(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記後端部分の前記長さは、前記先端部分が前記心臓の前記心房−心室溝に位置付けられるときに、前記後端部分の複数の部分が前記心尖を完全に覆うように前記心尖の周りに延伸可能であるように、サイズ決定される、請求項1に記載の心臓インプラント。
前記心臓の前記外部の周りにおける前記心臓インプラントの埋め込みは、前記後端部分の最近位部分において過剰長部分を形成し、前記後端部分の前記長さは、前記後端部分の前記過剰長部分が前記インプラント本体から取り外し可能であるようにサイズ決定されており、前記後端部分の前記過剰長部分の取り外しが、前記後端部分の残りの部分において刈り込み端を形成し、前記刈り込み端は、前記先端部分が前記心臓の前記心房−心室溝に位置付けられるときに、前記心尖を包囲する、請求項2に記載の心臓インプラント。
前記充填可能ブラダの周辺に沿って位置付けられた少なくとも第1の放射線不透過性マーカと、前記開放先端に近接する前記先端部分の周辺に沿って位置付けられた少なくとも第2の放射線不透過性マーカとをさらに備える、請求項1に記載の心臓インプラント。
前記先端部分は、前記インプラント本体の前記開放先端を画定する略円筒形先端部分であり、前記先端部分は、前記心臓の心房−心室溝の周りにおける位置付けのための横幅および構造を有し、
前記インプラント本体は、遷移部分をさらに備え、前記遷移部分は、前記先端部分から近位に延び、前記遷移部分は、前記心臓の心室を円周方向に取り囲むように構成され、前記遷移部分は、その近位端よりもその遠位端において大きい直径を有し、
前記後端部分は、前記遷移部分から近位に延びる略円筒形後端部分である、請求項1に記載の心臓インプラント。
前記インプラント本体の前記長さはさらに、前記心尖を概して覆うように、前記後端部分が一緒に縫合される前に切断されている前記後端部分の一部分を適応させる、請求項7に記載の心臓インプラント。
前記インプラント本体の前記開放後端における開口部は、前記先端部分に取り外し可能に取り付けられた送達デバイス構成要素を収容するようにサイズ決定される、請求項6に記載の心臓インプラント。
前記充填可能ブラダの周辺に沿って位置付けられた少なくとも第1の放射線不透過性マーカと、前記開放先端に近接する前記先端部分の周辺に沿って位置付けられた少なくとも第2の放射線不透過性マーカとをさらに備える、請求項6に記載の心臓インプラント。
前記充填可能ブラダと流体連通し、かつ、前記充填可能ブラダから離れて前記後端部分の前記開放後端を通って近位方向に延びる流体膨張管をさらに備える、請求項1に記載の心臓インプラント。
前記充填可能ブラダは、前記先端部分が心房−心室溝に位置付けられるときに前記充填可能ブラダが心室壁の外部に位置付けられるように、前記先端部分の前記開放先端から近位に離間される、請求項1に記載の心臓インプラント。
【発明を実施するための形態】
【0060】
例示的実施形態の詳しい説明
図1A〜1Bを参照すると、本明細書で説明されるシステムまたは方法のいくつかの実施形態は、心臓Hの心外膜表面の外部の周りに位置付けられるように構成されるインプラント構造を含む。そのようなインプラント100は、例えば、FMR、三尖弁逆流、鬱血性心不全、または、それらの組み合わせを含むがそれらに限定されない種々の心臓状態を治療するために使用することができる。例えば、
図1Bに描写される実施形態において、インプラント100は、心臓Hの後外側面に局所的な圧力を及ぼすことによって僧帽弁の後尖の「P2」部分を偏らせてFMRを治療するように特定の場所でメッシュ本体110に結合される充填可能ブラダ120を含むことができる。インプラント100の複合構成要素は、心臓の心室壁、心臓の特定の弁構造、および、(随意に)心臓の心房−心室溝を支持する様式で、支持または変形力を心臓Hの複数の標的領域に印加するように構成されることができる。使用において、インプラント100は、選択された肋間腔の比較的小さい開口部を通して心臓Hに送達され、その後、心臓の心尖、心室、および、心房−心室溝を覆って拡張させられることができる。いくつかの実施形態において、送達デバイス(下記で詳細に説明される)が、臨床家によって動作させられることにより、選択された場所で鼓動する心臓H上にインプラント100を設置するができ、そのことは、先端の縁113に沿った、充填可能ブラダ120に沿った、または、それらの両方である場所の有利な組み合わせに位置付けられる放射線不透過性マーカを使用して、実際に臨床家によってリアルタイムに検証される。
【0061】
図1Aを参照すると、種々の心臓状態を治療するように、インプラント100を心臓Hの外表面の周りに(例えば、心外膜の外部に)位置付けることができる。そのような心臓状態は、機能性僧帽弁逆流(「FMR」)、三尖弁逆流、および、鬱血性心不全を含むことができるが、それらに限定されない。FMRは、弁構造が正常であるが、弁機能が劣化しているかまたは最適ではない異常構成(例えば、拡張心臓)に心臓がある状態である。本実施形態におけるインプラント100は、内部空間を画定する管状形状を有する。インプラント100は、心臓Hの一部分がインプラント100によって画定される内部空間内に位置付けられるように、心臓H上に設置されることができる。例えば、いくつかの実装において、インプラント100は、心臓Hの左右の心房の一部または全体が、インプラント100によって画定される内部空間内に位置付けられるように設置される。そのような配列において、インプラント100は、心臓Hの一部分の周囲を包囲する。したがって、本明細書で提供されるインプラント(そのうちのインプラント100が1つの例である)はまた、本明細書においてジャケットとも呼ばれ得る。描写した実施形態において、インプラント100は、開放遠位端112および開放近位端119を有するという点で、可撓性または拡張可能管状設計である。インプラント100の開放遠位端112は、心臓の下(心尖)端から、例えば心臓の心房−心室溝(
図1Bに関連して下記で説明される)に、心臓の周りで開放遠位端112を前進させることによって、インプラント100が埋め込まれることを可能にする。インプラント100の開放近位端119は、1つ以上の部材を伴って最小侵襲性送達デバイス(
図6A〜6Cに関連して下記で説明される)を収容するように図示した実施形態で存在し、その1つ以上の部材は、下記で示されて説明されるように、心臓Hの心尖を覆いかつそれを超えて、例えば心室溝に、インプラント100の遠位端112を押し込むように、開放近位端119を通って延び、インプラント100の開放近位端119に付着する。
【0062】
いくつかの実施形態において、インプラント100は、管状メッシュ本体110を含むことができる。管状メッシュ本体110は、管状メッシュ本体110の構築の結果として形成される1つ以上の継目111を含み得る。例えば、1つ以上の継目111は、メッシュ本体110を管に作製する結果として、メッシュ本体110内で輪郭を作成する結果として、または、メッシュ本体110の縁取られた端部を作成する結果として形成され得る。しかしながら、継目は、本明細書で説明されるインプラントの全ての実施形態における要件ではない。つまり、いくつかの代替実施形態において、インプラントは、継目のない構造を用いて作製されることができる。
【0063】
依然として
図1Aを参照すると、充填可能ブラダ120がメッシュ本体110に取り付けられる。充填可能ブラダ120はまた、本明細書において、膨張可能ブラダとも呼ばれ得る。本実施形態において、充填可能ブラダ120は、メッシュ本体120の内表面上に貼り付けられる。したがって、インプラント100が心臓H上に(例えば、心膜と心外膜との間に)設置されるとき、充填可能ブラダ120は、心臓Hの外表面に隣接して位置付けられ、かつ、それと接触する。いくつかの代替実施形態において、充填可能ブラダ120は、メッシュ本体110の外部上に貼り付けられるか、または、多層メッシュ本体の材料の層の中またはその間に設置されることができる。さらなる代替実施形態において、複数の充填可能ブラダ120が、単一のメッシュ本体120上に貼り付けられる。
【0064】
膨張管130が、充填可能ブラダ120と流体連通している。本明細書でさらに説明されるように、膨張管130は、管腔を提供し、その管腔を通して膨張流体(例えば、生理食塩水または別の生体適合性液体)が移送され、それによって、充填可能ブラダ120を膨張または収縮させる。いくつかの実施形態において、充填可能ブラダ120が所望の程度に膨張流体で充填された後に、膨張管130を封止するために、1つ以上の結紮クリップ140が使用される。結紮クリップ140の代替として、膨張管130を封止するように、膨張管130を2つに折ることができ、2つに折られた部分を縫合糸で緊密に巻くことによって、構成が固着されることができる。別の代替案において、栓が膨張管130の端部に挿入されることができる。他の技法および技法の組み合わせもまた、膨張管130の近位領域を封止するために使用されることができる。1つ以上の結紮クリップ140が膨張管130上に設置されると、選択された量の膨張流体が充填可能ブラダ120内で維持されることができる。充填可能ブラダ120がこのようにして膨張させられると、ブラダ120の膨張が、局所的な圧力を心臓Hの選択された外表面に(例えば、心外膜の外部に沿って)印加させ、それによって、心臓状態を治療する。
【0065】
インプラント100はまた、埋め込みの最中および後にいくつかの利益を外科医に提供する選択された位置に、複数の放射線不透過性マーカ115、125を含むこともできる。そのような放射線不透過性マーカ115、125は、最小侵襲埋め込みプロセス中にインプラント100の放射線撮影式可視化を容易にすることができる。例えば、いくつかの場合において、インプラント100は、蛍光透視法の補助を用いて設置される。心エコー検査、MRI、および、同等物等の他の画像モダリティも使用され得る。放射線不透過性マーカ115、125と併せて撮像システムを使用して、インプラント100は、心臓H上に位置付けられ、所望に応じて心臓Hの解剖学的特徴に関して配向されることができる。いくつかのインプラント手技において、上にインプラント100が設置されるべき心臓Hの解剖学的特徴の放射線撮影式可視化を増進するように、造影剤が、心臓中または心膜腔内に注入される。放射線不透過性マーカ115、125は、限定されないが、タンタル、白金、タングステン、パラジウム合金、および、同等物等の材料を含むことができる。
【0066】
示される実施形態において、放射線不透過性マーカ115の第1のグループが、メッシュ本体110の先端112に位置付けられる。本実施形態における先端112は、遠位端開口部117を画定する円周縁領域を含む(
図2A参照)。本明細書でさらに説明されるように、いくつかの実施形態において、放射線不透過性マーカ115は、先端112が心臓Hの心房−心室溝に位置付けられるように心臓Hに関してインプラント100を設置することを容易にするために使用される。放射線不透過性マーカ125の第2のグループが、メッシュ本体110上の充填可能ブラダ120の場所を識別するように、インプラント100上に位置付けられる。例えば、マーカ125の第2のグループは、充填可能ブラダ120の周辺の少なくとも一部分に沿って搭載されることができる。放射線不透過性マーカ125を使用して、充填可能ブラダ120は、心臓Hの外表面上の標的場所に位置付けられることができる。例えば、本明細書でさらに説明されるように、いくつかの場合において、充填可能ブラダ120が膨張させられるときに充填可能ブラダ120が局所的な圧力を及ぼして心臓Hの一部分の再形成を誘導するように、充填可能ブラダ120は、心臓Hの表面上の(例えば、僧帽弁に隣接する心臓の後壁上の)選択された位置に設置されるために構成され得る。僧帽弁に隣接する心臓の後壁上に位置付ける場合、充填可能ブラダ120は、順に、僧帽弁輪の後部分に印加される局所的な圧力を提供し、したがって、弁尖を相互により近接近させ、僧帽弁逆流の問題に対処する(例えば、
図1Bに関連して下記でさらに詳細に説明される)。本実施形態は、先端112および充填可能ブラダ120の近くにそれぞれ位置する放射線不透過性マーカ115、125を含むが、他の実施形態において、放射線不透過性マーカは、放射線不透過性マーカ115、125の場所の代わりに、または、それに加えて他の場所に含まれ得る。
【0067】
依然として
図1Aを参照すると、インプラント100のメッシュ本体110はまた、先端112の反対に位置する後端部分118を含む。後端部分118はまた、本明細書において、近位領域とも呼ばれ得る。後端部分118は、インプラント100が心臓H上に設置されるときに過剰なメッシュ材料が心臓Hの心尖Aから近位に離れて延びるように、軸方向長さをインプラント100に提供することができる。下記で詳細に説明されるように、心臓H上にインプラント100を設置した後、随意に、後端部分118の過剰長部分をインプラント100から刈ることができる。その後、いくつかの実装において、後端部分118におけるメッシュ本体110の刈り込み端が、心尖Aの周りに集合させられるかまたは締め付けられ、1つ以上の縫合糸、クリップ、または、同等物を使用して閉鎖される。設置後閉鎖をメッシュ本体120の刈り込み端に提供するというこの実装は、いくつかの場合において、例えば、心臓の移動と、設置直後の(例えば、インプラント100と心外膜、心膜、または、それらの両方等の心臓組織との間の線維症および組織内方成長の前の)インプラント100のより弱い程度の係留とを前提として、そうでなければ起こり得る、埋め込み後のインプラント100の近位端のインプラント100の遠位端に向かう遠位への移動を防止するために、好まれ得る。
