(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の塗工白板紙の製造方法は、原紙上に、ブレード、フィルムトランスファーおよびロッド塗工方式からなる群より選択される塗工方式により下塗り塗工層を設ける工程、乾燥工程を経ることなく前記下塗り塗工層の上にカーテン塗工層を設ける工程、を含む。以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「〜」は両端の値を含む。
【0015】
1.塗工白板紙
塗工白板紙とは、原紙の片面、もしくは両面に顔料塗工層を設けた板紙であり、古紙パルプが少なくとも配合されることが好ましい。本発明で製造される塗工白板紙の坪量は、特に限定されないが一般的には150〜800g/m
2程度であり、200g/m
2以上が好ましい。塗工白板紙の紙中灰分は、10重量%以上であることが好まく、15重量%以上であることがより好ましい。灰分が10重量%より少ないと不透明度が十分に向上しないことがあるためである。塗工白板紙の白色度は、75%以上が好ましく、77.5%以上がより好ましく、80%以上がよりさらに好ましい。
【0016】
2.下塗り塗工
本工程では、原紙上に、ブレード、フィルムトランスファーおよびロッド塗工方式のいずれかから選択される塗工方式により下塗り塗工層を設ける。下塗り層は1層以上設けることができ、その場合は、ブレード、フィルムトランスファー、ロッド方式を組み合わせてもよい。
【0017】
(1)塗工方式
ブレード塗工方式とは後計量の塗工方式であり、紙面上に過剰に付着させた塗料をブレードにより掻き落として平滑に塗工する方式である。具体的には、ブレード刃先に設けた角度を用いて多くの塗料を掻き落とすベベルブレード方式やブレードの側面を紙面に押し付けて塗料を掻き落とすベントブレード方式等が挙げられる。
【0018】
ロッド塗工方式とは後計量の塗工方式であり、紙面上に過剰に付着させた塗料を回転したロッド(またはバー)により塗料を掻き落として塗工する方式である。バーの種類としてはプレーンバーや、巻き線または溝付き加工したグルーブドバーがあり、目標とする塗工量や塗料の物性によって最適なものを選択できる。
【0019】
フィルムトランスファー方式とは前計量の塗工方式であり、トランスファーロール表面に塗工液の膜を形成し、当該膜を原紙に転写する両面同時塗工が可能な塗工方式である。フィルムトランスファー方式の例としては、ゲートロールコーター、サイズプレス、ロッドメタリングサイズプレスなどが挙げられる。
【0020】
下塗り塗工における塗工量は、片面あたり乾燥重量で5〜15g/m
2程度とすることができる。本発明においては、高塗工量塗工が可能になるのでブレード塗工方式またはロッド塗工方式が好ましい。特に平滑性に優れることからブレード塗工方式が最も好ましい。
【0021】
(2)下塗り塗工液
本発明で用いる下塗り塗工液は特に限定されない。しかしながら、後述するカーテン下塗り塗工液と近い特性を有すると、本発明の効果がより顕著となるので好ましい。
【0022】
3.原紙
本発明で使用される原紙は、古紙パルプが少なくとも配合されていることが好ましい。それ以外のパルプ配合は特に制限されない。例えば、晒化学パルプ、未晒化学パルプなどを配合した原紙を使用できる。古紙パルプは、脱墨処理されていてもいなくてもよい。脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプなどを使用することができる。古紙パルプの配合率は全パルプ中50重量%以上、好ましくは80重量%以上とできる。
【0023】
原紙は、上記各種パルプを混合したものでもよいし、同一のパルプからなるものでもよいし、あるいは異なるパルプを1層以上重ねたものでもよい。例えば、中層に白色度の低いパルプを用いて、表層、裏層にそれより白色度の高いパルプを用いた原紙であってもよいし、すべての層のパルプを同じものとして複数層重ねて得た原紙であってもよい。本発明の原紙は、2層以上のパルプ層(紙層)を多層抄きしたものが好ましい。
【0024】
本発明で使用する原紙の白色度は限定されないが、白色度が低い原紙を用いるほど、本発明の効果は高くなる。本発明で使用できる原紙の白色度は、通常は45〜72%であり、50〜52%がより好ましく、55〜67%がさらに好ましい。もちろん前記範囲より低い白色度の原紙を用いても本発明の効果は奏される。前記白色度は、塗工層が設けられる側の原紙表面の白色度である。原紙が2層以上の紙層からなる多層抄きの場合は、最表層以外の各層のパルプの白色度は、特に限定されない。
【0025】
