特許第6301116号(P6301116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6301116
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】医用画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20180319BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20180319BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20180319BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   G06Q50/24
   A61B5/00 D
   A61B6/03 360D
   G06T1/00 200B
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-242016(P2013-242016)
(22)【出願日】2013年11月22日
(65)【公開番号】特開2015-102954(P2015-102954A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大牟禮 孝弘
【審査官】 関 博文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−010889(JP,A)
【文献】 特開2013−228564(JP,A)
【文献】 特開2012−245090(JP,A)
【文献】 特開2010−003135(JP,A)
【文献】 特開2010−152623(JP,A)
【文献】 特開2012−208726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00−80/00
A61B 5/00
A61B 6/03
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の画像データを記憶する画像記憶手段と、
前記患者の患者情報に基づいて、疾患関連情報に関連付けされた疾患の可能性のある部位情報のなかから解剖学的警戒部位を求める部位特定手段と、
前記解剖学的警戒部位が投影された位置および範囲を前記画像データのなかから特定する警戒部位決定手段と、
前記画像データに基づいて断面画像を含む表示画像を生成するものであり、前記解剖学的警戒部位を識別可能な態様で表した表示画像を生成する表示画像生成手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
人体の解剖学的部位と、前記解剖学的部位の位置および範囲とが関連付けられた体形データが複数の異なる体形類型ごとに蓄積された体形データベースと、
をさらに備え、
前記警戒部位決定手段は、前記患者の患者情報に基づき、前記体形データベースに蓄積された前記複数の異なる体形類型のなかから、前記患者に適合する体形類型を特定することで、前記画像データに含まれる解剖学的警戒部位を求める、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記複数の異なる体形類型は、少なくとも前記患者の患者情報に含まれる体形情報によって分類される、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
前記部位特定手段は、前記患者情報に含まれる、問診情報、検診情報、複数の検査情報、および既往歴のうち少なくとも1つに基づいて、前記解剖学的警戒部位を求める、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
前記複数の検査情報には、病理検査情報、生化学検査情報、他モダリティ検査情報のうち、少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の医用画像表示装置。
【請求項6】
前記問診情報および検診情報は、前記患者の生活習慣を示す飲酒、喫煙、食事、運動量および前記患者の症状を示す咳、痰、血圧のうち少なくとも1つを含む情報である、
ことを特徴とする請求項4に記載の医用画像表示装置。
【請求項7】
前記既往歴は、前記患者の過去に罹患したことがある疾患、現在治療中の疾患に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項4記載の医用画像表示装置。
【請求項8】
複数の疾患関連情報と、前記疾患関連情報に関連する解剖学的警戒部位とを関連付けた複数の疾患関連情報テーブルから構成される疾患関連情報データベースと、
をさらに備え、
前記部位特定手段は、前記疾患関連情報データベースから少なくとも1つの疾患関連情報テーブルを抽出し、前記患者の患者情報に基づき前記解剖学的警戒部位を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項9】