【0068】
ここで
図1Bを参照すると、インプラント100は、左右の心室Vの少なくとも一部分を含む心臓Hの下方部分を包囲するように、心臓H上に設置されることができる。いくつかの実施形態において、先端112の少なくとも一部分が、心臓Hの心房−心室溝に位置付けられる。心房−心室溝AVに先端112を位置付けることによって、インプラント100は、心臓Hの輪郭を利用することによって心臓Hに関する所望の位置付けを維持することができる。本実施形態において、インプラント100は、心膜腔において設置される。つまり、埋め込みプロセス中に、心膜が開放され、インプラント100が、心臓Hの心外膜の外部を覆い、かつ、心臓Hの心膜の内部に設置される。その後、心膜が閉鎖され、それによって、心膜腔にインプラント100が含まれる。経時的に、線維症または組織内方成長プロセスが、メッシュ本体110を外膜、心膜、または、それらの組み合わせに係留させるように起こり得る。随意に、いくつかの場合において、1本以上の縫合糸が、埋め込み時にメッシュ本体110を心外膜に取り付けるために使用され得る。
【0069】
描写した実施形態において、充填可能ブラダ120は、インプラント100が埋め込まれるときに、充填可能ブラダ120がメッシュ本体110と心臓Hとの間に位置付けられるように、メッシュ本体110の内表面に取り付けられる。換言すると、充填可能ブラダ120の表面は、心臓Hの表面(例えば、本実施形態における外部心外膜表面)と直接接触している。膨張流体が圧力下で(例えば、膨張管130に結合されたシリンジデバイスから)充填可能ブラダ120の中へ供給されるとき、充填可能ブラダ120は、潰れた状態から動作状態に拡張し、それによって、心臓Hの表面の標的部分に局所的な圧力を及ぼす。患者の心臓Hへの所望の効果を誘導するように、局所的な圧力を印加するための標的場所が戦略的に選択されることができる。例えば、示されるように、僧帽弁または三尖弁等の心臓弁HVの輪に偏りを引き起こす心臓H上の場所で、局所的な圧力を及ぼすことができる。このようにして、いくつかのタイプの弁逆流が治療されることができる。特定の例において、充填可能ブラダ120は、心臓Hの後外側面に局所的な圧力を及ぼし、それによって、僧帽弁の後尖の「P2」部分を偏らせてFMRを治療するように、位置付けられることができる。別の例において、心室Vの外表面上の他の領域が、充填可能ブラダ120から局所的な圧力を及ぼすために標的にされることができる。いくつかのそのような例において、乳頭筋Pが、有利に偏らせられる。特定の場合において、乳頭筋Pおよびそれと合流する腱索CTのそのような偏りもまた、弁逆流を治療することができる。
【0070】
図1A、1Bの例は、単一の充填可能ブラダ120を有するインプラント100を描写するが、他の実施形態において、2つ以上の充填可能ブラダが単一のインプラントデバイス上に含まれ得ることが、理解されるべきである。描写した実施形態において、充填可能ブラダ120は、メッシュ本体110に事前に取り付けられる。いくつかの実施形態において、1つ以上の充填可能ブラダは、メッシュ本体から分離し、メッシュ本体が心臓上に設置される前または後のいずれかで、埋め込み手技中に、メッシュ本体に取り付けられるか、または、メッシュ本体の内側の所望の場所に位置付けられる。例えば、メッシュ本体は、患者の心臓H上に設置され得、続いて、1つ以上の充填可能ブラダをメッシュ本体に関して標的場所に位置付け、次いで、随意に、インサイチュでメッシュ本体に取り付けられることができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、メッシュ本体110は、拡張期中の左心室圧の有意の上昇、または、冠状動脈または冠状静脈洞等の他の血管への閉塞を引き起こすほど緊密ではないが心臓H上にぴったりとフィットするように、サイズ決定される。つまり、これらの実施形態において、メッシュ本体110は、心臓Hの形状に高度に順応するように設計され、心臓Hが拍出動作を行うときに心筋層の膨張と穏やかに一致するように適合可能である。
【0072】
図2A〜2Cを参照して、ここで、
図1のインプラント100をさらに詳細に説明する。
図2Aは、インプラント100の管状形状および他の特徴を図示する斜視図を提供する。
図2B、2Cは、例えば、インプラント100および充填可能ブラダ120の内表面を図示するように、端面斜視図を提供する。例えば、
図2Bが、収縮構成にある充填可能ブラダ120を描写する一方で、
図2Cは、膨張構成にある充填可能ブラダ120を描写する。
【0073】
いくつかの実施形態において、メッシュ本体110の材料は、編まれた生体適合性材料から構築される。特定の実施形態において、編物材料は、「アトラスニット」として公知の構造を使用して作製される。アトラスニットは、指向性拡張性質を有する繊維の編物である。より具体的に、ニットは、略非弾性繊維で形成されるが、静止状態を超えて少なくともわずかに拡張可能である可撓性織物の構造を可能にする。メッシュ織物の繊維は、2組の繊維ストランドに織り込まれる。ストランドは、第1組のストランドが略平行でありかつ離間され、かつ、第2組のストランドが略平行でありかつ離間されている織物を形成するように織り合わせられる。
図2A〜2Cにおける例証の目的で、メッシュ織物は、対角軸を有する菱形開放セルメッシュ織物として本明細書で概略的に示されているが、メッシュ織物が異なる外観を有し得ることを本明細書における説明から理解されるべきである。
図1A、2Aが、略非拡張状態にあるニットメッシュ本体110を図示する一方で、
図1Bは、拡張状態にあるニットメッシュ本体110を図示する。いくつかの実施形態において、メッシュ本体110は、デニールポリエステルで作製される。他の実施形態において、メッシュ本体110は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ポリプロピレン、ステンレス鋼、および、同等物、または、それらの組み合わせを含む他の好適な生体適合性材料で作製されることができる。他のタイプの編みプロセスもまた、本明細書で提供されるインプラントを構築するために使用されることができる。さらに、編むことに加えて、他の構築技法が想定される。例えば、本体110のいくつかまたは全ての部分が、織られ、編組され、管材または拡張管材で作製される等であってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、メッシュ本体110は、先端部分114、遷移部分116、および、後端部分118を含む。3つの部分114、116、118の各々は、管状である。つまり、部分114、116、118を構築するために使用されるメッシュ材料は、開放内部空間を画定するように配列される。本実施形態において、メッシュ本体110は、3つの部分114、116、118の各々において環状である(例えば、インプラント100の中心軸と垂直な)断面形状を提供するように構成され、部分114、118は、それらのそれぞれの軸方向長さの大部分に沿って略円筒形であり得る。他の実施形態において、他の断面形状を画定するように、材料が配列されることができる。他の実施形態において、インプラント本体形状の他の構成が想定され、そのような部分114、116、118は、必ずしも本明細書で説明される全ての実施形態で実装されるわけではない。いくつかの実施形態において、メッシュ本体110の構築は、メッシュ材料を所望の形状に縫う結果として、1つ以上の継目111を含み得る。いくつかの実施形態において、メッシュ本体110の構築は、継目なしであり得る。
【0075】
依然として
図2A〜2Cを参照すると、本実施形態において、略円筒形先端部分114は、(インプラント100が埋め込みに先立って非緊張状態にあるときに)3つの部分114、116、118のうちの最大直径を提供する。いくつかの実施形態において、3つの部分114、116、118は、別々に構築された領域ではなく、むしろ、メッシュ材料の単一片から構築されたデバイスの画定された領域である。他の実施形態において、3つの部分114、116、118は、別々に構築され得、最終的なインプラント構造を形成するように一緒に取り付けられ得る。後端部分118は、(インプラント100が埋め込みに先立って非緊張状態にあるときに)3つの部分114、116、118のうちの最小直径を提供する。遷移部分116は、先端部分114の近位端周辺と後端部分118の遠位端周辺との間に延びる。遷移部分116は、その遠位端部分からその近位端部分まで直径変動を有する。つまり、遷移部分116は、後端部分118の遠位端周辺と接合するように直径を減少させながら先端部分114から近位に延びてテーパ状であり得る(線形テーパ状または湾曲テーパ状のいずれかを提供する)。いくつかの実施形態において、遷移部分116は、円錐台形の形状を備える。特定の実施形態において、遷移領域116の一部または全体は、滑らかな遷移を前部分114および後部分118に提供するように、丸みのある(radiused)外形を有する。
【0076】
いくつかの実施形態において、先端部分114の少なくとも一部分は、心臓Hの心房−心室溝AVにおいて心臓の周りに位置付けるための直径および構造を有する。例えば、弾性バンド部材を備える縁113は、心房−心室溝AVの周りに位置付けられる(
図1B参照)ことによって先端112を心臓Hに解放可能に貼り付けるために構成され得る。(弾性バンド部材を含む)縁113の直径は、患者の心臓のサイズに関して選択され得る。縁113の選択された直径は、静止時に、間に締まり嵌めを提供するように、心房−心室溝において心臓の周囲よりも小さくなる。(弾性バンド部材を含む)縁113の高いコンプライアンスおよび弾性は、締まり嵌めを容易にし、その締まり嵌めは、心臓H上の標的位置においてインプラント100を維持するために効果的である一方で、インプラント100が埋め込まれるときに、覆って縁113が位置付けられ得る心臓および冠状動脈または冠状静脈洞等の心臓の外側上の血管を有害に狭窄しない。
【0077】
縁113以外の先端部分114の複数の部分は、心室の上部分を円周方向に取り囲むために構成される。加えて、遷移部分116の一部または全体は、心室の他の部分を円周方向に取り囲むために構成され得る。後端部分118の大部分または全体は、先端112が心房−心室溝に位置付けられるときに、心尖から近位に延びるように構成され得る。心臓上のインプラント100の設置後に、後端部分118の一部または全体が刈り取られ得、インプラント100から除去され得る。その後、インプラント110の刈り込み近位端は、心尖の周りに集合させられるかまたは締め付けられて、閉鎖され得る。近位開放端を閉鎖することは、埋め込み後にインプラント100が心臓の上領域に向かって移動することを防止する。このようにして、上にインプラント100が設置される心臓の患者特有のサイズおよび輪郭にフィットするように、インプラント100が調整されることができる。
【0078】
複数のサイズの心臓を治療するために好適であるインプラント100の複数のサイズが想定される。例えば、部分114、116、118のうちのいくつかまたは全ての直径は、増加するサイズにおいて利用可能であり得る。いくつかの実施形態において、部分114、116、118のうちのいくつかまたは全ての軸方向長さもまた、増加するサイズにおいて構成される。本明細書でさらに説明されるように、患者の心臓の術前測定に基づいて、特定のサイズのインプラント100を患者のために選択することができる。例えば、いくつかの場合において、患者の最大心室周囲の測定が行われ、その患者のために使用されるべきインプラント100のサイズを選択するために、その測定が使用される。本明細書でさらに説明されるように、各々がインプラント送達デバイス(
