【実施例1】
【0031】
[第1の実施形態の構成説明:
図2]
次に、本発明の第1の実施形態の構成を
図2を用いて説明する。ここで、
図2(a)は、本発明の半導体発光装置の上面図であり、
図2(b)は、
図2(a)の切断線A−A′で半導体発光装置を切断した断面図である。
図2(a)、
図2(b)において、符号20は、本発明の第1の実施形態の半導体発光装置である。半導体発光装置20は、略正方形のアルミ材等で成る金属板21の表面に絶縁基板22が積層されて固着している。
【0032】
絶縁基板22の中央部には貫通孔22aが形成され、この貫通孔22aから金属板21の表面が露出している構造である。すなわち、絶縁基板22に貫通孔22aが形成され、貫通孔22aの下面(底面)が金属板21で構成されるので、絶縁基板22の中央部に円形の凹部が形成されることになり、この凹部に後述する蛍光型LED10の集合体が配置される。なお、金属板21は蛍光型LED10からの発熱を放熱する機能と、出射光を前面に反射する機能とを備えている。
【0033】
絶縁基板22の表面には、銅箔等で成る一対の導電パターン23、24が形成されている。この導電パターン23、24は、貫通孔22aの縁の一部に沿って対向して円弧を描くように形成され、導電パターン23、24の端部は、それぞれ絶縁基板22の対角に延びて、外部電極23a、24aが形成される。
【0034】
符号30、31、32は、前述した蛍光型LED10を直列接続した三つの発光素子集合体(以下、LED集合体と略す)である。各LED集合体30、31、32は、蛍光型LED10の隣同士を向き合わせて、隣同士の外部接続電極7、8(
図1参照)が半田等(図示せず)の電気的接続部材によって電気的に接続されている。ここで、蛍光型LED10の隣同士を互いに向き合わせて接続することで、
図2(b)で示すように、蛍光型LED10は厚み方向で重なり、上層と下層の2層構造となる。
【0035】
このように構成されるLED集合体30、31、32は、絶縁基板22の貫通孔22a内に配置され、貫通孔22aから露出している金属板21の表面に各LED集合体30、31、32の下層側の蛍光型LED10が密着する。また、各LED集合体30、31、32の両端部に位置する上層側の蛍光型LED10の外部接続電極7、8が、導電パターン23、24に接続される。
【0036】
ここで、金属板21に密着している蛍光型LED10を下層側の蛍光型LED10Lと称し、金属板21から離れている蛍光型LED10を上層側の蛍光型LED10Uと称する。このように、LED集合体30、31、32は、貫通孔22aの内部に配置されるので、貫通孔22aによって形成される円形のエリアが半導体発光装置10の発光エリア22bとなる。なお、各LED集合体30、31、32を構成する蛍光型LED10の接続形態の詳細は後述する。
【0037】
また、符号25は絶縁基板22の貫通孔22aの外周を囲む封止枠であり、この封止枠25の内側に透明樹脂による封止材26を充填することで、LED集合体30、31、32を封止することができる。この封止材26は、本実施例では、LED集合体30、31、32からの出射光を拡散させる拡散材(図示せず)が含有されている。
【0038】
[蛍光型LEDの接続の説明:
図3]
次に、LED集合体30、31、32を構成する蛍光型LED10の接続の詳細を
図3を用いて説明する。
図3は、
図2で示した半導体発光装置20のLED集合体30の周辺部分を拡大した上面拡大図である。
図3において、LED集合体30は、101、102、103、104、・・・117の合計17個の蛍光型LEDによって構成される。
【0039】
ここで、図面上の最上部の蛍光型LED101は、電極面6c(