前記疾患関連情報テーブルは、過去の医療記録、疾患に関する文献または統計といった情報から作成された、問診と警戒部位を関連付けた問診テーブル、症例と警戒部位を関連付けた症例テーブル、病理検査情報と警戒部位を関連付けた病理検査テーブル、生化学検査情報と警戒部位を関連付けた生化学検査テーブル、既往歴と警戒部位を関連付けた既往歴テーブル、および他のモダリティ機器での検査情報と警戒部位を関連付けたモダリティ機器検査テーブルのいずれか1つであること、
を特徴とする請求項に記載の医用画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場で使用される各種検査装置(以下、モダリティ装置という)による医用画像の取得は、体を傷つけずに体の内部を見て診断を下すことができるため、現代の医療において欠かせない技術となっている。モダリティ装置の発展とその性能の向上に伴い、取得できる医用画像のデータ量は増大傾向にある。医師等は画像診断において、取得したすべての医用画像を読影しなければならないため、このような医用画像データ量の増加は医師等の仕事に負荷を与える要因となっている。加えて、早期発見・早期診断が求められ、医師等が読影にかけられる時間が少なくなってきており、短時間で効率的に読影を実施する必要が生じている。
【0003】
近年、医用画像のデジタル化が進み、医用画像一元管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)や電子カルテの発展などで、医療を取り巻く環境の電子化が進んでいる。画像診断においては、データベースなどを用いて画像診断における医師等の知識を支援することで、病巣の見落としや誤診を防止する医用画像診断支援装置が提案されている。(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−32476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PET(Positron Emission Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、X線CT(Computed Tomography)などのモダリティ装置では全身スキャンが行われるようになり、これらの装置を用いた画像診断は、病気の症状や病気の疑いのない健康な人への予防、積極的な健康管理の方法として普及している。全身スキャンは病気の早期発見、がんの転移確認の際に有用とされている。このような全身スキャンにより取得された画像は患者1人当たり数千枚にもおよぶ。
【0006】
しかしながら、このような全身スキャンにより取得された数千枚にもおよぶ画像データのすべてを1枚1枚読影するのは多くの時間と集中力を必要とする。このような読影を効率的に行うには、読影を行う前に患者の問診や病歴などの情報を分析し、注意して読影すべき箇所の見当を付けることが有効と考えられる。そこで、読影における医師等の負荷を軽減するために、問診や病歴などから注意して読影すべき箇所を自動で判別し、その箇所が投影された画像を他の画像と区別して表示する医用画像表示装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の医用画像表示装置は、患者の画像データを記憶する画像記憶手段と、前記患者の患者情報に基づいて、疾患関連情報に関連付けされた疾患の可能性のある部位情報のなかから解剖学的警戒部位を求める、部位特定手段と、前記解剖学的警戒部位が投影された位置および範囲を前記画像データのなかから特定する警戒部位決定手段と、前記画像データに基づいて断面画像を含む表示画像を生成するものであり、前記解剖学的警戒部位を識別可能な態様で表した表示画像を生成する表示画像生成手段と、を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る医用画像表示装置を備えた医用画像表示システムの構成の一例を示す概略図。
図2】実施形態に係る医用画像表示装置のシステム構成例を示す概念的な構成図。
図3】実施形態に係る医用画像表示装置の機能構成例を示す機能ブロック図。
図4】体形によって解剖学的部位の位置および範囲が異なることを説明した図。
図5】実施形態に係る医用画像表示装置の体形データベースを説明した図。
図6】実施形態に係る医用画像表示装置の動作の一例を示すフローチャート。
図7】実施形態に係る医用画像表示装置の疾患関連情報データベースを構成する疾患関連情報テーブルの例を説明した図。
図8】実施形態に係る医用画像表示装置の患者の問診情報から解剖学的警戒部位を抽出する方法を説明した図。
図9】実施形態に係る医用画像表示装置の患者の体形情報と対応する体形データを体形データベースから抽出する方法を説明した図。
図10】実施形態に係る医用画像表示装置の患者のマルチスライス画像から、解剖学的警戒部位に該当するスライス画像を判定する方法を説明した図。
図11】実施形態に係る医用画像表示装置の患者の既往歴から解剖学的警戒部位を抽出する方法を説明した図。
図12】実施形態に係る医用画像表示装置の第1の表示例を説明した図。
図13】実施形態に係る医用画像表示装置の第2の表示例を説明した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
医用画像表示装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