図5〜7参照)上に事前装填されるインプラント100の種々のサイズが、臨床家にとって利用可能であり得、臨床家は、患者の心臓の測定に基づいて、インプラント100の特定のサイズを選択することができる。いくつかの実施形態において、インプラント100の特定のサイズが、ある心臓測定値の範囲のために使用されることができる。例えば、インプラント100の特定のサイズが、36.9cm〜40.0cmの最大心室周囲の範囲のために使用され得る。インプラント100の別のサイズが、40.1cm〜43.4cmの最大心室周囲の範囲のために使用され得る。インプラント100のさらに別のサイズが、34.0cm〜36.8cmの最大心室周囲の範囲のために使用され得るなどである。提供される最大心室周囲のこれらの範囲は、例証的なものに過ぎず、非限定的例ではないことが、理解されるべきである。加えて、メッシュ材料のコンプライアンスおよびサイズ、縁113上の弾性バンドのコンプライアンスを含む縁構築、および、一緒に構築されるために使用される材料のコンプライアンスを含む充填可能ブラダ構築の組み合わせは、広範囲の心臓サイズのためのサイズのより少ない数を可能にすることによって在庫費用の利益を達成するインプラント設計構成を達成するように、本明細書の教示に従って選択され得る。いくつかの実施形態において、後端部分118は、全てのサイズのインプラントにわたって同一の直径を有するように構成される。充填可能ブラダ120はまた、種々のサイズを伴って実装され得る。例えば、より大きい充填可能ブラダが、より大きいサイズのインプラントとともに使用され得、よりも小さい充填可能ブラダが、よりも小さいサイズのインプラントとともに使用され得る。
【0079】
依然として
図2A〜2Cを参照すると、本実施形態における先端112は、縁113によって画定される。いくつかの実施形態において、縁113は、前部分114の遠位端で弾性バンドの周りにメッシュ材料の一部を巻き付け、次いで、材料の自由端を先端部分114の内部に固着させることによって、構築されることができる。そのような固着は、連続的であり得るか、または、複数の別個の区分においてであり得る。特定の実施形態において、弾性縁バンド材料がメッシュ材料の折り重ねられた層内に含まれることができる。弾性縁バンド材料は、低デュロメータシリコンエラストマー材料、または、任意の他の好適な弾性生体適合性材料で作製されることができる。弾性縁バンド材料の直径は、静止時に、縁113におけるメッシュ材料の静止時直径よりも小さくあり得る。一例として、いくつかの実施形態において、縁113におけるメッシュ材料の円周が、静止時に、約25センチメートルであり得る一方で、弾性縁バンド材料の長さは、約20センチメートルであり得る。そのような構成は、単なる一例として、心房−心室溝が円周約30センチメートルであり得る心臓サイズに適応し得る。縁113におけるメッシュ材料の円周よりも長い弾性バンドの長さによって、縁113が心臓Hの周りで伸張されていないときに、縁113におけるメッシュ材料は、内部弾性部材の周りにわずかに波形または「束状」構成で集合させられ得る。いくつかの代替実施形態において、内部弾性バンドは、実装されなくてもよく、そのような場合において、メッシュ材料は、心房−心室溝の中への縁領域の締まり嵌めを可能にするように、縁領域において縮小直径領域に構成され得る。他の代替実施形態において、弾性バンドは、周りにメッシュ材料が巻き付いている縁113および遠位端112としての役割を果たし、そのような場合において、メッシュ材料は、弾性バンドの近位周辺に結合され得る。随意に、後端119もまた、縁取りされ得、後端119の縁は、弾性部材を含む場合もあり、含まない場合もある。
【0080】
以前に説明されたように、インプラント100のいくつかの実施形態は、縁113の周りに位置する複数の放射線不透過性マーカ115と、充填可能ブラダ120の周辺の周りに位置する複数の放射線不透過性マーカ125とを含む。以前に説明されたように、種々のタイプの放射線不透過性マーカが使用されることができる。いくつかの実施形態において、放射線不透過性マーカ115、125は、インプラント100の構築中に有利に使用されることができるインプラント100の製造中の接着質(adhesive quality)を有する。例えば、放射線不透過性マーカ125の第2のグループをメッシュ本体110に接着し、メッシュの中間部空間を介して充填可能ブラダ120に接着させることができ、それによって、充填可能ブラダ120がインプラント100に貼り付けられる。1つのそのような実施形態において、放射線不透過性マーカ125(および115)は、粉末状タンタルと混合させられたシリコーン接着剤ペースト等の原材料から作製されることができる。インプラント100の製造中に、金属プレートに存在し、かつ、インプラント100に示される放射線不透過性マーカ125によって画定されるような略長方形パターンで構成される凹部に、混合物が注入されることができる。それによって、金属プレートは、放射線不透過性マーカ125を形成するための金型の役割を果たすことができる。メッシュ本体110は、メッシュ本体110に関して所望に応じて充填可能ブラダ120を位置付ける配向で、金属プレートを覆って配置されることができる。充填可能ブラダ120は、充填可能ブラダ120の周辺の周りに放射線不透過性マーカ125を位置付けるような配向で、メッシュ本体110の上部上に配置されることができる。第2の金属プレートが、充填可能ブラダ120を覆って位置付けられることができる。第2の金属プレートは、充填可能ブラダ120に対応する凹部を有し得る。次いで、積層アセンブリが加熱されることにより、シリコーン接着剤ペーストを硬化させることができる。本プロセスにおいて、放射線不透過性マーカ125は、メッシュ本体110および充填可能ブラダ120に接着されるようになる。このようにして、放射線不透過性マーカ125は、充填可能ブラダ120をメッシュ本体110に貼り付けられるために使用されることができる。類似技法を使用して、放射線不透過性マーカ115が、形成されることができ、縁113のメッシュ材料の外部層に接着されることができ、縁113の内部弾性バンドに接着されることができる。さらに、それによって、弾性バンドは、放射線不透過性マーカ115の場所で縁113のメッシュ材料に関して「積み重ねられる」ことができる。他の実施形態において、接着剤、機械的クリップ、縫合糸、織り交ぜ、超音波溶接、RF溶接、および、同等物等の他の結合技法を使用して、充填可能ブラダ120および/または縁113の弾性バンドがメッシュ本体110に貼り付けられることができる。
【0081】
依然として
図2A〜2Cを参照すると、インプラント100は、以前に説明されるように、心臓の表面に局所的な圧力を及ぼしてそれに治療的偏りを誘導するために使用されることができる充填可能ブラダ120を含む。
図2Bは、収縮状態にある充填可能ブラダ120を図示し、
図2Cは、膨張状態にある充填可能ブラダ120を図示する。
図2A〜2Cに描写される充填可能ブラダ120は形状が略長方形であるが、充填可能ブラダの他の形状も想定される。例えば、充填可能ブラダは、円形、楕円形、半円環状、三角形、線形、錐体形、不規則な形状、および、任意の他の類似形状、または、形状の組み合わせであり得る。
【0082】
以前に説明されたように、膨張管130は、充填可能ブラダ120と流体連通している。膨張管130は、可撓性管状構造であり、インプラント100の一部として患者の体に残るように、かつ、充填可能ブラダ120と流体連通したままであるように構成される。膨張管130の自由端は、皮下に、かつ、表皮の下面の近くに位置付けられることができる。いくつかの実装において、膨張管130の自由端は、心臓の周りへのメッシュ本体110の埋め込み後に肋間腔に位置する。膨張管130の自由端をそのように位置付けることは、肋骨の間の肋間腔(例えば、いくつかの実装において、第5肋間腔)に隣接する皮膚を通した単純切開手技を介して、膨張管130への将来のアクセスを可能にし得る。それによって、心膜または心外膜にアクセスする大規模な手術を伴わずに、充填可能ブラダ120の将来の膨張または収縮が、側面下の肋間腔への最小侵襲アクセスを伴って行われ得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、可撓性の膨張管130は、シリコーンで作製されるが、他の生体適合性材料も使用され得る。いくつかの実施形態において、膨張管130の外径は、約0.065インチ〜約0.25インチ(約1.60mm〜約6.40mm)の範囲であることができる。1つの例示的実施形態において、膨張管の外径は、約0.125インチ(約3.2mm)である。いくつかの実施形態において、膨張管130の内径は、約0.031インチ〜約0.125インチ(約0.78mm〜約3.18mm)の範囲であることができる。膨張管の外径が約0.125インチ(約3.2mm)である1つの例示的実施形態において、膨張管の内径は、約0.0625インチ(約1.58mm)である。そのような膨張管寸法は、例として提供され、他のサイズも本開示の範囲内で想定されることが、理解されるべきである。加えて、膨張管の断面サイズ決めは、管を通って流動する特定の膨張材料(いくつかの場合において放射線不透過性造影剤)を収容するように選択され得る(下記で議論される)。
【0084】
膨張管130は、充填可能ブラダ120を膨張または収縮させるように、中を通して膨張流体が運搬されることができる可撓性導管を提供する。選択された量の膨張流体を用いて充填可能ブラダ120を膨張または収縮させた後、膨張管130の近位端領域は、充填可能ブラダ120からの膨張流体の撤退を防止するように封止される。種々のタイプの膨張流体が使用されることができる。例えば、膨張流体は、生理食塩水水溶液、シリコーンゲル、ガス状物質、および、撮像システムを介して膨張流体の可視化を容易にする造影剤を含む流体であり得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、ブラダ120は、膨張させられるときに、外部よりも内部に(すなわち、埋め込まれたときに心臓壁に向かって)拡張するように、2つの異なるシート構成要素122、124の充填可能ブラダ120で構成される。したがって、ブラダ120は、ブラダ120の一方の表面がブラダ120の反対の(あまり柔軟ではない)表面よりも有意にコンプライアンスがある異なるコンプライアンスを提供するように構成される。充填可能ブラダ120との関連で、充填可能ブラダ120の内部シート構成要素122は、充填可能ブラダ120の外側シート構成要素124よりもコンプライアンスがある。インプラント100が心臓の上に設置されるとき、心臓は、メッシュ本体110の内部領域内に位置し、充填可能ブラダ120の内部シート構成要素122と接触している。(外表面材料のより少ないコンプライアンスに関連する)充填可能ブラダ120の内部シート構成要素122のより大きいコンプライアンスは、充填可能ブラダ120が膨張させられるときに、心臓の表面上に印加される局所的な圧力を強調することができる。
【0086】
ここで
図3を参照すると、充填可能ブラダ120のいくつかの実施形態は、内部シート構成要素122および外側シート構成要素124の形態で2つの異なるシート構成要素122、124を含むことができる。シート構成要素122、124の周辺を一緒に密封することによって、流体を含むためのチャンバがそれらの間に形成されることができる。上記で議論されるように、ブラダ120のこの封止周辺は、ブラダ120とマーカ115との間に間置されるメッシュ材料における空間を通して放射線不透過性マーカ115が取り付けられるブラダ120の一部分である。
図3に示されるブラダ120の本実施形態において、シート構成要素122、124は、結合剤126を使用して一緒に封止されるが、超音波溶接、溶媒結合、成形モノリシックブラダ、および、同等物等の他の技法も想定される。膨張管130の端部分もまた、膨張管130の管腔が、充填可能ブラダ120の結果として生じるチャンバと流体連通しているように、シート構成要素122と124との間で封止される。いくつかの実施形態において、継手が、膨張管を充填可能ブラダに結合するために使用され得る。
【0087】
内部シート構成要素122の材料は、外側シート構成要素124のために選択される材料よりも高いコンプライアンスを有するように選択されることができる。内部シート構成要素122は、シリコーンシート材料、または、他の生体適合性気密シート材料で作製されることができる。いくつかの実施形態において、内部シート構成要素122の厚さは、約0.005インチ〜約0.050インチ(約0.12mm〜約1.30mm)の範囲にある。1つの例示的実施形態において、内部シート構成要素122は、厚さが約0.015インチ(約0.38mm)であるシリコーンシート材料である。外側シート構成要素124もまた、シリコーンシート材料、または、他の生体適合性気密シート材料で作製されることもできる。いくつかの実施形態において、外側シート構成要素124の材料は、変形に抵抗することによって外側シート構成要素124のコンプライアンスを低減するように、(例えば、シートに含浸されるポリエステルメッシュを用いて)補強されることができる。いくつかの実施形態において、外側シート構成要素124の厚さは、約0.005インチ〜約0.070インチ(約0.12mm〜約1.78mm)の範囲にある。内部シート構成要素122が厚さ約0.015インチ(約0.38mm)であるシリコーンシート材料である1つの例示的実施形態において、外側シート構成要素124は、厚さが約0.020インチ(約0.51mm)である補強シリコーンシート材料である。
【0088】
