(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6301309
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】2つの緯糸方向を含む超軽量平織布
(51)【国際特許分類】
D03D 25/00 20060101AFI20180319BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20180319BHJP
D03D 15/02 20060101ALI20180319BHJP
D03D 15/00 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
D03D25/00
D03D1/00 A
D03D15/02 C
D03D15/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-502391(P2015-502391)
(86)(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公表番号】特表2015-511668(P2015-511668A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】ES2013070202
(87)【国際公開番号】WO2013144411
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2015年12月25日
(31)【優先権主張番号】P201200338
(32)【優先日】2012年3月29日
(33)【優先権主張国】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】515147977
【氏名又は名称】トゥイストパーフェクト,ソシエダッド リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】ガラン ロンゲラス,ホルディ
(72)【発明者】
【氏名】ガラン ロンゲラス,アルベルト
【審査官】
長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−132015(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0237760(US,A1)
【文献】
特開平02−293434(JP,A)
【文献】
実開平02−038481(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D1/00−27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸(1)に対してA°およびB°で互いに交差する各緯糸(2、3)がマルチフィラメントであり、前記マルチフィラメントの断面の形状が平坦なテープ状であり、幅「d」を有するテープの役割を果たす単層多軸織布において、
前記「d」テープの初期角度Aおよび幅から、次式:
E1=d*sin(A/2)
E2=(d−E1)/(2*sin(A/2))
B=−(90−(A/2))、
{E1は、2つの隣接する緯糸テープ(2)の間にあり、前記経糸(1)の位置に対して角度Aで配置されている間隙の前記幅方向の長さに相当し;
E2は、2つの隣接する緯糸テープ(3)の間にあり、前記経糸(1)の位置に対して角度Bで配置されている間隙の前記幅方向の長さに相当し;
Bは、前記緯糸テープ(3)の方向と前記経糸(1)の方向との間の角度として定義される}
を満たすように前記織布の幾何学的形態が決定され、ここで、経糸と緯糸との間隙が全くないように織布は完全に充填されており、前記経糸および緯糸テープの重量対表面比と前記織布の重量対表面積比との比が2であり、前記経糸に対する前記緯糸の角度AおよびBの値が0°<A<90°および−90°<B<0°である、
ことを特徴とする、単層多軸織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の特許出願の目的は、2つ以上の緯糸方向と縦糸とを含み、前記緯糸と経糸がフラットテープ状の断面を有する繊維または織布で供給され、本織布の製造法の結果としての製織特性を備える超軽量平織布を登録することである。
【背景技術】
【0002】
布帛の技術分野において、一方では、平織布用の製織機械で製造される様々な織布があり、そこでは経糸と緯糸は、断面が円形になる傾向がある糸または糸状のフィラメント群により形成されている。
【0003】
経糸と緯糸が平行なフィラメントを有する長方形の断面テープにより形成されている織布の複雑さは、探究され得る分野であり、将来、テープから製造される織布および前記織布を製造する機械の現在の技術を改善する多くの開発が行われるであろう。文献、スペイン特許第2372411T3号明細書は、テキスタイルの従来の経糸および緯糸の代わりに長方形の断面を有するフラットテープを使用することにより、それらを製造する機械が完全に異なるものとなることを記載している。
【0004】
フラットテープから製造される織布を製造する機械の先例は多くはない。前述の文献、スペイン特許第2372411T3号明細書も参照すべきであり、この文献は、1つの緯糸が経糸に対してなす角度を変えることができる、テープ型の平行なフィラメントから製造される2軸平織布について記載している。製造工程でテープを取り扱うとき、考慮すべき追加の要素として、テープの位置が常に平坦でなければならず、回転してはならないことがあり、この要素は、従来のテキスタイル織機では必要がないことから、完全に省かれているため、これらの機械はテキスタイル糸に関する織機の設計が異なる。含まれる部品のため、または製織法のため、紡糸用の従来の織機では決してテープを加工することができないという顕著な証拠がある。
【0005】
他方、テキスタイルの技術分野では、および炭素繊維、パラメディックマルチフィラメント、ガラス繊維などの繊維によって現在提供されている高性能のため、超軽量布帛と称される布帛、即ち、織布の重量がその表面に対して最小限である布帛が必要とされており、これらの種類の高性能繊維を使用すると、高い機械的特性を有し、非常に軽量な織布が得られる。従って、このような超軽量織布を得るためには、高性能繊維を有する2つの平行なマルチフィラメントである経糸と緯糸をまず、円形になる傾向がある断面が非常に小さい厚みとかなりの幅とを有する長方形の断面になるように加工しなければならない。
【0006】
例えば、12,000本のフィラメントからなる円形の断面(正円ではないが)を有する炭素繊維群を、幅20mm×高さ0.03mmの平行な繊維のテープに予め変形させる。そのテープ状の構造に凝集を付与するために、前記テープを結合成分で処理することができ、このようなものとして取り扱うことができる。