図1(b)参照)を裏側にして配置されて、外部接続電極8(p型半導体側:破線で示す)が導電パターン23と電気的に接続される。また、同じ蛍光型LED101の外部接続電極7(n型半導体側:破線で示す)は、隣接して電極面6cを表面にして配置された蛍光型LED102の外部接続電極8(図示せず)に半田等で直接接続される。また、同じ蛍光型LED102の外部接続電極7(図示せず)は、次に隣接する蛍光型LED103の外部接続電極8(破線で示す)に直接接続し、同じ蛍光型LED103の外部接続電極7(破線で示す)は、次に隣接する蛍光型LED104の外部接続電極8(図示せず)に接続する。
【0040】
以下同様に蛍光型LED10の外部接続電極7、8が、隣同士で順次直接接続され、LED集合体30の図面上の最下部の蛍光型LED117は、電極面6cを裏側にして配置されて、外部接続電極7(n型半導体側:破線で示す)が導電パターン24と電気的に接続される。ここで、蛍光型LED10の外部接続電極7、8が、隣同士で順次直接接続できるのは、蛍光型LED10が隣同士で電極面6cが互いに向き合って配置されるからである。このように、蛍光型LED10が順次接続されることによって、多数の蛍光型LED10を直列接続したLED集合体が形成される。
【0041】
以上の接続によって、導電パターン23の外部電極23aに所定のプラス電圧、導電パターン24の外部電極24aに所定のマイナス電圧を供給することで、LED集合体30の各蛍光型LED101〜117に順方向の駆動電流が流れて発光する。なお、他のLED集合体31、32も同様に接続される。
【0042】
また、各LED集合体を構成する蛍光型LED10は、隣接する蛍光型LED10に対して、直線方向、または直角方向で接続される。たとえば、
図3において、蛍光型LED101と102は、直線方向に接続されているが、蛍光型LED102と103は、直角方向に接続されている。これは、蛍光型LED10の外部接続電極7、8の形状が略正方形であり(
図1参照)、その電極位置が直線方向でも直角方向でも、蛍光型LED10の外形に対して変化しない位置に形成されているので、直線方向と直角方向の両方の接続に対応できるからである。
【0043】
ここで、隣接する蛍光型LED10をどの方向に接続するかは任意であるが、一つのLED集合体を構成する蛍光型LED10の個数や、発光エリアの形状に応じて決めることができる。ここで、本実施形態においては、前述したように発光エリア22bが円形であり、LED集合体30は、円形の発光エリア22bの図面上左側のエリアを分担するために、発光パターンが発光エリア22bの図面上左側に延びるように直線方向と直角方向が選択されている。
【0044】
また、LED集合体31は、円形の発光エリア22bの中央付近を分担するために(
図2参照)、発光パターンが帯状となるように直線方向と直角方向が選択されている。また、LED集合体32は、円形の発光エリア22bの図面上右側のエリアを分担するために(
図2参照)、発光パターンが発光エリア22bの図面上右側に延びるように直線方向と直角方向が選択されている。なお、LED集合体30、31、32は導電パターン23、24に対して並列接続であり、従って、各LED集合体30、31、32を構成する蛍光型LED10の個数は同数であることが望ましい。
【0045】
また、LED集合体の数は本実施形態では3個であるが、その数は任意であり、たとえば、発光エリア22bが広ければLED集合体の数を増やし、また、発光エリア22bが狭ければLED集合体の数を減らせばよい。
【0046】
[蛍光型LEDの上層側と下層側の説明:
図4]
次に、LED集合体を構成する上層側の蛍光型LED10Uと下層側の蛍光型LED10Lの機能について
図4を用いて説明する。
図4(a)は、
図2で示した第1の実施形態の半導体発光装置20の斜視図である。なお、
図4(a)は、LED集合体の配置がわかりやすいように、封止枠25と封止材26は省略している。
図4(a)で明らかなように、LED集合体30、31、32は、絶縁基板22に形成される貫通孔22aの内部に填め込まれるように配置されており、貫通孔22aの内側が発光エリア22bとなる。
