(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
f)近位端及び遠位端を有するステントグラフト、ここで、前記ステントグラフトは、ルーメン状グラフト構成要素、及び近位端にベアステントを含み、前記ベアステントは、頂部によって連結されたストラットを含み、前記近位頂部捕捉部分の爪部が前記遠位頂部捕捉部分のスロットと嵌合されると、前記ストラットが前記近位頂部捕捉部分の爪部の間に延在し、前記頂部の一部分が前記ボスと前記遠位頂部捕捉部分との間に延在する、並びに
g)前記ステントから少なくとも1つのパイロット穴の中に延在する少なくとも1つの腎臓上バーブ
をさらに含み、前記脚部クラスプは、前記スプールでかつ前記スプールと前記外側シースの間で前記ステントグラフトの遠位端を捕捉し、前記送りねじ用ナットの回転又は引き込みによる前記外側シースの引き込みにより、前記ステントグラフトの遠位端が解放され、それにより、前記ステントグラフトの遠位端が解放される、請求項1記載のステントグラフトデリバリー装置。
ステントは、アイレットを画定するように一対のストラット間に少なくとも1つのブリッジをさらに含み、爪部がスロットと嵌合した場合、前記アイレットを通ってボスが延在し、腎臓上バーブは前記ブリッジから延在する、請求項2記載のステントグラフトデリバリー装置。
ベアステントの遠位部分に固定されるルーメン状グラフト構成要素、及びベアステントの遠位に隣接する腎臓下ステントをさらに含む、ステントグラフトデリバリー装置であって、腎臓下ステントは、近位頂部と遠位頂部とによって連結されたストラットを含み、遠位頂部は、ベアステントの遠位頂部と実質的に整列する、請求項5記載のステントグラフトデリバリー装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、デリバリーシステム、デリバリーシステムの構成要素、並びに血管損傷、特にAAAを治療するためのデリバリーシステム及びその構成要素の使用方法に関する。
【0018】
ある実施形態において、本発明は頂部捕捉装置であり、これは、近位捕捉部分であって、近位捕捉部分の主軸と実質的に平行な少なくとも1つの径方向拘束体を画定するノーズと、ノーズから遠位に延在する複数の爪部であって、最近位の径方向拘束体に対して径方向に、且つ主軸と実質的に平行に主軸の周りに径方向に配設された爪部とを備える近位頂部捕捉部分と;主軸の周りに径方向に配設されたスロットを画定する遠位頂部捕捉部分であって、スロットが、近位頂部捕捉部と遠位頂部捕捉部分とを主軸に沿って互いに動かすことにより爪部と嵌合可能である、遠位頂部捕捉部分と;ノーズと遠位頂部捕捉部分との間に主軸から径方向に延在し、且つ爪部がスロットと嵌合関係になる動きに干渉しない関係で主軸に沿ってスロットと整列する複数のボスと;遠位頂部捕捉部分が固定される細長部材であって、近位頂部捕捉部分及び複数のボスを貫通して延在する細長部材と;近位頂部捕捉部分が固定され、細長部材が貫通して延在するルーメンであって、ルーメンを動かすことにより、爪部がスロットと嵌合してボス上に載置される第1の位置と、爪部がスロットと嵌合せずボス上に載置されない第2の位置との間で近位頂部捕捉部分が主軸に沿って動く、ルーメンとを含む。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、ステントグラフトのベアステントを解放する方法であり、これは、頂部捕捉装置の近位頂部捕捉部分であって、径方向拘束体を画定する近位頂部捕捉部分が固定されるルーメンを、近位頂部捕捉部分の爪部が遠位頂部捕捉部分のスロットと嵌合して頂部捕捉装置の主軸から径方向に延在するボス上に載置される第1の位置と、爪部がスロットと嵌合せずボス上に載置されない第2の位置との間で主軸に沿って動かすステップであって、それによりベアステントの頂部を、爪部とボスと遠位頂部捕捉部分とによって画定される空間から解放するステップを含む。
【0020】
さらなる実施形態において、本発明は頂部捕捉装置アセンブリであり、これは、近位捕捉部分であって、近位捕捉部分の主軸と実質的に平行な少なくとも1つの径方向拘束体を画定するノーズと、ノーズから遠位に延在する複数の爪部であって、最近位の径方向拘束体に対して径方向に、且つ主軸と実質的に平行に主軸の周りに径方向に配設された爪部とを備える近位頂部捕捉部分と;主軸の周りに径方向に配設されたスロットを画定する遠位頂部捕捉部分であって、スロットが、近位頂部捕捉部分と遠位頂部捕捉部分とを主軸に沿って互いに動かすことにより爪部(time)と嵌合可能である、遠位頂部捕捉部分と;ノーズと遠位頂部捕捉部分との間に主軸から径方向に延在し、且つスロットと嵌合関係になる爪部(time)の動きに干渉しない関係で主軸に沿ってスロットと整列する複数のボスと;遠位頂部捕捉部分が固定される細長部材であって、近位頂部捕捉部分及び複数のボスを貫通して延在する細長部材と;近位頂部捕捉部分が固定され、細長部材が貫通して延在するルーメンであって、ルーメンを動かすことにより、爪部がスロットと嵌合してボス上に載置される第1の位置と、爪部がスロットと嵌合せずボス上に載置されない第2の位置との間で近位頂部部分が主軸に沿って動く、ルーメンと;頂部によって連係されたストラットを備えるベアステントであって、爪部(time)がスロットと嵌合されると、ストラットが爪部の間に延在し、頂部の一部分がボスと遠位頂部捕捉部分との間に延在する、ベアステントと;ステントから径方向拘束体の中に延在する少なくとも1つの腎臓上バーブとを含む。
【0021】
さらに別の実施形態において、本発明はステントグラフトシステムであり、これは、ルーメン状グラフト構成要素と;ストラットを接続する近位頂部と遠位頂部とによってつなぎ合わされた複数のストラットを備えるベアステント構成要素であって、ルーメン状グラフト構成要素の近位端に固定され、且つ近位端から近位に延在するベアステント構成要素と;ベアステント構成要素に近接した腎臓下ステント構成要素であって、ベアステント構成要素の遠位にあり、且つルーメン状グラフト構成要素に固定されたベアステント構成要素の頂部によって画定される円周ラインに拡がる腎臓下ステント構成要素と;ベアステント構成要素の少なくとも1つの腎臓上部分から遠位に延在する少なくとも1つの腎臓上バーブと;ベアステントの少なくとも1つの腎臓下部分から遠位に延在する少なくとも1つの腎臓下バーブとを含む。
【0022】
別の実施形態において、本発明はステントグラフトデリバリーシステムであり、これは、遠位グリップと、遠位グリップの一方の端部から延在するハンドル本体とを備えるハンドルであって、遠位グリップ及びハンドル本体の長さの一部分に沿って導管及びトラックを画定するハンドルと;トラック内にある内部送りねじアセンブリであって、導管の主軸に沿って移動自在であり、且つトラックを通って延在するねじ切り部分を備える内部送りねじアセンブリと;ハンドル本体の周囲に延在し、且つ内部送りねじアセンブリのねじ切り部分と螺着自在に係合される送りねじ用ナットであって、送りねじ用ナットを遠位グリップに当接させながら回転させると、内部送りねじアセンブリがハンドルに対して動き、同時に送りねじ用ナットは、内部送りねじアセンブリと係合している間にハンドル本体に沿って摺動自在であり、それにより内部送りねじアセンブリをハンドルに対して動かすための少なくとも2つの機構が提供される、送りねじ用ナットとを含む。
【0023】
本発明の追加の実施形態は、ステントグラフトデリバリーシステム用のスライダであり、このスライダは、支持部材が貫通して延在する中心オリフィスと、中心オリフィスに対して実質的に垂直に延在するフラッシュバルブオリフィスとを画定するスライダ本体であって、内部送りねじアセンブリに着脱自在に固定可能なスライダ本体と;スライダ本体の近位端に連結されたスライダキャップであって、スライダ本体の中心オリフィスと実質的に整列し、且つ支持部材が貫通して延在する中心オリフィスを画定するスライダキャップと;スライダキャップの遠位端から延在するシースであって、スライダ本体の中心開口と実質的に整列し、且つ支持部材が貫通して延在するルーメンを画定するシースと、中心オリフィスにおいてシースの血流遮断を提供するバルブとを含む。場合により、スライドは、スライダ本体の中心開口においてフラッシュバルブオリフィスより近位にあるワイパーバルブであって、支持部材の周囲に封止部を形成するワイパーバルブと;スライダ本体の中心開口においてワイパーバルブより近位にあるxバルブ(x−valve)であって、スライダ本体から支持部材を引き抜くときにカテーテルの周囲に封止部を形成するxバルブと;スライダ本体の中心開口においてxバルブより近位にあるシースバルブであって、スライダキャップの駆動により中心開口を封止するように機能するシースバルブとを備えることができる。
【0024】
さらに別の実施形態において、本発明はステントグラフトシステムであり、これは、第1のルーメン状グラフト構成要素と、第1のルーメン状グラフト構成要素の外表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数の外側ステントと、一方が第1のルーメン状グラフト構成要素の遠位端にある2つの外側ステントの間にある内側ステントであって、第1のルーメン状グラフト構成要素の内表面に固定され、且つ第1のルーメン状グラフト構成要素内にほぼ近位に向いた複数のバーブを有する内側ステントとを備える第1のステントグラフトと;第2のルーメン状グラフト構成要素と、第1のルーメン状グラフト構成要素の外表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数の外側ステントとを備える第2のステントグラフトであって、第2のステントグラフトを第1のルーメン状グラフト構成要素の遠位端に挿入し、第1のステントグラフト及び第2のステントグラフトの各々の少なくとも2つのステントを重ね合わせると、バーブの少なくとも一部分の間に第2のステントグラフトの第2のルーメン状グラフト構成要素のステントに干渉する関係が生じる、第2のステントグラフトとを含む。
【0025】
本発明の別の実施形態はステントグラフトシステムであり、これは、ルーメン状グラフト構成要素と;ルーメン状グラフト構成要素の近位端から延在するベアステントと;ベアステントの近位端から遠位に延在する少なくとも1つの近位バーブと;ベアステントの遠位端から遠位に延在する少なくとも1つの遠位バーブであって、ルーメン状グラフト構成要素の主軸に沿った近位バーブと遠位バーブとの間の距離が、約6mm〜約40mmの範囲である、遠位バーブとを含む。
【0026】
本発明の追加の実施形態は脚部クラスプであり、これは、バレルと;バレルからバレルの主軸に沿って延在するスプールと;スプールの端部にあるリムであって、スプールの直径より大きいが、バレルの直径より小さい直径を有するリムとを含む。
【0027】
さらに別の実施形態において、本発明はステントグラフトデリバリーシステムであり、これは、脚部クラスプであって、バレルと、バレルからバレルの主軸に沿って延在するスプールと、スプールの端部にあるリムであって、スプールの直径より大きいが、バレルの直径より小さい直径を有するリムとを備える脚部クラスプと;バレルに固定され、且つバレルからスプールと反対方向に延在する支持チューブと;バレル径より大きい内径を有し、且つスプール及びリムを被覆する第1の位置と、スプール及びリムを露出させる第2の位置との間で摺動自在に動くことが可能なシースとを含む。
【0028】
本発明のさらなる実施形態はステントグラフトシステムであり、これは、ルーメン状グラフト構成要素と;近位頂部と遠位頂部とによってつなぎ合わされた斜めストラットのベアステントであって、ルーメン状グラフト構成要素の近位端から延在するベアステントと;ベアステントに隣接し、且つルーメン状グラフト内にある近位ステントであって、頂部によってつなぎ合わされた斜めストラットを備える近位ステントと;遠位頂部から遠位にルーメン状グラフト構成要素の中を通って延在する少なくとも1つのバーブとを含む。
【0029】
さらに別の実施形態において、本発明はテレスコープ型ステントグラフトシステムであり、これは、二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素と、二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素の2本の脚部のうちの一方の表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数のステントとを備える二分岐の第1のステントグラフトと;第2のルーメン状グラフト構成要素と、第1のルーメン状グラフト構成要素の表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数のステントとを備える第2のステントグラフトであって、第2のステントグラフトを二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素の2本の脚部構成要素のうちの第1の脚部の遠位端に挿入し、第1のステントグラフト及び第2のステントグラフトの各々の少なくとも2つのステントを重ね合わせることができる、第2のステントグラフトと;二分岐の第1のルーメン状ステントグラフトの第2の脚部の表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数のステントとを含み、第1の脚部が第2の脚部より短く、第1の脚部が、第2のステントグラフトの少なくとも2つのステントが重なり合うのに必要な数より少なくとも1つ多いステントを備える。
【0030】
さらに別の実施形態において、本発明は腹部大動脈瘤の治療方法であり、これは、シース及びデリバリーシステムの遠位先端を、患者の動脈を通じて患者の腹部大動脈瘤に送り込むステップであって、シースが二分岐ステントグラフトを格納している、ステップと;シースと螺着自在に連結されているデリバリーシステムの送りねじ用ナットを回転させ、それにより二分岐ステントグラフトからシースを少なくとも部分的に引き込むステップと;送りねじ用ナットをシースと螺着自在に連結しておきながら、送りねじ用ナットをデリバリー装置のハンドル本体に沿って摺動させ、それによりシースをさらに引き込むステップであって、二分岐ステントグラフトが腹部大動脈瘤内で少なくとも部分的に展開され、それにより腹部大動脈瘤が治療される、ステップとを含む。
【0031】
さらに別の実施形態において、本発明はステントグラフトデリバリー装置であり、これは、頂部捕捉装置アセンブリであって、近位捕捉部分であって、近位捕捉部分の主軸と実質的に平行な少なくとも1つの径方向拘束体を画定するノーズと、ノーズから遠位に延在する複数の爪部であって、最近位の径方向拘束体に対して径方向に、且つ主軸と実質的に平行に主軸の周りに径方向に配設された爪部とを備える近位頂部捕捉部分と、主軸の周りに径方向に配設されたスロットを画定する遠位頂部捕捉部分であって、スロットが、近位頂部捕捉部分と遠位頂部捕捉部分とを主軸に沿って互いに動かすことにより爪部(time)と嵌合可能である、遠位頂部捕捉部分と、ノーズと遠位頂部捕捉部分との間に主軸から径方向に延在し、且つ爪部がスロットと嵌合関係になる動きに干渉しない関係で主軸に沿ってスロットと整列する複数のボスと、遠位頂部捕捉部分が固定される細長部材であって、近位頂部捕捉部分及び複数のボスを貫通して延在する細長部材と、近位頂部捕捉部分が固定され、細長部材が貫通して延在するルーメンであって、ルーメンを動かすことにより、爪部がスロットと嵌合してボス上に載置される第1の位置と、爪部がスロットと嵌合せずボス上に載置されない第2の位置との間で近位頂部部分が主軸に沿って動く、ルーメンと、頂部によって連係されたストラットを備えるベアステントであって、爪部がスロットと嵌合されると、ストラットが爪部の間に延在し、頂部の一部分がボスと遠位頂部捕捉部分との間に延在する、ベアステントと、ステントから径方向拘束体の中に延在する少なくとも1つの腎臓上バーブとを備える頂部捕捉装置アセンブリと;細長部材及びルーメンが貫通して延在する脚部クラスプであって、バレルと、バレルからバレルの主軸に沿って延在するスプールと、スプールの端部にあるリムであって、スプールの直径より大きいが、バレルの直径より小さい直径を有するリムとを備える脚部クラスプとを含む。
【0032】
本発明の追加の実施形態はxバルブアセンブリであり、これは、xバルブと、xバルブを支持するガスケットとを含む。
【0033】
本発明のデリバリーシステム、デリバリーシステムの構成要素及び方法は、腹部大動脈瘤などの大動脈瘤を治療するために用いることができる。特許請求される本発明のデリバリーシステム、デリバリー装置の構成要素及び方法の利点としては、例えば以下が挙げられる。
【0034】
本発明により実現される利益が、例えば、
図1〜
図15、特に
図15A、
図15B、及び
図15Cによって表される。現行のピン−アンド−プル式システムは、把持されるところが屈曲し易いため、展開中、内側安定化部材に望ましくない力を受ける(
図15A及び
図15Bを参照)。この屈曲によりシースハブと内側安定化部材との整列にずれが生じ、ひいては医師が外側シースを引き込むための展開力を強めることが必要となり、従って、それに対応して内側安定化部材に抵抗する力が大きくなった(悪循環)。対照的に、本発明のテレスコープ型システムは、内側安定化部材に直接力が加えられることがないため、内側安定化部材の保護を提供する。本発明の2本の剛性チューブによるテレスコープ型システムは、内側安定化部材を覆って互いに対し引き込まれる2つの硬質表面を組み込み、従って、内側安定化部材が座屈するいかなる可能性も低下する。引き込む過程において、力は内側安定化部材全体にわたり均一に伝達される。
【0035】
機械的相互作用が生じることにより、モジュールを引き抜く力が臨床要件を超え得る。モジュールの分離は、重大な臨床的帰結を有し得る深刻なIII型エンドリークを生じる。この固定タイプでは、この事象が起こる可能性が大幅に低下する。また、このシステムは、受け入れる構成要素と挿入する構成要素との間の回転整列を必要としない。これにより機構は実質的に医者に見えないものとなり、手技の複雑さが増すことはない。さらに、このシステムは手技中に不都合に複雑な事態が起こることを回避する。グラフトの近位に向いた折り重ね部分を使用することにより、手技中に偶発的にガイドワイヤが絡まる可能性が事実上なくなる。第1の部材にループ又は穴が設けられていた場合は、医師がその絡まりに気付かずにガイドワイヤが引っ掛かる可能性があり得る。
【0036】
さらに、グラフトの折り重ね部分によって追加の材料層が生じる。従って、固締構成要素がグラフトの一部を摩耗させたとしても、複数のグラフト層がなお残っているためエンドリークは防止される。これは、挿入用部材に対するグラフト層を含む。エンドリークを生じるグラフトの摩耗が、3〜4つの材料層にわたりルーメン方向及びルーメン外側(albumen)方向の双方に発生するであろう可能性は極めて低い。重要なことに、第2の(挿入用)ステントグラフトの複数の係合部材を有することにより、この血管修復システムに重複性が存在する。従って、一部の部材にポケットがなかったとしても、又は一部の部材が破断したとしても、システムの全体的な完全性はなお損なわれることがない。第1の構成要素に折り重ね部分のセットを複数提供することにより、血管修復システムにさらなる重複性が提供される。これらの折り重ね部分はステントグラフトの最末端部にあってもよく、さらに複数の折り重ね部分がステントグラフトの長さを移動してもよい。この構成及びその変形例は、任意の脚部プロテーゼステントグラフトを対象とすることができる。
【0037】
加えて、腎臓上位置及び腎臓下位置にあるバーブが能動的な固定化をもたらし得るとともに、本発明の脚部クラスプが、血管系においてグラフトシステムのカニュレーション及び留置を行う間のグラフトシステムの正確な制御をもたらし得る。
【0038】
従って、本発明のデリバリーシステム、デリバリーシステムの構成要素及び方法を用いることにより、AAAを治療し、ひいては生命を脅かす血管病態の結果としてもたらされる合併症及び死亡を回避することができる。
【0039】
