【実施例】
【0026】
以下に、本発明の一実施例である既設盛土の液状化対策メンテナンス工法について、
図1乃至
図14に基づいて説明する。
ここで、
図1は、本実施例を適用する既設盛土の概念を示す一部断面斜視図であり、
図2は、
図1に示す符号2から視た法尻部撤去工程を示す正面断面図であり、
図3は、法尻下方基礎地盤掘削工程を示す正面断面図であり、
図4は、非液状化一体構造体設置工程の下層砕石敷設工事を示す正面断面図であり、
図5は、非液状化一体構造体設置工程の補強シート敷設工事を示す正面断面図であり、
図6は、本実施例で適用するジオシンセティックスを示す平面図であり、
図7は、非液状化一体構造体設置工程の上層砕石敷設工事を示す正面断面図であり、
図8は、盛土崩れ抑止重し設置工程の補強シート敷設工事を示す正面断面図であり、
図9は、盛土崩れ抑止重し設置工程のふとん籠組立工事および栗石充填工事を示す正面断面図であり、
図10は、本実施例で適用するふとん籠を示す斜視図であり、
図11は、盛土崩れ抑止重し設置工程の押え盛土敷設工事を示す正面断面図であり、
図12は、盛土崩れ抑止重し設置工程を繰り返して盛土崩れ抑止重しを積層した状態を示す正面断面図であり、
図13(A)は、本実施例である液状化対策メンテナンス工法を既設盛土に適用した場合の既設盛土の水位を示す概念断面図であり、
図13(B)は、比較例として既設盛土に何も施さない場合の既設盛土の水位を示す概念断面図であり、
図14(A)は、本実施例である液状化対策メンテナンス工法を既設盛土に適用した場合の効果を示す概念断面図であり、
図14(B)は、比較例として既設盛土に何も施さない場合の
概念断面図である。
【0027】
本発明の一実施例である既設盛土110は、
図1に示すように、現況地盤とも言われる基礎地盤Bの上方に
造成された道路用盛土である。
一例として、
基礎地盤Bの上方に造成された既設盛土110は、高さ10m、片側の法尻部111の幅15mである。
基礎地盤Bは、粘性土層ではなく所謂、液状化層と言われる砂質地盤である。
本実施例の既設盛土の液状化対策メンテナンス工法は、地震の際に基礎地盤Bが液状化を起こす場合であっても基礎地盤上に
造成された既設盛土110の変形を抑制するものであり、法尻部撤去工程と、法尻下方基礎地盤掘削工程と、非液状化一体構造体設置工程と、盛土崩れ抑止重し設置工程とを備えている。
【0028】
図2に示すように、法尻部撤去工程では、例えば、ドラッグショベルなどの重機で基礎地盤Bの上方に造成された既設盛土110の法尻部111を撤去する。
図3に示すように、法尻下方基礎地盤掘削工程は、法尻部撤去工程で撤去した法尻部111の撤去領域A1と法尻部111の外縁近傍領域である外縁領域A2との下方に位置する法尻下方基礎地盤B1を掘削して掘削領域A3を形成する。
掘削領域A3については、例えば、深さが2m、外側が法尻部111の端から外側へ2mの位置、内側が既設盛土110の平坦上部の速端から外側下方45°の仮想線と交差する位置とする。
深さ2mとした理由は、この程度の深さであれば、土留を必要とせず掘削することができるからである。
【0029】
非液状化一体構造体設置工程は、掘削領域に下層砕石121および上層砕石123からなる砕石と補強シート122とからなる非液状化一体構造体120を設置する工程であり、下層砕石敷設工事と、補強シート敷設工事と、上層砕石敷設工事とを備えている。
図4に示すように、非液状化一体構造体設置工程の下層砕石敷設工事では、法尻下方基礎地盤掘削工程で掘削した法尻下方基礎地盤B1の掘削領域A3に、先ず、底面に砕石を投入して、下層砕石121を形成し、例えば、振動ローラーなどの重機で下層砕石121を平らにする敷均しを施すとともに転圧による締固めを施す。
次に、
図5に示すように、非液状化一体構造体設置工程の補強シート敷設工事では、下層砕石121の上にジオシンセティックスまたは金網からなる補強シート122を敷設する。
【0030】