【0047】
また、
図4(b)は、LED集合体30、31、32の拡大斜視図であり、各LED集合体を構成する蛍光型LED10が、互いに向き合って接続されているために、隣同士で厚み方向に重なり上層と下層に配置されていることが理解できる。たとえば、LED集合体30において、蛍光型LED101と103が上層側の蛍光型LED10Uであり、蛍光型LED102が下層側の蛍光型LED10Lである。
【0048】
ここで、各LED集合体の両端部に位置する蛍光型LED10は、上層側の蛍光型LED10Uとなるように構成されている。たとえば、LED集合体30の両端部に位置する蛍光型LED101と117は、図示するように上層側に位置している。この構成によって、絶縁基板22の表面に形成された導電パターン23、24の高さ方向の位置は、貫通孔22aの下面に位置する金属板21の表面よりも絶縁基板22の厚み分だけ高くなっているが、上層側である蛍光型LED101の外部接続端子8と蛍光型LED117の外部接続端子7は、絶縁基板22の表面に形成された導電パターン23、24と接触し、半田等によって電気的に接続することができる。
【0049】
また、下層側の蛍光型LED10L(たとえば、LED集合体30の蛍光型LED102)は、前述したように、貫通孔22aによって露出している金属板21に密着している。これは、下層側の蛍光型LED10Lの位置と、貫通孔22aの下面に位置する金属板21の位置が一致しているからです。このように、上層側の蛍光型LED10Uは、導電パターン23、24に接続して駆動電圧を入力する機能を備えており、下層側の蛍光型LED10Lは金属板21に密着して、LED集合体からの発熱を効率よく金属板21に伝達する機能を備えている。
【0050】
ここで、上層側の蛍光型LED10Uの外部接続端子7、8を絶縁基板22の導電パターン23、24に接続し、下層側の蛍光型LED10Lを金属板21に接触させるには、蛍光型LED10の高さ方向の厚みと絶縁基板22の厚みとを一致させることで実現できる。
【0051】
また本実施形態では、各LED集合体30、31、32を構成する蛍光型LED10を被覆する蛍光樹脂9(
図1参照)に含有する蛍光体9aが2種類あり、上層側の蛍光型LED10Uの蛍光樹脂9には緑蛍光体が含有され、下層側の蛍光型LED10Lの蛍光樹脂9は赤蛍光体が含有されている。すなわち、LED集合体30において、蛍光型LED101と103は上層側に配置されているので、その蛍光樹脂9には緑蛍光体が含有され、蛍光型LED102は下層側に配置されているので、その蛍光樹脂9には赤蛍光体が含有される。なお、蛍光体の図示は省略している。
【0052】
ここで、下層側に配置される蛍光型LED10Lに赤蛍光体を含有する理由は、赤蛍光体は緑色光を吸収する性質があるので、上層側に赤蛍光体の蛍光型LEDを配置すると、下層側からの緑色光を赤蛍光体が吸収し、緑色光の出射が低下してしまうからである。
【0053】
このように、各LED集合体30、31、32を構成する蛍光型LED10を被覆する蛍光樹脂9に含有する蛍光体9aが緑蛍光体と赤蛍光体で構成され、蛍光型LED10のLED素子4が、前述したように青色LEDで構成されたとすると、半導体発光装置20からは、青色LEDからの青色光Bと、青色光Bが上層側の蛍光型LED10Uの緑蛍光体によって波長変換された緑色光Gと、さらに、青色光Bが下層側の蛍光型LED10Lの赤蛍光体によって波長変換された赤色光Rが出射される。
【0054】
[第1の実施形態の動作説明:
図5]
次に、第1の実施形態の動作を
図5を用いて説明する。
図5は第1の実施形態の半導体発光装置20から、どのような出射光が出射されるかを模式的に示しものである。
