特許第6301417号(P6301417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6301417無線通信システムにおいてチャネル状態情報をフィードバックする方法およびそのための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6301417
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】無線通信システムにおいてチャネル状態情報をフィードバックする方法およびそのための装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/10 20090101AFI20180319BHJP
   H04W 28/16 20090101ALI20180319BHJP
【FI】
   H04W24/10
   H04W28/16
【請求項の数】8
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2016-174339(P2016-174339)
(22)【出願日】2016年9月7日
(62)【分割の表示】特願2015-535577(P2015-535577)の分割
【原出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2016-201855(P2016-201855A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年10月12日
(31)【優先権主張番号】61/717,628
(32)【優先日】2012年10月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/723,297
(32)【優先日】2012年11月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンテ
(72)【発明者】
【氏名】パク チョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム キチュン
【審査官】 三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/002958(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/115421(WO,A2)
【文献】 Hitachi Ltd.,Discussion on reference CSI components for CoMP[online],3GPP TSG-RAN WG1#70b R1-124274,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_70b/Docs/R1-124274.zip>,2012年 9月29日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線アクセスシステムにおいて端末がチャネル状態情報参照信号(CSI−RS)を信する方法であって、基地局から、
ャネル状態情報CSIプロセスに関する設定を受信するステップと、
記CSIプロセスと関連している前記CSI−RS信するステップと、を有し、
ランクインジケータ(RI)基準CSIプロセスが設定される場合前記端末は、CSI−RSアンテナポート数が異なる記CSIプロセスに関する設定および前記RI基準CSIプロセスに関する設定を受信することを期待されない、方法。
【請求項2】
前記CSIプロセスのRIは、前記RI基準CSIプロセスのRIと同じになるよう設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CSIプロセスに関する設定および前記RI基準CSIプロセスに関する設定は、無線リソース制御(RRC)層シグナリングを介して受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記CSIは、RI、プリコーディング行列インジケータ(PMI)およびチャネル品質インジケータ(CQI)のうち少なくとも一つを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
無線アクセスシステムにおける端末であって、
無線周波数(RF)モジュールと、
プロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、基地局から、
ャネル状態情報CSIプロセスに関する設定を受信し、
記CSIプロセスと関連しているチャネル状態情報参照信号(CSI−RS)信するように構成され、
ランクインジケータ(RI)基準CSIプロセスが設定される場合前記端末は、CSI−RSアンテナポート数が異なる記CSIプロセスに関する設定および前記RI基準CSIプロセスに関する設定を受信することを期待されない、端末。
【請求項6】
前記CSIプロセスのRIは、前記RI基準CSIプロセスのRIと同じになるよう設定される、請求項5に記載の端末。
【請求項7】
前記CSIプロセスに関する設定および前記RI基準CSIプロセスに関する設定は、無線リソース制御(RRC)層シグナリングを介して受信される、請求項5に記載の端末。
【請求項8】
前記CSIは、RI、プリコーディング行列インジケータ(PMI)およびチャネル品質インジケータ(CQI)のうち少なくとも一つを有する、請求項5に記載の端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特に、無線通信システムにおいてチャネル状態情報をフィードバックする方法および無線通信システムにおいてチャネル状態情報をフィードバックする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明を適用できる無線通信システムの一例として、3GPP LTE(3rd Generation Partnership Project Long Term Evolution;以下、「LTE」という。)通信システムについて概略的に説明する。
【0003】
図1は、無線通信システムの一例としてE−UMTSネットワーク構造を概略的に示す図である。E−UMTS(Evolved Universal Mobile Telecommunications System)は、従来のUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)から進展したシステムであり、現在3GPPで基礎的な標準化作業が進行中である。一般に、E−UMTSをLTE(Long Term Evolution)システムと呼ぶこともできる。UMTSおよびE−UMTSの技術規格(technical specification)の詳細な内容については、それぞれ、「3rd Generation Partnership Project」および「Technical Specification Group Radio Access Network」のRelease 7およびRelease 8を参照することができる。
【0004】
図1を参照すると、E−UMTSは、端末(User Equipment;UE)、基地局(eNodeB;eNB)、およびネットワーク(E−UTRAN)の終端に位置して外部ネットワークに接続するアクセスゲートウェイ(Access Gateway;AG)を含んでいる。基地局は、ブロードキャストサービス、マルチキャストサービスおよび/またはユニキャストサービスのために複数のデータストリームを同時に送信することができる。
【0005】
一つの基地局には一つまたは複数のセルが存在する。セルは、1.25、2.5、5、10、15、20MHzなどの帯域幅のいずれか一つに設定され、複数の端末に下りまたは上り送信サービスを提供する。異なるセルは、互いに異なる帯域幅を提供するように設定されてもよい。基地局は、複数の端末に関するデータ送受信を制御する。下りリンク(DownLink;DL)データについて、基地局は下りリンクスケジューリング情報を送信し、該当の端末にデータが送信される時間/周波数領域、符号化、データサイズ、HARQ(Hybrid Automatic Repeat and reQuest)関連情報などを知らせる。また、上りリンク(UpLink;UL)データについて、基地局は上りリンクスケジューリング情報を該当の端末に送信し、該当の端末が使用可能な時間/周波数領域、符号化、データサイズ、HARQ関連情報などを知らせる。基地局間では、ユーザトラフィックまたは制御トラフィックの送信のためのインターフェースを用いることができる。コアネットワーク(Core Network;CN)は、AG、および端末のユーザ登録などのためのネットワークノードなどで構成可能である。AGは、複数のセルで構成されるTA(Tracking Area)単位で端末の移動性を管理する。
【0006】
無線通信技術は、WCDMA(登録商標)に基づいてLTEまで開発されてきたが、ユーザおよび事業者の要求および期待は増す一方である。その上、他の無線アクセス(wireless access)技術の開発が続いており、将来、競争力を持つためには新しい技術革新が要求される。ビット当たりのコストの削減、サービス可用性の増大、柔軟な周波数バンドの使用、単純構造および開放型インターフェース、端末の適切な電力消耗などが要求される。
【0007】
端末は、基地局の無線通信システムの効率的な運用を補助するために、現在のチャネルの状態情報を基地局に周期的および/または非周期的に報告する。このように報告されるチャネルの状態情報は様々な状況を考慮して計算された結果を含み得ることから、より効率的な報告方法が要求されている実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような議論に基づき、以下では、無線通信システムにおいてチャネル状態情報を報告する方法および無線通信システムにおいてチャネル状態情報を報告する装置を提案する。
【0009】
本発明で達成しようとする技術的課題は、上記の技術的課題に制限されず、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者には明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題点を解決するために、本発明の一実施例に係る無線アクセスシステム(wireless access system)において端末がチャネル状態情報(Channel State Information;CSI)を送信する方法は、基準CSI設定情報と、基準CSI設定情報と同じランクインジケータ(Rank Indicator;RI)を報告するように設定された従属CSI設定情報と、を受信するステップと、基準CSI設定情報と関連している第1チャネル状態情報参照信号(Channel State Information-Resource Signal;CSI−RS)設定情報と、従属CSI設定情報と関連している第2CSI−RS設定情報と、を受信するステップと、第1CSI−RS設定情報および第2CSI−RS設定情報の少なくとも一つに基づいて決定されたCSIを送信するステップと、を有し、第2CSI−RS設定情報によるCSI−RSアンテナポート数は、第1CSI−RS設定情報によるCSI−RSアンテナポート数と同一に設定される。
【0011】
第1CSI−RS設定情報および第2CSI−RS設定情報は、それぞれ、非−零(non-zero)送信電力のCSI−RSと関連している。
【0012】
第1CSI−RS設定情報および第2CSI−RS設定情報は、それぞれ、無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)シグナリングを用いて送信される。
【0013】
基準CSI設定情報および従属CSI設定情報は、それぞれ、RRC(Radio Resource Control)シグナリングを用いて送信される。
【0014】
チャネル状態情報は、RI、プリコーディング行列インジケータ(Precoding Matrix Indicator;PMI)およびチャネル品質インジケータ(Channel Quality Indicator;CQI)のうち少なくとも一つを有する。
【0015】
本発明の他の実施例に係る無線アクセスシステムにおいて端末がチャネル状態情報(CSI)を送信する方法は、基準CSI設定情報と、基準CSI設定情報と同じRIを報告するように設定された従属CSI設定情報と、を受信するステップと、基準CSI設定情報と関連している第1CSI−RS設定情報と、従属CSI設定情報と関連している第2CSI−RS設定情報と、を受信するステップと、第1CSI−RS設定情報および第2CSI−RS設定情報の少なくとも一つに基づいて決定されたCSIを送信するステップと、を有し、第2CSI−RS設定情報によるCSI−RSアンテナポート数は、第1CSI−RS設定情報によるCSI−RSアンテナポート数と同一に設定される。
【0016】
第1CSI−RS設定情報および第2CSI−RS設定情報はそれぞれ、非−零(non-zero)送信電力のCSI−RSと関連している。
【0017】
第1CSI−RS設定情報および第2CSI−RS設定情報はそれぞれ、RRC(Radio Resource Control)シグナリングを用いて送信される。
【0018】
基準CSI設定情報および従属CSI設定情報はそれぞれ、RRC(Radio Resource Control)シグナリングを用いて送信される。
【0019】
チャネル状態情報は、RI、PMI(Precoding Matrix Indicator)およびCQI(Channel Quality Indicator)のうち少なくとも一つを有する。
【0020】