図6に示すように、補強シート122として用いられるジオシンセティックスは、一例として、複数の縦帯122aと、この縦帯122aを連結補強する横帯122bとを格子状に交絡配置して形成された高強度補強ジオシンセティックスタイプである。
これにより、ジオシンセティックスの縦帯122aが、シート保持手段に保持され、ジオシンセティックスの横帯122bが、複数の縦帯122aを相互に連結することになる。
そして、ジオシンセティックスからなる補強シート122が、シート状の保形性を充分に発揮している。
縦帯122aは、高強度ポリエステル長繊維を並列かつ密に引き揃えた高強度ポリエステル長繊維束からなる芯材層とこの芯材層を被覆するポリエチレン樹脂からなる被覆層とで構成されている。
【0031】
一例として、縦帯122aの幅Wは、80〜95mmであり、縦帯122aの強度は、9〜130kN/本であり、縦帯122aのピッチPは、100〜180mmである。
これにより、高強度ポリエステル長繊維束が、補強シート122における長手方向のシート引張強度を確実に発揮して盛土に不足しているすべりに対する抵抗力を補う。
さらに、芯材層の高強度ポリエステル長繊維束と被覆層のポリエチレン樹脂とが耐施工中の損傷に対する安全性を増し、耐候性、耐薬品性、耐寒性、耐熱性、耐腐食性を発揮している。
【0032】
縦帯122aの表裏の表面には、凹凸加工が施されており、この凹凸加工によって、下層砕石121と上層砕石123との間、砕石と基礎地盤Bとの間、盛土材料の間など、敷設されて上下に接触する被接触物間の摩擦係数が向上するように構成されている。
また、縦帯122aの延設方向(長尺方向)が、法尻部111の内外方向である法面からの遠近方向に沿って延設、すなわち、既設盛土110の幅方向(
図5中の左右方向)となるようにジオシンセティックスからなる補強シート122を敷設する。
要するに、縦帯122aが、既設盛土110の法面に対する掘削領域A3の遠端側から近端側へ向かう方向に沿って延設される。
【0033】
続いて、
図7に示すように、非液状化一体構造体設置工程の上層砕石敷設工事では、ジオシンセティックスからなる補強シート122の上に、上層となる砕石を投入して、上層砕石123を形成し、下層砕石121と同様に、例えば、振動ローラーなどの重機で下層砕石121を平らにする敷均しを施すとともに転圧による締固めを施す。
これにより、下層砕石121と上層砕石123の間に敷設されたジオシンセティックスからなる補強シート122によって、下層砕石121と上層砕石123の間に摩擦力を発生させて曲げ変形に強い非液状化一体構造体120が形成される。
【0034】
なお、下層砕石121および上層砕石123が、粒径40mm超の砕石ばかりであると、砕石とジオシンセティックスからなる補強シート122との接点数が少なくなって、接点1点当たりの荷重が許容範囲より大きくなるため、ジオシンセティックスからなる補強シート122が破損する虞がある。
そこで、本実施例では、下層砕石121および上層砕石123に用いる砕石には、粒径40mm以下の様々なサイズの砕石を混在させている。
これにより、下層砕石121または上層砕石123に用いられている砕石とジオシンセティックスからなる補強シート122との接点数が適度に多くなり、所望の摩擦力を発生させるとともに、ジオシンセティックスからなる補強シート122の破損を防止している。
【0035】
盛土崩れ抑止重し設置工程は、非液状化一体構造体120の上方に補強シート131とふとん籠132と栗石133と押え盛土134とからなり既設盛土110の法面の勾配よりも急勾配な盛土崩れ抑止重し130を設置する工程であり、補強シート底面敷設工事と、ふとん籠組立工事と、栗石充填工事と、押え盛土敷設工事とを備えている。
ここで、補強シート131は、非液状化一体構造体120に用いたジオシンセティックスまたは金網からなる補強シート122と同様のものを採用することによって、工事現場での部品点数の種類を削減することができる。