種々のサイズの膨張可能ブラダ120を構築することができ、異なるサイズの膨張可能ブラダ120は、異なるサイズのインプラントとともに使用されることができる。いくつかの実施形態において、(一緒に封止される膜の周辺領域を含む)シート構成要素122、124の長さおよび幅の寸法は、約0.5インチ〜約4.0インチ(約12.7mm〜約101.6mm)の範囲にあり得る。1つの例示的実施形態において、膜122、124の長さおよび幅の寸法は、約1.075インチ〜約2.265インチ(約27.30mm〜約57.53mm)の範囲にある。いくつかの実施形態において、充填可能ブラダ120は、幅約0.25インチ(約6.35mm)である周辺シールを有し、周辺シール内のシート材料は、膨張可能部分である。
【0089】
本実施形態において、結合剤126を使用して、シート構成要素122、124の周辺結合が達成されることができる。結合剤126は、結合剤126とシート構成要素122、124とがアセンブリとしてヒートソーク処理されるときに、シート構成要素122、124の材料と架橋されることができる。1つの例において、アセンブリは、約2時間にわたって約350°F(約177℃)でヒートソーク処理される。他のヒートソーク処理時間および温度の組み合わせも使用することができ、より低い温度は、より長い持続時間を要求する傾向があろう(逆も同様である)。種々のタイプの結合剤126が使用されることができる。好ましい実施形態において、結合剤126は、厚さ約0.010インチ(約0.25mm)である非加硫シリコーンシートである。内側および外側シート構成要素122、124と膨張管130との結合後に、充填可能ブラダ120が密封されていることを確認するように、充填可能ブラダ120は、漏出試験されることができる。
【0090】
標的心臓H構造(単数または複数)に対する充填可能ブラダ120の埋め込みおよび適切な位置付け時に、充填可能ブラダ120(特に、ブラダの内部シート構成要素122)は、心臓Hの外側心外膜壁に対して位置し、かつ、それに対してもたれ、ブラダ120の外部に位置するメッシュ本体110のメッシュ材料は、外向きに面し、心膜に対してもたれる。ブラダ120が膨張させられるとき、ブラダ120の内部シート構成要素122は、ブラダ120の外側シート構成要素124がこの基準平面から外向きに拡張するよりも、内向きに拡張する(ブラダ120の封止周辺領域を通して延びるものとして定義される基準平面からの拡張)。この特性は、より小さいブラダ実施形態と比較して、より大きいブラダ実施形態で強調される。したがって、所望の拡張特性を伴う充填可能ブラダを達成するように、内部および外側シート性質、ならびに、ブラダサイズおよび他のパラメータを含む設計選択を行うことができる。
【0091】
(心臓Hに向かってブラダ120を押す円周方向拘束力を提供する)ブラダ120の外部に位置するインプラントのメッシュ本体110、および、心臓Hを包囲する心膜(インプラントのメッシュ材料がもたれ、したがって、ブラダ120の外側シート構成要素124がもたれる支持面を提供する心膜)の存在の組み合わせは、集合的に、ブラダ120の外向きの移動に抵抗する。心臓Hからのブラダ120の外向きの移動に対するこの抵抗はまた、ブラダの内部シート構成要素122が心臓の標的表面領域上に局所的な圧力を提供するように貢献する。この局所的な圧力は、心臓壁の標的表面領域だけでなく、局所的な圧力の場所で心腔の内側に位置する弁構造も変形させる(
図1B参照)。加えて、埋め込み後のある時点で(典型的に、約1週間〜3週間で)、メッシュ本体110は、心外膜壁および心膜の両方への線維性付着を生じさせる。心外膜壁および心膜の内壁の両方へのメッシュ本体110のこの線維性付着は、ブラダ120の外向きの移動に対する抵抗を増加させ、それによって、ブラダ120の内部シート構成要素122の内向きの拡張が、ブラダ120に隣接して位置する心外膜壁の標的表面領域上に局所的な圧力を提供する程度を増加させる。
【0092】
図4A、4Bは、下記のように、1つ以上の膨張可能ブラダを有する代替実施形態を示す。
図4Aにおいて、膨張可能ブラダは、患者の僧帽弁に隣接して位置付けられる。
図4Bは、乳頭筋および三尖弁に隣接するブラダの追加の配置場所を示す。本明細書の説明は、1つだけの膨張可能ブラダを伴うか、または、1つよりも多くの膨張可能ブラダを伴う実施形態を包含することが、理解されるべきである。したがって、
図4A、4Bは、単純に、ブラダ配置(単数または複数)のための好ましい場所を示す。
【0093】
図4A〜B、5で見られるように、描写した実施形態は、インプラント1を構成するアセンブリを提供し、アセンブリは、ジャケット10と、少なくとも1つの膨張可能ブラダ20とを備える。ジャケット10は、可撓性の生体適合性材料で作製され、心臓Hの周りに受け取られる開放上端12と、心尖Aの周りに受け取られる底部分14とを有する。随意的な局面において、ジャケット10は、ニットメッシュで作製され得る。このニットメッシュは、随意に、高密度ポリエチレンを含むがそれに限定されないポリマーで作製され得る。代替として、ジャケット10は、金属で作製され得る。
【0094】
1つの例示的実施形態において、ジャケット10は、好適なニット材料で作製される。そのようなニット材料の例は、上記で説明される「アトラスニット」材料であり得る。代替として、ジャケット10は、弾性があり得る。随意に、繊維は、デニールポリエステルで作製され得る。しかしながら、PTFE、ePTFE、ポリプロピレン、および、ステンレス鋼を含むがそれらに限定されない他の好適な材料も使用され得る。ニット材料を使用することの利点は、可撓性、流体透過性、および、ジャケットと直接接触している心臓表面積の量を最小限にすること(それによって、瘢痕組織発生の潜在的可能性を最小限にすること)を含む。
【0095】
膨張可能ブラダ20は、ジャケット10の内表面上に配置される。ブラダ20は、ジャケット10に取り付けられる場合もあり、取り付けられない場合もある。
図4Bは、3つの別個の膨張可能ブラダ20を図示し、1つは、インプラント1の縁の近くに位置していて、僧帽弁に隣接する心臓H壁の後部分上に位置付けられ(ブラダ20A)、1つは、乳頭筋に隣接する心臓H壁の一部分に位置付けるために縁から離れて位置し(ブラダ20B)、1つはまた、にインプラント1の縁の近くに位置し、三尖弁に隣接する心臓H壁の前部分上に位置付けられる(ブラダ20C)。ブラダ20がインプラント1の埋め込みに先立ってジャケット10に取り付けられる実施形態において、インプラントは、
図4Bに描写される3つのブラダ20A〜Cのうちの1つ、2つ、または、全てを含み得る。したがって、
図4Bは、ブラダ20が位置し得る異なる場所を描写し、いくつかの実施形態は、ブラダ10が
図4Bに示される描写した場所に位置付けられ得るように、ジャケット10上に位置付けられた1つだけまたは2つのブラダ20を含み得る。ブラダ20(つまり、
図4Bにおけるブラダ20A)は、僧帽弁に隣接して位置付けられるとき、好ましくは、弁を横断する距離を縮小し、それによって、逆流の原因である弁における間隙を縮小するように、(後尖の中心にある)弁のP2領域に位置付けられる。ブラダ20Cが三尖弁に隣接して位置付けられるとき、類似の機能を果たし、三尖弁を通る逆流を低減する。ブラダ20Bが乳頭筋に隣接して位置付けられるとき、乳頭筋の位置を穏やかに補正し、(そうでなければ、正常な弁機能を妨げる)腱への張力を緩和する。
【0096】
図5で見られるように、膨張可能ブラダ20は、他の実施形態に関連して以前に議論されたように、ジャケット10に隣接して位置付けられる非弾性外表面22と、心臓Hに隣接して位置付けられる弾性内表面24とを有する。ブラダ20は、随意に、シリコンで作製され得る。いくつかの実施形態において、ジャケット10は、弾性内表面24と比較して、比較的コンプライアンスがなく、ブラダに隣接して位置付けられるブラダ20の外表面22も、比較的コンプライアンスがなく、ブラダ10の内表面24は、弾性がある。結果として、上記で説明されるように、流体供給ライン25を通して膨張させられるとき、ブラダ20の膨張は、ブラダを実質的に内向きに(すなわち、心臓に向かって)変形させる。次いで、これは、心臓の領域に対して局所的な圧力を及ぼす。図から分かるように、供給ライン(単数または複数)25は、ジャケット10の内側に位置付けられ、心尖に隣接するジャケットの開放底端13から外へ延びる。底端13は、ジャケット10が心臓の周りに位置付けられた後に締め付けられて(かつ/または縫われて)閉鎖され得る。
【0097】
以前に議論されたように、ブラダ20は、空気、不活性ガス(フッ化炭素等)、シリコーンゲル、生理食塩水、および、造影剤を含む流体を用いて膨張させられ得る。供給ライン25は、随意に、鈍針ポート、ルアーポート継手、皮下ポート26等を通して膨張させられ得る。他の実施形態において、ポートタイプデバイスが使用されなくてもよく、代わりに、供給ラインは、以前に説明されたように、閉鎖位置において締め付けられ得る。供給ライン25は、シリコーンを含むがそれに限定されない好適な生体適合性材料で作製される。本文書は、埋め込み後にブラダ20を膨張および収縮させるための種々の機構の開示を含む。例えば、1つのアプローチにおいて、デバイスが、最初に心臓上に受け取られる。ある期間(例えば、30日)後に、メッシュジャケット10の線維性被包が起こっている。このときに、次いで、(充填貯留部26に経皮的にアクセスするように針を使用して、供給ライン25を通して)ブラダ(単数または複数)20を膨張させることができる。したがって、皮下ポート26が、治療最適化または放棄のための経皮的な膨張および収縮に用いられ得る。代替として、いくつかの場合において、埋め込まれた皮下ポート型デバイスが潜在的な欠点を有し得るので、流体経路管の締め付けは、流体経路が肋間腔に留まっている状態で行われ得、管にアクセスするように小「切開」手技によってアクセスされ得る。
【0098】
随意的な実施形態において、ジャケット10は、以前に説明されたように、その上端12の周りを通過する弾性バンド14を有する。加えて、放射線不透過性マーカ15もまた、インプラント1の上端12の周りに提供されることができる。
【0099】
本ジャケットおよびブラダインプラントシステム1は、種々の異なるアプローチで、患者の心臓の周りに配置されることができる。例示的使用方法において、本システムはさらに、以降の本文書で説明されるように、ジャケットを心臓上に位置付けるための送達デバイスを含む。以降の本文書で説明される方法の1つの例において、アセンブリは、対照心膜カルジオグラフィ(contrast pericardiography)および蛍光透視可視化を使用して、左肋間小開胸術で患者に埋め込まれる。壁側心膜を開放した後、心臓の下方部分は、心尖を覆ってジャケットを適用するために自由である。
【0100】
いくつかの実施形態において、心臓機能を向上させるように局所的な圧力を患者の心臓Hの領域に提供する方法は、(a)患者の心臓の周りにアセンブリを位置付けることによって行われ得、アセンブリは、ジャケット10と、少なくとも1つの膨張可能ブラダ20とを備え、ジャケット10は、心臓の周りに受け取られる開放上端12と、心尖の周りに受け取られる底部分14とを有する可撓性の生体適合性材料で作製され、膨張可能ブラダ20は、ジャケットの内表面上に配置され、膨張可能ブラダ20は、ジャケットに隣接して位置付けられる非弾性外表面と、弾性内表面とを有する。加えて、ブラダ20が膨張させられ得、ブラダが実質的に内向きに変形して心臓の領域に対して局所的な圧力を及ぼすように、それを拡張させる。
【0101】
別の使用方法において、心膜縁管理システム(PEMS)が、インプラント1の安全な導入のために外科的手技において使用され得る。PEMSは、各々が1つの「剥離して粘着する」側面をする複数の別個のシートを含み、Teflonで作製され得る。これらのシートは、心膜への損傷(すなわち、挿入ツールが開口部の縁に引っ掛かること)を伴わないデバイスの挿入を容易にするように心膜への開口部を開放したままにするために使用されることができる。加えて、PEMSは、最初に、メッシュ織物から心臓を分離するために使用されることができる。PEMSシートの全てが引き出された後に、次いで、ジャケット織物が心臓に係合することができる。
【0102】
図6A〜6Cを参照すると、患者の心臓上にインプラント100を設置するために、送達デバイス200のいくつかの実施形態が臨床家によって使用されることができる。下記で詳細に説明されるように、インプラント100を設置する手技中に、送達デバイス100のいくつかの遠位部分が患者の体内で一時的に前進させられる一方で、送達デバイス100の他の近位部分は、患者の身体の外部にとどまる。インプラント100を設置するために使用される送達デバイス200は、滅菌デバイスである。いくつかの実施形態において、送達デバイス200は、滅菌単回使用デバイスである。代替として、送達デバイスは、再滅菌および再利用されるように設計され得る。
【0103】