本発明によれば、最表層に、中層や裏層に使用するのと同様の低白色度のパルプを使用しても白色ムラがなく、白色度の高い塗工白板紙を得ることができる。また、本発明では、最表層のみに白色度の高いパルプを用い、中層や裏層のパルプに低白色度のパルプを用いた原紙を使用しても、白色ムラを低減した塗工白板紙を製造できる。また、原紙の白色度が72%より高い場合であっても、白色ムラを低減した塗工白板紙を製造できる。パルプの白色度は、パルプを透けない程度の厚みのシート状にして測定できる。
【0026】
このように、本発明によれば、比較的低白色度の原紙を用いても、白色度や白色ムラに優れた白板紙を製造することが可能である。古紙パルプを多く含む、または脱墨されていないパルプを含有する白色度の低い原紙を用いることはコスト面でも有利であり、環境負荷も低減できる。
【0027】
本発明においては、原紙の平滑性が低くても所望の効果が奏されるため、平滑性の低い原紙を用いてもよいが、カーテン塗工時のパドリングと呼ばれる塗料溜まりが発生しない範囲で、平滑性の高い原紙を使用することが好ましい。原紙の平滑性を高めるために、下塗り塗工前にプレカレンダー等の処理を行なってもよい。プレカンレンダー処理は、特に自在な温度設定が可能でありロール自体を発熱する誘導発熱機構およびロール表面全体の温度を均一化するヒートパイプ機構を備えるロール(以下、「誘導発熱ロール」ということがある)を用いることが好ましい。このようなロールとしては、トクデン社製「ジャケットロール(登録商標)」などが例示できる。誘導発熱ロールは、ロール内部に誘導発熱方式の熱源を有し、所望のロール表面温度を正確に制御する。誘導発熱方式としては誘導コイルが挙げられる。また誘導発熱ロールは、ロール表面全体の温度を均一化するヒートパイプ機構を備える。ヒートパイプ機構としては、ロール表面近傍に円周面に沿って設けられたジャケット室が挙げられる。
さらに、原紙の平滑性を改善する手段として、下塗り塗工前に、澱粉を主成分としたクリア塗料または顔料を含んだ塗料を原紙に塗工(プレ塗工)することができる。
【0028】
4.カーテン塗工
カーテン塗工とは、塗工液をカーテン状に流下させて膜を形成し、その膜に原紙を通すことにより原紙上に塗工層を設ける塗工方式である。カーテン塗工は、原紙に沿って塗工層が形成される輪郭塗工であり、また、いわゆる前計量方式であるため塗工量の制御が容易であるという特徴を有する。
【0029】
本発明では、前記下塗り塗工層を設けた後、乾燥工程を経ることなく、カーテン塗工を行う。すなわち、ウェットオンウェット方式によってカーテン塗工を実施する。乾燥工程には、強制的に水分を蒸発させ乾燥させるドライヤーなどを用いる工程や、自然乾燥により常温で乾燥させる工程も含まれる。本発明においては、自然乾燥を防ぐことからも下塗り層を塗工後、20秒以内にカーテン塗工層を塗工することが好ましい。
【0030】
カーテン塗工層は輪郭塗工であるため、一般的にカーテン塗工層の平滑度は直下の層の平滑度への依存度が高い。そのため、カーテン塗工層の下にブレードやロッドなどで平滑な下塗り層を設けることにより、塗工白板紙の平滑性も向上させることができる。さらに、本発明においては下塗り層を乾燥させずにカーテン塗工層を設けるので、乾燥による下塗り塗工層の収縮、変形などが起きず、結果として塗工白板紙の平滑度が向上する。特に、ウェットオンウェット方式を採用することで塗工層の境界付近で塗工液が混じり合い、層の境界が不明確になることにより、隠蔽性が向上すると推察される。
【0031】
下塗り塗工層を2層以上設ける場合は、これらの下塗り塗工層同士がウェットオンウェット方式で塗工される必要はない。しかしながら、最外の下塗り塗工層(カーテン塗工層に隣接する下塗り塗工層)を乾燥せずにカーテン塗工層を設ける必要がある。
【0032】
1種類の塗工液からなるカーテン膜を形成してカーテン塗工を実施してもよいが、本発明においては2種類以上の塗工液から1つのカーテン膜を形成し、該カーテン膜に下塗り塗工層が設けられた原紙を通して2層以上のカーテン塗工層を形成することが好ましい。複数のカーテン塗工膜を有することで、後述するように塗工白板紙の白色度等を向上できるからである。当該カーテン塗工層は、塗工白板紙の最外層である最外塗工層を含むことが好ましい。当該最外塗工層をカーテン上塗り塗工層、当該層を形成する塗工液をカーテン上塗り塗工液ともいう。また、上記最外層に隣接し、より原紙に近いカーテン塗工層をカーテン下塗り塗工層、当該層を形成する塗工液をカーテン下塗り塗工液ともいう。
【0033】
本発明においては、カーテン塗工液中の顔料、接着剤、その他の添加剤については特に限定されない。本発明では、水と必要な成分とを混合して塗工液を調整する。塗工液の調製においては、ミキサー等の通常の混合手段を用いてよい。
