(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図11は、本実施の形態による紙幣処理機を示す図である。このうち、
図1は、本実施の形態による紙幣処理機の構成の概略を示す概略構成図であり、
図2は、
図1に示す紙幣処理機における出金搬送部の構成の詳細を示す構成図である。また、
図3は、
図1に示す紙幣処理機におけるバラ紙幣投出部の上面図であり、
図4および
図5は、
図3に示すバラ紙幣投出部のA−A矢視による縦断面図であり、
図6は、
図3乃至
図5に示す札当て部材およびリフトアップレバーの駆動系を示す構成図である。また、
図7は、
図3に示すバラ紙幣投出部のB−B矢視による縦断面図であり、
図8は、比較例における、バラ紙幣投出部に紙幣移動手段としてのローラが設けられていないときの当該バラ紙幣投出部の上部およびシャッタの構成を示す縦断面図である。また、
図9Aおよび
図9Bは、
図3乃至
図5に示すローラの支持機構の様々な構成を示す構成図である。また、
図10は、
図1に示す紙幣処理機における出金リジェクト部の構成を示す側面図であり、
図11は、
図10に示す出金リジェクト部に設けられたスライド部や札受け部の構成を示す斜視図である。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態による紙幣処理機100は略直方体形状の筐体102を有しており、この紙幣処理機100には、外部から筐体102内に紙幣を投入するための紙幣投入部110および筐体102内から外部にバラ紙幣を投出するためのバラ紙幣投出部152がそれぞれ設けられている。紙幣投入部110には紙幣繰出部112が設けられており、外部から紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出されるようになっている。また、紙幣繰出部112には入金搬送部114が接続されており、紙幣繰出部112により筐体102内に繰り出された紙幣は入金搬送部114により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、入金搬送部114には入金識別部116が設けられており、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、入金搬送部114による紙幣の搬送方向における入金識別部116の下流側には表裏反転部118が設けられており、入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられるようになっている。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金搬送部114には入金リジェクト部120が接続されており、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣が入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られるようになっている。入金リジェクト部120は紙幣処理機100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
【0019】
また、
図1に示すように、入金搬送部114には1つの一括一時保留部130と、複数(例えば4つ)の金種別一時保留部132とがそれぞれ接続されている。ここで、1つの一括一時保留部130および複数の金種別一時保留部132は並列に並ぶよう配設されている。入金搬送部114から一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送された紙幣は、これらの一括一時保留部130や各金種別一時保留部132において積層状態で集積されることにより一時的に保留されるようになっている。なお、一括一時保留部130には複数の金種の紙幣が混合状態で一時的に保留されるようになっており、また、各金種別一時保留部132にはそれぞれ特定の金種の紙幣が一時的に保留されるようになっている。また、一括一時保留部130に対応して1つの一括紙幣収納庫140が設けられているとともに、各金種別一時保留部132に対応して複数の金種別紙幣収納庫142が設けられている。一括紙幣収納庫140には、一括一時保留部130から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。また、各金種別紙幣収納庫142には、対応する金種別一時保留部132から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。なお、一括紙幣収納庫140には複数の金種の紙幣が混合状態で収納されるようになっており、また、各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ特定の金種の紙幣が収納されるようになっている。また、一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられており、これらの一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出部144により繰り出されるようになっている。