(1)構成
【0010】
図1は、実施形態に係る医用画像表示装置を備えた医用画像表示システムの構成の一例を示す概略図である。医用画像表示システム1は、医用画像表示装置100、医用画像管理サーバ200、モダリティ装置300、医用画像撮像システム400、外部記憶装置500、電子カルテサーバ600を有する。図1に示すように、医用画像撮像システム400は医用画像表示装置100とモダリティ装置300から構成されている。このように、医用画像表示装置100は医用画像撮像システム400の一部になっている場合と、ネットワークNを介して接続する医用画像撮像システム400とは独立した装置として構成される場合とがある。
【0011】
医用画像管理サーバ200は医用画像撮像システム400で撮像されたマルチスライス画像データなどの画像データを保管した記憶装置である。
【0012】
モダリティ装置300は、PET、MRI、X線CTなどの医用画像を撮像する各種検査装置から構成される。医用画像表示装置100は、モダリティ装置300に組み込まれた構成をとってもよいし、ネットワークN経由で接続されたモダリティ装置300とは独立した構成であってもよい。
【0013】
医用画像表示装置100は、モダリティ装置300で取得された医用画像データや、医用画像管理サーバ200から医用画像データを取得する。ここで、ネットワークNは、電気通信技術を利用した情報通信網全体を意味し、病院基幹LAN、無線/有線LANやインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバー通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0014】
医用画像表示装置100がネットワークNを介して取得する医用画像データは、連続した複数のスライス画像を一纏めにしたマルチスライス画像データなどの画像データである。
【0015】
マルチスライス画像データはDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)規格という、医用画像の通信プロトコルおよびデータ形式を標準化する規格に準拠している。このDICOM規格に準拠したデータは、複数のスライス画像データなど、画像データを格納する領域とその画像データに関する情報(以下、付帯情報という)を格納する領域とから構成されたデータ形式をとる。付帯情報には、画像データの撮像対象である患者の患者管理番号、体形情報および画像データの撮像条件に関する情報が含まれる。付帯情報と複数の画像データとが一纏めにされた形式で医用画像表示装置100に伝送される。
【0016】
外部記憶装置500は、医用画像表示装置100が使用する各種データベースを保管した記憶装置である。医用画像表示装置100が使用する各種データベースについては後述する。
【0017】
電子カルテサーバ600には、病院等に来院した患者それぞれについて、患者管理番号によって関連付けされた患者の問診記録などを含む患者情報が登録されている。患者情報については後述する。
【0018】
医用画像管理サーバ200、外部記憶装置500、電子カルテサーバ600は情報処理装置やパーソナルコンピュータから構成されており、磁気的もしくは光学的記憶媒体または半導体メモリなどの読み取り可能な記憶媒体を含んだ構成を有する。
【0019】
図2は、実施形態に係る医用画像表示装置100の一例を示す概念的な構成図である。図2に示されるように、医用画像表示装置100は、通信制御装置10、主記憶装置20、プロセッサ30、表示部40、入力部50、内部記憶装置60から構成される。医用画像表示装置100は通信制御装置10を介してネットワークNと接続している。
【0020】
通信制御装置10はネットワーク形態に応じた種々の通信プロトコルを実装する。この各種通信プロトコルに従って、モダリティ装置300、医用画像管理サーバ200、および外部記憶装置500、電子カルテサーバ600などとネットワークNを介して接続する。通信制御装置10を介して取得されるデータは、画像データ、患者情報、各種データベースへの問い合わせ情報および検索結果等である。取得されたデータは、それぞれ主記憶装置20に格納されたプログラムで処理される。
【0021】
主記憶装置20は、RAMとROMをはじめとする記憶媒体などにより構成される。医用画像表示装置100のプログラムは主記憶装置20のROMに格納されており、プロセッサ30により実行される実行プログラムや一時データなどは主記憶装置20のRAMに格納される。
【0022】
なお、主記憶装置20のROMをはじめとする記憶媒体は、磁気的もしくは光学的記憶媒体または半導体メモリなどの、プロセッサ30により読み取り可能な記憶媒体を含んだ構成を有し、これらの記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部はネットワークNを介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0023】