図5において、半導体発光装置20に搭載されるLED集合体30、31、32は、前述したように、上層側のLED10Uと下層側の蛍光型LED10Uとの蛍光体が異なる2種類の蛍光型LEDによって構成されている。そして、半導体発光装置20に外部から所定の駆動電圧Vdが供給されると、蛍光型LED10Uと蛍光型LED10Uのそれぞれの青色LEDが発光して青色光Bが出射される。
【0055】
また、上層側の蛍光型LED10Uからは、青色光Bの一部が蛍光樹脂9に含有される緑蛍光体に吸収され、緑蛍光体が励起して波長変換された緑色光Gが出射される。また、下層側の蛍光型LED10Lからは、青色光Bの一部が蛍光樹脂9に含有される赤蛍光体に吸収され、赤蛍光体が励起して波長変換された赤色光Rが出射される。この結果、半導体発光装置20からは、青色光Bと緑色光Gと赤色光Rが合成された出射光27が出射されることになる。なお、出射光27は、封止材26に含有される拡散材(図示せず)によって拡散され、金属板21によって図面上の上方向に反射されて、効率よく出射される。
【0056】
[第1の実施形態の出射光の波長分布説明:
図6]
次に、第1の実施形態の半導体発光装置20から出射される出射光27の波長分布の一例を
図6を用いて説明する。
図6において、横軸は出射光の波長であり、単位はnmである。縦軸は輝度であり、相対値として示している。半導体発光装置20からの出射光27は、前述したように、青色LEDから青色光Bと、緑蛍光体によって波長変換された緑色光Gと、赤蛍光体によって波長変換された赤色光Rとが合成された光となる。ここで、青色光Bの波長は450nm付近であって、青色LEDからの出射光であるので波長分布が狭く、緑色光Gと赤色光Rの波長は、それぞれ蛍光体による変換光であるので比較的広い分布特性を有している。
【0057】
以上のように、第1の実施形態の半導体発光装置20は、蛍光体9aを含有する蛍光樹脂9で被覆された蛍光型LED10を用いることで、含有する蛍光体を蛍光型LEDごとに個別に変えることが出来る。このため、LED素子を青色LEDとして、この青色LEDからの青色光Bによって励起する緑蛍光体と赤蛍光体を個別に含有した蛍光型LEDを用いることで、
図6に示すように、青色光B、緑色光G、赤色光Rがそれぞれバランスよく出射される半導体発光装置を実現することができる。
【0058】
この結果、演色性に優れた真の白色光に近い出射光を出射する高性能の半導体発光装置を提供できる。また、緑蛍光体を有する蛍光型LED10と赤蛍光体を有する蛍光型LED10の個数の比率を変えることで、出射光の発光色を用途に応じて任意に調整することも可能である。
【0059】
また、蛍光型LED10の隣同士の電極を向き合わせて直接接続することで、上層下層の2層で構成されるので、実装密度を高くすることが可能であり、小型で高輝度高出力の半導体発光装置を実現できる。また、下層側の蛍光型LED10Lは、金属板21に密着しているので、熱抵抗を極めて小さくできる。また、上層側の蛍光型LED10Uは、下層側の蛍光型LED10Lとワイヤー等を介さずに直接接続しているので、上層側の蛍光型LED10Uも同様に熱抵抗を小さくできる。これにより、広い温度範囲で使用できる放熱特性が優れた発光装置を提供できる。なお、上層側の蛍光型LED10Uと下層側の蛍光型LED10Lに含有する蛍光体は、緑や赤に限定されるものではない。
【0060】
[第1の実施形態の変形例の説明:
図7]
次に、第1の実施形態の変形例を
図7を用いて説明する。この変形例の基本的な構成は第1の実施形態と同様であり、蛍光型LED10のLED素子4の種類と蛍光樹脂9に含有する蛍光体9aの種類のみが異なっているので、構成の説明は省略し、出射光の波長分布の違いを中心に説明する。
【0061】
ここで、第1の実施形態の変形例は、蛍光型LED10のLED素子4が近紫外線LEDで構成され、蛍光型LED10を被覆する蛍光樹脂9(
図1参照)の蛍光体9aは、青蛍光体、緑蛍光体、赤蛍光体がそれぞれ個別に含有する構成である。たとえば、上層側の蛍光型LED10Uに青蛍光体と緑蛍光体を個別に含有させ、下層側の蛍光型LED10Lに赤蛍光体を含有させる構成とする。