【0020】
また、
図1に示すように、各紙幣繰出部144には下部搬送部146が接続されており、各紙幣繰出部144により一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣は下部搬送部146により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、下部搬送部146には出金識別部148が接続されており、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、出金識別部148には出金搬送部150が接続されており、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送されるようになっている。
【0021】
図1および
図2に示すように、出金搬送部150にはバラ紙幣投出部152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部160がそれぞれ接続されており、出金識別部148により識別された紙幣のうち、筐体102の外部に投出されるべき紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られてこのバラ紙幣投出部152に集積されるようになっている。バラ紙幣投出部152は紙幣処理機100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこのバラ紙幣投出部152に集積されたバラ紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。また、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150により出金リジェクト部154に送られるようになっている。また、出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出すにあたり、操作者は紙幣処理機100の筐体102に設けられた扉(図示せず)を開いて出金リジェクト部154内のリジェクト紙幣を取り出すようになっている。また、出金識別部148により識別された紙幣のうち、紙幣処理機100に併設された紙幣帯封機(図示せず)により帯封されるべき紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られるようになっている。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積されるようになっている。そして、各整理一時保留部160に集積された紙幣の束は、紙幣帯封機のアーム部190によってこれらの整理一時保留部160から取り出され、紙幣帯封機の帯封部(図示せず)に搬送されるようになる。
【0022】
また、
図1に示すように、入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所には分岐部材170がそれぞれ設けられており、これらの分岐部材170により分岐箇所における紙幣の搬送先が決められるようになっている。また、入金搬送部114、下部搬送部146、出金搬送部150には紙幣の検出を行う紙幣検出センサ180が複数設けられている。また、本実施の形態では、出金搬送部150における、出金識別部148と各整理一時保留部160との間には、紙幣厚さ検知センサ182および半券検知センサ184がそれぞれ設けられている。また、半券検知センサ184は、バラ紙幣投出部152への入口部分である出金搬送部150にも設けられている。
【0023】
次に、バラ紙幣投出部152の構成の詳細について
図3乃至
図9を用いて説明する。前述したように、
図3は、
図1に示すバラ紙幣投出部152の上面図であり、
図4および
図5は、
図3に示すバラ紙幣投出部152のA−A矢視による縦断面図であり、
図6は、
図3乃至
図5に示す札当て部材20およびリフトアップレバー24の駆動系を示す構成図である。また、
図7は、
図3に示すバラ紙幣投出部152のB−B矢視による縦断面図であり、
図8は、比較例における、バラ紙幣投出部152に紙幣移動手段としてのローラ50が設けられていないときの当該バラ紙幣投出部152の上部およびシャッタ12の構成を示す縦断面図である。また、
図9Aおよび
図9Bは、
図3乃至
図5に示すローラ50の支持機構の様々な構成を示す構成図である。
【0024】
図3乃至
図5に示すように、バラ紙幣投出部152には、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積される集積部10が設けられている。具体的には、
図4および
図5に示すように、出金搬送部150におけるバラ紙幣投出部152側の端部には一対の搬送ローラ151が設けられている。また、集積部10の底部には、その上面が水平面に対してやや傾斜しているベース部分11が形成されており、一対の搬送ローラ151の間から