【0007】
糸をフラットテープに変えると、テープの幅および表面という幾何学的要素が現れるが、この要素も考慮に入れて、それを経糸に対する緯糸の角度や連続的な緯糸テープ間の距離および経糸テープ間の距離などの織布のその他の寸法態様と関係付け、調整し得る織布を構成することができる。
【0008】
織布の構成に関して、2軸テープ布帛は、緯糸と経糸の両方が向いている4方向で応力を吸収し、前記方向が伸びる必要があるとき、前記織布は、異なる方向を有する別の2軸織布と重ね合わせられるが、包装された最終構造の表面の単位当たりの重量要素は欠点となる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の特許出願の目的は、互いに交差し、経糸に対して特定の角度をなす2つ以上の緯糸方向と経糸とを含み、前記緯糸と経糸がフラットテープ状の断面を有する繊維または布帛で供給され、本織布の製造法から得られる製織法の特性を備える超軽量平織布を提供することであり、それにより前述の欠点が解決され、他の追加の利点がさらに提供されるが、これらは下記の添付の説明から明らかになるであろう。
【0010】
得られる織布では、経糸と緯糸の両方ともテープが加工されており、この布帛は、経糸の方向に対して、1つは正、1つは負の2つの角度で交差する2つの緯糸方向で構成されており、テープに対して重量対表面積比が2である。
【0011】
特定の幅dを有するテープ、および、経糸角度に関して、経糸に対する緯糸の初期角度Aを使用して、表面が100%充填(covered)されており、即ち、間隙がなく、テープに対して重量対表面積比が2である幾何学的形態の織布が得られるように、他のパラメータが決定される。
【0012】
得られるその他のこのようなパラメータには:
経糸に対する第2の緯糸の角度B、2つの連続的な経糸テープと第1の緯糸との間の間隙E1、および2つの連続的な第2の緯糸テープ間の間隙E2、
がある。
【0013】
それらは次式:
E1 d*sin(A/2)
E2 (d−El)/(2*sin(A/2))
B=−(90−(A/2))
(式中、0<A<90°、0<B−90°である)
により得られる。
【0014】
新規な織布の利点は:
・それは、テープで製造され、異なる方向を有する2つの緯糸テープが経糸テープと組み合わせられている織布であるため、6つの異なる方向の応力が単一の布帛層に吸収され、複数の布帛を重ね合わせる必要がないということ、
・角度AおよびBは、織布の必要方向に基づいて調節できるということ、
・織布は完全に充填され、重量対表面積比が2であり、即ち、それらがテープであるとき、それらは超軽量であるということ、
である。
【0015】
本発明の任意の組み合わせの織布を製造する場合、緯糸を通すとき前記布帛を加工する織機に典型的な特徴があり、各緯糸を運ぶシャトルは、前記シャトルの断面が、織布の構造により作り出される空間(z)を超えてはならず、従って、シャトルが、他方の緯糸のテープと交差する経糸テープにより作り出された複数の閉鎖空間(z)を通過し得るという特徴、および前記空間(z)は、幅dなどの前記緯糸が配置されるように布帛が空けておく空間であるという特徴を有するであろう。
【0016】
それは複雑な構造を有する布帛であるため、織布を構成する、影響を受ける変数A、B、d、E1、E2は、開示される理論値の+−15%の寸法公差に対応することが明白である。
【0017】
本発明の対象である織布のその他の特徴および利点は、添付の図面に非限定例として示されている、好ましいが排他的ではない実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施例1により得られる織布の図である。
【
図2】
図2は、実施例2により得られる織布の図である。
【
図3】
図3は、実施例3により得られる織布の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に包含される織布の可能な組織に関して多くの好ましい組み合わせがあるが、幾つかの実施例を下記に概説する。
【0020】
織布は、2つの連続的なテープ間の空間がEである、経糸となる縦方向のテープ(1)と、2つの方向に配置されている緯糸テープ(2)および(3)、即ち、
・経糸テープ(1)の位置に対して角度Aで配置され、2つの連続的なテープ間の空間がE1である緯糸テープ(2)
・経糸の位置に対して角度−Bで配置され、2つの連続的なテープ間の空間がE2である緯糸テープ(3)
とにより形成される。
【実施例】
【0021】
実施例1
直径d=幅20mmおよび36g/m2の重量対表面比を有する炭素繊維テープ(1)12K(12000本のフィラメント)。
緯糸と経糸との間の初期角度A+60°
得られる織布(
図1)のパラメータ:
E1 d*sin(A/2) 10mm
E2 (d−E1)/(2*sin(A/2)) 10mm
5B=−(90−(A/2))
織布の重量対表面比=72g/m2
テープと比較した織布の重量対表面比=
(72g/m2)/(36g/m2)=2
【0022】
実施例2
20mmの直径幅および36g/m2の重量対表面比を有する炭素繊維テープ12K(12000本のフィラメント)。
緯糸と経糸との間の初期角度A+45°
得られる織布(
図2)のパラメータ:
E1 d*sin(A/2) 7.65mm
E2 (d−E1)/(2*sin(A/2)) 16.13mm
B=−(90−(A/2)) −67.5°
織布の重量対表面比=72g/m2
テープと比較した織布の重量対表面比=
(72g/m2)/(36g/m2)=2
【0023】
実施例3
20mmの直径幅および36g/m2の重量対表面比を有する炭素繊維テープ12K(12000本のフィラメント)。
緯糸と経糸との間の初期角度A+67.5°
得られる織布(
図3)のパラメータ:
E1 d*sin(A/2) 11.11mm
E2 (d−E1)/(2*sin(A/2))=8mm
B=−(90−(A/2)) −56.5°
織布の重量対表面比=72g/m2
テープと比較した織布の重量対表面比=
(72g/m2)/(36g/m2)=2
【0024】
異なる材料で製造されたテープを組み合わせる場合、テープの質量/表面比に言及すると、これは、混合された異なる質量/表面値の算術平均の結果となるはずである。
例えば、幅40mmおよびテープの質量/表面比が18g/m2の炭素繊維テープ12K(12000本のフィラメント)を使用することができ、織布の最終結果は、本発明の対象である織布では、テープと織布との比の値が同様に2となる、即ち18*2 36g/m2となるであろう。
【0025】
本発明の製造に使用した詳細、形状および寸法および他の補助的要素ならびに材料の代わりに、技術的に同等の他のものを好都合に使用することができるが、それらは本発明の本質からまたは後述する特許請求の範囲により定義される範囲から逸脱するものではない。