に応じて第2のX線CT画像61においてなお残存する天板15の画素の画素値をエア46の画素値に置換し、
図9のステップS42に進む。
【0111】
図14に示す画素値置換処理の第3の手順により、第1のX線CT画像51を画像処理することにより取得した天板15の位置の情報にもとづいて天板15のテンプレート形状に沿ってガイドラインを設定し、天板15の画素の画素値をエア46の画素値に置換して第2のX線CT画像61を生成することができる。
【0112】
第3の手順によれば、X線CT装置101から天板15の位置情報を受けることなく第1のX線CT画像51から直接天板15の高さH(z)を求めることができる。また、ガイドラインを天板15のテンプレート形状に沿った曲線とすることができるため、天板15の領域45を抽出領域75に確実に含めることができ、天板15の画素を抽出する際の漏れを確実に減らすことができる。
【0113】
これらの画素値置換処理の第1−第3の手順のいずれによっても、天板15の画素の画素値をエア46の画素値に置換して第2のX線CT画像61を生成することができる。また、天板15のz位置に応じた高さH(z)を用いることにより、被検体Pの重さによる天板15の変形を容易に反映することができる。
【0114】
また、画素値置換処理の第1−第3の手順の他にも、たとえば被検体Pのスキャノ画像を取得可能な場合は、画素値置換部34aはこのスキャノ像を画像処理することにより天板15の高さH(z)を求めてもよい。特に、スキャノ像がyz平面の透視撮影により得られた画像であってスキャノ像に天板15のz軸方向に沿った全体像が含まれている場合は、画素値置換部34aは容易かつ正確に天板15のz位置に応じた高さH(z)を求めることができる。
【0115】
本実施形態に係る核医学診断装置10は、第1のX線CT画像51の所定の非被検体領域(たとえば天板15の領域45)の画素値を、所定の画素値(たとえばエア46のHU値−1000に対応する画素値)に置換することにより、画素値置換後のX線CT画像(第2のX線CT画像)61を生成する。そして、この第2のX線CT画像61をフォワードプロジェクションすることにより得られる順投影データにもとづいて、テールフィッティング法により計数値に対して散乱線補正を行うことができる。
【0116】
この第2のX線CT画像61を用いて被検体Pの輪郭を抽出することにより、第1のX線CT画像51を用いる場合に比べ、RIが存在しないはずの領域でありながらエア46の領域47とはCT値が異なる領域(たとえば天板15の領域45)を確実に非被検体領域44ctに含めることができる。すなわち、第2のX線CT画像61を用いることにより、第1のX線CT画像51を用いる場合に比べてより的確に非被検体領域44を推定することができる。
【0117】
このため、核医学診断装置10は、第2のX線CT画像61にもとづいて散乱線補正を行うことにより、非被検体領域44をより広く確保することができる。したがって、テール部分(散乱領域)に十分な画素数を確保することができる。よって、核医学診断装置10によれば、散乱線の推定精度を向上させることができるため、核医学画像のコントラストを向上させることができ、核医学画像の定量性を向上させることができるとともに核医学画像にもとづく診断の効率を向上させることができる。
【0118】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る核医学診断装置および画像処理プログラムの第2実施形態について説明する。
【0119】
図16は、本発明の第2実施形態に係る核医学診断装置10Aを含む複合装置80の一例を示す外観図である。また、
図17は、第2実施形態に係る核医学診断装置10Aを含む複合装置80の一構成例を示す概略的なブロック図である。
【0120】
この第2実施形態に示す核医学診断装置10Aは、PET−CT装置やSPECT−CT装置などの、X線CT装置との複合装置80を構成する点で第1実施形態に示す核医学診断装置10と異なる。他の構成および作用については
図1に示す核医学診断装置10と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0121】
図16に示すように、複合装置80は、核医学診断装置10Aの核医学スキャナ装置13および画像処理装置14Aのほか、X線スキャナ装置81と、天板15を備える寝台82と、天板駆動装置83とを有する。
【0122】
核医学スキャナ装置13およびX線スキャナ装置81は、天板15が移送される円筒形状の中空部84、85をそれぞれ有する。
【0123】
天板駆動装置83は、画像処理装置14Aにより制御されて、天板15をy軸にそって昇降動させるとともに、中空部85のX線照射場や中空部84のガンマ線検出場へz軸に沿って天板15を移送する。
【0124】
図17に示すように、画像処理装置14Aは、入力部21、表示部22、記憶部23、ネットワーク接続部24および主制御部25Aを有する。
【0125】
また、
図17に示すように、X線スキャナ装置81は、X線照射部91、X線検出部92およびX線データ収集部93を有する。
【0126】