本発明の特徴及び他の詳細について、本発明のステップとしても、又は本発明の部品の組み合わせとしても、ここでより詳細に説明するとともに、特許請求の範囲に示す。本発明の特定の実施形態は例示する目的で示され、本発明を限定するものとして示されるわけではないことは理解されるであろう。本発明の主な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な実施形態において用いることができる。
【0040】
図1〜
図57に示される例示としての実施形態において、本発明はステントグラフトデリバリーシステム5500であり、これは、遠位グリップ5530と、遠位グリップ5530の一方の端部から延在するハンドル本体5540とを備えるハンドルであって、遠位グリップ5530及びハンドル本体5540の長さの一部分に沿って導管及びトラック5542を画定するハンドルと;導管内にある内部送りねじアセンブリ5510であって、導管の主軸に沿って移動自在であり、且つトラック5542を通じて延在するねじ切り部分5512を備える内部送りねじアセンブリ5510と;ハンドル本体5540の周囲に延在し、且つ内部送りねじアセンブリ5510のねじ切り部分5512と螺着自在に係合される送りねじ用ナット5520であって、送りねじ用ナット5520を遠位グリップに当接させながら回転させると、内部送りねじアセンブリ5510がハンドルに対して動き、同時に送りねじ用ナット5520は、内部送りねじアセンブリ5510と係合している間にハンドル本体5540に沿って摺動自在であり、それにより内部送りねじアセンブリ5510をハンドルに対して動かすための少なくとも2つの機構が提供される、送りねじ用ナット5520とを含む。
【0041】
図57を参照すると、ステントグラフトデリバリーシステムは、ハンドル本体に固定された支持部材5740と、支持部材の一部分の周囲に延在し、且つ直接か、又はスライダ5700を介して内部送りねじアセンブリ5510に固定されたシース5550とをさらに備えることができ、従ってハンドル本体5540と内部送りねじアセンブリ5510とを相対的に動かすと、支持部材5740とシース5550とが相対的に動く。
【0042】
本発明のステントグラフトデリバリーシステム5500の内部送りねじアセンブリ5510は、ハンドルと本質的に同軸の開口を画定することができ、ここで支持部材は、
図55に示されるとおり、内部送りねじアセンブリを貫通して延在する。
【0043】
図57Aの挿入図に見ることができるとおり、支持部材5740は、ハイポチューブ5742とハイポチューブ5742内の支持チューブ5744とを備える。ハイポチューブ5742は、典型的にはステンレス鋼で形成され、一方、支持チューブ5744は、典型的にはナイロン、例えばVESTAMID(登録商標)で形成される。ハイポチューブ5742はハンドル本体、例えば
図56に示されるとおりの近位端キャップ5544(
図33では端部キャップ3350としても示される)に固定される。また、
図57Aに対する挿入図には、支持部材5740の一部ではないが、遠位頂部捕捉部分8610に接続される細長部材8614、及び近位頂部捕捉部分8600aに接続されるルーメン8613も示される(これらは全て
図86Dに示されている)。
【0044】
本発明のステントグラフトデリバリーシステムは、スライダ5700をさらに備えることができる。ステントグラフトデリバリーシステムのスライダ5700は、支持部材5740が貫通して延在する中心オリフィスと、中心オリフィスに対して実質的に垂直に延在するフラッシュバルブオリフィス5712とを画定するスライダ本体5720であって、内部送りねじアセンブリ5510に着脱自在に固定可能な(
図55は、好適な手段、例えば、
図62及び
図63に示されるとおりの、内部送りねじアセンブリを貫通してスライダ内まで延在する解除ピン6210などによる)スライダ本体5720と;スライダ本体5720の遠位端に連結されたスライダキャップ5710であって、スライダ本体5720の中心オリフィスと実質的に整列し、且つ支持部材5740が貫通して延在する中心オリフィスを画定するスライダキャップ5710と;スライダ本体5720に螺着自在に連結されたノブ5790と、スライダキャップ5710の遠位端から延在するシース5550であって、スライダ本体5720の中心開口と実質的に整列し、且つ支持部材5740が貫通して延在するルーメンを画定するシース5550と;スライダ本体の中心開口においてフラッシュバルブオリフィス5712より近位にあるワイパーバルブ5750であって、支持部材の周囲に封止部を形成するワイパーバルブ5750と;スライダ本体の中心開口においてワイパーバルブ5750より近位にあるxバルブ5760であって、スライダ本体5720から支持部材を引き抜くとき、制御チューブ5744内にあるガイドワイヤの周囲に封止部を形成するxバルブ5760と;スライダ本体5720の中心開口においてxバルブ5760より近位にあるシースバルブ5770であって、ノブ5790の駆動により中心開口を封止するように機能するシースバルブ5770とを含む。
【0045】
ある実施形態において、xバルブ5760は、
図57B〜
図57Fに示されるとおりのニチノール製ガスケットを備える。
【0046】
「近位」は、デリバリーシステム、又は頂部捕捉装置、ステントグラフトデリバリーシステム用のスライダ若しくは脚部クラスプなどのデリバリーシステムの構成要素を参照するとき、装置を使用する臨床医に最も近い方を意味する。同様に、「遠位」は、デリバリーシステム、又は頂部捕捉装置、ステントグラフトデリバリーシステム用のスライダ若しくは脚部クラスプなどのデリバリーシステムの構成要素を参照するとき、装置を使用する臨床医から遠い方を意味する。
【0047】
「ステント」又は「ステントグラフトシステム」を参照するとき、「近位」は、ステント又はステントグラフトシステムのうち、患者の頭部の方に向いた端部を意味し、「遠位」は、ステント又はステントグラフトシステムのうち、患者の頭部から遠い方の端部を意味する。
【0048】
別の実施形態において、本発明は、ステントグラフトデリバリーシステム用のスライダ5700であり、このスライダ5700は、支持部材5740が貫通して延在する中心オリフィスと、中心オリフィスに対して実質的に垂直に延在するフラッシュバルブオリフィス5712とを画定するスライダ本体5720であって、内部送りねじアセンブリ5510に着脱自在に固定可能なスライダ本体5720と;スライダ本体の遠位端に連結されたスライダキャップ5710であって、スライダ本体5720の中心オリフィスと実質的に整列し、且つ支持部材が貫通して延在する中心オリフィスを画定するスライダキャップ5710と;スライダ本体5720に螺着自在に連結されたノブ5790と、スライダキャップ5710の遠位端から延在するシース5550であって、スライダ本体5720の中心開口と実質的に整列し、且つ支持部材5740が貫通して延在するルーメンを画定するシース5550と;スライダ本体5720の中心開口においてフラッシュバルブオリフィス5712より近位にあるワイパーバルブ5750であって、支持部材5740の周囲に封止部を形成するワイパーバルブ5750と;スライダ本体5720の中心開口においてワイパーバルブ5750より近位にあるxバルブ5760であって、スライダ本体5720から支持部材5740を引き抜くとき、制御チューブ5744内にあるガイドワイヤの周囲に封止部を形成するxバルブ5760と;スライダ本体5720の中心開口においてxバルブ5760より近位にあるシースバルブ5770であって、ノブ5790の駆動により中心開口を封止するように機能するシースバルブ5770とを含む。
【0049】
図61〜
図64は、本発明のデリバリーシステムの実施形態である。
【0050】
ここで
図1〜
図3を参照すると、本発明に係る改良型ピン−アンド−プル式デリバリーシステム100の例示的実施形態が示される。ピン−アンド−プル式デリバリーシステム100は、外側シース制御ルーメン又は外側ハンドル120内に摺動自在に配置された内側ルーメン又は補助ハンドル110を提供する。ルーメン110、120のこの構成は、テレスコープ型アセンブリとも称することができる。外側シース制御ルーメン120は、ステントグラフト(図示せず)を収容するために用いられるシース130に対し、長手方向に、回転しないように固定される。
【0051】
例示的実施形態において、外側シース制御ルーメン120は、シースハブ140に取り付けられたアルミニウム製チューブであり、シースハブ140はシース130に取り付けられている。内側ルーメン110は、長手方向にカットされたスロット310(例えば
図3を参照)を有するポリカーボネート製チューブである。内側ルーメン110は、プッシュロッド150(例えば、ステンレス鋼製ハイポチューブ)に対し、長手方向に、回転しないように固定される。外側ハンドル120をシースハブ140に取り付けることにより、補助ハンドル110を外側ハンドル120内に引き込むことができ、スロット310に係合した止めねじ320の存在によってハンドル110、120の回転整列を維持し得る。溝及び止めねじ構成により、ステントグラフトの展開時にシース130が回転し、その動きによってプロテーゼが望ましくない形で所望の植え込み位置から回ることを防止し得る。この装置は、プッシュロッド150に関する止血部160がハンドル機構110、120の手前にあるため、取り外し可能なシースで使用されるときに有利である。
【0052】
図4〜
図6は、二分岐ステントグラフトを植え込むために
図1〜
図3のデリバリーシステムをどのように使用することができるかについて説明する。圧縮された二分岐ステントグラフト410が標的部位に位置決めされると、デリバリーシステムが患者に対してピン止め状態で固定される。外側ハンドル120が、
図4に示される位置から
図5に示される位置まで近位に引き抜かれる。外側ハンドル120が完全に引き込まれた位置にくると(
図5)、ステントグラフト410が患者の血管内でほぼ完全に展開される。残るステントグラフト410の制御は、デリバリーシステムの頂部捕捉装置510によりベアステント頂部412が解除可能に把捉されているのみである。捕捉装置510の制御は、プッシュロッド150の最近位端から行われる。頂部捕捉装置510の一例示的実施形態及びその制御アセンブリ170が、2003年9月3日に出願された米国仮特許出願第60,499/652号明細書から始まる出願のファミリー、及び2004年2月23日に出願された米国特許出願第10/784,462号明細書(これらの出願及びその全ファミリーは、本明細書によって全体として参照により本明細書に援用される)に開示されている。かかる実施形態では、プッシュロッド150内部の制御ロッド(図示せず)をプッシュロッド150に対して動かすことにより(
図6の矢印A)、露出しているベアステント頂部412の1つ又は複数を把捉する爪部が制御面から離れる。この動きにより、それらの間に、頂部412をその制御された捕捉状態から解放する間隙が生じる。
【0053】
図5及び
図6に示される実施形態の代替的実施形態が、
図7〜
図9に図示される。このハンドル700は、イントロデューサ外側シースの引き込みに機械的利益を加えることにより、ステントグラフトの展開の制御性及び精度を改良する。機械的利益により、圧縮されたステントグラフトに蓄積されるポテンシャルエネルギーが増大して外側シースを引き込む間に予期しない飛び出し又はジャークの動きが発生することがなくなるため、外側シースの「滑らかな」引き込みが可能となる。より具体的には、ハンドル700は、2つの相互に接続する部品、すなわち、中空外側シースハンドル710と内側ねじハンドル720とを有する。外側シースハンドル710の近位端は、内側ねじハンドル720の遠位端を中に受け入れるための内部空洞を有する。
【0054】
外側シースハンドル710を内側ねじハンドル720と接続するための一例示的実施形態が、
図10及び
図11に示される。シースハンドル710のねじ切り部係合部分712は、
図10に示されるとおり互いに長手方向にオフセットした2つの対向するねじ切り部係合装置714、716を有する。装置の一方714は、例えばボールねじであってもよく、他方の装置716は止めねじであってもよい。この特定の実施形態では、外側中空シースハンドル710の内表面は平滑である。外側シースハンドル710の、内側ねじハンドル720のねじ切り部726との係合は、装置714、716を内側ねじハンドル720のねじ切り部に係入させることにより行われる。従って、内側ねじハンドル720を回動させると、外側シースハンドル720が制御された形で内側ねじハンドル720の遠位端上を引き込まれ、又はそこから伸張する。内側ねじハンドル720に回転しないように固定された近位回動ノブ722によって回動を補助することができる。
【0055】
ねじ切りされた送り部726は、ステントグラフトの展開に要求される最大の力に勝るための必要量より長い長手方向長さにわたり延在する。その力の最高点を越えると、ハンドルがジャーク又は滑りを起こす可能性が低くなるため、2つのハンドル部分710、720を互いに対して長手方向に自在に動かすことができる。ねじハンドル720のねじ切り部の近位端において、長手方向の制御された緩徐な動きから長手方向の自在な(及び必要であれば速い)動きへの移行を実現するため、ハンドル本体に2本のチャネル724がカットされてもよく、それによりチャネル724の一方に止めねじ716を嵌め込み、ねじハンドル720の反対側の他方のチャネル724(図示せず)にボール止めねじ714を嵌め込むことが可能となる。ボール止めねじ714を使用すると、比較的硬い止めねじ716に対してねじ切り部を位置調節することができるため、この構成ではボール止めねじ714が望ましい。装置714、716がねじ切り部に付与する力の変更は、ボール止めねじ714のボールの張力を調整するか、又は止めねじ716がハンドル710に入り込む深さを減らすことにより達成することができる。
【0056】
ハンドル700の機能が、例えば、
図12、
図13、
図14、
図15A、
図15B、
図15C及び
図15Dの図に示される。内側ねじハンドル720を回動させて外側シースハンドル710を引き込むまでは、外側シースルーメン1210がステントグラフト1220を完全に被覆し、その中でステントグラフト1220は、ノーズコーン1230(の近位)のすぐ後ろに装填されている。回動ノブ722を回転させると、外側シースハンドル710が近位に動き、ステントグラフト1220が外側シースルーメン1210から展開し始める。使用者は、内側ねじハンドル720を長手方向に静止した状態に保持しながら回動させて、外側シースルーメン1210を近位に動かす。このステップが
図13に示される。ねじ切り部726がシースハンドル710のねじ切り部係合部分712から完全に切り離されると、外側シースハンドル710はチャネル724内に回転しないように係止され、しかし内側ねじハンドル720に対して長手方向にはなお自在に動くことができる。この時点で、ベアステント1310及び第1のシーリングステント1320が露出する。チャネルの係止が行われた後、
図13に示されるとおり外側シースルーメン1210からステントグラフト1220の近位端が露出される。装置714、716はチャネル724に係止されているため、外側シースハンドル710はそれ以上内側ねじハンドル720に対して回転することができず、ここで使用者が所望のとおりに近位に動かすことができる。従って、
図14に示されるとおり、ステントグラフト1220の全体が露出するように外側シースルーメン1210を引き込むことができる。この時点で、外側シースハンドル710は内側ねじハンドル710を覆って回動ノブ722に達する位置にあり、ステントグラフト1220は、頂部クラスプ装置1410によってのみデリバリーシステム700に保持されている。頂部クラスプ装置1410を解除すると、ステントグラフト1220がデリバリーシステム700から解放され、その後、ステントグラフト1220の植え込みに影響を与えることなく、患者からデリバリーシステム700を取り出すことができる。
【0057】
例えば、
図12、
図13、
図14、
図15A、
図15B、
図15C及び
図15Dのデリバリーシステム700は、外径19.5フレンチの編組イントロデューサシースに28mm×150mmグラフトを装填することができる。この構成では、デリバリーシステムは、ねじ機構によって加えられる機械的利益を利用して二分岐ステントグラフト1220を展開し、グラフトの第1のセクション(ベアステント1310及びシーリングステント1320)を解放することができる。次に、ねじ切り部726が切り離された後、装置のピン−アンド−プル式アセンブリによってステントグラフトの残りの部分を展開することができる。この構成により、医師がねじ切り部を能動的に外す必要がなくなる。
【0058】
図1〜
図15に示されるテレスコープ型構成により実現される利益が、
図15A、
図15B、
図15C及び
図15Dに関連して説明される。先行技術のピン−アンド−プル式システムは、把持されるところが屈曲し易いため、展開中、内側安定化部材に望ましくない力を被った(
図15A、
図15B、
図15C及び
図15D)。この屈曲によりシースハブと内側安定化部材との整列にずれが生じ、ひいては医師が外側シースを引き込むための展開力を強めることが必要となり、従って、それに対応して内側安定化部材に抵抗する力が大きくなった(悪循環)。
【0059】
外側シースハンドル710を内側ねじハンドル720と接続するため、
図7、
図8、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14、
図15A、
図15B、
図15C及び
図15Dの2部品を制御して展開することの代替例が、
図16〜
図23に説明される。これらの図は、ステントグラフトの制御された正確な展開に役立つ機械的ハンドル1600を示す。この構成により、イントロデューサシースの引き込みに機械的利益が加わり、そのため、圧縮されたステントグラフトに蓄積されるポテンシャルエネルギーが増大して外側シースを引き込む間に予期しない飛び出し又はジャークの動きが発生することがなくなるため、外側シースの「滑らかな」引き込みが可能となる。
【0060】
シースハンドル1610の遠位係合部分1612は、内側ねじハンドル1620のねじ切り部分1622を中に受け入れるように内側にねじ切りされた穴を有する。例示的実施形態において、遠位係合部分1612はDELRIN(登録商標)で作製される。外側シースハンドル1610の内側ねじハンドル720との係合は、外側シースハンドル1610を内側ねじハンドル1620に対して回動させることにより行われる。それにより外側シースハンドル1610が制御された形で内側ねじハンドル1620の遠位端上に引き込まれ、又はそこから伸張する。内側ねじハンドル1620に回転しないように固定された近位回動ノブ1624によって回動を補助することができる。
【0061】
ねじ切り部分1622は、ステントグラフトの展開に要求される最大の力に勝るための必要量より長い長手方向長さにわたり延在する。その力の最高点を越えると、ハンドルがジャーク又は滑りを起こす可能性が低くなるため、2つのハンドル部分1610、1620を互いに対して長手方向に自在に動かすことができる。ねじハンドル1620のねじ切り部の近位端において、長手方向の制御された緩徐な動きから長手方向の自在な(及び必要であれば速い)動きへの移行を実現するため、内側ねじハンドル1620に一つのチャネル1624(又は複数のチャネル、例えば、2本の反対側にあるチャネル)がカットされてもよい。遠位係合部分1612には止めねじ(図示せず)があり、内部に突出してねじ切り部1622に係合する。2つのハンドル部分1610、1620が十分な距離を回転して、内部に突出する止めねじがねじ切り部1622の近位に移動すると、一つの止めねじが一つのチャネル1626内に直接係入する(又は複数の止めねじが複数のチャネル1626に直接係入する)。止めねじは、2つのハンドル部分1610、1620を互いに対して回転させるときの張力を増減させるために使用することができるため、この構成では止めねじが望ましい。ねじ切り部1622に対して付与される力の変更は、止めねじが遠位係合部分1612に入り込む深さを減少/増加させることにより達成することができる。
【0062】
ハンドル1600の機能が、例えば、
