(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より、例えば生体の脳血流の評価などの為に、O−15水等の放射性薬剤を利用したPET計測が行われている。このようなPET計測の際には、放射性薬剤を繰り返し投与する場合があり、作業者の被曝低減のためには自動投与装置を使用することが望ましい。特許文献1に記載された放射性薬剤注入装置は、自動投与装置の一つである。特許文献1に記載された放射性薬剤注入装置は、大型動物の他に、例えばマカクザルなどの中型動物実験に利用されることができる。
【0005】
この放射性薬剤注入装置では、放射性薬剤を注入する前に、例えばエアーベント付きフィルターから留置針までの薬剤流路を予め非放射性水(例えば生理食塩水)によって満たしておく必要がある。これは、放射性薬剤を注入する際に、生体である薬剤投与対象に空気を注入しないようにするためである。また、上記薬剤経路を放射性薬剤によって満たすと、作業者の被曝増加に繋がるからである。従って、放射性薬剤を注入する際には、予め満たされた非放射性水に続いて放射性薬剤が注入されることとなる。
【0006】
この放射性薬剤注入装置は、薬剤投与対象が例えばマーモセット類などの小型動物である場合に、以下の課題を有する。すなわち、薬剤投与対象が小型動物である場合、注入される総液量(非放射性水の液量と放射性薬剤の液量との和)を低減することが求められる。例えば、体重3〜5kgのサルに注入可能な液量が2〜3mlであるのに対し、マーモセット類などの小型動物に注入可能な液量は例えば0.3mlといった少量である。しかし、PET計測に必要な放射性薬剤については十分な液量を注入することが好ましい。従って、非放射性水の液量を低減することが望まれる。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、薬剤投与対象に注入される非放射性水の液量を低減することができるルアーコネクタ及び薬剤注入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるルアーコネクタは、非放射性水に続いて放射性薬剤を生体内に注入する薬剤注入装置に用いられるルアーコネクタである。このルアーコネクタは、非放射性水を収容する水容器及び放射性薬剤を収容する薬剤容器に接続され、非放射性水及び放射性薬剤を通過させる通過孔を有する筒状のオスルアー部と、薬剤注入装置の留置針が一端に取り付けられたチューブの他端に設けられ、オスルアー部と嵌合するオスルアー部嵌入穴を有するメスルアー部と、を備える。メスルアー部は、オスルアー部との嵌合時にオスルアー部の通過孔に挿入される筒状のスペーサ部を有する。スペーサ部の外周面はテーパ形状を有する。
【0009】
上記のルアーコネクタを備える薬剤注入装置では、薬剤投与の際、放射性薬剤を収容する薬剤容器から放射性薬剤が上記ルアーコネクタを通って留置針に達し、薬剤投与対象に注入される。薬剤容器と留置針との間に上記ルアーコネクタが介在しているのは、エアーベント付きフィルターから留置針までの薬剤流路を取り替え可能とするためである。本発明者は、従来のルアーコネクタのオスルアー部の内部空間を減少させることによって、予め満たされる非放射性水の液量を低減し得ることを見出した。
【0010】
すなわち、上記ルアーコネクタは、筒状のオスルアー部と、オスルアー部と嵌合するオスルアー部嵌入穴を有するメスルアー部とを備えており、メスルアー部は、オスルアー部との嵌合時にオスルアー部の通過孔に挿入される筒状のスペーサ部を有する。このように、筒状のスペーサ部がオスルアー部の通過孔内に配置されることによって、オスルアー部の通過孔の内部空間の容積を減少させることができる。従って、上記ルアーコネクタによれば、ルアーコネクタ内に予め満たされる非放射性水の液量を低減し、これにより薬剤投与対象に注入される非放射性水の液量を低減することができる。よって、より多くの放射性薬剤を生体に注入することが可能となる。また、スペーサ部の外周面がテーパ形状を有することによって、スペーサ部がオスルアー部の通過孔内に容易に挿入されることができる。
【0011】
また、上記ルアーコネクタにおいては、スペーサ部の外周面の一部がテーパ形状を有してもよい。このような場合においても、スペーサ部がオスルアー部の通過孔内に容易に挿入されることができる。
【0012】
また、上記ルアーコネクタにおいては、スペーサ部が、液体に触れることにより膨潤する材料を含んでもよい。これにより、薬剤投与対象に注入される非放射性水の液量を更に低減することができる。
【0013】