本発明の他の実施例に係る無線アクセスシステムにおいてチャネル状態情報(CSI)を送信する端末は、無線周波数(Radio Frequency;RF)ユニット(module)と、プロセッサと、を有し、プロセッサは、基準CSI設定情報と、基準CSI設定情報と同じRIを報告するように設定された従属CSI設定情報と、を受信し、基準CSI設定情報と関連している第1CSI−RS設定情報と、従属CSI設定情報と関連している第2CSI−RS設定情報と、を受信し、第1CSI−RS設定情報および第2CSI−RS設定情報の少なくとも一つに基づいて決定されたCSIを送信するように構成され、第2CSI−RS設定情報によるCSI−RSアンテナポート数は、第1CSI−RS設定情報によるCSI−RSアンテナポート数と同一に設定される。
【0021】
本発明の他の実施例に係る無線アクセスシステムにおいてチャネル状態情報(CSI)を受信する基地局は、RF(Radio Frequency)ユニット(module)と、プロセッサと、を有し、プロセッサは、基準CSI設定情報と、基準CSI設定情報と同じRIを報告するように設定された従属CSI設定情報と、を受信し、基準CSI設定情報と関連している第1CSI−RS設定情報と、従属CSI設定情報と関連している第2CSI−RS設定情報と、を受信し、第1CSI−RS設定情報および第2CSI−RS設定情報の少なくとも一つに基づいて決定されたCSIを送信するように構成され、第2CSI−RS設定情報によるCSI−RSアンテナポート数は、第1CSI−RS設定情報によるCSI−RSアンテナポート数と同一に設定される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例によれば、無線通信システムにおいてチャネル状態情報をより効果的に報告することができる。
【0023】
本発明で得られる効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及していない別の効果は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者には明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】無線通信システムの一例として、E−UMTSのネットワーク構造を概略的に例示する図である。
図2】3GPP無線アクセスネットワークの規格に基づく一つの端末とE−UTRANとの間の無線インターフェースプロトコル(Radio Interface Protocol)の制御プレーン(Control Plane)およびユーザプレーン(User Plane)の構造を例示する図である。
図3】3GPPシステムに用いられる物理チャネルと、それらを用いた一般的な信号送信方法と、を例示する図である。
図4】LTEシステムで用いられる無線フレームの構造を例示する図である。
図5】LTEシステムで用いられる下りリンク無線フレームの構造を例示する図である。
図6】LTEシステムで用いられる上りリンクサブフレームの構造を例示する図である。
図7】一般的なマルチアンテナ(MIMO)通信システムの構成を例示する図である。
図8】チャネル状態情報の周期的報告について例示する図である。
図9】チャネル状態情報の周期的報告について例示する図である。
図10】チャネル状態情報の周期的報告について例示する図である。
図11】チャネル状態情報の周期的報告について例示する図である。
図12】非−階層コードブックを使用する場合にチャネル状態情報を周期的に報告する処理を例示する図である。
図13】非−階層コードブックを使用する場合にチャネル状態情報を周期的に報告する処理を例示する図である。
図14】階層コードブックを使用する場合にチャネル状態情報を周期的に報告する処理を例示する図である。
図15】CoMPを行う一例を示す図である。
図16】下りリンクCoMP動作を行う場合を示す図である。
図17】従属(following)CSIプロセスのタイプ5レポートと基準(reference)CSIプロセスのタイプ5レポートとが衝突する場合を示す図である。
図18】従属CSIプロセスのタイプ5レポートと基準CSIプロセスのタイプ5レポートとが衝突する場合の他の実施例を示す図である。
図19図18の場合を拡張して3個のCSIプロセスが衝突する実施例を示す図である。
図20】本発明の一実施例に適用可能な基地局および端末を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に関する理解を助けるために詳細な説明の一部として含まれる添付の図面は、本発明に関する実施例を提供し、詳細な説明と共に本発明の技術的思想を説明する。
【0026】
以下に添付の図面を参照して説明された本発明の実施例から、本発明の構成、作用および他の特徴が容易に理解されるであろう。以下に説明される実施例は、本発明の技術的特徴が3GPPシステムに適用された例である。
【0027】
本明細書ではLTEシステムおよびLTE-Aシステムを用いて本発明の実施例を説明するが、これは例示に過ぎず、本発明の実施例は、上述した定義に該当するいかなる通信システムにも適用可能である。また、本明細書は、FDD方式に基づいて本発明の実施例について説明するが、これは例示に過ぎず、本発明の実施例は、H-FDD方式またはTDD方式にも容易に変形して適用されうる。
【0028】
図2は、3GPP無線アクセスネットワーク(radio access network)の規格に基づく端末とE-UTRANとの間の無線インターフェースプロトコル(Radio Interface Protocol)の制御プレーンおよびユーザプレーンの構造を示す図である。制御プレーンとは、端末(UE)とネットワークとが呼を管理するために用いる制御メッセージが送信されるパス(path)のことを意味する。ユーザプレーンとは、アプリケーション層で生成されたデータ、例えば、音声データまたはインターネットパケットデータなどが送信されるパスのことを意味する。
【0029】
第1層である物理層は、物理チャネル(Physical Channel)を用いて上位層に情報送信サービス(Information Transfer Service)を提供する。物理層は、上位の媒体アクセス制御(Medium Access Control)層とはトランスポートチャネル(Transport Channel)を介して接続されている。該トランスポートチャネルを介して媒体アクセス制御層と物理層との間でデータが移動する。送信側の物理層と受信側の物理層との間では物理チャネルを介してデータが移動する。該物理チャネルは、時間および周波数を無線リソースとして活用する。具体的には、物理チャネルは、下りリンクにおいてOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式で変調され、上りリンクにおいてSC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式で変調される。
【0030】
第2層の媒体アクセス制御(Medium Access Control;MAC)層は、論理チャネル(Logical Channel)を介して、上位層である無線リンク制御(Radio Link Control;RLC)層にサービスを提供する。第2層のRLC層は、信頼できるデータ送信をサポートする。RLC層の機能は、MAC内部の機能ブロックで実施されてもよい。第2層のPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層は、帯域幅の狭い無線インターフェースにおいてIPv4やIPv6などのIPパケットを効率的に送信するために、余分な制御情報を減らすヘッダ圧縮(Header Compression)機能を果たす。
【0031】
第3層の最下部に位置する無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)層は、制御プレーンでのみ定義される。RRC層は、無線ベアラ(Radio Bearer)の設定(Configuration)、再設定(Re-configuration)および解除(Release)に関連して、論理チャネル、送信チャネルおよび物理チャネルの制御を担当する。無線ベアラ(RB)とは、端末とネットワークとの間のデータ伝達のために第2層により提供されるサービスを意味する。そのために、端末のRRC層とネットワークのRRC層とはRRCメッセージを互いに交換する。端末のRRC層とネットワークのRRC層との間にRRC接続がある(RRC Connected)場合に、端末はRRC接続状態(Connected Mode)にあり、そうでない場合は、RRCアイドル状態(Idle Mode)にある。RRC層の上位にあるNAS(Non-Access Stratum)層は、セッション管理(Session Management)および移動性管理(Mobility Management)などの機能を果たす。
【0032】
基地局(eNB)を構成する1つのセルは、1.25、2.5、5、10、15、20MHzなどの帯域幅のいずれか一つに設定され、複数の端末に下りまたは上り送信サービスを提供する。互いに異なるセルは互いに異なる帯域幅を提供するように設定することができる。
【0033】
ネットワークから端末にデータを送信する下り送信チャネルとしては、システム情報を送信するBCH(Broadcast CHannel)、ページングメッセージを送信するPCH(Paging CHannel)、ユーザトラフィックや制御メッセージを送信する下りSCH(Shared CHannel)などがある。下りマルチキャストまたはブロードキャストサービスのトラフィックまたは制御メッセージは、下りSCHを通じて送信されてもよく、別の下りMCH(Multicast CHannel)を通じて送信されてもよい。一方、端末からネットワークにデータを送信する上り送信チャネルとしては、初期制御メッセージを送信するRACH(Random Access CHannel)、ユーザトラフィックや制御メッセージを送信する上りSCH(Shared CHannel)がある。送信チャネルの上位に存在し、送信チャネルにマッピングされる論理チャネル(Logical Channel)としては、BCCH(Broadcast Control CHannel)、PCCH(Paging Control CHannel)、CCCH(Common Control CHannel)、MCCH(Multicast Control CHannel)、MTCH(Multicast Traffic CHannel)などがある。
【0034】
図3は、3GPPシステムで用いられる物理チャネルと、これらのチャネルを用いた一般的な信号送信方法と、を説明する図である。
【0035】
端末は、電源が入ったり、新しくセルに進入したりした場合に、基地局と同期を取る等の初期セル探索(Initial cell search)作業を行う(S301)。そのために、端末は、基地局からプライマリ同期チャネル(Primary Synchronization CHannel;P-SCH)およびセカンダリ同期チャネル(Secondary Synchronization CHannel;S-SCH)を受信して基地局と同期を取り、セルIDなどの情報を取得してもよい。その後、端末は、基地局から物理ブロードキャストチャネル(Physical Broadcast Channel)を受信し、セル内ブロードキャスト情報を取得できる。一方、端末は、初期セル探索段階で、下りリンク参照信号(DownLink Reference Signal;DL RS)を受信し、下りリンクチャネル状態を確認できる。
【0036】
初期セル探索を終えた端末は、物理下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control CHannel;PDCCH)と、該PDCCHに載せられた情報に基づいて物理下りリンク共有チャネル(Physical Downlink Control CHannel;PDSCH)と、を受信することによって、より具体的なシステム情報を取得できる(S302)。
【0037】
一方、基地局に最初に接続する場合または信号送信のための無線リソースがない場合には、端末は、基地局にランダムアクセス手順(Random Access Procedure;RACH)を行ってもよい(S303乃至S306)。そのためには、端末は、物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access CHannel;PRACH)を通じて特定のシーケンスをプリアンブルとして送信し(S303およびS305)、PDCCHおよび対応するPDSCHを通じて、プリアンブルに対する応答メッセージを受信してもよい(S304およびS306)。競合ベースのRACHについては、衝突解決手順(Contention Resolution Procedure)をさらに行ってもよい。
【0038】
上述の手順を行った端末は、以降、一般的な上りリンク/下りリンク信号送信手順として、PDCCH/PDSCH受信(S307)、および物理上りリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared CHannel;PUSCH)/物理上りリンク制御チャネル(Physical Uplink Control CHannel;PUCCH)送信(S308)を行ってもよい。特に、端末はPDCCHを通じて下りリンク制御情報(Downlink Control Information;DCI)を受信する。ここで、DCIは、端末に対するリソース割当情報などの制御情報を含んでおり、その使用目的によってフォーマットが異なっている。
【0039】
一方、端末が上りリンクを通じて基地局に送信するまたは端末が基地局から受信する制御情報としては、下りリンク/上りリンクACK/NACK信号、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Index)、RI(Rank Indicator)などを含む。3GPP LTEシステムでは、端末は、これらのCQI/PMI/RIなどの制御情報をPUSCHおよび/またはPUCCHを通じて送信してもよい。
【0040】