【0062】
図7は、第1の実施形態の変形例の半導体発光装置からの出射光28の波長分布の一例を示している。
図7において、横軸は出射光の波長であり、縦軸は輝度であり、相対値として示している。この変形例の半導体発光装置からの出射光28は、近紫外線LEDからの近紫外光nUVと、青蛍光体によって波長変換された青色光Bと、緑蛍光体によって波長変換された緑色光Gと、赤蛍光体によって波長変換された赤色光Rとが、合成された光となる。
【0063】
ここで、変形例の波長分布は第1の実施形態の波長分布(
図6参照)と異なり、青色光Bも蛍光体による変換光であるので比較的広い分布特性を有している。なお、400nm付近の小さな波長のピークは、近紫外線LEDからの近紫外光nUVであり、この近紫外光nUVが励起光となって、それぞれの蛍光体を励起するのである。
【0064】
以上のように、第1の実施形態の変形例は、青色光B、緑色光G、赤色光Rのすべてを、蛍光体をそれぞれ個別に含有した蛍光型LEDによって得ているので、LED集合体を構成するそれぞれの蛍光型LED10の個数の比率を選択することで、用途に応じて出射光の色合いを幅広く調整できる半導体発光装置を提供することができる。たとえば、赤蛍光体を含有する蛍光型LEDの数を増やせば、赤味を増した暖かみのある出射光を得ることができ、また、青蛍光体を含有する蛍光型LEDの数を増やせば、青味を増したクールな雰囲気の出射光を得ることができる。
【実施例2】
【0065】
[第2の実施形態の半導体発光装置の動作説明:
図8]
次に、第2の実施形態の半導体発光装置を
図8を用いて説明する。この第2の実施形態は、第1の実施形態と基本的な構成が同じであり、蛍光型LED10の蛍光樹脂9に含有する蛍光体9aの種類と、LED集合体を封止する封止材26の含有物のみが異なるので、同一要素には同一番号を付して重複する構成の説明は省略し、第2の実施形態の動作と、出射光の波長分布を中心に説明する。ここで、第2の実施形態は、蛍光型LED10のLED素子4は第1の実施形態と同様に青色LEDであり、蛍光型LED10の外周面を被覆する蛍光樹脂9に含有される蛍光体9a(
図1参照)はYAG蛍光体であり、封止材26には赤蛍光体が含有されている。
【0066】
図8は第1の実施形態の側面図(
図2(b)参照)と同様な側面図であり、説明をわかりやすくするために縦の比率を大きくして示している。
図8において、符号40は第2の実施形態の半導体発光装置である。半導体発光装置40の発光エリア22bに露出する金属板21の表面には、蛍光型LED10で構成されるLED集合体30、31、32が密着して配置され、個々の蛍光型LED10は、図示しないが青色LEDで構成され、被覆する蛍光樹脂9(ここでは図示せず)には、前述したように、YAG蛍光体が含有されている。また、すべてのLED集合体30、31、32は、封止材26によって封止され、この封止材26には、前述したように、赤蛍光体41(黒丸で示す)が略均一に含有されている。
【0067】
ここで、半導体発光装置40に外部から所定の駆動電圧Vdが供給されると、LED集合体30、31、32を構成する個々の蛍光型LED10が動作して、青色LEDから青色光Bが出射される。この青色光Bの一部が、蛍光樹脂9に含有されるYAG蛍光体(図示せず)に吸収されると、YAG蛍光体が励起して黄色光Yを出射する。また、青色光Bの一部が封止材26に含有される赤蛍光体41に吸収されると、赤蛍光体41が励起して赤色光Rを出射する。以上の動作によって、半導体発光装置40から青色光B、黄色光Y、赤色光Rが合成された出射光42が出射される。なお、実際の出射光42は、青色光B、黄色光Y、赤色光Rがほぼ均一に混ざり合った合成光となる。
【0068】
[第2の実施形態の出射光の波長分布説明:
図9]
次に、第2の実施形態の半導体発光装置40から出射される出射光42の波長分布の一例を
図9を用いて説明する。