図20〜
図23の図に示される。内側ねじハンドル1620を回動させて外側シースハンドル1610を引き込むまでは、外側シースルーメン2010がステントグラフト2020を完全に被覆し、その中でステントグラフト2020は、ノーズコーン2030(の近位)のすぐ後ろに装填されている。回動ノブ1622を回転させると、外側シースハンドル1610が近位に動き、ステントグラフト2020が外側シースルーメン2010から展開し始める。使用者は、内側ねじハンドル1620を長手方向に静止した状態に保持しながら回動させて、外側シースルーメン2010を近位に動かす。このステップの実施形態が
図21に示される。ねじ切り部1626がシースハンドル1610のねじ切り部係合部分1612から完全に切り離されると、外側シースハンドル1610は1本又は複数のチャネル1624内に回転しないように係止され、一方、内側ねじハンドル1620に対して長手方向にはなお自在に動くことができる。この時点で、ベアステント2110及び第1のシーリングステント2120が露出する。チャネルの係止が行われた後、
図21に示されるとおり外側シースルーメン2010からステントグラフト2020の近位端が露出される。1つ又は複数の止めねじが1本又は複数のチャネル1624に係止されているため、外側シースハンドル1610はそれ以上内側ねじハンドル1620に対して回転することができず、ここで使用者が所望のとおりに近位に動かすことができる。従って、
図22に示されるとおり、ステントグラフト2020の全体が露出するように外側シースルーメン2010を引き込むことができる。この時点で、外側シースハンドル1610は内側ねじハンドル1610を覆って回動ノブ1622に達する位置にあり、ステントグラフト2020は、頂部クラスプ装置2210によってのみデリバリーシステム1600に保持されている。頂部クラスプ装置2210を解除すると、ステントグラフト2020がデリバリーシステム1600から解放され、その後、ステントグラフト2020の植え込みに影響を与えることなく、患者からデリバリーシステム1600を取り出すことができる。
【0063】
例えば、
図16〜
図23のデリバリーシステム1600は、外径19.5フレンチの編組イントロデューサシースに28mm×150mmグラフトを装填することができる。この構成では、デリバリーシステム1600は、ねじ機構によって加えられる機械的利益を利用して二分岐ステントグラフト2020を展開し、グラフトの第1のセクション(ベアステント2110及びシーリングステント2120)を解放することができる。次に、ねじ切り部1626が切り離された後、装置のピン−アンド−プル式アセンブリによってステントグラフト2020の残りの部分を展開することができる。この構成により、医師がねじ切り部を能動的に外す必要がなくなる。
【0064】
図7〜
図23の二部品又は多部品制御による展開のさらなる代替例が、
図24〜
図32に示される。概して、これらの図は、ステントグラフトを制御して正確に展開するのに役立つ「ジョグ式スロット」ハンドルについて説明する。上記のとおり、AAA装置のデリバリーシステムで使用されるハンドルは、留置精度に関してより優れた制御性を確保し、及び/又はグラフト留置中、AAAグラフトをより良好に固定化する必要がある。本発明は、「ジョグ式スロット」(これは、自動変速機のシフトレバースロットと同様に(すなわち、階段状に)構成され得る)を提供することにより留置精度を向上させる。この例の「ジョグ式スロット」は、本明細書に援用される、2003年9月3日に出願された米国仮特許出願第60,499/652号明細書から始まる出願のファミリー、及び2004年2月23日に出願された米国特許出願第10/784,462号明細書に記載されているステントグラフトデリバリーシステム機構であって、スロット付きアルミニウムハンドル本体と、遠位ハンドルグリップと、近位ハンドルグリップと、近位クラスプアセンブリとを備える機構を利用する。しかしながら、本発明はこの特定の実施形態に限定されるものではない。必要であれば、駆動ノブは、内部ハイポチューブを固定化する働きをする端部キャップに置き換えることができる。
【0065】
図24及び
図25に示されるとおり、ハンドル2400の内部機構は、ジョグ式スロット2510を有する内部チューブ2500を備え、ステントグラフトの展開中、その中をスライダアセンブリ2600がハンドル2500の遠位部分(
図24に示される)からハンドルの近位部分まで摺動することができる。ステントグラフトの展開中、ジョグ式スロット2510を有するハンドル2400では、ハンドル部分は、ステントグラフトを完全に展開するのに必要な動き全体より短い特定の範囲しか動くことができない。スロット2510のジョグ又は「Z」2512は円周方向又は横方向部分2514を有し、初めにジョグ2512の周りに円周方向/横方向に回転させなければ、近位ハンドルグリップ2410を端部キャップ2420まで戻し切ることができない。
図26及び
図27は、スライダアセンブリ2600が、例示的実施形態において、その遠位端に外側ステントシース2610を受け入れるバーブ継手を有する円筒形ハブであり得ることを示す。スライダ2600の近位端には、支持部材ハイポチューブを通過させるOリングがある。スライダアセンブリ2600は、外側ステントシース2610のハンドルとの取り付け点としても、及びシースルーメンのフラッシュ用止血ポートとしても機能する。スライダアセンブリ2600の側面から外側に延在する「ボス」2700が出て、これはハンドル本体2440のスロット2442に通じ、近位ハンドルグリップ2410に取り付けられている。フラッシュポートはこのボス2700を貫通して延在し、フラッシュポートチューブ材及びバルブ2710に取り付けられている。
【0066】
図28〜
図30は、スライダアセンブリ2600の近位ハンドルグリップ2410との取り付けを示し、この取り付けによりデリバリーシステム2400の作動及び外側ステントシース2610からのステントグラフトの展開が可能となる。スライダアセンブリ2600に取り付けられている外側ステントシース2610が、ステントグラフト上に近位に摺動する動きで(
図28で矢印Aにより示される)引き込まれる。より具体的には、この例示的実施形態では、遠位ハンドル2430を動かないように保持したまま近位ハンドルグリップ2810を(近位に)後退させることにより、ステントグラフトが展開する。外側ステントシース2610内に同軸状に位置する内部支持部材(
図29及び
図30を参照)がプラットフォーム又はアンカとして機能し、ステントグラフトが外側ステントシース2610と共に引き込まれるのを防止する。
【0067】
重要なことに、ハンドル2400の内部チューブ2500は、ステントグラフトの制御された展開(シースの取り外し)を可能にするという利点をもたらす。この例示的実施形態における内部チューブ2500はポリカーボネート材料で作製され、スロット付きアルミニウム製ハンドル本体2440内で自在に動くことができるようなサイズである。スライダアセンブリ2600は、内部チューブ2500内で自在に動くことができるようなサイズである。内部チューブ2500は、ハンドル2400の全長に延在する直線状のチューブを有する。内部チューブ2500の壁を通じてスロット2510が機械加工され、このスロット2510は、自動車の変速機シフトレバーのような「ジョグ式」である。そのため、ジョグ式スロット2510は、ステントグラフトの展開手順中にステントグラフトの展開を種々の点で制御するいわゆる一つのストッパ2514(又は複数のストッパ)を提供する。内部チューブ2500にカットされている1つ又は複数のジョグ2512により、スライダアセンブリ2600は、内部チューブ2500のその特定のジョグ区間の範囲内でしか動くことができない。外側ステントシース2610をさらに引き込むには、使用者はノブ2420を次の設定まで能動的に回動させて、それによりスライダアセンブリ2600をさらに近位に動かすことができるようにする必要がある。スライダアセンブリのボス2700は、内部チューブ2500のジョグ式スロット2510及びハンドル本体2440のスロット2442を通って延在する。次に、ボス2700は近位ハンドル2410に接続される。内部チューブ2500が、ハンドル2400の遠位端において遠位ハンドル2430に取り付けられる。遠位ハンドル2430を回転させると、ハンドル本体2440内で内部チューブ2500を回転させることができる。
【0068】
図31及び
図32は、様々なストッパ位置にある内部チューブ2500の位置を表示するための一例示的実施形態を示す。観察窓3200を介して数字/文字によるか、又は色分けされたドットによる表示を設けることができる。システムの納品用パッケージから、デリバリー装置2400は、ジョグ式スロット2510のロック位置にあってもよい(例えば、「L」で表示される)。この向きにあるとき、臨床医は、操作中にステントグラフトが早まって展開する懸念なしに、パッケージから装置2400を取り出し、フラッシュ手順を実施することができる。臨床医は、装置を患者の動脈に挿入する間、及びステントグラフトの展開部位まで追従させる間、ハンドル2400をロック位置/状態に保つ。ストッパ機構により外側シース2610が不用意に近位に動く可能性が抑えられ、外側シース2610はステントグラフトを部分的に展開させることができる。
【0069】
臨床医は、展開部位を特定してステントグラフトを展開できる状態になると、遠位ハンドル2430を、例えばストッパ位置1に達するまで回動させる。装置がストッパ位置1にあるとき、内部チューブ2500のスロット2510とハンドル本体2440のスロット2442とが整列し、従って近位ハンドル2410を近位に摺動させてステントグラフトを部分的に展開させることが可能となる。内部チューブ2500における次の例示的ジョグ又はストッパの位置は、外側シース2610から腎臓上ストラット及び少なくとも2つのステントグラフトスプリング(すなわち、ステント)が展開されるように設定される。ステントグラフトが部分的に展開され、しかし腎臓上ストラット(すなわち、ベアステントのもの)は遠位クラスプ機構になお捕捉されているとき、ステントグラフトはなお、大動脈内で近位又は遠位に進めてシーリング部位の位置決めを確定することができる。
【0070】
この時点で、臨床医はハンドル2400を患者に対して固定することにより、大動脈に対するステントグラフト位置を維持することができる。次に、臨床医は遠位ハンドル2430をストッパ位置2に動かすことにより、例えば二分岐ステントグラフトの対側の脚部が外側シース2610から解放されるまで、近位ハンドル2410を近位方向に動かし続けることができる。例示的実施形態において、ハンドル2400上のストッパがストッパ位置2の最後部にあることで、同側の脚部が外側シース2610から展開することを防止することができる。次に、臨床医は、ハンドル2400を回転させて、ステントグラフトの対側の脚部を患者の動脈構造と整列するような位置に置くことができる。ステントグラフトが適切な位置に置かれると、臨床医は、遠位クラスプアセンブリを作動させて腎臓上ストラットを解放することができる。捕捉されている同側の脚部は、係留されている腎臓上ストラット及び近位シールと共に、ガイドワイヤの対側の脚部への挿通、及び続く対側の脚部グラフト留置を行う間に固定化する働きをする。対側の脚部グラフト留置が達成されると、ハンドル2400をストッパ位置3に動かして近位ハンドル2410を近位に押し込むことにより、ステントグラフトが完全に解放される。ストッパ位置の詳細な配置/構成は、プロテーゼのサイズ及びプロテーゼを留置する血管の特徴を含む様々な要因に基づき決定される。
【0071】
図7〜
図32の多段階制御による展開のさらに別の代替例が、
図33〜
図51に示される。これらの図は、概して、ステントグラフトを制御して正確に展開するのに役立つ内部送りねじハンドルを説明する。上記に指摘されるとおり、AAAデリバリーシステムでステントグラフトを留置する間、AAAグラフトの留置精度に関してより優れた制御性を確保することが望ましい。本明細書に記載される内部送りねじの実施形態は、操作者がステントグラフトの最初の展開に関してより多く制御することが可能なため、留置精度が高まる。
【0072】
シースからステントグラフトを展開する、内部送りねじを有するデリバリーシステム3300の例示的実施形態が、
図33から始まって最後の
図51まで示される。ハンドル3300は、内部送りねじ3310(
図34、
図35、
図37を参照)と、送りねじ用ナット3320(
図35及び
図37を参照)と、送りねじレール3330(
図36及び
図37を参照)と、遠位グリップハンドル3340と、フラッシュポートと、近位端キャップ3350とを有する。この構成は、近位端にハイポチューブを有する支持部材3360と、参照により先に本明細書に援用されたパテントファミリーに記載されるステントグラフトデリバリーシステムと同様の遠位クラスプアセンブリとを利用する。外側シース3370からステントグラフトを展開するため、送りねじ用ナット3320を種々の方法で作動させることができる。一例示的作動は、送りねじ用ナットを徐々に回転させることにより、送りねじ3310のねじ切り部を使用して外側シース3370を引き戻す。別の例示的作動は、単に送りねじ用ナット3320を引き戻してステントグラフトを展開する。送りねじ3310(これは、この例では、ねじ切りされた丸ねじの外側部分を、一側面のみがねじ切りされている矩形断面に切削した材料から形成され、すなわち部分的な送りねじ)を送りねじレール3330に収容することにより、システムは、第1の例示的作動プロセスを常に使用する必要性を回避することができる。
【0073】
支持部材3360は、デリバリーシステム3300の中に同軸状に格納される。支持部材3360は、その近位端でハンドル3300の近位端キャップ3350に取り付けられる。支持部材3360は、送りねじ3310、フラッシュポート、及び外側シース3370を通って同軸状に移動する。支持部材3360の遠位端には捕捉ポッドがあり、これがステントグラフトの近位端(尾側端)を保持する。ガイドワイヤルーメン及び遠位クラスプアセンブリチューブ材(
図39)が、支持部材3360内をデリバリーシステム3300の全長に沿って同軸状に移動する。外側シース3370の遠位端内には、クリンプされたステントグラフト及び遠位クラスプアセンブリを含めることができる。遠位クラスプアセンブリは、遠位端において、
図41に示される可撓性先端4100を終端とする。
【0074】
この例示的実施形態で使用される送りねじ3310は、送りねじ用ナットの1回転当たりの直線送り長さが0.400インチである直径1インチの送りねじから作製することができる。送りねじ3310は、長さ約14cmであり、ねじ切り部のほとんどが外周から切削されるように機械加工される。送りねじ3310の機械加工は、送りねじ3310を送りねじレール3330に嵌め込むことができ、且つ送りねじレール3330を送りねじ3310と送りねじ用ナット3320との間に嵌合することができるように行われる。送りねじレール3330は、送りねじ用ナット3320を部分的な送りねじ3310に対して位置調節する働きをする。送りねじレール3330の直径は、送りねじ用ナット3320の小径とほぼ等しい。この構成では、送りねじレール3320を配置することにより、送りねじ3310が送りねじレール3330の溝3530内を摺動することができる。
【0075】
送りねじ3310の遠位端にはフラッシュポート(
図38)が取り付けられる。フラッシュポートの近位端にはOリングが格納され、これが支持部材ハイポチューブの周囲を封止する。フラッシュポートの遠位端には、外側ステントグラフトシース3370に取り付けられるニップルがある。
【0076】
装置3300の組み立てにおいて(
図39〜
図41に一部が示される)、初めに、ステントグラフトが遠位クラスプアセンブリ及びガイドワイヤルーメンと共に外側シース3370の中に装填される。次に、遠位先端4100が遠位クラスプアセンブリに螺着される。
図42及び
図43に示されるとおり、次に、予め組み立てられた支持部材3360がシース3370の中に装填される。次に、支持部材3360がフラッシュポート及び送りねじ3310に通して案内される。次に、シース3370がフラッシュポートに取り付けられ、挟着される(
図38を参照)。
図44に示されるとおり、初めに遠位ハンドルグリップ3340を送りねじレール3330に取り付けることにより、ハンドル本体が組み立てられる。次に、
図45〜
図46に示されるとおり、シース3370/フラッシュポート/送りねじ3310のサブアセンブリが、遠位ハンドルグリップ3340の前方にある開口に螺挿され、送りねじ3310が送りねじレール3330の溝3430に配置される。
図47〜
図48は、送りねじ用ナット3320が送りねじレール3330上を通って送りねじ3310と嵌合することを示す。外側シース3370を前方に動かし、送りねじ用ナット3320が遠位ハンドルグリップ3340に接触するまで螺合しながら前進させる。
図49〜
図51に示されるとおり、次に、近位端キャップ3350が支持部材ハイポチューブ3320に被せて置かれ、送りねじレール3330と取り付けられる。ハイポチューブ3360は近位端キャップ3350に固締され、遠位クラスプ機構ハードウェアが設置される。
【0077】
使用時、臨床医は、初めに生理食塩水をフラッシュポートに押し流すことによってシステム3300をフラッシュする。シース3370と支持部材3360との間の環状空間に生理食塩水を満たし、クリンプされたステントグラフトに浸透させて、シース3370と遠位先端4100との間から出す。フラッシュポートのOリングが支持部材3360のハイポチューブを封止して、ハンドル3300を通じた漏出を防止する。次に、臨床医は内在しているガイドワイヤ上にデリバリーシステム3300を送り込み、装置をステントグラフト展開部位まで追従させる。
【0078】
この時点で、臨床医は、送りねじ用ナット3320を回転させることによりステントグラフトを徐々に解放するか、又は送りねじ用ナット3320を引き戻すことによりステントグラフトを急速に解放するか、いずれかの選択肢を有し、それにより、送りねじ3310がレール3330の先へと摺動する。ステントグラフトの展開中のある時点で、解放を中断して遠位クラスプアセンブリを作動させ、ステントグラフトの先頭のストラット(ベアステント)を解放することができる。ステントグラフトは通常、シース3370内に極度に拘束されているため、AAA装置での展開力は極めて高いものであり得る。
【0079】
本発明の内部送りねじは、ねじシステムの組み込みにより直線的な力がトルク力に変換されるという利点を有する。臨床医がステントグラフトを展開するために送りねじ用ナットにかけなくてはならないトルク力は、人間工学的に、直線的な引っ張り力ほど困難ではない。送りねじ用ナットで得られる機械的利益に加え、ねじタイプの機構が、ステントグラフトの解放における高い制御性を実現する。直線的なピン−アンド−プル式システムでは、ステントグラフトを展開する力が最大となるのは、ステントグラフトとシースとの間の摩擦が最初に解放されるときである。最初の摩擦を超えると、直ちに展開力は急減する。人間工学的な観点からは、臨床医が摩擦力を超える瞬間における展開の制御及び速度を維持することは非常に困難である。この制御性の不足に起因して、ステントグラフトが所望の程度より多くシースから出ることが非常に一般的である。本例示的実施形態に係るねじタイプの機構により、臨床医はステントグラフトのこの最初の解放に関してより高い制御性を有することができ、これはステントの留置精度にとって決定的に重要な要素である。
【0080】
図52〜
図54は、前出の図の送りねじの実施形態の改良例を示す。上記の実施形態では、使用者は、片手でハンドルノブを把持して回動させると同時に、他方の手でシースハンドルグリップを保持している必要があった。
図52を参照のこと。このハンドルの作動では、使用者はステントグラフトを展開するために、一度に2つの動きに集中する必要がある。また、ハイポチューブ/内側部材の回動によりシースハブとの整列がずれ、このずれによりステントグラフトの留置精度が低下し得る可能性もあった。従って、第2のハンドル5300を回動ノブ5310(の近位)の後ろに追加した(