図4は、LTEシステムで用いられる無線フレームの構造を例示する図である。
【0041】
図4を参照すると、無線フレーム(radio frame)は10ms(327200×Ts)の長さを有し、10個の均等なサイズのサブフレーム(subframe)で構成されている。それぞれのサブフレームは1msの長さを有し、2個のスロット(slot)で構成されている。それぞれのスロットは0.5ms(15360×Ts)の長さを有する。ここで、Tsはサンプリング時間を表し、Ts=1/(15kHz×2048)=3.2552×10-8(約33ns)で表される。スロットは時間領域において複数のOFDMシンボルを含み、周波数領域において複数のリソースブロック(Resource Block;RB)を含む。LTEシステムにおいて、一つのリソースブロックは12個の副搬送波×7(6)個のOFDMシンボルを含む。データの送信される単位時間であるTTI(Transmission Time Interval)は、一つまたは複数のサブフレーム単位で定めることができる。上述した無線フレームの構造は例示に過ぎず、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレームに含まれるスロットの数、またはスロットに含まれるOFDMシンボルの数は様々に変更されてもよい。
【0042】
図5は、下りリンク無線フレームにおいて一つのサブフレームの制御領域に含まれる制御チャネルを例示する図である。
【0043】
図5を参照すると、サブフレームは14個のOFDMシンボルで構成されている。サブフレームの設定によって、先頭の1乃至3個のOFDMシンボルは制御領域として用いられ、残りの13〜11個のOFDMシンボルはデータ領域として用いられる。同図において、R1乃至R4は、アンテナ0乃至3に対する参照信号(Reference Signal(RS)またはPilot Signal)を表す。RSは、制御領域およびデータ領域を問わず、サブフレーム内において一定のパターンで固定される。制御チャネルは、制御領域においてRSの割り当てられていないリソースに割り当てられ、トラフィックチャネルもデータ領域においてRSの割り当てられていないリソースに割り当てられる。制御領域に割り当てられる制御チャネルには、PCFICH(Physical Control Format Indicator CHannel)、PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator CHannel)、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)などがある。
【0044】
PCFICHは物理制御フォーマットインジケータチャネルで、サブフレームごとにPDCCHで用いられるOFDMシンボルの個数を端末に知らせる。PCFICHは、最初のOFDMシンボルに位置し、PHICHおよびPDCCHより優先して設定される。PCFICHは4個のREG(Resource Element Group)で構成され、それぞれのREGはセルID(Cell IDentity)に基づいて制御領域内に分散される。一つのREGは4個のRE(Resource Element)で構成される。REは、1つの副搬送波×1つのOFDMシンボルで定義される最小物理リソースを表す。PCFICH値は帯域幅によって1〜3または2〜4の値を指示し、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)で変調される。
【0045】
PHICHは、物理HARQ(Hybrid-Automatic Repeat and reQuest)インジケータチャネルで、上りリンク送信に対するHARQ ACK/NACKを運ぶために用いられる。すなわち、PHICHは、UL HARQのためのDL ACK/NACK情報が送信されるチャネルを表す。PHICHは、1個のREGで構成され、セル固有(cell-specific)にスクランブル(scrambling)される。ACK/NACKは1ビットで指示され、BPSK(Binary phase shift keying)で変調される。変調されたACK/NACKは拡散係数(Spreading Factor;SF)=2または4で拡散される。同一のリソースにマップされる複数のPHICHは、PHICHグループを構成する。PHICHグループに多重化されるPHICHの個数は、拡散コードの個数によって決定される。PHICH(グループ)は、周波数領域および/または時間領域においてダイバーシチ利得を得るために3回反復(repetition)される。
【0046】
PDCCHは、物理下りリンク制御チャネルで、サブフレームにおける先頭のn個のOFDMシンボルに割り当てられる。ここで、nは1以上の整数で、PCFICHによって指示される。PDCCHは一つまたは複数のCCEで構成される。PDCCHは、送信チャネルであるPCH(Paging CHannel)およびDL−SCH(DownLink-Shared CHannel)のリソース割当に関する情報、上りリンクスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)、HARQ情報などを各端末または端末グループに知らせる。PCH(Paging CHannel)およびDL−SCH(DownLink-Shared CHannel)は、PDSCHを通じて送信される。したがって、基地局および端末は、一般に、特定の制御情報または特定のサービスデータ以外は、PDSCHを通じてデータをそれぞれ送信および受信する。
【0047】
PDSCHのデータがいずれの端末(一つまたは複数の端末)に送信されるものか、これらの端末がどのようにPDSCHデータを受信してデコードしなければならないかに関する情報などは、PDCCHに含まれて送信される。例えば、特定のPDCCHが「A」というRNTI(Radio Network Temporary Identity)でCRCマスクされており、「B」という無線リソース(例えば、周波数位置)および「C」というDCIフォーマット、すなわち、伝送形式情報(例えば、伝送ブロックサイズ、変調方式、コーディング情報など)を用いて送信されるデータに関する情報が、特定のサブフレームで送信されると仮定する。この場合、セル内の端末は、自体が持っているRNTI情報を用いてPDCCHをモニタリングし、「A」のRNTIを持っている一つまたは複数の端末があると、これらの端末はPDCCHを受信し、受信したPDCCHの情報に基づいて「B」および「C」によって指示されるPDSCHを受信する。
【0048】
図6は、LTEシステムで用いられる上りリンクサブフレームの構造を示す図である。
【0049】
図6を参照すると、上りリンクサブフレームは、制御情報を運ぶPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)が割り当てられる領域と、ユーザデータを運ぶPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)が割り当てられる領域と、に区別される。サブフレームにおいて中央(middle)の部分がPUSCHに割り当てられ、周波数領域においてデータ領域の両端(both ends)の部分がPUCCHに割り当てられる。PUCCH上で送信される制御情報は、HARQに用いられるACK/NACK、下りリンクチャネル状態を示すCQI(Channel Quality Indicator)、MIMOのためのRI(Rank Indicator)、上りリンクリソース割当要求であるSR(Scheduling Request)などがある。一つの端末に対するPUCCHは、サブフレーム内の各スロットで互いに異なる周波数を占める一つのリソースブロックを使用する。すなわち、PUCCHに割り当てられる2個のリソースブロックは、スロット境界で周波数ホッピング(frequency hopping)する。特に、図6は、m=0のPUCCH、m=1のPUCCH、m=2のPUCCH、m=3のPUCCHがサブフレームに割り当てられるとしている。
【0050】
マルチアンテナ(MIMO)システム
以下、MIMOシステムについて説明する。多入力多出力(Multiple-Input Multiple-Output;MIMO)は、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとを使用する方法で、この方法によりデータの送受信効率を向上させることができる。すなわち、無線通信システムの送信端あるいは受信端で複数のアンテナを使用することによって容量を増大させ、性能を向上させることができる。以下、本文献ではMIMOを「マルチアンテナ」と呼ぶこともできる。
【0051】
マルチアンテナ技術では、一つのメッセージ全体を受信するのに単一のアンテナ経路に依存せず、複数のアンテナで受信されたデータの断片(fragment)をまとめて収集することによってデータを完成する。マルチアンテナ技術を用いると、特定のサイズのセル領域内でデータ伝送速度を向上させたり、または特定のデータ伝送速度を保障しながらシステムカバレッジ(coverage)を増加させることができる。また、この技術は、移動通信端末および中継器(relay)などで幅広く使用可能である。マルチアンテナ技術によれば、単一のアンテナを使用した従来技術による移動通信における伝送量の限界を克服することが可能になる。
【0052】
一般的なマルチアンテナ(MIMO)通信システムの構成図が、図7に示されている。送信端では送信アンテナがNT個設けられており、受信端では受信アンテナがNR個設けられている。このように送信端および受信端の両方が複数のアンテナを使用する場合は、送信端または受信端のいずれか一方のみ複数のアンテナを使用する場合と比べて、理論的なチャネル伝送容量がより増加する。チャネル伝送容量の増加は、アンテナの数に比例する。これにより、伝送レートが向上し、周波数効率が向上する。1個のアンテナを使用する場合の最大伝送レートをRoとすれば、マルチアンテナを使用する場合の伝送レートは、理論的に、下記の数式(1)のように、最大伝送レートRoにレート増加率Riを掛けた分だけ増加可能となる。ここで、Riは、NTとNRのうちの小さい値を表す。
【0053】
【数1】
【0054】
例えば、4個の送信アンテナと4個の受信アンテナを用いるMIMO通信システムでは、単一アンテナシステムと比べて理論上、4倍の伝送レートを取得できる。このようなマルチアンテナシステムの理論的容量増加が90年代半ばに証明されて以来、これを実質的なデータ伝送率の向上へと導くための種々の技術が現在まで活発に研究されている。それらのいくつかの技術は既に第3世代移動通信と次世代無線LANなどの様々な無線通信の標準に反映されている。
【0055】
現在までのマルチアンテナ関連の研究動向をみると、様々なチャネル環境および多重接続(multiple access)環境におけるマルチアンテナ通信容量計算などと関連した情報理論の側面の研究、マルチアンテナシステムの無線チャネル測定およびモデル化の研究、並びに伝送信頼度の向上および伝送率の向上のための時空間信号処理技術の研究などを含み、様々な観点で活発に研究が進行している。
【0056】
マルチアンテナシステムにおける通信方法をより具体的な方法で説明するべく、それを数学的にモデル化すると、次のように示すことができる。図7に示すように、NT個の送信アンテナとNR個の受信アンテナとが存在するとする。まず、送信信号について説明すると、NT個の送信アンテナがある場合に、送信可能な最大情報はNT個であるから、送信情報を下記の数式(2)のようなベクトルで表現できる。
【0057】
【数2】
【0058】
【数3】
【0059】
【数4】
【0060】
【数5】
【0061】
【数6】
【0062】
【数7】
【0063】
【数8】
【0064】
一般に、チャネル行列のランクの物理的な意味は、与えられたチャネルで互いに異なる情報を送信できる最大数を意味する。したがって、チャネル行列のランク(rank)は、互いに独立した(independent)行(row)または列(column)の個数のうち、最小の個数として定義され、よって、行列のランクは、行(row)または列(column)の個数より大きくなることはない。数式で例を挙げると、チャネル行列Hのランク(rank(H))は、数式(6)のように制限される。
【0065】
【数9】
【0066】
また、マルチアンテナ技術を用いて送る互いに異なる情報のそれぞれを「送信ストリーム(Stream)」、または簡単に「ストリーム」と定義するものとする。このような「ストリーム」は、「レイヤ(Layer)」と呼ぶこともできる。そのため、送信ストリームの個数は、当然ながら、互いに異なる情報を送信できる最大数であるチャネルのランクより大きくなることがない。したがって、チャネル行列Hは、下記の数式(7)のように表すことができる。
【0067】
【数10】
【0068】
ここで、「# of streams」は、ストリームの数を表す。一方、ここで、1個のストリームは、1つまたは複数のアンテナから送信可能であることに留意されたい。
【0069】
1つまたは複数のストリームを複数のアンテナに対応させる様々な方法が存在する。この方法を、マルチアンテナ技術の種類によって次のように説明できる。1個のストリームが複数のアンテナから送信される場合は空間ダイバーシチ方式といい、複数のストリームが複数のアンテナから送信される場合は空間マルチプレクシング方式ということができる。勿論、これらの中間の方式である、空間ダイバーシチと空間マルチプレクシングとを混合(Hybrid)した形態も可能である。
【0070】
チャネル状態情報(CSI)のフィードバック