図9において、横軸は出射光42の波長であり、単位はnmである。縦軸は輝度であり、相対値として示している。半導体発光装置40からの出射光42は、前述したように、青色LEDからの青色光Bと、YAG蛍光体によって波長変換された黄色光Yと、赤蛍光体41によって波長変換された赤色光Rとが、合成された光となる。ここで、青色光Bの波長は第1の実施形態と同様に450nm付近であり、青色LEDからの出射光であるので波長分布が狭く、黄色光Yと赤色光Rの波長は、蛍光体による変換光であるので比較的広い分布特性を有している。
【0069】
ここで、青色LEDからの青色光BとYAG蛍光体による黄色光Yが合成されると、擬似白色光となるが、この第2の実施形態では、封止材26に赤蛍光体41を含有させたことで、赤色光Rが加えられることになる。これにより、擬似白色光に赤味が加えられた温かみのある出射光を得ることができる。この第2の実施形態は、2種類の蛍光型LEDが必要である第1の実施形態と比較して、蛍光型LED10の種類がYAG蛍光体を含有した1種類のみの構成なので、製造工程を簡素化できる特徴を備えている。
【0070】
また、第1の実施形態と同様に、蛍光型LED10は上層下層の2層で構成されるので、実装密度を高くすることが可能であり、小型で高輝度高出力の半導体発光装置を実現できる。また、下層側の蛍光型LEDは、金属板21に密着しているので、熱抵抗を極めて小さくでき、上層側の蛍光型LEDも下層側の蛍光型LEDと直接接続しているので熱抵抗が小さく、これにより、放熱特性に優れた半導体発光装置を提供できる。
【0071】
[第2の実施形態の変形例の説明:
図10]
次に、第2の実施形態の変形例を
図10を用いて説明する。この変形例の基本的な構成は第2の実施形態と同様であり、蛍光型LED10を被覆する蛍光樹脂9に含有する蛍光体9aの種類と、LED集合体を封止する封止材26に含有する蛍光体の種類のみが異なるので、構成と動作の説明は省略し、出射光の波長分布の違いを中心に説明する。ここで、第2の実施形態の変形例は、蛍光型LED10のLED素子4が青色LEDで構成され、蛍光型LED10を被覆する蛍光樹脂9に含有される蛍光体9a(
図1参照)は、第1の実施形態と同様に緑蛍光体と赤蛍光体であり、また、封止材26にはYAG蛍光体が含有される構成である。
【0072】
なお、蛍光樹脂9の蛍光体9aは、第1の実施形態と同様に、上層側の蛍光型LED10Uの蛍光樹脂9には緑蛍光体が含有され、下層側の蛍光型LED10Lの蛍光樹脂9には赤蛍光体が含有される。
【0073】
図10は、第2の実施形態の変形例の半導体発光装置からの出射光43の波長分布の一例を示している。
図10において、横軸は出射光の波長であり、縦軸は輝度であり、相対値として示している。この変形例の半導体発光装置からの出射光43は、青色LEDからの青色光Bと、緑蛍光体によって波長変換された緑色光Gと、赤蛍光体によって波長変換された赤色光Rと、封止材26に含有されるYAG蛍光体からの黄色光Yが合成された光となる。
【0074】
すなわち、第2の実施形態による出射光42の波長分布(
図9参照)と比較して、第2の実施形態の変形例の出射光43は、緑蛍光体による緑色光Gが追加されることになり、演色性に優れた真の白色光に近い出射光が得られる高性能な半導体発光装置を提供することができる。
【実施例3】
【0075】
[第3の実施形態の構成説明:
図11]
次に、第3の実施形態の半導体発光装置を
図11を用いて説明する。
図11において、符号50は第3の実施形態の半導体発光装置である。半導体発光装置50は、電球型の筐体を備えており、LED集合体を封止する略球形の樹脂カバー51、絶縁材で成る支持部52、および、外部からの電力を入力するための接続部53を有している。支持部52の略中央には絶縁基板で成る電極部54が配置され、この電極部54には一対の電極54a、54bが形成されている。
【0076】