【0034】
カーテン塗工層が複数存在する場合、各層は同じ性質のものでもよいし、異なる性質のものでもよい。例えば、特定の白色度を達成できる上塗り塗工液と、特定の比散乱係数を達成できる下塗り塗工液の2つの塗工液を同時にカーテン塗工することができる。これにより原紙の白色度が低くても、白色度が高くかつ白色ムラを低下させた塗工白板紙を製造できる。この理由は限定されないが、次のように推察される。
【0035】
そもそも塗工によって表面の白色度を高くするには、塗工層の白色度が塗工前の表面よりも高く、かつ塗工層が光散乱性を持つ必要がある。一般に、塗工層の白色度が塗工前の表面の白色度に対して高いほど、塗工後の白色度は高くなる。しかしながら、塗工層の白色度が塗工前の表面の白色度に対して十分に高い場合であっても、光散乱性が高くなければ、塗工前の表面を十分に隠蔽できず、白色度を高くする効果は低い。ここで、塗工層の白色度と光散乱性のどちらが塗工後の白色度の向上に対してより有効かについては、塗工前の表面の白色度によって異なると考えられる。具体的には、塗工前の表面の白色度が低い場合には、表面を隠蔽する必要性が高いために、光散乱性が高いことが有効であり、一方、塗工前の表面の白色度が高い場合には、表面を隠蔽する必要性が低いために、白色度が高いことが有効であると考えられる。これを前提として本発明について推察すると次のとおりとなる。下塗り層は、白色度が低くかつチリの多い原紙の上に設けられるため、これらを隠蔽して白色度を効果的に高くするには、白色度が高いことよりも光散乱性が高いことの方が有効と考えられる。このとき、下塗り層の白色度は通常の処方においては原紙の白色度よりも十分に高いため、必要とされる条件は十分に満たしていると考えられる。一方、上塗り層は、下塗り層によってある程度隠蔽された、白色度が比較的高い表面に設けられると考えることができる。したがって、上塗り塗工層の白色度は、そのような表面に比べてさらにもう一段階高い必要があるが表面を隠蔽する必要性は相対的に低いと考えられる。以上、特定の白色度を達成できる上塗り塗工液と、特定の比散乱係数を達成できる下塗り塗工液の2つの塗工液を同時にカーテン塗工すると、原紙の白色度が低くても、白色度が高くかつ白色ムラを低下させた塗工白板紙を製造できると考えられる。
【0036】
以下に、特定の白色度を達成できる上塗り塗工液と、特定の比散乱係数を達成できる下塗り塗工液の2つの塗工液を同時にカーテン塗工する場合を例に挙げ、各成分等について詳細に説明する。
【0037】
(1)カーテン下塗り塗工液
1)カーテン下塗り塗工層の光散乱性
カーテン下塗り塗工層は、原紙をより効果的に隠蔽するために、光散乱性が高いことが好ましい。塗工層の光散乱性は、単位塗工量あたりの散乱性、すなわち比散乱係数を指標とすることができる。比散乱係数が高いほど、塗工層の隠蔽性が高い。
【0038】
塗工層の比散乱係数は以下のように測定できる。
i)透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ100μm、不透明度5%以下)上に、塗工液をメイヤーバーにより乾燥後の塗工層の重量が20g/m
2前後になるように塗布し、塗工層の重量W[g/m
2]を天秤により正確に測定する。乾燥は105℃で30分以上、水分減少量の変動がなくなるまで行う。
ii)次に、この塗工したフィルムに黒色板を裏あてし、反射率計を用いて塗工層の反射率を測定し、反射率R0を得る。
iii)オーブンを用いて、塗工液を105℃で30分以上、水分減少量の変動がなくなるまで乾燥し、透けない程度の十分な厚み(1mm以上)を有するペレットを得て、その反射率R∞を前述のとおり測定する。
iv)これらの値を用いて、TAPPI T425(ISO 9426)に規定される次式により、比散乱係数sを算出する。
【0039】
a = 0.5 [(1/R
∞)+ R
∞]
b = 0.5 [(1/R
∞) − R
∞)]
X = [1 − aR
0]/[bR
0]
s = 1/W ×(0.5/b) ln [(X + 1)/(X − 1)]
【0040】
カーテン下塗り塗工層の比散乱係数は80m
2/kg以上が好ましく、90m
2/kg以上がより好ましく、120m
2/kg以上がさらに好ましい。比散乱係数が80m
2/kgより低いと十分な隠蔽性を得られない。また、通常の白板紙の塗工層に用いられる成分を含有している場合、比散乱係数の上限は250m
2/kg程度であると考えられる。
【0041】