以下、チャネル状態情報(Channel State Information;CSI)報告に関して説明する。現在LTE標準では、チャネル状態情報を用いずに運用される開ループ(open-loop)MIMOとチャネル状態情報に基づいて運用される閉ループ(closed-loop)MIMOとの2種類の送信方式がある。特に、閉ループMIMOでは、MIMOアンテナの多重化利得(multiplexing gain)を得るために、基地局および端末は、それぞれチャネル状態情報に基づいてビームフォーミングを行うことができる。基地局は、チャネル状態情報を端末から得るために、端末にPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)またはPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)を割り当てて、下りリンク信号に関するチャネル状態情報(CSI)をフィードバックするように命令する。
【0071】
CSIは、RI(Rank Indicator)、PMI(Precoding Matrix Index)、CQI(Channel Quality Indication)の3種類の情報に大別される。まず、RIは、上述した通り、チャネルのランク情報を示し、端末が同一の周波数−時間リソースを用いて受信できるストリームの個数を意味する。また、RIは、チャネルの長期間フェージング(long term fading)によって決定されることから、PMI、CQIの値に比べてより長い周期で基地局にフィードバックされる。
【0072】
第二に、PMIは、チャネルの空間特性を反映した値であり、SINRなどのメトリック(metric)に基づいて、端末が好む基地局のプリコーディング行列インデックスを意味する。最後に、CQIは、チャネルの強度を示す値であり、通常、基地局がPMIを用いた時に得られる受信SINRを意味する。
【0073】
LTE−A標準などのより進歩した通信システムでは、MU−MIMO(multi-user MIMO)を用いた追加のマルチユーザダイバーシチ(multi-user diversity)を得ることが追加された。MU−MIMOでは、アンテナ領域(antenna domain)で多重化される端末間の干渉が存在するため、CSIの正確性は、CSIを報告した端末だけでなく、多重化される他の端末の干渉にも大きい影響を及ぼしうる。そのため、MU−MIMOではSU−MIMOに比べてより正確なCSI報告が要求される。
【0074】
したがって、LTE−A標準では、最終PMIを、長期間(long term)および/または広帯域(WideBand;WB)PMIであるW1と、短期間(short term)および/またはサブバンド(Sub-Band;SB)PMIであるW2と、の2種類に分けて設計することに決定した。
【0075】
上記W1およびW2情報から一つの最終PMIを構成する階層コードブック変換(hierarchical codebook transformation)方式の例示として、下記の式(8)のようにチャネルの長期間共分散行列(long-term covariance matrix)を用いることができる。
【0076】
【数11】
【0077】
【数12】
【0078】
従来のW1およびW2の具体的な構造は、次の式(9)の通りである。
【0079】
【数13】
【0080】
【数14】
【0081】
上記の式(9)において、コードワードの構造は、直交偏波アンテナ(cross polarized antenna)を使用し、アンテナ間の間隔が稠密な場合、例えば、通常、隣接するアンテナ間の距離が信号波長の半分以下である場合、発生するチャネルの相関関係(correlation)特性を反映して設計した構造である。直交偏波アンテナの場合、アンテナを水平アンテナグループ(horizontal antenna group)と垂直アンテナグループ(vertical antenna group)とに区別できるが、各アンテナグループは、ULA(uniform linear array)アンテナの特性を有し、両アンテナグループは共存(co-located)する。
【0082】
したがって、各グループのアンテナ間の相関関係は、同一の線形位相増加(linear phase increment)特性を有し、アンテナグループ間の相関関係は、位相回転された特性を有する。結局、コードブックはチャネルを量子化(quantization)した値であるから、チャネルの特性をそのまま反映してコードブックを設計することが必要である。説明の便宜のために、上述した構造で作ったランク1のコードワードを、下記の式(10)のように例示することができる。
【0083】
【数15】
【0084】
【数16】
【0085】
前述した通り、LTEシステムにおいて、チャネル状態情報(CSI)は、次のものに制限されるわけではないが、CQI、PMI、RIなどを含み、各端末の送信モードによって、CQI,PMI,RIが全て送信されることもあり、一部のみが送信されることもある。チャネル状態情報が周期的に送信される場合を周期的報告(periodic reporting)といい、チャネル状態情報が基地局の要求に応じて送信される場合を非周期的報告(aperiodic reporting)という。非周期的報告の場合、基地局から上りリンクスケジューリング情報に含まれている要求ビット(request bit)が端末に送信される。その後、端末は、自体の送信モードを考慮したチャネル状態情報を、上りリンクデータチャネル(PUSCH)で基地局に伝達する。周期的報告の場合、各端末ごとに上位層信号を用いて半−静的(semi-static)な方式によって周期と該周期におけるオフセットとなどがサブフレーム単位でシグナリングされる。各端末は、送信モードを考慮したチャネル状態情報を、定められた周期で上りリンク制御チャネル(PUCCH)を介して基地局に伝達する。チャネル状態情報を送信するサブフレームに上りリンクデータが同時に存在すると、チャネル状態情報は、データと共に上りリンクデータチャネル(PUSCH)を介して送信される。基地局は、各端末のチャネル状況およびセル内の端末分布状況などを考慮して、各端末に適した送信タイミング情報を端末に送信する。送信タイミング情報は、チャネル状態情報を送信するための周期、オフセットなどを含み、RRCメッセージを用いて各端末に送信することができる。
【0086】
図8乃至図11には、LTEにおけるチャネル状態情報の周期的報告を例示する。
【0087】
図8を参照すると、LTEシステムには4つのCQI報告モードがある。具体的には、CQI報告モードは、CQIフィードバックのタイプによって、WB(広帯域)CQIとSB(サブバンド)CQIとに分類され、PMIを送信するか否かによって、PMI無し(No PMI)と単一(single)PMIとに分類される。各端末は、CQIを周期的に報告するために、周期とオフセットとの組合せで構成された情報をRRCシグナリングを通じて受信する。
【0088】
図9には、端末が、{周期‘5’、オフセット‘1’}を示す情報がシグナリングされた場合にチャネル状態情報を送信する例を示す。図9を参照すると、周期‘5’、オフセット‘1’を示す情報を受信した場合に、端末は、0番目のサブフレームからサブフレームインデックスの増加方向に1サブフレームのオフセットをおいて5サブフレーム単位でチャネル状態情報を送信する。チャネル状態情報は基本的にPUCCHを介して送信されるが、同一時点にデータ送信のためのPUSCHが存在する場合、チャネル状態情報はPUSCHを介してデータと共に送信される。サブフレームインデックスは、システムフレーム番号(または、無線フレームインデックス)(nf)とスロットインデックス(ns、0〜19)との組合せで構成される。サブフレームは、2個のスロットで構成されるため、サブフレームインデックスは、10*nf+floor(ns/2)として定義できる。floor()は、切り捨ての関数(床関数)を表す。
【0089】
WB CQIのみを送信するタイプと、WB CQIおよびSB CQIの両方を送信するタイプとがある。WB CQIのみを送信するタイプは、CQI送信周期ごとに該当するサブフレームで帯域全体に対するCQI情報を送信する。一方、図8のように、PMIフィードバックタイプによってPMIも送信しなければならない場合には、PMI情報をCQI情報と共に送信する。WB CQIおよびSB CQIの両方を送信するタイプでは、WB CQIとSB CQIとは交互に送信される。
【0090】
図10には、システム帯域が16個のRBで構成されたシステムを例示する。この場合、システム帯域は、2個のBP(Bandwidth Part(帯域幅部))で構成され(BP0,BP1)、それぞれのBPは、2個のSB(subband)で構成され(SB0,SB1)、それぞれのSBは4個のRBで構成されると仮定する。この仮定は説明のための例示であり、システム帯域のサイズによって、BPの個数および各SBのサイズが変更されてもよい。また、RBの個数、BPの個数およびSBのサイズによって、それぞれのBPを構成するSBの個数が変更されてもよい。
【0091】
WB CQIおよびSB CQIの両方を送信するタイプの場合、最初のCQI送信サブフレームでWB CQIを送信し、次のCQI送信サブフレームでは、BP0に属したSB0およびSB1のうち、チャネル状態の良いSBに関するCQIと当該SBのインデックス(例、Subband Selection Indicator;SSI)とを送信する。その後、次のCQI送信サブフレームでは、BP1に属したSB0およびSB1のうち、チャネル状態の良いSBに対するCQIと当該SBのインデックスとを送信する。このように、WB CQIを送信した後、各BPに対するCQI情報を順次送信する。2つのWB CQI間において、各BPに対するCQI情報を順次1〜4回まで送信することができる。例えば、2つのWB CQI間に各BPに対するCQI情報が1回順次送信される場合、WB CQI⇒BP0 CQI⇒BP1 CQI⇒WB CQIの順に送信できる。また、2つのWB CQI間に各BPに関するCQI情報が4回順次送信される場合、WB CQI⇒BP0 CQI⇒BP1 CQI⇒BP0 CQI⇒BP1 CQI⇒BP0 CQI⇒BP1 CQI⇒BP0 CQI⇒BP1 CQI⇒WB CQIの順に送信できる。各BP CQIが何回順次送信されるかに関する情報は、上位層(例、RRC層)でシグナリングされる。
【0092】
図11(a)は、端末が、{周期‘5’、オフセット‘1’}を示す情報をシグナリングされた場合にWB CQIおよびSB CQIの両方を送信する例を示している。図11(a)を参照すると、CQIを、その種類に関わらず、シグナリングされた周期およびオフセットに該当するサブフレームでのみ送信することができる。図11(b)は、図11(a)においてRIがさらに送信される場合を示している。RIは、WB CQI送信周期の何倍の周期で送信されるかと、その送信周期におけるオフセットと、の組合せで上位層(例、RRC層)からシグナリングできる。RIのオフセットは、CQIのオフセットに対して相対的な値でシグナリングされる。例えば、CQIのオフセットが‘1’であり、RIのオフセットが‘0’であれば、RIはCQIと同じオフセットを有する。RIのオフセットは、0または負数の値で定義される。具体的には、図11(b)は、図11(a)と同じ環境において、RIの送信周期がWB CQI送信周期の1倍であり、RIのオフセットが‘−1’である場合を仮定する。RIの送信周期はWB CQI送信周期の1倍であるから、チャネル状態情報の送信周期は事実上RIの送信周期と同一である。RIのオフセットが‘−1’であるから、RIは、図11(a)におけるCQIのオフセット‘1’に対する‘−1’(すなわち、0番サブフレーム)に基づいて送信される。RIのオフセットが‘0’なら、WB CQIとRIとの送信サブフレームが重なり、この場合にはWB CQIをドロップ(drop)してRIを送信する。
【0093】
図12は、図8のMode(モード)1−1の場合におけるCSIフィードバックを例示している。
【0094】
図12を参照すると、CSIフィードバックは、2種類の報告内容(report content)であるReport 1およびReport 2の送信で構成される。具体的には、Report 1ではRIが、Report 2ではWB PMIおよびWB CQIが送信される。Report 2は、(10*nf+floor(ns/2)−Noffset,CQI)mod(Npd)=0を満たすサブフレームインデックスで送信される。Noffset,CQIは、図9で例示したPMI/CQI送信のためのオフセット値に該当し、図12は、Noffset,CQI=1である場合を例示している。Npdは、隣接するReport 2間のサブフレーム間隔を表し、図12は、Npd=2の場合を例示している。Report 1は、(10*nf+floor(ns/2)−Noffset,CQIoffset,RI)mod(MRI*Npd)=0を満たすサブフレームインデックスで送信される。MRIは上位層シグナリングによって定められる。また、Noffset,RIは、図11で例示したRI送信のための相対オフセット値に該当する。図12は、MRI=4、およびNoffset,RI=−1である場合を例示している。
【0095】
図13は、図8のMode2−1の場合におけるCSIフィードバックを例示している。
【0096】
図13を参照すると、CSIフィードバックは、3種類のレポートコンテンツであるReport 1,Report 2,Report 3の送信で構成される。具体的には、Report 1ではRIが、Report 2ではWB PMIおよびWB CQIが、Report 3ではSB(SubBand)CQIおよびL−ビットサブバンド選択インジケータ(Subband Selection Indicator;SSI)が送信される。Report 2またはReport 3は、(10*nf+floor(ns/2)−Noffset,CQI)mod(Npd)=0を満たすサブフレームインデックスで送信される。特に、Report 2は、(10*nf+floor(ns/2)−Noffset,CQI)mod(H*Npd)=0を満たすサブフレームインデックスで送信される。したがって、H*Npdの間隔でReport 2が送信され、隣接するReport 2間のサブフレームはReport 3の送信で埋められる。このとき、H値は、H=J*K+1であり、ここで、Jは、BP(Bandwidth Part)の個数である。Kは、異なるBPごとに1回ずつサブバンドを選択して送信する処理を全BPにわたって行う全周期(full cycle)を連続して何周期行うかを表す値であり、上位層シグナリングによって定められる。図13は、Npd=2,J=3およびK=1の場合を例示する。Report 1は、(10*nf+floor(ns/2)−Noffset,CQI−Noffset,RI)mod(MRI*(J*K+1)*Npd)=0を満たすサブフレームインデックスで送信される。図13は、MRI=2、およびNoffset,RI=−1である場合を例示している。