図4における左方向に繰り出された紙幣がベース部分11上に1枚ずつ集積されるようになっている。
【0025】
また、バラ紙幣投出部152の上部には、操作者が上方から手を下向きに差し込んで集積部10にアクセスすることができるような上部開口が形成されているとともに、この上部開口を開閉するためのシャッタ12がバラ紙幣投出部152の上方に設置されている。シャッタ12は電気的駆動力(例えば、モータ)によって水平面に沿って
図4や
図5における左右方向に移動可能となっている。このシャッタ12がバラ紙幣投出部152の上部開口を開くことにより操作者が集積部10にアクセスして当該集積部10に積層状態で集積された紙幣を取り出すことができるようになる。
【0026】
また、
図3乃至
図5に示すように、ベース部分11において、集積部10に集積された紙幣を操作者が取り出すための指抜き領域60が形成されており、操作者はバラ紙幣投出部152の上部開口から手を下向きに差し込んで指抜き領域60に指を入れることによって、集積部10のベース部分11上に積層状態で集積された紙幣を指で掴んで取り出すことができるようになっている。
【0027】
また、集積部10には、一対の搬送ローラ151の間から
図4における左方向に繰り出された紙幣を受け止めてベース部分11上に整列状態で集積させるための一対の札当て部材20が設けられている。この札当て部材20は、当該札当て部材20の基端部分(根元部分)に設けられた軸22を中心として揺動自在となっており、
図4に示すような、軸22からほぼ真上の方向に伸びた状態となり、一対の搬送ローラ151の間から集積部10に繰り出された紙幣を停止させる停止位置と、
図5に示すような、停止位置から倒れてベース部分11上に寄りかかるような退避位置との間で移動するようになっている。バラ紙幣投出部152において、集積部10に紙幣が集積される間は札当て部材20は
図4に示すような停止位置に位置し、集積部10への紙幣の集積が終了した後にシャッタ12がバラ紙幣投出部152の上部開口を開くときに札当て部材20は
図4に示す停止位置から倒れて
図5に示すような退避位置に移動するようになる。
【0028】
また、集積部10における各札当て部材20よりも搬送ローラ151側(
図3および
図4における右側)には、軸26を中心として揺動自在となっているリフトアップレバー24が設けられている。このリフトアップレバー24は、
図4に示すような、ベース部分11の下方に退避した退避位置と、
図5に示すような、ベース部分11の上方に突出して集積部10における紙幣の集積領域に進出した進出位置との間で移動するようになっている。バラ紙幣投出部152において、集積部10に紙幣が集積される間はリフトアップレバー24は
図4に示すような退避位置に位置してベース部分11上に紙幣が集積されるようにし、集積部10への紙幣の集積が終了した後にシャッタ12がバラ紙幣投出部152の上部開口を開くときにリフトアップレバー24は
図5に示すような進出位置に移動し、集積部10に集積された紙幣を下方から押し上げることにより当該集積部10に集積された紙幣を操作者が取りやすいようにする。
【0029】
上述した札当て部材20およびリフトアップレバー24は一つの駆動系により連動して移動するようになっている。札当て部材20およびリフトアップレバー24の駆動系について
図6を用いて説明する。
図6は、札当て部材20が
図4に示すような停止位置にあるとともに、リフトアップレバー24が
図4に示すような退避位置にあるときの状態を示す図である。
図6に示すように、バラ紙幣投出部152には、札当て部材20およびリフトアップレバー24を一体的に移動させるためのピストン式駆動部28が設置されており、このピストン式駆動部28のピストン部分28aが当該ピストン式駆動部28内に設けられたソレノイド(図示せず)によって
図6における左右方向に往復移動を行うようになっている。また、ピストン部分28aの先端には棒状部材29の一端が回転自在に取り付けられており、この棒状部材29の他端はリフトアップレバー24の端部に回転自在に取り付けられている。また、棒状部材29は支軸29aを中心として回転するようになっている。ここで、
図6の矢印に示すように、ピストン部分28aが
図6の左方向に伸びると、棒状部材29がこのピストン部分28aの先端に押されることにより支軸29aを中心として
図6における時計回りの方向に回転し、リフトアップレバー24は軸26を中心として時計回りの方向(
図6の矢印に示す方向)に回転するようになる。
【0030】
また、
図6に示すように、札当て部材20およびリフトアップレバー24はリンク機構27により連結されている。具体的には、リンク機構27は、その一端が札当て部材20の基端部分(根元部分)に取り付けられ、軸22を中心として札当て部材20と一体となって回転する第1の棒状部材27aと、その一端がリフトアップレバー24に回転自在に取り付けられた第2の棒状部材27bと、第1の棒状部材27aおよび第2の棒状部材27bを互いに回転自在となるよう連結する軸27cとを有している。そして、