カーテン下塗り塗工層の白色度は、白色度の低い原紙を隠蔽し塗工後の白色度を高くするために、塗工する面の原紙の白色度よりも高いことが好ましい。下塗り塗工層の白色度の好ましい範囲は75〜95%であり、より好ましくは80〜95%である。
【0042】
カーテン下塗り塗工層を原紙上に塗工した後に、塗工層側から測定した白色度は、上塗り塗工層の白色度よりも低い方が好ましい。具体的には、当該白色度は85%未満であることが好ましい。
【0043】
2)カーテン下塗り塗工液の各成分
上記の性質を有する下塗り塗工層を得るために、カーテン下塗り塗工液は、特定の顔料と接着剤(バインダー)を含むことが好ましい。顔料としては、隠蔽性の高い顔料が好ましい。カーテン下塗り塗工液を上記の比散乱係数の範囲とするためには、粒子径の分布が狭く光散乱性の高い軽質炭酸カルシウムを主として用いることが好ましい。含有率は特に制限されないが、顔料100重量部中、軽質炭酸カルシウムの含有量が20〜100重量部であると隠蔽効果が顕著となる。より好ましくは50重量部以上である。軽質炭酸カルシウムの形状としては、立方体状、紡錘状、針状などがあり、いずれを使用してもよいが、紡錘状あるいは針状のものを使用した場合に特に隠蔽効果が高くなる。軽質炭酸カルシウムの粒子径としては、平均粒子径(D50)で0.2〜0.8μmが好ましく、0.2〜0.5μmがさらに好ましい。軽質炭酸カルシウムの代わりとして、粒度分布が狭くなるように制御したエンジニアード重質炭酸カルシウムやエンジニアードカオリンを含有させてもよいが、隠蔽性は軽質炭酸カルシウムよりも劣る。
【0044】
また、顔料として粒子内に空隙を含むことにより高い光散乱性を有する焼成カオリンを一定量用いることが好ましい。焼成カオリンの粒子径としては、平均粒子径(D50)で1.0〜3.0μmが好ましく、1.5〜2.5μmがさらに好ましい。焼成カオリンの含有率は、顔料100重量部中、5〜20重量部が好ましい。当該量が5重量部より少ないと隠蔽効果が不十分となることがある。また、当該量が20重量部よりも多い場合は次の理由から、塗工液の固形分濃度を低下させる傾向にある。焼成カオリンは、他のカオリンと同様、塗工液に含有させる前に水中に分散させスラリーとする必要があるが、焼成カオリンの場合は粒子内に空隙を含む特徴のために、スラリーの固形分濃度を高くすることができない。したがって、そのようなスラリーを塗工液中に多く含有させると、塗工液の固形分濃度が低下する。焼成カオリンの代わりとして、屈折率が高いことにより高い光散乱性を有する二酸化チタンを使用してもよいが焼成カオリンに比べ接着剤の量を多く必要とするために表面強度が劣りやすい。また、二酸化チタンよりも、焼成カオリンの方が塗工白板紙の平滑性が向上するという利点もある。
【0045】
また、上記の顔料に加えて、平均アスペクト比が30〜60の顔料、例えばデラミネーテッドカオリンを下塗り塗工層に併用することもできる。平均アスペクト比が30〜60の顔料は、白色ムラ、保水性をさらに向上させる。これは、顔料の隙間を扁平な顔料が埋めることにより脱水が抑制され保水性が良好になることによると推測される。平均アスペクト比が30〜60の顔料の量は特に制限されないが、全顔料中20〜100重量%とすることが好ましく、40重量%以上とすることがより好ましい。
【0046】
接着剤は特に制限されないが、例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、およびアクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。本発明においては、塗料の増粘が低い、合成系接着剤が好適である。また、低重合度(重合度500程度)ポリビニルアルコールは粘度を大幅に上昇させることなく接着効果も高めることができるので併用することが好ましい。
【0047】
3)カーテン下塗り塗工液の特性
カーテン下塗り塗工液の固形分濃度は、好ましくは40〜75重量%であり、より好ましくは50〜70重量%であり、さらに好ましくは60〜70重量%である。カーテン下塗り塗工液の固形分濃度が40重量%未満であると、塗工乾燥時における塗工層の体積変化が大きくなり、結果として塗工後の表面平滑性が低下することがある。また前記濃度が75重量%より多いと、塗工液の流動性が悪化し、均一なカーテン膜を形成することが難しくなることがある。
【0048】
カーテン下塗り塗工液のB型粘度は、均一で安定したカーテン膜を形成するために、また塗工液を配送するのに適切となるよう、30℃において100〜2000mPa・sの範囲であることが好ましい。前記粘度が100mPa・s以下であると、塗料中の水分が原紙に過剰に染みこみ原紙が膨潤するため塗工後の表面平滑性が低下することがあり、さらには乾燥に必要なエネルギーも増加しがちである。また、前記粘度が2000mPa・sより大きいと、塗料の流動性が劣り、安定なカーテン膜を形成しにくくなる。