医用画像表示装置100は他にも、表示部40、入力部50、内部記憶装置60を有する。表示部40は、主記憶装置20のプログラムで処理された画像データの出力を行う。たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示装置により構成されるほか、プロセッサ30の制御に従ってプログラムによって生成された結果から、表示用画像データを生成し、生成した表示用画像データを表示する。
【0024】
入力部50は、キーボード、タッチパネル、テンキー、マウスなどの一般的な入力装置から構成される。これらの入力装置は、患者の患者管理番号、体形情報、撮像条件の入力およびデータベースの選択などの操作入力信号をプロセッサ30に出力する。
【0025】
内部記憶装置60は、主記憶装置20のプログラムが処理に必要なデータベースを格納し、表示部40が生成した表示用画像データを格納する。主記憶装置20のプログラムが処理に必要なデータベースは、あらかじめ、内部記憶装置60に格納されていてもよいし、プログラムの命令に応じて図1の外部記憶装置500から必要なデータを、ネットワークNを介して取得してもよい。内部記憶装置60は、磁気的もしくは光学的記憶媒体または半導体メモリなどのプロセッサ30に読み取り可能な記憶媒体を含んだ構成を有する。
【0026】
図3は、実施形態に係る医用画像表示装置100の機能構成例を示す機能ブロック図である。図3が示すように、医用画像表示装置100は、画像記憶手段21、患者情報取得手段23、部位特定手段25、警戒部位決定手段27、表示画像生成手段41、体形データベース61、疾患関連情報データベース63、データ保存手段65を有する。
【0027】
上記構成のうち、画像記憶手段21、患者情報取得手段23、部位特定手段25、警戒部位決定手段27の各機能は主記憶装置20に格納されたプログラムをプロセッサ30が実行することによって実現される機能である。表示画像生成手段41は、一般的な表示装置としての機能と、主記憶装置20に格納されたプログラムをプロセッサ30が実行することによって実現される機能とを持つ。
【0028】
画像記憶手段21は、図1で示された医用画像管理サーバ200もしくは、モダリティ装置300から図2で示された通信制御装置10を介して画像データを取得する。
【0029】
患者情報取得手段23は、画像記憶手段21で取得した画像データの付帯情報から、患者管理番号を取得し、電子カルテサーバ600を検索し、患者管理番号に該当する患者情報を取得する。患者情報は、患者管理番号に関連付された患者の氏名や生年月日、国籍などを含む患者管理情報に加えて、患者管理番号または患者氏名等に関連付けされた、問診情報、検診情報、病理診断情報、生化学検査情報、既往歴、および他モダリティでの検査情報のうち少なくとも1つを含んでいる。問診情報および、検診情報には、患者の食生活や飲酒喫煙習慣などの情報や、患者の所見や訴えを示す症状などの情報が含まれる。また、患者管理情報は、患者の体形情報を含んでいてもよく、体形情報は、画像データの付帯情報からだけでなく、患者管理情報からも取得することができる。画像データはDICOM規格に準拠したデータ形式であるため、所有できるデータの種類や量が限られる場合がある。そのような場合でも、患者管理情報を用いることで画像データの付帯情報にある体形データを補間することもできる。さらに、患者情報は、患者管理番号にかえて、患者氏名で関連付けてもよい。この場合、画像データの付帯情報には患者管理番号にかえて、患者氏名を格納する。このように、患者管理情報は、患者の画像データから、電子カルテサーバ600に格納されている患者情報が一意に取得できればよい。
【0030】
部位特定手段25は、患者情報に基づいて、疾患関連情報データベースから患者情報に対応する疾患関連情報テーブルを選択し、患者情報の内容と比較して解剖学的警戒部位を抽出する。解剖学的警戒部位の抽出方法については後述する。
【0031】
警戒部位決定手段27は、画像データの付帯情報から患者の体形情報を取得し、患者の体形情報に適合する体形データを、体形データベース61から取得する。さらに、画像データの付帯情報から撮像条件を取得する。取得した体形データおよび撮像条件から、部位特定手段25で抽出された解剖学的警戒部位が投影されたスライス画像の位置および範囲を患者の画像データのなかから特定する。解剖学的警戒部位に対応するスライス画像の位置および範囲の特定方法については後述する。
【0032】
表示画像生成手段41は、警戒部位決定手段27で特定された、解剖学的警戒部位が投影されたスライス画像を、他のスライス画像と区別した表示用画像データを生成し、表示する。
【0033】
表示用画像データは、データ保存手段65に保存される。この表示用画像データは、図1に示した医用画像管理サーバ200または外部記憶装置500にネットワークNを介して送信され、保存されてもよい。
【0034】
本実施形態に係る医用画像表示装置100は、体形データベース61を用いて、患者情報から疾患の可能性のある解剖学的警戒部位を抽出し、解剖学的警戒部位が投影されているスライス画像を患者の画像データから自動的に判定し、その画像を強調して表示することによって、医師等の読影を効率的に行えるようにするものである。ここで、解剖学的部位とは、頭部や胸部などの身体的部位や、脳や心臓といった臓器などを指す。
【0035】