また、ふとん籠132の補強床材132bの端縁が既設盛土110の法面から離れた位置になるような大規模な盛土崩れ抑止重し130を設ける必要が生じた場合であっても、積層される盛土崩れ抑止重し130の間に敷設されるふとん籠132の補強床材132bの長さを補強シート131の長さ調整によって補充され、積層される盛土崩れ抑止重しの規模に応じた汎用性が得られる。
【0036】
図8に示すように、盛土崩れ抑止重し設置工程の補強シート底面敷設工事では、盛土崩れ抑止重し130の底面となる上層砕石123の上にジオシンセティックスからなる補強シート122を敷設する。
ここで、非液状化一体構造体120の上方に補強シート131を敷設する補強シート底面敷設工事は、盛土崩れ抑止重しの幅が狭く、ふとん籠132の補強床材132bによって積層される盛土崩れ抑止重しの相互間の摩擦力を確保できる場合には、省略しても良い。
【0037】
図9に示すように、盛土崩れ抑止重し設置工程のふとん籠組立工事では、補強シート131の上面にふとん籠132を組み立てて設置する。
ここで、ふとん籠132は、
図10に示すように、籠状のギャビオン132aとシート状の補強床材132bから構成されている。
【0038】
ギャビオン132aは、既設盛土110の法面に対する
掘削領域A3の遠端側に設置されている。
ギャビオン132aは、上面を開閉可能で内部に栗石や砕石を充填可能な形状、例えば、直方体状の外形をしており、栗石を充填する6つの面からなる内部空間を形成する骨組みの枠部と、この枠部からなる6つの面のそれぞれに取付けられ、枠部の内部空間に充填された栗石や砕石を保持する網目状の網部とから構成される直方体状の蛇籠である。
なお、ギャビオン132aの内部に区画壁を設けて、複数に区画してもよい。
補強床材132bは、ギャビオン132aの底面の両側にある枠部から既設盛土110の法面に近接する方向に向かって延設された床枠部と、この床枠部の間に取付けられた網目状の床網部とから構成されており、補強シート131の上面に敷設される。
【0039】
枠部には、例えば、直径16mmまたは13mmなどの鋼棒を用いている。
また、網部には、例えば、ガルファンと呼ばれる溶融亜鉛−5%アルミニウム合金メッキによる下層被覆とPVCコーティングによる上層被覆を施した線材内径2.7mm、線材外径3.7mmの鋼線などが用いられ、この鋼線を編むことによって、栗石133や砕石よりも小さい網目寸法、例えば、網目内寸80mmを有する亀甲型網目状を形成したものを用いている。
これにより、ふとん籠132は、外力に対して保形性に優れたものとなる。
【0040】
また、ふとん籠132は、ギャビオン132aの内外における通気性が優れたものとなる。
さらに、補強床材132bの上下、すなわち、下側の上層砕石123または押え盛土134あるいはジオシンセティックスからなる補強シート131のような下側の非接触物と上側の押え盛土134との間に所望の摩擦力を発生させるとともに、通気性が優れたものとなる。
【0041】
なお、ふとん籠132は、ギャビオン132aと補強床材132bとが一体構造のものであっても、別体のギャビオン132aと補強床材132bとを設置現場で組み立てられるものであっても、何れのものであっても栗石133や砕石をギャビオン132aの内部に充填して保持できるものであれば構わない。
【0042】
盛土崩れ抑止重し設置工程のふとん籠組立工事に続いて、栗石充填工事が行われ、ふとん籠132のギャビオン132aの内部空間に栗石133または砕石を充填される。
ギャビオン132aに充填する栗石133または砕石には、ギャビオン132aの網部から抜け落ちて流出しないように、例えば、粒径80mm以上の様々な網目内寸よりも大きなサイズの栗石または砕石を混在させている。
これにより、ふとん籠132のギャビオン132aは、充填された栗石133の相互間に隙間を生じて通気性が優れたものとなるため、押え盛土134を介した既設盛土110の内部の余分な水分に対する排水性が高くなる。
【0043】