また、上記ルアーコネクタにおいては、チューブが、メスルアー部のオスルアー部嵌入穴とは反対側の一端とオスルアー部嵌入穴との間を貫通してオスルアー部嵌入穴の内部に延びており、スペーサ部が、チューブと通過孔の内面との間に配置されてもよい。これにより、メスルアー部にスペーサ部を容易に取り付けることができる。
【0014】
また、本発明による薬剤注入装置は、非放射性水に続いて放射性薬剤を生体内に注入する薬剤注入装置である。この薬剤注入装置は、放射性薬剤を収容する薬剤容器と、非放射性水を収容する水容器と、薬剤容器内の放射性薬剤を吸引したのち放射性薬剤を押し出す薬剤送出シリンジと、水容器内の非放射性水を吸引したのち非放射性水を押し出す水送出シリンジと、非放射性水及び放射性薬剤が通過する通過孔を有する筒状のオスルアー部と、オスルアー部の外周面と嵌合する内周面を有するオスルアー部嵌入穴を有するメスルアー部と、薬剤注入装置の留置針とメスルアー部とを繋ぎ、非放射性水及び放射性薬剤が通過するチューブと、を備える。メスルアー部は、オスルアー部との嵌合時にオスルアー部の通過孔に挿入される筒状のスペーサ部を有する。スペーサ部の外周面はテーパ形状を有する。
【0015】
上記の薬剤注入装置では、薬剤投与の際、薬剤容器から放射性薬剤がオスルアー部及びメスルアー部を通って留置針に達し、薬剤投与対象に注入される。薬剤容器と留置針との間にオスルアー部及びメスルアー部が介在しているのは、エアーベント付きフィルターから留置針までの薬剤流路を実験毎に取り替えるためである。本発明者は、従来のオスルアー部の内部空間を減少させることによって、予め満たされる非放射性水の液量を低減し得ることを見出した。
【0016】
すなわち、上記の薬剤注入装置は、筒状のオスルアー部と、オスルアー部と嵌合するオスルアー部嵌入穴を有するメスルアー部とを備えており、メスルアー部は、オスルアー部との嵌合時にオスルアー部の通過孔に挿入される筒状のスペーサ部を有する。このように、筒状のスペーサ部がオスルアー部の通過孔内に配置されることによって、オスルアー部の通過孔の内部空間の容積を減少させることができる。従って、上記の薬剤注入装置によれば、ルアーコネクタ内に予め満たされる非放射性水の液量を低減し、これにより薬剤投与対象に注入される非放射性水の液量を低減することができる。よって、より多くの放射性薬剤を生体に注入することが可能となる。また、スペーサ部の外周面がテーパ形状を有することによって、スペーサ部がオスルアー部の通過孔内に容易に挿入されることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるルアーコネクタ及び薬剤注入装置によれば、薬剤投与対象に注入される非放射性水の液量を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明によるルアーコネクタ及び薬剤注入装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤注入装置1Aの構成を示す図である。この薬剤注入装置1Aは、生体の生理学的な検査を行うため、ラジオアイソトープ(RI)でラベルされた放射性薬剤412を生体に注入するための装置であって、注入されたRIは放射線検出器を用いて測定される。
【0021】
RIバイアル411は、放射性薬剤412を収容する薬剤容器である。RIバイアル411は、開口部を有するガラス製の容器であり、この開口部はゴム製のキャップによって封止されている。そして、このキャップには注入針311,321,31が貫通している。注入針311,321,31にはチューブ310,320,30がそれぞれ接続されて、この内部を流れる液体および気体の流路を確保している。RIバイアル411は、RIカウンターユニット410内に配置されている。RIカウンターユニット410には放射線カウンター410aが備えられており、RIバイアル411内の放射線量を測定する。
【0022】
チューブ30は、複合チェックバルブC2を介して、薬剤送出シリンジ230aおよびチューブ40の一端に接続されている。複合チェックバルブC2は、チェックバルブC2aおよびC2bを有しており、RIバイアル411からの放射性薬剤412は、チューブ30からチェックバルブC2aを通過して薬剤送出シリンジ230aへ流れる。薬剤送出シリンジ230aは、RIバイアル411内の放射性薬剤412を吸引したのち、この放射性薬剤412を押し出す。薬剤送出シリンジ230aから送出される放射性薬剤412は、チェックバルブC2bを通過してチューブ40へ流れる。
【0023】
チューブ40の他端は、複合チェックバルブC3に接続されている。複合チェックバルブC3は、チェックバルブC3aとチェックバルブC3bとを有する。チェックバルブC3aは、チューブ50の一端に接続されている。チェックバルブC3aは、チューブ50からエアーベント付きフィルター70への媒体の通過を許容するが、その逆方向の通過は許容しない。チェックバルブC3bは、エアベント付きフィルター70及びルアーコネクタ10を介してチューブ60に接続されている。チェックバルブC3bは、複合チェックバルブC2からエアーベント付きフィルター70への媒体の通過を許容するが、その逆方向の通過は許容しない。