【0097】
図14は、LTE−Aシステムで議論中であるチャネル状態情報の周期的報告を例示している。基地局が8個の送信アンテナを有するとき、Mode2−1の場合、1−ビットインジケータであるプリコーディングタイプインジケータ(Precoder Type Indication;PTI)パラメータを設定し、PTI値によって、図示のように2つの形態に細分化した周期的報告モードを考慮している。同図で、W1およびW2は、上記の式(8)および式(9)を参照して説明した階層コードブックを表す。W1およびW2の両方が決定されてこそ、それらを組み合わせて完成した形態のプリコーディング行列Wが決定される。
【0098】
図14を参照すると、周期的報告の場合、Report 1,Report 2,Report 3に該当する異なる内容の報告が異なる反復周期で報告される。Report 1は、RIおよび1−ビットPTI値を報告する。Report 2は、WB(WideBand) W1(PTI=0のとき)、またはWB W2およびWB CQI(PTI=1のとき)を報告する。Report 3は、WB W2およびWB CQI(PTI=0のとき)、またはSB(SubBand)W2およびSB CQI(PTI=1のとき)を報告する。
【0099】
Report 2およびReport 3は、サブフレームインデックスが(10*nf+floor(ns/2)−Noffset,CQI)mod(NC)=0を満たすサブフレーム(便宜上、第1サブフレームセットという。)で送信される。Noffset,CQIは、図9で例示したPMI/CQI送信のためのオフセット値に該当する。また、Ncは、隣接するReport 2またはReport 3間のサブフレーム間隔を表す。図14は、Noffset,CQI=1およびNc=2の場合を例示しており、第1サブフレームセットは、奇数インデックスを有するサブフレームで構成される。nfは、システムフレーム番号(または、無線フレームインデックス)を表し、nsは、無線フレーム内のスロットインデックスを表す。floor()は、切り捨ての関数を表し、A mod Bは、AをBで割った余を表す。
【0100】
第1サブフレームセット内の一部のサブフレーム上にReport 2が位置し、残りのサブフレーム上にReport 3が位置する。具体的には、Report 2は、サブフレームインデックスが(10*nf+floor(ns/2)−Noffset,CQI)mod(H*Nc)=0を満たすサブフレーム上に位置する。したがって、H*Ncの間隔ごとにReport 2が送信され、隣接するReport 2間に位置する一つまたは複数の第1サブフレームは、Report 3の送信で埋められる。PTI=0のとき、H=Mであり、Mは、上位層シグナリングによって定められる。図14は、M=2の場合を例示している。PTI=1のとき、H=J*K+1であり、Kは上位層シグナリングによって定められ、Jは、BP(Bandwidth Part)の個数である。図14は、J=3およびK=1である場合を例示している。
【0101】
Report 1は、サブフレームインデックスが(10*nf+floor(ns/2)−Noffset,CQI−Noffset,RI)mod(MRI*(J*K+1)*Nc)=0を満たすサブフレームで送信され、MRIは、上位層シグナリングによって定められる。Nオフセット、RIは、RIのための相手オフセット値を表し、図14は、MRI=2、およびNoffset,RI=−1である場合を例示する。Noffset,RI=−1によって、Report 1とReport 2との送信時点が重なり合わなくなる。端末がRI,W1,W2値を計算するとき、これらは互いに関連して計算される。例えば、RI値に依存してW1およびW2が計算され、また、W1に依存してW2が計算される。Report 1に続いてReport 2およびReport 3が全て報告された時点で、基地局は、W1およびW2から最終Wがわかる。
【0102】
協調送信システム(CoMP)におけるチャネル状態情報(CSI)のフィードバック
以下では、CoMP(Cooperative MultiPoint Transmission/Reception)について説明する。
【0103】
LTE−A以降のシステムは、複数のセル間の協調を可能にし、システムの性能を向上させる方式の導入を試みている。このような方式を協調マルチポイント送信/受信(Cooperative Multipoint Transmission/Reception;CoMP)という。CoMPとは、特定の端末と、基地局、アクセス(Access)ポイントまたはセル(Cell)との通信をより円滑にするために、2つ以上の基地局、アクセスポイントまたはセルが互いに協調して端末と通信する方式のことを指す。本発明において、基地局、アクセス(Access)ポイントまたはセルはいずれも同じ意味で使われてもよい。
【0104】
一般に、周波数再利用係数(frequency reuse factor)が1であるマルチセル環境で、セル−間干渉(Inter-Cell Interference;ICI)によって、セル−境界に位置している端末の性能および平均セクタスループットが減少することがある。このようなICIを低減するために、従来のLTEシステムでは、端末固有の電力制御を用いた部分周波数再利用(fractional frequency reuse;FFR)などの単なる受動的な技法を用いて、干渉によって制限を受けた環境でセル−境界に位置している端末が適度のスループット性能を有するようにする方法が適用された。しかし、セル当たりの周波数リソースの使用を減らすより、ICIを低減したり、ICIを端末の所望する信号として再利用することが一層好ましいだろう。このような目的を達成するために、CoMP送信技法を適用することができる。
【0105】
図15には、CoMPを行う一例を示す。図15を参照すると、無線通信システムは、CoMPを行う複数の基地局(BS1、BS2およびBS3)と端末とを含む。CoMPを行う複数の基地局(BS1、BS2およびBS3)は、互いに協調して端末にデータを効率的に送信することができる。
【0106】
CoMP送信方式は、データ共有を用いた協調MIMO形態のジョイントプロセス(CoMP-Joint Processing;CoMP−JP)方式と、協調スケジューリング/ビームフォーミング(CoMP- Coordinated Scheduling/Beamforming、CoMP−CS/CB)方式と、に区別できる。
【0107】
下りリンクにおいて、ジョイントプロセス(CoMP−JP)方式では、端末は、CoMP送信方式を行う複数の基地局からデータを同時に受信することができ、各基地局から受信した信号を組み合わせて受信性能を向上させることができる(Joint Transmission;JT)。また、CoMP送信方式を行う基地局のいずれか一つが特定の時点で端末にデータを送信する方法も考慮することができる(Dynamic Point Selection;DPS)。協調スケジューリング/ビームフォーミング方式(CoMP−CS/CB)では、端末はビームフォーミングによってデータを瞬間的に一つの基地局、すなわち、サービング基地局から受信することができる。
【0108】
上りリンクでジョイントプロセス(CoMP−JP)方式が適用される場合、複数の基地局が端末からPUSCH信号を同時に受信することができる(Joint Reception;JR)。これとは違い、協調スケジューリング/ビームフォーミング方式(CoMP−CS/CB)の場合、1つの基地局のみがPUSCHを受信することができる。協調スケジューリング/ビームフォーミング方式を用いるようにする決定は、協調セル(または、基地局)で決定することができる。
【0109】
CoMP送信方式を用いる端末、すなわち、CoMP UEは、CoMP送信方式を行う複数の基地局に対してチャネル情報をフィードバック(feedback、以下、CSIフィードバック)することができる。ネットワークスケジューラ(Network Scheduler)は、CSIフィードバックに基づいて、CoMP−JP、CoMP−CS/CBおよびDPS方式の中から、送信率を高め得るような適切なCoMP送信方式を選択することができる。そのために、CoMP UEは、CoMP送信方式を行う複数の基地局内でCSIフィードバックを設定する(configure)方法として、PUCCHを用いた周期的なフィードバック送信方式に従うことができる。この場合、それぞれの基地局に対するフィードバック構成(feedback configuration)は互いに独立したものであってもよい。そのため、以下、本発明の一実施例に係る明細書では、このような独立したフィードバック構成をもってチャネル情報をフィードバックする動作のそれぞれを、CSIプロセス(CSI process)と呼ぶ。このようなCSIプロセスは、1つのサービングセルに1つまたはそれ以上存在可能である。
【0110】
図16には、下りリンクCoMP動作を行う場合を示す。
【0111】
図16において、UEは、eNB1とeNB2との間に位置しており、両方のeNB(すなわち、eNB1およびeNB2)は、上記の端末への干渉問題を解決するために、JT、DCS、CS/CBなどの適切なCoMP動作を行う。UEは、基地局のCoMP動作を助けるために、適切なCSIフィードバック(CSI feedback)を行う。CSIフィードバックによって送信される情報には、各eNBのPMI情報およびCQI情報が含まれており、さらに、JTのための両方のeNB間のチャネル情報(例えば、両方のeNBチャネル間の位相オフセット(phase offset)情報)が含まれてもよい。
【0112】
図16において、UEは、自体のサービングセル(serving cell)であるeNB1にCSIフィードバック(CSI feedback)信号を送信しているが、状況によって、eNB2にCSIフィードバック信号を送信してもよく、両方のeNBにCSIフィードバック信号を送信してもよい。また、図16では、CoMPに参加する基本単位をeNBとして説明しているが、本発明の内容は、単一のeNBによって制御される送信ポイント(transmission point)間のCoMPにも適用可能である。
【0113】
すなわち、ネットワークにおいてCoMPスケジューリングを行うには、UEはサービングeNB/TPの下りリンク(DL)CSI情報だけでなく、CoMPに参加する隣接eNB/TPのDL CSI情報も併せてフィードバックしなければならない。そのために、UEは、様々なデータ送信に関するeNB/TPの様々な干渉環境を反映する複数のCSIプロセスをフィードバックする。
【0114】
したがって、LTEシステムにおいてCoMP CSI計算時に干渉測定のためにIMR(Interference Measurement Resource)が用いられる。1つのUEには、複数のIMRが設定され(configure)、これらの複数のIMRのそれぞれは独立して設定され(configured)てもよい。すなわち、それぞれのIMRは、周期、オフセット(offset)およびリソース設定(resource configuration)が独立して設定され、基地局はRRCシグナリングなどの上位層シグナリング(RRCなど)を用いてUEにシグナリングすることができる。
【0115】
また、LTEシステムにおいてCoMP CSI計算時に所望される(desired)チャネル測定のためにCSI−RSが用いられる。1つのUEには複数のCSI−RSが設定され、このとき、CSI−RSはそれぞれ独立して設定される。すなわち、各CSI−RSは、周期、オフセット、リソース割当、電力制御(Power control;Pc)、アンテナポート(antenna port)数が独立して設定され、CSI−RSに関する情報は、上位層シグナリング(RRCなど)を用いて基地局からUEにシグナリングされる。
【0116】
UEに設定(configure)された複数のCSI−RSと複数のIMRのうち、信号測定のための一つのCSI−RSリソースと干渉測定のための一つのIMRとを関連付けて(associate)一つのCSIプロセスを定義することができる。UEは、異なるCSIプロセスから導出され、異なる周期およびサブフレームオフセット(subframe offset)を有するCSI情報を、ネットワーク(例えば、基地局)にフィードバックする。
【0117】
すなわち、それぞれのCSIプロセスは、独立したCSIフィードバック設定を有する。このようなCSI−RSリソースとIMRリソースとの関連付け(association)情報、およびCSIフィードバック設定などは、CSIプロセスごとにRRCなどの上位層シグナリングを用いて基地局がUEに知らせることができる。例えば、UEには表1のような3つのCSIプロセスが設定されると仮定する。
【0118】
【表1】
【0119】
表1で、CSI−RS0とCSI−RS1とは、それぞれ、UEのサービングeNBであるeNB1から受信するCSI−RSと、協調に参加する隣接eNBであるeNB2から受信するCSI−RSと、を表す。もし、表1のそれぞれのCSIプロセスに対して設定されたIMRについて表2のように設定されたと仮定すれば、
【0120】
【表2】
【0121】