図11に示すように、盛土崩れ抑止重し設置工程の押え盛土敷設工事では、ギャビオン132aと既設盛土110の法面との間に設置された補強床材132bの上面に、盛土材料を投入して、例えば、振動ローラーなどの重機を用いて、厚さ30cm以下の盛土材料を平らにする敷均しと転圧による締固めとを繰り返して押え盛土134を形成する。
以上、説明した盛土崩れ抑止重し設置工程により、法尻部111の撤去領域A1と法尻部111の外縁領域A2との下方に形成された非液状化一体構造体120の上方に盛土崩れ抑止重し130が形成される。
【0044】
図12に示すように、盛土崩れ抑止重し設置工程が、繰り返し施工され、盛土崩れ抑止重し130を複数積層する際、押え盛土134の外縁側となる位置に、前工程で設置された下層側のふとん籠132におけるギャビオン132aと後工程で設置される上層側のふとん籠132におけるギャビオン132aとの少なくとも一部を重複するようにふとん籠132を組み立て、既設盛土110の法面より急勾配に積層されている。
これにより、積層された盛土崩れ抑止重し130は、既設盛土側に設置した押え盛土134の外縁側を強固な壁面で取り囲んだ構造となる。
【0045】
さらに、既設盛土110の法尻部とこの法尻部の外縁との下方に設置された非液状化一体構造体120の締固めに作用させる盛土崩れ抑止重し130がふとん籠132および栗石133を用いて押え盛土134の保型性を高めるとともに、急勾配化することによって緩勾配の押え盛土よりも荷重を増加させている。
これにより、非液状化一体構造体120の内縁側に比べて外縁側の一体性が増加し、既設盛土110の法尻部111が変形や円弧状に滑り破壊することを一層抑制する。
そして、盛土崩れ抑止重しの急勾配化によって、既設盛土110における外縁側に用地境界が隣接するような狭いスペースであっても盛土崩れ抑止重しを設置可能となる。
【0046】
次に、本発明の液状化対策メンテナンス工法を施すことによって
基礎地盤Bの上方に造成された既設盛土
110の内部における地下水や浸透水による水位の変化を
図13(A)および
図13(B)を用いて説明する。
図13(A)に示すように、既設盛土の液状化対策メンテナンス工法により非液状化一体構造体120と、この非液状化一体構造体120の上に盛土崩れ抑止重し130とは、通気性に優れており、既設盛土110の内部の余分な水分を法尻部外側の地表面に放出する。
【0047】
非液状化一体構造体120の下層砕石121および上層砕石123は、通気性に優れている。
そのため、既設盛土110が、図中矢印のように、液状化する前の段階で既設盛土110の土中に含まれる水分が非液状化一体構造体120を介して図中矢印のように既設盛土110の外側に排水される。
【0048】
さらに、ふとん籠に充填された栗石も通気性が優れている。
そのため、盛土崩れ抑止重し130の押え盛土134の土中に含まれる水分が、図中矢印のように、ふとん籠132のギャビオン132aを介して既設盛土110の外側に排水されるのみならず、既設盛土110の内部の余分な水分も押え盛土134とふとん籠132のギャビオン132aとを介して既設盛土110の外側に排出されるため、総じて既設盛土110の排水性が高くなる。
これにより、非液状化一体構造体に加えて盛土崩れ抑止重しの押え盛土および既設盛土の内部における地下水や浸透水を積極的に法尻部外側の地表面に放出して蓄積による水位の上昇を早期に防止し、水位を低い位置に維持している。
【0049】
他方、
図13(B)に示すように、非液状化一体構造体120と盛土崩れ抑止重し130とが設置されていない比較例では、既設盛土110の土中に含まれる水分が排水されにくい。
そのため、地下水や浸透水を既設盛土の内部に蓄積し、水位が高い位置にある。
【0050】
続いて、非液状化一体構造体120および盛土崩れ抑止重しを設置したことによる効果を
図14(A)および
図14(B)を用いて説明する。
ここで、前提として、地震が発生した場合、
図14(A)および