【0024】
チューブ50の他端は、複合チェックバルブC1を介して、水送出シリンジ240aおよびチューブ80の一端に接続されている。チューブ80の他端は、非放射性水(例えば生理食塩水)251を収容する水容器250に接続されている。複合チェックバルブC1は、チェックバルブC1aとチェックバルブC1bとを有する。チェックバルブC1aは、チューブ80から複合チェックバルブC1への媒体の流入を許容するが、その逆方向の通過は許容しない。チェックバルブC1bは、チューブ80及び水送出シリンジ240aからチューブ50への媒体の流出は許容するが、その逆方向の通過は許容しない。従って、水容器250からの非放射性水251は、チューブ30からチェックバルブC1aを通過して水送出シリンジ240aへ流れる。水送出シリンジ240aは、水容器250内の非放射性水251を吸引したのち、この非放射性水251を押し出す。水送出シリンジ240aから送出された非放射性水251は、チェックバルブC1bを通過してチューブ50へ流れる。
【0025】
エアベント付きフィルター70の出射口には、ルアーコネクタ10を介してチューブ60が接続されており、このチューブ60の先端には留置針245が設けられている。薬剤送出シリンジ230aから送出された放射性薬剤412は、チューブ60を通って留置針245に達し、留置針245から生体の体内に注入される。また、生体への空気の注入を防ぐ為、放射性薬剤412の注入前に、非放射性水251が水送出シリンジ240aから送出され、ルアーコネクタ10及びチューブ60内に留置される。更に、放射性薬剤412の注入後、エアベント付きフィルター70、チューブ60及び留置針245に残留する放射性薬剤412を残さず注入する為に、非放射性水251が水送出シリンジ240aから送出され、チューブ60を通って留置針245に達し、留置針245から生体の体内に注入される。なお、RIバイアル411と留置針245との間にルアーコネクタ10が介在しているのは、留置針245を取り替え可能とするためである。
【0026】
ここで、
図2のフローチャートを用いて本実施形態の薬剤注入装置1Aの動作について説明する。まず、チューブ310内を通って放射性薬剤412および窒素が自動合成装置からRIバイアル411内に搬送される(ステップS1)。搬送された放射性薬剤412はRIバイアル411内に蓄積し、注入された窒素は、チューブ320を通って外部へ放出される。次に、RIバイアル411に蓄積されている放射性薬剤412の放射線量をRIカウンターユニット410を用いて測定する(ステップS2)。
【0027】
続いて、水送出シリンジ240aが、水容器250内の非放射性水251を吸引する(ステップS3)。そして、水送出シリンジ240aが非放射性水251を押し出す(ステップS4)。このとき、非放射性水251は複合チェックバルブC1及び複合チェックバルブC3を通って、ルアーコネクタ10、チューブ60及び留置針245に達する。この非放射性水251は、ルアーコネクタ10、チューブ60及び留置針245の内部に留置される。
【0028】
続いて、薬剤送出シリンジ230aが、RIバイアル411内の放射性薬剤412を吸引する(ステップS5)。このとき、放射性薬剤412だけではなく、放射性薬剤412の吸引前後に窒素も吸引される。従って、薬剤送出シリンジ230aには放射性薬剤412及び窒素が収容される。なお、この際に、液体である放射性薬剤412は薬剤送出シリンジ230aの下部に蓄積し、窒素は上部に蓄積する。その後、薬剤送出シリンジ230aは、窒素を搬送媒体として放射性薬剤412を押し出す(ステップS6)。このとき、放射性薬剤412は、複合チェックバルブC2、複合チェックバルブC3、ルアーコネクタ10、及びチューブ60を通って、留置針245に達する。この放射性薬剤412は、留置針245から生体に注入される。また、このとき、先に留置されていた非放射性水251も押し出されて生体に注入される。なお、放射性薬剤412を搬送した窒素は、エアベント付きフィルター70から外部へ放出されるので、生体に注入されることはない。
【0029】
続いて、水送出シリンジ240aが、水容器250内の非放射性水251を再び吸引する(ステップS7)。そして、水送出シリンジ240aが非放射性水251を押し出す(ステップS8)。このとき、非放射性水251は複合チェックバルブC1及び複合チェックバルブC3を通って、ルアーコネクタ10、チューブ60及び留置針245に達する。この非放射性水251は、エアベント付きフィルター70、ルアーコネクタ10、チューブ60及び留置針245の内部に残留していた放射性薬剤412と共に生体に注入される。これにより、所定量の放射性薬剤412の全量が生体に注入される。