図53及び
図54)。ハンドル5300は、内側部材5360(ハイポチューブ)に固着された軸受係合部に取り付けられる。使用者はハンドル5300を把持し、親指と人指し指とで送りねじノブを回動させる。ここで、ノブが回動してシースハンドルが送りねじ上に引き戻されるとき、使用者の手は一箇所にピン止め状態で固定されている。
【0081】
図55〜
図57は、本発明のデリバリーシステムの別の例示的実施形態を示す。デリバリーシステム5500のこの例は、ピン−アンド−プル式テレスコープ型システム100、700、1600、2400及びシステム3300の機構を備える。ハンドル5500は、内部送りねじ5510と、送りねじ用ナット5520と、中空遠位グリップハンドル(本明細書では「遠位グリップ」とも称される)5530と、中空内部本体5540(本明細書では「ハンドル本体」とも称される)とを有する。内部送りねじ(本明細書では「内部送りねじアセンブリ」とも称される)5510は、内部本体5540のトラック5542内に係入する。送りねじ用ナット5520は内部ねじ切り部(図示せず)を有し、これは上部ねじ切り部分(本明細書では「ねじ切り部分」とも称される)5512に対応するピッチを有するため、内部本体5540の周りに回転されると、送りねじ5510が長手方向に動く。従って、送りねじ用ナット5520は、内部本体5540の周りに回転自在に装着されている。送りねじ用ナット5520はまた、内部本体(本明細書では「ハンドル本体」とも称される)5540の周りに長手方向にも自在に装着されている。この構成では、臨床医は、送りねじ用ナット5520を回転させることにより送りねじ5510をいかなる所望の程度にも引き込む能力を有する。そのような回転の前、最中、又は後のいかなる時点においても、臨床医は、送りねじ用ナット5520を長手方向に近位に動かすことができ、それと共に送りねじ5510が、ナット5520の近位移動と同じ速度をとる。送りねじ5510は外側シース5550に長手方向に固定されており、外側シース5550は、遠位グリップハンドル5530及び内部本体5540と長手方向に固定されていない。このように、ナット5520を回転させると外側シース5550は比較的緩徐に動き(ねじ切り部5512のピッチに依存する)、ナット5520を長手方向に動かすと外側シース5550は比較的速く動く。
【0082】
図55と
図56との違いが、送りねじ用ナット5520が(ほぼ)その最近位位置まで近位に動かされた後の内部送りねじ5510、遠位グリップハンドル5530、中空内部本体5540、及び外側シース5550の相対的な位置を示す。
図55では、外側シース5550はプッシュロッド5560を取り囲み、植え込み前のステントグラフト(図示せず)が保管(圧縮)されている外側シース5550内の空洞を完全に被覆している。外側シース5550はノーズコーン5570に接触するまで延在し、ノーズコーン5570と共に、ステントグラフトを中に確実に固締する封止部を形成する。対照的に、
図56では、外側シース5550はノーズコーン5560から完全に引き込まれ、プッシュロッド5560の遠位端にある凹凸ボス7000が解除されているのを見ることができる。ステントグラフトのベアステント(例えば、2310)を着脱自在に固締するための頂部捕捉アセンブリ5570が、ノーズコーン5560の直ちに近位に、頂部捕捉アセンブリ5570の閉鎖(固締)位置で示される。頂部解除装置5580を作動させると、近位頂部捕捉部分5572に(そのベアステント捕捉爪部によって)接続された内側ルーメン5590が近位に動き、ベアステントの個々の近位頂部が抜け出ることのできる空間が生じる。
【0083】
図55に示される遠位グリップハンドル5530の内部に配置された全ての装置が
図56に示されているわけではないことが注記される。その装置、スライダ5700が、
図57Aに拡大詳細図として示される。遠位から近位に、外側シース5550は、シースクリップ5702によってスライダキャップ5710の遠位ニップルに固締されている。スライダキャップ5710は、スライダキャップ5710の内側チャンバをバルブ5712の外側の環境と流体接続するチェックバルブ又はフラッシュバルブ(本明細書では「フラッシュバルブオリフィス」とも称される)5712を有する。中間スライダアセンブリ(本明細書では「スライダ本体」とも称される)5720がスライドキャップ5710に固締され、それらの間にあるOリング5730が、それぞれの内部チャンバを、互いに流体接続され、且つ2つの部品5710、5720の外側の環境から流体封止された状態に保つ。
【0084】
解除装置5514(例えば、蝶ねじ)がスライダアセンブリ5720の止まり穴5722に置かれると、解除装置によってスライダ5700が遠位グリップハンドル5530及び内部本体5540の内側に着脱可能に固締される。解除装置5514が取り外されると/作動されると、外側シース(本明細書では「シース」とも称される)5550を除き、
図56に示される全ての部品(これは、支持部材5740、頂部解除装置5570及びノーズコーン5560を有する遠位部分全体を含む)をスライダ5700から取り外すことができる。
【0085】
上記のデリバリーシステムのとおり、支持部材5740は、スライダアセンブリ5720全体を貫通し、頂部解除装置5580に至るまで延在する。この支持部材5740は、部材の外側に血流が生じることのないようスライダ5700に対して封止される必要がある。この封止を行うため、スライダアセンブリ5720の空洞の内側にワイパーガスケットシール(本明細書では「ワイパーバルブ」とも称される)5750が提供される。このシールはxバルブ5760の使用により強化される。
【0086】
本発明の頂部捕捉装置アセンブリは、
図128に示されるとおりの本発明の脚部クラスプと併せて用いることができる。ルーメン8613及び細長部材8614が、頂部捕捉デリバリー装置アセンブリ12802から脚部クラスプ12810を貫通して延在する。二分岐ステントグラフト12803が頂部捕捉装置12804から脚部クラスプ12810まで延在し、上記のとおり頂部捕捉装置12804の各々と脚部クラスプ12810とにおいて、同様に上記のとおり、本発明の方法に従い解放するため固締されている。
【0087】
ある実施形態において、本発明はステントグラフトデリバリー装置であり、これは、頂部捕捉装置アセンブリであって、(1)近位捕捉部分であって、近位捕捉部分の主軸と実質的に平行な少なくとも1つの径方向拘束体を画定するノーズと;ノーズから遠位に延在する複数の爪部であって、最近位の径方向拘束体に対して径方向に、且つ主軸と実質的に平行に主軸の周りに径方向に配設された爪部とを備える近位頂部捕捉部分と、(2)主軸の周りに径方向に配設されたスロットを画定する遠位頂部捕捉部分であって、スロットが、近位頂部捕捉部分と遠位頂部捕捉部分とを主軸に沿って互いに動かすことにより爪部(time)と嵌合可能である、遠位頂部捕捉部分と、(3)ノーズと遠位頂部捕捉部分との間に主軸から径方向に延在し、且つ爪部がスロットと嵌合関係になる動きに干渉しない関係で主軸に沿ってスロットと整列する複数のボスと、(4)他に内側制御チューブとして知られる、遠位頂部捕捉部分が固定される細長部材8614であって、近位頂部捕捉部分及び複数のボスを貫通して延在する細長部材と、(5)他に外側制御チューブと称される、近位頂部捕捉部分が固定され、細長部材が貫通して延在するルーメン8613であって、ルーメンを動かすことにより、爪部がスロットと嵌合してボス上に載置される第1の位置と、爪部がスロットと嵌合せずボス上に載置されない第2の位置との間で近位頂部部分が主軸に沿って動く、ルーメン8613と、(6)頂部によって連係されたストラットを備えるベアステントであって、爪部がスロットと嵌合されると、ストラットが爪部の間に延在し、頂部の一部分がボスと遠位頂部捕捉部分との間に延在する、ベアステントと、(7)ステントから径方向拘束体の中に延在する少なくとも1つの腎臓上バーブと、を備える頂部捕捉装置アセンブリと;細長部材及びルーメンが貫通して延在する脚部クラスプであって、(1)バレルと、(2)バレルからバレルの主軸に沿って延在するスプールと、(3)スプールの端部にあるリムであって、スプールの直径より大きいが、バレルの直径より小さい直径を有するリムとを備える脚部クラスプとを含む。
【0088】
別の実施形態において、本発明はxバルブアセンブリであり、これは、xバルブと;xバルブを支持するガスケットとを含む。ガスケットは、外周支持体(peripherial support)と、外周支持体(peripherial support)から内側に延在する少なくとも1本のアームとを備える。ある実施形態では、ガスケットは、交差する主軸に沿って少なくとも2対のアームを備える。ある実施形態では、アームの各対は整列している。xバルブアセンブリの軸のうちの少なくとも2本は、互いに垂直であってもよい。xバルブアセンブリのアームの対は、一平面内にあってもよい。xバルブアセンブリのガスケットは超弾性金属を含んでもよく、超弾性金属としてはニチノールを挙げることができる。
【0089】
xバルブアセンブリ5760は、
図57Bにさらに詳細に見ることができる。そこに示されるとおり、xバルブアセンブリ5760は、ガスケット支持体5762とバルブ5764とを備える。ガスケット支持体5762は
図57Cに別個に示される。ガスケット支持体5762は、典型的には超弾性金属、例えばニッケルチタン(すなわちニチノール)を含む。xバルブ5764は
図57Dに別個に示される。バルブ5764は、典型的にはシリコーンで形成される。スライダアセンブリ5720におけるxバルブアセンブリ5760の部分分解図が
図57Eに示される。スライダアセンブリ5720におけるxバルブアセンブリ5760の部分分解図の別の斜視図が
図57Fに示される。
図57E及び
図57Fに示されるスライダアセンブリ5720の構成要素は、スライダ本体5766とガスケットスペーサー5768とを含む。スライダ本体及びガスケットスペーサーは、典型的にはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で形成される。この構成によると、
図57に示されるとおり支持部材5740がスライダ5700内にあるとき、支持部材5740の近位端が封止されている場合にスライダ5700の外側の血流が実質的に阻止される。従って、バルブ5712は血流が起こる唯一の方法であり、ただしそれは血液が支持部材5740を取り囲んでいる場合に限られる。
【0090】
上記のとおり、支持部材5740はスライダ5700内から取り出すことができる。ワイパーガスケットシール5750及びxバルブ5760は、封止能力のいくらか、又はさらには実質的な手段を形成するが、確実にするには耐血液浸透性の封止が必要である。従って、スライダ5700の近位端に封止アセンブリが提供され、一例示的実施形態においてこの封止アセンブリは、シースバルブ5770と、シースバルブワッシャ5780と、シースバルブノブ5790とからなる。以下の文中に記載するとおり、シースバルブワッシャ5780は必ずしも必要でないが、この実施形態には含まれる。シースバルブ5770は、ここではシリコーン製の円筒形部品として形成されるが、それがスライドアセンブリ5720の内側に圧縮されたときに、スライドアセンブリ5720の内部チャンバ5722の内側に耐血液浸透性の封止をもたらす限り、いかなる形状又は材料が選ばれてもよい。
図57に示される構成では、シースバルブノブ5790はねじ切り部によってスライドアセンブリ(本明細書では「スライダ本体」とも称される)5720の近位端の中に接続され、従ってノブ5790は、スライドアセンブリ5720に対して回転させると、その中に入ったり、又はそこから外れたりする。このように、内部組立体を取り外した後、(適宜回転させることによってノーズコーンがスライドアセンブリ5720から引き抜かれるに従い、ノブ5790はワッシャ5780を内側にシースバルブ5770に対して押し付け、それによりシースバルブ5770がそれ自体圧縮され、支持部材5740及び全ての内部組立体が取り除かれた後に残った穴を密封する。シースバルブ5770の特定の実施形態において、シースバルブの中間部分の外径上にある環状の溝5772により、シースバルブ5770の自己封止性の圧潰が向上する。使用者は、より大きい抵抗でノブ5790を回転させなければならないときに負担を被るため、圧潰し易いほど望ましい。溝5772により、必要な力及び必要なノブの回動回数が大幅に低減される。
【0091】
図58〜
図60は、本発明のデリバリーシステムのノーズコーンの例示的実施形態を示す。
【0092】
図57のシステム5700におけるシースバルブ5770は、デリバリーシステム100、700、1600、2400、3300、5500についての受動的血流遮断バルブ(passive hemostasis valve)に置き換えることができる。血流遮断は2つの構成要素によって維持することができる。第一に、「ダックビル」型バルブによってガイドワイヤに対する封止部を設けることができる。ダックビルは、例えば2本のばね荷重ローラによるなど、機械的な補助を有して封止を確実にすることができる。第2の装置のシースに対する封止は、それが受け入れるシースより僅かに小さい穴を有するゴムディスクによって維持される。この構成要素はまた、主システムの血流遮断も維持する。
【0093】
図65〜
図69は、本発明に係る脚部拡張デリバリーシステムの例示的実施形態を示す(例えば、
図55〜
図57に示されるとおりのメイン又は二分岐デリバリーシステムと対比されるものとして)。これらの図に示される寸法は、唯一の実施形態として解釈されてはならず、むしろ、本発明についての例示に過ぎないものとして解釈されるべきである。
【0094】
上述のデリバリーシステム100、700、1600、2400、3300、5500は、各々、外側シースルーメン内にステントグラフトが装填される必要があり、各々、ステントグラフトがシースルーメン内に深く挿入され過ぎることを防止するとともに、外側シースがステントグラフト上に引き込まれているときにステントグラフトを長手方向に固定して保つ内部装置を有する。二分岐ステントグラフトを植え込むときは、展開中、同側の脚部の最後の2つのスプリング(例えば、ステント)が外側シースから早まって解放されないよう確実にすることが望ましい。
図70に示される本発明では、ステントグラフトの同側の脚部を捕捉しながら対側の脚部にカニュレーションを行うことが可能となる。かかる構成により、対側の脚部のカニュレーションを行う間のステントグラフトの安定性が確保される。
【0095】
例として、
図70に示される本発明の追加の実施形態は脚部クラスプ7001であり、これは、
図70に示されるとおり、バレル7002と;バレル7002からバレル7002の主軸に沿って延在するスプール7004と;スプール7004の端部にあるリム7006であって、スプール7004の直径より大きいが、バレル7002の直径より小さい直径を有するリム7006とを含む。
【0096】
本発明の脚部クラスプ7001は、少なくとも部分的には、ステンレス鋼、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群から選択される少なくとも1つの構成成分で形成されてもよい。本発明の脚部クラスプ7001のリム7006は、
図125及び
図126に示されるとおり、径方向に延在するスポーク12502を備えることができる。
【0097】
さらに別の実施形態において、本発明はステントグラフトデリバリーシステムであり、これは、脚部クラスプ7001であって、バレル7002と、バレル7002からバレル7002の主軸に沿って延在するスプール7004と、スプール7004の端部にあるリム7006であって、スプール7004の直径より大きいが、バレル7002の直径より小さい直径を有するリム7006とを備える脚部クラスプ7001と;バレル7002に固定され、且つバレル7002からスプール7004と反対方向に延在する支持チューブ7010と;バレル径に対し、スプール7004及びリム7006を被覆する第1の位置と、スプール7004及びリム7006を露出させる第2の位置との間で動くことのできる内径を有するシース7030とを含む。支持チューブ7010はまた、
図57Bでは支持チューブ5744としても表され、代替的実施形態においては、
図57Bに示される支持部材5740の他の何らかの構成要素、例えば、同様に
図57Bに示されるハイポチューブ5742をバレル7002に固定することができ、支持チューブ7010は、
図56に示されるハンドル本体5540に直接固定することができることは理解されるべきである。
【0098】
本発明のステントグラフトデリバリーシステムは、さらにステントグラフト7020を含むことができ、ここでシース7030が第1の位置にあるとき、ステントグラフトのステント7024がリム7006に干渉する関係でスプール7004の周りに延在し、及びステントが固定されるルーメン状グラフト7032が、リムとシースとの間に延在し、シースが第1の位置から第2の位置に動くと、ステントグラフトが脚部クラスプから解放される。
【0099】
特に、プッシュロッド(本明細書では「支持部材」とも称される)7010の遠位端に凹凸ボス7000が配置され、これによりステントグラフト7020が外側シース7030内に深く挿入され過ぎることが防止され、且つ外側シース7030がステントグラフト020上に引き込まれているときに、ステントグラフト7020が長手方向に固定して保たれる。凹凸ボス7000は、近位フランジ(本明細書では「バレル」とも称される)7002と、中間スパン(本明細書では「スプール」とも称される)7004と、遠位フランジ(本明細書では「リム」とも称される)7006とを有する。近位フランジ7002及び遠位フランジ7006の外径は中間スパン7004の外径より大きく、それらの間に環状空洞7008が設けられる。ステントグラフト脚部7022を遠位フランジ7006上に、環状空洞7008内に最遠位のステント7024を有するのに十分な深さに配置すると、凹凸ボス7000によって脚部7022と外側シース7030との間に締まり嵌めが生じる。外側シース7030が完全に引き込まれると、この締まり嵌めはなくなる。外側シース7030が引き込まれた後は固定化が失われるという事実から、最後部のステント7024の固定化は受動的であると言うことができる。この構成を用いると、外側シース7030が引き込まれるときのステントグラフト7020の長手方向の移動が防止されるため、ステントグラフト7020をより良好に制御及び把捉することができる(
図70の左側)。
【0100】
次節では、ステントグラフトの改良例、特に、腎動脈に拡げることを目的とした二分岐AAAステントグラフトを考察する。
図72A、
図72B、
図72C〜
図83に示されるとおり、ステントグラフトシステム、例えば二分岐ステントグラフトシステム7200は、ルーメン状グラフト構成要素7201と;ストラット7211を接続する近位頂部7212と遠位頂部7213とによってつなぎ合わされた複数のストラット7211を備えるベアステント構成要素7210であって、ルーメン状グラフト構成要素7201の近位端7214に固定され、且つ近位端7214から近位に延在するベアステント構成要素7210と;ベアステント構成要素7210に近接した腎臓下ステント構成要素7215であって、ベアステント構成要素7210の遠位にあり、且つルーメン状グラフト構成要素7201に固定されたベアステント構成要素7210の頂部7213によって画定される円周ラインに拡がる腎臓下ステント構成要素7215と;ベアステント構成要素7210の少なくとも1つの腎臓上部分7217から遠位に延在する少なくとも1つの腎臓上バーブ7220と;ベアステント7210の少なくとも1つの腎臓下部分7218から遠位に延在する少なくとも1つの腎臓下バーブ7230とを含む。
【0101】
「腎臓上」は、本明細書でバーブを参照して使用されるとき、最も上にある腎動脈の口の頭側で大動脈に取り付けられるバーブを意味する。
【0102】
「腎臓下」は、本明細書でバーブを参照して使用されるとき、最も下にある腎動脈の口の尾側で大動脈に取り付けられるバーブを意味する。
【0103】