図6の矢印に示すように、リフトアップレバー24が軸26を中心として時計回りの方向に回転すると、このリフトアップレバー24に回転自在に取り付けられた第2の棒状部材27bが
図6における右上方向に引っ張られ、軸27cが矢印の方向に移動することにより第1の棒状部材27aが軸22を中心として反時計回りの方向に回転し、札当て部材20も軸22を中心として反時計回りの方向(
図6の矢印に示す方向)に回転するようになる。
【0031】
バラ紙幣投出部152において集積部10に紙幣が集積される間は、当該バラ紙幣投出部152の上部開口がシャッタ12により閉じられており、このときにはピストン式駆動部28のピストン部分28aは
図6に示すような位置にあることによって、
図4に示すように札当て部材20が停止位置に位置するとともにリフトアップレバー24が退避位置に位置するようになる。一方、バラ紙幣投出部152において集積部10に紙幣が集積された後、シャッタ12を開く信号がバラ紙幣投出部152に与えられると、このシャッタ12を開く信号に基づいてピストン式駆動部28のソレノイドが励磁されることによりピストン部分28aが
図6の左方向に伸び、リフトアップレバー24は軸26を中心として
図6における時計回りの方向に回転することによって
図5に示すような進出位置に移動し、また、札当て部材20は軸22を中心として
図6における反時計回りの方向に回転することによって
図5に示すような退避位置に移動する。このことによって、札当て部材20が倒れるとともに集積部10に集積された紙幣をリフトアップレバー24が上方に持ち上げるため、操作者はこの集積部10から紙幣を取り出しやすくなる。
【0032】
また、
図3および
図4等に示すように、集積部10においてリフトアップレバー24の上方には札押さえ部材30が設けられており、この札押さえ部材30は軸32を中心として揺動自在となっている。札押さえ部材30は、自重により
図4および
図5に示すような札押さえ位置に位置するようになっており、集積部10のベース部分11上に集積された紙幣を上方から自重で押さえることにより、このベース部分11上に集積された紙幣を飛散させないようになっている。
【0033】
また、
図3乃至
図5等に示すように、バラ紙幣投出部152の上部開口の近傍には、集積部10から紙幣を取り出す操作者の手を検知するための複数(
図3乃至
図5に示す例では3つ)のハンド検知センサ14、16、18が水平面に沿って設置されている。これらのハンド検知センサ14、16、18によって操作者の手が検知されている間は、バラ紙幣投出部152の上部開口を開いた状態にあるシャッタ12が閉じないようになっており、このことにより集積部10から紙幣を取り出す操作者の手がシャッタ12により挟まれることを防止するようになっている。各ハンド検知センサ14、16、18はそれぞれ発光素子および受光素子を有しており、発光素子から発せられた光が光軸(
図3乃至
図5等において二点鎖線で表示)を通って受光素子により受けられるようになっている。ここで、集積部10から紙幣を取り出す操作者の手が各ハンド検知センサ14、16、18の光軸上に位置することにより発光素子から発せられた光が遮光されて受光素子に到達しないようになると、各ハンド検知センサ14、16、18により操作者の手が検知されるようになる。なお、
図4および
図5に示すように、各ハンド検知センサ14、16、18の光軸は、バラ紙幣投出部152の上部開口を閉じているときのシャッタ12を通るような位置となっている。
【0034】
また、
図3乃至
図5等に示すように、バラ紙幣投出部152の集積部10には、当該集積部10に残留する紙幣を検知するための複数(
図3乃至
図5に示す例では6つ)の残留紙幣検知センサ40、42、44、46、48、49が設置されている。各残留紙幣検知センサ40、42、44、46、48、49はそれぞれ発光素子および受光素子を有しており、発光素子から発せられた光が光軸(
図3乃至
図5において二点鎖線で表示)を通って受光素子により受けられるようになっている。ここで、集積部10に残留している紙幣が各残留紙幣検知センサ40、42、44、46、48、49の光軸上に位置することにより発光素子から発せられた光が遮光されて受光素子に到達しないようになると、各残留紙幣検知センサ40、42、44、46、48、49により残留紙幣が検知されるようになる。ここで、2つの残留紙幣検知センサ40、42は水平面に沿って交差するよう設置されており、これらの残留紙幣検知センサ40、42の光軸は各ハンド検知センサ14、16、18の光軸よりも下方に位置するようになっている。また、2つの残留紙幣検知センサ44、46は、
図4や
図5に示すようにこれらの光軸が集積部20内で斜め下方に延びるよう設けられている。また、2つの残留紙幣検知センサ48、49は、
図4や