【0049】
また、カーテン下塗り塗工液の塗工液の表面張力は、少ない流量においても均一で安定したカーテン膜を作成するために、40mN/m以下が好ましく、35mN/m以下がより好ましく、30mN/m以下であることがさらに好ましい。表面張力は、後述するとおり界面活性剤を添加することで調整できる。
【0050】
(2)カーテン上塗り塗工液
1)カーテン上塗り塗工層の白色度
カーテン上塗り塗工層の白色度は85%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。カーテン下塗り層によって隠蔽され白色度が向上した表面の上に、当該上塗り層を設けることで、塗工白板紙の白色度をより一層高めることができる。
カーテン上塗り塗工層の隠蔽性は、本発明の白板紙の品質には影響しないため、カーテン下塗り塗工層ほど高い必要はなく特に限定されないが、通常の範囲において、70m
2/kg以上であることが好ましい。
【0051】
2)カーテン上塗り塗工液の成分
カーテン上塗り塗工液は顔料と接着剤を含んでなる。顔料としては白色度の高いものが好ましく、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、高白色カオリン、二酸化チタン、プラスチックピグメント等が挙げられる。これらの顔料は単独で使用できるが、必要に応じて二種以上を混合して使用してもよい。中でも、比較的安価である重質炭酸カルシウムあるいは軽質炭酸カルシウムを主成分とすることが好ましい。重質炭酸カルシウムの平均粒径(D50)は0.3〜2.0μmが好ましく、0.5〜1.0μmがさらに好ましい。重質炭酸カルシウムを用いた場合、比散乱係数は高くないが白色度が高くなる。さらに重質炭酸カルシウムは安価であるため、カーテン上塗り層に使用する顔料として好適である。軽質炭酸カルシウムについては既に述べたとおりである。重質炭酸カルシウムあるいは軽質炭酸カルシウムの含有率は特に制限されないが、顔料100重量部中、炭酸カルシウムの含有量が50重量部以上、好ましくは70重量部以上であると白色度向上の効果が顕著となる。
【0052】
また、二酸化チタンは通常塗工液に用いられる顔料の中では最も高い白色度を有するので一定量含有させることが好ましい。二酸化チタンの含有量は、顔料100重量部中、5〜20重量部が好ましい。当該量が5重量部より少ないと塗工層の白色度の向上効果が十分でなく、20重量部より多いと接着剤の必要量が多くなるために、表面強度が低下することがある。
【0053】
接着剤は特に制限されず、塗工紙用に従来から用いられている接着剤を使用できる。接着剤の例には、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、およびアクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤が含まれる。接着剤は、1種類以上を適宜選択して使用できる。好ましい態様において、これらの接着剤は顔料100重量部当たり5〜50重量部、より好ましくは8〜30重量部程度の範囲で使用される。塗料の粘度を大幅に上昇させることがないことから、合成系接着剤が好ましい。
【0054】
界面活性剤を用いて、前記上塗りまたは下塗り塗工液の動的表面張力を調整できる。界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤が存在するが、本発明においてはアニオン性界面活性剤が好ましい。カチオン性界面活性剤は塗工液中の顔料を凝集させやすくなる。また、ノニオン性界面活性剤は塗工液に十分な濡れ性を与えにくい。アニオン性界面活性剤の例には、スルホン酸系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤およびカルボン酸系界面活性剤が含まれる。これらの中でも、塗工液の濡れ性をより良好とできるため、スルホン酸系界面活性剤が好ましく、特にアルキルスルホコハク酸が好ましい。好ましい態様において、これらの界面活性剤は顔料100重量部当たり0.1〜2重量部、より好ましくは0.2〜1重量部程度の範囲で使用される。
【0055】
前記上塗りまたは下塗り塗工液には、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。
【0056】
3)カーテン上塗り塗工液の特性