図14(B)に示す基礎地盤Bのうち、既設盛土110の下方で既設盛土110を支持する既設盛土下方基礎地盤B3は、既設盛土110の荷重を受けて砂粒子同士の接点力が大きいなど拘束効果が大きいため、液状化しにくい。
他方、既設盛土下方基礎地盤B3の外側に位置して既設盛土110を支持していない外側領域基礎地盤B2は、既設盛土110の荷重を受けず砂粒子同士の接点力が小さいなど拘束効果が小さいため、液状化しやすい。
【0051】
図14(A)に示すように、既設盛土
110の液状化対策メンテナンス工法により非液状化一体構造体120と、この非液状化一体構造体120の上に盛土崩れ抑止重し130が複数積層されると、既設盛土110における内部の水位が低く保たれており、地震発生の際にこの非液状化一体構造体120よりも外側領域である外側領域基礎地盤B2が液状化した場合に、既設盛土110の法尻部の代わりに設置された盛土崩れ抑止重し130を支持している非液状化一体構造体120が液状化した外側領域基礎地盤B2より剛性の高い盤として殆ど流されずに位置するとともに、非液状化一体構造体120に支持された盛土崩れ抑止重し130が既設盛土110を支持する。
そのため、地震発生して非液状化一体構造体120よりも外側領域である外側領域基礎地盤B2が液状化した場合であっても、既設盛土110の法尻部111が変形や円弧状に滑り破壊すること、すなわち、滑り落ちて破壊されてしまうことを回避して
基礎地盤Bの上方に造成された既設盛土110の変形を抑制する。
【0052】
他方、
図14(B)に示すように、非液状化一体構造体120が設置されていない比較例では、外側領域基礎地盤B2が液状化した場合に、既設盛土110の法尻部111が支持されない。
加えて、既設盛土110における内部の水位が高いため、既設盛土110の内部も接点力が小さくなっており、拘束効果が小さい。
そのため、地震発生して既設盛土110の下側にある既設盛土下方基礎地盤B3よりも外側領域にある外側領域基礎地盤B2が液状化した場合に、既設盛土110の法尻部111が変形や円弧状に滑り破壊して、既設盛土110の全体が変形してしまう。
【0053】
さらに、本実施例の既設盛土の液状化対策メンテナンス工法では、従来の液状化対策工法のような重機足場の施工、基礎地盤Bの深いところへの排水管や梁部の設置、基礎地盤Bに大量のセメントを流し込むことによる地盤改良の必要がない。
また、
基礎地盤Bの上方に造成された既設盛土110の法尻部111よりも内側中央箇所の一時除去、既設盛土110における内側中央箇所の下方に位置する既設盛土下方基礎地盤B3の掘削、既設盛土110の内側中央箇所に設置された道路の撤去についても、必要がない。
【0054】
さらに、既設盛土110が液状化する前の段階で非液状化一体構造体120が通気性に優れて既設盛土の内部に存在する余分な水分が非液状化一体構造体120を介して法尻部111より外側の地表面に放出されるとともに、盛土崩れ抑止重しのギャビオン132aによって形成された壁面が通気性に優れて押え盛土および既設盛土の内部における地下水や浸透水を法尻部外側の地表面に放出して蓄積による水位の上昇を早期に防止している。
【0055】
なお、非液状化一体構造体設置工程において、ジオシンセティックスまたは金網からなる補強シート122を下層砕石121および上層砕石123からなる砕石で挟設したサンドイッチ構造の非液状化一体構造体120を形成したが、法尻下方基礎地盤B1の掘削領域A3の底面側に補強シートを敷設する下側補強シート敷設工事と、この下側補強シート敷設工事の後に砕石を敷設する包設用砕石敷設工事と、この包設用砕石敷設工事の後に補強シートを再度敷設する上側補強シート敷設工事と、この上側補強シート敷設工事の補強シートと下側補強シート敷設工事の補強シートとのそれぞれの外周端部同士を連結する補強シート連結工事とから構成され、砕石を補強シートで包設した非液状化一体構造体を掘削領域に形成してもよい。
これにより、補強シートによって砕石の層を包設した構造となって補強シートと砕石との間に大きな摩擦力を発生するとともに非液状化一体構造体の一体性を増す。