体形データベース61は、身長、体重、年齢、性別などが異なる様々な体形類型の体形データを蓄積したデータベースである。体形データベース61は体形によって左右される、頭部の大きさや臓器の位置および範囲などの、解剖学的部位の位置および範囲に関する情報を備えている。
【0036】
図4は、体形によって解剖学的部位の位置および範囲が異なることを説明した図である。図4(a)は子供の、図4(b)は大人の体形を模式的に示している。図4(a)および図4(b)の左側に示した矢印は、それぞれ頭部、胸部、腹部、下肢の長さを示している。図4(c)および図4(d)は、頭部、胸部、腹部、下肢が身長に占める割合をそれぞれ示している。図4(c)および図4(d)に示されたように、子供の骨格は、大人の骨格と比較して頭部の割合が大きい傾向にある。また、人種や性別によってもこれらの割合は異なってくる。
【0037】
さらに、図4(a)および図4(b)の右側に示した矢印は、心臓の開始位置および終了位置を、頭頂部からの長さで示している。図4(e)および図4(f)は、心臓の開始位置および終了位置を示す頭頂部からの長さを、身長に占める割合で示している。このように、年齢や性別などによって解剖学的部位の身長に対する相対的位置および範囲が異なることがわかる。
【0038】
図5は、実施形態に係る医用画像表示装置100の体形データベース61を説明した図である。図5(a)に示すように、体形データベース61は、身長、体重、年齢、性別等によって異なる様々な体形類型の体形データを蓄積したデータベースである。
【0039】
図5(b)および図5(c)は体形類型ごとの体形データの一例を示している。体形データは蓄積された全身画像データを解析することによって取得してもよいし、各種医学的な統計データから取得してもよい。各体形類型は身長、体重、年齢、性別、人種、BMI(Body Mass Index)等によって分類することができる。図5(b)身長、体重、年齢、性別で分類された体形類型の例を示している。図5(c)は、体形類型ごとの各解剖学的部位の位置および範囲を、身長に対する相対的位置で示した例である。図5(c)では頭頂部から足先に向かう方向で各解剖学的部位の開始位置および終了位置の身長に対する相対的位置を示しているが、足先から頭頂部に向かう方向を基準とした相対的位置であってもよい。なお、頭頂部から足先に向かう方向、および、足先から頭頂部に向かう方向をいずれも頭足方向と呼ぶものとする。このように、体形データは体形類型ごとに、各解剖学的部位を身長に対する割合によって相対的に示してもよい。また、体形類型ごとに、解剖学的部位の頭足方向の長さといった絶対的位置で示してもよい。解剖学的部位の相対的位置および絶対的位置は、それぞれ平均値であってもよいし、中央値で示されてもよい。また、頭部、胸部といった解剖学的部位それぞれに含まれる臓器を、頭部、胸部の頭足方向の長さを基準として相対的に示してもよい。たとえば、頭部に含まれる臓器である脳について、頭部が20cm、脳が頭頂部から1cm〜10cmの範囲を占める場合は、頭部に対して脳は1%〜50%の相対的位置で示されることになる。
(2)動作
【0040】
図6は、実施形態に係る医用画像表示装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0041】
図6のST101は画像記憶手段21が医用画像管理サーバ200またはモダリティ装置300から、医用画像表示装置100に表示する画像データを取得する処理を示している。
【0042】
図6のST103は、患者情報取得手段23が、電子カルテサーバ600から取得した画像データに対応する患者の患者情報を取得する処理を示している。画像データの付帯情報には撮像された患者の患者管理番号が含まれる。その患者管理番号に基づいて電子カルテサーバ600に問い合わせを行い、対応する患者情報を取得する。なお、患者管理番号は、ユーザが入力部50を用いて直接入力してもよい。
【0043】
図6のST105は、取得した患者情報をもとに、部位特定手段25が疾患関連情報データベースを検索する処理を示している。疾患関連情報データベース63には、患者情報と対応する疾患関連情報テーブルが格納されている。疾患関連情報テーブルの選択は、ユーザが入力部50を用いて直接選択してもよい。
【0044】
図7は、実施形態に係る医用画像表示装置100の疾患関連情報データベース63を構成する疾患関連情報テーブルの例を説明した図である。
【0045】
図7(a)は問診テーブルを示しており、患者情報として問診情報または、問診アンケート情報が選択された場合に取得されるテーブルである。問診アンケート情報は、集団検診や健康診断などにおいて取得される情報で、検診情報に含まれる。図7(a)に示した問診テーブルの例では、性別、年齢ごとの喫煙や飲酒といった生活習慣から、統計的に疾患が発生しやすい箇所を解剖学的警戒部位として示している。したがって、飲酒や喫煙以外にも肉食中心の食生活である場合に解剖学的警戒部位が大腸といった情報も問診テーブルに含まれる。
【0046】
図7(b)は症例テーブルを示しており、患者情報として問診情報または問診アンケート情報が選択された場合に取得されるテーブルである。症例テーブルは、性別、年齢ごとに咳や痰などの症状によって、統計的に疾患が発生しやすい箇所を解剖学的警戒部位として示している。ここで症状とは、患者の身体所見および患者の訴えなどに基づく情報であり、咳や痰以外にも、血圧や痛み、出血なども症状に該当する。症例テーブルにはこれらの症状から解剖学的警戒部位を特定する情報が含まれる。