図5に示すようにこれらの光軸が集積部20内で鉛直方向に延びるよう設けられている。このように、複数の残留紙幣検知センサ40、42、44、46、48、49の光軸が集積部10の集積領域をまんべんなく通過するようになっているため、集積部10に残留している紙幣は、ほぼ各残留紙幣検知センサ40、42、44、46、48、49により検知されるようになる。
【0035】
なお、集積部10に残留する紙幣を検知するための残留紙幣検知センサの他の態様として、
図3乃至
図5において残留紙幣検知センサ40の光軸および残留紙幣検知センサ48の光軸をプリズムで接続し、一組の発光素子および受光素子で残留紙幣検知センサ40、48の両方の光軸における遮光を検知するようにしてもよい。すなわち、この場合には、発光素子から発せられた光が残留紙幣検知センサ40の光軸を通ってプリズムで反射させられた後、残留紙幣検知センサ48の光軸を通って受光素子により受けられるようになる。同様に、
図3乃至
図5において残留紙幣検知センサ42の光軸および残留紙幣検知センサ49の光軸をプリズムで接続し、一組の発光素子および受光素子で残留紙幣検知センサ42、49の両方の光軸における遮光を検知するようにしてもよい。さらに、残留紙幣検知センサ44の光軸の上端と残留紙幣検知センサ46の光軸の上端とをプリズムで接続し、一組の発光素子および受光素子で残留紙幣検知センサ44、46の両方の光軸における遮光を検知するようにしてもよい。
【0036】
また、本実施の形態では、ベース部分11に形成された指抜き領域60内において、札当て部材20よりも各搬送ローラ151から遠い側(
図3乃至
図5における左側)には一対のローラ50が移動自在に設置されている。
図4に示すように、各ローラ50はバラ紙幣投出部152の上部開口から上方に突出するよう設けられている。また、
図7に示すように、このバラ紙幣投出部152の上部開口を塞ぐシャッタ12の下面には、各ローラ50が通るための凹部12aが形成されている。このことにより、シャッタ12がバラ紙幣投出部152の上方で水平面に沿って移動しても、各ローラ50が当該シャッタ12の凹部12a内に位置することにより、シャッタ12が各ローラ50に衝突することはない。
【0037】
図9Aに示すように、ローラ50はローラ支持アーム52により回転自在に支持されており、このローラ支持アーム52は軸54を中心として揺動自在となっている。ここで、ローラ50は、
図4および
図5の実線に示すような、バラ紙幣投出部152の上部開口から上方に突出する進出位置と、
図4および
図5の二点鎖線に示すような、バラ紙幣投出部152の上部開口から下方に退避する退避位置との間で移動自在となっている。また、軸54にはねじりバネ55が設けられており、このねじりバネ55によりローラ支持アーム52には軸54を中心として時計回りの方向に力が付勢されている。このことにより、ローラ50に何ら力が加えられていないときには、このローラ50は
図4および
図5の実線に示すような進出位置に位置し、一方、当該ローラ50が上方から下向きに押圧されると、このローラ50は
図4および
図5の二点鎖線に示すような退避位置に移動するようになっている。
【0038】
なお、ローラ50の支持機構は
図9Aに示すような構成のものに限定されることはない。ローラ50の支持機構の他の構成について
図9Bを用いて説明する。
図9Bに示すように、ローラ50の支持機構において、軸54にねじりバネ55を設ける代わりに、軸54を中心としてローラ支持アーム52を回転させるローラ支持アーム駆動部56が設けられていてもよい。
図9Bに示すようなローラ50の支持機構では、バラ紙幣投出部152において集積部10に紙幣が集積される間は、ローラ50は
図4および
図5の二点鎖線に示すような退避位置に位置するようになっている。また、バラ紙幣投出部152において集積部10に紙幣が集積された後、シャッタ12を開く信号がバラ紙幣投出部152に与えられると、このシャッタ12を開く信号に基づいてローラ支持アーム駆動部56のソレノイドが励磁されることによりローラ支持アーム駆動部56は軸54を中心としてローラ支持アーム52を
図9Bにおける時計回りの方向に回転させ、ローラ50は
図4および
図5の実線に示すような進出位置に移動するようになる。
【0039】
本実施の形態では、ローラ50、札当て部材20およびリフトアップレバー24は、各ハンド検知センサ14、16、18や各紙幣残留検知センサ40、42、44、46、48、49により検知されない位置にある紙幣をこれらの各センサ14、16、18、40、42、44、46、48、49により検知される位置に移動させる紙幣移動手段として機能するようになっている。このことについて以下に詳述する。
【0040】
例えば、バラ紙幣投出部152から操作者が紙幣を取り出すにあたり、集積部10に集積された紙幣を操作者が手で一旦掴んだ後にこの紙幣を落としてしまい、落下した紙幣が指抜き領域60に入ってしまった場合には、この指抜き領域60に入った紙幣が各ハンド検知センサ14、16、18や各紙幣残留検知センサ40、42、44、46、48、49により検知されなくなるおそれがある。これに対し、本実施の形態では、
図3乃至