IMR0で、eNB1はmuting(ミューティング)を、eNB2はデータ送信を行い、UEは、IMR0から、eNB1を除くeNBからの干渉を測定するように設定される。同様に、IMR1で、eNB2はmutingを、eNB1はデータ送信を行い、UEは、IMR1から、eNB2を除くeNBからの干渉を測定するように設定される。また、IMR2では、eNB1、eNB2の両方ともmutingを行い、UEは、IMR2から、eNB1およびeNB2を除くeNBからの干渉を測定するように設定される。
【0122】
したがって、表1および表2に示す通り、CSIプロセス0のCSI情報は、eNB1からデータを受信する場合、最適のRI,PMI,CQI情報を示す。CSIプロセス1のCSI情報は、eNB2からデータを受信する場合に、最適のRI,PMI,CQI情報を示す。CSIプロセス2のCSI情報は、eNB1からデータを受信し、eNB2から干渉を全く受けない場合に、最適のRI,PMI,CQI情報を示す。
【0123】
協調送信システム(CoMP)におけるチャネル状態情報(CSI)の衝突(Collision)
CoMPスケジューリングのために、端末は、サービングセル(cell)またはサービング送信ポイント(Transmission Point;TP)のチャネル情報だけでなく、CoMPに参加する隣接セルまたは送信ポイントのチャネル情報も基地局にフィードバックしなければならない。したがって、CoMPのために、端末は複数のセルまたは送信ポイントとの干渉環境を反映する複数のCSIプロセスによるCSIをフィードバックする。
【0124】
1つのCSIプロセスは、信号測定(measure)のための1つのCSI−RSリソースと干渉測定のための1つのIMRとの関連付け(association)として定義される。また、それぞれのCSIプロセスは、独立したCSIフィードバック設定(configuration)を有する。CSIフィードバック設定は。フィードバックモード、フィードバック周期およびオフセットなどを含む。
【0125】
一つの端末に設定されたCSIプロセスは、CoMPスケジューリングの効率のために互いに従属した値を共有することが好ましい。例えば、第1セルおよび第2セルがジョイントトランスミッション(JT)を行う場合、JTのスケジューリングを容易にするには、第1セルに対する第1CSIプロセスと第2セルに対する第2CSIプロセスとは、RIおよびサブバンドインデックスが同一でなければならない。
【0126】
したがって、端末に設定されたCSIプロセスの一部または全部のCSIプロセスは、共通の(common)CSI(例えば、RI)値を有するように制限されてもよい。説明の便宜のために、共通のCSI値を有するように制限されたCSIプロセスのうち、CSI値設定の基準となるCSIプロセスを基準(reference)CSIプロセスと呼び、基準CSIプロセスを除く残りのCSIプロセスを従属(following)CSIプロセスと呼ぶ。従属CSIプロセスは、別の計算を行わずに、基準CSIプロセスのCSI値と同じ値をそのままフィードバックできる。
【0127】
ここで、各CSIプロセスのCSIフィードバック設定が独立して設定されうることから、CSIプロセス間で衝突(collision)が発生することがある。例えば、一つのCSIプロセスのレポーティングタイプ(reporting type)と他のCSIプロセスのレポーティングタイプとが、同一の時点でフィードバックされるように設定され、CSIプロセス間で衝突が発生しうる。具体的には、一定の周期およびオフセットを有する複数のCSIプロセスによって周期的CSIフィードバックを行うとき、同一のサブフレーム上で複数のCSIをフィードバックしなければならない衝突が発生しうる。
【0128】
以下では、CSIプロセス間で衝突が発生する場合のうち、RIを含むレポーティングタイプ間で衝突が発生するとき、衝突を処理(handling)する方式を提案する。例えば、上記の方式は、LTEリリース−10で定義されたCSIレポーティングタイプのうち、タイプ3、タイプ5およびタイプ6間で衝突が発生する場合に適用可能である。LTEリリース−10で定義されたCSIレポーティングタイプは、次の通りである。
【0129】
タイプ1レポート(report)は、選択されたサブバンドで端末のためのCQIフィードバックをサポートする。タイプ1aレポートは、サブバンドCQIおよび第2PMIフィードバックをサポートする。タイプ2、タイプ2b、タイプ2cレポートは、広帯域CQIおよびPMIフィードバックをサポートする。タイプ2aレポートは、広帯域PMIフィードバックをサポートする。タイプ3レポートは、RIフィードバックをサポートする。タイプ4レポートは、広帯域CQIをサポートする。タイプ5レポートは、RIおよび広帯域PMIフィードバックをサポートする。タイプ6レポートは、RIおよびPTIフィードバックをサポートする。
【0130】
LTEリリース−10の定義によれば、CSIプロセス間で衝突が発生する場合、まず、レポーティングタイプによってドロップ(drop)優先順位が決定される。レポーティングタイプによるドロップ優先順位が同一である場合には、次に、低いCSIプロセスインデックスを有するCSIプロセスが、高い優先順位を有する。CSIレポーティングタイプ3,5および6は、互いに同一の優先順位を有し、レポーティングタイプによる優先順位が同一であるため、最も低いインデックスを有するCSIプロセスを除くCSIプロセスがドロップされる。
【0131】
以下では、従属CSIプロセスのタイプ6レポートが基準CSIプロセスのタイプ3、タイプ5またはタイプ6レポートと衝突する場合に衝突を処理する方式を提案する。
【0132】
本発明によれば、端末は、基準CSIプロセスのレポートを優先的にフィードバックし、従属CSIプロセスのタイプ6レポートはドロップする動作を行う。すなわち、基準CSIプロセスのインデックスが従属CSIプロセスのインデックスよりも低く設定されうる。このとき、従属CSIプロセスのタイプ6レポートは、RIと共にジョイントエンコーディング(joint encoding)されているPTIも併せてドロップするが、端末は、ドロップされたPTI値を次の方法で決定することができる。
【0133】
まず、端末は、従属CSIプロセスのPTI値を基準CSIプロセスのPTI値に(とするよう)決定できる。
【0134】
具体的には、従属CSIプロセスのタイプ6レポートと基準CSIプロセスのタイプ3、タイプ5またはタイプ6レポートとが衝突した場合、端末は、従属CSIプロセスのPTI値を現在フィードバックされる基準CSIプロセスのPTI値に決定する。すなわち、衝突した時点以降から、端末は、基準CSIプロセスのPTI値に基づいて従属CSIプロセスのCQIまたはPMIを算出して報告する。その後、端末が従属CSIプロセスのタイプ6レポートを衝突を伴わずにフィードバックすると、端末は、基準CSIプロセスのPTI値ではなく新しくフィードバックした従属CSIプロセスのPTI値に基づいてCQIまたはPMIを算出する。
【0135】
次に、端末は、従属CSIプロセスのPTI値をデフォルト(default)PTI値に決定することができる。
【0136】
具体的には、従属CSIプロセスのタイプ6レポートと基準CSIプロセスのタイプ3、タイプ5またはタイプ6レポートとが衝突した場合、端末は、従属CSIプロセスのPTI値をデフォルトPTI値に決定する。デフォルトPTI値は0または1であってもよい。基地局と端末は、あらかじめ決定されたデフォルトPTI値を共有することができる。その後、端末が従属CSIプロセスのタイプ6レポートを衝突を伴わずにフィードバックすると、端末は、デフォルトPTI値ではなく新しくフィードバックした従属CSIプロセスのPTI値に基づいてCQIまたはPMIを算出する。
【0137】
次に、端末は、従属CSIプロセスのPTI値を従属CSIプロセスによって最も最近に報告したPTI値に決定できる。
【0138】
具体的には、従属CSIプロセスのタイプ6レポートと基準CSIプロセスのタイプ3、タイプ5またはタイプ6レポートとが衝突した場合、端末は、従属CSIプロセスのPTI値を、従属CSIプロセスによって最も最近に報告したPTI値に決定する。その後、端末が従属CSIプロセスのタイプ6レポートを衝突を伴わずにフィードバックすると、端末は従属CSIプロセスによって最も最近に報告したPTI値ではなく、新しくフィードバックした従属CSIプロセスのPTI値に基づいてCQIまたはPMIを算出する。
【0139】
一方、従属CSIプロセスのタイプ6レポートと基準CSIプロセスのタイプ3、タイプ5、またはタイプ6レポートとが衝突する場合、端末は、従属CSIプロセスのPTI値を基準CSIプロセスと多重化(multiplexing)して報告することができる。
【0140】
以下では、従属CSIプロセスのタイプ5レポートと基準CSIプロセスのタイプ3、タイプ5、またはタイプ6レポートとが衝突する場合に衝突を処理する方式を提案する。すなわち、上述した方式において従属CSIプロセスのタイプ6レポートの代わりに従属CSIプロセスのタイプ5レポートが基準CSIプロセスのタイプ3、タイプ5、またはタイプ6レポートと衝突する場合を説明する。
【0141】
本発明によれば、端末は、基準CSIプロセスのレポートを優先的にフィードバックし、従属CSIプロセスのタイプ5レポートはドロップする動作を行う。すなわち、基準CSIプロセスのインデックスが従属CSIプロセスのインデックスよりも低く設定されうる。このとき、従属CSIプロセスのタイプ5レポートは、RIと共にジョイントエンコーディング(joint encoding)されている広帯域PMI(W1)も併せてドロップするが、端末はドロップされたW1値を、次の方法で決定できる。
【0142】
まず、端末は、従属CSIプロセスのW1値を基準CSIプロセスのW1値に決定することができる。
【0143】
具体的には、従属CSIプロセスのタイプ5レポートと基準CSIプロセスのタイプ5レポートとが衝突した場合、端末は、従属CSIプロセスのW1値を、現在フィードバックされる基準CSIプロセスのW1値に決定する。すなわち、衝突した時点以降から、端末は、基準CSIプロセスのW1値に基づいて従属CSIプロセスのCQIまたはPMIを算出して報告する。その後、端末が従属CSIプロセスのタイプ5レポートを衝突を伴わずにフィードバックすると、端末は、基準CSIプロセスのW1値ではなく新しくフィードバックした従属CSIプロセスのW1値に基づいてCQIまたはPMIを算出する。
【0144】
図17は、従属CSIプロセスのタイプ5レポートと基準CSIプロセスのタイプ5レポートとが衝突する場合、従属CSIプロセスのW1値を基準CSIプロセスのW1値に決定する例を示している。
【0145】
図17を参照すると、基準CSIプロセスであるCSIプロセス1のタイプ5レポートと従属CSIプロセスであるCSIプロセス2のタイプ5レポートとが衝突する場合、端末は、従属CSIプロセスであるCSIプロセス2のタイプ5レポートをドロップする。CSIプロセス2のタイプ5レポートをドロップした後、端末は、基準CSIプロセスであるCSIプロセス1のW1値に基づいて従属CSIプロセスであるCSIプロセス2のCQIまたはPMIを算出して報告する。
【0146】
次に、端末は、従属CSIプロセスのW1値をデフォルト(default)W1値に決定できる。
【0147】
具体的には、従属CSIプロセスのタイプ5レポートと基準CSIプロセスのタイプ3、タイプ5またはタイプ6レポートとが衝突した場合、端末は、従属CSIプロセスのW1値をデフォルトW1値に決定する。デフォルトW1値は0または1であってもよい。基地局と端末は、あらかじめ決定されたデフォルトW1値を共有することができる。その後、端末が従属CSIプロセスのタイプ5レポートを衝突を伴わずにフィードバックすると、端末は、デフォルトW1値ではなく新しくフィードバックした従属CSIプロセスのW1値に基づいてCQIまたはPMIを算出する。
【0148】
次に、端末は、従属CSIプロセスのW1値を、従属CSIプロセスによって最も最近に報告したW1値に決定できる。
【0149】
具体的には、従属CSIプロセスのタイプ5レポートと基準CSIプロセスのタイプ3、タイプ5またはタイプ6レポートとが衝突した場合、端末は、従属CSIプロセスのW1値を、従属CSIプロセスによって最も最近に報告したW1値に決定する。その後、端末が従属CSIプロセスのタイプ5レポートを衝突を伴わずにフィードバックすると、端末は、従属CSIプロセスによって最も最近に報告したW1値ではなく新しくフィードバックした従属CSIプロセスのW1値に基づいてCQIまたはPMIを算出する。
【0150】
一方、端末は、従属CSIプロセスのタイプ5レポートと基準CSIプロセスのタイプ3、タイプ5またはタイプ6レポートとが衝突する場合、端末が従属CSIプロセスのW1値を基準CSIプロセスと多重化(multiplexing)して報告することができる。
【0151】
図18は、従属CSIプロセスのタイプ5レポートと基準CSIプロセスのタイプ5レポートとが衝突する場合の他の実施例を示している。
【0152】
従属CSIプロセスのタイプ5レポートと基準CSIプロセスのタイプ5レポートとが衝突する場合、端末は、基準CSIプロセスのレポートを優先せず、次のドロップ規則(rule)によって優先順位を決定することができる。CSIプロセスの衝突時に、端末は、レポーティングタイプ、CSIプロセスインデックスおよびCC(Component Carrier)インデックスの順に、高い優先順位を与えることができる。このとき、図18のような状況が発生しうる。
【0153】
図18を参照すると、従属CSIプロセスがCSIプロセスインデックス1を有し、基準CSIプロセスがCSIプロセスインデックス2を有し、両方のCSIプロセスが特定の時点で衝突する。上述したドロップ規則によれば、両方のCSIプロセスのレポーティングタイプが同一であるため、端末は、CSIプロセスインデックスによって優先順位を決定する。したがって、端末は、高いCSIプロセスインデックスを有する基準CSIプロセスのCSIをドロップする。この時、従属CSIプロセスのRIは、基準CSIプロセスによって最も最近に報告されたRI値を継承する。そして、併せてジョイントエンコーディングされる従属CSIプロセスのW1値は、継承せず、独立して決定することができる。図17では、従属CSIプロセスのW1もドロップされたため、基準CSIプロセスのW1を継承することが効率的であるが、図18では、従属CSIプロセスのW1はドロップされないため、独立して決定されてもよい。図18において、衝突後に、従属CSIプロセスのW2およびCQIは、最も最近に報告されたRIおよびW1に基づいて算出されるが、このとき、RIは、衝突時点以前の基準CSIプロセスのRI値であり、W1は、そのRI値に基づいて従属CSIプロセスから独立して決定された値である。