この電極部54の図面上の上部には、蛍光型LED10が略コ形に直列接続されたLED集合体55が配置されている。ここで、電極部54は支持部52に対して垂直に取り付けられているので、LED集合体55も電極部54に沿って垂直方向に支持されている。
【0077】
また、支持部52の内部には、LED集合体55を駆動する駆動部56(破線で示す)を有している。ここで、LED集合体55の両端部に位置する一対の蛍光型LED10は、電極部54の電極54a、54bに接続され、電極54a、54bは図示しない手段によって駆動部56に接続され、駆動部56は接続部53の接続端子53a、53bに接続されている。この構成によって、接続部53に外部から、たとえばAC100Vが供給されると、駆動部56はAC100Vを所定の直流電圧に変換し、電極部54を介してLED集合体55に直流の駆動電圧を供給してLED集合体55を点灯する。
【0078】
なお、接続部53の形状は、一般的な白熱電球のねじ込み式(E26口金等)に等しい構造にすることによって、半導体発光装置50は白熱電球に置き換えることができる。また、樹脂カバー51は、透明でも半透明でもよく、樹脂に反射材を含有させてもよく、または、樹脂に所定の蛍光体を含有させてもよい。
【0079】
[第3の実施形態のLED集合体の構成説明:
図12]
次に、第3の実施形態の半導体発光装置50に組み込まれる略コ形のLED集合体55の構成を
図12を用いて説明する。
図12において、LED集合体55は、蛍光型LED10の集合体であり、前述したように、略コ形に直列接続されている。ここで、各蛍光型LED10は、
図1で示した蛍光型LED10と同一であり、第1および第2の実施形態と同様に、LED集合体55を構成する蛍光型LED10は、隣接する蛍光型LED10と互いに向き合い、外部接続電極7、8(
図1参照)が直接半田等によって電気的に接続される。そして、接続方向は図示するように、略コ形の直線部分は直線方向に接続され、略コ形の角部は直角方向に接続される。
【0080】
そして、LED集合体55の両端部に位置する一対の蛍光型LED10a、10bが電極部54の電極54a、54bにそれぞれ接続され、電極54a、54bに所定の駆動電圧が供給されることで、LED集合体55に駆動電流が流れて、個々の蛍光形LED10が点灯する。ここで、第1の実施形態と同様に、蛍光形LED10に青色LEDを用い、蛍光型LED10を被覆する蛍光樹脂9(
図1参照)に緑蛍光体と赤蛍光体を個別に含有させるならば、第1の実施形態と同様な波長分布(
図6参照)の出射光を得ることができ、青色光B、緑色光G、赤色光Rがそれぞれバランスよく出射される演色性に優れた半導体発光装置を実現することができる。
【0081】
また、第2の実施形態と同様に、蛍光形LED10に青色LEDを用い、蛍光型LED10を被覆する蛍光樹脂9にYAG蛍光体を含有させ、樹脂カバー51に赤蛍光体を含有させるならば、第2の実施形態と同様な波長分布(
図9参照)の出射光を得ることができる。また、略コ形のLED集合体55は、前述したように、支持部52に対して垂直に支持されているので、発光形状(光源形状)や発光の広がりがフィラメント型電球に近似したものとなり、本実施形態は、フィラメント型電球と同等の発光特性を有する半導体発光装置を提供することができる。
【0082】
以上のように、第3の実施形態の半導体発光装置50は、蛍光型LED10を略コ形に直列接続した集合体として装置内部に組み込むので、フィラメント型電球の置き換え用として好適な省エネ型半導体発光装置を実現できる。また、蛍光型LED10を用いることによって、様々な蛍光体を含有する蛍光樹脂9を任意に選択できるので、多様な発光色を備えた電球型発光装置を簡単に製造することができる。
【0083】
尚、本発明の実施例で示した各図面等は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更してよい。