図5に示すように、指抜き領域60に一対のローラ50を設けることにより、この指抜き領域60の底に紙幣が入ってしまうことを抑制し、操作者が落としてしまった紙幣をローラ50によって各ハンド検知センサ14、16、18により確実に検知させることができるようになっている。
【0041】
また、バラ紙幣投出部152の上部開口から上方に突出するようなローラ50がもし仮に設けられていない場合には、
図8に示すように、バラ紙幣投出部152の上部開口とシャッタ12の下面との間に紙幣(
図8において参照符号Pで表示)が挟まってしまった場合に、この残留紙幣が各ハンド検知センサ14、16、18の光軸と各紙幣残留検知センサ40、42の光軸との間の隙間に位置してしまったときには、この残留紙幣が各ハンド検知センサ14、16、18および各紙幣残留検知センサ40、42の何れにも検知されなくなってしまうという問題がある。これに対し、本実施の形態では、
図7に示すように、バラ紙幣投出部152の上部開口から上方に突出するようローラ50を設置することにより、各ハンド検知センサ14、16、18の光軸と各紙幣残留検知センサ40、42の光軸との間の隙間に残留紙幣が位置することがなくなる。
【0042】
また、札当て部材20が
図4に示すような停止位置で固定されているような場合には、この札当て部材20に落下した紙幣が乗ってしまう場合がある。このときには、札当て部材20に乗った紙幣が各ハンド検知センサ14、16、18の光軸と各紙幣残留検知センサ40、42の光軸との間の隙間に位置してしまうおそれがあり、この場合には残留紙幣が各ハンド検知センサ14、16、18および各紙幣残留検知センサ40、42の何れにも検知されなくなってしまうという問題がある。これに対し、本実施の形態では、札当て部材20は
図4に示す停止位置から
図5に示す退避位置に倒れるようになっており、このことにより、落下した紙幣が札当て部材20に乗ってしまうことはなく、各紙幣残留検知センサ40、42、44、46、48、49により検知される位置に移動するようになるため、これらの紙幣残留検知センサ40、42、44、46、48、49により残留紙幣を検知することができるようになる。
【0043】
また、集積部10に集積された紙幣を取り出す際に、紙幣を集積部10に落としてしまうことがあるが、紙幣の落ち方によっては(例えば、集積部10の底にへばりついたように落下した場合の状態によっては)何れのセンサ40、42、44、46、48、49でも紙幣を検知できない場合がある。しかし、本実施の形態では、紙幣を取り出す際に札当て部材20が倒れるとともにリフトアップレバー24が進出位置に移動するため、落下した紙幣が集積部10の底にへばりつくようなことはなく、何れかのセンサ40、42、44、46、48、49でこの落下した紙幣を検知することができるようになる。
【0044】
次に、このような構成からなる本実施の形態のバラ紙幣投出部152の動作について以下に説明する。
【0045】
紙幣処理機100においてバラ紙幣の出金処理が行われる際に、出金搬送部150からバラ紙幣投出部152に送られた紙幣が集積部10に集積される間は、このバラ紙幣投出部152の上部開口はシャッタ12により閉じられている。また、ピストン式駆動部28のピストン部分28aは
図6に示すような位置にあり、このことによって
図4に示すように札当て部材20が停止位置に位置するとともにリフトアップレバー24が退避位置に位置するようになる。そして、各搬送ローラ151から集積部10に向かって繰り出された紙幣は札当て部材20に衝突することによってベース部分11上に整列された状態で集積され、このベース部分11上に集積された紙幣は札押さえ部材30により上方から押さえられるようになる。
【0046】
また、バラ紙幣投出部152において集積部10に紙幣が集積された後、シャッタ12を開く信号がバラ紙幣投出部152に与えられると、このシャッタ12を開く信号に基づいてピストン式駆動部28のソレノイドが励磁されることによりピストン部分28aが
図6の左方向に伸びる。このことにより、リフトアップレバー24は軸26を中心として
図6における時計回りの方向に回転することによって
図5に示すような進出位置に移動し、また、札当て部材20は軸22を中心として
図6における反時計回りの方向に回転することによって
図5に示すような退避位置に移動する。そして、シャッタ12が完全に開いた後に操作者はバラ紙幣投出部152の上部開口から手を差し込み、指抜き領域60に指を入れることによって集積部10に集積された紙幣を当該バラ紙幣投出部152から外部に取り出す。この際に、
図6に示すように札当て部材20が倒れているとともに集積部10に集積された紙幣がリフトアップレバー24により上方に持ち上げられるため、操作者はこの集積部10から紙幣を取り出しやすくなる。
【0047】