【0047】
図7(c)は病理検査テーブルを示しており、患者情報として病理検査情報が選択された場合に取得されるテーブルである。病理検査テーブルは、様々な臓器で取得された細胞や組織を検査した結果、異常細胞または組織が観察された場合に解剖学的警戒部位とされる部位を示している。たとえば、図7(c)の表に示すように、スメア検査は、取得したスメアに含まれる異常細胞の種類や数によって子宮頸がんかどうか調べる検査である。この検査で異常細胞があった場合は、解剖学的警戒部位は子宮となる。
【0048】
図7(d)は生化学検査テーブルを示しており、患者情報として生化学検査情報が選択された場合に取得されるテーブルである。生化学検査テーブルは、血液、尿、便などの検査項目ごとに、所見がみられた場合に解剖学的警戒部位とされることを示している。たとえば、図7(d)の表に示すように、尿検査において、タンパク量に所見がみられた場合は、腎臓が解剖学的警戒部位となる。
【0049】
図7(e)は既往歴テーブルを示しており、患者情報として既往歴情報が選択された場合に取得されるテーブルである。既往歴とは、患者が過去罹患した疾患または現在治療中の疾患を含む、病歴情報である。既往歴テーブルは、ある疾患にかかった患者について統計的に疾患が発生し易い箇所や、ある臓器のがんで統計的に転移が発生しやすい箇所を解剖学的警戒部位としたものである。
【0050】
図7(f)は他モダリティテーブルを示しており、患者情報として他モダリティ装置での検査情報が選択された場合に取得されるテーブルである。他モダリティテーブルは、各モダリティで取得された検査画像で所見がみられた場合に、解剖学的警戒部位とされる部位を示している。たとえば、図7(f)に示したように、肺X線検査で所見がみられた場合は、精密検査として肺および気管支の検査を行う必要がある。このように、他モダリティテーブルは、他のモダリティで所見がみられた箇所または、精密検査として確認すべき箇所を解剖学的警戒部位として示したテーブルである。
【0051】
各病院の検査方針またはユーザによって解剖学的警戒部位と認定する箇所は異なる。さらに統計情報は学術研究などによって変化する。したがって、疾患関連情報テーブルの内容は、状況に応じて更新することができるものとする。
【0052】
また、患者情報には解剖学的警戒部位を示す項目を除き、対応する疾患関連情報テーブルのそれぞれの項目と同じ項目が含まれるものとする。
【0053】
図6のST107は、部位特定手段25において、疾患関連情報データベース63から検索された患者情報に対応する疾患関連情報テーブルの各行と、患者情報の内容と比較し、該当する解剖学的警戒部位を抽出する処理を示している。
【0054】
図8は、実施形態に係る医用画像表示装置100の患者の問診情報から解剖学的警戒部位を抽出する方法を説明した図である。図8(a)に示した画像データはマルチスライス画像データである。マルチスライス画像データにおいて、網掛け部分は付帯情報を示しており、それ以外の部分は複数のスライス画像を示している。付帯情報には、患者管理番号と、体形情報と、撮像条件とが含まれる。部位特定手段25では、まず図6のST103で取得された患者情報を用いて解剖学的警戒部位の抽出処理が行われる。図8(a)上部に示した太枠で囲まれた患者管理番号には「XXXX」が格納されている。患者管理番号は数字やアルファベットなどの組み合わせにより患者ごとに異なる番号が採番されている。この患者管理番号を電子カルテサーバ600に送信し、該当する患者情報が取得される。
【0055】
図8(c)は問診情報から解剖学的警戒部位を抽出する方法を示しており、図8(b)で示すように、取得される患者情報は問診情報である。一方、図8(c)は、疾患関連情報データベースに格納された疾患関連情報テーブルを示している。患者情報が問診情報であることから、検索される疾患関連情報テーブルは問診テーブルとなる。図8(b)の例において問診情報は、性別(男性)、年齢(44歳)、喫煙(なし)、飲酒(あり)の情報を有している。この情報に該当する問診テーブルの行は2行目であり、解剖学的警戒部位の列には「肝臓」が記載されている。したがって、図8(a)で示したマルチスライス画像データにおいて、部位特定手段25で抽出される解剖学的警戒部位は「肝臓」である。
【0056】
図6のST109からST113は警戒部位決定手段27が、部位特定手段25で抽出された解剖学的警戒部位が、画像データのどの位置および範囲に投影されているか判定する処理を示している。
【0057】
図6のST109は、画像データの付帯情報に含まれる患者の体形情報を用いて、体形データベース61を検索する処理を示している。
【0058】
図6のST111は、患者の体形情報と合致する体形類型の体形データを体形データベース61から取得する処理を示している。
【0059】