本実施形態において、インプラント100は、送達デバイス200の遠位端で送達デバイス200上に装填される。送達デバイス200の主要本体210は、送達デバイス200の近位端の近くに位置する。バレルアセンブリ220が、主要本体210から送達デバイス200の遠位端に延びる。インプラント100は、バレルアセンブリ220の遠位端を包囲し、それに結合させられる。バレルアセンブリ220の近位端は、主要本体210に取り付けられる。埋め込み手技中に心臓Hの心尖に解放可能に係留するように構成され得る心臓安定器アセンブリ230は、主要本体210の近位端からバレルアセンブリ220の遠位端に延びる。
【0104】
いくつかの実施形態において、送達デバイス200およびインプラント100は、事前に組み立てられ、滅菌包装の中に一緒に包装される。つまり、送達デバイス200上に事前装填されて滅菌使用の準備ができているインプラント100とともに、送達デバイス200は臨床家に提供されることができる。本明細書の他の場所で説明されるように、心臓の複数のサイズに適切にフィットするために、種々のサイズのインプラント100が使用される。したがって、インプラント100を設置するための手技を行う病院は、特定の送達デバイス200上に各々が事前装填されて滅菌包装の中に包装される種々のサイズのインプラント100の在庫を保持し得る。臨床家が患者の心臓のサイズを判定した後、臨床家は、病院の在庫から、患者の心臓に最も良くフィットするようにサイズ決定されているインプラント100を選択することができる。臨床家は、その選択されたサイズのインプラント100が事前装填されている滅菌送達デバイス200を受け取る。インプラント100が送達デバイス200から展開された後、送達デバイス200は、(送達デバイス200が単回使用デバイスとして包装されるこれらの実施形態について)単回使用器具として廃棄され得る。
【0105】
依然として
図6A〜6Cを参照すると、送達デバイス200の主要本体210は、随意に、臨床家による取り扱いのためのピストルグリップタイプハンドル212を含み得、また、心臓安定器230のためのロック解放ボタン214を含み得る。ピストルグリップハンドル212は、臨床家が送達デバイス200を把持して操作することができる便利かつ人間工学的な構造を提供する。いくつかの実施形態において、ピストルグリップハンドル212は、ピストルグリップハンドル212と臨床家の手との間の摩擦を増進するように、テクスチャ加工表面を含む。本実施形態におけるロック解放ボタン214は、主要本体210から外向きに延びるように付勢されるばね荷重押し下げ可能ボタンである。ロック解放ボタン214が主要本体210に関して内向きに押し下げられるとき、心臓安定器アセンブリ230は、ロック解除され、したがって、ピストルグリップタイプハンドル212に対して軸方向に並進させられることができる。ロック解放ボタン214が押し下げられないとき、ロック解放ボタン214は、主要本体210から外向きに延び、心臓安定器アセンブリ230は、その軸方向位置においてロックされ、したがって、軸方向に並進させられることができない。
【0106】
送達デバイス200のバレルアセンブリ220は、随意に、送達デバイス200のアクチュエータ224を誘導するためのスプライン状の細長いバレル222を含み得る。本実施形態において、6つのアクチュエータ224が、バレル222の周辺の周りに含まれる。他の実施形態において、6つより少ないかまたは多いアクチュエータを送達デバイスに含むことができる。アクチュエータ224は、各々が個別にバレル222のスプラインにスライド可能に結合される。アクチュエータ224はまた、各々が個別に心外膜管理ストリップ250にスライド可能に結合される。本実施形態において、合計6つの心外膜管理ストリップ250がある。心外膜管理ストリップ250は、アクチュエータ224からバレル222の外表面上でインプラント100の下に延び、インプラント100が送達デバイス200に結合される場所で終わる。心外膜管理ストリップ250は、心臓上へのインプラント100の前進を容易にする低摩擦表面エリアを提供する。心外膜管理ストリップ250は、
図6Cにおいて示されず、その結果として、インプラント100および送達デバイス200の他の構成要素が可視である。
【0107】
依然として
図6A〜6Cを参照すると、心臓安定器アセンブリ230は、真空接続継手232と、シャフトラック234と、真空チューブ236と、遠位真空カップ238とを含むことができる。心臓安定器アセンブリ230のこれらの構成要素は、示されるような構成で一緒に貼り付けられる。つまり、(ロック解放ボタン214が押し下げられている間に)心臓安定器アセンブリ230が送達デバイス200の他の部品に関して移動させられるとき、真空接続継手232、心臓安定器シャフトラック234、真空チューブ236、および、真空カップ238は、ユニットとして一緒に軸方向へ移動する。
【0108】
本実施形態において、真空接続継手232は、返し付き継手である。ルアー接続、圧縮継手、ねじ山付き継手、クイックロック継手、および、同等物等の他のタイプの継手も使用されることができる。可撓性管(図示せず)を介して、陰圧(真空)源が真空接続継手232に接続されることができる。陰圧が、真空接続継手232から真空チューブ236を通して真空カップ238に伝達される。
【0109】
心臓安定器アセンブリ230のシャフトラック234は、ロック解放ボタン214と解放可能に係合可能であるように構成される。シャフトラック234とロック解放ボタン214との間の係合は、主要本体210およびバレルアセンブリ220に関して、選択された軸方向位置において心臓安定器アセンブリ230のロックを実現する。(ロック解放ボタン214が押し下げられたときの)シャフトラック234およびロック解放ボタン214の係合解除は、心臓安定器アセンブリ230が主要本体210およびバレルアセンブリ220に関して軸方向に移動することができるように、心臓安定器アセンブリ230をロック解除する。
【0110】
本実施形態において、シャフトラック234は、シャフトロック解放ボタン214上の1つ以上の突出部が係合する一連の穴を含む。ロック解放ボタン214が主要本体214から外向きに延びている(ボタン214のデフォルト位置である)とき、ロック解放ボタン214上の1つ以上の突出部は、心臓安定器アセンブリ230を定位置においてロックするように、シャフトラック234上の1つ以上の穴の中へ延びる。対照的に、ロック解放ボタン214が(例えば、ボタン214を手動で押すことによって)主要本体214に向かって押し下げられるときに、ロック解放ボタン214上の1つ以上の突出部が、シャフトラック234上の穴から係合解除されるようになる。ロック解放ボタン214を押し下げ、押し下げ位置において維持する結果として、心臓安定器アセンブリ230は、ロック解除され、送達デバイス200の他の部品に関して軸方向に自由に移動することができる。これは、ロック解放ボタン214を押し下げ、押し下げ位置において維持することにより、シャフトラック234の穴からロック解放ボタン214の突出部を係合解除するためである。ロック解放ボタン214が押し下げ位置においてもはや維持されなくなるとき、ロック解放ボタン214の外向きの付勢は、ボタン214を延伸位置に並進させ、送達デバイス200の他の部品に関して心臓安定器アセンブリ230をもう一度ロックする。
【0111】
1つの例において、
図6A、6Bの比較は、ロック解放ボタン214が押されたときに、どのようにして心臓安定器アセンブリ230が軸方向に並進することができるかを図示する。例えば、
図6Aにおいて、心臓安定器アセンブリ230は、軸方向後退位置(近位位置)にある。心臓安定器アセンブリ230を遠位に(例えば、
図6Bに示される位置に)延ばすために、最初に、ロック解放ボタン214が、手動で押され、押し下げ位置において維持され、次いで、心臓安定器アセンブリ230を手動で軸方向へ遠位にスライドさせることができる。
図6Bの構成において、下記でさらに説明されるように、真空カップ238は、最遠位に延び、インプラント100設置手技中に患者の胸腔に挿入されるべき送達デバイス200の最初の部材であるように位置付けられる。
【0112】
心臓安定器をロックおよびロック解除するための種々の他の設計実施形態も想定される。そのような実施形態は、偏心カラー、カム機構、インターロッキングテーパ、オーバセンタデバイス、セットスクリュ、および、同等物の使用を含むことができるが、それらに限定されない。
【0113】
依然として
図6A〜6Cを参照すると、インプラント100上の充填可能ブラダ120の場所、より具体的には、送達デバイス200のピストルグリップハンドル212に関する充填可能ブラダ120の相対的配向が、いくつかの実施形態において、いくつかの利点を提供することができる。例えば、ピストルグリップハンドル212に関する充填可能ブラダ120の場所が、心臓Hを越えたインプラント100の展開中に心臓Hの標的表面領域とのブラダの整列を容易にするように、インプラント100を所定の配向で送達デバイス200上に装填することができる。そのような状況において、臨床家は、ピストルグリップハンドル212の位置に基づいて、充填可能ブラダ120の位置を確認することが可能であり得る。この特徴は、例えば、埋め込み手技中に、充填可能ブラダ120が患者の胸腔内にあり、したがって、臨床家の直接視野の外にあるときに、有利であり得る。例えば、使用中、臨床家は、臨床家の手の中のピストルグリップハンドル212の配向に基づいて、心臓の標的表面領域に対する充填可能ブラダ120の場所を推定する。
【0114】
図6Cに図示される本実施形態において、送達デバイス200の遠位端において近位方向へ軸方向の視線上で視認するときに、充填可能ブラダ120は、ピストルグリップハンドル212が垂直に下向きに(例えば、「6時」の位置に)延びているときに送達デバイス200の左側に(例えば、「9時」の位置に)ある。言い換えると、
図6A、6Bの側面図に示されるように、垂直に下向きかつ臨床家の前でピストルグリップハンドル212を保持する臨床家の視点から(例えば、
図16A参照)、充填可能ブラダ120は、送達デバイス200の右側に(例えば、ハンドル212の「6時」の位置に関して「3時」の位置に)位置する。他の実施形態は、送達デバイスに関して充填可能ブラダを配向することの異なる変形例を使用し得る。例えば、いくつかの実施形態において、充填可能ブラダは、送達デバイスの反対側に、上または下側に、あるいは、バレルアセンブリ220の周辺の周りの任意の他の位置に位置し得る。
【0115】
(
図6A、6Bに加えて)ここで
図7を参照すると、送達デバイス200のいくつかの実施形態は、心尖Hに向かいかつそれを越えたインプラント100の前進中に、バレル222とインプラント100との間に位置する複数の心外膜管理ストリップ250を含む。前述のように、心臓H上へのインプラント100の設置を支援するために、心外膜管理ストリップ250が使用されることができる。インプラント100が心臓Hを越えてスライドされると、心臓の心外膜表面とインプラント100との間に心外膜管理ストリップ250が一時的に位置付けられることができる。心外膜管理ストリップ250は、心臓上へのインプラント100のスライディング前進を容易にする低摩擦表面積を提供するように、可撓性の潤滑材料で作製されることができる。本実施形態において、心外膜管理ストリップ250は、送達デバイス200の構成要素であり、インプラント100と同様に、送達デバイス200上に事前装填される。インプラント100が(例えば、縁113が心臓Hの心房−心室溝に位置付けられた状態で)選択された位置に設置および据え付けられた後、心外膜管理ストリップ250は、胸腔から除去される。
【0116】
心外膜管理ストリップ250は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、および、同等物を含むが、それらに限定されない種々の異なる材料から作製されることができる。いくつかの実施形態において、潤滑コーティングまたは表面処理が、心外膜管理ストリップ250を作製するために使用される材料に適用されることができる。心外膜管理ストリップ250を構築するように選択される材料は、低い摩擦係数、生体適合性、および、液体の吸収に対する抵抗等の性質を有する。心外膜管理ストリップ250の厚さは、所望のレベルの側方可撓性、柱強度、および、他の機械的性質を提供するように選択されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、心外膜管理ストリップ250の厚さは、約0.010インチ〜約0.100インチ(約0.25mm〜約2.54mm)の範囲にある。
【0117】
本実施形態において、合計6つの心外膜管理ストリップ250がある。心外膜管理ストリップ250は、アクチュエータ224からバレル222の外表面を越えてインプラント100の下に延び、インプラント100が送達デバイス200に結合される場所で終わる。本実施形態において、心外膜管理ストリップ250は、近位部分252と、遠位部分254と、それらの間の中間部分256とを含む。近位部分252は、アクチュエータ224上に位置する返し付き突出部と係合するように構成される第1の隙間ホール253を含む。遠位部分254は、インプラント100が設置されるときに心臓の表面上でスライドする広がった領域である。第2の隙間ホール255が、遠位部分254に位置する。第2の隙間ホール255は、インプラント100のメッシュ材料の一部分がそれを通過することを可能にするように構成され、その後、メッシュ材料の一部分は、送達デバイス200に解放可能に結合される。