上塗り塗工液の固形分濃度は、好ましくは40〜75重量%であり、より好ましくは50〜70重量%であり、さらに好ましくは60〜70重量%である。上塗り塗工液の固形分濃度が、40重量%未満であると、塗工乾燥時における塗工層の体積変化が大きくなり、結果として塗工後の表面平滑性が劣ることがある。また前記濃度が75重量%より多いと、塗工液の流動性が悪化し、均一なカーテン膜を形成することが難しくなることがある。
【0057】
カーテン上塗り塗工液のB型粘度は、均一で安定したカーテン膜を形成するために、また塗工液を配送するのに適切となるよう、30℃において100〜2000mPa・s範囲であることが好ましい。前記粘度が100mPa・s以下であると、塗料中の水分が原紙に過剰に染みこみ、原紙が膨潤するため、塗工後の表面平滑性が低下することがある。また乾燥に必要なエネルギーも上昇する。また、2000mPa・sより大きいと、塗料の流動性が劣り、安定なカーテン膜を形成できないことがある。
【0058】
塗工液の表面張力は、少ない流量においても均一で安定したカーテン膜を作成するために、40mN/m以下が好ましく、35mN/m以下がより好ましく、30mN/m以下であることがさらに好ましい。
【0059】
(3)カーテン塗工
本発明では、複数の塗工液から、複数の層を含む1のカーテン塗工膜を形成し、原紙またはプレ塗工された原紙に下塗り層を設けた後、当該原紙を前記カーテン膜に通してカーテン塗工層を形成することが好ましい。複数の塗工液から複数のカーテン膜を形成してカーテン塗工すると、走行する紙にカーテン膜が接触する際にカーテン膜にある程度の乱れが生じることが不可避であるが、複数の塗工液から1つのカーテン膜を形成させて複数の塗工層を同時にカーテン塗工すると、塗工層間の層構造を維持することができる。
【0060】
本発明においてカーテン塗工層の塗工量は、各層の合計で、片面あたり乾燥重量で5〜50g/m
2が好ましく、10〜40g/m
2が好ましく、11〜35g/m
2がより好ましい。塗工量が5g/m
2未満では、塗工層が薄くなり、白板紙の白色度、白色ムラを十分に改善しにくい場合がある。一方、一つの層の塗工量が45g/m
2を越えると、塗工時の乾燥性が悪くなるなど操業性が低下したり、バインダーマイグレーションによる印刷ムラの原因になったりすることがある。カーテン塗工層の塗工量は、各層の合計で、片面あたり45g/m
2以下の塗工量とすることが最も好適である。
【0061】
本発明においては、カーテン下塗り塗工層の塗工量とカーテン上塗り塗工層の塗工量は、特に制限されないが、隠蔽性と白色度を両立させるということから、乾燥重量で片面あたり、カーテン下塗塗工層が10〜30g/m
2、カーテン上塗り塗工層が1〜5g/m
2の範囲であることが好ましい。
【0062】
本発明においては、カーテン塗工に用いられる公知の装置を使用することができる。カーテン塗工装置の形状として公知であるものは、ダイから塗工液を下向きに吐出することにより直接カーテン膜を形成するスロット型カーテン塗工装置と、ダイから塗工液を上向きに吐出し、ダイ上の斜面で塗工液の膜を形成しつつ流動していき、その後ダイを離れて自由落下することによりカーテン膜を形成するスライド型カーテン塗工装置がある。本発明においてはいずれの装置を使用してもよい。
【0063】
本発明の塗工速度は、特に制限されないが、一般的には100〜800m/分程度である。塗工速度が過度に高速になると、クレーターが生じる傾向にある。
【0064】
カーテン塗工液を塗工した後に乾燥する方式は、特に制限されないが、本発明においては、赤外線乾燥方式と熱対流乾燥方式を組み合わせて乾燥することが好ましい。赤外線乾燥方式とは赤外線によって乾燥する方式であり、具体的に電気、ガス燃焼などにより赤外線を発生させる。本発明においてはいずれの方法で赤外線を発生させてもよい。熱対流乾燥方式とは、熱風を塗工層に吹き付けて乾燥する方式であり、具体的には塗工面のみに熱風を吹き付ける片面乾燥方式と、両面より吹き付ける両面乾燥方式がある。本発明においては、乾燥効率、操業安定性がよいことから、両面乾燥方式が好ましい。実際には、赤外線乾燥方式と熱対流乾燥方式を組み合わせた複合型乾燥機を用いて乾燥することが好ましい。複合型乾燥機は、エネルギー密度が高く、かつ、循環エアダクト用のスペースが不要なので、設置スペースが狭くても設置できるという利点がある。
【0065】