別の実施形態において、腎臓下バーブは、最初に被覆されているバーブであり得る。ベアステントは、「被覆されていない」又は「部分的に」被覆されたステントとも称される。
【0104】
「バーブ」は、本明細書では「フック」とも称される。
【0105】
図73に示されるとおり、本発明のステントグラフトシステムにおいて、ベアステント7210の腎臓上部分は、2つのストラット7211をつなぎ合わせるアイレット7221を画定するストラット7211の間のブリッジ7219を備えることができ、腎臓上バーブ7220はブリッジ7219から延在する。
【0106】
本発明のステントグラフトシステムの腎臓下バーブ7230は、2つのストラット7211をつなぎ合わせる遠位頂部7213から延在することができる。
【0107】
本発明のステントグラフトシステムの腎臓上バーブと腎臓下バーブとの最近位部分間の例示的な距離は、約6mm〜約40mmの範囲(例えば、6mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm)である。
【0108】
本発明のステントグラフトシステムのステントのうちの少なくとも1つは、超弾性金属、例えばニッケルチタンを含み得る。
【0109】
ある実施形態において、本発明のステントグラフトシステムのベアステントの遠位頂部はルーメン状グラフト構成要素内に固定され、ここで腎臓下バーブはベアステントからルーメンの中を通って延在する。本発明の少なくとも1つの腎臓下ステントは、ルーメン状グラフト構成要素内に固定され得る。
【0110】
図105Cに示される本発明の別の実施形態は、ステントグラフトシステム10550であり、これは、ルーメン状グラフト構成要素10560と;近位頂部10590と遠位頂部10591とによってつなぎ合わされた斜めストラット10580のベアステント10570であって、ルーメン状グラフト構成要素10560の近位端10592から延在するベアステント10570と;ベアステント10570に隣接し、且つルーメン状グラフト10560内にある近位ステント10593であって、頂部10590と場合により頂部10591とによってつなぎ合わされた斜めストラット10580を備え、ベアステント10570と入れ子にされた近位ステント10593と;遠位頂部10591からルーメン状グラフト構成要素10560の中を通って遠位に延在する少なくとも1つのバーブ10594とを含む。
【0111】
図71は、腎動脈7120と腸骨動脈7130との間に動脈瘤7110を有する腹部大動脈7100を図式的に示す−腹部大動脈7100はその下流端で分岐して左右の総腸骨動脈7130となり、血液を骨盤及び下肢に運ぶ。
図72A、
図72B及び
図72Cは、ステントグラフトシステム、例えば二分岐ステントグラフトシステム7200を図式的に示し、これは、腎動脈7120の直ちに下流から腸骨動脈7130に向かって延在して2つのより小さいルーメンに分かれ、そのうちの一方が腸骨動脈7130の中まで延在し、他方が他方の腸骨動脈7130の手前で終端となるグラフト部分を有する。この二分岐ステントグラフト7200のベアステント7210は、腎臓上バーブ7220及び腎臓下バーブ7230の双方を備えて構成される。
【0112】
図72Bに示される別の実施形態では、本発明はステントグラフトシステム7200であり、これは、ルーメン状グラフト構成要素7201と;ルーメン状グラフト構成要素7201、例えば二分岐ルーメン状グラフト構成要素の近位端7214から延在するベアステント7210と;ベアステント7210の近位端7217から遠位に延在する少なくとも1つの近位バーブ7220と;ベアステント7210の遠位端7218から遠位に延在する少なくとも1つの遠位バーブ7230であって、ルーメン状グラフト構成要素の主軸に沿った近位バーブ7220と遠位バーブ7230との間の距離が、約6mm〜約40mmの範囲(例えば、6mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm)である、遠位バーブ7230とを含む。
【0113】
本発明のステントグラフトシステムでは、バーブの少なくとも一部分は、ベアステントから約20度〜約60度の範囲(例えば、20度、25度、30度、35度、40度、45度、50度、55度、60度)の角度をなして延在する。
【0114】
本発明のステントグラフトシステムのベアステントは、少なくとも一部において、超弾性金属で形成され得る。
【0115】
図78及び
図79に示されるとおり、本発明のステントグラフトシステムは、少なくとも1つの放射線不透過性マーカー7800をさらに含むことができる。本発明のステントグラフトシステムに、ステントに対してか、又はグラフト材料に対して取り付けられる少なくとも1つの放射線不透過性マーカーは、例えば、腹部大動脈瘤の治療方法において、本発明のステントグラフトデリバリーシステムを用いることによる患者の体内へのステントグラフトの留置に役立ち得る。
【0116】
図73〜
図75は、本発明のAAAステントグラフトシステムの例示的実施形態に係るフック又はバーブ7310を有する腎臓上ベアステント7300の様々な特徴を示す。6頂部の例を示すが、より多い又はより少ない頂部を用いることができる。このベアステント7300は、
図74に示されるとおり、異なる長さのフック7410、7420、7430を有し、これらは、例えば、グラフト縁端からの距離に基づき長さが増加する(当然ながら、これらの長さはこの方向に減少してもよく、又は長さの組み合わせであってもよい)。傾斜したネックでは、グラフトラインから遠いフックほど大動脈壁から離れ易いため、ある実施形態では、フック7410、7420、7430は、グラフト縁端から離れるほど長さが増加する(すなわち、B−1はB−2より長く、B−3より長い)。さらに、フックは腎動脈に近いほど短いほうが、患者にとってより安全である。
【0117】
図75は、フック7510、7520、7530が、グラフト縁端から離れるほど長さが増加し、且つグラフト縁端から様々な距離にある円周平面に沿って互い違いの位置で配置される場合の位置決めを示す。
【0118】
図73〜
図75及び
図77は、グラフト端部にあるベアステントの各頂部(遠位)のアイレット7700を示す。この機構は、ステントをグラフト材料と縫合するのに役立つ。アイレットの利点としては、通常の縫合後作業ステップにおいて応力又は歪みのないステント領域での縫合が挙げられる。典型的には、ステントは、ステントのシヌソイドの内輪の周囲が縫い付けられる。この領域は、クリンプ/装填及び最終的な展開などの縫合後作業ステップの間に弾性変形を受ける。かかる動作は、縫合部に有害な影響しか有しないものであり得る。加えて、体内で通常の身体構造上の動きがあるとき、ステントの内輪は最も大きい動きを有する。これらの図に示されるアイレットは、プロテーゼ全体の総体的な動きを超え得るいかなる動き又は塑性変形も受けない。いかなる応力又は歪みも受けないステント領域での縫合は、製造の観点から有利である。縫合作業中、針はステントに小さいゲージを生じることがあり、これは亀裂の始まり及びそれに続く破断の中心点となり得る。こうしたゲージは、内輪においては、アイレット7700などの静止領域と比べてはるかに懸念が大きくなり得る。本発明の腎臓上ステントが植え込み後に破断を受けるならば、破断が起こる点はステントの内輪領域であると思われる。この点で縫合が行われる場合、破断の結果、腎臓上ステントはグラフトと完全に分離し得る。この追加されたアイレット機構において縫合することにより、破断したステントは、当該の破断後にもなお、グラフトに取り付けられた2つのストラットのうちの一方を有し得る。このように、破断が起こったとしても、同じ領域の第2のストラットが同様に壊れて共通の内輪から外れる可能性ははるかに低い。ステントの縫合糸固締領域として示される下部アイレットを有することは、多大な利点を有する:
【0119】
本発明のステントは、約20mm〜約36mmのサイズ、例えば、20mm、22mm、24mm、26mm、28mm、30mm、33mm、及び36mmを含むサイズであり得る。
【0120】
ステントは、例えば、3mm外径チューブから切断されてもよい。その幅は、3mmチューブの円周と等しくてもよい(ただし、等しくなければならないわけではない)。チューブ材の壁は、例えば、0.017インチであってもよい。
図81〜
図85は、本発明に係るサイドフックを有するレーザーカットされた腎臓上ステントの一例示的実施形態を、かかるチューブから製造されるときのステントの例示的寸法と共に示す。この例示的実施形態は6個の上頂部と6個の下頂部とを備え、しかし変形例では、より多くても、又はより少なくてもよい。ストラット厚さは、約0.016インチ〜0.018インチ直径のワイヤと同様とすることを目標とし得る。しかしながら様々な直径であってよく、例えば、壁厚は0.017インチであってもよい。
【0121】
バーブは、仕上げ加工の一部として面外に曲げ、尖らせてもよい。本発明のステントには、全てのバーブを含めても、又はバーブの一部のみを含めてもよい。
【0122】
上記のベアステントは、本発明に係るデリバリーシステムと共に使用されるものであり、このシステムは、
図69に一例が示される遠位頂部捕捉装置を備える。しかしながら、バーブを追加すると、それまでステントアーム8010の各々の間に存在した空間(すなわち、頂部間の長さ)が、今度はバーブによって占められる。これは、特に
図84に見ることができる。従って、先に用いた頂部捕捉装置を、アーム8010間の「空間」の損失を考慮するように変更する。
【0123】
ある実施形態において、本発明は頂部捕捉装置8600であり、これは、近位頂部捕捉部分8600aであって、
図86C及び
図88において8011として表されるパイロット穴などの、近位捕捉部分8600の主軸と実質的に平行な少なくとも1つの径方向拘束体を画定するノーズ8601と、ノーズ8601から遠位に延在する複数の爪部8602であって、最近位の径方向拘束体に対して径方向に、且つ主軸と実質的に平行に主軸の周りに径方向に配設された爪部8602とを備える近位頂部捕捉部分8600aと;主軸の周りに径方向に配設されたスロット8611を画定する遠位頂部捕捉部分8610であって、スロット8611が、近位頂部捕捉部分8600と遠位頂部捕捉部分8610とを主軸に沿って互いに動かすことにより爪部8602と嵌合可能である、遠位頂部捕捉部分8610と;ノーズ8601と遠位頂部捕捉部分8610との間に主軸から径方向に延在し、且つ爪部8602がスロット8611と嵌合関係になる動きに干渉しない関係で主軸に沿ってスロット8611と整列する複数のボス8612と;
図86Dに示される、遠位頂部捕捉部分8610が固定される細長部材8614(内側制御チューブとしても知られる)であって、複数のボス8612及び近位頂部捕捉部分8600を貫通して延在する細長部材8614と;同様に
図86Dに示される、近位頂部捕捉部分8600が固定され、細長部材が貫通して延在するルーメン8613(外側制御チューブとも称される)であって、ルーメン8613が動くことにより、爪部8602がスロット8611と嵌合してボス8612上に載置される第1の位置と、爪部8602がスロットと嵌合せずボス8612上に載置されない第2の位置との間で近位頂部捕捉部分8600aが主軸に沿って動く、ルーメン8613とを含む。
【0124】
「径方向拘束体」は、本明細書で使用されるとき、デリバリーシステム又は頂部捕捉装置の主軸と垂直な方向における動きの制限を意味し、例えばステントのバーブは、頂部捕捉装置の爪部の間に解放され得る。
【0125】
「干渉しない関係」は、本明細書で使用されるとき、ある物体が別の物体に対して移動自在であることを意味する。
【0126】
本発明の頂部捕捉装置のノーズ8601は爪部8602の間に溝8603を画定することができ、溝8603はボス8612の間の空間と整列する。
【0127】
ある実施形態において、本発明の頂部捕捉装置の複数のボス8612は、遠位頂部捕捉部分8610に対して固定される。
【0128】
本発明の頂部捕捉装置のノーズ、細長部材及び各爪部8602は、空間を画定することができる。
【0129】
別の実施形態において、本発明はステントグラフトのベアステントを解放する方法であり、これは、頂部捕捉装置の近位頂部捕捉部分であって、径方向拘束体を画定する近位頂部捕捉部分が固定されるルーメンを、近位頂部捕捉部分の爪部が遠位頂部捕捉部分のスロットと嵌合して、頂部捕捉装置の主軸から径方向に延在するボス上に載置される第1の位置と、爪部がスロットと嵌合せずボス上に載置されない第2の位置との間で主軸に沿って動かすステップであって、それによりベアステントの頂部を、爪部とボスと遠位頂部捕捉部分とによって画定される空間から解放するステップを含む。
【0130】
ある実施形態において、ステントグラフトのベアステントを解放する方法において用いられる頂部捕捉装置は、遠位頂部捕捉部分が固定される細長部材であって、近位頂部捕捉部分及び複数のボスを貫通して延在する細長部材をさらに備えることができる。
【0131】
別の実施形態において、本発明の方法において用いられる頂部捕捉装置は、近位頂部捕捉部分が固定され、細長部材が貫通して延在し、且つ近位頂部捕捉部分を動かすためのルーメンをさらに備えることができる。
【0132】
さらに別の実施形態において、本発明は頂部捕捉装置アセンブリ7600であり、これは、近位頂部捕捉部分であって、先述のパイロット穴などの、近位捕捉部分の主軸と実質的に平行な少なくとも1つの径方向拘束体を画定するノーズ7610と、例えば
図76Aに図示されるとおりの、先述のノーズ7610から遠位に延在する複数の爪部であって、最近位の径方向拘束体に対して径方向に、且つ主軸と実質的に平行に主軸の周りに径方向に配設された爪部とを備える近位頂部捕捉部分と;例えば
図76Aに示されるとおりの、主軸の周りに径方向に配設されたスロットを画定する遠位頂部捕捉部分7620であって、スロットが、近位頂部捕捉部分と遠位頂部捕捉部分とを主軸に沿って互いに動かすことにより爪部(time)と嵌合可能である、遠位頂部捕捉部分7620と;ノーズと遠位頂部捕捉部分との間に主軸から径方向に延在し、且つスロットと嵌合関係になる爪部(time)の動きに干渉しない関係で主軸に沿ってスロットと整列する複数のボスと;遠位頂部捕捉部分が固定される細長部材であって、近位頂部捕捉部分7610及び複数のボスを貫通して延在する細長部材と;近位頂部捕捉部分7610が固定され、細長部材が貫通して延在するルーメンであって、ルーメンを動かすことにより、爪部がスロットと嵌合してボス上に載置される第1の位置と、爪部がスロットと嵌合せずボス上に載置されない第2の位置との間で近位頂部部分が主軸に沿って動く、ルーメンと;頂部によって連係されたストラット7631を備えるベアステント7630であって、ストラットが爪部8602の間に延在し、爪部がスロットと嵌合されると、頂部の一部分がボスと遠位頂部捕捉部分との間に延在する、ベアステント7630と;ステントのアイレットから径方向拘束体(図示せず)の中に延在する少なくとも1つの腎臓上バーブ7632とを含む。
【0133】
本発明の頂部捕捉装置アセンブリのステントは、一対のストラット間に少なくとも1つのブリッジをさらに備えることで、爪部がスロットと嵌合されたときにボスが貫通して延在するアイレットを画定することができ、ここでバーブはブリッジから延在する。
【0134】
図76Bに示される代替的実施形態において、ストラット7634は傾いている。ストラットは、ベアステントが把捉され、且つバーブが拘束され、それにより少なくとも1つの腎臓下バーブにより深い谷が生じる結果として傾いている。
【0135】
図76A及び
図76Bの双方を参照すると、本発明の頂部捕捉装置アセンブリの腎臓上バーブは、アイレットが取り付けられるストラットを主軸に向かって拡げるのに十分なだけアイレットの平面から傾いている(図示せず)。
【0136】
本発明の頂部捕捉装置は、ステント7630の遠位頂部7636から延在する腎臓下バーブ7635をさらに備え得る。
【0137】
本発明の頂部捕捉装置アセンブリは、ベアステント7630の遠位部分に固定されるルーメン状グラフト構成要素7637と、ベアステント7630の遠位に隣接する腎臓下ステント7638とをさらに備えることができ、腎臓下ステント7638は、近位頂部7640と遠位頂部7641とによって連結されたストラット7635を備え、遠位頂部7641は、ベアステント7630の遠位頂部7636と実質的に整列する。ある実施形態では、本発明の頂部捕捉装置アセンブリ7600の腎臓下ステント7638は、ルーメン状グラフト構成要素7637内に固定される。バーブ7632がパイロット穴などの径方向拘束体内に保持される結果としてベアステントストラット7631、7634が拡張することにより、ベアステント7630の腎臓下バーブ7635は腎臓下ステント7638のストラット7639の間に嵌入し得る。
【0138】
例えば、
図86A、
図86B、
図86C、
図86D及び
図86E〜
図88に示されるとおり、爪部8602を有する近位頂部捕捉部分8600は、遠位頂部捕捉部分8610(これはノーズコーン6860に接続されている)から分離されているベアステント開放位置にある。捕捉されている間の、最終的な展開時にばね作用で開く前のステント8620の上流頂部は、爪部8602のそれぞれの一つと周方向に整列している保持ボス8612を包み込み、従って径方向外側に延在してそれぞれの爪部8602と接触するか、又は十分に近付くため、爪部8602によって閉じ込められるときのステント頂部の解放が防止される。ステント頂部の捕捉用の空洞を完成させるよう、遠位頂部捕捉部分8610は、爪部8602の各一つの最遠位端に密接に適合する形状の凹部8816を有する。従って、フランジ8614の凹部8816は、
図86A〜86Eに表されるとおり、ボス8612から円周方向にオフセットしている。細長部材8613は、近位捕捉部分8600によって画定されるオリフィスを貫通して延在し、ボス8610をフランジ8614と接続する。
【0139】
先行技術のZステントは、両端でつなぎ合わされた単一の長さのワイヤから作製される。本明細書で提供され、及び
図89及び
図90における例示的実施形態に示されるのは、複数の周方向に隣接するフィラメントで作製された多重ステント8900である。先行技術のステントには見られない様々な特徴が、多重ステント8900には存在する。
【0140】
多重ステント8900は、先行技術のステント/ステントグラフトで使用されるものと比べて直径が実質的に小さいワイヤから作製されたワイヤ形態のステントである。このように直径が実質的に減少しているにもかかわらず、円周を囲んで多重状に巻くことにより、先行技術のステントと同様に、各ステントの各ストラットに全面的な金属断面が生じる。多重ステント8900では、多重状に巻くことにより、複合ステント8900の各屈曲部に多重頂部8910が生じる。これらの頂部を用いて、治療対象の血管の内壁に対する植え込みを改良することができる。加えて、これらの頂部8910の各々を用いて、第2のモジュール式構成要素のグラフト材料、例えば、腸骨動脈で展開される二分岐ステントグラフトの第2の部分のグラフト材料であって、二分岐ステントグラフトの長い下流脚部の反対側にあるグラフト材料を引っ掛けることができる。特定の一利用法としては、これらの頂部8910を用いて、第2のモジュール式構成要素からのステントの対向する頂部を引っ掛け得ることである。多重ステント8900は、任意の折り重ね領域で使用することができる。多重ステント8900の変形例は、使用されるワイヤ直径、全体的な頂部の数並びに巻き(フィラメント)の数を含み得る。
【0141】
多重ステント8900は、
図89、
図91及び
図94に示されるとおり円周方向に繰り返された単一のワイヤから作製することができる。
図89の実施形態は頂部8910を積み重ね、
図91の実施形態は頂部9100を取り囲む。或いは、多重ステントは、互いに撚り合わされた複数の独立したZステントであってもよい。
【0142】
多重ステントを用いてステントグラフトシステムの2つのモジュール式構成要素を接続するため、グラフト及びステントは、高いモジュール引張強度を実現する非直感的な方法で組み立てられる。グラフトは、ルーメンを長手方向に折り重ねることによりその長手方向長さが短くなるように組み立てられる。これは、内径に関して全体的な有効ルーメンが実質的に変化しないように行われる。ルーメンの折り重ねは、連続する脚部ステントを、通常行われるより互いに離して縫い付けることにより行うことが可能となる。