【0154】
図19は、図18の場合を拡張して3個のCSIプロセスが衝突する実施例を示している。
【0155】
図19を参照すると、従属CSIプロセスとしてCSIプロセス1および2が設定され、基準CSIプロセスとしてCSIプロセス3が設定され、特定の時点で3個のCSIプロセスが衝突する。上述したドロップ規則によれば、高いCSIプロセスインデックスを有するCSIプロセス2と基準CSIプロセスであるCSIプロセス3とがドロップされる。この場合、CSIプロセス1のRIは、基準CSIプロセスによって最も最近に報告されたRI値を継承する。そして、併せてジョイントエンコーディングされるW1は継承せず、独立して決定されうる。CSIプロセス2は、CSIプロセス1のRIおよびW1値を継承する。すなわち、基準CSIプロセスと2つ以上の従属CSIプロセスとが衝突した場合、一つの従属CSIプロセスの観点で、自体のレポートと基準プロセスのレポートとがいずれもドロップされた場合、残りの従属CSIプロセスの値を継承する。図19において、CSIプロセス2のRIは、CSIプロセス1のRI値を継承する。CSIプロセス2のW1はCSIプロセス1のW1値を継承し、CSIプロセス1のW1値は基準CSIプロセスとは独立して決定されるため、CSIプロセス2は、結果として、基準CSIプロセスのW1値ではなく残りの従属CSIプロセスの値を継承する。
【0156】
図19では、RIおよびPMIがジョイントエンコーディングされる場合を挙げたが、基準CSIプロセスと2つ以上の従属CSIプロセスとが衝突する場合、従属CSIプロセスが残りの従属CSIプロセスの値を継承することは、RIのみが報告されたり、RIおよびPTIがジョイントエンコーディングされる場合にも適用可能である。
【0157】
一方、図18または図19の実施例のように、基準CSIプロセスのインデックスが従属CSIプロセスインデックスよりも高い場合、基準CSIプロセスがドロップされ、継承される基準CSIプロセスのRI値が過去の値になるという問題点が発生する。すなわち、過去のチャネル情報を報告することになり、チャネル状態情報フィードバックの正確度が低下するという問題点が発生する。そのため、基準CSIプロセスと従属CSIプロセスとが衝突するとき、基準CSIプロセスがドロップされないように、基準CSIプロセスのインデックスを従属CSIプロセスのインデックスよりも低く設定することが好ましい。あるいは、基準CSIプロセスのインデックスを最も低いCSIプロセスインデックスである1に固定して設定してもよい。この場合、端末は、基地局が基準CSIプロセスのインデックスを1に設定すると期待する。
【0158】
一方、基準CSIプロセスのインデックスが従属CSIプロセスのインデックスよりも高く、両方のCSIプロセスのRIの周期およびオフセットが互いに同一であって常に衝突する場合、基準CSIプロセスは常にドロップされ、従属CSIプロセスが継承する値がなくなるという問題も発生しうる。この場合、以下の2つの方法で問題を解決することができる。まず、基準CSIプロセスのインデックスが従属CSIプロセスのインデックスよりも高く設定される場合、両方のCSIプロセスの周期およびオフセットが互いに同一となるように設定しない。次に、基準CSIプロセスおよび従属CSIプロセスの周期およびオフセットが互いに同一であれば、基準CSIプロセスのインデックスが従属CSIプロセスのインデックスよりも高くなるように設定しない。あるいは、基準CSIプロセスのインデックスを1に設定することもできる。
【0159】
協調送信システム(CoMP)において共通CSIを適用する場合の不両立(contradiction)
コードブックサブセット制限(codebook subset restriction)とは、端末がコードブック内の要素からなるサブセット(部分集合)内でのみプリコーダを選択するように制限することを指す。すなわち、コードブックサブセット制限は、様々なプリコーディング行列を含むコードブックを生成した後、各セルまたは各端末ごとに使用可能なプリコーディング行列を制限することである。コードブックサブセット制限を用いると、無線通信システム全体は大きいサイズのコードブックを有するが、各端末が用いるコードブックは、コードブックのサブセットで構成され、プリコーディングゲイン(precoding gain)を増加させることができる。
【0160】
ここで、コードブックサブセット制限が各CSIプロセスごとに独立して設定される場合、従属CSIプロセスのRIを基準CSIプロセスのRI(共通RI)と同じ値に設定することができないという問題が発生しうる。すなわち、コードブックサブセット制限によって共通RIの適用に問題が発生しうる。例えば、基準CSIプロセスはランク1および2を用いるようにコードブックサブセット制限が設定され、従属CSIプロセスはランク1のみを用いるようにコードブックサブセット制限が設定された場合、使用可能な(available)RIが互いに異なり、問題が発生しうる。すなわち、基準CSIプロセスのRIが2である場合、従属CSIプロセスは、コードブックサブセット制限によって従属CSIプロセスのランクを2に設定できない場合がある。このような場合、端末は、下記のような手順を行うことができる。
【0161】
まず、端末は、従属CSIプロセスのRIを基準CSIプロセスのRIとは別に決定してフィードバックすることができる。これは、基準CSIプロセスのRIよりも、コードブックサブセット制限を優先して適用することを意味する。そのため、この場合には共通RIを適用しない。従属CSIプロセスのRIを選択するとき、端末は、従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限によって使用可能RIを判断し、従属CSIプロセスのNZP(Non Zero Power)CSIおよびIMR測定値に基づいて、使用可能RIから最適のRIを選択する。
【0162】
次に、端末は、従属CSIプロセスのRIを基準CSIプロセスのRIと同じ値に決定できる。これは、コードブックサブセット制限よりも、基準CSIプロセスのRIを優先して適用することを意味する。そのため、この場合に従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限は適用しない。
【0163】
次に、従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限から使用可能RIを判断し、使用可能RIの中から、基準CSIプロセスのRIに最も近似するRIを選択できる。周期的フィードバックの場合、従属CSIプロセスのRIは、従属CSIプロセスのRIが報告される時点またはそれ以前に報告される値のうち、最も最近の値を意味する。非周期的フィードバックの場合、従属CSIプロセスのRIは、従属CSIプロセスのRIと同一の時点で報告される値を意味する。
【0164】
次に、従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限から使用可能RIを判断し、使用可能RIのうちの最小のRIを選択できる。
【0165】
一方、上述した通り、従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限と共通RIの適用とが両立しないことを防止するために、各CSIプロセスごとにコードブックサブセット制限が独立して設定されないようにしてもよい。すなわち、基地局は、従属CSIプロセスと基準CSIプロセスとのコードブックサブセット制限が互いに同一となるように設定し、端末も、従属CSIプロセスと基準CSIプロセスとのコードブックサブセット制限が互いに同一であると期待することができる。
【0166】
また、上述した問題を防止するために、基地局は、従属CSIプロセスの使用可能RIと基準CSIプロセスの使用可能RIとが同一となるように従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限および基準CSIプロセスのコードブックサブセット制限を設定してもよい。すなわち、端末は、従属CSIプロセスの使用可能RIと基準CSIプロセスの使用可能RIとが同一となるように従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限および基準CSIプロセスのコードブックサブセット制限が設定されると期待できる。同様に、端末は、従属CSIプロセスの使用可能RIと基準CSIプロセスの使用可能RIとが異なるように従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限および基準CSIプロセスのコードブックサブセット制限が設定されると期待しなくてもよい。
【0167】
また、上述した問題を防止するために、基地局は、従属CSIプロセスの使用可能RIの集合(set)が基準CSIプロセスの使用可能RIの集合と同一となるかまたは上位集合(superset)となるように従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限および基準CSIプロセスのコードブックサブセット制限を設定してもよい。すなわち、端末は、従属CSIプロセスの使用可能RIの集合が基準CSIプロセスの使用可能RIの集合と同一となるかまたは上位集合(superset)となるように従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限および基準CSIプロセスのコードブックサブセット制限が設定されると期待できる。同様に、端末は、従属CSIプロセスの使用可能RIの集合が基準CSIプロセスの使用可能RIの集合に含まれないように従属CSIプロセスおよび基準CSIプロセスのコードブックサブセット制限が設定されると期待しなくてもよい。
【0168】
上述した特徴は、従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限と共通RIの利用とが両立しない(contradiction)場合を説明したが、本発明は、これに限定されず、共通PMIの利用が従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限と両立しない場合にも適用可能である。
【0169】
以下では、共通PMIの利用が従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限と両立しない場合の手順を説明する。
【0170】
まず、端末は、従属CSIプロセスのPMIを基準CSIプロセスのPMIとは別に決定してフィードバックすることができる。これは、基準CSIプロセスのPMIよりも、コードブックサブセット制限を優先して適用することを意味する。このため、この場合、共通PMIを適用しない。従属CSIプロセスのPMIを選択する時、端末は、従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限によって使用可能PMIを判断し、従属CSIプロセスのNZP(Non Zero Power)CSIおよびIMR測定値に基づいて、使用可能PMIから最適のPMIを選択する。
【0171】
次に、端末は、従属CSIプロセスのPMIが基準CSIプロセスのPMIと同じ値になるよう決定できる。これは、コードブックサブセット制限よりも、基準CSIプロセスのPMIを優先して適用することを意味する。そのため、この場合、従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限は適用しない。
【0172】
次に、従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限によって使用可能PMIを判断し、使用可能PMIのうち、基準CSIプロセスのPMIに最も近似するPMIを選択できる。例えば、両方のPMIの近似の度合いは、両方のPMの相関度(co-relation)またはユークリッド距離(Euclidean distance)から判断できる。具体的には、相関度が大きいほどまたはユークリッド距離が小さいほど、両方のPMIは近似していると判断できる。周期的フィードバックの場合、従属CSIプロセスのPMIは、従属CSIプロセスのPMIが報告される時点またはそれ以前に報告される値のうちの最も最近の値を意味する。非周期的フィードバックの場合、従属CSIプロセスのPMIは、従属CSIプロセスのPMIと同一の時点で報告される値を意味する。
【0173】
次に、従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限から使用可能PMIを判断し、使用可能PMIの中から最小のPMIを選択できる。
【0174】
一方、上述した通り、従属CSIプロセスのコードブックサブセット制限と共通CSIの適用とが両立しないことを防止するために、各CSIプロセスごとにコードブックサブセット制限が独立して設定されないようにしてもよい。すなわち、基地局は、従属CSIプロセスと基準CSIプロセスとのコードブックサブセット制限が互いに同一となるように設定し、端末も、従属CSIプロセスと基準CSIプロセスとのコードブックサブセット制限が同一であると期待できる。
【0175】
以下では、コードブックサブセット制限と共通CSIとが両立しない場合と同様に、従属CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数と基準CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数とが異なる場合を説明する。