このような乾燥方式により、所期の効果が奏される理由は限定されないが、以下のように考えられる。塗工直後のカーテン塗工層をエアードライヤーなどで乾燥させると、塗工層の表面を痛める、バインダーマイグレーションを強く発生させて印刷ムラを引き起こす等の不具合が生じる。しかし、赤外線乾燥方式では、そのエネルギーが、塗工層や原紙の中まで均一に浸透するので、高い乾燥力を有するにもかかわらず表面を痛めることがない。したがって塗工直後のカーテン塗工層に赤外線方式の乾燥を施すと嵩高な塗工層が維持できる。また、風による塗工層表面の荒れを抑制できるため平滑性も向上する。しかしながら赤外線乾燥方式のみでは、塗工量が多い場合には、十分な乾燥ができない。そのため、赤外線方式に熱対流乾燥方式を組み合わせることにより、乾燥効率を向上できる。その結果、カーテン塗工層の嵩高さを維持したまま、塗工量の多い塗工層を最適な水分量に乾燥させることができる。さらに、乾燥時間を短くすることができるので塗工液の浸透ムラを抑制できる。
【0066】
5.表面平滑化処理
本発明の塗工白板紙は、原紙上に塗工層を設けた後、通常の乾燥工程を経て製造されるが、必要に応じて表面処理工程等で平滑化処理してもよい。好ましい態様において、製造後の塗工白板紙の水分が3〜10重量%、より好ましくは4〜8重量%程度となるように調整して仕上げられる。平滑化処理には、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ、熱キャレンダ、シューキャレンダ等の平滑化処理装置を用いることができる。
平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。
【0067】
6.その他
また、本発明においては、剛度およびカール抑制のために、カーテン塗工層を設けていない面にクリアもしくは顔料塗工層を設けてもよい。裏面塗工層を形成する塗工液には、必要に応じて、従来から公知公用の顔料やバインダー、および、分散剤、粘性改良剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、蛍光染料、着色染料、着色顔料、界面活性剤、pH調整剤、カチオン性樹脂、アニオン性樹脂、紫外線吸収剤、金属塩など、通常の塗工液に配合される各種助剤を適宜使用できる。
【0068】
前記原紙裏面のクリアもしくは顔料塗工層の塗工量は、特に制限されないが、一般的に片面あたり固形分で0.1〜5g/m
2程度である。また、裏面塗工層の塗工方法や乾燥させる方法は制限されない。例えば、公知のサイズプレス装置、例えば、2ロールタイプ、3ロールタイプ、ゲートロールタイプ、フィルム転写タイプ、カレンダータイプや、カーテンコーター、スプレーコーター、ブレードコーターなどのコーター(塗工機)を使用して塗布した後に、蒸気加熱シリンダ、加熱熱風エアードライヤー、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の乾燥工程を単独、もしくは併用して用いてもよいし、乾燥工程を経なくてもよい。
【実施例】
【0069】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されない。特に断らない限り、本明細書において部および%はそれぞれ重量部および重量%を示し、数値範囲はその端点を含む。表1に塗工層の組成を示し、表2に操業条件および評価結果を示す。
【0070】
<評価方法>
(1)白色度:JIS P8148「紙,板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。塗工層の白色度については、塗工液をオーブンにより乾燥し、十分な厚み(1mm以上)を持ったペレット状にして測定した。乾燥は、オーブンを用い、105℃で30分以上、水分減少量の変動がなくなるまで実施した。
(2)白色ムラ:以下の基準:
◎:ムラが全く目立たない
○:軽度のムラが認められる
△:ムラが認められ、実用上問題となる可能性がある
×:顕著なムラが認められ、実用に適さない
を用いて、目視により評価した。
【0071】
(3)塗工層の比散乱係数:前述したとおり、TAPPI T425(ISO 9426)に規定される式に基づいて算出した。
(4)平滑度:JIS P8151「紙及び板紙−表面粗さ及び平滑度試験方法(エア・リーク法)−プリント・サーフ試験機法」に準拠し、測定ヘッドの圧力差が19.6±0.1kPaである場合における平滑度を測定した。
(5)密度
坪量および紙厚をJIS P 8124およびJIS P 8118に準じてそれぞれ測定し、JIS P 8118に準じて坪量と紙厚から密度を求めた。
【0072】
[実施例1]
<原紙>
脱墨古紙100%の割合で配合したパルプを使用して白色度70%、米坪40g/m
2の表層、脱墨しない雑誌古紙100%で配合したパルプを使用して白色度55%、米坪220g/m
2の中層、中層と同様のパルプを使用して白色度45%、米坪40g/m