図95はグラフトの切欠図を示し、下側の表面が、上側のルーメンの中に折り込まれたルーメンの部分を表している。全体的に、グラフトはなお単一のルーメンである。
図96は、グラフトの内部で折り重ねられた範囲の拡大図である。重要なことに、この折り重ね部分9600により、グラフトのルーメン内にあるときグラフトの近位端に向くポケット9610が生じる。
図97は、
図95及び
図96の構成を二分岐ステントグラフトの双方の腸骨端に適用した例の写真である。この特定の例は、図中、右側の最後部のステントと、左側の、最後部のステントに直ちに隣接するステントとの間の折り重ね部分を示す。必要であれば、この構成は、
図97に示されるとおり二分岐の双方の脚部に設定される。
【0143】
これらの折り重ね部分9600は、モジュール式構成要素を受け入れるステントグラフトの範囲に設けられる。従って、折り重ね部分9600は、ステントグラフト構成要素の遠位端の近傍に作製される。これらの折り重ね部分9600は、長さに沿って複数の箇所に作ってもよく、また最末端部に作ってもよく、又は双方の位置に作ってもよい。折り重ね部分9600を所定位置に保つため、グラフトの全層を通じて長手方向ステッチが縫い付けられる。これらのステッチは、
図97において参照符号「A」により示される。長いほうの脚部に示されるステッチのように(
図97の上側)、折り重ね部分がセグメントの端部にある場合、グラフト材料は2層であり得る。対照的に、ステッチAが2つのステントの間にある場合(
図97の下側)、3層のグラフト材料が存在し得る。グラフト構成要素の折り重ねは、グラフトのルーメンにポケットを設けるように行われる。これらのポケットは、モジュール式固定機構の第2の構成要素であるステントを受け入れるために用いられる。
【0144】
グラフトに取り付けられる多重ステントは、挿入用構成要素の近位端又はその近傍に備え付けられる。多重ステントは、
図98に示されるとおり、遠位に向いた頂部9800が縫い付けられずにおかれるように取り付けられる。また、ここには多重ステント構成も示される。遠位に向いた頂部が縫い付けられずにおかれることにより、それらの頂部は、第1の構成要素のグラフトを折り重ねることにより設けられたポケット9610に嵌まり込むことができる。ステントの縫い付けられない頂部を用いてポケット9610に嵌め込むことに加え、第2の構成要素に非ステント構成要素を追加することができる。別の代替例としては、ステントの遠位端における突出する機構を挙げることができる。そうした機構のいくつかの例示的構成が、
図99及び
図100に示される。示されるとおりの複数のフィラメントを有することにより、フィラメントの頂部の少なくとも一部が接続用構成要素のポケット9610と係合し易くなる。フィラメントの総数は重要ではなく、モノフィラメントステントもまた同じように縫い付けることができる。
【0145】
図99に示される構成は、近位ストラット(近位頂部に隣接する)のうち縫い付けが実施されている割合がより大きいことが、
図98に示される構成とは異なる。より多く縫い付けることで、係合するステントのステントグラフトとの確実な取り付けの安全性が高まる。さらに、遠位頂部9900がステントグラフトの壁から外側に拡がっている。遠位頂部9900を拡げることは、頂部の一部又は全てが対向する構成要素のポケット内に捕捉される可能性を高めるために行われる。加えて、多重フィラメントステントのフィラメントの、全てではないが、一部が切断される。フィラメントの切断もまた、第2の構成要素が対向する第1の構成要素内に独立して捕捉されるためのさらなる点を設ける。フィラメントの一部(全てではなく)を切断することの背後にある考えは、このセグメントにおけるいくらかの径方向の力を維持することである。
図100に示される構成は、遠位頂部10000の全ての切断を示す。この構成により、ポケット9610(又は他の位置)に対する最大数の捕捉点が生じる。上述されるとおり、それと引き換えに、ステントのこの領域には径方向の強度がない。
図100の構成は単一の頂部カットしか有しない。この点について、必要であれば、全ての、又は2つ以上の頂部を切断してもよい。
【0146】
図101に示される構成は、完全に縫い付けられたステント10110のすぐ隣に縫い付けられている部分的に縫い付けられたステント10100を提供することにより、
図98〜
図100の構成を変更している。この変更の2つの利点は直ちに明らかである。第一に、径方向強度が増す。これは、双方のステントを第1の構成要素のルーメンに対して保つのに役立つ。第二に、この構成は、第2の構成要素が内部で折り重なって装置全体のルーメンを塞ぎ得る可能性を防止するのに役立つ。このタイプの内部での折り重なりは、大きい軸方向負荷下におかれた第2の構成要素のセグメントの支持が不十分な結果として起こり得る。遠位頂部又は他の突出する部材が第1の構成要素のポケットを引っ掛けた場合、上側(近位)頂部がルーメン内に折り込まれ得る。軸方向負荷に起因して内部で折り重なるこの潜在的な問題を防止するための別の方法は、第1の構成要素と係合することが意図されるステントの近位に、完全に支持されたステントを提供することであり得る。
【0147】
図102に示される構成は、第1の構成要素のポケット9610との係合に用いられる非ステント構成要素10200を示す。ここでは、生体適合性プラスチック又はポリマーが、内側に踏み段を有する閉じられた梯子の形状をしており、踏み段はいずれもステントグラフトに接続され得る。
図102に示されるとおり、最上流の踏み段は、上流頂部の各々において頭側(上流)のステントに接続される。当然ながら、そこに接続されるのは、構成要素10200のかかる頂部の数より少なくてもよい。望ましい形状は、ポケット9610又は血管壁を捕捉するよう外側に湾曲した遠位(下流)端を有する。非ステント構成要素10200を用いる一つの利点は、金属ではないため、隣接する構成要素間の摩耗が減少することである。これらの非ステント構成要素10200は、一部若しくは全てのステントの頂部の一部若しくは全てに、又はステント間に置くことができる。
【0148】
ポケット9610内又は血管壁内に接続するために用いることのできる装置の別の例示的実施形態が、
図103〜
図104の変形例に示される。本明細書に記載されるモジュール式ステント固定機構においては、下流捕捉ペグ10310を有するステント10300を使用することができる。この実施形態において、ステントの遠位押込み構成要素10310は張り出しており、これらは尖らせてはいない。この変形例によれば、遠位に向いた構成要素10310は第1の構成要素の構造を貫通することは意図されず、ペグ10310はそこに接続される。かかる構成では、遠位に向いたペグは、第1の構成要素に設けられたポケット9610内で終端となり得る。
【0149】
さらに別の実施形態において、
図78を参照すると、本発明はステントグラフトシステム7809であり、これは、第1のステントグラフト7820であって、第1のルーメン状グラフト構成要素7840と、第1のルーメン状グラフト構成要素7840の外表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数の外側ステント7841と、一方が第1のルーメン状グラフト構成要素7840の遠位端7880にある2つの外側ステント7861、7871の間にある内側ステント7860であって、第1のルーメン状グラフト構成要素7840の内表面に固定され、且つ第1のルーメン状グラフト構成要素7840内にほぼ近位に向いた複数のバーブ7863を有する内側ステント7860とを備える第1のステントグラフト7820と;第2のルーメン状グラフト構成要素7874と、第2のルーメン状グラフト構成要素7873の外表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数の外側ステント7875とを備える第2のステントグラフト7873であって、第2のステントグラフト7873を第1のルーメン状グラフト構成要素7840の遠位端7880に挿入し、第1のステントグラフト7840及び第2のステントグラフト7873の各々の少なくとも2つのステントを重ね合わせると、バーブ7863の少なくとも一部分の間に第2のステントグラフト7873の第2のルーメン状グラフト構成要素7874のステントに干渉する関係が生じる、第2のステントグラフト7873とを含む。第1のステントグラフトと第2のステントグラフトとの最大及び最小の重なりの例が、
図79に示される。
【0150】
ステントグラフトシステム7809の第1のルーメン状グラフト7840は二分岐であってもよく、内側ステント7860は、第1のルーメン状グラフト7840の2本の脚部の一方に位置する。
【0151】
別の実施形態において、本発明のステントグラフトシステムは、二分岐の第1のルーメン状グラフトの第2の脚部7890の外表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数の外側ステント7891と、一方が第2の脚部7890の遠位端7893にある2つの外側ステントの間にある第2の内側ステント7892であって、第2の脚部7890の内表面に固定され、且つ第2の脚部7890内にほぼ近位に向いた複数のバーブ7894を有する第2の内側ステント7892とをさらに備えることができる。
【0152】
第3のルーメン状グラフト構成要素7896と、第3のルーメン状グラフト構成要素7896の外表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数の外側ステント7897とを備える第3のステントグラフト7895であり、第3のステントグラフト7895を第2の脚部7890の遠位端7893に挿入し、第2の脚部7890及びステントグラフト7895の各々の少なくとも2つのステントを重ね合わせると、バーブ7894の少なくとも一部分の間に第3のステントグラフト7895の第3のルーメン状グラフト構成要素7893のステントに干渉する関係が生じる。
【0153】
本発明のステントグラフトシステムのステントは、少なくとも一部において、超弾性金属、例えばニチノールで形成され得る。
【0154】
図105Aに示される変形例は、下流頂部10520からではなく、上流頂部10530から下流に突出するペグ10510を有するステント10500である。
図106に示される変形例では、ステント10600が、下流頂部10620から突出する尖った脚部10610を有する。尾側に向くバーブは、脚部ステントの任意の数の頂部又は全て頂部に配置され得る。尖ったバーブは、プロテーゼのグラフト材料を貫通し、グラフトが留置されるところに入り込むことができる。多くの場合、この構成は二分岐であり得るが、先に留置された脚部拡張部であってもよい。
【0155】
本発明のさらなる実施形態はテレスコープ型ステントグラフトシステムであり、これは
図79に示されるステントグラフトシステムと本質的に同じであるが、バーブ7863及び7894の少なくとも1つのセットがない。この代替的実施形態では、二分岐の第1のステントグラフトは、二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素と、二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素の2本の脚部のうちの一方の外表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数の外側ステントとを備える。場合により、内側ステントが、一方が第1のルーメン状グラフト構成要素の遠位端にある2つの外側ステントの間に延在し、内側ステントは、第1のルーメン状グラフト構成要素の内表面に固定される。第2のステントグラフトは、第2のルーメン状グラフト構成要素と、第1のルーメン状グラフト構成要素の外表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数の外側ステントとを備え、第2のステントグラフトを二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素の2本の脚部構成要素のうちの第1の脚部の遠位端に挿入すると、第1のステントグラフト及び第2のステントグラフトの各々の少なくとも2つのステントが重なり合い;複数のステント(例えば、外側ステント及び/又は内側ステント)が、二分岐の第1のルーメン状ステントグラフトの第2の脚部の表面(例えば、外表面及び/又は内表面)に沿って延在し、且つそこに固定される。場合により、第2の内側ステントは、一方が第2の脚部の遠位端にある2つの外側ステントの間に位置し、第2の内側ステントは第2の脚部の内表面に固定される。また、場合により、第3のルーメン状グラフト構成要素と、第3のルーメン状グラフト構成要素の外表面に沿って延在し、且つそこに固定される複数の外側ステントとを有する第3のステントグラフトであって、第3のステントグラフトを二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素の第2の脚部の遠位端内に挿入し、第1のステントグラフト及び第2のステントグラフトの各々の少なくとも2つのステントを重ね合わせることができる、第3のステントグラフトが含まれる。いずれにしても、第1の脚部は第2の脚部より短く、第1の脚部は、第2のステントグラフトの各々の少なくとも2つのステントを重ね合わせるために必要な数より少なくとも1つ多いステントを備える。
【0156】
ある実施形態において、本発明の二分岐ステントグラフトの一方の脚部は、
図78及び
図79に示されるとおり、二分岐ステントグラフトの他方の脚部(すなわち、第2の脚部又は長い脚部)と比べて長さが短くてもよい(すなわち、第1の脚部又は短い脚部)。本発明の二分岐ステントグラフトが腹部大動脈に留置されるとき、二分岐ステントグラフトの長い脚部は、例えば
図72Aに表されるとおり、総腸骨動脈にあってもよく、又は大動脈にあってもよい。
【0157】
図78に示されるとおり、本発明のテレスコープ型ステントグラフトシステムの二分岐の第1のステントグラフトは、少なくとも1つの放射線不透過性マーカー7800を備えることができる。特定の実施形態では、二分岐の第1のステントグラフトの短いほうの脚部が3つの側面放射線不透過性マーカー7801、7802、7803を備え、そのうちの一つが、短い脚部の遠位開口にあり、そのうちの別の一つが内側ステント(すなわち、脚部開口から2番目のステント)の頂部の近位端にあり、及びそのうちの第3のマーカーが第1のステントグラフトにおける二分岐点にある。例えば、
図78、
図127A及び
図127Bに関連して示されるとおり、内側ステントの頂部に位置する放射線不透過性マーカー7802は第3のステントグラフトの最低(min)位置を表し、放射線不透過性マーカー7803は第3のステントグラフトの最高(max)位置を表し得る。2つの追加的な放射線不透過性マーカー7804、7805が、短い脚部の遠位開口の周囲に配設される。放射線不透過性マーカー7806は、二分岐の第1のステントグラフトの長い脚部における内側ステントの近位端に位置決めされる。
【0158】
本発明のデリバリーシステム、デリバリーシステムの構成要素、ステント、グラフト及びステントグラフトシステムは、大動脈瘤、例えば腹部大動脈瘤の治療方法において用いることができる。
【0159】
別の実施形態において、本発明は、腹部大動脈瘤の治療方法であり、これは、デリバリーシステムのシース及び遠位先端を、患者の動脈、例えば、続いて総腸骨動脈を通過し得る大腿動脈を通じて患者の腹部大動脈瘤に送り込むステップであって、シースが二分岐ステントグラフトを格納している、ステップと;シースと螺着自在に連結されているデリバリーシステムの送りねじ用ナットを回転させ、それにより二分岐ステントグラフトからシースを少なくとも部分的に引き込むステップと;送りねじ用ナットをシースと螺着自在に連結しておきながら、送りねじ用ナットをデリバリー装置のハンドル本体に沿って摺動させ、それによりシースをさらに引き込むステップであって、二分岐ステントグラフトが腹部大動脈瘤内で少なくとも部分的に展開され、それにより腹部大動脈瘤が治療される、ステップとを含む。
【0160】
腹部大動脈瘤の治療方法は、デリバリー装置の遠位端にあるクラスプを開き、二分岐ステントグラフトの近位端にあるベアステントを解放するステップをさらに含むことができる。クラスプが開かれてベアステントが解放されるとき、二分岐ステントグラフトの第1の脚部の一部分はシース内に保持されていてもよい。二分岐ステントの第1の脚部は、第1の脚部の遠位端にあるステントをシースと脚部クラスプとの間に固定することにより保持され得る。二分岐の第1の脚部は、二分岐ステントの2本の脚部のうちの長いほうである。
【0161】
別の実施形態において、腹部大動脈瘤の治療方法において用いられるクラスプは、シースがベアステントを露出させるのに十分なだけ引き込まれたとき、近位ステントのストラットをデリバリーシステムの主軸に向かって拡げることができる。
【0162】
腹部大動脈瘤の治療方法は、第1の脚部が少なくとも部分的にシース内にある間に二分岐ステントの第2の脚部に拡張ステントグラフトによるカニュレーションを行うステップをさらに含むことができる。カニュレーション中、保持されている脚部はカニュレーションが行われている脚部より長く、場合により、カニュレーションが行われる脚部は拡張ステントグラフトとテレスコピックな関係にある。カニュレーションが行われる脚部は、カニュレーションが行われる脚部及び拡張ステントグラフトの各々の少なくとも2つのステントによって拡張ステントグラフトに重なることができる。カニュレーションが行われる脚部は、カニュレーションが行われる脚部及び拡張ステントグラフトの各々の2つのステントによって拡張脚部に重なるために必要な数より少なくとも1つ多いステントを備えることができる。カニュレーションが行われる脚部の遠位端から2番目のステントは、二分岐ステントグラフトのグラフト内にあってもよい。二分岐グラフトの遠位端から2番目のステントは、ステントから内側近位に延在するバーブを備えることができる。
【0163】
別の実施形態において、腹部大動脈瘤の治療方法は、さらに、脚部クラスプから二分岐ステントグラフトを解放するステップと、次にデリバリー装置の残りの部分からスライダ及びシースを切り離して、スライダ及びシースを実質的にその場に置いておきながら装置の残り部分を患者から引き抜くステップとを含むことができ、場合により、シースを通じて第2の拡張部を第1の脚部に送り込み、第2の拡張部により第1の脚部にカニュレーションを行うステップをさらに含む。カニュレーションが行われる第2の脚部は、カニュレーションが行われる第1の脚部及び第2の拡張部の各々の少なくとも2つのステントによって拡張ステントグラフトに重なることができる。カニュレーションが行われる第1の脚部は、カニュレーションが行われる第1の脚部及び第2の拡張部の各々の2つのステントによって拡張脚部に重なるのに必要な数より少なくとも1つ多いステントを備えることができる。カニュレーションが行われる第1の脚部の遠位端から2番目のステントは、二分岐ステントグラフトのグラフトの範囲内にあり得る。二分岐グラフトの遠位端から2番目のステントは、ステントから内側近位に延在し得るバーブを備える。
【0164】
本発明の方法は、例えば、臨床医が決めたグラフトの最初の位置が最適ではない場合、グラフト(例えば、二分岐グラフト、第2のステントグラフト、第3のステントグラフト)を位置決めし直すという利点を有する。グラフトは、その近位端及び遠位端で、且つ大動脈又は大動脈の分枝、例えば総腸骨動脈内で近位及び遠位に位置決めし直すことができる。
【0165】
図105A、
図105B及び
図105Cは、ステントの実施形態及び本発明のテレスコープ型ステントグラフトシステムにおけるステントの使用を表す。
【0166】
図107〜
図109は、Zステント、特にベアステントに対し、ステントそれ自体の材料を使用せずフック又はバーブを組み込むための様々な構成を示す。