【0118】
ここで
図8A〜8Eを参照すると、送達デバイス200が、複数の視点から図示されている。これらの図において、インプラント100および心外膜管理ストリップ250は、バレルアセンブリ220およびそれよりも遠位にある他の構成要素を図示する目的のために示されていない。以前に説明されたように、送達デバイス200は、主要本体210と、バレルアセンブリ220と、心臓安定器アセンブリ230とを含む。加えて、送達デバイス200は、複数の細長いアームアセンブリ240を含む。本明細書でさらに説明されるように、心臓上にインプラント100を運搬するように、アームアセンブリ240をバレルアセンブリ220から個別かつ選択的に延ばすことができる。その後、アームアセンブリ240をインプラント100から分断し、(
図8A〜8Eに示されていない心外膜管理ストリップ250と一緒に)患者の胸部空間から後退させることができる一方で、インプラント100は、(例えば、縁113が心臓Hの心房−心室溝に位置付けられた状態で)患者の心臓H上の選択された位置にとどまる。
【0119】
アームアセンブリ240は、バレルアセンブリ220の遠位端から延び、自由端244で終わる。各アームアセンブリ240の近位端が、アクチュエータ224に結合される。本実施形態において、送達デバイス200は、6つのアクチュエータ224と、6つの対応するアームアセンブリ240とを含む。他の実施形態は、6つよりも多いかまたは少ないアクチュエータおよびアームアセンブリを含み得る。本実施形態において、各アクチュエータ224は、1つかつ唯一のアームアセンブリ240に結合され、各アームアセンブリ240は、1つかつ唯一のアクチュエータ224に結合される。しかしながら、いくつかの実施形態において、1つよりも多くのアームアセンブリが、1つのアクチュエータに結合され得る。本明細書でさらに説明されるように、アームアセンブリ240の遠位自由端244は、インプラントのメッシュ材料と解放可能に結合されるように構成される(例えば、
図6C参照)。
【0120】
図8F、8Gを参照すると、細長いアームアセンブリ240は、横方向に可撓性かつ軸方向に延伸可能な部材である。つまり、アームアセンブリ240の各々は、描写した実施形態において、横方向に弾性的に屈曲し、軸方向に並進することができる。そのような性質は、非外傷性様式で、比較的小さい胸部開口部を通して、患者の心膜腔の中へインプラントを運搬し、次いで、患者の心臓Hの心室上へインプラントを運搬するために有用であり得る。
【0121】
送達デバイス200の本実施形態において、細長いアームアセンブリ240は、後退位置(
図8Fに描写される)と延伸位置(
図8Gに描写される)との間で手動で調節されることができる。延伸位置において、細長いアームアセンブリ240は、アームアセンブリ240が後退位置にあるときよりも大きい程度で、バレルアセンブリ220の遠位端221から遠位に突出する。遠位に延びるアームアセンブリ240のこの能力は、患者の心臓上にインプラントを運搬する目的のために有用である。つまり、バレルアセンブリ220の遠位端221が胸腔の外側にとどまっている間に、アームアセンブリ240を、胸部切開を通して延伸させ、次いで、患者の胸腔の中へ延伸させることができる。アームアセンブリ240は、患者の心臓の心室の周りに突出して心臓H上にインプラント100を配置するように、さらに延伸させられることができる(例えば、
図1B、4A、4B参照)。アームアセンブリ240の可撓性は、アームアセンブリが最小侵襲埋め込み手技中に屈曲を持続させるので、有用であり得る。例えば、胸部切開を通過した後に、アームアセンブリ240のうちの少なくともいくつかは、その後、心臓Hの輪郭に従うように屈曲する。アームアセンブリ240は横方向にコンプライアンスがあるので、アームアセンブリ240は、小切開を通って胸部に進入することができ(例えば、小開胸術)、患者の心臓H上にインプラント100を運搬するように、胸腔内で弾性的に屈曲されることができる。
【0122】
描写した実施形態において、アームアクチュエータ224を移動させることによって、アームアセンブリ240を、延伸させることができ、後退させることができる。これは、アームアセンブリ240の近位端がアクチュエータ224に結合されているためである。アームアセンブリ240を軸方向に移動させるために、対応するアクチュエータ224を、スプライン状の細長いバレル222に沿ってスライドさせることができる。例えば、アクチュエータ224が、
図8Fでスプライン状の細長いバレル222の近位端の近くに位置するので、アームアセンブリ240は、後退位置にある。対照的に、アクチュエータ224が、
図8Gでスプライン状の細長いバレル222の遠位端の近くに位置するので、アームアセンブリ240は、延伸位置にある。
【0123】
図9A〜9Cを参照すると、アームアクチュエータ224、および、それに結合された対応するアームアセンブリ240を、個別に、スプライン状の細長いバレル222の軸に沿って軸方向に並進させることができる。例えば、アームアクチュエータ214aは、他のアームアクチュエータ224の遠位にある場所にスライドさせられている。したがって、対応するアームアセンブリ240aは、他のアームアセンブリ240よりもバレル222の遠位端221からさらに遠位に延伸させられる。いくつかの実施形態において、複数のアームアクチュエータ224を同時に並進させる機械的部材を使用して、複数のアームアクチュエータ224およびアームアセンブリ240を同時に移動させることができる。
【0124】
送達デバイス200の本実施形態において、アクチュエータ224およびアームアセンブリ240は、各々が個別にバレル222のスプライン223とスライド可能に結合される。各アームアセンブリ240は、スプライン状の細長いバレル222の対応するスプライン223に少なくとも部分的に配置されることができる。例えば、アームアセンブリ240aは、スプライン223aに部分的に配置される。スプライン223によって画定される開放空間は、それに配置されるアームアセンブリ240の一部分の外形よりも大きい。そうであるので、アームアセンブリ240は、スプライン223内で軸方向に自由にスライドさせられることができる。アームアクチュエータ224はまた、特定のスプライン223に部分的に配置されるか、または、それと係合させられる。例えば、アームアクチュエータ224aは、スプライン223aと係合させられる。アームアクチュエータ224は、スプライン223の形状に対して相補的である形状を有するシャトル部分を含む。結果として、アームアクチュエータ224は、スプライン223に結合され、かつ、それに関してスライド可能である。
【0125】
図9A〜9Cおよび
図10を参照すると、主要本体210は、アクチュエータロックリング216を含むことができる。アクチュエータロックリング216は、バレル222上のアームアクチュエータ224の最近位位置においてアームアクチュエータ224を保持するように動作させられることができる。この特徴は、アームアセンブリ240が意図せずに延伸することを拘束する目的のために有用であり得る。
【0126】
アクチュエータロックリング216は、主要本体210に回転可能に結合されることができる。つまり、本実施形態において、アクチュエータロックリング216は、主要本体210に結合され、かつ、それに関して手動で自由に回転させられることができる。加えて、アクチュエータロックリング216は、バレル222およびそれにスライド可能に結合されたアームアクチュエータ224に関して、手動で回転させられることができる。
【0127】
アクチュエータロックリング216は、アクチュエータ224を主要本体210にロックまたはロック解除するように手動で回転させられることができる回転可能ロックノブ218を含む。アクチュエータロックリング216はまた、リング216の内径の周りに配置される6つのスロット217(
図10に示される)を含む。スロット217は、バレル222のスプライン223と選択的に整列可能であるように構成される。スロット217はまた、アームアクチュエータ224の近位端上に位置するアクチュエータタブ225(
図9C参照)を受け取るように構成される。アクチュエータロックリング216のスロット217がスプライン223と整列していて、かつ、アームアクチュエータ224がバレル222上で移動の最遠位端にスライドさせられると、タブ225は、スロット217を通過し、スロット217に対して近位に存在する。その後、スロット217がもはやスプライン223と整列させられなくなり、それによって、アームアクチュエータ224を主要本体210にロックするように、ロックノブ218を介してアクチュエータロックリング216を回転させることができる。例えば、
図9Aにおいて、アクチュエータロックリング216は、スロット217がスプライン223と整列させられていない回転位置にある。したがって、アクチュエータ224a以外のアームアクチュエータ224は、主要本体210にロックされる。対照的に、
図9Bにおいて、アクチュエータロックリング216は、スロット217がスプライン223と整列させられている回転位置にある。例えば、スロット217aは、スロット223aと明白に整列させられている。したがって、アームアクチュエータ224の全てが、主要本体210にロックされない。結果において、アームアクチュエータ224は、主要本体210およびスプライン付きバレル222に関してスライドさせられることができる。
【0128】
図9Bの断面図において、アームアセンブリ240の各々が、細長い中空外側ジャケット241を含むことが分かる。中空外側ジャケット241は、
図11A〜11Bに関連して説明されるコア部材242等の別の部材を含むことができる開放内部空間または管腔を画定する。
【0129】
ここで
図11A、11Bを参照すると、本実施形態において、アームアセンブリ240の各々は、中空外側ジャケット241と、コア部材242と、アームキャップ243とを含む。コア部材242は、中空外側ジャケット241の管腔内にスライド可能に配置される。アームキャップ243は、中空外側ジャケット241の遠位端に貼り付けられる。したがって、コア部材242はまた、アームキャップ243に関してスライドさせられることができる。他の実施形態において、類似の機能性を提供しながら、アームアセンブリ240の他の構成が使用されることができる。
【0130】
以前に説明されたように、アームアクチュエータ224は、対応するアームアセンブリ240に結合される。例えば、アームアクチュエータ224が、スプライン付きバレル222に関して軸方向に並進させられるとき、対応するアームアセンブリ240が、バレル222の遠位端221から延伸または後退させられる。各アームアセンブリ240が延伸または後退させられると、アームアセンブリ240の中空外側ジャケット241、コア部材242、および、アームキャップ243は、等しい距離で一斉に延伸または後退させられることができる。
【0131】
アームアクチュエータ224は、各アクチュエータ224が、対応するアームアセンブリ240のコア部材242を中空外側ジャケット241およびアームキャップ243に対して移動させることを可能にする第2の様式で、アームアセンブリ240に結合される。具体的に、アームアクチュエータ224のアクチュエータレバー226を枢動させることがアームアセンブリ240の外側ジャケット241およびアーム端部243に関してアームアセンブリ240のコア部材242を前進または後退させることができるように、アームアクチュエータ224は、コア部材242に結合される。アクチュエータ224の枢動可能アクチュエータレバー226は、アクチュエータ224が結合されるアームアセンブリ240のコア部材242を制御する。
【0132】
枢動可能アクチュエータレバー226の長手方向軸がバレル222の軸とおおよそ垂直であるように、枢動可能アクチュエータレバー226は、
図11Aでバレル222から離れて枢動させられて示されている。対照的に、枢動可能アクチュエータレバー226の長手方向軸がバレル222の軸とおおよそ平行であるように、枢動可能アクチュエータレバー226は、
図11Bでバレル222に向かって枢動させられて示されている。アクチュエータレバー226のそのような枢動は、中空外側ジャケット241およびアームキャップ243に関してコア部材242の軸方向位置を制御する。例えば、
図11Aにおいて、いかなるコア部材も、アームキャップ243の窓内で可視ではない。対照的に、