【0030】
ここで、本実施形態のルアーコネクタ10について詳細に説明する。
図3は、本実施形態のルアーコネクタ10の構成を示す側面図である。ルアーコネクタ10は、オスルアー部11及びメスルアー部12を備える。オスルアー部11は、円筒状の部材であって、例えば弾力のある樹脂製とされる。オスルアー部11は、エアベント付きフィルター70を介して、
図1に示された水容器250及びRIバイアル411に接続されている。なお、本実施形態では、オスルアー部11はエアベント付きフィルター70に固定され、エアベント付きフィルター70と一体化されている。
【0031】
メスルアー部12は、
図1に示された留置針245が一端に取り付けられたチューブ60の他端に設けられ、オスルアー部11と嵌合することによりオスルアー部11と連通し、放射性薬剤412の流路を気密に保つ。本実施形態のメスルアー部12は、スペーサ部13を有する。スペーサ部13は、オスルアー部11との嵌合時に、オスルアー部11の内部に挿入される。
【0032】
図4(a)は、ルアーコネクタ10の流路に沿った断面を示す図である。
図4(b)は、
図4(a)のIV−IV線に沿った断面を示す図であって、ルアーコネクタ10の流路と垂直な断面を示している。なお、これらの図は、オスルアー部11及びメスルアー部12が互いに嵌合している状態を示している。
【0033】
図4に示されるように、オスルアー部11は、流れ方向(図中の矢印A1)と交差する面方向に拡がる円板状の基台部11aと、基台部11aの中心部から流れ方向A1に沿って延びる円筒状の筒状部11bとを有する。筒状部11bは、メスルアー部12に嵌入される部分である。メスルアー部12への筒状部11bの挿入を容易にするため、筒状部11bの外周面11dはテーパ状となっており、筒状部11bの先端部(基台部11aとは反対側の端部)に近づくほど、筒状部11bの外径が小さくなっている。
【0034】
筒状部11bは、流れ方向A1に沿って延びる通過孔11cを内部に有する。通過孔11cは、非放射性水251及び放射性薬剤412を通過させるための孔であって、その流れ方向A1と垂直な断面は円形状である。
【0035】
メスルアー部12は、例えば弾力のある樹脂製とされ、オスルアー部11の筒状部11bと嵌合するオスルアー部嵌入穴12aを有する。オスルアー部嵌入穴12aは、流れ方向A1に沿って延びており、オスルアー部11に向けて開口している。オスルアー部嵌入穴12aの流れ方向A1と垂直な断面は円形状である。また、オスルアー部嵌入穴12aの内面は、筒状部11bの外周面11dに合わせてテーパ状となっており、オスルアー部嵌入穴12aの開口に近づくほど、オスルアー部嵌入穴12aの内径が大きくなっている。
【0036】
スペーサ部13は、オスルアー部嵌入穴12aの底面12bからオスルアー部11の基台部11aに向けて延びる円筒状の部材であって、オスルアー部11との嵌合時にオスルアー部11の通過孔11cに挿入される。一例では、流れ方向A1におけるスペーサ部13の長さは、同方向における筒状部11bの長さと等しい。オスルアー部11の筒状部11bへの挿入を容易にするため、スペーサ部13の外周面13aはテーパ形状を有しており、スペーサ部13の先端部(オスルアー部嵌入穴12aの底面12bとは反対側の端部)に近づくほど、スペーサ部13の外径が小さくなっている。また、通過孔11cの内面もまた、スペーサ部13に合わせてテーパ状とされている。なお、スペーサ部13は、非放射性水251などの液体に触れることにより膨潤する材料を含んでもよい。
【0037】
留置針245とメスルアー部12とを繋ぐチューブ60は、メスルアー部12のオスルアー部嵌入穴12aとは反対側の一端12cとオスルアー部嵌入穴12aとの間を貫通しており、オスルアー部嵌入穴12aの内部に延びている。そして、スペーサ部13は、チューブ60に被さっており、嵌入時にチューブ60と通過孔11cの内面との間に配置される。
【0038】
以上に説明した本実施形態のルアーコネクタ10及び薬剤注入装置1Aによって得られる効果について説明する。薬剤注入装置1Aでは、薬剤投与の際、放射性薬剤412を収容するRIバイアル411から放射性薬剤412がルアーコネクタ10を通って留置針245に達し、生体に注入される。本発明者は、ルアーコネクタ10のオスルアー部11の内部空間を減少させることによって、
図2のステップS4により予め満たされる非放射性水251の液量を低減し得ることを見出した。
【0039】