図107は、本発明に係るクリンプフック10700の例示的実施形態を示す。クリンプスリーブ10720にフック10710が取り付けられるか、又はそれと一体化されており、クリンプスリーブ10720は、管腔内ステントグラフトプロテーゼ上のベアステント10800(ベアスプリング)の一部となる。多くのZステントが両端でクリンプスリーブによって予め接続され、外周を完成している。この構成により、展開時におけるステントグラフトアセンブリの血管の周囲組織内への能動的な固定化が加わり、展開後のプロテーゼの移動が防止される。クリンプフック10700を作成するには、例えばフック10710(これは、必要であれば、先の鋭い、又は尖らせたワイヤであってもよい)をクリンプスリーブ10720の本体に溶接することができる。次に、クリンプフック10700は、それをストラット10810に圧着(又は溶接)することによりステント10800の端部に取り付けられる。複数のクリンプフック10700が望ましい場合、クリンプフック10700は、例えば、1つの頂部10830と2つの半分のストラット10840とによって画定される個々のステント部分10820に接続することができる。
【0167】
図107に示される例示的チューブ状構造に代えて、クリンプスリーブ10720は、ストラット10840の2つの隣接する半分の部分(又は単に単一の切れ目のないストラット10840)に被せてそこに圧着されるクラムシェルであってもよい。ベアステント10800にクリンプフック10700が備わった後、
図109に示されるとおり、ベアステント10800をステントグラフト10900の端部に固着することができる。
図109のクリンプフック10700は、この図面の図中に見ることができるように、ベアステント10900のそれぞれのストラット10840の周りに回転させて示される。しかしながら、使用時、フック10710は、血管壁と最良に並置するため、ステントグラフトの長手方向中心軸から実質的に径方向外側に向けられる。
【0168】
上記のベアステントクリンプフックとは対照的に、
図110及び
図111は、
図112及び
図113に示されるとおり、グラフト11200の本体の縁端に取付け/固着されるクリンプフック11000を示す。示される構成によると、クリンプフック11000は、グラフト材料の縁端に被せて摺動され(破線11100で示される)、クリンプの2つの縁端11110、11120がそれらの間にグラフト材料11100を挟圧するように圧迫することで、グラフト材料11010との機械的な係止が設けられる。この構成により、展開時におけるステントグラフトアセンブリの血管の周囲組織内への能動的な固定化が加わり、展開後のプロテーゼの移動が防止される。上記のように、フック11010は、例えばクリンプ本体11020に溶接されてもよく、又はそれと一体化されてもよい。
【0169】
ステントグラフト(チューブ又は二分岐)のベアステントにバーブ又はフックを提供すると、外側シースにせよ、又は血管壁の内側にせよ、不都合に突き刺したり、又は引っ掻いたりする可能性が高くなることが注記される。特に、
図73〜
図76、
図79〜
図85、及び
図103〜
図106のステントの実施形態に関しては、例えば、外側シースに対しても、又は血管壁に対しても、不注意に損傷を与える可能性は完全に防止することが望ましい。かかる損傷が起こらないようにするため、かかるバーブを有するベアステントを用いる本発明に係るデリバリーシステムは、材料傘11400を備える。
【0170】
図114に示される一例示的実施形態において、傘11400は、近位頂部捕捉部分11420を制御するルーメン11410に(摺動自在に、又は固定的に)取り付けられる。ステントグラフト11500が折り畳まれて外側シース11510内に装填され、頂部捕捉装置11420、11520内に捕捉されると(
図115に示されるとおり)、ベアステント11530は、グラフトの前縁と頂部捕捉装置11420、11520との間の距離に拡がる。傘11400は、ステントグラフトの外側(及び外側シース11510の内側)に配置されてもよいが、
図114及び
図115に示される例示的実施形態では、傘11400はルーメン11410によってグラフト11400及び外側シース11510の双方の内部に保持される。傘11400のアーム11402は、そこからベアステント11530のそれぞれの頂部の間に延在する。アーム11402は、各々が頂部を通り抜ける中間部分では比較的狭く、それらの遠位端では比較的幅広に拡がる。かかる構成では、各アーム11402の遠位端は、隣接するベアステント頂部を覆って広がることができ、十分な幅があるならば、
図115に示されるとおり、隣接する他のアーム11402に重なり、露出したベアステント11530の外周全体を囲むキャノピーを形成することができる。少なくとも1本の通路11404がアーム11402の遠位部分に形成され、従ってそこを通って近位頂部捕捉部分11420のそれぞれの爪部が延在することができる。この構成では、アーム11402の幅広の遠位部分は制御されてベアステントに当接したままであり、頂部捕捉装置11420、11520が作動されるときまで外側シース11510及び内部の血管壁が保護される(
図115に示される位置、ただし、ベアステント11530及びアーム11400はまだ近位頂部捕捉部分11420の爪部から解放されていない)。
図116は、デリバリーシステムが内側ルーメン11410を引き込むまで、傘11400が血管壁11600の内部をどのように保護するかを示す写真である。内側ルーメン11410が引き込まれると、傘11400は摺動し、ベアステント11530と血管壁11600との間から抜け出る。
【0171】
ステントグラフトの腎臓下バーブが望ましくない例示的実施形態では、それらのバーブをベアステントのより高いところに動かし、傘11400の布製ストリップによって被覆することができる。
【0172】
図117〜
図124は、近位クラスプを使用してテーパ状先端を拡張し、ノーズコーン/先端と外側シースとの間の封止を設ける/改良するという本発明に関わる構想を示し、先端と外側シースとの間の空間が塞がれることにより、この接合部分には明らかな外側シース縁端がなくなる。外側シースを残しながらデリバリーシステムの内側構成要素(先端/支持部材)を取り外すという構想の、本明細書に記載されるデリバリーシステム(例えば、AAAデリバリーシステム)では、先端は外側シースの内径より小さい必要がある。先端がより細い形状であるため、先端−シース接合部分に「フィッシュマウシング」の問題が起こり得る。「フィッシュマウシング」は、先端シースの接合部分が血管に送り通されているときに明らかなシースの縁端が現れるようになると起こり、これが血管壁を引っ掻く可能性がある(
図117及び
図118を参照のこと)。この問題を解消するため、先端とシースとの間の空間をなくす必要があるが、しかし先端の取り外しはなお可能としなければならない。
図119〜
図120を参照のこと。遠位クラスプ(claps)の下側の材料のこの取り外しを達成するため、近位クラスプを前方に動かすことができるようにすることで、テーパ状先端がクラスプに対して拡張し、シースと先端との間の空間にあるリップ部分を塞ぐことができる。
【0173】
図125及び
図126は、本発明に係るAAA二分岐ステントグラフトについての受動近位リテーナ12500の例示的実施形態を示し、このリテーナ12500は、本明細書ではスポーク付きハブと称される。近位リテーナは、AAA二分岐ステントグラフトの同側の脚部に必要である。近位の固定化により、ガイドワイヤ及び脚部ステントにより対側の脚部のカニュレーションを行う間、ステントグラフトが展開シース内に保持される。近位固定化装置12500は、ステントグラフトの近位端の支持部材に装着されるハブである。ハブ12500は、中心ハブ12504から外側に放射状に拡がるスポーク12502を有する。スポークの数は、ステントの近位端におけるストラットの数に等しい。スポークは、装填の過程でステントの個々のストラットによって係合及び捕捉される。ステントグラフトは、ファンネルを使用することにより展開シースの中に装填される。ステントの近位端がほぼ展開シースに入ったとき、支持部材がグラフトに隣接して装填され、ハブのスポークがグラフトストラットに係合される。次に、グラフト及び支持部材がシースに引き込まれる。ステントの展開中、グラフトは、シースがスポーク付きハブを越えて完全に引き込まれるまでシースから解放されない。スポークの外径(OD)は、シースの内径(ID)より約0.008インチ小さいため、シースが引き込まれるまで、ステントストラットはスポーク付きハブによって捕捉される。
【0174】
本明細書に引用される全ての特許、公開出願及び参考文献の教示は、全体として参照により援用される。米国特許出願第10/884,136号明細書;米国特許出願第10/784,462号明細書;米国特許出願第11/348,176号明細書;米国特許出願第11/699701号明細書;米国特許出願第11/699700号明細書;米国特許出願第11/700609号明細書;米国特許出願第11/449,337号明細書;米国特許出願第11/353927号明細書;米国特許出願第11/701867号明細書;米国特許出願第11/449,337号明細書;米国特許出願第11/700510号明細書;米国特許出願第11/701876号明細書;米国特許出願第11/828653号明細書;米国特許出願第11/828675号明細書;及び米国特許出願第12/137592号明細書の教示もまた、全体として参照により本明細書に援用される。
【0175】
本発明は、特にその例示的な実施形態を参照して図示及び説明されているが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細についてそこに様々な変更を加え得ることを理解するであろう。
【0176】
本発明の態様として、以下のものがあげられる。
[1]a)近位頂部捕捉部分であって、
i.前記近位捕捉部分の主軸と実質的に平行な少なくとも1つの径方向拘束体を画定するノーズと、
ii.前記ノーズから遠位に延在する複数の爪部であって、最近位の径方向拘束体に対して径方向に、且つ前記主軸と実質的に平行に前記主軸の周りに径方向に配設された爪部と、
を備える近位頂部捕捉部分と、
b)前記主軸の周りに径方向に配設されたスロットを画定する遠位頂部捕捉部分であって、前記スロットが、前記近位頂部捕捉部と前記遠位頂部捕捉部分とを前記主軸に沿って互いに動かすことにより前記爪部と嵌合可能である、遠位頂部捕捉部分と、
c)前記ノーズと前記遠位頂部捕捉部分との間に前記主軸から径方向に延在し、且つ前記爪部が前記スロットと嵌合関係になる動きに干渉しない関係で前記主軸に沿って前記スロットと整列する複数のボスと、
d)前記遠位頂部捕捉部分が固定される細長部材であって、前記近位頂部捕捉部分及び前記複数のボスを貫通して延在する細長部材と、
e)前記近位頂部捕捉部分が固定され、前記細長部材が貫通して延在するルーメンであって、前記ルーメンを動かすことにより、前記爪部が前記スロットと嵌合して前記ボス上に載置される第1の位置と、前記爪部が前記スロットと嵌合せず前記ボス上に載置されない第2の位置との間で前記近位頂部捕捉部分が前記主軸に沿って動く、ルーメンと、
を含む、頂部捕捉装置。
[2]前記ノーズが前記爪部の間に溝を画定し、前記溝が前記ボスの間の空間と整列する、[1]に記載の頂部捕捉装置。
[3]前記複数のボスが前記遠位頂部捕捉部分に対して固定される、[2]に記載の頂部捕捉装置。
[4]前記ノーズと、前記細長部材と、前記爪部の各々とが、空間を画定する、[3]に記載の頂部捕捉装置。
[5]ステントグラフトのベアステントを解放する方法であって、頂部捕捉装置の近位頂部捕捉部分であって、径方向拘束体を画定する近位頂部捕捉部分が固定されるルーメンを、前記近位頂部捕捉部分の爪部が遠位頂部捕捉部分のスロットと嵌合して前記頂部捕捉装置の主軸から径方向に延在するボス上に載置される第1の位置と、前記爪部が前記スロットと嵌合せず前記ボス上に載置されない第2の位置との間で主軸に沿って動かすステップであって、それによりベアステントの頂部を、前記爪部と前記ボスと前記遠位頂部捕捉部分とによって画定される空間から解放するステップを含む、方法。
[6]前記頂部捕捉装置が、前記遠位頂部捕捉部分が固定される細長部材であって、前記近位頂部捕捉部分及び前記複数のボスを貫通して延在する細長部材をさらに備える、[5]に記載の方法。
[7]前記頂部捕捉装置が、前記近位頂部捕捉部分が固定され、前記細長部材が貫通して延在し、且つ前記近位頂部捕捉部分を動かすためのルーメンをさらに備える、[6]に記載の方法。
[8]頂部捕捉装置アセンブリであって、
a)近位頂部捕捉部分であって、
i.前記近位捕捉部分の主軸と実質的に平行な少なくとも1つの径方向拘束体を画定するノーズと、
ii.前記ノーズから遠位に延在する複数の爪部であって、最近位の径方向拘束体に対して径方向に、且つ前記主軸と実質的に平行に前記主軸の周りに径方向に配設された爪部と、
を備える、近位頂部捕捉部分と、
b)前記主軸の周りに径方向に配設されたスロットを画定する遠位頂部捕捉部分であって、前記スロットが、前記近位頂部捕捉部分と前記遠位頂部捕捉部分とを前記主軸に沿って互いに動かすことにより前記爪部(time)と嵌合可能である、遠位頂部捕捉部分と、
c)前記ノーズと前記遠位頂部捕捉部分との間に前記主軸から径方向に延在し、且つ前記爪部が前記スロットと嵌合関係になる動きに干渉しない関係で前記主軸に沿って前記スロットと整列する複数のボスと、
d)前記遠位頂部捕捉部分が固定される細長部材であって、前記近位頂部捕捉部分及び前記複数のボスを貫通して延在する細長部材と、
e)前記近位頂部捕捉部分が固定され、前記細長部材が貫通して延在するルーメンであって、前記ルーメンを動かすことにより、前記爪部が前記スロットと嵌合して前記ボス上に載置される第1の位置と、前記爪部が前記スロットと嵌合せず前記ボス上に載置されない第2の位置との間で前記近位頂部部分が前記主軸に沿って動く、ルーメンと、
f)頂部によって連係されたストラットを備えるベアステントであって、前記爪部が前記スロットと嵌合されると、前記ストラットが前記爪部の間に延在し、前記頂部の一部分が前記ボスと前記遠位頂部捕捉部分との間に延在する、ベアステントと、
g)前記ステントから前記径方向拘束体の中に延在する少なくとも1つの腎臓上バーブと、
を含む、頂部捕捉装置アセンブリ。
[9]前記ステントが、一対の前記ストラット間に少なくとも1つのブリッジをさらに備えることで、爪部がスロットと嵌合したときにボスが貫通して延在するアイレットを画定し、前記バーブが前記ブリッジから延在する、[8]に記載の頂部捕捉装置アセンブリ。
[10]前記腎臓上バーブが、前記アイレットが取り付けられる前記ストラットが前記主軸に向かって拡がるのに十分なだけ前記アイレットの主平面と角度をなしている、[9]に記載の頂部捕捉装置アセンブリ。
[11]前記ステントの遠位頂部から延在する腎臓下バーブをさらに備える、[10]に記載の頂部捕捉装置。
[12]前記ベアステントの遠位部分に固定されたルーメン状グラフト構成要素と、前記ベアステントの遠位に隣接する腎臓下ステントであって、近位頂部及び遠位頂部によって連結されるストラットを備える腎臓下ステントとをさらに備え、前記遠位頂部が前記ベアステントの遠位頂部と実質的に整列する、[11]に記載の頂部捕捉装置アセンブリ。
[13]前記腎臓下ステントが前記ルーメン状グラフト構成要素内に固定される、[12]に記載の頂部捕捉装置アセンブリ。
[14]前記バーブを前記径方向拘束体内に保持する結果として前記ベアステントストラットが拡張することにより、前記ベアステントの前記腎臓下バーブが前記腎臓下ステントのストラットの間に嵌入する、[13]に記載の頂部捕捉装置アセンブリ。
[15]a)ルーメン状グラフト構成要素と、
b)ストラットを接続する近位頂部と遠位頂部とによってつなぎ合わされた複数の前記ストラットを備えるベアステント構成要素であって、前記ルーメン状グラフト構成要素の近位端に固定され、且つ前記近位端から近位に延在するベアステント構成要素と、
c)前記ベアステント構成要素に近接した腎臓下ステント構成要素であって、前記ベアステント構成要素の遠位にあり、且つ前記ルーメン状グラフト構成要素に固定された前記ベアステント構成要素の頂部によって画定される円周ラインに拡がる腎臓下ステント構成要素と、
d)前記ベアステント構成要素の少なくとも1つの腎臓上部分から遠位に延在する少なくとも1つの腎臓上バーブと、
e)前記ベアステントの少なくとも1つの腎臓下部分から遠位に延在する少なくとも1つの腎臓下バーブと、
を含む、ステントグラフトシステム。
[16]前記ベアステントの前記腎臓上の位置が、2本のストラットをつなぎ合わせるアイレットを画定するストラット間のブリッジを含み、前記腎臓上バーブが前記ブリッジから延在する、[15]に記載のステントグラフトシステム。
[17]前記腎臓下バーブが、2本のストラットをつなぎ合わせる頂部から延在する、[16]に記載のステントグラフトシステム。
[18]前記腎臓上バーブと前記腎臓下バーブとの最近位部分の間の距離が、約6mm〜約40mmの範囲である、[17]に記載のステントグラフトシステム。
[19]前記ステントのうちの少なくとも一方が超弾性金属を含む、[15]に記載のステントグラフトシステム。
[20]前記ベアステントの前記遠位頂部が前記ルーメン状グラフト構成要素内に固定され、前記腎臓下バーブが前記ベアステントから前記ルーメンの中を通って延在する、[19]に記載のステントグラフトシステム。
[21]前記腎臓下ステントが前記ルーメン状グラフト構成要素内に固定される、[20]に記載のステントグラフトシステム。
[22]ステントグラフトデリバリーシステムであって、
a)ハンドルであって、
i.遠位グリップと、
ii.前記遠位グリップの一方の端部から延在するハンドル本体と、
を備え、前記遠位グリップ及び前記ハンドル本体の長さの一部分に沿って導管及びトラックを画定するハンドルと、
b)前記トラック内にある内部送りねじアセンブリであって、前記導管の主軸に沿って移動自在であり、且つ前記トラックを通って延在するねじ切り部分を備える内部送りねじアセンブリと、
c)前記ハンドル本体の周囲に延在し、且つ前記内部送りねじアセンブリの前記ねじ切り部分と螺着自在に係合される送りねじ用ナットであって、前記送りねじ用ナットを前記遠位グリップに当接させながら回転させると、前記内部送りねじアセンブリが前記ハンドルに対して動き、同時に前記送りねじ用ナットは、前記内部送りねじアセンブリと係合している間に前記ハンドル本体に沿って摺動自在であり、それにより前記内部送りねじを前記ハンドルに対して動かすための少なくとも2つの機構が提供される、送りねじ用ナットと、
を含む、ステントグラフトデリバリーシステム。
[23]前記ハンドル本体に固定された支持部材と、前記支持部材の一部分の周囲に延在し、且つ前記内部送りねじアセンブリに固定されたシースであって、それによって前記ハンドル本体と前記送りねじアセンブリとが互いに動くことにより、前記支持部材と前記シースとが互いに動く、[22]に記載のステントグラフトデリバリーシステム。
[24]前記内部送りねじアセンブリが前記ハンドルと本質的に同軸の開口を画定し、前記支持部材が前記内部送りねじアセンブリを貫通して延在する、[23]に記載のステントグラフトデリバリーシステム。
[25]前記支持部材がハイポチューブと前記ハイポチューブ内の支持チューブとを備え、前記ハイポチューブが前記ハンドル本体に固定される、[24]に記載のステントグラフトデリバリーシステム。
[26]a)前記支持部材が貫通して延在する中心オリフィスと、前記中心オリフィスに対して実質的に垂直に延在するフラッシュバルブオリフィスとを画定するスライダ本体であって、前記内部送りねじアセンブリに着脱自在に固定可能なスライダ本体と、
b)前記スライダ本体の遠位端に連結されたスライダキャップであって、前記スライダ本体の前記中心オリフィスと実質的に整列し、且つ前記支持部材が貫通して延在する中心オリフィスを画定するスライダキャップと、
c)前記スライダ本体の近位端に連結されたシースバルブノブと、
d)前記スライダ本体の遠位端から延在するシースであって、前記スライダ本体の前記中心開口と実質的に整列し、且つ前記支持部材が貫通して延在するルーメンを画定するシースと、
e)前記スライダ本体の前記中心開口において前記フラッシュバルブオリフィスより近位にあるワイパーバルブであって、前記支持部材の周囲に封止部を形成するワイパーバルブと、