図11Bにおいて、コア部材242は、アームキャップ243の窓内で可視である。この比較は、本実施形態において、アクチュエータレバー226がバレル222から離れて枢動させられるときに、コア部材242が軸方向へ後退させられることを例証する。逆に、アクチュエータレバー226がバレル222に向かって枢動させられるとき、コア部材242は、軸方向へ遠位に前進させられる。
【0133】
アームアクチュエータ224がアームアセンブリ240に結合されるこの第2の様式は、対応するアームアセンブリ240を延伸または後退させるようにスプライン付きバレル222に関してアームアクチュエータ224を軸方向に並進させることとは独立して、動作させられることができる。したがって、例えば、アームアクチュエータ224の任意の軸方向位置において、アクチュエータレバー226は、コア部材242を前進または後退させるように枢動させられることができる。さらに、2つの移動(アームアクチュエータ224の軸方向並進およびアクチュエータレバー226の枢動)を同時に行うことができる。
【0134】
アーム端部243の窓内のコア部材242の前進および後退は、インプラントを送達デバイス200に解放可能に結合するために有利に使用されることができる。いくつかの実施形態において、コア部材242が前進位置にあるときに、インプラント100のメッシュ本体110の一部分は、圧着されることができ、アーム端部243の窓内に含まれることができる(例えば、
図6C参照)。送達デバイス200からインプラント100を解放することが所望されるとき、アクチュエータレバー226は、コア部材242を後退させるように枢動させられることができ、次いで、メッシュ材料は、もはやアーム端部243の窓内に圧着されなくなり、次いで、インプラント100は送達デバイス200から分離されることができる。その後、アームアセンブリ240を(
図8A〜11Bに示されていない心外膜管理ストリップ250と一緒に)患者の胸部空間から後退させることができる一方で、インプラント100は、(例えば、縁113が心臓Hの心房−心室溝に位置付けられた状態で)患者の心臓H上の選択された位置にとどまる。
【0135】
ここで
図12A〜12Cを参照すると、本明細書で説明されるいくつかの実施形態は、心臓状態を治療するようにインプラントを患者に設置するための方法300を含む。いくつかの実装において、そのような心臓状態は、機能性僧帽弁逆流、三尖弁逆流、および、鬱血性心不全を含むことができるが、それらに限定されない。方法300のいくつかの実施形態において、心臓インプラント(上記で説明されるインプラント100を含むがそれに限定されない)が、患者の心臓の外部を包囲するように埋め込まれる。方法300で用いられるインプラントは、1つ以上の充填可能ブラダを含み得る。充填可能ブラダは、充填可能ブラダが膨張させられるときに、充填可能ブラダが局所的な圧力を及ぼして心臓の一部分の再形成を誘導するように、心臓の標的心外膜領域上(例えば、僧帽弁に隣接する心臓の後壁上)の選択された位置に設置するために構成されることができる。僧帽弁に隣接する心臓の後壁上に充填可能ブラダを位置付ける例において、充填可能ブラダは、順に、僧帽弁輪の後部分(
図1B参照)に印加される局所的な圧力を提供し、したがって、弁尖を相互により近接近させ、僧帽弁逆流問題を治療する。
【0136】
図12Aを参照すると、方法300のいくつかの実装において、ステップ302は、患者の心臓の心尖を識別することを含む。このステップは、1つ以上の画像モダリティの使用を伴ってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、放射線撮影および/または経胸壁心エコー情報が、心尖の識別に役立つように得られる。
【0137】
方法300のいくつかの実装におけるステップ304において、患者の心臓にアクセスするための切開用の場所が選択され、次いで、患者の皮膚を通した切開が作成される。いくつかの実施形態において、切開の選択された場所は、心臓の長軸と整列している心尖へのアクセスを可能にする。そのような切開は、(例えば、ステップ326におけるように)インプラント送達デバイスが、心臓と実質的に同軸上で患者の胸腔に挿入されることを可能にすることができる。したがって、ステップ302で確認されるような患者の心臓の心尖の場所に少なくとも部分的に基づいて、切開のための場所が作成されることができる。いくつかの実装において、肋間切開場所が選択される。例えば、特定の実装において、第5肋間腔が選択され得る。しかしながら、選択された切開場所は、患者特異的であり得る。いくつかの実装において、切開は、小開胸術心臓アクセス手技を含む。方法300のいくつかの実施形態において、最小限のサイズの切開が推奨される。例えば、上記で説明される送達デバイス200については、7cmの最小限の切開が推奨されるが、それは、いくつかの実装において、随意的である。
【0138】
方法300のいくつかの実装におけるステップ306において、患者の切開した皮膚を通る外科的通路を作成して維持するように、外科的開創が行われる。いくつかの実装において、薄型開創器が使用される。方法300のいくつかの実施形態において、開創器ブレードの分離距離が推奨される。例えば、上記で説明される送達デバイス200が使用されるとき、開創器ブレードは、少なくとも約4cm分離されるべきである。
【0139】
方法300のいくつかの実装におけるステップ308において、心膜が切開され、心臓の心尖へのアクセスを提供するように後退させられる。いくつかの実施形態において、切開の選択された場所は、心臓の長軸と整列している心尖へのアクセスを可能にする。方法300のいくつかの実施形態において、最小限のサイズの切開が推奨される。例えば、上記で説明される送達デバイス200については、7cmの最小限の切開が推奨されるが、それは随意的である。心膜の縁は、縁を周辺組織に縫合することによって、後退させられることができる。
【0140】
方法300のいくつかの実装におけるステップ310において、検査が心膜癒着についてなされる。心膜癒着は、心筋への心膜の付着である。いくつかの実装において、造影剤溶液が、心膜癒着の可視化を増進するように心膜に注入され得る。心臓への完全円周アクセスを妨げ得る心膜癒着が識別された場合、臨床家は、この時点で方法300を放棄し得る。
【0141】
方法300のいくつかの実装におけるステップ312において、複数の心膜縁管理ストリップ(PEMS)が設置される。PEMSは、心膜の露出縁を覆うため、および、心尖への(例えば、送達ツール200による)アクセスのためのクリアなトンネルを作成するために使用されることができる。いくつかの実装において、4〜6つのPEMSが設置される。他の実装において、4つよりも少ないかまたは6つよりも多いPEMSが設置され得る。PEMSは、滅菌デバイスである。
【0142】
PEMSの1つの例示的実施形態が、
図13A、13Bに図示されている。示されるように、いくつかの実施形態において、PEMS400は、マスキング部材410と、展性部材420と、接着部材430とを含む。展性部材420および接着部材430は、マスキング部材410に取り付けられることができる。いくつかの実施形態において、展性部材420は、マスキング部材410の材料の複数の層の間に配置される。マスキング部材410は、Teflon、ポリエステル、ポリウレタン、および、同等物等の可撓性がある生体適合性フィルムであり得る。展性部材420は、ステンレス鋼、チタン、および、同等物、または、それらの合金等の薄いゲージの金属材料であり得る。接着部材430は、医療グレードアクリル接着剤、または、他の医療グレード接着剤等の感圧生体適合性材料であり得る。接着部材430は、接着パッドを備えることができ、または、マスキング部材410上にコーティングされることができる。接着部材430は、PEMS400が実際に使用されるときに除去されるライナ432によって覆われる。
【0143】
(PEMS400を使用する)ステップ312の1つの非限定的例が、
図13Cに図示されている。患者の胸部460における切開を広げるための開創器デバイス440が描写されている。4つのPEMS400が、アクセストンネル450を作成するように、患者の胸腔に部分的に挿入される。接着部材430の反対の端部は、切開を通して心膜腔に挿入される。PEMS400の挿入された端部が心膜腔内にあり、かつ、PEMS400が他の心臓構造に干渉またはそれを損傷しないように、切開に過度に深く挿入されないことを確実にするために、配慮(care)が使用される。PEMS400が切開部位の周りの滅菌外科用ドレープと接触しているように、PEMS400の露出部分は、後屈させられる(それによって、展性部材420を変形させる)。接着ライナ432が除去される。PEMS400の接着部材430は、患者の胸部460上の滅菌外科用ドレーピング(draping)に接着される。このプロセスは、心膜の全ての縁がPEMS400によって覆われるまで、追加のPEMS400を用いて繰り返される。
【0144】
図12Aを再度参照すると、方法300のいくつかの実装において、ステップ314は、心房−心室溝を識別することを含む。いくつかの実装において、心房−心室溝は、蛍光透視法を使用して識別される。種々の角度からの複数の蛍光透視像が、心房−心室溝の場所を確認するために使用される必要があり得る。いくつかの実装において、(例えば、心膜と心外膜との間の)心膜腔の中への造影剤溶液の注入が、心房−心室溝の可視性を増進させ得る。他の心臓構造の境界もまた、このステップで判定され得る。
【0145】
方法300のいくつかの実装において、随意的なステップ316は、患者の心臓の心室周囲を術中に測定することを含む。いくつかの場合において、測定は、CATスキャン、MRI、超音波、および、同等物等の画像モダリティを使用して、術前にすでに行われていてもよい。そのような場合において、ステップ316は、行うことが随意的であり得る。
【0146】
ステップ316を行うための例示的な術中サイズ決定デバイス500が、
図14A〜14Cに描写されている。いくつかの実施形態において、サイズ決定デバイス500は、主要本体510と、真空アセンブリ520と、サイズ決定アーム530と、サイズ決定コード540とを含む。真空アセンブリ520は、主要本体510に関してスライド可能である。アーム530は、主要本体510に固定される。コード540は、(3本のコードがあるように描写される実施形態において)一方の端部において、アーム530のうちの1つの端部キャップ532に、別の端部において、主要本体510におけるサイズ決定ポジショナ512に取り付けられる。
【0147】
いくつかの実施形態において、主要本体510は、ケーシング511と、サイズ決定ポジショナ512と、サイズ決定インジケータ513と、サイズ決定スケール514とを含む。サイズ決定インジケータ513にリンクされるサイズ決定ポジショナ512は、ケーシング511に関してスライド可能である。サイズ決定スケール514は、ケーシングに貼り付けられる。サイズ決定ポジショナ512が軸方向に並進させられると、サイズ決定インジケータ513は、一致して移動する。臨床家は、サイズ決定スケール514に関してサイズ決定インジケータ513を視認することによって、測定を確認することができる。
【0148】
サイズ決定デバイス500はまた、真空アセンブリ520を含む。いくつかの実施形態において、真空アセンブリ520は、真空継手521と、ノブ522と、真空シャフト523と、真空安定器カップ524とを含むことができる。真空アセンブリ520の前述の構成要素は、相互に貼り付けられ、ユニットとして主要本体510に関して軸方向に並進する。真空継手52は、真空安定器カップ524と流体連通している真空シャフト523と流体連通している。したがって、陰圧源が真空継手に取り付けられるとき、陰圧が真空シャフト523および真空安定器カップ524に伝達される。
【0149】
いくつかの実施形態において、サイズ決定デバイス500はまた、複数のサイズ決定アーム530を含む。描写した実施形態において、互いから約120度離れて配置される3本のアーム530が含まれる。他の実施形態において、より少ないかまたはより多いアームが含まれる。アームの一方の端部が主要本体510に貼り付けられる一方で、アーム530の他方の端部は、端部キャップ532を有する自由端である。アーム530は、横方向に弾性的に可撓性がある。つまり、アーム530は、主要本体510に貼り付けられた一方の端部を有しながら真空シャフト523から離れるように半径方向に偏らせることができる。そうであるので、いくつかの実施形態において、アーム530は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPEまたはLLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアミド(PAまたはナイロン)、および、同等物等のポリマー材料から作製される。端部キャップ532は、サイズ決定コード540が自由に通過する隙間ホールを含む。
【0150】