以上のような構成からなる本実施の形態のバラ紙幣投出部152によれば、集積部10から紙幣を取り出す操作者の手または集積部10に残留する紙幣を検知するための検知部として複数のハンド検知センサ14、16、18および複数の残留紙幣検知センサ40、42、44、46、48、49がそれぞれ設置されている。なお、各ハンド検知センサ14、16、18は、シャッタ12の通過領域に位置し、集積部10から紙幣を取り出す操作者の手を検知するものであり、また、各残留紙幣検知センサ40、42、44、46、48、49は、集積部10に設けられ当該集積部10に残留する紙幣を検知するものである。また、本実施の形態のバラ紙幣投出部152には、これらの各センサ14、16、18、40、42、44、46、48、49に検知されない位置にある紙幣を検知される位置に移動させる紙幣移動手段としてローラ50(押動体)、札当て部材20およびリフトアップレバー24が設けられている。このことにより、集積部10に集積された紙幣を操作者が一旦掴んだ後にこの紙幣を落としてしまったり、集積不良により集積部10に紙幣が正常に集積されなかったりした場合において、集積部10近傍において紙幣がどの位置にあっても既存の各センサ14、16、18、40、42、44、46、48、49により当該紙幣を確実に検知させることができるようになり、残留検知ミスの発生を防止することができる。なお、本実施の形態では、紙幣移動手段としてローラ50、札当て部材20およびリフトアップレバー24の全部を設ける必要はなく、本実施の形態における他の態様ではローラ50、札当て部材20およびリフトアップレバー24のうち一部を省略することもできる。
【0048】
本実施の形態のバラ紙幣投出部152においては、前述したように、ローラ50を付勢する付勢部としてねじりバネ55やローラ支持アーム駆動部56が設けられており、これらのねじりバネ55やローラ支持アーム駆動部56によって
図4および
図5に示す実線位置に位置するよう付勢されたローラ50は、紙幣を各センサ14、16、18、40、42、44、46、48、49により検知される位置に移動させるようになっている。また、このようなローラ50は、バラ紙幣投出部152の上部開口(投出口)を介して集積部10から紙幣を取り出す際に操作者の指が通過する領域である指抜き領域60に設けられている。このことにより、紙幣が指抜き領域60内に入ってしまい各センサ14、16、18、40、42、44、46、48、49により検知されなくなってしまうというトラブルを防止することができる。
【0049】
また、本実施の形態のバラ紙幣投出部152においては、前述したように、札当て部材20は、各搬送ローラ151から集積部10に繰り出された紙幣を停止させる停止位置(
図4参照)と、当該停止位置から倒れた退避位置(
図5参照)との間で移動し、また、リフトアップレバー24も退避位置(
図4参照)と進出位置(
図5参照)との間で移動するようになっている。そして、この札当て部材20が停止位置から退避位置に移動するとともに、リフトアップレバー24が退避位置から進出位置に移動することにより、紙幣が各残留紙幣検知センサ40、42、44、46、48、49により検知される位置に移動するようになっている。
【0050】
次に、出金リジェクト部154の構成の詳細について
図10および
図11を用いて以下に説明する。ここで、
図10は、出金リジェクト部154の構成を示す側面図であり、
図11は、
図10に示す出金リジェクト部154に設けられたスライド部74や札受け部76の構成を示す斜視図である。
【0051】
図10に示すように、出金リジェクト部154は、リジェクト紙幣が集積される集積ステージ80と、集積ステージ80に対向するよう配置され、この集積ステージ80との間に紙幣収納空間を形成し、集積ステージ80に向かって押圧されるよう設けられた札受け部76とを有している。また、出金リジェクト部154には、集積ステージ80に向かって札受け部76を押圧するための押圧部として、例えばバネ等からなる弾性部材70が設けられており、この弾性部材70は、圧縮状態からの反発力により集積ステージ80に向かって札受け部76を押圧するようになっている。
【0052】
また、
図10に示すように、出金リジェクト部154において、集積ステージ80には搬送ベルト82が設けられている。なお、図示していないがこの搬送ベルト82は
図10の紙面に直交する方向に沿って並ぶよう左右一対設置されている。各搬送ベルト82は、
図10における時計回りの方向に連続的に移動するような無端状の循環ベルトからなり、これらの搬送ベルト82は、紙幣との間に働く摩擦力により、この紙幣を出金搬送部150から集積ステージ80と札受け部76との間にある紙幣収納空間に送るようになっている。
【0053】
また、
図10に示すように、出金リジェクト部154における紙幣収納空間の入口部分には、
図10において反時計回りの方向に回転する、例えばゴム等の弾性部材を含む羽根が複数設けられた札叩き用羽根車84が設けられている。出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる紙幣の後端部がこの札叩き用羽根車84の羽根によって叩かれることにより、集積ステージ80と札受け部76との間の紙幣収納空間に集積される紙幣が整列されるようになっている。より詳細には、札叩き用羽根車84は、出金搬送部150から出金リジェクト部154に新たに紙幣を送る際に、集積ステージ80と札受け部76との間の紙幣収納空間に既に集積されている紙幣の上端部を集積ステージ80から遠ざかるよう押しのけることにより、この新たな紙幣の通路を確保するようになっている。