【0176】
従属CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数と基準CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数とが異なる場合、両方のCSIプロセスのRIおよびPMIを同一に設定することができないことがある。例えば、従属CSIプロセスおよび基準CSIプロセスのCSI−RSのアンテナポート数がそれぞれ4および8に設定された場合、基準CSIプロセスのRIを8に設定すると、従属CSIプロセスのRIを同一に設定することができない。
【0177】
このような問題を防止するために、基地局は、従属CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数と基準CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数とを同一に設定することができる。このとき、端末は、従属CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数と基準CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数とが同一であると期待できる。同様に、端末は、従属CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数と基準CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数とが異なっていると期待しなくてもよい。
【0178】
他の方法として、基地局は、従属CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数が基準CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数と同一であるかまたは大きくなるように設定してもよい。すなわち、端末は、従属CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数が基準CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数と同一であるかまたは大きいと期待できる。従属CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数が基準CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数と同一であるかまたは大きい場合には問題が生じないためである。
【0179】
他の方法として、従属CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数が基準CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数と異なる場合、端末は、従属CSIプロセスのRIおよびPMIを基準CSIプロセスのRIおよびPMIとは別に算出してもよい。あるいは、従属CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数が基準CSIプロセスのCSI−RSアンテナポート数よりも小さい場合、端末は、従属CSIプロセスのRIおよびPMIを基準CSIプロセスのRIおよびPMIと別に算出してもよい。
【0180】
以下では、各CSIプロセスごとにRIおよびPMI報告を活性化するか否かに関する設定が独立している場合に現れる共通CSIの適用における不両立を説明する。
【0181】
各CSIプロセスごとにRIおよびPMI報告が活性化されるか否かに関する設定が独立している場合、従属CSIプロセスのRIを基準CSIプロセスのRIと同じ値に決定することができない場合がある。例えば、基準CSIプロセスのRIおよびPMI報告が活性化され、RIを2に設定したが、従属CSIプロセスのRIおよびPMI報告が非活性化された場合、従属CSIプロセスのランクを2に設定することができなくなる。このような場合、端末は下記の手順を行うことができる。
【0182】
まず、従属CSIプロセスのRIおよびPMI報告を非活性化することができる。これは、基準CSIプロセスのRIよりも、従属CSIプロセスのRI報告の非活性化設定を優先して適用することを意味する。このとき、基準CSIプロセスのRIは適用されない。
【0183】
次に、従属CSIプロセスのRIが基準CSIプロセスのRIと同じ値になるよう決定できる。これは、従属CSIプロセスのRIおよびPMI報告の非活性化設定よりも、基準CSIプロセスのRIを優先して適用することを意味する。このとき、従属CSIプロセスのRIおよびPMI報告の非活性化設定は無効となる。
【0184】
一方、上述した問題を防止するために、従属CSIプロセスおよび基準CSIプロセスのRIおよびPMI報告は常に活性化されてもよい。このとき、基地局は、従属CSIプロセスおよび基準CSIプロセスのRIおよびPMI報告が全て活性化されるように設定できる。端末は、従属CSIプロセスおよび基準CSIプロセスのRIおよびPMI報告が全て活性化されたと期待できる。
【0185】
CSIプロセス間の衝突における優先順位
以下では、PUCCHを用いた周期的CSIフィードバックにおいて2つ以上のCSIプロセスが衝突する場合、優先順位によって報告するCSIとドロップされるCSIとを決定する方法を説明する。
【0186】
CSIプロセス間の衝突において、現在LTEリリース−10で定義されたCSIレポーティングの優先順位は、次の通りである。CSIプロセス間の衝突において、端末は、レポーティングタイプ、CSIプロセスインデックスおよびCC(Component Carrier)インデックスの順に、高い優先順位を与える。
【0187】
例えば、レポーティングタイプの優先順位をまず考慮した後、レポーティングタイプの優先順位が同一である場合、CSIプロセスインデックスに基づいて、低いインデックスが高い優先順位を有する。レポーティングタイプの優先順位が同一であり、CSIプロセスインデックスが同一である場合には、CCインデックスの低いCSIプロセスが高い優先順位を有する。
【0188】
レポーティングタイプによる優先順位は次のように決定される。該当サブフレームで、PUCCHレポーティングタイプ3,5,6または2aのCSI報告がPUCCHレポーティングタイプ1,1a,2,2b,2cまたは4のCSI報告と衝突する場合、後者が低い優先順位を有し、ドロップされる。該当サブフレームで、PUCCHレポーティングタイプ2,2b,2cまたは4のCSI報告がPUCCHレポーティングタイプ1または1aのCSI報告と衝突する場合、後者が低い優先順位を有し、ドロップされる。
【0189】
本発明では、上述した従来のレポーティングタイプの優先順位においてより一層具体的な優先順位を提案する。本発明によれば、該当サブフレームで、PUCCHレポーティングタイプ5または6のCSI報告がPUCCHレポーティングタイプ3のCSI報告と衝突する場合、後者が低い優先順位を有し、ドロップされる。
【0190】
上述したPUCCHレポーティングタイプ3,5および6間の優先順位は、基準CSIプロセスと従属CSIプロセスとの間の衝突時に適用可能である。例えば、従属CSIプロセスのレポーティングタイプ6と基準CSIプロセスのレポーティングタイプ3とが同一サブフレームで衝突した場合、レポーティングタイプ3のCSI報告がドロップされ、従属CSIプロセスのレポーティングタイプ6のCSIが報告される。
【0191】
PUCCHレポーティングタイプ6には、RIの他、PTIも併せてジョイントエンコーディングされるため、本発明の優先順位を適用することによって、RIの他、PTI値も損失無く報告することができる。同様に、PUCCHレポーティングタイプ5には、RIの他、W1も併せてジョイントエンコーディングされるため、上記の優先順位を適用することによって、RIの他、W1値も損失無く報告することができる。
【0192】
このとき、基準CSIプロセスのRI値はドロップされたが、基準プロセスのRIと同じRI値がタイプ5または6を通じて報告されるため、端末は、次の基準CSIプロセスのRIが報告されるまで、上記タイプ5または6のRI値に基づいて基準CSIプロセスのPMIおよびCQIを算出する。
【0193】
一方、従来のシステムでは、データに対するACK/NACK報告とCSI(RI/PMI/subband index)フィードバックとが衝突した場合、ACK/NACK報告を優先してCSIを捨てた。しかし、基準CSIプロセスのCSIとACK/NACK報告とが衝突する場合、基準CSIプロセスのCSI報告はACK/NACK報告よりも高い優先順位を有することが好ましい。これによれば、基準CSIプロセスのCSIが報告され、ACK/NACK報告は捨てられる。基準CSIプロセスのCSIは、一つまたは複数の従属CSIプロセスが参照しているため、基準CSIプロセスのCSI報告が捨てられる場合、従属CSIプロセスのCSI値に影響を及ぼしうるからである。したがって、基準CSIプロセスのCSIとACK/NACK報告とが衝突する場合、基準CSIプロセスのCSI報告はACK/NACK報告よりも高い優先順位を有することが好ましい。
【0194】
本発明の実施例を適用可能な基地局および端末
図20は、本発明の一実施例に適用可能な基地局および端末を例示している。
【0195】
無線通信システムに中継器(relay)が含まれる場合、バックホールリンクにおいて通信は基地局と中継器との間で行われ、アクセスリンクにおいて通信は中継器と端末との間で行われる。そのため、図示の基地局または端末は、状況によって中継器に置き換わってもよい。
【0196】
図20を参照すると、無線通信システムは、基地局(BS)110および端末(UE)120を含む。基地局110は、プロセッサ112、メモリ114および無線周波数(Radio Frequency;RF)ユニット(module)116を含む。プロセッサ112は、本発明で提案した手順および/または方法を具現するように構成できる。メモリ114は、プロセッサ112と接続され、プロセッサ112の動作に関連した様々な情報を記憶する。RFユニット116は、プロセッサ112と接続され、無線信号を送信および/または受信する。端末120は、プロセッサ122、メモリ124およびRFユニット126を含む。プロセッサ122は、本発明で提案した手順および/または方法を具現するように構成できる。メモリ124は、プロセッサ122と接続され、プロセッサ122の動作に関連した様々な情報を記憶する。RFユニット126は、プロセッサ122と接続され、無線信号を送信および/または受信する。基地局110および/または端末120は、単一のアンテナまたは複数のアンテナを有することができる。
【0197】
以上説明してきた実施例は、本発明の構成要素および特徴を所定の形態で組み合わせたものである。各構成要素または特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮しなければならない。各構成要素または特徴は、他の構成要素や特徴と組み合わせない形態で実施することもでき、一部の構成要素および/または特徴を組み合わせて本発明の実施例を構成することもできる。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更されてもよい。ある実施例の一部の構成や特徴は、他の実施例に含まれてもよく、他の実施例の対応する構成または特徴に取り替わってもよい。特許請求の範囲において明示的な引用関係にない請求項を組み合わせて実施例を構成したり、出願後の補正により新しい請求項として含めたりできるということは明らかである。
【0198】
本文書で基地局によって行われるとした特定の動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。すなわち、基地局を含む複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局または基地局以外の他のネットワークノードによって行われ得ることは明らかである。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)などの用語にしてもよい。
【0199】
本発明に係る実施例は、様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせなどによって具現することができる。ハードウェアによる具現では、本発明の一実施例は、一つまたはそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
【0200】
ファームウェアやソフトウェアによる具現では、本発明の一実施例は、以上で説明された機能または動作を実行するモジュール、手順、関数などの形態で具現されてもよい。ソフトウェアコードは、メモリユニットに記憶され、プロセッサによって駆動可能である。
【0201】
上記メモリユニットは、プロセッサの内部または外部に設けられ、公知の様々な手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
【0202】
本発明は、本発明の特徴から逸脱しない範囲で別の特定の形態に具体化できるということが当業者にとっては自明である。したがって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても制限的に解釈してはならず、例示的なものとして考慮しなければならない。本発明の範囲は、添付の請求項の合理的な解釈によって決定すべきであり、本発明の等価的範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0203】
本発明は、端末、中継器、基地局などの無線通信装置に利用可能である。
図1
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