X線照射部91は、X線管および絞りを有する。X線管は、高圧電源により電圧を印加されてX線を発生する。X線管が発生するX線は、ファンビームX線やコーンビームX線として被検体Pに向かって照射される。絞りは、画像処理装置14Aにより制御されて、X線管から照射されるX線のスライス方向の照射範囲を調整する。
【0127】
X線検出部92は、1または複数のX線検出素子(電荷蓄積素子)により構成される。このX線検出素子は、X線管から照射されたX線を検知する。X線照射部91およびX線検出部92は、天板15に載置された被検体Pを挟んで対向する位置となるよう回転体に支持される。
【0128】
このX線検出部92としては、たとえばチャンネル(CH)方向に複数チャンネル、スライス方向に1列のX線検出素子を有するいわゆる1次元アレイ型(シングルスライス型)のものを用いることができる。また、チャンネル(CH)方向に複数チャンネル、スライス方向に複数列のX線検出素子を有するいわゆる2次元アレイ型(マルチスライス型)のものを用いてもよい。
【0129】
X線データ収集部93は、X線検出部92を構成するX線検出素子が検知した透過データの信号を増幅してデジタル信号に変換して、X線投影データとして画像処理装置14Aに与える。
【0130】
回転体は、X線照射部91、X線検出部92およびX線データ収集部93を一体として保持する。回転体が画像処理装置14Aに制御されて回転することにより、X線照射部91、X線検出部92およびX線データ収集部93は一体として被検体Pの周りを回転する。
【0131】
図18は、第2実施形態に係る主制御部25AのCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、この機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0132】
図18に示すように、主制御部25AのCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶された画像処理プログラムによって、少なくとも核医学スキャン制御部31、ガンマ線投影データ取得部32、計数分配部33、散乱線補正部34A、減弱補正部35A、核医学画像生成部36、X線スキャン制御部96およびX線CT画像生成部97として機能する。この各部は、RAMの所要のワークエリアをデータの一時的な格納場所として利用する。
【0133】
X線スキャン制御部96は、ユーザから入力部21を介してスキャン計画の実行指示を受けて、スキャン計画にもとづいてX線スキャナ装置81を制御してスキャンを実行する。スキャンにより収集されたX線投影データは、X線データ収集部93からX線CT画像生成部97に与えられる。
【0134】
また、天板駆動装置83のモータに取付けられたエンコーダの出力は、X線データ収集部93によりX線投影データと関連付けられて収集されて主制御部25Aに与えられてもよいし、X線データ収集部93を介すことなく直接主制御部25Aに与えられてもよい。また、散乱線補正部34Aの画素値置換部34aAが画素値置換処理の第1の手順(
図11参照)を用いない場合は、天板駆動装置83のエンコーダ出力は主制御部25Aに与えられずともよい。
【0135】
X線CT画像生成部97は、X線投影データにもとづいて第1のX線CT画像51を生成し、散乱線補正部34Aおよび減弱補正部35Aに与える。
【0136】
散乱線補正部34Aの画素値置換部34aAは、
図9のステップS41において、X線CT画像生成部97により生成された第1のX線CT画像51に対して画素値置換処理を行い第2のX線CT画像61を生成する。
【0137】
減弱補正部35Aの減弱マップ生成部35aAは、
図10のステップS51において、X線CT画像生成部97により生成された第1のX線CT画像51に含まれる被検体Pの画像の画素値を用いて、Hu−Mu変換を行うことにより被検体Pのガンマ線減弱係数マップ(減弱マップ)を生成する。
【0138】
本実施形態に係る核医学診断装置10Aによっても、第1実施形態に係る核医学診断装置10と同様の効果を奏する。また、本実施形態に係る核医学診断装置10Aを含む複合装置80は、X線スキャナ装置81を備える。このため、容易に同一被検体Pの同一部位に関するX線投影データおよびガンマ線投影データを得ることができる。
【0139】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0140】
たとえば、第1実施形態に係る核医学診断装置10の主制御部25は、第2実施形態に係る主制御部25AのX線CT画像生成部97の機能を有してもよく、この場合、主制御部25は、X線CT装置101からX線投影データを受けて、このX線投影データにもとづいて第1のX線CT画像51を生成してもよい
【0141】
また、散乱線補正部34および34Aは、上述したテールフィッティング法と、DEW、TEWなどの2つ以上のエネルギーウインドウを用いた散乱線補正方法とを組み合わせて散乱線補正を行なってもよい
【0142】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。