f)前記スライダ本体の前記中心開口において前記ワイパーバルブより近位にあるxバルブであって、前記スライダ本体から前記支持部材を引き抜くときにガイドワイヤの周囲に封止部を形成するxバルブと、
g)前記スライダ本体の前記中心開口において前記xバルブより近位にあるシースバルブであって、前記シースバルブノブの駆動により前記中心開口を封止するように機能するシースバルブと、
を含むスライダをさらに備える、[22]に記載のステントグラフトデリバリーシステム。
[27]前記xバルブにガスケットをさらに備える、[26]に記載のステントグラフトデリバリーシステムであって、前記xバルブがニチノール製ガスケットを含む、ステントグラフトデリバリーシステム。
[28]ステントグラフトデリバリーシステム用のスライダであって、
a)支持部材が貫通して延在する中心オリフィスと、前記中心オリフィスに対して実質的に垂直に延在するフラッシュバルブオリフィスとを画定するスライダ本体であって、内部送りねじアセンブリに着脱自在に固定可能なスライダ本体と、
b)前記スライダ本体の近位端に連結されたスライダキャップであって、前記スライダ本体の前記中心オリフィスと実質的に整列し、且つ前記支持部材が貫通して延在する中心オリフィスを画定するスライダキャップと、
c)前記スライダキャップの遠位端から延在するシースであって、前記スライダ本体の前記中心開口と実質的に整列し、且つ前記支持部材が貫通して延在するルーメンを画定するシースと、
d)前記中心オリフィスにおいて前記シースの血流遮断を提供するバルブと、
を含む、スライダ。
[29]前記スライダを前記内部送りねじアセンブリに着脱自在に固定可能とするための送りねじをさらに備える、[28]に記載のスライダ。
[30]ステントグラフトシステムであって、
a)第1のステントグラフトであって、
i.第1のルーメン状グラフト構成要素と、
ii.前記第1のルーメン状グラフト構成要素の外表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数の外側ステントと、
iii.一方が前記第1のルーメン状グラフト構成要素の遠位端にある2つの外側ステントの間にある内側ステントであって、前記第1のルーメン状グラフト構成要素の内表面に固定され、且つ前記第1のルーメン状グラフト構成要素内にほぼ近位に向いた複数のバーブを有する内側ステントと、
を備える、第1のステントグラフトと、
b)第2のステントグラフトであって、
i.第2のルーメン状グラフト構成要素と、
ii.前記第1のルーメン状グラフト構成要素の外表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数の外側ステントと、
を備え、前記第2のステントグラフトを前記第1のルーメン状グラフト構成要素の前記遠位端に挿入し、前記第1のステントグラフト及び前記第2のステントグラフトの各々の少なくとも2つのステントを重ね合わせると、前記バーブの少なくとも一部分の間に前記第2のステントグラフトの前記第2のルーメン状グラフト構成要素のステントに干渉する関係が生じる、第2のステントグラトと、
を含む、ステントグラフトシステム。
[31]前記第1のルーメン状グラフトが二分岐であり、前記内側ステントが、前記第1のルーメン状グラフトの2本の脚部のうちの一方に位置する、[30]に記載のステントグラフトシステム。
[32]前記二分岐の第1のルーメン状グラフトの第2の脚部の外表面に沿って延在し、且つそこに固定される複数の外側ステントと、2つの外側ステントの間にある第2の内側ステントとをさらに備え、2つの外側ステントのうちの一方が前記第2の脚部の遠位端の間にあり、前記第2の内側ステントが、前記第2の脚部の内表面に固定され、且つ前記第2の脚部内にほぼ近位に向いた複数のバーブを有する、[31]に記載のステントグラフトシステム。
[33]a)第3のルーメン状グラフト構成要素と、
b)前記第3のルーメン状グラフト構成要素の外表面に沿って延在し、且つそこに固定される複数の外側ステントと、
を備える第3のステントグラフトであって、前記第3のステントグラフトを前記第2の脚部の前記遠位端に挿入し、前記第1のステントグラフト及び前記第2のステントグラフトの各々の少なくとも2つのステントを重ね合わせると、前記バーブの少なくとも一部分の間に前記第3のステントグラフトの前記第3のルーメン状グラフト構成要素のステントに干渉する関係が生じる、第3のステントグラフトをさらに備える、[32]に記載のステントグラフトシステム。
[34]前記第2の脚部が前記第1の脚部より短く、前記第2の脚部は、前記第2の脚部及び前記第3のステントグラフトの各々の少なくとも2つのステントが重なり合うのに必要な数より少なくとも1つ多いステントを備える、[33]に記載のステントグラフトシステム。
[35]前記ステントの少なくとも一部分が、端部でつなぎ合わされて頂部を形成するストラットを備える、[34]に記載のステントグラフトシステム。
[36]前記ステントが、少なくとも一部において超弾性金属で形成される、[35]に記載のテレスコープ型ステントグラフトシステム。
[37]a)ルーメン状グラフト構成要素と、
b)前記ルーメン状グラフト構成要素の近位端から延在するベアステントと、
c)前記ベアステントの近位端から遠位に延在する少なくとも1つの近位バーブと、
d)前記ベアステントの遠位端から遠位に延在する少なくとも1つの遠位バーブであって、前記ルーメン状グラフト構成要素の主軸に沿った前記近位バーブと前記遠位バーブとの間の距離が、約6mm〜約40mmの範囲である、遠位バーブと、
を含む、ステントグラフトシステム。
[38]前記ルーメン状グラフト構成要素が二分岐である、[37]に記載のステントグラフトシステム。
[39]前記バーブの少なくとも一部分が、前記ベアステントから約20度〜約60度の範囲の角度をなして延在する、[38]に記載のステントグラフトシステム。
[40]前記ベアステントが、少なくとも一部において超弾性金属で形成される、[39]に記載のステントグラフトシステム。
[41]a)バレルと、
b)前記バレルから前記バレルの主軸に沿って延在するスプールと、
c)前記スプールの端部にあるリムであって、前記スプールの直径より大きいが、前記バレルの直径より小さい直径を有するリムと、
を含む、脚部クラスプ。
[42]少なくとも一部において、ステンレス鋼、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン及びアクリロニトリルからなる群から選択される少なくとも1つの構成成分で形成される、[41]に記載の脚部クラスプ。
[43]前記リムが径方向に延在するスポークを備える、[42]に記載の脚部クラスプ。
[44]a)脚部クラスプであって、
i.バレルと、
ii.前記バレルから前記バレルの主軸に沿って延在するスプールと、
iii.前記スプールの端部にあるリムであって、前記スプールの直径より大きいが、前記バレルの直径より小さい直径を有するリムと、
を備える脚部クラスプと、
b)前記バレルに固定され、且つ前記バレルから前記スプールと反対方向に延在する支持チューブと、
c)前記バレル径より大きい内径を有し、且つ前記スプール及び前記リムを被覆する第1の位置と、前記スプール及び前記リムを露出させる第2の位置との間を摺動自在に動くことが可能なシースと、
を含む、ステントグラフトデリバリーシステム。
[45]前記リムが径方向に延在するスポークを備える、[44]に記載のステントグラフトデリバリーシステム。
[46]ステントグラフトであって、前記シースが前記第1の位置にあるとき、前記ステントグラフトのステントが前記リムに干渉する関係で前記スプールの周囲に延在し、及び前記ステントが固定されるルーメン状グラフトが、前記リムと前記シースとの間に延在し、前記シースが前記第1の位置から前記第2の位置に動くと、前記脚部クラスプから前記ステントグラフトが解放される、ステントグラフトをさらに備える、[45]に記載のステントグラフトデリバリーシステム。
[47]a)ルーメン状グラフト構成要素と、
b)近位頂部と遠位頂部とによってつなぎ合わされた斜めストラットのベアステントであって、前記ルーメン状グラフト構成要素の近位端から延在するベアステントと、
c)前記ベアステントに隣接し、且つ前記ルーメン状グラフト内にある近位ステントであって、頂部によってつなぎ合わされた斜めストラットを備える近位ステントと、
d)前記ルーメン状グラフト構成要素に取り付けられている前記ベアステントから遠位に延在する少なくとも1つのバーブと、
を含む、ステントグラフトシステム。
[48]前記近位ステントが、前記ベアステント内に入れ子にされる、[47]に記載のステントグラフトシステム。
[49]前記ベアステントが前記ルーメン状グラフト構成要素内に固定され、前記バーブが遠位頂部から前記ルーメン状グラフト構成要素の中を通って延在する、[48]に記載のステントグラフトシステム。
[50]a)二分岐の第1のステントグラフトであって
i.二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素と、
ii.前記二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素の2本の脚部のうちの一方の表面に沿って延在し、且つそこに固定される複数のステントと、
を備える二分岐の第1のステントグラフトと、
b)第2のステントグラフトであって、
i.第2のルーメン状グラフト構成要素と、
ii.前記第1のルーメン状グラフト構成要素の表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数のステントと、
を備え、前記第2のステントグラフトを、前記二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素の2本の脚部構成要素のうちの第1の脚部の前記遠位端に挿入し、前記第1のステントグラフト及び前記第2のステントグラフトの各々の少なくとも2つのステントを重ね合わせることができる、第2のステントグラフトと、
c)前記二分岐の第1のルーメン状ステントグラフトの第2の脚部の表面に沿って延在し、且つそこに固定された複数のステントと、
を含む、テレスコープ型ステントグラフトシステムであって、
前記第1の脚部が前記第2の脚部より短く、前記第1の脚部が、前記第2のステントグラフトの少なくとも2つのステントが重なり合うのに必要な数より少なくとも1つ多いステントを備える、テレスコープ型ステントグラフトシステム。
[51]前記二分岐の第1のステントグラフトが、前記二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素の第1の脚部の2つの外側ステントの間にある内側ステントをさらに備え、前記外側ステントのうちの一方が前記二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素の遠位端にあり、前記内側ステントが、前記二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素の内表面に固定される、[50]に記載のテレスコープ型ステントグラフトシステム。
[52]前記二分岐の第1のステントグラフトが、前記第2の脚部の2つの外側ステントの間にある第2の内側ステントをさらに備え、前記外側ステントのうちの一方が前記第2の脚部の遠位端にあり、前記第2の内側ステントが前記第2の脚部の内表面に固定される、[51]に記載のテレスコープ型ステントグラフトシステム。
[53]i.第3のルーメン状グラフト構成要素と、
ii.前記第3のルーメン状グラフト構成要素の外表面に沿って延在し、且つそこに固定される複数の外側ステントと、
を備える第3のステントグラフトであって、
前記第3のステントグラフトを挿入すると、前記二分岐の第1のルーメン状グラフト構成要素の前記第2の脚部の前記遠位端に挿入されて前記第2の脚部の少なくとも2つのステントに重なり合う、第3のステントグラフトをさらに備える、[52]に記載のテレスコープ型ステントグラフトシステム。
[54]前記二分岐の第1のステントグラフトの前記第1の脚部及び前記第2の脚部の前記内側ステントの少なくとも1つが、前記第1のルーメン状グラフト構成要素内にほぼ近位に向いた複数のバーブを備え、前記第2のステントグラフト又は前記第3のステントグラフトを前記二分岐の第1のステントグラフトのそれぞれの脚部の前記遠位端に挿入すると、前記バーブの少なくとも一部分の間に前記第2のステントグラフト又は前記第3のステントグラフトのルーメン状グラフト構成要素のステントに干渉する関係が生じる、[54]に記載のテレスコープ型ステントグラフトシステム。
[55]腹部大動脈瘤の治療方法であって、
a)シース及びデリバリーシステムの遠位先端を、患者の動脈を通じて前記患者の腹部大動脈瘤に送り込むステップであって、前記シースが二分岐ステントグラフトを格納している、ステップと、
b)前記シースと螺着自在に連結されている前記デリバリーシステムの送りねじ用ナットを回転させ、それにより前記二分岐ステントグラフトから前記シースを少なくとも部分的に引き込むステップと、
c)前記送りねじ用ナットを前記シースと螺着自在に連結しておきながら、前記送りねじ用ナットを前記デリバリー装置のハンドル本体に沿って摺動させ、それにより前記シースをさらに引き込むステップであって、前記二分岐ステントグラフトが前記腹部大動脈瘤内で少なくとも部分的に展開され、それにより前記腹部大動脈瘤が治療される、ステップと、
を含む、方法。
[56]前記デリバリー装置の遠位端にあるクラスプを開き、前記二分岐ステントグラフトの近位端にあるベアステントを解放するステップをさらに含む、[55]に記載の方法。
[57]前記クラスプが開いて前記ベアステントが解放されたときに、前記二分岐ステントグラフトの第1の脚部の一部分を前記シース内に保持するステップをさらに含む、[56]に記載の方法。
[58]ステントを前記第1の脚部の遠位端で前記シースと脚部クラスプとの間に固定することにより、前記二分岐ステントの前記第1の脚部が保持される、[57]に記載の方法。
[59]前記第1の脚部が、前記二分岐ステントの2本の脚部のうちの長いほうである、[58]に記載の方法。
[60]前記シースが前記ベアステントを露出させるのに十分なだけ引き込まれたとき、前記クラスプが、前記ベアステントのストラットを前記デリバリーシステムの主軸に向かって拡げる、[59]に記載の方法。
[61]前記第1の脚部が少なくとも部分的に前記シース内にある間に前記二分岐ステントの第2の脚部に拡張ステントグラフトによるカニュレーションを行うステップをさらに含む、[60]に記載の方法。
[62]保持されている前記脚部が、カニュレーションが行われる脚部より長い、[61]に記載の方法。
[63]前記カニュレーションが行われる脚部が、前記拡張ステントグラフトとテレスコピックな関係にある、[62]に記載の方法。
[64]前記カニュレーションが行われる脚部が、前記カニュレーションが行われる脚部及び前記拡張ステントグラフトの各々の少なくとも2つのステントによって前記拡張ステントグラフトに重なる、[63]に記載の方法。
[65]前記カニュレーションが行われる脚部が、前記カニュレーションが行われる脚部及び前記拡張ステントグラフトの各々の2つのステントによって前記拡張部の脚部に重なるのに必要な数より少なくとも1つ多いステントを備える、[64]に記載の方法。
[66]前記カニュレーションが行われる脚部の前記遠位端から2番目のステントが、前記二分岐ステントグラフトの前記グラフト内にある、[65]に記載の方法。
[67]前記二分岐グラフトの前記遠位端から2番目のステントが、前記ステントから内側近位に延在するバーブを備える、[66]に記載の方法。
[68]前記脚部クラスプから前記二分岐ステントグラフトを解放するステップと、次に前記デリバリー装置の残りの部分からスライダ及び前記シースを切り離して、前記スライダ及びシースを実質的にその場に置いておきながら前記装置の残り部分を前記患者から引き抜くステップとをさらに含む、[67]に記載の方法。
[69]第2の拡張部をシースを通じて前記第1の脚部まで送り込み、前記第2の拡張部により前記第1の脚部のカニュレーションを行うステップをさらに含む、[68]に記載の方法。
[70]前記カニュレーションが行われる第2の脚部が、前記カニュレーションが行われる第1の脚部及び前記第2の拡張部の各々の少なくとも2つのステントによって前記拡張ステントグラフトに重なる、[69]に記載の方法。
[71]前記カニュレーションが行われる第1の脚部が、前記カニュレーションが行われる第1の脚部及び前記第2の拡張部の各々の2つのステントによって前記拡張部の脚部に重なるのに必要な数より少なくとも1つ多いステントを備える、[70]に記載の方法。
[72]前記カニュレーションが行われる第1の脚部の前記遠位端から2番目のステントが、前記二分岐ステントグラフトの前記グラフト内にある、[71]に記載の方法。
[73]前記二分岐グラフトの前記遠位端から2番目のステントが、前記ステントから内側近位に延在するバーブを備える、[72]に記載の方法。
[74]a)頂部捕捉装置アセンブリであって、
1)近位頂部捕捉部分であって、
ii.前記近位捕捉部分の主軸と実質的に平行な少なくとも1つの径方向拘束体を画定するノーズと、
iii.前記ノーズから遠位に延在する複数の爪部であって、最近位の径方向拘束体に対して径方向に、且つ前記主軸と実質的に平行に前記主軸の周りに径方向に配設された爪部と、
を備える近位頂部捕捉部分と、
2)前記主軸の周りに径方向に配設されたスロットを画定する遠位頂部捕捉部分であって、前記スロットが、前記近位頂部捕捉部分と前記遠位頂部捕捉部分とを前記主軸に沿って互いに動かすことにより前記爪部(time)と嵌合可能である、遠位頂部捕捉部分と、
3)前記ノーズと前記遠位頂部捕捉部分との間に前記主軸から径方向に延在し、且つ前記爪部が前記スロットと嵌合関係になる動きに干渉しない関係で前記主軸に沿って前記スロットと整列する複数のボスと、
4)前記遠位頂部捕捉部分が固定される細長部材であって、前記近位頂部捕捉部分及び前記複数のボスを貫通して延在する細長部材と、
5)前記近位頂部捕捉部分が固定され、前記細長部材が貫通して延在するルーメンであって、前記ルーメンを動かすことにより、前記爪部が前記スロットと嵌合して前記ボス上に載置される第1の位置と、前記爪部が前記スロットと嵌合せず前記ボス上に載置されない第2の位置との間で前記近位頂部部分が前記主軸に沿って動く、ルーメンと、
6)頂部によって連係されたストラットを備えるベアステントであって、前記爪部が前記スロットと嵌合されると、前記ストラットが前記爪部の間に延在し、前記頂部の一部分が前記ボスと前記遠位頂部捕捉部分との間に延在する、ベアステントと、
7)前記ステントから前記径方向拘束体の中に延在する少なくとも1つの腎臓上バーブと、
を備える、頂部捕捉装置アセンブリと、
b)前記細長部材及び前記ルーメンが貫通して延在する脚部クラスプであって、
1)バレルと、
2)前記バレルから前記バレルの主軸に沿って延在するスプールと、
3)前記スプールの端部にあるリムであって、前記スプールの直径より大きいが、前記バレルの直径より小さい直径を有するリムと、
を備える脚部クラスプと、
を含む、ステントグラフトデリバリー装置。
[75]a)xバルブと、
b)前記xバルブを支持するガスケットと、
を含む、xバルブアセンブリ。
[76]前記ガスケットが、外周支持体(peripherial support)と、前記外周支持体(peripherial support)から内側に延在する少なくとも1本のアームとを備える、[75]に記載のxバルブアセンブリ。
[77]前記ガスケットが、交差する主軸に沿った少なくとも2対のアームを備える、[76]に記載のxバルブアセンブリ。
[78]アームの各対が整列している、[77]に記載のxバルブアセンブリ。
[79]前記軸のうちの少なくとも2つが互いに垂直である、[78]に記載のxバルブアセンブリ。
[80]前記一対のアームが一平面内にある、[79]に記載のxバルブアセンブリ。
[81]前記ガスケットが超弾性金属を含む、[80]に記載のxバルブアセンブリ。
[82]前記超弾性金属がニチノールを含む、[81]に記載のxバルブアセンブリ。