図9は、実施形態に係る医用画像表示装置100の患者の体形情報と対応する体形データを体形データベース61から抽出する方法を説明した図である。図9(a)は患者のマルチスライス画像データを示している。図9(a)上段の太枠で囲まれた表は、マルチスライス画像データの付帯情報に含まれる、患者の体形情報を示している。この患者の体形情報は、患者管理番号に基づいて、患者情報に含まれる患者管理情報から取得することもできる。この患者の体形情報を用いて体形データベース61に問い合わせを行い、まず、患者の体形情報がどの体形類型に該当するか検索される。患者の体形情報は身長170cm、体重62kg、年齢44歳、性別は男性を示している。この情報と対応する体形類型は、図9(b)の上段に示した体形類型「2」に該当すると判断できる。さらに、この体形類型「2」に対応する体形データとして、それぞれの解剖学的部位の身長に対する相対的位置を示す表を参照することができる。
【0060】
たとえば、図8で示したように、解剖学的警戒部位が肝臓であった場合、体形類型「2」に対応する体形データから、肝臓の相対的位置として、開始位置35.3%、終了位置44.1%という情報を取得することができる。
【0061】
図6のST113は、警戒部位決定手段27が、体形データベース61から選択した体形データを用いて、患者のマルチスライス画像データのどの位置および範囲に解剖学的警戒部位が存在するか判定する処理を示している。警戒部位決定手段27は体形データベースの体形データから解剖学的警戒部位の身長に対する相対的位置と、患者のマルチスライス画像データの付帯情報から取得した撮像条件とから、解剖学的警戒部位がマルチスライス画像データのどのスライス画像に投影されているか判定する。
【0062】
図10は、実施形態に係る医用画像表示装置100の患者のマルチスライス画像から、解剖学的警戒部位に該当するスライス画像を判定する方法を説明した図である。図10(a)は患者のマルチスライス画像データを示しており、上部の太枠で囲まれた表は、撮像条件を示している。図10(a)に示された例では、撮像条件は、スライス厚(5mm)、スライス間隔(2.5mm)、スライス枚数(680枚)、挿入方向(上下)、開始位置(頭頂部)、終了位置(足先)である。ここで、スライス厚は1枚のスライス画像を撮像する際の撮像範囲を示す。スライス間隔とは、連続するスライス画像の開始位置間の長さのことである。挿入方向は、スライス画像を撮像する方向に関する情報である。たとえば患者を頭頂部から挿入した場合は上下方向と、その逆の場合は下上方向といったような情報を表す。開始位置および終了位置は身体部位または、頭頂部もしくは足先からの距離などで表すことができる。図10の例では、開始位置(頭頂部)、終了位置(足先)とあり、全身撮像を行ったマルチスライス画像データであることを示している。
【0063】
図10(b)は解剖学的警戒部位として、疾患関連情報テーブルから「肝臓」が抽出された例を示している。この場合、警戒部位決定手段27は、解剖学的警戒部位が「肝臓」という入力情報をうけ、患者の体形情報と合致する体形データから、「肝臓」の身長に対する相対的位置を取得する。
【0064】
図10(c)は、「肝臓」の身長に対する相対的位置から、マルチスライス画像データのどの位置および範囲が肝臓のスライス画像に該当するか判定する方法を示している。図10(c)下部に示すように、患者のマルチスライス画像データの枚数は全体で680枚である。この全体の枚数に、肝臓の身長に対する相対的位置である開始位置35.3%、終了位置44.1%を示す割合をそれぞれ乗ずると、肝臓が投影されたスライス画像の番号として240〜300の数値を算出することができる。
【0065】
スライス間隔がスライス厚より小さい値を示す場合、スライス間が重なるようにスライス間隔が設定されていることになる。このような場合には、スライス厚およびスライス間隔を用いて、解剖学的警戒部位を算出する際に按分される総スライス枚数を決定することができる。また、解剖学的部位の位置および範囲が頭足方向の長さなどの絶対的位置で示されている場合も、マルチスライス画像データのスライス厚やスライス間隔から解剖学的部位の位置および範囲を換算することができる。
【0066】
図6のST115は、表示画像生成手段41が警戒部位決定手段27で判定されたスライス画像と、他のスライス画像とを区別した表示用画像データを生成し、ディスプレイに表示する処理を示している。
【0067】
図6のST117は、データ保存手段65が表示画像生成手段41で生成された表示用画像データを保存する処理を示している。表示用画像データは、図1に示された医用画像管理サーバ200、外部記憶装置500、または図2に示された内部記憶装置60に保存してもよい。
【0068】
図11は、実施形態に係る医用画像表示装置100の患者の既往歴から解剖学的警戒部位を抽出する方法を説明した図である。図8(b)と同様に、図11(a)は部位特定手段25が取得した患者情報を示している。図11(a)が示すように、部位特定手段25は、患者管理番号から、患者情報として既往歴情報を取得する。既往歴情報を用いて、疾患関連情報データベース63を検索し、対応する疾患関連情報テーブルである既往歴テーブルを取得する。取得した既往歴テーブルと患者情報の既往歴情報とを比較し、該当する行を抽出する。
【0069】