図5(a)は、比較例としてのルアーコネクタ100の流路に沿った断面を示す図である。
図5(b)は、
図5(a)のV−V線に沿った断面を示す図であって、ルアーコネクタ100の流路と垂直な断面を示している。通常、このルアーコネクタ100のように、メスルアー部120に嵌入されるオスルアー部110の筒状部112の通過孔110aの内径は、チューブ114の内径に対して比較的大きくなっている。この通過孔110aの内部空間の容積は、例えば0.1mlである。そして、
図2のステップS4において、この通過孔110aの内部空間に非放射性水251が予め満たされることとなる。従って、生体に注入される総液量が多くなってしまうという問題がある。
【0040】
これに対し、本実施形態のルアーコネクタ10及び薬剤注入装置1Aでは、メスルアー部12が、オスルアー部11との嵌合時にオスルアー部11の通過孔11cに挿入される筒状のスペーサ部13を有する。このように、筒状のスペーサ部13がオスルアー部11の通過孔11c内に配置されることによって、オスルアー部11の通過孔11cの内部空間の容積を減少させることができる。従って、ルアーコネクタ10及び薬剤注入装置1Aによれば、
図2のステップS4によりルアーコネクタ10内に予め満たされる非放射性水251の液量を低減し、これにより生体に注入される非放射性水251の液量を低減することができる。よって、より多くの放射性薬剤412を生体に注入することが可能となる。また、スペーサ部13の外周面13aがテーパ形状を有することによって、スペーサ部13がオスルアー部11の通過孔11c内に容易に挿入されることができるとともに、スペーサ部13をオスルアー部11に漏れなく装着することができる。
【0041】
また、前述したように、スペーサ部13は、非放射性水251等の液体に触れることにより膨潤する材料を含んでもよい。これにより、生体に注入される非放射性水251の液量を更に低減することができる。
【0042】
また、本実施形態のように、チューブ60が、メスルアー部12の一端12cとオスルアー部嵌入穴12aとの間を貫通してオスルアー部嵌入穴12aの内部に延びており、スペーサ部13が、チューブ60と通過孔11cの内面との間に配置されてもよい。これにより、メスルアー部12にスペーサ部13を容易に取り付けることができる。具体的には、まずメスルアー部12の一端12cから底面12bへチューブ60を貫通させ、次に、チューブ60にスペーサ部13を嵌入するとよい。
【0043】
また、放射性薬剤412を合成する際、ごみ除去等のためにフィルターを用いて濾過するが、ガスで押して(生理食塩水などに溶けた)放射性薬剤412をバイアルに回収する場合、従来はガスで押しきれない体積分だけ放射性薬剤412を回収できなかった。本実施形態のルアーコネクタ10を用いることにより、該体積を減少させて放射性薬剤412の回収量を増やすことができる。
【0044】
(第1変形例)
図6(a)は、上記実施形態の第1変形例に係るルアーコネクタ10Aの形状を示す断面図であって、流れ方向A1に沿った断面を示している。
図6(b)は、
図6(a)のVI−VI線に沿った断面を示す図であって、ルアーコネクタ10Aの流路と垂直な断面を示している。上記実施形態のルアーコネクタ10は、この図に示されるルアーコネクタ10Aに置き換えられてもよい。
【0045】
図6に示される例では、上記実施形態と異なり、留置針245(
図1を参照)とメスルアー部12とを繋ぐチューブ60が、メスルアー部12のオスルアー部嵌入穴12aとは反対側の一端12cとオスルアー部嵌入穴12aとの間を貫通しておらず、チューブ60の一端はメスルアー部12の一端12cに取り付けられている。従って、スペーサ部23は、チューブ60に被さっておらず、その一端がオスルアー部嵌入穴12aの底面12bに固定されている。このような形態であっても、上記実施形態の作用効果を好適に奏することができる。なお、スペーサ部23は、メスルアー部12と一体成形されてもよい。
【0046】
(第2変形例)
図7は、上記実施形態の第2変形例に係るスペーサ部の形状を示す断面図であって、流れ方向A1に沿った断面を示している。なお、この図では、オスルアー部11及びメスルアー部12の図示は省略されている。上記実施形態のスペーサ部13は、この図に示されるスペーサ部に置き換えられてもよい。
【0047】
図7に示される例では、上記実施形態と異なり、スペーサ部33の外周面33aの一部33bがテーパ形状を有しており、外周面33aの一部33bにおいては、スペーサ部33の先端部に近づくほど、スペーサ部33の外径が小さくなっている。このような形態であっても、上記実施形態の作用効果を好適に奏することができ、また、スペーサ部33がオスルアー部11の通過孔11c内に容易に挿入されることができる。