サイズ決定デバイス500はまた、サイズ決定コード540を含む。描写される実施形態において、3本のサイズ決定コード540が含まれる。他の実施形態において、より少ないかまたはより多いコードが含まれる。コードは、限定されないが、PTFE、ePTFE、ポリプロピレン、ポリグリコリド、ナイロン、および、他の類似材料等の生体適合性材料から成ることができる。各コード540は、2つの端部を有する。コード540の第1の端部は、サイズ決定ポジショナ512に取り付けられ、コードの第2の端部は、端部キャップ532に個別に取り付けられる。それらの間で、コード540は、端部キャップ532における隙間ホールを個別に通過する。
【0151】
1つの実施形態において、サイズ決定デバイス500を使用するためのプロセスは、下記の通りである。陰圧源が、真空継手521に接続される。真空アセンブリ520は、主要本体510に関して完全に延伸させられる。真空安定器カップ524が、胸部切開を通して挿入され、心尖と接触して配置される。主要本体510、および、それに貼り付けられたサイズ決定アーム530は、アーム530およびコード540が心臓を包囲するように心膜腔の中へ慎重に前進させられる。前進の可視化を提供するために、蛍光透視鏡等の撮像システムが使用されることができる。アームおよびコード540が前進させられると、コード540が心臓を包囲するために追加の長さを必要とするので、サイズ決定ポジショナ512は、主要本体510に関して遠位に移動し得る。前進は、サイズ決定器コード540が心臓の最大周囲の周りにあるときに停止させられる。次いで、サイズ決定器ポジショナ512は、コード540の任意の緩みを除去するように、慎重に(手動で)後方に引かれる。蛍光透視法を使用して、臨床家は、コード540が過度にきつく締められていないこと(例えば、心臓がコード540によってくぼませられていないこと)を確認する。次いで、臨床家は、サイズ決定スケール514に対するサイズ決定インジケータ513の相対位置を観察する。それによって、臨床家は、心臓の最大周囲のサイズを確認し、その後、サイズ決定デバイス500を除去することができる。
【0152】
図12Aを再度参照すると、方法300のいくつかの実装において、ステップ318は、以前に判定されたような患者の心臓のサイズに少なくとも部分的に基づいて、インプラントを選択することを含み得るインプラントを選択することを含むことができる。いくつかの実施形態において、インプラントは、本明細書で以前に説明されたように、滅菌包装の中で送達デバイス上に事前装填される。心外膜管理ストリップもまた、送達デバイス上に事前装填され得る。
【0153】
方法300のいくつかの実装におけるステップ320において、陰圧源が送達デバイスに接続される。例示的な送達デバイス200との関連で、陰圧は、真空接続継手232に取り付けられる。陰圧は、心臓安定器230の真空カップ238に伝達される。
【0154】
方法300のいくつかの実装におけるステップ322において、真空安定器が完全に延伸させられる。例示的な送達デバイス200との関連で、心臓安定器230は、主要本体210に関して完全に延伸させられる。
【0155】
方法300のいくつかの実装におけるステップ324において、真空安定器が、切開を通して心膜トンネルに挿入される。このステップの例が、
図15に図示されている。例示的な送達デバイス200の真空カップ238が、心膜トンネル450に挿入されている。インプラント100は、送達デバイス200に結合される。
【0156】
ここで
図12Bを参照すると、ステップ326で、充填可能ブラダは、方法300のいくつかの実装に従って、心臓上の標的場所に回転して整列させられる。例えば、いくつかの場合において、標的場所は、充填可能ブラダがFMRを治療するように僧帽弁の後尖の「P2」部分を偏らせることができる心臓の後外側面上にあり得る。方法300を使用して治療されるべき状態に応じて、他の標的場所が他の場合において選択され得る。このステップにおいて、送達デバイスの特徴と充填可能ブラダとの間の相対位置付けが有利に使用されることができる。上記で説明されるように、例示的な送達デバイス200との関連で、送達デバイス200のピストルグリップハンドル212に関する充填可能ブラダ120の相対的配向は、臨床家が、患者の身体の上のピストルグリップハンドル212の便宜上保持された位置に基づいて、充填可能ブラダ120の位置を確認することが可能であり得るように、所定の配向を有することができる。既知の配向に基づいて、臨床家は、臨床家の手の中のピストルグリップハンドル212の配向に基づいて、心臓の標的表面領域に対する充填可能ブラダ120の場所を推定する。
【0157】
方法300のいくつかの実装におけるステップ328において、真空安定器が、患者の心臓の心尖に適用される。送達デバイスにおける陰圧は、このステップにおいて有効(active)である。したがって、真空安定器は、真空を使用して心尖に取り付けられる。それによって、心尖は、送達デバイスに関して安定させられる。
【0158】
ステップ330において、アームアクチュエータがロック解除されることができる。例示的な送達デバイス200との関連で、臨床家は、以前に説明されたように、アクチュエータロックリング216を回転させる。その後、アームアクチュエータ224の全てが主要本体210にロックされていず、アームアクチュエータ224は、送達デバイス200の主要本体210およびスプライン付きバレル222に関してスライドさせられることができる。
【0159】
方法300のいくつかの実装における随意的なステップ332において、心臓を一時的に伸長させることができる。臨床家は、近位方向へ送達デバイスにわずかな有向引張(directed pull)を及ぼすことによって、このステップを行うことができる。そうすることにより、心臓の心尖において心臓の形状を伸長し、心臓の上における送達ツールのアームの初期展開を容易にし得る。
【0160】
ステップ334において、心臓に対するアームの位置を視認するために撮像を使用しながら、送達デバイスのアームが徐々に延伸させられる。
図16A〜16Cは、方法300のいくつかの実装によるステップ334の1つの非限定的例を図示する。
図16Aにおいて、送達デバイス200を動作させる臨床家が示されている。臨床家は、アクチュエータ224を遠位にスライドさせることによって、送達デバイスのアーム240を徐々にかつ個別に延伸している。同時に、臨床家は、撮像システム600(
図16B参照)のビデオ画面を観察し、それによって、臨床家は、心臓Hに関するアーム240の位置を視認することができる。いくつかの実装において、(上記で説明される)インプラント100の放射線不透過性マーカもまた、同時可視化プロセス、および、心臓Hの特定の目印に対する縁113およびブラダ120の位置付けを検証することに役立ち得る。
図16Cは、心臓Hの心室の周りにインプラント100を位置付けるようにアームが延伸させられているときのアーム240に結合されるインプラント100を図示する。アーム240は、慎重に前進させられ、多くの状況において、どの単一のアーム240も他のアームよりも遠くに大きく前進させられない。例えば、いくつかの実装において、どの単一のアーム240も任意の他のアーム240を約2cm以上超えて位置付けられないことが、推奨される。いくつかの実装において、このステップ中にアームの可撓性と柱強度との間の望ましい平衡を達成するように、送達デバイスの静止に関して真空安定器の延伸距離を調節することが、有利であり得る。
【0161】
ステップ336において、アームが、心臓の心房−心室溝にインプラントの前縁を位置付けるように、さらに前進させられる。心房−心室溝におけるインプラントのこの位置付けは、例えば、
図1Bに描写されている。本明細書で以前に説明されたように、同時可視化プロセス、および、心臓Hの特定の目印に対する縁113およびブラダ120の位置付けを検証することに役立つように、放射線不透過性マーカがインプラント上に搭載され得る。例示的な送達デバイス200との関連で、縁113上に位置する1つ以上の放射線不透過性マーカ115、および、ブラダ120の1つ以上の放射線不透過性マーカ125は、撮像システムと併せて基準点として使用されることができる。
【0162】
ステップ338において、送達デバイスがインプラントから分断される。例示的な送達デバイス200との関連で、アームアクチュエータ224のアクチュエータレバー226を枢動させることは、インプラント100からアームアセンブリ240を分断するように、アームアセンブリ240の外側ジャケット241およびアーム端部243に関してアームアセンブリ240のコア部材242を後退させることができる。このプロセスは、全てのアームアセンブリ240について、送達デバイス200からインプラント100を完全に分断するために繰り返されることができる。
【0163】
ステップ340において、送達デバイスのアームを後退させることができる。例えば、例として送達デバイス200を使用して、心臓Hの上にインプラント100を残しながら、各アームアセンブリを引き込むように、アームアクチュエータ224を近位にスライドさせることができる。心外膜管理ストリップ250もまた、アーム240と一緒に後退させられる。
【0164】
ステップ342において、送達デバイスが患者から引き出される。陰圧源が中断され、次いで、送達デバイス全体が引き出される。このステップの1つの非限定的例が、
図17に図示されている。
【0165】
ここで
図12Bを再度参照すると、ステップ344において、患者パラメータが監視されている間に充填可能ブラダ(単数または複数)が膨張させられる。滅菌生理食塩水溶液または他のタイプの膨張流体が、充填可能ブラダを膨張させるために使用され得る。例えば、膨張流体は、管の近位端開口部に一時的に結合されるシリンジデバイスまたは他の膨張送達デバイスから分注されることができる。治療されている状態が弁逆流であるとき、膨張が行われている間に、例えば、経食道心エコー図または他の類似技法を使用して、弁が監視され得る。そのような同時監視は、臨床家が膨張流体の量を充填可能ブラダ(単数または複数)に投与することを支援し得る。このステップもまた、
図17に図示されている。
【0166】
ここで
図12Bを再度参照すると、ステップ346において、充填可能ブラダの膨張管が封止される。例えば、1つ以上の結紮クリップが、管を封止するように膨張管に適用され得る(例えば、
図1A、1B参照)。
【0167】
ここで
図12Cを参照すると、方法300のいくつかの実装において、ステップ348は、心膜腔を洗浄することを含み得る。例えば、滅菌生理食塩水溶液が注入されることができ、続いて、吸引されることができる。このステップは、手技の初期に注入されている場合がある造影剤物質を除去するように行われることができる。溶液の注入および吸引は、心膜腔を洗浄するように、所望に応じて複数回繰り返されることができる。
【0168】
ステップ350において、心膜縁管理ストリップが除去される。除去は、実装手技のステップを逆転させることによって行われることができる。
【0169】
ステップ352において、インプラントの過剰なメッシュ材料が刈られる。このステップ352は、方法300のいくつかの実装における全ての他のステップのように、心臓が鼓動している間に行われ得る。そのような状況で、臨床家は、胸部開口部の領域においてインプラントの後端材料を慎重に集めることができる。鋏または他の切断デバイスを使用して、臨床家は、過剰な材料を刈ることができる。心尖の周りでインプラントを閉鎖するための十分な量がインプラントとともに残っていることを確実にするように、注意が払われる。このステップの1つの非限定的例が、
図18に図示されている。
【0170】
図12Cを再度参照すると、ステップ354において、インプラントの後端が心尖の周りで閉鎖される。これは、後端部分を縫合して財布の紐のように一緒に材料を締め付けることによって、行われることができる。膨張管は、締め付けられた後端部分を通って延びたままである。この構成の1つの非限定的例が、
図1Bに図示されている。
【0171】
図12Cを再度参照すると、ステップ356において、心膜が緩く閉鎖される。このステップは、心膜を閉鎖するように数本(例えば、2本または3本)の縫合糸を設置することによって行われることができる。緩い閉鎖を有することは、このような手技後に一般的であるような心膜からの流体の排出を容易にする。膨張管は、緩く閉鎖された心膜を通って延びたままである。
【0172】
ステップ358において、膨張管の端部が肋間腔と整列させられ、胸部切開が閉鎖される。肋間腔内において膨張管の端部を整列させることは、肋骨の間の肋間腔(例えば、いくつかの実装において、第5肋間腔)に隣接する皮膚を通した単純切開手技を介して、膨張管への将来のアクセスを可能にし得る。それによって、心膜または心外膜にアクセスする大規模な手術を伴わずに、充填可能ブラダの将来の膨張または収縮が、側面下の肋間腔への最小侵襲アクセスを用いて行われ得る。
【0173】
本発明のいくつかの実施形態を説明してきた。それでもなお、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の改変が行われ得ることが理解される。したがって、他の実施形態が、下記の特許請求の範囲内である。