図11(a)は、既往歴1に高血圧、既往歴2に肺がんがある例を示している。この場合、図11(a)の太枠で示された既往歴1は、図11(b)の既往歴テーブルの最終行に該当し、解剖学的警戒部位として「脳、心臓」が抽出される。また、図9(a)の破線で示された既往歴2は、図11(b)の既往歴テーブルの1行目に該当し、解剖学的警戒部位として「肺、咽頭」が抽出される。このように、患者情報から選択される解剖学的警戒部位は複数になる場合もある。このように、解剖学的警戒部位が複数ある場合であっても、警戒部位決定手段27は、体形データからそれぞれの解剖学的警戒部位の身長に対する相対的位置を取得し、それらの解剖学的警戒部位が投影されたスライス画像の位置および範囲を特定することができる。
【0070】
図12は、実施形態に係る医用画像表示装置100の第1の表示例を説明した図である。図12は、肝臓が警戒部位である場合の表示画像生成手段41で生成される表示D1を示している。表示D1は、読影するスライス画像を表示する部分と、それ以外の画像を表示する部分とを有する。表示するスライス画像が警戒部位に該当する場合は、スライス画像を表示する部分に解剖学的警戒部位である旨の表示を出力する。解剖学的警戒部位を示す表示により、読影を行う医師等のユーザは、解剖学的警戒部位以外の箇所と比べて注意して読影する必要があることを把握することができる。また、表示中のスライス画像が、全体の枚数のうち何枚目であるかを表示することで、ユーザは進捗状況を把握することができる。
【0071】
読影するスライス画像以外の画像を表示する部分には、すべてのスライス画像の縮小した画像(以下、サムネイル画像という)を表示する。各サムネイル画像は対応するスライス画像とリンクしており、サムネイル画像を押下することで、読影するスライス画像を表示する部分にスライス画像を表示することができる。また、表示中のスライス画像のサムネイルは、リンクを不活性にするなど、スライス画像が表示されていない他のサムネイルと区別する。さらに、解剖学的警戒部位に該当するスライス画像のサムネイル画像は、枠を設けるなどにより、警戒部位に該当しないスライス画像のサムネイル画像と区別して表示する。このようにサムネイルで、解剖学的警戒部位と解剖学的警戒部位に該当しないスライス画像を区別することで、全体として解剖学的警戒部位がどれくらいあるかを確認することができ、読影を行うユーザが作業の見積もりを行うことができる。また、サムネイル画像がスライス画像とリンクされていることで、解剖学的警戒部位を選択して集中して読影することができる。
【0072】
図13は、実施形態に係る医用画像表示装置100の第2の表示例を説明した図である。図13図12と同様に、肝臓が解剖学的警戒部位である時の表示画像生成手段41で生成される表示D2を示している。図12と異なる点は、サムネイル画像の表示範囲が全体ではなく、部位ごとである点である。図5(c)に示された例のように、体形データベース61に格納されている体形データはすべての解剖学的部位の位置および範囲の情報を備えている。したがって、解剖学的警戒部位以外について、マルチスライス画像の、どの位置および範囲に属するかを算出することができる、したがって、解剖学的部位ごとのサムネイル画像を表示することが可能である。この表示により、解剖学的部位別に読影を行うことができ、1つのスライス画像に投影された解剖学的警戒部位に該当する臓器に特異的な病変を集中して観察することにより、見落としを減らすことができる。
【0073】
また、図12では警戒部位をサムネイル画像全体から探す必要があるが、図13では警戒部位の一覧が表示され、ユーザは一見して警戒部位がどこであるか把握することができる。図13では、解剖学的警戒部位として肺と肝臓が抽出された例を示している。解剖学的警戒部位である肺および肝臓を示す表示が一覧で表示され、これらの表示と対応するスライス画像とリンクさせることにより、選択した解剖学的警戒部位から読影を開始することができる。解剖学的警戒部位の多少を知ることができるため、作業量の見積もりや時間の見積もりが可能となる。さらに、全身の模式図を表示し、読影を開始したい解剖学的部位を模式図上で押下することで、読影を開始したい身体部位を選択させることもできる。全身の模式図において、読影中の解剖学的部位に該当する範囲、読影していない解剖学的部位と区別して表示することで、読影中の解剖学的部位の全体に対する範囲を把握することができる。このように、読影する解剖学的部位を選択できれば、より細かく読影しなければならない解剖学的警戒部位と、全体を大まかに確認する解剖学的部位とを抑揚をつけて作業を行うことができ、効率的に読影することができる。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
1 医用画像表示システム
10 通信制御装置
20 主記憶装置
21 画像記憶手段
23 患者情報取得手段
25 部位特定手段
27 警戒部位決定手段
30 プロセッサ
40 表示部
41 表示画像生成手段
50 入力部
60 内部記憶装置
61 体形データベース
63 疾患関連情報データベース
65 データ保存手段
100 医用画像表示装置
200 医用画像管理サーバ
300 モダリティ装置
400 医用画像撮像システム
500 外部記憶装置
600 電子カルテサーバ
図1
図2
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