【0054】
本実施の形態では、
図11に示すように、札受け部76にはスライド部74が回転自在に取り付けられており、このスライド部74が例えばバネ等からなる弾性部材70により押圧されるようになっている。より詳細には、札受け部76における下部にはスライド部74が通過するための切り欠き部が形成されており、この切り欠き部にスライド部74が入るようになっている。また、スライド部74には鉛直方向に延びる軸74aが設けられているとともに、札受け部76にはスライド部74の軸74aが挿入される凹部76aが鉛直方向に沿って延びるよう形成されている。そして、スライド部74の軸74aが札受け部76の凹部76aに挿入されることにより、札受け部76は鉛直方向に延びる軸を中心としてスライド部74に対して
図11の矢印に示すように揺動自在となる。
【0055】
また、
図10および
図11に示すように、スライド部74の下部には水平方向に延びるスライド軸72が設置されており、このスライド部74はスライド軸72に沿って移動自在となっている。なお、スライド軸72は弾性部材70によるスライド部74に対する押圧方向に沿って延びているため、スライド部74がスライド軸72に沿って移動する際に、このスライド部74が弾性部材70側に移動すると、当該スライド部74に対する弾性部材70による付勢力が大きくなる。
【0056】
ここで、もし仮に札受け部76が鉛直方向に延びる軸を中心としてスライド部74に対して揺動自在となっておらず、代わりに札受け部76がスライド部74に固定されている場合には、左右一対の搬送ベルト82によって出金搬送部150から集積ステージ80と札受け部76との間にある紙幣収納空間に紙幣が引き込まれる際に、集積ステージ80の組み立て時におけるばらつきや紙幣収納空間に既に収納されている紙幣の位置のばらつきにより、紙幣収納空間に引き込まれる紙幣は左右一対の搬送ベルト82のうち一方の搬送ベルト82でしかグリップされないことがあり、このときには集積異常となってしまうという問題がある。これに対し、本実施の形態では、札受け部76が鉛直方向に延びる軸を中心としてスライド部74に対して揺動自在となっているため、集積ステージ80の組み立て時におけるばらつきや紙幣収納空間に既に収納されている紙幣の位置のばらつきがある場合でも、札受け部76を
図11の矢印に示すようにスライド部74に対して揺動させることによって、このようなばらつきを吸収して左右一対の搬送ベルト82により紙幣を均等にグリップさせることができ、紙幣収納空間に紙幣を確実に集積させることができるようになる。
【0057】
なお、本実施の形態によるバラ紙幣投出部152や出金リジェクト部154は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0058】
例えば、バラ紙幣投出部152において、各ハンド検知センサ14、16、18や各紙幣残留検知センサ40、42、44、46、48、49により検知されない位置にある紙幣をこれらの各センサ14、16、18、40、42、44、46、48、49により検知される位置に移動させる紙幣移動手段として、ローラ50、札当て部材20、リフトアップレバー24以外のものを用いてもよい。具体的には、バラ紙幣投出部152においてファン等の既存の送風機構90(
図3参照)が設けられているときに、各ハンド検知センサ14、16、18や各紙幣残留検知センサ40、42、44、46、48、49により検知されない位置にある紙幣に対して送風機構90により風を送ることによって、当該紙幣を各センサ14、16、18、40、42、44、46、48、49により検知される位置に移動させるようになっていてもよい。また、このような紙幣移動手段として、ローラ50、札当て部材20、リフトアップレバー24、送風機構90以外の構成のものを用いてもよい。
【0059】
また、本発明では、残留紙幣や操作者の手を検知するための検知部により検知されない位置にある紙幣を検知部により検知される位置に移動させる紙幣移動手段が設けられるのは、紙幣処理機100における出金処理において出金口として機能するバラ紙幣投出部152に限定されることはない。紙幣の出金口でなくても、紙幣が集積される箇所に上述した構成の紙幣移動手段を設置することにより、バラ紙幣投出部152に紙幣移動手段を設けた場合と同様の作用効果を奏することができる。具体的には、集積部近傍において紙幣がどの位置にあっても既存の検知部により当該紙幣を確実に検知させることができ、残留検知ミスの発生を防止することができるようになる。
【0060】
また、本発明の紙葉類集積装置に集積される紙葉類は、必ずしも紙幣に限定されることはなく、紙幣以外のもの、例えば小切手や商品券等の様々な種類の紙葉類が集積されるようになっていてもよい。