2の裏層をそれぞれ抄造し抄き合わせ、プレス、乾燥処理を行い、米坪300g/m
2の塗工白板紙原紙を得た。原紙の白色度は65%であった。抄紙速度は300m/分であった。
【0073】
<下塗り塗工液>
紡錘状軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP−221−70GS、D50=0.5μm、D75/D25=2.5)55重量部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)45重量部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(旭化成ケミカル社製、ALB1735)14重量部を添加し下塗り塗工液を得た。
【0074】
<カーテン下塗り塗工液>
紡錘状軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP−221−70GS、D50=0.5μm、D75/D25=2.5)75重量部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)15重量部、焼成カオリン(Imerys社製、Alphatex)10重量部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(旭化成ケミカル社製、ALB1735)14重量部、PVA(クラレ社製ポリビニルアルコール、ポバール105)0.5重量部、界面活性剤(日本乳化剤社製、Newcol291−PG)0.5重量部を添加した。この混合物にさらに水を添加して、30℃、60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整し、固形分濃度63%、静的表面張力30mN/mの下塗り塗工液を得た。
【0075】
<カーテン上塗り塗工液>
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、FMT97、D50=0.7μm、D75/D25=3.8)95重量部、二酸化チタン(Dupont社製、RPS−V)5重量部からなる顔料スラリーを調整した後、顔料100重量部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(旭化成社ケミカル製、ALB1443)14重量部、界面活性剤(日本乳化剤社製、Newcol291−PG)0.5重量部を添加し、さらに水を添加して60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整し、固形分濃度66%、静的表面張力30mN/mの上塗り塗工液を得た。
【0076】
<塗工>
ブレード塗工装置を用いて、上記下塗り塗工液を原紙の両面に乾燥後の固形分重量で片面あたり8g/m
2となるように塗工した後、乾燥工程を経ずに、直ちに、スライド型カーテン塗工装置を用いて、上記2つのカーテン塗工液から複数の層を有する1のカーテン膜を形成し、当該カーテン膜に原紙を通して同時2層塗工を行い、乾燥した。塗工量は、乾燥後重量で片面当たり、カーテン下塗り塗工層が18g/m
2、カーテン上塗り塗工層が4g/m
2であった。得られた塗工白板紙の坪量は330g/m
2であった。塗工速度は、オンマシンにより抄紙と一貫して行ったため、抄紙速度と同じく300m/分であった。
【0077】
<仕上げ処理>
得られた塗工白板紙をカレンダー処理することにより、塗工白板紙を得た。処理速度は、オンマシンにより抄紙、塗工と一貫して行ったため、抄紙速度および塗工速度と同じく300m/分であった。
【0078】
[実施例2]
実施例1の下塗り塗工を、ロッド塗工(バー塗工)に変えた以外は実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
【0079】
[実施例3、4]
表1に記載の配合で塗工液を調製し、表2に記載の塗工条件となるように塗工を行った以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。実施例3はカーテン塗工方式をスロット型に変更した例であり、実施例4はカーテン塗工液を変更した例である。
【0080】
[比較例1]
ブレード塗工後、乾燥し、次いでカーテン塗工を行った以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
表2から、本発明の製造方法で得た塗工白板紙は、白色ムラが少なく優れていることが明らかである。これに対し、比較例1は平滑性に劣り、密度も上昇した。